JP4780405B2 - 結合親和性を利用する被検物質の測定方法、及び被検物質の測定のための結合親和性解析の制御方法 - Google Patents
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Description
〈1〉結合親和性を利用する被検物質の測定方法であって、(i)前記被検物質に対する結合親和性を有する結合物質を、架橋物質により架橋処理する工程、(ii) 前記被検物質と、前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質とを、工程(i)において架橋処理した結合物質に競合的に反応させる工程、(iii) 前記結合物質と前記競合物質間での複合体の形成を測定する工程、を備える測定方法。
〈2〉前記結合物質が、抗体である上記〈1〉の測定方法。
〈3〉前記架橋物質が、結合物質に対する抗体である上記〈1〉又は〈2〉の測定方法。
上記〈1〉〜〈3〉の構成によれば、結合物質の架橋により高精度な測定を達成することができる。また、結合物質の架橋を抑えることで広範な濃度範囲での測定を行うこともでき、測定目的に応じた被検物質の測定が達成される。
上記〈4〉の構成によれば、このように被検物質の測定に必要な試薬をキットして構成することにより、簡便且つ迅速な被検物質の測定が可能となる。
(i) 前記被検物質に対する結合親和性を有する結合物質を、架橋物質により架橋処理する工程、(ii) 前記被検物質と、前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質とを、工程(i)において架橋処理された結合物質に競合的に反応させる工程、(iii) 前記結合物質と前記競合物質間での複合体の形成を測定する工程、を備えた試料中の被検物質の測定するための結合親和性解析において、工程(i)の架橋処理の制御を通して、前記結合物質の価数を変更することにより測定精度及び測定範囲の少なくとも一方を調整して結合親和性解析を制御する制御方法。
〈6〉前記結合物質が、抗体である上記〈5〉の制御方法。
〈7〉前記架橋物質が、結合物質に対する抗体である上記〈5〉又は〈6〉に記載の制御方法。
上記〈5〉〜〈7〉の構成によれば、結合物質の架橋の程度の制御を通して結合物質の価数を変更することにより、測定目的に応じて適切に測定精度、測定範囲を制御することができる。また、本発明の制御方法は、架橋物質により簡便に行うことができることから、ユーザ自身が自ら望む測定精度及び測定範囲に調整することが可能である。
上記〈8〉の構成によれば、このように結合親和性解析の制御に必要な試薬をキットして構成することにより、簡便且つ迅速に、測定目的に応じた測定感度、測定範囲に制御することができる。
本発明の結合親和性を利用する被検物質の測定方法は競合法に基づく。競合法は、試料中の被検物質の存在や量を、被検物質に対する結合親和性を有する結合物質が、被検物質又は競合物質(前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する)に結合する度合いによって決定する方法である。具体的には、一定量の結合物質と一定量の競合物質との反応中に、測定すべき被検物質を共存させて競合させた時、被検物質の存在により結合物質と結合する競合物質が減少する。その減少の度合いにより、測定すべき被検物質の量を算出するものである。そして、本発明の被検物質の測定方法おいては、予め結合物質は架橋物質により架橋処理される。
・競合物質・・・ビオチン等の低分子化合物(ハプテン)をキャリアタンパク質上に固定した結合体
・競合物質・・・抗原タンパク質のエピトープ部分のみを取り出したペプチド断片
・競合物質・・・PCB等に対して結合親和性を有する抗体が、本来の意図に反して結合してしまう骨格分子のビフェニル
(1)検量線の傾きが大きいほど、高精度に測定可能である。一方で測定範囲は狭まる。
(2)検量線の傾きが小さいほど、広範範囲での測定が可能である。一方で、測定精度は低下する。
本発明は、上記結合親和性を利用する被検物質の測定方法を実施するための試薬を備えた、結合親和性を利用する被検物質の測定用キットを提供する。このように被検物質の測定に必要な試薬をキットして構成することにより、簡便且つ迅速な被検物質の測定が可能となる。このような試薬キットとしては、結合物質と架橋物質の組み合わせ、また、競合抗原をも組み合わせたキットが例示される。更には、結合親和性反応の実施に必要な緩衝液をもキットとして組み込むことができる。このように結合物質と架橋物質とを別個にキットに組み込むことにより、ユーザ自身が自ら望む測定精度及び測定範囲に調整することで、測定目的に応じた被検物質の測定が可能となる。また、特定の測定精度、測定範囲に設定した、予め適当な価数となるよう結合物質を架橋物質により架橋処理された形態で構成することも可能である。
本発明は、上記結合親和性を利用する被検物質の測定方法において、その測定精度、測定範囲を制御する方法を提供する。これにより、上記被検物質を測定するための結合親和性解析を制御できる。つまり、架橋物質による架橋の程度を変更することで測定精度を調整でき、また、測定範囲を調整でき、双方を同時に調整する方法をも提供する。架橋の程度の変更は、例えば、結合物質と反応させる架橋物質の量を制御する、若しくは、結合物質と架橋物質との反応時間を制御することにより、簡便、かつ迅速に行うことができる。したがって、測定目的に応じて、架橋の程度を変更することで、適切に測定精度、及び測定範囲を調整することができる。ここで、結合親和性解析とは、上記で説明した結合親和性を利用した測定方法を意味するものであり、免疫測定法等を好ましく例示される。
本発明は、上記被検物質の測定するための結合親和性解析の制御方法を実施するための試薬を備えた、被検物質の測定するための結合親和性解析の制御用キットを提供する。このように結合親和性解析の制御に必要な試薬をキットして構成することにより、簡便且つ迅速な結合親和性解析の制御が可能となる。このような試薬キットとしては、結合物質と架橋物質の組み合わせ、また、競合抗原をも組み合わせたキットが例示される。更には、結合親和性反応の実行に必要な緩衝液をもキットとして組み込むことができる。このように結合物質と架橋物質とを別個にキットに組み込むことにより、ユーザ自身が自ら望む測定精度及び測定範囲に調整することが可能である。
本発明は、被検物質を前記被検物質と結合親和性を有する結合物質との、結合親和性を利用した被検物質の測定方法であって、
(i)前記被検物質と、前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質とを、前記結合物質に競合的に反応させる工程、
(ii)前記結合物質と前記競合物質間での複合体の形成を測定する工程、を備える測定方法において、
被検物質又は競合物質に対する結合物質の特性値(結合速度定数と解離速度定数)と、装置パラメーターM(競合物質と結合物質の結合が拡散律速などで阻害されていることを示す1以下の定数)とを使用して、被検物質、競合物質、結合物質の間の反応速度式に対して、競合物質と結合物質との間の結合速度定数のみに装置パラメーターMを掛け、一定時間後の結合濃度を算出することにより理論検量線を得る方法、を提供する。
結合物質の価数が結合親和性解析に与える影響の検討
結合物質の価数の結合親和性解析(測定精度及び測定範囲)に与える影響を、抗原抗体反応系に利用して検討した。
本実施例においては、結合物質(抗ビオチン抗体(フナコシ社より購入、商品コード番号UBC 1230-0661)を用いて、被検物質として該抗体に対する抗原であるビオチン(シグマ社製、製品番号B4639)を競合法により測定した。このとき、競合物質としては、該抗体に対する抗原であるビオチンをウシ血清アルブミン上に固定化したビオチン結合ウシ血清アルブミンを使用した。
ビオチン化試薬キット(EZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotinylation Kit、フナコシ社より購入、商品コード番号21430)を使用して、ウシ血清アルブミン(シグマ社製、製品番号A7030)にビオチンを結合することによって調製した。続いて、20 μg/ml-PBSとなるよう調製し、下記の実験に用いた。
ポリスチレンビーズ(90μm-φ:ガンツ化成製)約0.1gを約5mlのリン酸緩衝食塩水(以下「PBS」と称する:シグマ社製、製品番号P4417)で3回洗浄を行った。洗浄後、5mlのPBSに懸濁し、ビーズ懸濁液を得た。ビーズ懸濁液から200μlを分取し、ビーズをスピンダウンしてPBSを除いた後、上記にて調製した400μlの抗原(競合)−PBS溶液400μl(抗原濃度20μg/ml)と混合して4℃で一晩撹拌し、ビーズに抗原(競合)を固定化した。抗原(競合)固定化後のビーズを400μlのTween20含有リン酸緩衝食塩水(以下「PBS-T」と称する:シグマ社製、製品番号P3563)で3回洗浄した。続いて、400μlのブロッキング剤(ブロックエース:大日本住友製薬製、カタログ番号UK-B80:滅菌水にて1%濃度に調製)を添加し、室温で2時間撹拌した。その後、400μlのPBS-Tで3回洗浄を行った後、200μlのPBS-Tにビーズを懸濁させて4℃にて実験まで保存した。
まず、抗体(結合物質)を量子ドット標識キット(Qdot(登録商標)655抗体標識キット:住商バイオサイエンス社より購入、商品番号2202-1J)にて、添付のプロトコールに従って標識し、標識化抗体を調製した。そして、ブロックエース(滅菌水にて1%濃度に調製)中に、かかる標識化抗体を0.1μg/ml、標識化抗体に対する抗体(抗抗体(架橋物質))をそれぞれ0.1μg/ml、0.01μg/ml、0.001μg/mlのいずれか、すなわち標識化抗体/抗抗体(結合物質/架橋物質)=1、10、100の比率となるように混合し、室温で1時間静置した。次に、検出対象の抗原(被検物質)を10倍希釈系列で40μg/mlから0.004μg/mlになるようにブロックエースにて希釈した試料を調製すると共に、ブランク試料としてブロックエースのみの試料も用意した。これら抗原溶液を、室温で1時間静置した抗体溶液と1:1の比率で混合して以下の実験に用いた。ここでは、抗抗体として、抗マウスIgG抗体(シグマ社製:製品番号M1397)を使用した。続いて、上記で調製した15μlの抗原(競合)固定化ビーズの懸濁液を100μlのブロックエースで3回洗浄後、上記で調製した抗原(被検)濃度既知の試料50μlを添加し室温で1時間振盪し反応させた。反応後のビーズを100μlのブロックエースで3回洗浄した後、ビーズの蛍光強度を蛍光顕微鏡で測定した。測定後、試料中の抗原(被検)濃度が0の時の蛍光強度を100%として、各試料中の抗原(被検)濃度での蛍光強度の相対値を算出した。そして、蛍光強度の、試料中の抗原(被検)濃度に対する経験的検量線より検量線の傾きを算出した(表1)。具体的には、4パラメーターロジスティックモデルに基づいて算出した。該検量線は市販のマイクロプレートリーダーMODEL 680解析システム(バイオラッド社製)等のELISAデータ分析ソフトにより算出できる。
〔方法〕
上記実施例1と同様、実施例1にて調製した標識化抗体(結合物質)を0.1μg/mlとなるようブロックエース(滅菌水にて1%濃度に調製)にて希釈した。検出対象の抗原(被検物質)も同様に10倍希釈系列で40μg/mlから0.004μg/mlになるようにブロックエースにて希釈した試料を調製すると共に、ブランク試料としてブロックエースのみの試料も用意した。これら抗原溶液と抗体溶液を1:1の比率で混合した。次に、上記実施例1で調製した15μlの抗原(競合)固定化ビーズの懸濁液をブロックエースで3回洗浄後、実施例1と同様にして、抗原(被検)濃度既知の試料50μlと標識化抗体と混合し室温で1時間振盪し反応させた。実施例1と同様にして、反応後のビーズの蛍光強度を測定し、蛍光強度の、試料中の抗原(被検)濃度に対する経験的検量線より、検量線の傾きを算出した(表1)。
〔方法〕
実施例1の抗抗体(架橋物質)に代え、実施例1の抗抗体と同一の形状ではあるが、被検物質であるビオチンにも本実施例で使用した標識化抗体(結合物質)にも反応しない抗体(マウスIgG:シグマ社製、製品番号15381)を、上記実施例1で調製した標識化抗体に対して1の割合で添加した。それ以外は、実施例1と同様にして競合反応に供した。そして、実施例1と同様にして、反応後のビーズの蛍光強度を測定し、蛍光強度の、各試料中の抗原(被検)濃度に対する経験的検量線より検量線の傾きを算出した(表1)。
表1に、実施例1及び比較例1、2において得られた検量線の傾きを示すと共に、図3に実施例(結合物質/架橋物質=1)、比較例1によって得られた検量線を示す。
表1、および図3に示す通り、実施例1において抗抗体(架橋物質)の添加量を増やす毎に、検量線の傾きが大きくなることが判明した。つまり、抗体(結合物質)に対する抗体である抗抗体は該抗体同士を結合する。そうして、抗抗体の添加量の増加により、抗体の抗体価数が大きくなる。したがって、抗体の抗体価数が大きくなることにより、検量線の傾きが大きくなることが導ける。
一方で、抗抗体を添加しない場合(比較例1)、及び本実施例に用いた抗体を架橋する能力のない抗体を添加した場合(比較例2)においては、検量線の傾きは同じであった。このことから、実施例1で判明した検量線の傾きの変動は、抗抗体による、抗体の架橋に起因するものであることが導かれる。
競合法における検出感度の調整につき検討した。具体的には、本実施例においては、抗原抗体反応に基づく競合法において、抗体特性値と、抗原・抗体の組み合わせによらない装置パラメーターとから、抗体濃度に関係なく適用できる理論検量線を提供するべく検討を行った。
(1)被検物質の測定:実験値
本実施例においては、被検物質としてビオチン(シグマ社製、製品番号B4639)を、該被検体物質に対する結合物質(抗ビオチン抗体:シグマ社製、製品番号B3640)を用いて競合法により測定した。このとき、競合物質としては、該抗ビオチン抗体に対する抗原であるビオチンをウシ血清アルブミン上に固定化したビオチン結合ウシ血清アルブミンを使用した。
ポリスチレンビーズ(90μm-φ:ガンツ化成製)約0.1gを約5mlのリン酸緩衝食塩水(以下「PBS」と称する:シグマ社製、製品番号P4417)で3回洗浄を行った。洗浄後、5mlのPBSに懸濁し、ビーズ懸濁液を得た。ビーズ懸濁液から200μlを分取し、ビーズをスピンダウンしてPBSを除いた後、400μlの抗原(競合)−PBS溶液(抗原濃度20μg/ml)と混合して4℃で一晩撹拌し、ビーズに抗原(競合)を固定化した。抗原(競合)固定化後のビーズを400μlのTween20含有リン酸緩衝食塩水(以下「PBS-T」と称する:シグマ社製、製品番号P3563)で3回洗浄した。続いて、400μlのブロッキング剤(ブロックエース:大日本住友製薬製、カタログ番号UK-B80:滅菌水にて1%濃度に調製)を添加し、室温で2時間撹拌した。その後、400μlのPBS-Tで3回洗浄を行った後、200μlのPBS-Tにビーズを懸濁させて4℃にて実験まで保存した。
まず、抗体(結合物質)を量子ドット標識キット(Qdot(登録商標)655抗体標識キット:住商バイオサイエンス社より購入、商品番号2202-1J)にて、添付のプロトコールに従って標識した。調製した標識化抗体(結合物質)を0.05μg/ml、検出対象抗原(被検物質)を10倍希釈系列で10μg/mlから0.001μg/mlになるように反応用バッファーにて希釈した試料を調製すると共に、ブランク試料として標識化抗体のみの試料も用意した。調製した試料50μl、洗浄用バッファー200μlを、夫々シリンジにて分取し、シリンジポンプに設置した。まず試料を分取したシリンジと上記で調製したマイクロ流路チップをシリコンチューブで接続し、シリンジポンプ(KD Scientific、Model 210)を使用して1μl/minで20μl送液した。次に、試料用シリンジを外してから、洗浄用バッファーを分取したシリンジを同様にマイクロ流路チップに接続して1000μl/minで40μl送液した。送液終了後、直ちに蛍光顕微鏡で蛍光強度を測定した。そして、抗原(被検)の濃度が0の時の蛍光強度を100%として、各抗原(被検)濃度での蛍光強度の相対値を算出した。
・反応用バッファー、及び洗浄用バッファー
リン酸緩衝食塩水(シグマ社製、製品番号P4417の錠剤を1錠、精製水200 mlに溶解して調製)を89 ml、4%ブロックエース(大日本住友製薬製、カタログ番号GJ-1388-03)を10 ml、1(w/v)% TritonX-100(Sigma社製、製品番号T9284を精製水で希釈して調製)を1 mlの割合で混合して調製した。
ここでは、上記(1)で得られた測定結果と理論検量線を比較した。具体的には、理論検量線を作成すると共に、装置パラメーターを決定した。
・抗体濃度0.05μg/ml
・固定抗原(競合)総数1010分子
・抗原(被検)濃度0〜10ppm
・フローセル容積0.075μl
そして、抗体特性値は以下の通りとした。
・抗原(被検)への結合速度定数kon=3×103 M-1s-1
・抗原(被検)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
・固定抗原(競合)への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1
・固定抗原(競合)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
装置パラメーターM=0.01を得た。
そして、上記(1)の被検物質の測定にて得られた各測定値を、図4中の「点」で示すと共に、(2)の理論検量線の作成にて得られた検量線を、図4中の「実線」で示す。
実施例2で得られた装置パラメーターM=0.01を使用し、2種類の抗体に対する抗原の組み合わせ、また、2種類の抗原に対する抗体の組み合わせにおける理論検量線を算出し、この理論検量線を、別個に測定した実験値と比較した。
抗原抗体の組み合わせは以下の通りである。
・抗ビオチン抗体(シグマ社製、製品番号B3640)−ビオチン結合ウシ血清アルブミン(実施例1と同様にして調製)
・抗ビオチン抗体(フナコシ社より購入、商品コード番号UCB 1230-0661)−ビオチン(シグマ社製、製品番号B4639:実施例1と同じものを使用)
・抗原(被検)への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1
・抗原(被検)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
・固定抗原(競合)への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1
・固定抗原(競合)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
・抗原(被検)への結合速度定数kon=2×103 M-1s-1
・抗原(被検)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
・固定抗原(競合)への結合速度定数kon=5×105 M-1s-1
・固定抗原(競合)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
結果を図5、6に示す。
ここで、図5は、抗ビオチン抗体(シグマ社製、製品番号B3640)と、ビオチン結合ウシ血清アルブミンの組み合わせの結果を示す。図6は、抗ビオチン抗体(フナコシ社より購入、商品コード番号UCB 1230-0661)とビオチンの組み合わせの結果を示す。
図5、6に示す通り、理論検量線と、実験値が一致した。
本比較例においては、従来からの経験式からの検量線を作成し、得られた検量線と実測値との整合性を検討し、上記実施例2の結果と比較した。
本比較例においては、実施例2と同様、被検物質ビオチン(シグマ社製、製品番号B4639)を、結合物質(抗ビオチン抗体:シグマ社製、製品番号B3640)を用いて競合法により測定した。このとき、競合物質としては、該抗ビオチン抗体に対する抗原であるビオチンをウシ血清アルブミン上に固定化したビオチン結合ウシ血清アルブミンを使用した。
結果を図7に示す。
図7に示す通り、検量線と実測値は良好な一致を示したが、式(3)は経験式であるため、抗原・抗体・装置(測定条件)の組合せごとに予め測定値から検量線を求めておく必要がある点で煩雑な手順を要した。
本比較例においては、装置パラメーターをM=1として理論検量線を作成し、得られた検量線と実測値との整合性を検討し、上記実施例2の結果と比較した。
本比較例においても、実施例2と同様、被検物質としてビオチン(シグマ社製、製品番号B4639)を、結合物質(抗ビオチン抗体:シグマ社製、製品番号B3640)を用いて、を競合法により測定した。このとき、競合物質としては、該抗ビオチン抗体に対する抗原であるビオチンをウシ血清アルブミン上に固定化したビオチン結合ウシ血清アルブミンを使用した。
結果を図8に示す。
図8に示す通り、固定抗原(競合)への結合が過大に計算されるため実験値と理論検量線が解離した。
本実施例においては、結合物質として使用する抗体濃度変更に対応した検出濃度範囲の調整につき検討した。
実施例2で得た装置パラメーターM=0.01を使用し、実施例2と同様に、但し抗体濃度のみ0.3nMから30nMまで変更して理論検量線を計算した。
・抗原(被検)への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1
・抗原(被検)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
・固定抗原(競合)への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1
・固定抗原(競合)への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
結果を図9に示す。
図9に示す通り、抗体濃度に応じて検出濃度範囲が調整されることを確認した。したがって、本発明の方法によって、抗体濃度に関係なく適用できる理論検量線を提供できることが判明した。
本実施例においては、装置パラメーターに変更に対応した検出濃度範囲の調整につき検討した。
このとき、抗体特性値は以下の通りとした。
・抗原(被検物質)への結合速度定数kon=1×104 M-1s-1
・抗原への解離速度定数koff=1×10-3 s-1、
・固定抗原への結合速度定数kon=1×107 M-1s-1、
・固定抗原への解離速度定数koff=1×10-3 s-1
結果を図10に示す。図10に示す通り、装置パラメーターに応じて検出濃度範囲が調整された。
Claims (8)
- 結合親和性を利用する被検物質の測定方法であって、
ここで、前記測定方法は、測定精度及び測定濃度範囲を調整して被検物質を測定するものであり、以下の工程、
(i)前記被検物質に対する結合親和性を有する結合物質を、架橋物質により架橋処理する工程、
(ii)前記被検物質と、前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質とを、前記工程(i)において架橋処理した結合物質に競合的に反応させる工程、
(iii)前記結合物質と前記競合物質間での複合体の形成を測定する工程、を備え、
前記工程(i)の架橋処理において、前記被検物質の測定精度及び測定濃度範囲を調整するために、所望の測定精度及び測定濃度範囲に応じた結合物質の価数を選択して架橋の程度を増減させる、測定方法。 - 前記結合物質が、抗体である請求項1に記載の測定方法。
- 前記架橋物質が、結合物質に対する抗体である請求項1又は2に記載の測定方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の測定方法を実施するための試薬を備えた、結合親和性を利用する被検物質の測定用キットであって、
前記被検物質に対する結合親和性を有する結合物質、前記結合物質を架橋するための架橋物質、及び前記被検物質と前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質を含むキット。 - 被検物質を測定するための結合親和性解析の制御方法であって、
(i)前記被検物質に対する結合親和性を有する結合物質を、架橋物質により架橋処理する工程、
(ii)前記被検物質と、前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質とを、前記工程(i)において架橋処理された結合物質に競合的に反応させる工程、
(iii)前記結合物質と前記競合物質間での複合体の形成を測定する工程、を備えた試料中の被検物質の測定において、
前記結合物質と前記競合物質の結合の拡散律速反応による阻害を補正するため、測定装置と送液速度を含む物理的反応条件に固有の0より大きく1以下の定数である装置パラメーターを決定し、続いて、
前記架橋処理における架橋の程度を、前記複合体の形成によって生じるシグナルが前記測定装置の検出限界となる結合物質の価数を選択して増減する、制御方法。 - 前記結合物質が、抗体である請求項5に記載の制御方法。
- 前記架橋物質が、結合物質に対する抗体である請求項5又は6に記載の制御方法。
- 請求項5〜7のいずれか一項に記載の制御方法を実施するための試薬を備えた、被検物質を測定するための結合親和性解析の制御用キットであって、
前記被検物質に対する結合親和性を有する結合物質、前記結合物質を架橋するための架橋物質、及び前記被検物質と前記結合物質に対する結合親和性において被検物質と競合する競合物質を含むキット。
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