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JP4785304B2 - 光ファイバアレイおよび光ファイバアレイの製造方法 - Google Patents

光ファイバアレイおよび光ファイバアレイの製造方法 Download PDF

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JP4785304B2 JP2001280351A JP2001280351A JP4785304B2 JP 4785304 B2 JP4785304 B2 JP 4785304B2 JP 2001280351 A JP2001280351 A JP 2001280351A JP 2001280351 A JP2001280351 A JP 2001280351A JP 4785304 B2 JP4785304 B2 JP 4785304B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバアレイおよびその製造方法に関する。
【0002】
近年、通信分野を中心として光ファイバに注目が集まっている。特にIT(情報技術)分野においては、高速インターネット網の整備に、光ファイバを用いた通信技術が必要となる。
光ファイバは、▲1▼低損失、▲2▼高帯域、▲3▼細径・軽量、▲4▼無誘導、▲5▼省資源等の特徴を有しており、この特徴を有する光ファイバを用いた通信システムでは、従来のメタリックケーブルを用いた通信システムに比べ、中継器数を大幅に削減することができ、建設、保守が容易になり、通信システムの経済化、高信頼性化を図ることができる。
【0003】
また、光ファイバでは、一つの波長の光だけでなく、多くの異なる波長の光を1本の光ファイバで同時に多重伝送することができるため、多様な用途に対応可能な大容量の伝送路を実現することができ、映像サービス等にも対応することができるという大きな利点を有する。
【0004】
また、光ファイバ通信において、光ファイバから光導波路を介して、受光素子、端末機器(パソコン、モバイル、ゲーム等)に接続するためには、複数の光ファイバを所定の間隔で離間して配列させる必要があり、これを達成するために、光ファイバアレイが用いられている。
【0005】
このような光ファイバアレイに関する技術は、例えば、特開平5−264841号公報、特開平5−264843号公報、特開平5−264844号公報等に開示されている。
特開平5−264841号公報には、基板に形成された複数のV溝のそれぞれに光ファイバが整列して収容され、基板と光ファイバと押さえ部材とが接着剤を介して一体的に固着されるとともに、光ファイバの先端部を基板および押さえ部材の端面から所定の長さ突出させた光ファイバアレイが開示されている。
【0006】
また、特開平5−264843号公報には、基板に形成された複数のV溝のそれぞれに光ファイバが整列して収容され、基板と光ファイバと押さえ部材とが接着剤を介して一体的に固着されるとともに、光ファイバがV溝内に完全に収納された光ファイバアレイが開示されている。この光ファイバアレイは、光ファイバがV溝内に完全に収納されているため、押さえ部材による光ファイバへの圧縮応力を防止することができ、光ファイバの変形等を確実に防止することができるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の光ファイバアレイにおいては、基板や押さえ部材として、セラミックやガラス、シリコン等の硬質材料からなるものが用いられていた。このように光ファイバを収納する溝の周囲が硬質材料で形成されていると、この溝に凹凸等が発生した場合には、光ファイバの変形や破損等が発生してしまうことがあった。
【0008】
また、上記したような硬質材料からなる基板に、V溝を形成する場合、その加工は、研削、研磨等の機械加工により行わなければならず、このような機械加工では、その精度を数μm程度の範囲にすることは、容易なことではなかった。
また、V溝を形成した際に、斜面の傾斜の度合いがそれぞれ異なると、これが、光ファイバを所望の位置に収納することができない原因となってしまう。
【0009】
また、機械加工を用いたV溝の形成では、V溝を一括形成することができず、溝を1つずつ個別に形成しなければならないため、溝ごとにバラツキが発生することがあり、光ファイバ同士の相対的な位置ズレの原因となったり、場合によっては、光ファイバに変形、断線、亀裂等を引き起こす原因となってしまうことがあった。
このような位置ズレや変形等が発生した場合には、光ファイバを介して、情報を正確に伝達することができなくなってしまう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、基板上に高さの異なる支持面を形成し、少なくとも高い方の支持面に樹脂層を形成し、この樹脂層に光ファイバを収納するための溝を形成した後、この溝に光ファイバを収納して光ファイバアレイとすることにより、上述した問題が発生しない光ファイバアレイを製造可能なことを見い出し本発明を完成させた。
さらに、本発明者らは、レーザ処理法や露光現像処理法を用いて溝を形成することにより、複数の溝を高い精度で一括して形成することができることも併せて見い出した。
【0011】
即ち、本発明の光ファイバアレイは、高さの異なるクラッド支持面と光ファイバ支持面とからなる基板の、前記クラッド支持面上に複数の溝を有する樹脂層が形成され、前記溝に光ファイバが収納されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の光ファイバアレイにおいて、上記基板は、その上面が上記クラッド支持面であるクラッド支持基板と、その上面が光ファイバ支持面であり、上記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板とから構成され、
上記クラッド支持面上には、上記樹脂層が形成されるとともに、上記溝の底面に露出するガイドが形成され、
上記光ファイバ支持基板は、上記光ファイバ支持面が上記クラッド支持面よりも低くなるように、上記クラッド支持基板の上記ガイドと直交する側面に接着されていてもよい。
【0013】
また、本発明の光ファイバアレイにおいては、上記基板は、その上面が上記クラッド支持面であるクラッド支持基板と、その上面が光ファイバ支持面であり、上記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板とから構成され、
上記クラッド支持面上には、上記樹脂層が形成されるとともに、上記溝の底面に露出するガイドが形成され、さらに、上記クラッド支持基板の上記ガイドと直交する側面の下部に、上記光ファイバ支持基板に嵌合する切り欠きが形成されており、
上記切り欠きに、上記光ファイバ支持基板が嵌合、接着されていてもよい。
【0014】
また、本発明の光ファイバアレイにおいては、上記溝の光ファイバ非収納部の少なくとも一部に接着剤層が形成されていてもよい。
また、本発明の光ファイバアレイにおいては、上記樹脂層上に、上記光ファイバを覆う蓋部が形成されていてもよい。
【0015】
第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、少なくとも下記(A)〜(E)の工程を含むことを特徴とする。
(A)クラッド支持基板の上面に、複数のガイドを形成するガイド形成工程、
(B)上記クラッド支持基板の上記ガイドと直交する側面に、その上面が上記クラッド支持基板の上面よりも低くなるように、上記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板を接着する支持基板接着工程、
(C)上記クラッド支持基板の上面に樹脂層を形成する樹脂層形成工程、
(D)上記樹脂層に、その底面にガイドが露出するように溝を形成する溝形成工程、および、
(E)上記溝に光ファイバを収納する光ファイバ収納工程。
【0016】
第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、少なくとも下記(A)〜(E)の工程を含むことを特徴とする。
(A)クラッド支持基板の上面に、複数のガイドを形成するガイド形成工程、
(B)予め、上記クラッド支持基板の上記ガイドと直交する側面の下部に、上記光ファイバ支持基板に嵌合する切り欠きを形成しておき、上記切り欠きに上記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板を嵌合、接着する支持基板接着工程、
(C)上記クラッド支持基板の上面に樹脂層を形成する樹脂層形成工程、
(D)上記樹脂層に、その底面にガイドが露出するように溝を形成する溝形成工程、および、
(E)上記溝に光ファイバを収納する光ファイバ収納工程。
【0017】
第一または第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法においては、上記光ファイバ収納工程の後に、上記溝の光ファイバ非収納部の少なくとも一部に未硬化の接着剤を充填する接着剤充填工程と、上記接着剤充填工程で充填した未硬化の接着剤を硬化させ、接着剤層とする接着剤層形成工程とを含むことが望ましい。
【0018】
第一または第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法においては、上記光ファイバ収納工程の前に、上記溝に未硬化の接着剤を充填する接着剤充填工程を含み、上記光ファイバ収納工程の後、上記接着剤充填工程で充填した未硬化の接着剤を硬化させ、接着剤層とする接着剤層形成工程を含むことが望ましい。
【0019】
第一または第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法においては、上記樹脂層上に、上記光ファイバを覆う蓋部を形成する蓋部形成工程を含むことが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の光ファイバアレイについて説明する。
本発明の光ファイバアレイは、高さの異なるクラッド支持面と光ファイバ支持面とからなる基板の、上記クラッド支持面上に複数の溝を有する樹脂層が形成され、上記溝に光ファイバが収納されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の光ファイバアレイでは、光ファイバを収納するための溝が、樹脂層に形成されており、樹脂はセラミックやガラス等の硬質基材に比べて柔らかいため、溝に、凹凸や膨れ等の変形が発生しても、光ファイバに損傷や変形が発生するおそれが少なく、この変形に起因する接続損失の増加を防止することができる。
また、樹脂層の場合には、溝を一括して形成することが容易であるため、溝同士で形状のバラツキが無くなるとともに、相対的な位置ズレもなくなる。
また、本発明の光ファイバアレイは、多くの部分が樹脂で形成されているため、従来のセラミック等からなる光ファイバアレイに比べて、安価に製造することができる。
【0022】
また、本発明の光ファイバアレイでは、高さの異なるクラッド支持面と光ファイバ支持面とからなる基板の上記クラッド支持面上に上記樹脂層が形成されているため、上記クラッド支持面が上記光ファイバ支持面よりも高くなるようにし、さらに、その高さの差を、光ファイバの被覆樹脂の厚さと同じにすることで、上記樹脂層に形成された溝に光ファイバ(クラッド部分)を収納するとともに、上記光ファイバ支持面に、被覆樹脂が形成された光ファイバを載置することができ、光ファイバの上記クラッド部分と、上記被覆樹脂が形成された部分とは、それぞれの支持面から浮き上がることがなく、完全に接触した状態で収納(載置)することができる。
【0023】
また、本発明の光ファイバアレイにおいて、基板は、その上面が上記クラッド支持面であるクラッド支持基板と、その上面が光ファイバ支持面であり、上記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板とから構成され、上記クラッド支持面上には、上記樹脂層が形成されるとともに、上記溝の底面に露出するガイドが形成され、上記光ファイバ支持基板は、上記光ファイバ支持面が上記クラッド支持面よりも低くなるように、上記クラッド支持基板の上記ガイドと直交する側面に接着されていることが望ましい。
上記光ファイバ支持基板の上面を光ファイバ支持面とすることができるため、切削加工で上記光ファイバ支持面を形成する必要がなく、上記光ファイバ支持面の平面度を低く抑えることができるとともに、上記光ファイバ支持面を上記クラッド支持面に対して容易に平行とすることができるため、上記光ファイバ支持面の凹凸やクラッド支持面に対する光ファイバ支持面の傾きに起因する光ファイバの相対的な位置ズレや変形等の発生を確実に防止することができる。
なお、以下の説明において、このような光ファイバアレイを「第一の本発明に係る光ファイバアレイ」ということとする。
【0024】
また、本発明の光ファイバアレイにおいて、基板は、その上面が上記クラッド支持面であるクラッド支持基板と、その上面が光ファイバ支持面であり、上記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板とから構成され、上記クラッド支持面上には、上記樹脂層が形成されるとともに、上記溝の底面に露出するガイドが形成され、さらに、上記クラッド支持基板の上記ガイドと直交する側面の下部に、上記光ファイバ支持基板に嵌合する切り欠きが形成されており、上記切り欠きに、上記光ファイバ支持基板が嵌合、接着されていることが望ましい。
上記第一の本発明に係る光ファイバアレイと同様の効果を得ることができることに加えて、上記クラッド支持基板と上記光ファイバ支持基板との接触面積が大きくなるため、両者の接着強度が優れたものとなり、その結果、光ファイバアレイの強度も優れたものとなる。
なお、以下の説明において、このような光ファイバアレイを「第二の本発明に係る光ファイバアレイ」ということとする。
【0025】
以下、本発明の光ファイバアレイとして、上記第一の本発明に係る光ファイバアレイと、第二の本発明に係る光ファイバアレイとを例に、図面を参照しながら説明する。
なお、本発明の光ファイバアレイの基板は、上記第一の本発明に係る光ファイバアレイや第二の本発明に係る光ファイバアレイのように、クラッド支持基板および光ファイバ支持基板の2つの支持基板からなる構造に限定されることはなく、上記基板は、上記クラッド支持基板と光ファイバ支持基板とが一体的に構成されたような構造であってもよい。
【0026】
まず、第一の本発明に係る光ファイバアレイについて説明する。
図1は、第一の本発明に係る光ファイバアレイの一実施形態を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1に示す光ファイバアレイの一部を拡大した部分拡大斜視図である。また、図3(a)は、図1に示す光ファイバアレイに使用する基板の分解斜視図であり、(b)は、図1に示す基板の斜視図である。
【0027】
図1に示すように、光ファイバアレイ10を構成する基板100は、板状のクラッド支持基板11と、クラッド支持基板11よりも薄い板状の光ファイバ支持基板110とからなり、クラッド支持基板11上(クラッド支持面11a)には樹脂層12を備え、この樹脂層12には、光ファイバ15を収納するための溝13が形成されており、周囲の被覆樹脂16を剥離した光ファイバ15が溝13に並列に収納されている。
【0028】
図2に示すように、溝13は、その壁面がクラッド支持面11aと略直角をなすように形成されており、溝13の断面の大きさは、光ファイバ15が両壁面と底面とに内接する大きさである。さらに、溝13の底面には、ガイド14が露出しており、光ファイバ15を収納した際、ガイド14の上部に光ファイバ15が載置されるようになっている。
なお、上述した通り、このガイド14に載置される光ファイバ15は、周囲の被覆樹脂16を剥離し、その中心付近にコア17を有するクラッド部分である。
【0029】
また、基板100は、板状のクラッド支持基板11と、クラッド支持基板11よりも薄い板状の光ファイバ支持基板110とから構成されており、図3(a)に示すように、クラッド支持基板11は、クラッド支持面11aに、複数の溝状のガイド14が平行に形成されている。
図3(b)に示すように、光ファイバ支持基板110は、その上面(光ファイバ支持面110a)が、クラッド支持面11aよりも低くなるように、クラッド支持基板11のガイド14と直交する側面11bに接着されている。
【0030】
また、図示はしないが、光ファイバアレイ10の溝13は、その底面の幅が狭くなるように、壁面が傾斜して形成されていてもよい。
このような形状の溝を形成した場合、溝の占める割合が少なくなり、樹脂層の強度を充分に確保することができる。
【0031】
また、光ファイバアレイの溝は、曲面により形成されていてもよい。具体的には、溝の断面の形状は、略円弧状であったり、U字状であってもよい。
このような形状の溝を形成した場合、光ファイバを面接触で収納することができるため、光ファイバをより確実に所定の位置に固定することができる。
なお、本明細書において、U字状とは、平行線と半円とを組み合わせた形状のみならず、下に向かって幅が狭くなる2本の線と円弧とを組み合わせた形状も含むものとする。
【0032】
また、溝13の深さは、光ファイバ15の直径の1/2〜3/2であることが望ましい。
上記深さが1/2未満では、光ファイバを収納後、該光ファイバが位置ズレを起こすおそれがあり、3/2を超えると、光ファイバを所定の位置に収納するという点では問題はないものの、光ファイバの直径によっては、精度よく、低コストで溝を一括形成することが困難になるからである。より望ましい深さは、10/10〜11/10である。
【0033】
なお、通常、光通信に使用される光ファイバの直径を考慮すると、溝13の深さは、50〜400μmであることが望ましい。
50μm未満では、収納する光ファイバの直径にもよるが、位置ズレが発生しやすく、400μmを超えると、光ファイバを所定の位置に収納するという点では問題はないものの、精度よく、低コストで溝を一括形成することが困難になるからである。より望ましくは、60〜250μmである。
具体的には、径が125μmの光ファイバを用いる場合には、溝の深さは、62.5〜187.5μmであることが望ましい。
【0034】
また、溝13の幅は特に限定されないが、100〜400μmが望ましく、150〜250μmがより望ましい。溝13の幅が100μm未満では、光ファイバ15を収納することができないことがあり、一方、幅が400μmを超える溝13は、径が400μmを超える光ファイバを用いることがほとんどないため、余り形成する必要がない。ただし、径が400μmを超える光ファイバを用いる場合には、幅が400μmを超える溝を形成してもよい。
【0035】
また、第一の本発明に係る光ファイバアレイにおいて、溝の光ファイバ非収納部の少なくとも一部に接着剤層が形成されている場合には、溝の幅は光ファイバの直径より大きくてもよい。接着剤層により光ファイバが固定されるからである。なお、第一の本発明に係る光ファイバアレイにおいては、上記溝の幅が光ファイバの直径よりも大きく、溝の光ファイバ非収納部の一部に接着剤層が形成されていることが望ましい。このような形態の光ファイバアレイにおいて、上記溝の底面にガイドを形成する効果が顕著に得られるからである。なお、上記溝の底面にガイドを形成する効果については後述する。
【0036】
また、樹脂層12は、2層以上で構成されていてもよい。樹脂層12を2層以上で構成することが、所望の形状の溝を形成するのに適していることがあるからである。これについては、第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法を説明する際に詳述する。
また、樹脂層12の構成を2層とし、下層に基板との密着性により優れる樹脂層を形成し、上層に形状保持性により優れる樹脂層を形成することにより、より高品質な光ファイバアレイとなる。
【0037】
また、第一の本発明に係る光ファイバアレイにおいては、光ファイバ支持面110a上にも樹脂層が形成されていてもよく、この場合、上記樹脂層は、光ファイバ支持面110aの側方外縁部にのみ形成されていることが望ましい。このような形状の樹脂層を光ファイバ支持面110a上に形成した場合、光ファイバ支持面110a上に、被覆樹脂で周囲が被覆されたままの光ファイバを収納することができることに加え、光ファイバ15の保持、安定性が向上し、光ファイバの位置ズレ等がより発生しにくくなる。
【0038】
また、クラッド支持基板基板11と樹脂層12との間には、両者の密着性を確保するため、接着剤層(図示せず)を形成してもよい。
なお、接着剤層を形成するか、否かは、基板と樹脂層との組み合わせ等を考慮して適宜選択すればよい。
【0039】
また、第一の本発明に係る光ファイバアレイにおいては、光ファイバ非収納部の少なくとも一部に接着剤層が形成されていることが望ましい。光ファイバが所定の位置により確実に固定されることとなるからである。
なお、接着剤層を形成するか、否かは、光ファイバや溝の形状、光ファイバの直径と溝の幅との組み合わせ等を考慮して適宜選択すればよい。
【0040】
また、第一の本発明に係る光ファイバアレイにおいては、上記樹脂層上に、上記光ファイバを覆う蓋部が形成されていることが望ましい。
蓋部を形成することにより、光ファイバをより確実に固定することができるとともに、光ファイバアレイが外部からの衝撃、特に、その上方から衝撃を受けた場合でも、光ファイバの位置ズレがより発生しにくいからである。
【0041】
また、上記蓋部と上記樹脂層との間にも、両者の密着性を確保するとともに、光ファイバを確実に固定するため、接着剤層を形成してもよい。
なお、接着剤層を形成するか、否かは、蓋部と樹脂層との組み合わせや、両者の形状等を考慮して適宜選択すればよい。
また、上記蓋部と上記光ファイバとの間に接着剤層を形成してもよい。
【0042】
次に、第一の本発明に係る光ファイバアレイを構成するそれぞれの部材について、順次、詳細に説明する。
第一の本発明に係る光ファイバアレイを構成する基板は、クラッド支持基板と光ファイバ支持基板とから構成され、これらの材質としては、例えば、セラミック、窒化アルミニウム、ムライト、ジルコニア、炭化ケイ素、アルミナ、シリコン、石英、ガラス等の無機材料;銅、鉄、ニッケル等の金属材料;熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、これらの複合体等の有機材料やこれらの有機材料にガラス繊維等の補強材を含浸させたもの等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂等の有機材料の具体例としては、後述する樹脂層において説明するものと同様のものを挙げることができる。なお、上記熱硬化性樹脂としては、従来公知のプリント配線板の基板や絶縁層に使用される熱硬化性樹脂等を用いることもできる。
【0043】
上記クラッド支持基板の形状は特に限定されないが、通常、板状であり、その大きさは、光ファイバアレイの大きさに合わせて適宜選択すればよい。
【0044】
また、このクラッド支持基板の上面(クラッド支持面)には、溝状のガイドが複数本平行に形成されており、その数は、収納する光ファイバと同数である。
上記ガイドは、その上部に光ファイバを載置するために形成されており、光ファイバが左右方向にズレることを防止する役割を果たしている。従って、クラッド支持面の一端部から他端部に向かって平行に形成されている。
また、上記ガイドを形成する間隔は、載置する光ファイバの直径および製造する光ファイバアレイの大きさに合わせて適宜調整される。なお、上記光ファイバの直径とは、周囲の被覆樹脂を剥離したクラッド部分の直径である。
【0045】
上記ガイドの断面の形状は特に限定されることはなく、例えば、矩形状、逆三角形状、倒立台形状等任意の形状が挙げられ、その上部に光ファイバを載置した際、光ファイバの左右方向のズレを防止することができる形状であればよい。
このようなガイドの断面の大きさは特に限定されないが、通常、クラッド支持面における幅が10〜30μm、その深さが3〜10μmであることが望ましい。その上部に載置する光ファイバの左右方向のズレを防止することができるとともに、収納する光ファイバの位置を正確に制御することができる範囲だからである。
また、このようなガイドは、クラッド支持面上に溝を有する樹脂層が形成された際、上記溝の底面の中央部分に露出するように形成されていることが望ましい。光ファイバをその上部に確実に載置し、左右方向のズレを防止するためである。
【0046】
また、上記クラッド支持面の樹脂層と当接する部分には、粗化処理やスマット処理が施されていたり、コーティング材層が形成されていたりしてもよい。樹脂層との密着性の向上を図ることができるからである。
【0047】
上記光ファイバ支持基板の形状は特に限定されないが、通常、板状であり、その大きさは、光ファイバアレイの大きさに合わせて適宜選択すればよく、また、その厚さは、上記クラッド支持基板よりも薄い。
【0048】
また、光ファイバ支持基板とクラッド支持基板の厚さの差は、上記光ファイバの周囲に形成された被覆樹脂の厚さと同様であることが望ましい。
光ファイバ支持基板とクラッド支持基板との厚さの差をこのように調整すると、これらの支持基板を接着する際、その底面を同一平面とすることができ、これらの接着が容易になるからである。
この場合、上記クラッド支持面に、被覆樹脂が剥離されたクラッド部分を載置し、光ファイバ支持基板の上面(光ファイバ支持面)に、その周囲に被覆樹脂が形成された光ファイバを載置すると、光ファイバの上記クラッド部分および上記被覆樹脂部分は、それぞれの支持面から浮き上がることがなく、完全に接触した状態で載置することができる。
【0049】
このような光ファイバ支持基板は、上記クラッド支持基板の上記ガイドと直交する側面に接着されている。
ここで、光ファイバ支持基板は、光ファイバ支持面がクラッド支持面に対して平行となるように接着される。光ファイバアレイを製造した際、光ファイバの相対的な位置ズレ、および、光ファイバに変形、断線、亀裂等の発生を防止するためである。
なお、上記光ファイバ支持基板とクラッド支持基板との接着には、例えば、熱硬化性樹脂等の接着剤を用いることができる。
【0050】
上記光ファイバアレイを構成する樹脂層の材質としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光化された樹脂、および、感光性樹脂のうちの少なくとも一種を含む樹脂組成物等が挙げられる。
【0051】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変成した脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0052】
また、ポリイミド樹脂の具体例としては、例えば、下記化学式(1)〜(4)に示すポリイミド等が挙げられる。
【0053】
【化1】
Figure 0004785304
【0054】
(式中、nは、1〜5の整数を表す。)
【0055】
【化2】
Figure 0004785304
【0056】
(式中、mは、1〜5の整数を表す。)
【0057】
【化3】
Figure 0004785304
【0058】
(式中、lは、1〜5の整数を表す。)
【0059】
【化4】
Figure 0004785304
【0060】
(式中、pは、1〜5の整数を表す。)
【0061】
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
【0062】
また、上記シクロオレフィン系樹脂としては、例えば、2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンまたはこれらの誘導体からなる単量体の単独重合体または共重合体等が挙げられ、上記誘導体としては、上記2−ノルボルネン等のシクロオレフィンに、架橋を形成するためのアミノ基や無水マレイン酸残基またはマレイン酸変成したもの等が挙げられる。
また、上記共重合体を合成する場合の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
【0063】
また、上記感光化された熱硬化性樹脂としては、例えば、上記した熱硬化性樹脂に感光性を付与したもの等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂に感光性を付与する方法としては、例えば、熱硬化性樹脂の熱硬化基(例えば、エポキシ樹脂におけるエポキシ基)にメタクリル酸やアクリル酸等を反応させ、アクリル基を付与する方法等を用いることができる。
また、上記感光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0064】
また、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルホン(PPS)ポリフェニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリエーテルイミド(PI)等が挙げられる。
【0065】
また、樹脂層を形成するための樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および感光性樹脂のうちの2種以上を含んでいてもよく、その組み合わせとしては、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との組み合わせや、感光性樹脂(以下、感光化された熱硬化性樹脂も含む)と熱可塑性樹脂との組み合わせが望ましい。
【0066】
上記熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との組み合わせとしては、例えば、フェノール樹脂とポリエーテルスルフォン、ポリイミド樹脂とポリスルフォン、エポキシ樹脂とポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂とフェノキシ樹脂等の組み合わせが挙げられる。
また、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを組み合わせる場合の混合割合は、熱硬化性樹脂/熱可塑性樹脂=95/5〜50/50(重量比)が望ましい。
この範囲であれば、靱性値が高く、外部から衝撃を受けた場合に変形しにくいからである。
【0067】
感光性樹脂と熱可塑性樹脂との組み合わせとしては、例えば、エポキシ基の少なくとも一部をアクリル化したエポキシ樹脂とポリエーテルスルフォン、アクリル樹脂とフェノキシ樹脂等の組み合わせが挙げられる。
また、感光性樹脂と熱可塑性樹脂とを組み合わせる場合の混合割合は、感光性樹脂/熱可塑性樹脂=95/5〜50/50(重量比)が望ましい。
この範囲であれば、靱性値が高く、外部から衝撃を受けた場合に変形しにくいからである。
【0068】
また、樹脂層が2層以上からなる場合に用いる樹脂組成物の組み合わせとしては特に限定されないが、例えば、下層の樹脂層に感光性樹脂/熱可塑性樹脂=50/50の樹脂組成物を用い、上層の樹脂層に感光性樹脂/熱可塑性樹脂=90/10の樹脂組成物を用いる組み合わせ等が挙げられる。
このような組み合わせにした場合、下層の樹脂層は、感光性樹脂の配合量を少なくしているため、基板と樹脂層とを確実に密着させることができるとともに、露光、現像処理によりその壁面が曲面である溝を形成するのに適しており、一方、上層の樹脂層は、感光性樹脂の配合量を多くしているため、露光、現像処理により確実に溝を形成することができる。
なお、溝を形成する具体的な方法については、後に詳述する。
【0069】
このような光ファイバアレイの樹脂層を形成する際に用いる樹脂組成物は、上記した樹脂成分以外に、必要に応じて、例えば、硬化剤、溶剤等を含んでいてもよい。
【0070】
さらに、上記樹脂組成物には粒子が含有されていてもよい。含有させる粒子の配合量を調整することで、上記樹脂組成物の粘度を調整したり、樹脂組成物を塗布して形成した膜の形状保持性を向上させることができる。
また、上記粒子の配合量を調整することで、形成する樹脂層は、その熱膨張係数を基板等と整合させることができ、これらの間の熱膨張係数の差に起因するクラックの発生を抑制することができる。さらに、上記粒子が外部からの衝撃に対する緩衝剤の役割を果たすため、樹脂層にクラック等が発生しにくくなり、その結果、光ファイバに損傷や変形等が発生しにくくなる。
また、含有させる粒子の種類によっては、製造する光ファイバアレイを任意の色に着色することができるとともに、光ファイバアレイの難燃性の向上を図ることもできる。
【0071】
上記粒子は、樹脂粒子、無機粒子、および、金属粒子のうちの少なくとも一種であることが望ましい。
上記樹脂粒子は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光化された樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体、および、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体のうちの少なくとも一種からなるものが望ましい。
【0072】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変成した脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0073】
また、ポリイミド樹脂としては、例えば、上記化学式(1)〜(4)に示すポリイミド等が挙げられる。
【0074】
上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロオレフィン系樹脂、これらの樹脂の共重合体等が挙げられる。
【0075】
また、上記シクロオレフィン系樹脂としては、例えば、2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンまたはこれらの誘導体からなる単量体の単独重合体または共重合体等が挙げられ、上記誘導体としては、上記2−ノルボルネン等のシクロオレフィンに、架橋を形成するためのアミノ基や無水マレイン酸残基またはマレイン酸変成したもの等が挙げられる。
また、上記共重合体を合成する場合の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
【0076】
また、上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルホン(PPS)ポリフェニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリエーテルイミド(PI)等が挙げられる。
【0077】
上記感光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂等が挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂の一部が感光化された樹脂としては、例えば、上記した熱硬化性樹脂に感光性を付与したもの等が挙げられる。具体的には、例えば、熱硬化性樹脂の熱硬化基(例えば、エポキシ樹脂におけるエポキシ基)にメタクリル酸やアクリル酸等を反応させ、アクリル基を付与した樹脂等を用いることができる。
【0078】
上記熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体としては、例えば、上記熱硬化性樹脂と上記熱可塑性樹脂とをそれぞれ少なくとも一種ずつ含む樹脂等が挙げられる。
【0079】
上記感光性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体としては、例えば、上記感光性樹脂や上記熱硬化性樹脂の一部が感光化された樹脂と、上記熱可塑性樹脂とをそれぞれ少なくとも一種ずつ含む樹脂等が挙げられる。
【0080】
また、上記樹脂粒子としては、ゴムからなる樹脂粒子を用いることもできる。
上記ゴムとしては、例えば、ポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等が挙げられる。
【0081】
上記無機粒子は、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、および、ケイ素化合物のうちの少なくとも一種からなるものが望ましい。
【0082】
上記アルミニウム化合物としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物としては、例えば、炭酸カリウム等が挙げられ、上記マグネシウム化合物としては、例えば、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム等が挙げられ、上記ケイ素化合物としては、例えば、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0083】
また、上記無機粒子としては、リンおよび/またはリン化合物からなるものを用いることもできる。これらを用いた場合には、樹脂層の難燃性をより向上させることができる。
上記リンとしては特に限定されず、例えば、赤リン、黄リン、紫リン、紅リン等が挙げられる。これらのなかでは、少量の配合で樹脂層に難燃性を付与することができ、また、安定性が高く、作業時の安全性にすぐれる点から赤リンが望ましい。
【0084】
上記リン化合物としては特に限定されず、例えば、三酸化二リン、五酸化二リン等の酸化リン、リン化鉄、リン化銅、リン化チタン、リン化ニッケル、リン化マンガン等のリン化金属が挙げられる。
これらのリンやリン化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、これらのリンやリン化合物からなる粒子は、安定性を高めるためにフェノール樹脂等の樹脂や水酸化アルミニウム等の無機化合物等により被覆されていてもよい。
【0085】
このようなリンやリン化合物からなる粒子の市販品としては、例えば、燐化学工業社製のノーバエクセル F5、日本化学工業社製のヒシガードCP、ヒシガードTP、ヒシガードEP−15、ヒシガードマスター等が挙げられる。
【0086】
これらのリンやリン化合物を含有する樹脂層は、上述した効果、即ち、優れた耐クラック性や硬度を有するとともに難燃性を有するものとなる。
従って、該樹脂層の形成された光ファイバアレイは、UL試験規格におけるUL94(高分子材料の難燃性試験)の判定基準をクリアするものとなり、そのなかでも、94V−0の判定基準をクリアするものとなる。
【0087】
上記金属粒子としては、例えば、Au、Ag、Cu、Pd、Ni、Pt、Fe、Zn、Pb、Al、Mg、および、Ca等からなるものが挙げられ、これらのなかでは、Au、Ag、Cu、Pd、Ni、および、Ptからなるものが望ましい。また、これらの金属粒子は、樹脂層の絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆されていてもよい。
【0088】
また、上記粒子の形状は、球状、楕円球状、破砕状、および、多面体状のうちの少なくとも一の形状であることが望ましい。これらのなかでは、クラックが発生しにくく、熱や熱衝撃によって樹脂層に応力が発生しても、その応力が緩和されやすい点から、球状がより望ましい。
【0089】
上記粒子の配合量は、10〜80重量%が望ましく、20〜70重量%がより望ましい。粒子の配合量が10重量%未満であると、光ファイバアレイを過酷な環境下(高温環境下等)で使用した場合に、樹脂層にクラックが発生したり、樹脂層の硬度が充分でなく、光ファイバアレイの耐久性に劣ることがある。一方、粒子の配合量が80重量%を超えると、樹脂層の硬度は充分に高いものの、脆く、光ファイバアレイの品質として劣るものとなることがあり、加えて、露光・現像処理により樹脂層に溝を形成する場合に、樹脂層(樹脂組成物)が充分に露光されず、設計通りの溝を形成することができないことがある。
【0090】
また、上記基板と上記樹脂層との間や上記溝の光ファイバ非収納部の少なくとも一部に接着剤層を設ける場合、該接着剤層としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光化された樹脂、および、感光性樹脂等からなるものが挙げられる。
具体的には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂等を用いることができる。
【0091】
また、上記接着剤層を形成する際に用いる接着剤は、上記した樹脂成分に加えて、上述したような無機粒子、樹脂粒子、および、金属粒子等を含んでいてもよい。熱膨張係数の整合や難燃性の向上を図ることができるからである。
また、上記接着剤は、硬化剤、反応安定剤、光重合剤、溶剤等を含んでいてもよい。接着剤の流動性の向上等を図ることができるからである。
【0092】
また、上記光ファイバアレイに蓋部を形成する場合、該蓋部の材質としては、窒化アルミニウム、ムライト、ジルコニア、炭化ケイ素、アルミナ、シリコン、石英、ガラス等の無機材料;銅、鉄、ニッケル等の金属材料;熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、これらの複合体等の有機材料やこれらの有機材料にガラス繊維等の補強材を含浸させたもの等が挙げられる。
【0093】
また、上記樹脂層と上記蓋部とは同じ材料からなるものであってもよい。樹脂層と蓋部との密着性がより優れたものとなるとともに、両者の熱膨張係数の差等に起因した不都合が発生しなくなるからである。
また、上記蓋部の材料が無機材料(硬質材料)である場合には、外部からの衝撃に対してより変形等が発生しにくい。
また、上記蓋部と上記樹脂層との間や、上記蓋部と上記光ファイバとの間(上記光ファイバ非収納部の一部)に接着剤層を設ける場合、該接着剤層としては、例えば、上記した基板と樹脂層との間に形成する接着剤層と同様のもの等が挙げられる。
【0094】
このような構成からなる第一の本発明に係る光ファイバアレイは、例えば、以下に記載する第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法により製造することができる。
【0095】
次に、第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法について説明する。
第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、少なくとも下記(A)〜(E)の工程を含むことを特徴とする。
(A)クラッド支持基板の上面に、複数のガイドを形成するガイド形成工程、
(B)上記クラッド支持基板の上記ガイドと直交する側面に、その上面が上記クラッド支持基板の上面よりも低くなるように、上記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板を接着する支持基板接着工程、
(C)上記クラッド支持基板の上面に樹脂層を形成する樹脂層形成工程、
(D)上記樹脂層に、その底面にガイドが露出するように溝を形成する溝形成工程、および、
(E)上記溝に光ファイバを収納する光ファイバ収納工程。
【0096】
第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法では、光ファイバを収納するための溝を樹脂層に形成するため、高い精度で溝を形成することができる。
特に、上記溝を一括形成した場合には、溝ごとのバラツキがなくなり、溝の基板に対する位置が若干ズレても、溝同士の相対的な位置はズレないため、許容誤差が大きくなり、その結果、歩留りが向上する。
従って、第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法では、安価で高品質な光ファイバアレイを製造することができる。
【0097】
また、第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法では、クラッド支持基板とクラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板とを用いて基板を作製する。
即ち、光ファイバ支持基板の上面を光ファイバ支持面とすることができ、切削加工で上記光ファイバ支持面を形成する必要がないため、上記光ファイバ支持面の平面度をかなり低く抑えることができ、加えて、光ファイバ支持基板をクラッド支持基板に接着することにより上記基板を作製するのであるが、その際、接着する角度を調整することで、容易に光ファイバ支持面をクラッド支持基板の上面(クラッド支持面)に対して平行にすることができるため、製造した光ファイバアレイにおいて、光ファイバ支持面の凹凸やクラッド支持面に対する傾きに起因する光ファイバの相対的な位置ズレや変形、破損等が発生することを防止することができる。
また、第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、上記基板を作製する際、光ファイバを載置するためのガイドを上記クラッド支持面にのみ形成すればよく、当然、一旦形成したガイドを含む部分を切削して光ファイバ支持面を形成する工程が不要であるので、加工時間を短縮することができ、生産性に優れ、低コストで光ファイバアレイを製造することができる。
【0098】
以下、第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法について、工程順に説明する。
【0099】
(1)第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法においては、まず、上記したセラミックや金属、樹脂等からなるクラッド支持基板および光ファイバ支持基板を作製する。
上記第一の本発明に係る光ファイバアレイにおいて説明した通り、通常、これらの支持基板は板状であり、光ファイバ支持基板は、クラッド支持基板よりも薄くなるように作製する。また、上記クラッド支持基板と光ファイバ支持基板との高さの差は、光ファイバの周囲を被覆する被覆樹脂の厚さと同様となるように調整することが望ましい。
また、所定のサイズおよび形状に形成したこれらの支持基板の上面は、研磨加工を施すことが望ましい。後工程でこれらの面に光ファイバを載置した際、光ファイバの位置ズレ、破損等を防止するためである。
【0100】
(2)次に、上記(A)の工程、即ち、クラッド支持基板の上面(クラッド支持面)に、複数のガイドを形成するガイド形成工程を行う。
【0101】
上記(A)の工程では、セラミック、金属、および、樹脂等の硬質材料を切削することができる切削部材を用いて、上記クラッド支持面に、複数の溝状のガイドを形成する。上記切削部材としては、例えば、ダイヤモンドカッター等が挙げられる。
【0102】
(3)次に、上記(B)の工程、即ち、クラッド支持基板のガイドと直交する側面に、その上面がクラッド支持基板の上面よりも低くなるように、クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板を接着する支持基板接着工程を行う。
【0103】
この工程では、上記(A)の工程で形成したガイドと直交する上記クラッド支持基板の一方の側面と、その側面全体に接着剤を塗布した上記光ファイバ支持基板とを、光ファイバ支持面とクラッド支持面との高さの差が、光ファイバの周囲を被覆する被覆樹脂の厚さと同様になるように接着する。また、光ファイバ支持面はクラッド支持面に対して平行となるように接着する。
上記接着剤としては、例えば、熱硬化性樹脂等を用いることができる。
なお、この(B)の工程は、後述する(E)の工程の前に行うこともできる。
【0104】
(4)次に、上記(C)の工程、即ち、上記クラッド支持基板の上面に樹脂層を形成する樹脂層形成工程を行う。
【0105】
上記(C)の工程では、上記した樹脂組成物をクラッド支持基板上に塗布したり、上記樹脂組成物からなる樹脂フィルムをクラッド支持基板上に圧着したりすることにより、樹脂層を形成する。
【0106】
樹脂組成物を塗布する場合には、予め粘度を調整した樹脂組成物の溶液をカーテンコーター、ロールコーター、印刷等の方法を用いて塗布し、その後、乾燥処理を施すことにより樹脂層を形成すればよく、樹脂フィルムを圧着する場合には、予め半硬化させてBステージ状態にしておいた熱硬化性樹脂(熱硬化性を有する感光性樹脂を含む)を含む樹脂組成物を圧着したり、予め板状に成形しておいた熱可塑性樹脂(熱可塑性を有する感光性樹脂を含む)を含む樹脂組成物を圧着したりすればよい。なお、圧着時には、必要に応じて、加熱処理を併用してもよい。
【0107】
なお、この工程で形成する樹脂層は、完全に硬化していてもよいし、半硬化状態であってもよい。
具体的には、後工程で、露光・現像処理を用いて溝を形成する場合には、半硬化状態であることが望ましく、レーザ処理を用いて溝を形成する場合には、完全に硬化した状態であってもよいし、半硬化状態であってもよい。
また、露光・現像処理を用いて溝を形成するため、半硬化状態にする場合には、表層部にスキン層が形成される程度に硬化(半硬化)させることが望ましい。
なお、スキン層とは、露光時に表層部が最初に急激に硬化するため表層部に形成される硬い層のことである。
【0108】
また、この工程では、光ファイバ支持面上にも樹脂層を形成してもよい。
この場合、光ファイバ支持面上に形成する樹脂層は、上記光ファイバ支持面の側方外縁にのみ形成することが望ましい。その周囲に被覆樹脂が形成されたまま光ファイバを光ファイバ支持面上に収納することができ、光ファイバの位置ズレがより発生しにくくなるからである。
なお、この光ファイバ支持面上に形成する樹脂層は、上記光ファイバ支持面の全体に形成してもよい。この場合、後の溝形成工程でクラッド支持基板上に設けた樹脂層に溝を形成するとともに、光ファイバ支持面上の樹脂層が、光ファイバ支持面の側方外縁にのみ形成された形状となるように、上記光ファイバ支持面上の樹脂層に溝状の光ファイバ収納部を形成すればよい。
【0109】
(5)次に、上記(D)の工程、即ち、上記樹脂層に、その底面にガイドが露出するように溝を形成する溝形成工程を行う。
この工程は、上記(C)の工程で感光性樹脂を含む樹脂組成物を用いて樹脂層を形成した場合には、露光・現像処理を施すことにより行うことが望ましい。従って、この場合、上記(C)の工程では、半硬化状態の樹脂層を形成しておく。
具体的には、樹脂層上に、形成する溝に対応したパターンが描画されたマスクを載置した後、露光処理を施す。
また、マスクにパターンを描画する方法としては、例えば、ネガ型の感光性樹脂を対象にしたマスクでは、リフトオフ法等を用いることができ、ポジ型の感光性樹脂を対象にしたマスクでは、エッチング処理等を用いることができる。
【0110】
さらに、現像液を用いて、現像処理を施すことにより、樹脂層に、その底面にガイドが露出するように溝を一括形成する。
また、露光処理後には、必要に応じて、加熱処理等を用い、樹脂層を完全に硬化させる。
樹脂層が完全に硬化していないと、光ファイバを収納した際に、光ファイバの位置ズレが発生することがあるからである。
【0111】
上記現像液としては特に限定されず、酸溶液、アルカリ溶液、有機溶剤等の通常用いられる現像液を、樹脂層の種類に応じて使いわければよい。
また、上記現像処理は、例えば、樹脂層が形成された基板を現像液中に浸漬したり、樹脂層に現像液をスプレーしたりすることにより行うことができる。
【0112】
なお、露光・現像処理を行う際の詳細な条件、即ち、露光量や現像液の種類等については特に限定されず、樹脂組成物の組成や、形成する樹脂層の厚さ、溝の形状等を考慮して適宜選択すればよい。
【0113】
また、上記樹脂層を2層以上からなる構成にした場合には、上記(C)の工程(樹脂層形成工程)と、この(D)の工程(溝形成工程)とを繰り返し行えばよい。
このような、樹脂層形成工程と溝形成工程とを繰り返し行う方法は、その底面の幅が狭くなるように、壁面が傾斜して形成されている溝や、曲面により形成されている溝を形成する方法として適している。
【0114】
この場合、下層の樹脂層を形成する際に用いる樹脂組成物の組成と、上層の樹脂層を形成する際に用いる樹脂組成物の組成とを変えることにより、より好適にその底面の幅が狭くなるように、壁面が傾斜して形成されている溝や、曲面により形成されている溝を形成することができる。
具体的には、例えば、下層の樹脂層を感光性樹脂の含有量が少ない樹脂組成物(例えば、感光性樹脂/熱可塑性樹脂=50/50)を用いて形成し、上層の樹脂層を感光性樹脂の含有量が多い樹脂組成物(例えば、感光性樹脂/熱可塑性樹脂=90/10)を用いて形成することにより、曲面により形成されている溝を形成することができる。
【0115】
また、上記露光・現像処理に代えて、レーザ処理を施すことによっても樹脂層に溝を形成することができる。
レーザ処理を施す場合には、樹脂層を形成するために用いる樹脂組成物の種類を問わず溝を形成することができる。
上記レーザ処理に用いるレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ、UVレーザ、YAGレーザ等が挙げられる。
これらのレーザは、形成する溝の形状や樹脂組成物の組成等を考慮して使い分ければよい。
【0116】
溝を形成する際に、マスクを介してホログラム方式のエキシマレーザによるレーザ光を照射することにより、上記溝を一括形成することができる。
また、短パルスの炭酸ガスレーザを用いた場合には、上記樹脂層に、よりダメージを与えることなく溝を形成することができる。
【0117】
また、光学系レンズとマスクとを介してレーザ光を照射した場合にも、上記溝を一括形成することができる。
光学系レンズとマスクとを介することにより、同一強度で、かつ、照射角度が同一のレーザ光を上記樹脂層全体に照射することができるからである。
なお、このようなレーザ処理は、半硬化状態の樹脂層に対して行っても良いし、樹脂層を完全に硬化させた後、行ってもよい。
【0118】
また、レーザ処理により溝を形成した場合、特に、炭酸ガスレーザを用いて溝を形成した場合には、レーザ処理終了後、デスミア処理を施すことが望ましい。
上記デスミア処理は、例えば、クロム酸や過マンガン酸塩等の水溶液からなる酸化剤を用いて行うことができる。また、酸素プラズマ、CFと酸素との混合プラズマやコロナ放電等で処理してもよい。
【0119】
また、上記(C)の工程で、光ファイバ支持面の全体に樹脂層を形成した場合、この工程で、上記溝を形成するとともに、光ファイバ支持面上の樹脂層に光ファイバを被覆樹脂ごと収納するための溝状の光ファイバ収納部を形成し、上記光ファイバ支持面上の樹脂層が、光ファイバ支持面の側方外縁部にのみ形成されるようにする。
上記光ファイバ収納部もまた、露光・現像処理やレーザ処理により形成することができる。
【0120】
(6)次に、上記(E)の工程、即ち、上記樹脂層に形成した溝に、光ファイバを収納する光ファイバ収納工程を行う。
この工程では、整列器を用い、樹脂層に形成した溝に対応する位置に光ファイバを整列させた後、光ファイバを溝に収納する。
このとき、光ファイバは図1に示すように、端部の被覆樹脂を除去した後、溝に収納することが望ましい。被覆樹脂は柔らかいため変形しやすく、収納時や収納後に変形した場合、これが、光ファイバの位置ズレに繋がるからである。
また、光ファイバは、その端面と上記樹脂層の側面とが同一平面を形成するように整列させて収納してもよいし、光ファイバの端面が、上記樹脂層の側面から一定長さだけ突出するように整列させて収納してもよい。
このような工程を経ることにより、図1に示すような光ファイバアレイを製造することができる。
【0121】
また、上記(E)の工程を経て溝に光ファイバを収納した後には、樹脂層上に、光ファイバを覆う蓋部を形成する蓋部形成工程を行うことが望ましい。
蓋部の形成は、例えば、樹脂層上に樹脂組成物を塗布したり、樹脂層上に樹脂フィルムを圧着したりすることにより行うことができる。
【0122】
具体的には、樹脂組成物を塗布する場合には、予め粘度を調整した樹脂組成物の溶液をカーテンコーター、ロールコーター、印刷等の方法を用いて塗布し、その後、乾燥処理および硬化処理を施すことにより形成することができる。
また、樹脂フィルムを圧着する場合には、予めBステージ状態にしておいた熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物を圧着したり、予め板状に成形しておいた熱可塑性樹脂を圧着し、その後、硬化処理を施すことにより形成することができる。なお、圧着時には、必要に応じて、加熱処理を併用してもよい。
【0123】
また、蓋部の形成は、窒化アルミニウム、ムライト、ジルコニア、炭化ケイ素、アルミナ、シリコン、石英、ガラス等の無機材料;銅、鉄、ニッケル等の金属材料等の硬質材料を用いて行うこともできる。
【0124】
また、この場合には樹脂層と蓋部との間に、接着剤層を形成しておくことが望ましい。完全に硬化した樹脂と硬質材料との間で強い密着性を得ることは難しいからである。
【0125】
また、上記接着剤層の形成は、例えば、樹脂層に光ファイバを収納した後、樹脂層上に未硬化の接着剤を塗布し、ついで、硬質材料からなる蓋部を所定の位置に載置した後、未硬化の接着剤を硬化させる方法や、樹脂層に光ファイバを収納した後、蓋部を所定の位置に載置し、次いで、溝の光ファイバ非収納部(光ファイバと蓋部との間隙)に未硬化の接着剤を流し込んだ後、未硬化の接着剤を硬化させる方法等を用いて行うことができる。
【0126】
また、第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、上記(E)の工程の後に、溝の光ファイバ非収納部の少なくとも一部に未硬化の接着剤を充填する接着剤充填工程と、上記接着剤充填工程で充填した未硬化の接着剤を硬化させ、接着剤層とする接着剤層形成工程とを含むことが望ましく、さらには、上記接着剤層形成工程の後に、上述した蓋部形成工程を含むことが望ましい。
この場合、溝の光ファイバ非収納部に接着剤を充填するため、光ファイバを所定の位置により確実に固定することができる。
【0127】
上記接着剤充填工程では、溝の光ファイバ非収納部の一部、例えば、クラッド支持基板と樹脂層と光ファイバとに囲まれた空隙に未硬化の接着剤を充填する。
具体的には、例えば、光ファイバを収納した溝の側面から未硬化の接着剤を流し込み、溝の光ファイバ非収納部に未硬化の接着剤を充填する。この場合、未硬化の接着剤は、表面張力により溝内に充填されることとなる。
ここで、光ファイバは、上記ガイド上に載置しているため、その左右方向にはズレにくくなってはいるが、未硬化の接着剤を充填する際の剪断応力により、光ファイバの収納位置がズレるおそれがある。そのため、この工程では、上記(E)の工程で用いた整列器で光ファイバを保持したまま、未硬化の接着剤を流し込み、後工程を経て接着剤層を形成した後、整列器を取り外すことが望ましい。
【0128】
次に、上記接着剤層形成工程では、上記接着剤充填工程で充填した未硬化の接着剤を硬化させ、接着剤層とする。
上記未硬化の接着剤を硬化させる条件は、該接着剤の組成等を考慮し、熱処理や光(紫外線)処理等を適宜選択すればよい。
【0129】
また、第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、上記(E)の工程の前に、溝に未硬化の接着剤を充填する接着剤充填工程を含み、上記(E)の工程の後、上記接着剤充填工程で充填した未硬化の接着剤を硬化させ、接着剤層とする接着剤層形成工程を含むことも望ましく、さらには、上記接着剤層形成工程の後に、上述した蓋部形成工程を含むことが望ましい。
【0130】
上記接着剤充填工程では、上記(D)の工程を経て、クラッド支持面に樹脂層および溝を形成した後、クラッド支持基板の溝に未硬化の接着剤を充填する。
この工程で、予め、溝に未硬化の接着剤を充填しておくことにより、後工程で光ファイバを収納し、未硬化の接着剤を硬化して接着剤層を形成した際に光ファイバを樹脂層により確実に固定することができる。
【0131】
また、上記接着剤充填工程を行った後は、上記(E)の工程(光ファイバ収納工程)を行い、ついで、接着剤層形成工程を行う。
なお、ここでは、光ファイバを収納した後、未硬化の接着剤が硬化するまでは、光ファイバの収納位置がズレるおそれがある。そのため、溝に光ファイバを収納した後、未硬化の接着剤が硬化するまでは、整列器で光ファイバを保持した状態にしておくことが望ましい。
【0132】
また、上記接着剤層形成工程では、上記接着剤充填工程で充填しておいた未硬化の接着剤を硬化させて、光ファイバを固定し接着剤層とする。
なお、未硬化の接着剤を硬化させる条件は、該接着剤の組成等を考慮し、熱処理や光(紫外線)処理等を適宜選択すればよい。
【0133】
ここで、上記(E)の工程の後、上記接着剤層形成工程の前に、再度、上述したような接着剤充填工程を行ってもよい。この場合、上記接着剤充填工程において、溝に充填する接着剤の量を少なくし、上記(E)の工程で光ファイバを収納した際、ある程度の隙間が形成されるようにしておき、そして、再度行う接着剤充填工程において、溝の光ファイバ非収納部(上記隙間)に接着剤を完全に充填することが望ましい。光ファイバを樹脂層により確実に固定することができ、光ファイバの位置ズレ等をより確実に防止することができる。
【0134】
また、このようにして光ファイバアレイを形成した後、該光ファイバアレイと導波路、受光素子、発光素子、デバイス等との接続の目安になる凹凸や識別マーク、識別番号、製造番号、製造認識マーク、製品名、会社名、バーコード等の製品認識マークを基板や蓋部等に形成してもよい。
【0135】
このような溝を有する樹脂層が形成された光ファイバアレイでは、該光ファイバアレイに収納した光ファイバを導波路、受光素子、発光素子等の光デバイスに接続することにより、光通信を行うことができ、それにより、インターネット、TV、ゲーム、モバイル等の各種モジュールを作動させることができる。
【0136】
次に、第二の本発明に係る光ファイバアレイについて説明する。
図4(a)は、第二の本発明に係る光ファイバアレイを構成する基板の一例を模式的に示す分解斜視図であり、(b)は、第二の本発明に係る光ファイバアレイを構成する基板の斜視図である。
【0137】
図4(a)に示すように、基板200は、クラッド支持基板21と光ファイバ支持基板210とから構成されている。
クラッド支持基板21は、略板状であり、その上面(クラッド支持面21a)に、複数の溝状のガイド24が平行に形成され、このガイド24と直交する側面21bの下部に、光ファイバ支持基板210に嵌合する切り欠き29が形成されている。
また、図4(b)に示すように、クラッド支持基板21よりも薄い光ファイバ支持基板210は板状であり、その一端部がクラッド支持基板21の切り欠き29に嵌合、接着されている。
【0138】
第二の本発明に係る光ファイバアレイは、基板200(クラッド支持基板21および光ファイバ支持基板210)の形状が、上述した第一の本発明に係る光ファイバアレイと異なるのみである。即ち、第二の本発明に係る光ファイバアレイを構成するその他の部材、例えば、樹脂層等は、その構造、材料等が、第一の本発明に係る光ファイバアレイと同様である。従って、ここでは、基板200の構造を中心に説明をすることとする。
【0139】
以下に、第二の本発明に係る光ファイバアレイを構成する基板について、さらに、詳細に説明する。
上述した通り、第二の本発明に係る光ファイバアレイを構成する基板は、クラッド支持基板と光ファイバ支持基板とから構成され、これらの材質としては、例えば、セラミック、窒化アルミニウム、ムライト、ジルコニア、炭化ケイ素、アルミナ、シリコン、石英、ガラス等の無機材料;銅、鉄、ニッケル等の金属材料;熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、これらの複合体等の有機材料やこれらの有機材料にガラス繊維等の補強材を含浸させたもの等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂等の有機材料の具体例としては、例えば、上記第一の本発明に係る光ファイバアレイの樹脂層において説明したものと同様のもの等を挙げることができる。なお、上記熱硬化性樹脂としては、従来公知のプリント配線板の基板や絶縁層に使用される熱硬化性樹脂等を用いることもできる。
【0140】
上記クラッド支持基板の形状は特に限定されないが、通常、クラッド支持面に、複数の溝状のガイドが平行に形成され、このガイドと直交する側面の下部に、光ファイバ支持基板に嵌合する切り欠きが形成された略板状であり、その大きさは、光ファイバアレイの大きさに合わせて適宜選択すればよい。
【0141】
また、このクラッド支持面には、溝状のガイドが複数本平行に形成されており、その数は、収納する光ファイバと同数である。
上記ガイドは、その上部に光ファイバを載置するために形成されており、光ファイバが左右方向にズレることを防止する役割を果たしている。従って、クラッド支持面の一端部から他端部に向かって平行に形成されている。
また、上記ガイドを形成する間隔は、載置する光ファイバの直径および製造する光ファイバアレイの大きさに合わせて適宜調整される。
【0142】
また、上記ガイドの断面の形状は特に限定されることはなく、例えば、矩形状、逆三角形状、倒立台形状等任意の形状が挙げられ、その上部に光ファイバを載置した際、光ファイバの左右方向のズレを防止することができる形状であればよい。
このようなガイドの断面の大きさは特に限定されないが、通常、クラッド支持面における幅が10〜30μmで、その深さが3〜10μmであることが望ましい。その上部に載置する光ファイバの左右方向のズレを防止することができるとともに、収納する光ファイバの位置を正確に制御することができる範囲だからである。
また、このようなガイドは、クラッド支持面上に溝を有する樹脂層が形成された際、上記溝の底面の中央部分に露出するように形成されていることが望ましい。
【0143】
上記切り欠きは、光ファイバ支持基板を嵌合させるために形成されており、上記クラッド支持基板の上記ガイドと直交する側面(以下、クラッド支持基板側面ともいう)の下部に形成されている。
上記切り欠きの形状としては特に限定されるものではないが、上記クラッド支持基板側面に垂直な面(以下、切り欠き上面ともいう)と、上記クラッド支持基板側面に平行な面(以下、切り欠き側面ともいう)とから構成された形状であることが望ましい。
切り欠きに光ファイバ支持基板を嵌合、接着させた際、クラッド支持基板と光ファイバ支持基板とを平行にすることができるからである。
【0144】
上記切り欠き上面は、切り欠きに光ファイバ支持基板を嵌合させた際、光ファイバ支持基板の光ファイバ支持面が当接する面であり、クラッド支持基板側面からクラッド支持基板の反対側の側面に向かって形成される。クラッド支持基板と光ファイバ支持基板との間で充分な接触面積を確保することができ、両者のこれらの接着強度を充分に高いものとすることができるからである。
【0145】
なお、上記切り欠き上面は、厳密にクラッド支持面に平行な面であるとともに、その平面度は可能な限り小さくした方がよい。切り欠き上面と光ファイバ支持面との間には、これらを接着、固定する接着剤層を形成するため、上記切り欠き上面に若干の傾きや、凹凸が存在した場合であっても、上記接着剤層の厚さ等を調整することで、クラッド支持基板と光ファイバ支持基板とを平行な状態にすることができ、上記切り欠き上面に多少の平面度があっても殆ど問題とならないが、上記切り欠きの平面度を可能な限り小さくした方が、クラッド支持基板と光ファイバ支持基板との位置精度が向上する。
【0146】
上記切り欠き側面は、クラッド支持基板の底面からクラッド支持面に向かって形成され、光ファイバ支持基板の側面と略同様の形状(面積)であることが望ましい。切り欠きに光ファイバ支持基板を嵌合させた際、クラッド支持基板の底面と光ファイバ支持基板の底面とを同一平面とすることができ、これらの基板の接着を容易に行うことができるからである。
【0147】
ここで、上記切り欠き側面が、光ファイバ支持基板の側面と全く同様の形状(面積)でないことが望ましいのは、クラッド支持基板と光ファイバ支持基板とを接着する際の接着剤層の厚さの分を確保するためである。
【0148】
また、上記クラッド支持面には、上記第一の本発明に係る光ファイバアレイにおいて説明した樹脂層と同様の樹脂層を形成するが、上記クラッド支持面の樹脂層と当接する部分には、粗化処理やスマット処理が施されていたり、コーティング材層が形成されていたりしてもよい。樹脂層との密着性の向上を図ることができるからである。
【0149】
上記光ファイバ支持基板の形状は特に限定されないが、通常、板状であり、その大きさは、光ファイバアレイの大きさに合わせて適宜選択すればよく、その厚さについては、上記クラッド支持基板よりも薄くなるように調整され、上記切り欠き側面の高さと略同じであることが望ましい。
なお、上記光ファイバ支持基板の光ファイバ支持面上には、上記第一の本発明に係る光ファイバアレイと同様の樹脂層が形成されていてもよい。
【0150】
また、光ファイバ支持基板とクラッド支持基板とを接着した際、クラッド支持面と光ファイバ支持面との差が、光ファイバの周囲に形成された被覆樹脂の厚さと同じとなることが望ましい。上記クラッド支持面に、光ファイバの被覆樹脂が剥離されたクラッド部分を載置し、上記光ファイバ支持面に、その周囲に被覆樹脂が形成された光ファイバを載置すると、光ファイバの上記クラッド部分および上記被覆樹脂部分は、それぞれの支持面から浮き上がることがなく、完全に接触した状態で載置することができるからである。
【0151】
このような光ファイバ支持基板は、上記クラッド支持基板の上記切り欠きに嵌合、接着される。
ここで、光ファイバ支持基板は、光ファイバ支持面がクラッド支持面に対して平行となるように接着される。光ファイバアレイを製造した際、光ファイバの相対的な位置ズレ、および、光ファイバに変形、断線、亀裂等の発生を防止するためである。
なお、上記光ファイバ支持基板とクラッド支持基板との接着には、例えば、熱硬化性樹脂等の接着剤を用いることができる。
【0152】
このような構成からなる第二の本発明に係る光ファイバアレイは、例えば、以下に記載する第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法により製造することができる。
【0153】
次に、第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法について説明する。
第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、少なくとも下記(A)〜(E)の工程を含むことを特徴とする。
(A)クラッド支持基板の上面に、複数のガイドを形成するガイド形成工程、
(B)予め、上記クラッド支持基板の上記ガイドと直交する側面の下部に、上記光ファイバ支持基板に嵌合する切り欠きを形成しておき、上記切り欠きに上記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板を嵌合、接着する支持基板接着工程、
(C)上記クラッド支持基板の上面に樹脂層を形成する樹脂層形成工程、
(D)上記樹脂層に、その底面にガイドが露出するように溝を形成する溝形成工程、および、
(E)上記溝に光ファイバを収納する光ファイバ収納工程。
【0154】
第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法では、光ファイバを収納するための溝を樹脂層に形成するため、高い精度で溝を形成することができる。
特に、上記溝を一括形成した場合には、溝ごとのバラツキがなくなり、溝の基板に対する位置が若干ズレても、溝同士の相対的な位置はズレないため、許容誤差が大きくなり、その結果、歩留りが向上する。
また、第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法では、溝の光ファイバ非収納部に接着剤を充填するため、光ファイバを所定の位置により確実に固定することができる。
従って、第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法では、安価で高品質な光ファイバアレイを製造することができる。
【0155】
また、第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法では、クラッド支持基板とクラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板とを用いて基板を作製する。
即ち、光ファイバ支持基板の上面を光ファイバ支持面とすることができ、切削加工で上記光ファイバ支持面を形成する必要がないため、上記光ファイバ支持面の平面度をかなり低く抑えることができ、加えて、光ファイバ支持基板をクラッド支持基板の切り欠きに嵌合、接着することにより上記基板を作製するのであるが、その際、接着する角度を調整することで、容易に光ファイバ支持面をクラッド支持基板の上面(クラッド支持面)に対して平行にすることができるため、製造した光ファイバアレイにおいて、光ファイバ支持面の凹凸やクラッド支持面に対する傾きに起因する光ファイバの相対的な位置ズレや変形、破損等が発生することを防止することができる。
また、上記光ファイバ支持基板は、上記クラッド支持面に形成したガイドに直交する側面の下部に形成した切り欠きに嵌合、接着するので、クラッド支持基板と光ファイバ支持基板との接触面積が大きくなり、接着強度に優れた光ファイバアレイを製造することができる。
さらに、第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、上記基板を作製する際、光ファイバを載置するためのガイドを上記クラッド支持面にのみ形成すればよく、当然、一旦形成したガイドを含む部分を切削して光ファイバ支持面を形成する工程が不要であるので、加工時間を短縮することができ、生産性に優れ、低コストで光ファイバアレイを製造することができる。
【0156】
第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法と比べて、予め作製するクラッド支持基板および光ファイバ支持基板の構造、ならびに、(B)の工程、即ち、支持基板接着工程が異なる。
従って、ここでは、上記クラッド支持基板および光ファイバ支持基板の作製方法、および、上記支持基板接着工程を中心に説明することとする。
【0157】
第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法においては、まず、上述したようなセラミックや金属、樹脂等の硬質材料からなるクラッド支持基板および光ファイバ支持基板を作製する。
【0158】
上記クラッド支持基板の作製においては、まず、上記硬質材料からなる板状の原料基板を作製する。そして、この原料基板の一の側面の下部にダイヤモンドカッター等を用いて、原料基板の側面に垂直な面および平行な面(切り欠き上面および切り欠き側面)からなる切り欠きを形成し、クラッド支持基板とする。
なお、この切り欠きは、上述したように、一旦板状の原料基板を作製した後、この原料基板に切削加工を施すことで作製することができるが、特に、クラッド支持基板がセラミックや樹脂等からなる場合、初めに作製する原料成形体に切り欠きを形成しておき、この原料成形体に焼成処理や熱硬化処理等を施すことで、上記切削加工を施さずにその側面の下部に切り欠きを有するクラッド支持基板を作製してもよい。
このようにして作製する切り欠きは、光ファイバ支持基板を嵌合することができる大きさに調整しておく。
【0159】
また、上記光ファイバ支持基板は板状であり、上記クラッド支持基板と同様のセラミック、金属、樹脂等の硬質材料を用いて作製する。具体的には、適当な大きさで作製した原料基板に切削加工を施すことで作製することができるが、特に、クラッド支持基板がセラミックや樹脂等からなる場合、初めに作製する原料成形体を所定の大きさに作製しておき、この原料成形体に焼成処理や熱硬化処理を施すことで、上記切削加工を施さずに光ファイバ支持基板を作製してもよい。
なお、この光ファイバ支持基板は、上記クラッド支持基板よりも薄くなるように作製する(図4参照)。
【0160】
このようにして作製した光ファイバ支持基板の厚さは、上記(B)の工程で、上記切り欠きに嵌合、接着した際、クラッド支持基板と光ファイバ支持基板との高さの差が、光ファイバの周囲を被覆する被覆樹脂の厚さと同様となるように調整することが望ましい。
また、所定のサイズおよび形状に形成したこれらの支持基板の上面は、研磨加工を施すことが望ましい。後工程でこれらの面に光ファイバを載置した際、該光ファイバの位置ズレ、破損等を防止するためである。
【0161】
次に、作製したクラッド支持基板を用いて、上記(A)の工程、即ち、クラッド支持面に、複数のガイドを形成するガイド形成工程を、上記第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法の(A)の工程と同様にして行う。なお、このガイドは、上記切り欠きを有するクラッド支持基板の端面から反対の端面に向かって形成する。
【0162】
次に、上記(B)の工程、即ち、支持基板接着工程を行い、予め作製しておいた上記クラッド支持基板の切り欠きに上記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板を嵌合、接着する。
【0163】
この工程では、上記切り欠きの切り欠き上面および切り欠き側面全体に接着剤を塗布し、この切り欠きに上記光ファイバ支持基板を嵌合し、接着する。また、クラッド支持面は光ファイバ支持面に対して平行となるように接着する。
上記接着剤としては、例えば、熱硬化性樹脂等を用いることができる。
なお、この(B)の工程は、下記(E)の工程の前に行うこともできる。
【0164】
次に、上記した(C)〜(E)の工程を行う。即ち、クラッド支持基板上に溝を有する樹脂層を形成した後、樹脂層に光ファイバを収納する。具体的には、例えば、第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法の(C)〜(E)の工程と同様の方法を用いて行えばよい。
【0165】
また、上記工程を経て溝に光ファイバを収納した後には、第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法と同様にして、樹脂層上に、光ファイバを覆う蓋部を形成する蓋部形成工程を行うことが望ましい。
【0166】
また、第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、上記第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法と同様、上記(E)の工程の後に、上記溝の光ファイバアレイ非収納部の少なくとも一部に未硬化の接着剤を充填する接着剤充填工程と、上記接着剤充填工程で充填した未硬化の接着剤を硬化させ、接着剤層とする接着剤層形成工程とを含むことが望ましく、さらには、上記接着剤層形成工程の後に、上述した蓋部形成工程を含むことが望ましい。
【0167】
また、第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、上記第一の本発明の光ファイバアレイの製造方法と同様、上記(E)の工程の前に、溝に未硬化の接着剤を充填する接着剤充填工程を含み、上記(E)の工程の後、上記接着剤充填工程で充填した未硬化の接着剤を硬化させ、接着剤層とする接着剤層形成工程を含むことも望ましく、さらには、上記接着剤層形成工程の後に、上記樹脂層上に蓋部を形成する蓋部形成工程を含むことが望ましい。
また、上記(E)の工程の後、上記接着剤層形成工程の前には、再度、上述したような接着剤充填工程を行ってもよい。
【0168】
この場合、上記(E)の工程の前に行う接着剤充填工程において、上記溝に充填する接着剤の量を少なくし、上記(E)の工程で光ファイバを収納した際、ある程度の隙間が形成されるようにしておき、そして、再度行う接着剤充填工程において、上記溝の光ファイバ非収納部(上記隙間)に接着剤を完全に充填することが望ましい。光ファイバを樹脂層により確実に固定することができ、光ファイバの位置ズレ等をより確実に防止することができる。
【0169】
また、このようにして製造した第二の本発明に係る光ファイバアレイには、第一の本発明の製造方法と同様、接続の目安になる凹凸や製品認識マーク等を基板や蓋部等に形成してもよい。
【0170】
このような溝を有する樹脂層が形成された光ファイバアレイでは、該光ファイバアレイに収納した光ファイバを導波路、受光素子、発光素子等の光デバイスに接続することにより、光通信を行うことができ、それにより、インターネット、TV、ゲーム、モバイル等の各種モジュールを作動させることができる。
【0171】
以上、本発明の光ファイバアレイとして、基板がクラッド支持基板と光ファイバ支持基板とからなる第一の本発明に係る光ファイバアレイおよび第二の本発明に係る光ファイバアレイについて説明したが、上述した通り、本発明の光ファイバアレイの基板は、上記クラッド支持基板と光ファイバ支持基板とが一体的に構成された構造であってもよい。
【0172】
このような基板からなる本発明の光ファイバアレイを製造するには、まず、上記第一の本発明に係る光ファイバアレイで説明したような材料からなる板状体を作製する。
次に、上記板状体に切削加工を施すことで、その上面に高さの異なるクラッド支持面と光ファイバ支持面とを有する基板を作製する。
そして、上記基板に、上記第一の本発明に係る光ファイバアレイと同様の樹脂層形成工程、溝形成工程および光ファイバ収納工程を行うことで、上記クラッド支持基板と光ファイバ支持基板とが一体的に形成された本発明の光ファイバアレイを製造することができる。
【0173】
なお、光ファイバアレイの樹脂層に形成した溝の底面にガイドが形成された光ファイバアレイを製造するには、上記板状体の上面の全体にダイヤモンドカッター等の切削部材を用いて所定の位置に溝状のガイドを形成した後、上記板状体に切削加工を施すか、または、上記板状体に切削加工を施してクラッド支持面および光ファイバ支持面を形成した後、上記クラッド支持面上にダイヤモンドカッター等の切削部材を用いて溝状のガイドを形成すればよいが、加工効率、生産性等を考慮すると、上記板状体に切削加工を施してクラッド支持面と光ファイバ支持面とを作製した後、上記クラッド支持面にガイドを形成する工程の方が望ましい。
【0174】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0175】
(実施例1)
(1)焼成後、その表面に研磨処理を施した厚さ10mmのシリコンからなるクラッド支持基板51と、その表面に研磨処理を施した厚さ5mmのシリコンからなる光ファイバ支持基板とを出発材料とした。
【0176】
(2)次に、ダイヤモンドカッターを用いて、クラッド支持基板51上に幅20μm、深さ7μmで、その断面の形状が逆三角形状のガイド54を、200μmの間隔で7本平行に形成した(図5(a)参照)。
なお、図5(a)において、ガイド54は4本しか形成されていないが、この図は模式図であり、本実施例では、上述したように、7本のガイド54を形成した。
【0177】
(3)次に、クラッド支持基板51の上面とガイド54とが直交する側面に、上記光ファイバ支持基板を、その底面がクラッド支持基板51の底面と同一平面を形成するように接着した。なお、クラッド支持基板51と上記光ファイバ支持基板との接着は、光ファイバ支持基板の一の側面全体にエポキシ樹脂を含む未硬化の接着剤組成物を塗布した後、クラッド支持基板51の上記側面に接着し、加熱処理を施して上記接着剤組成物を硬化させることにより行った。
このとき、クラッド支持基板51の上面(クラッド支持面)と、光ファイバ支持基板の上面(光ファイバ支持面)との高さの差は、光ファイバの周囲を被覆する被覆樹脂の厚さと同じであった。
【0178】
(4)次に、下記の方法で調製した樹脂組成物溶液を、カーテンコーターにてクラッド支持基板51上に硬化後の厚さが131μm(塗布時の厚さ150μm)になるように塗布し、その後、80℃で10分および100℃で30分の条件で乾燥処理を行い、半硬化状態の樹脂層52を形成した(図5(b)参照)。なお、この半硬化状態の樹脂層52では、その表面にスキン層が形成されていた。
【0179】
樹脂組成物溶液の調製
樹脂成分としてノボラック型エポキシ樹脂アクリレート化物40重量部、および、ビスフェノールA型エポキシ樹脂35重量部、硬化剤としてイミダゾール硬化剤4重量部、無機粒子として平均粒子径10μmのシリカ粒子10重量部、光重合開始剤3.0重量部、反応安定剤としてアミン化合物1.0重量部、ならびに、溶剤としてトルエン15重量部を混合した後、その粘度が、回転数6min−1で25℃において10±1Pa・sになるまで攪拌し、樹脂組成物溶液を得た。
【0180】
(5)次に、溝形成部分に対向する部分が黒く描画されたマスク、即ち、幅150μmの黒線が、200μm間隔で7本描画されたマスクを、半硬化状態の樹脂層52に密着するように載置し(図5(c)参照)、超高圧水銀灯を用いて、1200mj/cmで15分間の条件で露光した。さらに、露光終了後、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)を用いて現像処理を行った。
【0181】
(6)次に、現像処理を終えた樹脂層を、100℃で30分および150℃で3時間の条件で本硬化し、幅125μm、深さ131μm、溝同士の間隔200μmでその壁面53aが基板51の主面と直角をなし、その底面の中央にガイド54が露出した溝53を7本形成した(図5(d)参照)。
【0182】
(7)次に、その周囲に形成された被覆樹脂の一部を剥離したクラッド径125μmの光ファイバ(日立電線社製)を7本用意し、これを、整列器を用いて、端面を揃えるとともに、200μm間隔で整列させた。
その後、整列器(図示せず)で保持したまま、溝53の底面に形成したガイド54上に載置するように光ファイバ55を収納した。
その後、溝53の光ファイバ非収納部に溝の端部からエポキシ樹脂を含む未硬化の接着剤組成物を充填し、さらに、硬化処理を施すことにより接着剤層56を形成した(図5(e)参照)。
【0183】
(8)次に、光ファイバ55を収納した樹脂層52上および溝53の光ファイバ非収納部に、エポキシ樹脂を含む未硬化の接着剤組成物を塗布および充填した後、樹脂層52上にクラッド支持基板51と大きさ、材質が同じシリコン基板を載置し、加熱処理を施して上記接着剤組成物を硬化させることにより、接着剤層59とシリコンからなる蓋部57とを形成し、さらに整列器を取りはずすことにより、光ファイバアレイを製造した(図5(f)参照)。
なお、本実施例で製造した光ファイバアレイにおいては、溝の深さ:光ファイバの直径≒1.05:1.0であり、光ファイバは溝内に完全に収納されていた。
【0184】
(実施例2)
(1)基板の材質を石英にしたほかは、実施例1の(1)〜(3)と同様にして、クラッド支持基板61および光ファイバ支持基板を作製し、クラッド支持基板上61に7本のガイド64を形成した後、これらを接着して基板を作製した(図6(a)参照)。
【0185】
(2)次に、下記の方法で調整した樹脂組成物溶液を、カーテンコーターにて基板上に硬化後の厚さが131μmになるように塗布し、その後、80℃で10分および100℃で30分の条件で乾燥処理を行い、半硬化状態の樹脂層62を形成した。なお、この半硬化状態の樹脂層62では、その表面にスキン層が形成されていた(図6(b)参照)。
【0186】
樹脂組成物溶液の調製
樹脂成分としてノボラック型エポキシ樹脂アクリレート化物40重量部、および、フェノール樹脂35重量部、硬化剤としてイミダゾール硬化剤4重量部、無機粒子として平均粒子径10μmのシリカ粒子10重量部、光重合開始剤2.0重量部、反応安定剤としてアミン化合物1.0重量部、ならびに、溶剤としてトルエン溶液10重量部を混合した後、その粘度が、回転数6min-1で25℃において10±1Pa・sになるまで攪拌し、樹脂組成物溶液を得た。
【0187】
(3)次に、実施例1の(5)工程と同様の方法を用いて、半硬化状態の樹脂層62に露光、現像処理を施し(図6(c)参照)、さらに、実施例1の(6)工程と同様の方法を用いて本硬化することにより、樹脂層62に溝63を形成した(図6(d)参照)。
なお、この工程を経て形成した溝63は、その底面の幅が狭くなるように、壁面63aが傾斜した形状を有しており、その底面の幅は120μmで、その上面の幅は150μmで、その深さは131μmであり、底面の中央には、ガイド64が露出している。
【0188】
(4)次に、実施例1の(7)工程と同様の方法を用いて、溝63に光ファイバ65を収納し、さらに、溝63の光ファイバ非収納部に溝の端部から未硬化の接着剤組成物を充填し、硬化処理を施すことにより接着剤層66を形成した(図6(e)参照)。
【0189】
(5)次に、以下の方法を用いて接着剤層69と蓋部67とを形成し、光ファイバアレイを製造した。
即ち、光ファイバ65を収納した樹脂層62上に、実施例1の(4)の工程で用いた樹脂組成物溶液と同様の溶液をカーテンコーターで塗布した後、乾燥処理(80℃で10分および100℃で30分)と、硬化処理(100℃で30分および150℃で3時間)とを施した。なお、この工程では、蓋部67とともに接着剤層69が形成される。
本実施例で製造した光ファイバアレイにおいては、溝63の深さ:光ファイバ65の直径≒1.05:1.0であり、光ファイバ65は溝63内に完全に収納されていた。
【0190】
(実施例3)
(1)その表面に研磨処理を施した厚さ10mmのガラスからなるクラッド支持基板と、その表面に研磨処理を施した厚さ5mmのガラスからなる光ファイバ支持基板を出発材料とし、クラッド支持基板の一の側面の下部に、高さ5.1mmの切り欠きを形成した(図4参照)。
【0191】
(2)次に、ダイヤモンドカッターを用いて、クラッド支持基板上であって、上記切り欠きと直交する方向に幅15μm、深さ5μmでその断面の形状が逆三角形状のガイドを、200μmの間隔で7本平行に形成した。
【0192】
(3)次に、上記切り欠きに、光ファイバ支持基板を、その底面がクラッド支持基板の底面と同一平面を形成するように接着した。なお、クラッド支持基板と上記光ファイバ支持基板との接着は、上記切り欠きにエポキシ樹脂を含む未硬化の接着剤組成物を塗布した後、光ファイバ支持基板を上記切り欠きに嵌め込むようにして接着し、加熱処理を施して上記接着剤組成物を硬化させることにより行った。
【0193】
(4)次に、下記の方法で調整した感光性ポリイミド溶液を、カーテンコーターにて基板上に硬化後の厚さが131μmになるように塗布し、その後、80℃で10分および100℃で30分の条件で乾燥処理を行い、半硬化状態の樹脂層を形成した。なお、この半硬化状態の樹脂層では、その表面にスキン層が形成されていた。
【0194】
感光性ポリイミド溶液の調製
下記化学式(5)で表されるビス−フェノールフルオレン−ヒドロキシアクリレートと、ビス−アニリン−フルオレンと、ピロメリト酸無水物とをモル比=1:4:5で反応させて得られるランダム共重合体の感光性ポリイミド40重量部をDMDG10重量部に溶解し、その粘度が25℃において10±Pa・sである感光性ポリイミド溶液を調製した。
【0195】
【化5】
Figure 0004785304
【0196】
(5)次に、実施例1の(5)工程と同様の方法を用いて、半硬化状態の樹脂層に露光、現像処理を施し、さらに、実施例1の(6)工程と同様の方法を用いて本硬化することにより、樹脂層に溝を形成した。
なお、この工程を経て形成した溝は、その底面の幅が狭くなるように、壁面が傾斜した形状を有しており、その底面の幅は120μm、その上面の幅は150μmであり、その深さは131μmである。
【0197】
(6)次に、実施例1の(7)工程と同様の方法を用いて、樹脂層の溝に光ファイバを収納し、さらに、接着剤層を形成した。
(7)次に、光ファイバを収納した樹脂層上に、フェノール樹脂を含む未硬化の接着剤組成物を塗布した後、樹脂層上にクラッド支持基板と大きさ、材質が同じガラス基板を載置し、加熱処理を施して上記接着剤組成物を硬化させることによりシリコンからなる蓋部を形成し、光ファイバアレイを製造した。
なお、本実施例で製造した光ファイバアレイにおいては、溝の深さ:光ファイバの直径≒1.05:1.0であり、光ファイバは溝内に完全に収納されていた。
【0198】
(実施例4)
(1)基板の材質をガラスエポキシ樹脂にしたほかは、実施例3の(1)〜(3)と同様にして、クラッド支持基板および光ファイバ支持基板を作製し、クラッド支持基板上に7本のガイドを形成した後、これらを接着して基板を作製した。
【0199】
(2)次に、下記の方法で調整した樹脂組成物溶液を、カーテンコーターにて基板上に硬化後の厚さが131μmになるように塗布し、その後、80℃で10分および100℃で30分の条件で乾燥処理を行い、半硬化状態の樹脂層を形成した。なお、この半硬化状態の樹脂層では、その表面にスキン層が形成されていた。
【0200】
樹脂組成物溶液の調製
樹脂成分としてノボラック型エポキシ樹脂アクリレート化物40重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂35重量部、および、フェノキシ樹脂12重量部、硬化剤としてイミダゾール硬化剤4重量部、無機粒子として平均粒子径10μmのシリカ粒子10重量部、ならびに、光重合開始剤としてベンゾフェノン1.0重量部、反応安定剤としてアミン化合物1.0重量部、ならびに、溶剤としてトルエン溶液15重量部を混合した後、その粘度が、回転数6min−1で25℃において10±1Pa・sになるまで攪拌し、樹脂組成物溶液を得た。
【0201】
(3)次に、実施例1の(5)工程と同様の方法を用いて、半硬化状態の樹脂層に露光、現像処理を施し、さらに、実施例1の(6)工程と同様の方法を用いて本硬化することにより、樹脂層に溝を形成した。
なお、この工程を経て形成した溝は、基板の主面と直角をなす壁面を有している。
【0202】
(4)次に、実施例1の(7)工程と同様の方法を用いて、光ファイバの収納と、接着剤層の形成とを行い、さらに、実施例2の(5)工程と同様の方法を用いて、蓋部と接着剤層との形成を行い、光ファイバアレイを製造した。
なお、本実施例で製造した光ファイバアレイにおいては、溝の深さ:光ファイバの直径≒1.05:1.0であり、光ファイバは溝内に完全に収納されていた。
【0203】
実施例1〜4で得た光ファイバアレイについて、光ファイバアレイ側の光ファイバの端面に検出器を載置し、光ファイバの他の端面から光発光素子を用いて光を導入した際の光の検出位置から、光ファイバの収納位置の設計からのズレを算出することにより光ファイバの収納精度を評価した。結果を表1に示した。
また、光ファイバアレイを上方から20Paの押厚力で20分間押圧した後、上記と同様にして光ファイバの収納精度を測定した。結果を表1に示した。
【0204】
【表1】
Figure 0004785304
【0205】
表1に示したように、実施例1〜4の光ファイバの収納位置の設計からのズレは2%(対クラッド径)以下で、光ファイバは高精度で所定の位置に収納されていた。
また、収納精度を評価した後、光ファイバアレイを分解し、光ファイバの表面を顕微鏡で観察したところ、光ファイバの表面に傷や変形等は発生していなかった。
さらに、実施例1〜4の光ファイバアレイについて、7個の受光素子を配列した受光装置に接続し、結合損失を測定したところ、その結合損失は低く、製品としての要求される品質は充分に満足していた。
【0206】
また、実施例1〜4で製造した光ファイバアレイにおいて、各光ファイバアレイの基板を作製する際、ガイドをクラッド支持基板上にのみ形成すればよく、さらに、光ファイバ支持面を形成するための切削加工を行う必要がなかったので、生産効率が高く、また、低コストで製造することができた。
【0207】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバアレイは、光ファイバを収納するための溝が、樹脂層に形成されているため、溝に、凹凸や膨れ等の変形が発生しても、光ファイバに損傷や変形が発生するおそれが少なく、この変形に起因する接続損失の増加を防止することができる。
また、樹脂層の場合には、溝を一括して形成することが容易であるため、溝同士で形状のバラツキが無くなるとともに、相対的な位置ズレもなくなる。
また、本発明の光ファイバアレイは、多くの部分が樹脂で形成されているため、従来のセラミック等からなる光ファイバアレイに比べて、安価に製造することができる。
また、本発明の光ファイバアレイを構成する基板が、クラッド支持基板と光ファイバ支持基板とから構成されている場合、光ファイバ支持基板の上面が光ファイバ支持面となるため、容易にその平面度を低く抑えることができ、光ファイバを上記基板に載置した際、該光ファイバの位置ズレ等が発生することがない。
さらに、ガイドの形成は上記クラッド支持基板上にのみ行えばよいため、生産性に優れるとともに、製造コストを低く抑えることができる。
【0208】
また、第一および第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法は、光ファイバを収納するための溝を樹脂層に形成するため、高い精度で溝を形成することができる。
特に、上記溝を一括形成した場合には、溝ごとのバラツキがなくなり、溝の基板に対する位置が若干ズレても、溝同士の相対的な位置はズレないため、許容誤差が大きくなり、その結果、従来よりも製造コストが安くなる。
また、第一および第二の本発明の光ファイバアレイの製造方法では、クラッド支持基板と光ファイバ支持基板とを用いて基板を作製しており、光ファイバ支持基板の上面が光ファイバ支持面となるため、容易にその平面度を低く抑えることができ、光ファイバを上記基板に載置した際、該光ファイバの位置ズレ等が発生することがない。
さらに、ガイドを形成するのは上記クラッド支持基板表面のみでよく、また、その周囲に被覆樹脂を有する光ファイバを載置するための光ファイバ支持面を研削加工により形成する必要がないため、生産性に優れるとともに、製造コストを低く抑えることができる。
従って、本発明の製造方法では、安価で高品質な光ファイバアレイを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の本発明の光ファイバアレイの一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1に示す第一の本発明の光ファイバアレイの一部を模式的に示す部分拡大断面図である。
【図3】(a)は、第一の本発明の光ファイバアレイを構成する基板を模式的に示す分解斜視図であり、(b)は、第一の本発明の光ファイバアレイを構成する基板を模式的に示す斜視図である。
【図4】(a)は、第二の本発明の光ファイバアレイを構成する基板を模式的に示す分解斜視図であり、(b)は、第二の本発明の光ファイバアレイを構成する基板を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の光ファイバアレイの製造方法における製造工程の一部を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の光ファイバアレイの製造方法における製造工程の一部を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
10、20、30、40 光ファイバアレイ
11、21、51、61 クラッド支持基板
11a、21a クラッド支持面
12、52、62 樹脂層
13、53、63 溝
14、24、54、64 ガイド
15、55、65 光ファイバ
100、200 基板
110、210 光ファイバ支持基板
110a、210a 光ファイバ支持面

Claims (9)

  1. 高さの異なるクラッド支持面と光ファイバ支持面とからなる基板の、前記クラッド支持面上に複数の溝を有する樹脂層が形成され、前記溝に光ファイバが収納された光ファイバアレイであって、
    前記基板は、その上面が前記クラッド支持面であるクラッド支持基板と、その上面が光ファイバ支持面であり、前記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板とから構成され、
    前記クラッド支持面上であって、前記溝の底面には
    光ファイバが左右方向にズレることを防止する役割を果たす、幅が10〜30μm、深さが3〜10μmの溝状のガイドが形成され、
    前記光ファイバ支持基板は、前記光ファイバ支持面が前記クラッド支持面よりも低くなるように、前記クラッド支持基板の前記ガイドと直交する側面に接着されていることを特徴とする光ファイバアレイ。
  2. 高さの異なるクラッド支持面と光ファイバ支持面とからなる基板の、前記クラッド支持面上に複数の溝を有する樹脂層が形成され、前記溝に光ファイバが収納された光ファイバアレイであって、
    前記基板は、その上面が前記クラッド支持面であるクラッド支持基板と、その上面が光ファイバ支持面であり、前記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板とから構成され、
    前記クラッド支持面上であって、前記溝の底面には
    光ファイバが左右方向にズレることを防止する役割を果たす、幅が10〜30μm、深さが3〜10μmの溝状のガイドが形成され、
    さらに、前記クラッド支持基板の前記ガイドと直交する側面の下部に、前記光ファイバ支持基板に嵌合する切り欠きが形成されており、前記切り欠きに、前記光ファイバ支持基板が嵌合、接着されることにより、前記光ファイバ支持基板は、前記光ファイバ支持面が前記クラッド支持面よりも低くなっていることを特徴とする光ファイバアレイ。
  3. 前記溝の光ファイバ非収納部の少なくとも一部に接着剤層が形成されている請求項1または2に記載の光ファイバアレイ。
  4. 前記樹脂層上に、前記光ファイバを覆う蓋部が形成されている請求項1〜3のいずれか1に記載の光ファイバアレイ。
  5. 少なくとも下記(A)〜(E)の工程を含むことを特徴とする光ファイバアレイの製造方法。
    (A)クラッド支持基板の上面に、幅が10〜30μm、深さが3〜10μmの複数の溝状ガイドを形成するガイド形成工程、
    (B)前記クラッド支持基板の前記ガイドと直交する側面に、その上面が前記クラッド支持基板の上面よりも低くなるように、前記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板を接着する支持基板接着工程、
    (C)前記クラッド支持基板の上面に樹脂層を形成する樹脂層形成工程、
    (D)前記樹脂層に、その底面にガイドが露出するように溝を形成する溝形成工程、および、
    (E)前記溝に光ファイバを収納する光ファイバ収納工程。
  6. 少なくとも下記(A)〜(E)の工程を含むことを特徴とする光ファイバアレイの製造方法。
    (A)クラッド支持基板の上面に、幅が10〜30μm、深さが3〜10μmの複数の溝状ガイドを形成するガイド形成工程、
    (B)予め、前記クラッド支持基板の前記ガイドと直交する側面の下部に、前記光ファイバ支持基板に嵌合する切り欠きを形成しておき、前記切り欠きに前記クラッド支持基板よりも薄い光ファイバ支持基板を嵌合、接着する支持基板接着工程、
    (C)前記クラッド支持基板の上面に樹脂層を形成する樹脂層形成工程、
    (D)前記樹脂層に、その底面にガイドが露出するように溝を形成する溝形成工程、および、
    (E)前記溝に光ファイバを収納する光ファイバ収納工程。
  7. 前記(E)の工程の後に、
    前記溝の光ファイバ非収納部の少なくとも一部に未硬化の接着剤を充填する接着剤充填工程と、
    前記接着剤充填工程で充填した未硬化の接着剤を硬化させ、接着剤層とする接着剤層形成工程と
    を含む請求項5または6に記載の光ファイバアレイの製造方法。
  8. 前記(E)の工程の前に、前記溝に未硬化の接着剤を充填する接着剤充填工程を含み、
    前記(E)の工程の後、前記接着剤充填工程で充填した未硬化の接着剤を硬化させ、接着剤層とする接着剤層形成工程を含む請求項5〜7のいずれか1に記載の光ファイバアレイの製造方法。
  9. 前記樹脂層上に、前記光ファイバを覆う蓋部を形成する蓋部形成工程を含む請求項5〜8のいずれか1に記載の光ファイバアレイの製造方法。
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