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JP4768569B2 - 感光性組成物及び高分子複合体 - Google Patents

感光性組成物及び高分子複合体 Download PDF

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Description

本発明は、感光性組成物及びそれを用いて形成された高分子複合体に関し、特に、親水性表面を有し且つ力学的強度に優れた高分子複合体に関する。
基材上に高分子膜が設けられた高分子複合体が、バイオセンサーや細胞培養基材等の生化学・医療用デバイスとして使用されている(特許文献1等参照)。この高分子複合体には、表面が親水性であること、即ち、基材上に設けられた高分子膜が親水性であることが求められている。このような高分子複合体の高分子膜を形成できる感光性組成物として、本発明者らは、ポリエチレングリコールに感光基を付与した感光性樹脂と水系溶媒とを有する感光性組成物を提案し、先に出願した。この文献に記載された感光性組成物を光照射して硬化することにより得られる高分子膜は、表面が親水性に富み、さらに生体適合性も有しているため、この感光性組成物を用いて形成した高分子複合体は生化学・医療用デバイスへの用途に適している。
しかし、上記の感光性組成物は、ポリエチレングリコールという水溶性高分子を用いたことにより、親水性表面を得ることができるが、光硬化した高分子複合体が水中での膨潤が大きく、その影響から解像度が低いことや、光硬化した高分子膜が水中での力学的強度が比較的弱く少量の負荷で壊れてしまう部位ができるという問題がある。
特開2005−280076号公報
本発明はこのような事情に鑑み、解像度が良好で、親水性表面を有し且つ水中での力学的強度が高い高分子複合体を形成することができる感光性樹脂組成物及びそれを用いて形成した高分子複合体を提供することを課題とする。
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、平均粒径150nm以下であるナノ微粒子と溶媒と下記式(1)で表される感光性樹脂とを有することを特徴とする感光性組成物にある。
Figure 0004768569
(式(1)中、重合度の平均値nは5以上である。R1及びR2は、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、オキシアルキレン基又は単結合である。X及びYは、それぞれ独立に、下記式(2)で表される感光基ユニット、又は、何れか一方が下記式(2)で表される感光基ユニットでもう一方がアミノ基である。)
Figure 0004768569
(式(2)中、R3は下記式(3)から選択される基で、R4は下記式(4)から選択される基であり、R3及びR4の少なくとも一方にアジド基を有する。)
Figure 0004768569
Figure 0004768569
本発明の第2の態様は、ノニオン系の界面活性剤を有することを特徴とする第1の態様に記載の感光性組成物にある。
本発明の第3の態様は、前記ナノ微粒子が、金属、セラミックス又はポリマーであることを特徴とする第1又は2の態様に記載の感光性組成物にある。
本発明の第4の態様は、前記ナノ微粒子が、コロイダルシリカ又はシルセスキオキサンであることを特徴とする第3の態様に記載の感光性組成物にある。
本発明の第5の態様は、前記感光性樹脂と前記ナノ微粒子との質量比が1:2〜2:1であることを特徴とする第1〜4の何れかの態様に記載の感光性組成物にある。
本発明の第6の態様は、前記溶媒が、水又は水系溶媒であることを特徴とする第1〜5の何れかの態様に記載の感光性組成物にある。
本発明の第7の態様は、基材とこの基材上に設けられた高分子膜とを有し、前記高分子膜は前記基材上に塗布された第1〜6の何れかの態様に記載の感光性組成物を光照射して硬化することにより得られたものであることを特徴とする高分子複合体にある。
本発明の第8の態様は、前記高分子膜は、前記光照射の際に所望のパターンを有するマスクを介して光照射した後、現像することにより得られたものであることを特徴とする第7の態様に記載の高分子複合体にある。
本発明の第9の態様は、前記高分子膜表面の水に対する静的接触角が45゜以下であり、前記高分子膜の貯蔵弾性率(G’)が15Pa・s以上であることを特徴とする第7又は8の態様に記載の高分子複合体にある。
ポリエチレングリコールに所定の感光基を付与した感光性樹脂と平均粒径150nm以下のナノ微粒子と溶媒とを有する本発明の感光性組成物は、解像度が良好で、基材上に親水性を有する高分子膜を形成でき、且つこの高分子膜と基材とからなる高分子複合体は水中での力学的強度が高いという効果を奏する。この高分子複合体は、親水性表面を有し、かつ水中での力学的強度が高いという特徴を有するため、生化学・医療用デバイスの構築に貢献できる。
本発明の感光性組成物は、上記式(1)で表される感光性樹脂と、平均粒径150nm以下のナノ微粒子と、溶媒とを有する。
上記式(1)で表される感光性樹脂のポリエチレングリコールの主鎖の重合度の平均値nは5以上であり、好ましくは20〜230である。平均の重合度が5よりも小さいと、水溶性が低く、また、この感光性樹脂を光照射して硬化することにより得られる高分子膜の親水性を維持することが困難になるためである。特に、重合度が20〜230であると、光照射して硬化することにより得られる高分子膜が親水性を維持するのに十分な親水性となり、なおかつ生体適合性を発揮するのに好適な分子鎖の柔軟性と排除体積を有する。重合度が230よりも大きいと、1分子の感光基のモル濃度が低下するため、光架橋率が低下して光照射して硬化することにより得られる高分子膜の強度が弱くなるので、基材とこの高分子膜からなる高分子複合体の機械的強度が弱くなる。
1及びR2は、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、オキシアルキレン基又は単結合であるが、炭素数1〜20のアルキレン基、アリーレン基、オキシアルキレン基又は単結合であることが好ましく、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキレン基、アリーレン基、オキシアルキレン基又は単結合であり、最も好ましくは単結合又はメチレン基である。X及びYは、少なくとも一方が上記式(2)で表される感光基ユニットであればよく、X及びYがそれぞれ独立に上記式(2)で表される感光基ユニットでも、何れか一方のみが式(2)で表される感光基ユニットでもよい。特に、X及びYが共に式(2)で表される同一の構造であることが好ましい。なお、X及びYの何れか一方のみが式(2)で表される感光基ユニットの場合はもう一方はアミノ基である。式(2)において、R3は上記式(3)から選択される基で、R4は上記式(4)から選択される基であり、R3及びR4の少なくとも一方に少なくとも1個のアジド基を有する。式(2)の具体例としては、下記表1に示す構造(2)−1〜(2)−15を挙げることができる。これらの構造は、上記式(2)において置換基R3及びR4に表1に示される置換基を有する。例えば、構造(2)−1〜(2)−4はR4としてアジド基を有し、(2)−5はR3及びR4共にアジド基を有する。
Figure 0004768569
上記式(1)で表される感光性樹脂の製造方法は特に限定されないが、例えば、アミノ基を末端に有するポリエチレングリコールと、このアミノ基と結合して当該アミノ基と共に上記式(2)の構造を形成する化合物とを反応させればよい。
1及びR2が単結合である式(1)の感光性樹脂を製造する場合は、アミノ基を末端に有するポリエチレングリコールとして、ポリエチレングリコールジアミン等を用いることができる。また、R1又はR2が存在する式(1)の感光性樹脂を製造する場合は、アミノ基を末端に有するポリエチレングリコールとして、ポリエチレングリコールの末端にR1又はR2を介してアミノ基が結合している化合物、例えば、ポリエチレングリコールジプロピルアミン等を用いることができる。
アミノ基を末端に有するポリエチレングリコールのアミノ基と結合して当該アミノ基と共に上記式(2)の構造を形成する化合物としては、例えば、3−(4−アジドフェニル)−N−(4,4’−ジメトキシブチル)−2−フェニルカルボニルアミノ−プロパ−2−エンアミド、2−(3−(4−アジドフェニル)プロプ−2−エノイルアミノ)−N−(4,4−ジメトキシブチル)−3−(3−ピリジル)プロプ−2−エンアミド、3−(4−アジドフェニル)−N−(4,4’−ジメトキシブチル)−2−[(3−ピリジル)カルボニルアミノ]−プロパ−2−エンアミドや、4−((4−アジドフェニル)メチレン)−2−フェニル−1,3−オキサゾリン−5−オン、4−((4−アジドフェニル)メチレン−2−(3−ピリジル)−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−(4−アジドフェニル)−4−(3−ピリジルメチレン)−1,3−オキサゾリン−5−オン、2−(2−(4−アジドフェニル)ビニル)−4−(3−ピリジルメチレン)−1,3−オキサゾリン−5−オン、4−(4−アジド−β−メチル−シンナミリデン)−2−フェニル−2−オキサゾリン−5−オン、4−(4−アジド−β−メチル−シンナミリデン)−2−(3−ピリジル)−2−オキサゾリン−5−オン等、特開2003−292477号公報などに記載される化合物が挙げられる。なお、この化合物は、特開2003−292477号公報に記載される方法で製造することができる。
両末端に同一の上記式(2)の構造を導入する、すなわち、X及びYが同一の式(2)の構造である式(1)の感光性樹脂を得る場合は、アミノ基と結合して当該アミノ基と共に上記式(2)の構造を形成する化合物を、アミノ基を末端に有するポリエチレングリコールのモル当量の2倍以上となる量で反応させればよい。また、片末端に水酸基又はメトキシ基を有し、もう片末端にアミノ基を有するポリエチレングリコールを用いることにより、片末端のみに式(2)の構造を有する式(1)の感光性樹脂を得ることができる。なお、両末端に式(2)の構造を有する感光性樹脂及び片末端に式(2)の構造を有する感光性樹脂の両者を、任意の割合で得たい場合には、必要とする割合に相当するモル当量を反応させればよい。
本発明の感光性組成物が含有するナノ微粒子は、平均粒径150nm以下であればよいが、特に平均粒径5〜150nmが好ましい。平均粒径が150nmより大きいと、基材上に感光性組成物の塗布膜を形成した際に塗布膜が不均一になってしまい、この塗布膜に光を照射して硬化することにより得られた高分子膜からナノ微粒子が露出して高分子複合体の表面物性に影響を与えるため、親水性表面を構築し難いなどの不具合が発生するからである。また、ナノ微粒子の粒径の多分散度については、特に限定されないが、単分散状態のものがより好ましい。平均粒径および多分散度は、例えば動的光散乱測定装置、粒度分布計などを用いることで検出することが可能である。ナノ微粒子の平均粒径の測定方法を例示すると、動的光散乱測定装置として、マルバーン社製、「HPPSゼータサイザー ナノ」を用い、25℃にて、溶媒が水の場合はポリメチルメタクリレート製の測定セルを、溶媒が有機溶媒の場合は石英製のセルを用いて、90秒間測定を行い、その平均から求める方法を挙げることができる。
ナノ微粒子の材質は、一般に知られている公知のナノ微粒子であれば特に限定されないが、例えば、金,銀,銅,白金,アルミニウムなどの金属単体、セラミックスや、無機酸化物、無機炭酸塩、無機硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。無機酸化物としては、コロイダルシリカ,アエロジル,シリカガラス、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化銅、酸化鉛、酸化イットリウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化マグネシウムなどが挙げられ、無機炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。リン酸塩としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムなどが挙げられる。なお、セラミックス微粒子には、ゾル−ゲル法などにより調製されたゾルやゲルなども含まれる。また、ナノ微粒子としてポリマー等の有機微粒子を用いてもよく、有機微粒子としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂からなる粒子や、架橋(メタ)アクリル系樹脂、架橋スチレン系樹脂などの架橋または硬化樹脂からなる粒子、有機顔料などが挙げられる。これらのうち、コロイダルシリカやシルセスキオキサンが好ましい。
ナノ微粒子の形状は、特に制限されないが、例えば、球状、楕円形状、偏平状、ロッド状または繊維状のナノ微粒子が挙げられる。これらのうち、球状のものが好適である。
上記式(1)で表される感光性樹脂と、ナノ微粒子とを溶媒に混合したものが、本発明の感光性組成物である。なお、感光性樹脂もナノ微粒子も、一種用いても複数種類用いてもよい。溶媒は、感光性組成物に含有される成分を溶解できるものである限り特に限定されないが、水または水と相溶性のある有機溶媒との混合溶液を使用することができる。水と相溶性のある有機溶媒の、非限定的な例として、アセトンなどのケトン類、メタノールなどの低級アルコール類、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
本発明の感光性組成物に含有させる上記式(1)で表される感光性樹脂の濃度には感光性樹脂と溶媒との相溶性がある限り特に限定はないが、感光性組成物の全容量に対して0.5〜10質量%であることがより好ましい。10質量%以上であると、感光性組成物の粘度が高くなり、均一な塗布が困難になるためである。
また、感光性組成物中に含有させるナノ微粒子の濃度は、ナノ微粒子と感光性樹脂との相溶性がある限り限定されないが、感光性樹脂とナノ微粒子の質量比が1:2〜2:1が好ましい。
なお、感光基ユニットがイオン性の解離基を有している上記式(1)で表される感光性樹脂を用いる場合は、特に感光性組成物のpHが重要となる。感光基ユニットが周囲のpH環境によって解離―非解離の二つの状態をとり得るので、局所での水溶性が大きく変化するためである。その結果、感光性組成物の基材に対する濡れ性、光照射した際の感度、形成される光硬化した高分子膜の力学強度に、感光性組成物のpHは大きく影響する。本発明の感光性組成物は、pH0〜10で好適に用いることができ、特に好ましくはpH1〜7である。
ここで、本発明の感光性組成物中での上記式(1)で表される感光性樹脂及びナノ微粒子の形態について説明する。まず、上記式(1)で表される感光性樹脂は、親水性であるポリエチレングリコール鎖の両末端又は片末端に上記式(2)で表される疎水的な感光基ユニットが導入されているため、感光性組成物中でミセル等の会合体を形成しうる。当該感光性樹脂においては、会合体形成が特に水中で顕著であることから、疎水的でアミド部位を有する末端ユニットである感光性基ユニットが、疎水性相互作用もしくは水素結合を駆動力としてコアを形成し、その周りをより親水的なポリエチレングリコールユニットが覆うシェルを形成するポリマーミセル構造をとっていると推測される。このような感光性組成物内では、会合体を形成している感光性樹脂と、形成されていないフリーな状態の感光性樹脂とが平衡状態になっていると推測される。
ナノ微粒子は、上述のようなポリマーミセル等の会合体のように、ナノ微粒子同士で会合体を形成したものと単独の粒子状態のものが存在し平衡状態の形態をとっているのではなく、溶媒中においても溶解せず分散している、すなわちナノ微粒子同士が会合体を形成することなく粒子状態のまま安定に存在している。
そして、この感光性樹脂とナノ微粒子の一部は、感光性樹脂により形成された会合体やナノ微粒子をコアとし、フリーの感光性樹脂がこのコア間を橋かけしている凝集構造を形成していると推測される。この凝集構造は粒子径が1μm以上となる。
なお、この凝集構造や空気中の不純物が感光性組成物に存在している場合、基材に感光性組成物を塗布して光照射することにより得られる高分子膜は、時には数十μmの大きさの相分離構造を形成する場合がある。このまま高分子複合体として用いることも可能であるが、用途によっては大きな相分離構造の形成が除去された方が望ましい場合もある。例えば、光の波長より大きなサイズを有しており、なおかつ光の屈折率の異なる部位が光硬化した高分子膜に存在すると、光の散乱や濁度を示す原因となり透明性が著しく低下するためである。そのため凝集構造のような大きな粒子を感光性組成物中から除去するために、当該感光性組成物をろ過しても良い。ろ過の方法は一般に知られている公知の方法で行うことができるが、加圧ろ過、減圧ろ過などがろ過の方法として挙げられる。ろ過膜については、例えば、1μm以上のものをろ別できるものであれば特に限定されないが、例としてセルロースアセテート製メンブレンろ過膜などが挙げられる。
なお、本発明の感光性組成物は界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、親水性−疎水性のユニットなどを有するブロック共重合体からなる高分子ミセル材料などが挙げられる。これらのうち、ノニオン性界面活性剤であることが好ましく、特に、光架橋可能な感光基を有さずオキシエチレンからなる繰り返し単位を有するノニオン性界面活性剤であることが好ましい。このような光架橋可能な感光基を有さずオキシエチレンからなる繰り返し単位を有するノニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、2−エチル−ヘキシル、ラウリル、ステアリルなどの直鎖アルキル基を、片末端又は両末端に有するポリエチレングリコール(オリゴマーおよびポリマー)が挙げられる。
このような本発明の感光性組成物を基材上に塗布して塗布膜を形成し、この塗付膜に光を照射し硬化して高分子膜を形成することにより、基材と基材上に設けられた高分子膜とからなる高分子複合体が形成される。
本発明の感光性組成物を光硬化した高分子膜は親水性に富んでいる。これは、ポリエチレングリコールにおいて、感光性樹脂の両末端に感光基が導入しており、疎水性−親水性−疎水性の形態であるため、疎水性の感光基ユニットが常に会合しているコア部に存在し、その周囲を親水性のポリエチレングリコール鎖が取り巻いている構造となり、表面への疎水部の露出が無いためと推測される。また、親水性表面への影響を与えると推測されるナノ微粒子の大きさが平均粒径150nm以下なので、ナノ微粒子が高分子膜内部に存在し塗布膜および光硬化した高分子膜の架橋点として寄与するため、高分子膜表面に露出しないと推測される。それゆえ、本発明の感光性組成物を光硬化した高分子膜は、例えば基材上を親水化する用途などに用いることができる。
本発明の感光性組成物を用いて光硬化した高分子膜、すなわち、高分子複合体表面の水に対する接触角は、好ましくは70゜以下であり、さらに好ましくは45゜以下である。なお、親水性の指標となる静的接触角の測定方法を例示すると、ファースト・テン・オングストロームズ(First Ten Ångstroms)社製の測定装置「FTÅ125」を用い、大気下、温度25℃、湿度50%の条件下で光硬化した高分子複合体の高分子膜の表面に水の液滴を約2μl滴下し、8秒後の接触角を読み取る方法を挙げることができる。
なお、感光性組成物を塗布する基材の形状および材質は特に制限されない。基材の材質としては、例えば、ガラス、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、シリコン、ダイヤモンド、金属、セラミックスが挙げられる。また、基材の形状としては、例えば、板状、曲面を持った板状、繊維状、ミクロポーラスな表面構造を有する基材、キャピラリー形状、管状などが挙げられる。これらのうち、材質としては、ガラス、熱可塑性樹脂が、形状としては板状のものが、好適に使用することができる。マスクを介してパターン構造物を作成するのに好適に使用することが可能だからである。
本発明の感光性組成物の基材上への塗布操作は、一般に知られている方法でよい。塗布方法を例示すると、スピンコーティング法、ディッピング法、キャスト法などがある。特に好ましくは、スピンコーティング法である。
また、基材の表面に汚染がある場合、感光性樹脂やナノ微粒子の高次の凝集が起きやすくなることがある。凝集を防ぐために、基材表面の洗浄工程を任意に行うことができる。基材の洗浄方法は公知の方法でよいが、例えば、有機溶剤洗浄、アルカリ水溶液洗浄、フッ酸水溶液洗浄などの湿式の洗浄方法、圧縮空気洗浄、オゾン洗浄、プラズマ処理洗浄などの乾式の洗浄方法が挙げられる。
基材上に塗布された感光性組成物の厚みは塗布可能な限り特に限定されないが、好適な膜厚は5nm〜10μmである。膜厚が5nm未満では、均一に膜形成されているかを確認することが容易ではない。また、膜厚が10μmを超えるものを作成する場合は、感光性組成物の溶液の粘度を高くすることが必要となり、塗布工程上の問題が発生しやすくなるためである。勿論、この問題点を考慮に入れて上記範囲外の膜厚とすることは可能である。
基材上に感光性組成物を塗布後、必要に応じて加熱処理を行ってもよい。加熱処理条件に特に限定はないが、通常は30〜150℃で1分〜10時間程度、好ましくは35℃〜120℃で3分〜1時間程度である。
また、基材上に塗布された感光性組成物の全面を露光(光照射)しても、所望のパターンに露光してもよい。パターン露光をした場合は、露光後現像して未露光領域を除去することにより任意のパターン形状の高分子膜を基材上に有する高分子複合体を得ることができる。
パターン露光をする場合は、マスクを介して露光を行えばよい。任意のパターンを形成させるためのマスクとしては、所望のパターンが切り抜かれているマスク又は所望のパターンのみから構成されるマスクを使用することができる。なお、本発明の感光性組成物は上記所定の感光性樹脂を有するが、平均粒径150nm以下のナノ微粒子を有するためか、解像度は良好である。
露光する際の光源は、感光性樹脂を感光可能な光源であれば特に限定されない。例えば、光源としてX線、電子線、エキシマレーザー(F2、ArF、KrFレーザーなど)及び高圧水銀灯を用いることができる。露光エネルギーは感光性の官能基の構造、用いる光源のエネルギーに応じて適宜設定すればよく、通常0.1mJ/cm2〜100J/cm2であり、特に100mJ/cm2〜10J/cm2程度が好ましい。
全面露光した場合、必要に応じて加熱後、水による洗浄を行ってもよい。加熱処理の条件は、通常は30〜150℃で1分〜10時間程度、好ましくは35〜120℃で3分〜1時間程度である。また、パターン露光により光硬化した高分子複合体の物性が変化した後、必要に応じて加熱後、現像処理を行うことができる。この加熱処理の条件は、全面露光した場合と同様である。
現像する際の現像液については、未露光領域と露光領域との溶解度差を十分に有しているものであれば特に限定されない。感光性組成物の塗布膜の未露光領域を溶解できる溶媒としては、水や、水と相溶性のある有機溶媒と水との混合溶液等を用いることができる。水と相溶性のある有機溶媒の非限定的な例として、アセトンなどのケトン類、メタノールなどのアルコール類、アセトニトリル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらを用いる場合には、特に現像残りの無い良好なパターンを好適に作製できる。また、現像液は上述したように混合溶液としてもよく、その濃度は未露光領域を溶解する限り特に限定的ではないが、例えば、現像液が水とメタノールとの混合溶液であれば、メタノールの濃度が0より大きく100%未満の任意の値をとることができる。
現像は、露光後の被処理物を現像液に浸漬する方法、被処理物に現像液を塗付・スプレーする方法などにより行うことができる。現像によるパターン形成後は、必要に応じてリンス、乾燥工程などを加えることもできる。
本発明の感光性組成物を光硬化することにより得られる上記高分子膜を基材上に有する高分子複合体は、乾燥状態、加湿状態、溶液中のいずれの環境下でも、好適に用いることができる。乾燥状態、加湿状態においても十分にその構造を維持することが可能であるのみならず、37℃程度の有機溶媒中、水中または水系溶媒中下においても、長期間、例えば1日以上、さらに10日以上安定にその構造を維持する。溶液下、特に水又は水系溶媒中下で安定に存在できることは重要であり、特に医療デバイスなどに用いる際には、そのデバイス表面は乾燥状態や水溶液、さらには有機溶媒溶液にさらされることが多く、そのどれにも耐性を有していることが求められるからである。
ここで水系溶媒は、水を含有している溶液であれば特に限定されない。水系溶媒としては、例えば、アセトンなどのケトン類、メタノールなどのアルコール類、アセトニトリル、テトラヒドロフランなど水と相溶する有機溶媒と水との混合物、リン酸ニ水素カリウム・リン酸水素ニナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム・炭酸ナトリウム水溶液などの緩衝液、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウムなどの無機・有機塩水溶液、グルコース、ガラクトース、ブドウ糖、澱粉、ヘパリン、ヘパラン硫酸などの、単糖、多糖を含む糖類水溶液、タンパク質水溶液、DNA、RNA水溶液、液体培地、さらにはそれらの混合物を挙げることができる。また水中又は水系溶媒中に溶解せず分散するものを含んでいてもよく、非限定的に例示すると、クレイなどの鉱物類、金ナノ粒子などの金属ナノ微粒子、ポリスチレンビーズ、ラテックス粒子などの高分子ナノ微粒子、動物細胞、植物細胞、微生物、ウイルスなどや、これらの混合物を挙げることができる。
また本発明の高分子複合体を用いることができる温度は、高分子膜や、高分子膜及び基材からなる高分子複合体が不安定にならない限り特に限定されないが、4℃〜80℃の間で好適に用いることができ、10〜60℃の間で特に好適に用いることができる。4℃未満では一部水が凍結して光硬化した高分子膜又は高分子複合体の安定性を損なう可能性があり、80℃を超えると感光性樹脂の感光性基などが分解され高分子複合体を保持し得なくなる可能性があるからである。
本発明の高分子複合体が有する高分子膜の貯蔵弾性率G’は、15Pa・s以上となるため、水中での力学的強度が高い。なお、貯蔵弾性率G’は、ゴム様の弾性体の特性を表すパラメーターであり、この値が高いほどより硬いため、力学的強度に優れていることを意味する。また、貯蔵弾性率G’値は、溶液中の架橋点密度を示している。本発明の感光性組成物の系では溶液中の架橋点密度は、会合体―会合体間の疎水性相互作用によってできた橋かけ(架橋)している構造(二次構造)の架橋点数を示していると考えられる。すなわち、この貯蔵弾性率G’値が高い高分子膜ほど、溶液中で多くの架橋点によるネットワーク構造が存在していることが示唆され、かつ塗布膜作成の過程の濃度上昇で、疎水性相互作用している会合体同士が凝集して、より密な構造体ができることが予想される。したがって、この貯蔵弾性率G’値が高い高分子膜を有する高分子複合体ほど、水中での力学的強度が高い。特に貯蔵弾性率G’が25Pa・s以上であることが好ましい。
貯蔵弾性率G’の測定方法を例示すると、レオロジカ(REOLOGICA)社製の測定装置「VAR−50/100ビスコアナライザー」を用いて測定する。この装置は、光照射しながら動的粘弾性測定を行うことが可能な装置である。なお、照射する露光装置として、高圧水銀灯を光源としたスポット光源を利用し、石英ガラス上に乗せたサンプルへ下から光照射することにより、光硬化物を得ることができる。石英ガラス上では、サンプル−測定プレートの順にサンプルがプレートと石英ガラスに挟まれており、光未照射時(未硬化)から照射中(光硬化中)、照射後(光硬化後)の貯蔵弾性率G’を測定することが可能である。貯蔵弾性率G’の測定条件の詳細は試験例3に記載する。
以下、本発明について実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)感光性組成物IおよびIIの調製
フェニルアジド基とシンナモイル構造を有する感光基を両末端に付与したポリエチレングリコールである下記式で表される感光性樹脂A(ポリエチレングリコール主鎖が平均分子量2000(n=45))又は感光性樹脂B(ポリエチレングリコール主鎖が平均分子量10000(n=225))(共に東洋合成工業(株)製)の水溶液と、表2に示す各ナノ微粒子(平均粒径150nm以下)の水分散液と水とを混合し、感光性樹脂及びナノ微粒子の濃度が表3に示す濃度となるようにそれぞれ溶液を調製した。得られた各溶液を0.45μmフィルターでろ過することにより、感光性組成物I−1〜I−8、II−1〜II−8を得た。
Figure 0004768569
(比較例1)感光性組成物IIIの調製
各ナノ微粒子を添加しない以外は実施例1と同様にして、表3に示す濃度の溶液を調製した。得られた各溶液を0.45μmフィルターでろ過することにより、感光性組成物III−1〜III−2を得た。
(実施例2)感光性組成物IVの調製
感光性樹脂Aの代わりに下記式で表される感光性樹脂Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、表3に示す濃度の溶液を調製した。得られた各溶液を0.45μmフィルターでろ過することにより、感光性組成物IV−1〜IV−8を得た。
Figure 0004768569
(実施例3)感光性組成物Vの調製
感光性樹脂Aの水溶液と、表2のコロイダルシリカ(デュポン社製:LUDOX)と、水とを混合し、感光性樹脂及びナノ微粒子の濃度が表4に示す濃度となるようにそれぞれ溶液を調製した。得られた水溶液を0.45μmフィルターでろ過することにより、感光性組成物V−1〜V−6を得た。
(実施例4)感光性組成物VIの調製
片末端ラウリル化ポリエチレングリコール(ノニオン系界面活性剤、オキシエチレンユニット数=20、商品名:ペグノ−ルL−20S:東邦化学工業(株)製)と、感光性樹脂Aと、表2のコロイダルシリカ(デュポン社製:LUDOX)と、水とを混合し、ノニオン系界面活性剤、感光性樹脂及びナノ微粒子の濃度が表5に示す濃度となるようにそれぞれ溶液を調製した。得られた水溶液を0.45μmフィルターでろ過することにより、感光性組成物VI−1及びVI−2を得た。
(比較例2)感光性組成物VIIの調製
ナノ微粒子として、平均粒径185nmのアルミニウムオキシド分散液(アルドリッチ製)を用いた以外は実施例1と同様にして、表3に示す濃度の溶液を調製した。得られた水溶液は、0.45μmフィルターでろ過することができなかったため、未ろ過の状態で感光性組成物VIIとした。
(実施例5)感光性組成物VIII−1の調製
感光性樹脂Aの水溶液と、表2のコロイダルシリカ(デュポン社製:LUDOX)と、水とを混合し、感光性樹脂及びナノ微粒子の濃度が表6に示す濃度となるように溶液を調製した。得られた水溶液を0.45μmフィルターでろ過することにより、感光性組成物VIII−1を得た。
(比較例3)感光性組成物VIII−2の調製
ナノ微粒子を添加しない以外は実施例5と同様にして、表6に示す濃度の溶液を調製した。得られた各溶液を0.45μmフィルターでろ過することにより、感光性組成物VIII−2を得た。
(試験例1)平均粒径測定
実施例1〜4及び比較例1〜2の各感光性組成物ついて、動的光散乱測定装置(マルバーン社製の測定装置、「HPPSゼータサイザー ナノS」)を用いて、動的光散乱(DLS)測定を行った。測定は、25℃、大気雰囲気下、90秒間積算を行い、その平均から求めた。また、表2に示す各ナノ微粒子分散液についても、同様に測定して、平均粒径を求めた。得られた結果を表2〜表5に示す。
この結果、各実施例の感光性組成物は、粒径5nm〜2μm以上の広い範囲で、会合体を形成していることがわかった。また、得られた感光性組成物の粒径分布において単分散を示す粒径分布が多かったこと、そして表2に示したナノ微粒子の平均粒径と感光性組成物の動的光散乱測定結果の平均粒径が異なるが、使用したナノ微粒子単独の大きさと感光性樹脂単独の大きさとを単純に合わせた平均粒径に当てはまらないことから、ナノ微粒子と感光性樹脂はそれぞれ単独で溶媒中に存在しているのではなく、感光性樹脂により形成された会合体やナノ微粒子をコアとし、両末端に光架橋可能な官能基を有するポリエチレングリコール(感光性樹脂)がコア間を橋かけしてサイズが大きくなった会合体を形成していると推測される。また、感光性樹脂濃度を5wt%に固定し、添加するナノ微粒子濃度を0.5〜10wt%とした感光性組成物V−1〜V−6では、粒径分布は単分散であり、しかも添加するナノ微粒子の濃度を上下させることによって、感光性組成物の動的光散乱測定結果の平均粒径の大きさも上下することがわかった。したがって、添加するナノ微粒子濃度を変化させることにより、会合体の粒径の制御が可能であることがわかった。
Figure 0004768569
Figure 0004768569
Figure 0004768569
Figure 0004768569
Figure 0004768569
(実施例6)感光性組成物Iを用いた高分子複合体
感光性組成物I−1をソーダライム製スライドガラス(松浪硝子工業(株)製)に滴下後、スピンコーティング法(1000rpm×30秒)により塗布膜を作成し、60℃で10分乾燥後、室温まで冷却した。その後高圧水銀灯によって全面露光(露光量:1000mJ/cm2)を行った。25℃の水中で1分間洗浄を行った後、60℃で10分間乾燥を行い、基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例7)
露光する際直径100μmのホールが多数配設されたパターンが得られるようにマスクを介して露光する以外は実施例6と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例8)
露光する際100μm/200μmのライン/スペースパターンが得られるようにマスクを介して露光する以外は、実施例6と同様にして、100μm/200μmのライン/スペースパターンが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例9)
感光性組成物I−1をソーダライム製22mmφカバーガラス(松浪硝子工業(株)製)に滴下後、スピンコーティング法(2500rpm×30秒)により塗布膜を作成し、60℃で10分乾燥後、室温まで冷却した。その後高圧水銀灯によって全面露光(露光量:1000mJ/cm2)を行った。25℃の水中で1分間洗浄を行った後、60℃で10分間乾燥を行い、基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例10)
露光する際、直径100μmのホールが多数配設されたパターンが得られるようにマスクを介して露光する以外は実施例9と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例11)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物I−5を用いた以外は、実施例9と同様にして、基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例12)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物I−5を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例13)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物I−7を用いた以外は、実施例9と同様にして、基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例14)感光性組成物IIを用いた高分子複合体
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物II−1を用いた以外は、実施例8と同様にして、100μm/200μmのライン/スペースパターンが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例15)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物II−4を用いた以外は、実施例9と同様にして基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例16)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物II−7を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例17)感光性組成物IVを用いた高分子複合体
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物IV−5を用いた以外は、実施例9と同様にして基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例18)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物IV−8を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例19)感光性組成物V−1を用いた高分子複合体
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−1を用いた以外は、実施例9と同様にして基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例20)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−1を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例21)感光性組成物V−2を用いた高分子複合体
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−2を用いた以外は、実施例8と同様にして、100μm/200μmのライン/スペースパターンが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例22)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−2を用いた以外は、実施例9と同様にして基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例23)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−2を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例24)感光性組成物V−3を用いた高分子複合体
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−3を用いた以外は、実施例9と同様にして基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例25)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−3を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例26)感光性組成物V−4を用いた高分子複合体
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−4を用いた以外は、実施例8と同様にして、100μm/200μmのライン/スペースパターンが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例27)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−4を用いた以外は、実施例9と同様にして基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例28)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−4を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例29)感光性組成物V−5を用いた高分子複合体
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−5を用いた以外は、実施例9と同様にして基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例30)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−5を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例31)感光性組成物V−6を用いた高分子複合体
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−6を用いた以外は、実施例8と同様にして、100μm/200μmのライン/スペースパターンが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例32)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−6を用いた以外は、実施例9と同様にして基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例33)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物V−6を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例34)感光性組成物VI−1を用いた高分子複合体
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物VI−1を用いた以外は、実施例8と同様にして、100μm/200μmのライン/スペースパターンが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例35)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物VI−1を用いた以外は、実施例9と同様にして基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例36)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物VI−1を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(実施例37)感光性組成物VI−2を用いた高分子複合体
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物VI−2を用いた以外は、実施例9と同様にして基材上に光硬化した高分子膜を有する高分子複合体を得た。
(実施例38)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物VI−2を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
(比較例4)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物VIIを用いた以外は、実施例9と同様にして、高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。しかし、感光性組成物I−1〜I−8のような均一な表面は得られず、不均一で相分離を起こした表面が得られた。これは、平均粒径が150nmより大きいナノ微粒子を添加したことにより、ナノ微粒子をコアとして会合体を形成後、会合体間の凝集が密になり、より大きな粒子を形成したため、高分子膜の表面に凝集物が露出し、相分離を起こしたためと推測される。
(比較例5)
感光性組成物I−1の代わりに感光性組成物III−2を用いた以外は、実施例10と同様にして、ホールが形成された高分子膜を基材表面に有する高分子複合体を得た。
感光性組成物III−2(比較例5)と感光性組成物I−1〜I−8の塗布膜の均一性を比較したところ、ナノ微粒子添加無しの感光性組成物III−2に比べ、ナノ微粒子を添加した感光性組成物I−1〜I−8のほうがより均一な膜が得られた。この結果によって、ナノ微粒子を添加することにより、塗布膜作成プロセスが向上したことを確認した。
(試験例2)光硬化した高分子複合体の水に対する静的接触角測定
実施例9〜38のうち全面露光を行ったものについて、高分子膜表面の水に対する静的接触角測定を行った。用いた装置は、ファースト・テン・オングストロームズ(First Ten Ångstroms)社製の静的接触角計「FTÅ125」であり、測定環境は、大気下、25℃、相対湿度50%である。測定は基材上に設けられた高分子膜に、水の液滴を約2μl滴下し、8秒後の接触角を読み取ることで行った。結果を表2および表3に示す。感光性組成物I、II、IV、Vを用いて作成した高分子複合体の高分子膜表面は、接触角が17゜〜66゜範囲で、しかも大部分は17゜〜45゜の親水的表面を示した。
(試験例3)高分子膜の貯蔵弾性率G’測定
実施例5の感光性組成物VIII−1および比較例3の感光性組成物VIII−2を用いて形成した高分子膜について、光未照射時あるいは光照射5000mJ/cm2後の貯蔵弾性率G’の測定を行った。具体的には、レオロジカ(REOLOGICA)社製の測定装置「VAR−50/100ビスコアナライザー」のUV硬化測定セルを用いて測定した。なお、それぞれに共通の測定条件として、測定器具にパラレルプレート(20mmφ)を用い、周波数1Hz、応力1Paとした。また、測定環境は、大気下、25℃、相対湿度50%の条件下で測定した。なお、感光性組成物に光照射する条件は、光照射の照度(UV365nm照度計)5mW、照射時間1000sec.と設定した。測定の結果を表6に示す。
固形分濃度20wt%での光5000mJ/cm2照射後の貯蔵弾性率G’値の結果から、感光性組成物VIII−1とVIII−2で比較したところ、感光性組成物VIII−1の方が約5倍高くG’=28.1Pa・sを示すことがわかった。このことから、感光性樹脂とナノ微粒子とを混合した感光性組成物を光硬化後の高分子膜は、ナノ微粒子を添加していない感光性組成物の高分子膜よりも、膜強度が高く、物理的性能が向上した膜を得ることができることを確認した。
(試験例4)高分子複合体の溶媒暴露試験
実施例6〜38で得られた高分子複合体を、25℃あるいは37℃で、水中、各種水系溶媒中、または有機溶媒中に浸漬し、3日後および10日後の高分子複合体を観察して、水中、各種水系溶媒中、または有機溶媒中での高分子膜の形状、基材からの剥離安定性を評価した。なお、使用した溶媒は、純水、リン酸ニ水素カリウム・リン酸水素ニナトリウム水溶液(リン酸緩衝液、pH7.4)、10%アセトン水溶液、5%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液、10%牛胎児血清含有ダルベッコ変法イーグル培地(日水製薬(株)製:Doulbecco’s Modified Eagle’s Medium)、アセトンである。なお、一例として、37℃でリン酸緩衝液に浸漬した実施例8の高分子膜について、浸漬前後の高分子膜の状態を、図1に示す。
実施例6〜38のうち、すべての高分子膜は、種々の溶媒中に浸漬した試験において、浸漬前後で表面形状は変化が無く、膨潤による高分子膜の基板からの剥離、あるいは崩壊が見られない安定な状態であった。
溶媒暴露試験前後の高分子膜の状態の一例を示す図である。

Claims (9)

  1. 平均粒径150nm以下であるナノ微粒子と溶媒と下記式(1)で表される感光性樹脂とを有することを特徴とする感光性組成物。
    Figure 0004768569
    (式(1)中、重合度の平均値nは5以上である。R1及びR2は、それぞれ独立に、アルキレン基、アリーレン基、オキシアルキレン基又は単結合である。X及びYは、それぞれ独立に、下記式(2)で表される感光基ユニット、又は、何れか一方が下記式(2)で表される感光基ユニットでもう一方がアミノ基である。)
    Figure 0004768569
    (式(2)中、R3は下記式(3)から選択される基で、R4は下記式(4)から選択される基であり、R3及びR4の少なくとも一方にアジド基を有する。)
    Figure 0004768569
    Figure 0004768569
  2. ノニオン系の界面活性剤を有することを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
  3. 前記ナノ微粒子が、金属、セラミックス又はポリマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性組成物。
  4. 前記ナノ微粒子が、コロイダルシリカ又はシルセスキオキサンであることを特徴とする請求項3に記載の感光性組成物。
  5. 前記感光性樹脂と前記ナノ微粒子との質量比が1:2〜2:1であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の感光性組成物。
  6. 前記溶媒が、水又は水系溶媒であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の感光性組成物。
  7. 基材とこの基材上に設けられた高分子膜とを有し、前記高分子膜は前記基材上に塗布された請求項1〜6の何れかに記載の感光性組成物を光照射して硬化することにより得られたものであることを特徴とする高分子複合体。
  8. 前記高分子膜は、前記光照射の際に所望のパターンを有するマスクを介して光照射した後、現像することにより得られたものであることを特徴とする請求項7に記載の高分子複合体。
  9. 前記高分子膜表面の水に対する静的接触角が45゜以下であり、前記高分子膜の貯蔵弾性率(G’)が15Pa・s以上であることを特徴とする請求項7又は8に記載の高分子複合体。
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