JP4766918B2 - 製本用表紙部材及び製本方法 - Google Patents

Description

本発明は、製本用表紙部材及び製本方法に関し、用紙束の背面に接着剤を塗布して製本する際に、用紙束と同じ大きさをなして表題等を印字した表紙を背表紙部材と共にくるみ製本する技術に係るものである。

従来、この種の製本技術に係る製本装置を開示するものとして特許文献１がある。これは、回転しながら用紙束の一側縁に沿って移動するローラーにより、接着剤溜内で溶融した接着剤を用紙束の背面部に塗布し、接着剤を塗布した用紙束の背面部に別途の表紙を押圧し、用紙束の両側から表紙を挟み込んでくるみ製本するものである。この表紙は表表紙、裏表紙、背表紙の各部を備えた１枚の表紙部材からなる。

また、特許文献２には、製本テープ貼り方法および装置が開示されている。これは、書類の背の長さにほぼ等しい幅を有する製本テープの巻き束から製本テープを引き出し、製本テープを書類の厚みに合わせてテープカッターで書類の背の長さ方向に切断するものである。

また、特許文献３には、背貼り用テープ貼付装置が開示されている。これは、冊子載せ台の側面に沿ってスライダーを移動させ、スライダーに備えたテープロールから冊子と同じ程度のテープ幅を有する背貼り用テープを引き出しながら冊子に貼着するものである。

また、特許文献４には、簡易製本具が開示されている。これは、オモテ表紙またはウラ表紙の少なくとも一方の側部において、粘着帯から成る背表紙を接着するための領域に、剥離剤処理部を形成したものである。

また、特許文献５には、製本用表紙が開示されている。これは、表表紙の一側縁に接着面を設け、この接着面の幅方向に第１の剥離紙片および第２の剥離紙片を仮接着し、裏表紙に上記表表紙の接着面を接着する被接着部を有するものである。
特開２００４−２０９７４２号公報 特開平８−７２４３４号公報 特開２００２−９６５７５号公報 特公平５−８４７５４号公報 実開昭５６−１０２０６４号公報

ところで、特許文献１のくるみ製本では、本文等を印刷した印刷物の用紙束とは別途に、表紙として表表紙、裏表紙、背表紙の各部を備えた１枚の表紙部材を用意しておく必要があり、表紙部材に用紙束の用紙の２倍以上の大きさが必要となる。また、表紙部材は製本装置の製本最大厚を考慮したものが必要であり、製本後に表紙の余剰部位を切断する必要がある。

また、表紙としては、本文等を印刷した用紙と同じ大きさの用紙に表題等を印刷したものがあり、例えばプリンター装置で冊子等を印刷する場合には、一度の印刷操作において本文等を印刷した頁と表題等を印刷した表紙の頁とを一束の印刷物として排紙する場合がある。このように、表紙が本文等を印刷した印刷物と同じ大きさである場合には、くるみ製本を行うことができない。

特許文献２および３のように、製本テープによって製本する場合には、製本テープの粘着力だけで用紙束の背面を接着する状態となるので、製本した用紙束から各用紙の剥がれが起き易く、強固な製本を行い難い。

特許文献４および５のように、表紙として本文等を印刷する用紙とは異なる表紙部材を用いる場合には、本文等の印刷と表題等の印刷とを同じ印刷操作において行うことができず、別途の印刷操作において表紙部材に印刷する必要がある。

本発明は上記した課題を解決するものであり、本文等を印刷した用紙の束とこの用紙と同等の用紙に印刷した表紙とをくるみ製本と同等の製本操作において製本することができ、製本テープによる製本と同様に簡単に製本を行うことができ、用紙束の背面部の接着を強固に行うことができる製本用表紙部材及び製本方法を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明の製本用表紙部材は、用紙束の背面に接着剤を塗布してくるみ製本するのに用いるものであって、用紙束の綴じ側縁に沿った長辺方向に前記綴じ側縁と同等の所定長さを有するとともに、接着側面の少なくともノド部に対応する部位に粘着面を有し、用紙束の背面およびノド部に接着する背表紙部材と、前記粘着面の前記長辺方向に沿った側端に剥離可能に貼付し、小口側の端縁を基準として背表紙部材を用紙束の背面に対して位置決めする補助部材を備えるものである。
また、標識を有する表紙台上において前記標識に位置合わせして配置する前記補助部材を備えるものである。

また、背表紙部材が接着側面の全面に粘着面を有し、粘着面が補助部材を貼付した部位を除いて剥離部材で被覆されてなるものである。
また、補助部材が合成樹脂製のシート材からなるものである。

また、補助部材が紙材からなり、背表紙部材の粘着面から剥離可能な剥離部材を有するものである。
また、補助部材は、背表紙部材の粘着面に貼付する一辺が用紙束の綴じ側縁から所定距離をあけて位置し、他辺が製本対象の用紙束の小口側縁に対応する寸法を有するものである。

本発明の製本方法は、用紙束を挟持して用紙束の背面に接着剤を塗布し、背表紙部材の両側に補助部材を剥離可能に貼付してなる製本用表紙部材を用紙束の背面に対向して配置し、補助部材により背表紙部材を用紙束の背面に対して位置決めし、くるみ製本操作により背表紙部材を用紙束の背面に接着剤を介して圧着し、その後に、補助部材が介在することでノド部に対して未接着状態の背表紙部材の両側から補助部材を剥離し、補助部材が剥離した背表紙部材の両側の粘着面を用紙束のノド部に接着して製本するものである。

補助部材が小口側の端縁を基準として背表紙部材を用紙束の背面に対して位置決めするものである。
製本用表紙部材は、背表紙部材が接着側面の全面に粘着面を有し、粘着面が補助部材を貼付した部位を除いて剥離部材で被覆されてなり、剥離部材を除去した後に用紙束の背面に対向して配置するものである。

本発明によれば、用紙束の用紙とは別途の表紙で用紙束をくるんで行うくるみ製本と同様の操作において、補助部材で背表紙部材を用紙束の背面に位置決めすることにより、用紙と同じ大きさの表紙を含む用紙束を背表紙部材でくるみ製本することができ、用紙束の背面に塗布する接着剤で用紙束の各用紙を強固に接着することができるとともに、用紙束の背面と背表紙部材を接着剤で接着することができる。また、くるみ製本操作後に、補助部材を背表紙部材から剥離させ、背表紙部材を粘着面で表紙に接着することで、製本完了後の冊子に補助部材が残らず、ノド部に流出した接着剤を背表紙部材が覆った状態となり、製本テープを使用する製本と同様に簡単に見栄えの良い製本を行うことができる。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。はじめに、本発明の製本用表紙部材を使用する製本装置を説明する。
図４〜図９において、製本装置（接着剤塗布装置）１は、本体ケーシング２の内部に塗布ユニット３、脱臭ユニット４、表紙圧着手段をなす圧着ユニット５を配置しており、本体ケーシング２の上部に用紙束６を挟持する挟持手段をなすクランプ部７と、熱可塑性樹脂からなる粒状のホットメルト接着剤８を貯留する接着剤供給ユニット９のホッパー１０とを配置している。

本体ケーシング２の前部にはクランプ部７の操作ノブ１１と、用紙束６の表紙１２もしくは後述する表紙部材を配置する表紙台１３と、製本操作の操作部１４とを配置している。

クランプ部７は、本体ケーシング２の上部開口１５から一部が外部へ突出する固定クランプ１６と可動クランプ１７を備え、固定クランプ１６および可動クランプ１７のそれぞれに用紙束保持部材１８を設けている。表紙台１３には表紙もしくは表紙部材を位置決めするための標識１９を用紙サイズおよび配置形態に応じて複数位置に設けている。

圧着ユニット５はモーター等の駆動装置によって上下、前後に移動する基部２１と、基部２１に固定した固定板２２と、固定板２２に固定配置した押え部２３と、固定板２２の上で押え部２３に対して接近離間する可動板２４を設けている。

上記した構成において、図９の（ａ）に示すように、初期状態において塗布ユニット３は待機位置にある。次に、図９の（ｂ）に示すように、操作部１４でのスタート操作を受けると制御部（図示省略）は圧着ユニット５をクランプ部７の下方の上位の所定位置にまで上昇させ、圧着ユニット５の固定板２２をクランプ部７の固定クランプ１６および可動クランプ１７の下端との間に所定間隙をあけて配置する。

この状態で、用紙束６を双方の用紙束保持部材１８の間および固定クランプ１６と可動クランプ１７の間に挿入し、用紙束６の一側辺を固定板２２で揃える。そして、操作ノブ１１を回転操作し、可動クランプ１７を固定クランプ１６に接近させ、用紙束６を可動クランプ１７と固定クランプ１６の間に挟持する。

次に、図９の（ｃ）に示すように、用紙束６の挟持が完了した後に、再度のスタート操作を受けると制御部は圧着ユニット５を下位の所定位置まで降下させる。
くるみ製本を行う場合に制御部は、表紙台１３に表紙１２を載置して再度のスタート操作を受けると糊付け操作に入る。天糊製本を行う場合には再度のスタート操作を受けずに糊付け操作に入る。

糊付け操作において制御部は、塗布ユニット３を往復移動させながら、塗布ローラ３ａの回転によって接着剤８を用紙束６の背面に往路と復路の両方で塗布する。天糊製本の場合は、所定時間の経過後に、操作ノブ１１を操作して可動クランプ１７を固定クランプ１６から離間させ、クランプ部７を開放することで製本を排出する。

くるみ製本を行う場合には、図９の（ｄ）に示すように塗布ユニット３が待機位置に戻ると、図８の(ｂ)および図９の（ｅ）に示すように、制御部は圧着ユニット５を上位の所定位置まで上昇させ、表紙台１３に載せた表紙１２を固定板２２で用紙束６の背面に押圧する。背面への押圧により、背面に塗布された接着剤がノド部に押出される。

次に、図８の(ａ)および図９の（ｆ）に示すように、制御部は可動板２４を押え部２３に向けて押圧し、可動板２４と押え部２３の間で表紙１２および用紙束６を圧着することにより押出された接着剤によってノド部を接着する。そして、所定時間の経過後に、操作ノブ１１を操作して可動クランプ１７を固定クランプ１６から離間させ、クランプ部７を開放することで、図９の（ｇ）に示すような製本を排出する。

以下に、上述した製本装置１を用いて本発明の製本用表紙部材で製本する場合を説明する。図１において、用紙束６は表題等を印刷した表紙を含むものであり、表紙は用紙束６の用紙と同一寸法である。製本用表紙部材５０は、製本装置１において前述した表紙１２に代えて使用するもので、用紙束６の背面６ａに接着剤８を塗布してくるみ製本するものであり、用紙束６の背面６ａおよびノド部６ｂに接着する背表紙部材５１と補助部材（仮表紙部）５２からなる。

背表紙部材５１は、用紙束６の綴じ側縁６ｃに沿った長辺方向（用紙束６の用紙の長辺方向を意味するものではない）に綴じ側縁６ｃと同等の所定長さを有するとともに、接着側面の全面に粘着面を有している。

補助部材５２は、小口側の端縁５２ａを基準として背表紙部材５１を用紙束６の背面６ａに対して位置決めするためのものであり、表紙台１３の標識１９に位置合わせすることが可能な形状、寸法であれば良い。

図１（ｂ）に示すように、背表紙部材５１は補助部材５２を貼付する両側の粘着面５１ａを覆って剥離部材５３を配置し、補助部材５２を貼付する部位を除いた粘着面５１ｂを覆って保護剥離部材５４を配置している。

補助部材５２は背表紙部材５１の粘着面５１ａを覆って配置した剥離部材５３に側端を接着しており、剥離部材５３を介して背表紙部材５１の長辺方向に沿って粘着面５１ａに剥離可能に貼付されている。

本実施の形態において、補助部材５２は背表紙部材５１の粘着面に貼付する一辺をなす綴じ側の端縁５２ｂが用紙束の綴じ側縁６ｃから所定距離Ｌをあけて位置し、他辺の小口側の端縁５２ａが用紙束の小口側縁６ｄに対応する寸法を有する。

補助部材５２に合成樹脂製のシート材を用いる場合には、補助部材５２が剥離性を備えることから剥離部材５３が不要となる。このため、図１(ｃ)に示すように、背表紙部材５１の両側の粘着面５１ａに補助部材５２を直接に剥離可能に貼付し、補助部材５２を貼付した部位を除いた粘着面５１ｂを覆って保護剥離部材５４を配置する。

上述した構成の製本用表紙部材５０で表紙を含む用紙束６をくるみ製本する場合には、図９において説明したくるみ製本の手順において表紙１２に代えて使用する。図２(ａ)に示すように、製本用表紙部材５０は、その使用時に保護剥離部材５４を剥離した状態とする。この粘着面５１ｂを露出させた製本用表紙部材５０を表紙台１３に配置し、補助部材５２を表紙台１３の標識１９に位置合わせすることで、用紙束６の背面６ａに対して背表紙部材５１を位置決めする。

そして、くるみ製本において、背表紙部材５１の粘着面５１ｂを用紙束６の背面６ａに接着剤８を介して圧着し、背面６ａへの押圧によりノド部へ押出された接着剤を介して背表紙部材５１の粘着面５１ｂの一部（距離Ｌの幅）をノド部に接着し、補助部材５２が介在することでノド部６ｂに対して背表紙部材５１の両側を未接着な状態にして、製本装置１から製本を排出する。

図２(ｂ)に示すように、製本装置１から排出した製本において、補助部材５２を剥離部材５３とともに剥離し、図２(ｃ)に示すように、補助部材５２を剥離させた背表紙部材５１の両側の粘着面５１ａを用紙束６のノド部６ｂに接着して製本を完了する。

図３は本発明の他の実施の形態を示すものである。製本用表紙部材５０は、図３（ｂ）に示すように、背表紙部材５１の接着側面の長辺方向に沿った両側に補助部材５２を貼付する粘着面５１ａを有し、粘着面５１ａを覆って剥離部材５３を配置している。

補助部材５２は背表紙部材５１の粘着面５１ａを覆って配置した剥離部材５３に側端を接着しており、剥離部材５３を介して背表紙部材５１の長辺方向に沿って粘着面５１ａに剥離可能に貼付されている。

補助部材５２に合成樹脂製のシート材を用いる場合には、補助部材５２が剥離性を備えることから剥離部材５３が不要となる。このため、図３(ｃ)に示すように、背表紙部材５１の両側の粘着面５１ａに補助部材５２を直接に剥離可能に貼付する。

この構成の製本用表紙部材５０で表紙を含む用紙束６をくるみ製本する場合には、製本用表紙部材５０を表紙台１３に配置し、補助部材５２を表紙台１３の標識１９に位置合わせすることで、用紙束６の背面６ａに対して背表紙部材５１を位置決めし、図９において説明したくるみ製本を行う。他の作用効果は先の実施の形態と同様であり、説明を省略する。

(ａ)〜(ｃ)は、本発明の実施の形態における製本用表紙部材の構成を示す斜視図 (ａ)〜(ｃ)は、同実施の形態における製本用表紙部材の使用手順を示す説明図 (ａ)〜(ｃ)は、本発明の他の実施の形態における製本用表紙部材の構成を示す斜視図 本発明の実施の形態における製本装置を示す斜視図である。 同製本装置の正面図である。 同製本装置の側面図である。 同製本装置の表紙台を示す要部拡大図 (ａ)、(ｂ)は同製本装置のクランプ部の側面図である。 同製本装置の製本動作を説明する模式図である。

符号の説明

１ 製本装置
２ 本体ケーシング
３ 塗布ユニット
３ａ 塗布ローラ
４ 脱臭ユニット
５ 圧着ユニット
６ 用紙束
６ａ 背面
６ｂ ノド部
６ｃ 綴じ側縁
６ｄ 小口側縁
７ クランプ部
８ ホットメルト接着剤
９ 接着剤供給ユニット
１０ ホッパー
１１ 操作ノブ
１２ 表紙
１３ 表紙台
１４ 操作部
１５ 上部開口
１６ 固定クランプ
１７ 可動クランプ
１８ 用紙束保持部材
１９ 標識
２１ 基部
２２ 固定板
２３ 押え部
２４ 可動板
５０ 製本用表紙部材
５１ 背表紙部材
５１ａ 粘着面
５１ｂ 粘着面
５２ 補助部材
５２ａ 小口側の端縁
５２ｂ 綴じ側の端縁
５３ 剥離部材
５４ 保護剥離部材

Claims (8)

1. 用紙束の背面に接着剤を塗布してくるみ製本するのに用いるものであって、用紙束の綴じ側縁に沿った長辺方向に前記綴じ側縁と同等の所定長さを有するとともに、接着側面の少なくともノド部に対応する部位に粘着面を有し、用紙束の背面およびノド部に接着する背表紙部材と、前記粘着面の前記長辺方向に沿った側端に剥離可能に貼付し、小口側の端縁を基準として背表紙部材を用紙束の背面に対して位置決めする補助部材を備えることを特徴とする製本用表紙部材。
2. 背表紙部材が接着側面の全面に粘着面を有し、粘着面が補助部材を貼付した部位を除いて剥離部材で被覆されてなることを特徴とする請求項１に記載の製本用表紙部材。
3. 補助部材が合成樹脂製のシート材からなることを特徴とする請求項１に記載の製本用表紙部材。
4. 補助部材が紙材からなり、背表紙部材の粘着面から剥離可能な剥離部材を有することを特徴とする請求項１に記載の製本用表紙部材。
5. 補助部材は、背表紙部材の粘着面に貼付する一辺が用紙束の綴じ側縁から所定距離をあけて位置し、他辺が製本対象の用紙束の小口側縁に対応する寸法を有することを特徴とする請求項１に記載の製本用表紙部材。
6. 用紙束を挟持して用紙束の背面に接着剤を塗布し、背表紙部材の両側に補助部材を剥離可能に貼付してなる製本用表紙部材を用紙束の背面に対向して配置し、補助部材により背表紙部材を用紙束の背面に対して位置決めし、くるみ製本操作により背表紙部材を用紙束の背面に接着剤を介して圧着し、その後に、補助部材が介在することでノド部に対して未接着状態の背表紙部材の両側から補助部材を剥離し、補助部材が剥離した背表紙部材の両側の粘着面を用紙束のノド部に接着して製本することを特徴とする製本方法。
7. 補助部材が小口側の端縁を基準として背表紙部材を用紙束の背面に対して位置決めすることを特徴とする請求項６に記載の製本方法。
8. 製本用表紙部材は、背表紙部材が接着側面の全面に粘着面を有し、粘着面が補助部材を貼付した部位を除いて剥離部材で被覆されてなり、剥離部材を除去した後に用紙束の背面に対向して配置することを特徴とする請求項６に記載の製本方法。

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