JP4769171B2 - 体液試料濾過分離装置及び方法 - Google Patents
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Description
本発明は、ディスポーザブルの濾過分離装置として、簡便かつ操作性が安定しており、かつ経済的にも有利な分離装置を提供するものである。
即ち本発明は、
(I)収容容器側面(22)及び端部に収容容器開口部(21)を有する筒状の体液試料収容容器(2)と、
前記収容容器開口部(21)に気密的にスライド可能な濾過ユニット外側面(32)、体液試料を導入するための濾過ユニット開口部(31)、並びに端面に濾液排出口(33)、濾過フィルター収納部(34)及び濾過フィルター(35)を有する体液試料濾過ユニット(3)とを有する、
体液試料濾過分離装置、である。
上記体液試料濾過分離装置の収容容器(2)の収容容器開口部(21)から、体液試料濾過ユニット(3)を収容容器(2)に気密的に装着し、希釈液と体液試料を体液試料濾過ユニット(3)に入れた後、体液濾過ユニット(3)を体液試料収容容器(2)の収容容器開口部(21)側に引き上げることにより、収容容器(2)の中が陰圧となり、希釈検体液が濾過フィルター(35)を通過して収容容器(2)内に濾過分離される。
(II)また、本発明は、体液試料収容容器(2)が更に開閉可能な体液試料排出口(23)を有する、上記(I)記載の体液試料濾過分離装置、に関する。
(III)また、本発明は、体液試料が鼻腔ぬぐい液または鼻腔吸引液である、上記(I)または(II)記載の体液試料濾過分離装置、に関する。
(IV)また、本発明は、上記(I)または(II)に記載した体液試料濾過分離装置の体液試料濾過ユニット(3)を体液試料収容容器開口部(21)に気密的にスライド可能なように装着し、体液試料濾過ユニット(3)に入れた希釈液中に採取した体液試料を溶解又は分散させたのち、体液濾過ユニット(3)を体液試料収容容器(2)の収容容器開口部(21)側に引き上げることにより、体液試料収容容器(2)の中を陰圧とし、希釈体液試料を濾過フィルター(35)を通過させて体液試料収容容器(2)内に移行させる体液試料の濾過分離方法、に関する。
(V)また、本発明は、更に、収容容器(2)内に移行させた体液試料を、開閉可能な体液試料排出口(23)から排出させる事を含む、上記(IV)に記載の体液試料の濾過分離方法、に関する。
(VI)また、本発明は、体液試料が鼻腔ぬぐい液または鼻腔吸引液である、上記(IV)または(V)記載の体液試料濾過分離方法、に関する。
(VII)また、本発明は、上記(I)〜(III)のいずれか一に記載の体液試料濾過分離装置と、メンブレンアッセイ装置を含むアッセイキット、に関する。
(VIII)また、本発明は、メンブレンアッセイ装置が、ラテラルフロー式アッセイ装置である上記(VII)記載のアッセイキット、に関する。
(IX)また、本発明は、インフルエンザウイルスまたはRSウイルス検出用である、上記(VII)または(VIII)記載のイムノアッセイキット、に関する。
また、本発明の濾過分離装置は、濾過された体液試料をアッセイするアッセイ装置の種類によって、構造を適宜変えてもよい。例えば、体液試料濾過ユニット3に設置した濾過フィルターで濾過されて体液試料収容容器に移された希釈体液試料液を、更にアッセイ装置に滴下して供給するか、又はストリップ状の検査試薬を体液試料収容容器2の中に浸漬して検査を行なってもよい。後者の場合には特に必要ではないが、前者の場合には、体液試料収容容器2(例えば、収容容器開口部21の反対側端部)に開閉可能な体液試料排出口23を有することが好ましい。そしてこの場合、前記収容容器2の収容容器側面22は、変形可能であることが好ましい。変形可能な容器側面とすることにより、前記収容容器2に収容された濾液に軽い圧力を加えて、体液試料排出口23から導出させることもできる。さらに、前記収容容器2の容器底部に最終濾過フィルター25を設置してもよい。このような最終濾過フィルター25を設けることにより、前記収容容器2に収容された濾液に軽い圧力をかけて、体液試料排出口23から排出させる時に、体液試料をさらに濾過することもできる。
濾液排出口33、濾過フィルター収納部34、及び濾過フィルター35は、体液試料収容容器2に装着された状態において、体液試料収容容器2側の端面側に設置されていればよい。
体液試料濾過ユニット3内部の濾過フィルター収納部34には、濾過フィルター35が内壁に密着するように収容されている。
この体液試料濾過ユニット3は、体液試料収容容器2に装着した状態で供給してもよく、また個別のユニットとして供給してもよい。また、体液試料濾過ユニット3中に希釈液を入れて、開口部31に蓋36をしたものを供給してもよい。
本発明の装置で濾過を行う対象である体液試料としては、例えば全血、尿、便、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、咽頭ぬぐい液、肺胞洗浄液、喀痰、鼓膜切開・貯留液、スワブ検体として収集された分泌物などを挙げることができる。濾過される固形物は、例えば、全血の場合、濾過される固形物は、例えば赤血球、白血球などの血球成分であり、濾過して得られる液体成分は血漿または血清に相当する成分である。各種ぬぐい液などの場合、試料に混在する生体成分が剥離または分解して凝集した細胞成分などがある。また、これらの試料中には、プロテオグリカン、糖脂質等の粘性物質をはじめ、様々な生体成分が含まれる場合や細菌などの微生物が混在する場合があり、これらの成分の一部はあるいは全てはアッセイ装置によっては、非特異的な反応を誘導する場合があり、上記の成分も本発明の装置で濾過を行う対象となる。本発明の体液試料濾過分離装置を用いると、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液のように粘稠で不溶物が多く、従来の濾過分離装置では迅速に濾過できない体液試料も迅速に濾過することができる。
本発明の1つの好ましい態様として、上述した体液濾過分離装置と、メンブレンアッセイ装置とを共に含むイムノアッセイキットが挙げられる。
図3は装置の平面図であり、図4は、図3のI−I’切断端面である。図3及び4において、(a)は調製した検体試料を滴下するために設置されたサンプル滴下パッドである。(b)は標識物質が乾燥化されて保持される標識物質乾燥パッドである。(c)は滴下された溶液を吸収するためのサンプル吸収パッドである。(d)は被検出物に特異的に結合する捕捉物質が結合したメンブレンであり、(e)、(f)及び(g)は被検出物に特異的に結合する捕捉物質が(d)上でライン状に結合している位置を示す。さらに捕捉物質が結合している位置の下流の位置(h)に標識物質を結合することができる物質、例えば被検出物と同等の反応性を有する物質又は標識物質に結合する抗体を固相してもよい。これにより標識物質が標識物質乾燥パッドから捕捉物質が結合したメンブレン上を流れたことを試験ごとに確認することができる。(h)の位置には発色が認められない場合にはアッセイは無効と判断される。(i)は部材を固定し、強度を増すためのプラスチック製バッキングシートである。(j)はサンプル滴下パッドの一部、標識物質乾燥パッド、サンプル吸収パッド及びメンブレンを被覆する透明プラスチックラミネートである。
(1)ウイルスや細菌等に感染した疑いがある患者の咽頭、鼻腔あるいは直腸等から綿棒等の検体採取器具を用いて直接採取した検体試料を、適当な検体浮遊液に浮遊させる。あるいは患者から採取した鼻腔吸引液、尿、便等の被分析対象物から綿棒等の検体採取器具を用いて採取した検体試料を、後述するような検体浮遊液に浮遊させる。
(2)この浮遊液を、本発明の体液試料濾過分離装置を用いて濾過する。
(3)この濾過液を、メンブレンを備えたアッセイ装置中の被検出物に特異的に結合して被検出物を捕捉する捕捉物質が結合したメンブレンに滴下等により添加して、被検出物をメンブレン上に捕捉させる。この際、濾過液をサンプル滴下パッドに滴下することにより、毛細管現象により被検出物がメンブレンに流れていく。
(4)前記メンブレン上に、被検出物に特異的に結合する検出試薬である標識物質を滴下等により添加し、捕捉物質/被検出物/標識物質の複合体を形成させる。この際、標識物質はあらかじめアッセイ装置に組み込んでおいてもよい。この場合、検体試料を含む浮遊液をアッセイ装置に添加することにより、該浮遊液がアッセイ装置上を流れ、検出試薬を含むパッド部分に到達すると、検出試薬が前記浮遊液に溶解し、被検体とともにメンブレンに到達し、メンブレンの捕捉物質との間で複合体を形成する。
(5)前記複合体中の標識物質により、複合体の存在を検出することにより、検体試料中の被検出物の有無を測定する。
図1に示した本発明の体液試料濾過分離装置と図2に示す装置を用いた場合について、体液試料(鼻腔ぬぐい液)採取、体液試料の濾過、濾液を得るまでの一連の操作時間の測定を行った。
本発明の装置として、図1に示されるような、4μmの保留粒子径を持つセルロース製の粘調液用濾紙No.63(ADVANTEC社製)を濾過フィルターとして装着した体液試料濾過ユニット3を予め体液試料収容容器2に装着し、希釈液300μLを予め前記濾過ユニット3に入れ、蓋をした状態の体液試料濾過分離装置1を用意した。
本発明の装置を用いた場合、採取した鼻腔ぬぐい液の1本を前記濾過ユニットに入れた希釈液300μLに浸して、前記濾過ユニットの内壁に押し付けながら、10回回転させ、体液試料を希釈液に分散し、その後、前記濾過ユニットを前記収容容器より引き抜き、希釈液に分散した体液試料を濾過し、前記収容容器にその濾液を得た。
以上の装置、方法を用いて、体液試料採取から体液試料を濾過し、濾液を得るまでの一連の操作時間の測定を行った結果を下表1に示す。
図1に示した本発明の装置と図2に示す体液試料濾過分離装置について、標準粒子を用いて、濾過性能を確認した。
実施例1において述べたものと同じ構成を有する本発明の装置と図2に示す装置を用意した。
図2に示す体液試料濾過分離装置を用いた場合、標準粒子8μm(DUKE Scientific Corporation製)を体液試料採取容器に入れた希釈液300μLに15μL添加し、その後、標準粒子の分散された希釈液を前記1mLシリンジに移し、ピストンを用いて標準粒子分散液を濾過し、その濾液を濾液収容容器に得た。
各濾液の吸光度OD630nmを分光光度計(HITACHI U−3010)で測定し、濾過前後の吸光度OD630nmから透過率を算出した結果を以下に示す。
ラテラルフロー式メンブレンアッセイによる鼻腔吸引液中のインフルエンザウイルス及びRSウイルスの検出
1.モノクローナル抗体の作製
(1)抗A型インフルエンザウイルスNP(Nucleoprotein;核蛋白)モノクローナル抗体(マウス)の作製
精製A型インフルエンザウイルス抗原を免疫し、一定期間維持したBALB/cマウスから脾臓を摘出し、ケラーらの方法(Kohler et al., Nature, vol, 256, p495-497(1975))によりマウスミエローマ細胞(P3×63)と融合した。得られた融合細胞(ハイブリドーマ)を、37℃インキュベーター中で維持し、A型インフルエンザウイルスNP抗原固相プレートを用いたELISAにより上清の抗体活性を確認しながら細胞の純化(単クローン化)を行った。取得した該細胞2株をそれぞれプリスタン処理したBALB/cマウスに腹腔投与し、約2週間後、抗体含有腹水を採取した。得られた腹水をそれぞれProteinAカラムクロマトグラフィー(アマシャム社製)を用いたアフィニティ精製によってIgGを精製し、2種類の精製抗A型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体を得た。
精製B型インフルエンザウイルス抗原を免疫源としてBALB/cマウスを免疫し、上記抗A型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体と全く同様にして、2種類の精製抗B型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体を得た。
ヒトRSウイルスのFP(Fusion Protein)のアミノ酸配列の一部を合成したポリペプチドを免疫源としてBALB/cマウスを免疫し、上記抗A型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体と全く同様にして、2種類の精製抗RSウイルスFPモノクローナル抗体を得た。
(1)ラテックス標識抗A型インフルエンザウイルス抗体の調製
抗A型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体のうち1種類を50mM MES(2-Morpholinoethanesulfonic acid,monohydrate;同仁化学社)緩衝液(pH6.0)溶液で透析後、赤色ポリスチレンラテックス粒子(粒径0.394μm,表面修飾基はカルボキシル基;メルク社)と混合し、反応させた。次に、EDAC(N-(3-Dimethlaminopropyl)-N’-ethylcarbodiimide hydrochloride;Sigma社)を最終濃度0.1%になるように添加した後、2時間反応させた。洗浄後、最終浮遊液(50mM Tris, 1(W/V)% BSA(ウシ血清アルブミン))中に浮遊し、超音波分散装置(オリンパス社)にかけ、ラテックス粒子を分散させてラテックス標識抗A型インフルエンザウイルス抗体を調製した。
抗B型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体のうち1種類を50mM MES緩衝液(pH6.0)溶液で透析後、青色ポリスチレンラテックス粒子(粒径0.394μm,表面修飾基はカルボキシル基;メルク社)と混合し、反応させ、ラテックス標識抗A型インフルエンザウイルス抗体と同様に処理して、ラテックス標識抗B型インフルエンザウイルス抗体を調製した。
抗RSウイルスFPモノクローナル抗体のうち1種類を50mM MES緩衝液(pH6.0)溶液で透析後、緑色ポリスチレンラテックス粒子(粒径0.394μm,表面修飾基はカルボキシル基;メルク社)と混合し、反応させ、ラテックス標識抗A型インフルエンザウイルス抗体と同様に処理して、ラテックス粒子標識抗RSウイルス抗体を調製した。
(1)ラテックス粒子標識抗体の混合
上記2.(1)、(2)、(3)で作製したラテックス粒子標識抗A型インフルエンザウイルス抗体、ラテックス粒子標識抗B型インフルエンザウイルス抗体及びラテックス粒子標識抗RSウイルス抗体をラテックス濃度がそれぞれ等量になるように、上記2.(1)記載の最終浮遊液で希釈後、室温下にて150rpmで5分間撹拌して等量混合した。
(2)ラテックス粒子標識抗体乾燥パッドの作製
3.(1)で作製したラテックス標識抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いてリール状に巻いた幅15mmのセルロース不織布全面に噴霧した。噴霧後、50℃の温風を60分間吹きつけ乾燥させ、ラテックス標識抗体パッドを作製した。
(1)固相用抗A型インフルエンザウイルス抗体の調製
上記1.(1)で作製した精製抗A型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体のうち標識に用いなかった方を0.22μm濾過し、ミリQ水で希釈して固相用抗A型インフルエンザウイルス抗体を調製した。
(2)固相用抗B型インフルエンザウイルス抗体の調製
上記1.(2)で作製した精製抗B型インフルエンザウイルスNPモノクローナル抗体のうち標識に用いなかった方を0.22μm濾過し、ミリ水で希釈して固相用抗B型インフルエンザウイルス抗体を調製した。
(3)固相用抗RSウイルス抗体の調製
上記1.(3)で作製した精製抗RSウイルスFPモノクローナル抗体のうち標識に用いなかった方を0.22μm濾過し、ミリ水で希釈して固相用抗RSウイルス抗体を調製した。
A型及びB型インフルエンザウイルス及びRSウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置は、図3及び図4に示すものと同様の構成のものを用いた。
メンブレンは、幅3cm×長さ10cmのニトロセルロースメンブレン(孔径12μm;ワットマン社製)シート(白色)を用いた(図3及び図4の(d))。その長軸側の一端(この端を上流端、反対側を下流端とする)から6mm離れた(e)の位置に固相用抗A型インフルエンザウイルス抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布し、10mm離れた(f)の位置に固相用抗B型インフルエンザウイルス抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布し、14mm離れた(g)の位置に固相用抗RSウイルス抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布した。22mm離れた(h)の位置に抗マウスIgG抗体を陽圧噴霧装置(BioJet;BioDot社)を用いて線状に塗布した。塗布後、50℃の温風を90分間吹き付けて乾燥した。
次に、上記3(2)で作製したラテックス粒子標識抗体乾燥パッド(図3及び図4の(b))を幅15mm×長さ10cmに切断し、メンブレンの上面に、メンブレンの上流端が2mm重なる様に配置して貼り付け、さらに幅23mm×長さ10cmのセルロースろ紙(ワットマン社)をラテックス粒子標識抗体乾燥パッドの上面に13mm重なる様に配置して貼り付け、サンプル滴下パッド(図3及び図4の(a))とした。
次に、幅30mm×長さ10cmのセルロースろ紙(ワットマン社)をメンブレンの上面に、メンブレンの下流端と5mm重なる様に配置して貼り付け、サンプル吸収パッド(図3及び図4の(c))とした。
次にサンプル滴下パッドの上流端の幅5mmを除いて、上面全面を透明プラスチックラミネート(Adhesive Research社)で被覆した(図4の(j))。
最後に長軸方向に沿って、5mmずつ切断し、図3及び図4に示すメンブレンアッセイ装置を作製した。
図1に示す本発明の装置として、4μmの保留粒子径を持つセルロース製の粘調液用濾紙No.63(ADVANTEC社製)を濾過フィルターとして装着した体液試料濾過ユニットと体液試料収容容器を用意した。
図2に示す体液試料濾過分離装置として、1mLシリンジ(TERUMO社製)の中に、4μmの保留粒子径を持つセルロース製の粘調液用濾紙No.63(ADVANTEC社製)を濾過フィルターとして装着したものを用意した。
(1)検体の採取と検体試料の調製
臨床的にA型またはB型インフルエンザウイルスあるいはRSウイルス感染が疑われる患者から鼻腔吸引液を採取した。まず、そのうち一部を2mLのウイルス分離用培地に浮遊し、この浮遊液を用いてRT−PCR法により検体中にA型またはB型インフルエンザウイルス遺伝子あるいはRSウイルス遺伝子が存在するかを確認した。なおRT−PCR法は特定の遺伝子部位を増幅する方法であり、一般的に抗原抗体反応を利用した検査法と比較して高感度な方法であることが知られており、信頼性の高い方法である。A型及びB型インフルエンザウイルス遺伝子検出のためのRT−PCR法は、清水の方法(感染症学雑誌、第71巻、第6号、p522−526)で実施した。またRSウイルス遺伝子検出のためのRT−PCR法はStockton等の方法(Journal of Clinical Microbiology、第36巻、p2990−2995、1998年)で実施した。その結果より、A型インフルエンザウイルス遺伝子が検出された鼻腔吸引液を5検体、B型インフルエンザウイルス遺伝子が検出された鼻腔吸引液を5検体、RSウイルス遺伝子が検出された鼻腔吸引液を5検体及びいずれの遺伝子も検出されなかった鼻腔吸引液を5検体それぞれ選び出し、以後の試験に用いた。
図1に示す本発明の装置にて濾過して調製した体液試料と図2に示す体液試料濾過分離装置を用いて濾過して調製した体液試料に、それぞれ上記5.で作製したインフルエンザ及びRSウイルス検出用ラテラルフロー式メンブレンアッセイ装置のサンプル滴下パッド側を浸した。5分後、アッセイ装置を上記体液試料から引き上げて試験を終了させた後、アッセイ装置を観察し、図3あるいは図4の(h)の位置(コントロールライン)に発色が認められた場合を有効とし、(e)の位置に標識に用いた着色ラテックスの色調の発色(この場合、赤色)が認められた場合にはA型インフルエンザウイルス陽性、(f)の位置に着色ラテックスの色調の発色(この場合、青色)が認められた場合にはB型インフルエンザウイルス陽性、(g)の位置に着色ラテックスの色調の発色(この場合、緑色)が認められた場合はRSウイルス陽性、いずれの位置にも発色が認められない場合は陰性と判定した。また(h)の位置に発色が認められない場合を無効とした。
試験の結果を表3に示す。
A型インフルエンザ陽性数:RT−PCRにてA型インフルエンザウイルス遺伝子が検出された鼻腔吸引液から調製された検体試料数(5検体:分母)と、各方法でA型インフルエンザ陽性と判断された数(分子)。
B型インフルエンザ陽性数:RT−PCRにてB型インフルエンザウイルス遺伝子が検出された鼻腔吸引液から調製された検体試料(5検体:分母)と、各方法でB型インフルエンザ陽性と判断された数(分子)。
RSウイルス陽性数:RT−PCRにてRSウイルス遺伝子が検出された鼻腔吸引液から調製された検体試料(5検体:分母)と、各方法でRSウイルス陽性と判断された数(分子)。
陰性数:RT−PCRにて陰性と判定された検体試料(5検体:分母)と、各方法で陰性と判断された数(分子)。
無効数:図3及び図4における(h)の位置に発色が認められなかった検体試料数
本発明による体液試料濾過分離装置を用いることにより、目詰まりを起こさずに、迅速かつ精度よくラテラルフロー式イムノアッセイを行うことができた。
2:体液試料収容容器
21:収容容器開口部
22:収容容器側面
23:検体適下口
24:最終濾過フィルター収納部
25:最終濾過フィルター
3:体液試料濾過ユニット
31:濾過ユニット開口部
32:濾過ユニット外側面
33:濾液排出口
34:濾過フィルター収納部
35:濾過フィルター
36:蓋
a:ろ過材ユニット1
b:ろ過材ユニット2
c:筒状容器
d:ピストン
A:血漿
(a):サンプル滴下パッド
(b):ラテックス粒子標識抗体乾燥パッド(標識物質乾燥パッド)
(c):サンプル吸収パッド
(d):ニトロセルロースメンブレン
(e)〜(g):被検出物に特異的に結合する捕捉物質が(d)上でライン状に結合している位置
(h):標識物質を結合することができる物質が(d)上でライン状に結合している位置
(i):バッキングシート
(j):透明プラスチックラミネート
Claims (9)
- 収容容器側面(22)及び端部に収容容器開口部(21)を有する筒状の体液試料収容容器(2)と、
前記収容容器開口部(21)に気密的に、且つ前記筒の軸方向にスライド可能な濾過ユニット外側面(32)、体液試料を導入するための濾過ユニット開口部(31)、並びに端面に濾液排出口(33)、濾過フィルター収納部(34)及び濾過フィルター(35)を有する体液試料濾過ユニット(3)とを有する、
体液試料濾過分離装置。 - 体液試料収容容器(2)が更に開閉可能な体液試料排出口(23)を有する、請求項1記載の体液試料濾過分離装置。
- 体液試料が鼻腔ぬぐい液または鼻腔吸引液である、請求項1または2記載の体液試料濾過分離装置。
- 請求項1または2に記載した体液試料濾過分離装置の体液試料濾過ユニット(3)を体液試料収容容器開口部(21)に気密的に、且つ前記筒の軸方向にスライド可能なように装着し、体液試料濾過ユニット(3)に入れた希釈液中に採取した体液試料を溶解又は分散させたのち、体液濾過ユニット(3)を体液試料収容容器(2)の収容容器開口部(21)側に引き上げることにより、体液試料収容容器(2)の中を陰圧とし、希釈体液試料を濾過フィルター(35)を通過させて体液試料収容容器(2)内に移行させる体液試料の濾過分離方法。
- 更に、収容容器(2)内に移行させた体液試料を、開閉可能な体液試料排出口(23)から排出させる事を含む、請求項4に記載の体液試料の濾過分離方法。
- 体液試料が鼻腔ぬぐい液または鼻腔吸引液である、請求項4または5記載の体液試料濾過分離方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の体液試料濾過分離装置と、メンブレンアッセイ装置を含むアッセイキット。
- メンブレンアッセイ装置が、ラテラルフロー式アッセイ装置である請求項7記載のアッセイキット。
- インフルエンザウイルスまたはRSウイルス検出用である、請求項7または8記載のアッセイキット。
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