JP4762119B2 - 継手 - Google Patents

Description

本発明は、流路部を備えた雄型のノーズ及び雌型のボディーからなる継手に関する。

従来から、ビールなどの液体を移送するホース間の継手として、流路部を備えた雄型のノーズ及び雌型のボディーからなる継手が知られている。

図９には、従来から知られているノーズとボディーからなる継手の半裁断面図が示されている。また、図１０には、ノーズとボディーを連結した状態の半裁断面図が示されている。なお、図９及び図１０では、分かりやすくするためにノーズとボディーの半裁断面が左右逆に示されており、ノーズは図中左側が半裁断面であり、ボディーは図中右側が半裁断面である。

図９に示すように、この継手１００は、雌型金具であるボディー１０２と、雄型金具であるノーズ１２０とで構成されている。ボディー１０２には、ノーズ１２０が挿入される凹状挿入部１０４が形成されている。凹状挿入部１０４の内周壁には、周溝１０６が形成されており、周溝１０６にロックリング１１０が配置されている。周溝１０６と隣接する位置には、周溝１０６より浅く形成された浅溝部１０８が形成されている。ロックリング１１０は、一端部１１０Ａが軸方向と直交する方向に延設され、他端部（図示省略）が自由端とされており、縮径が可能となっている。また、ボディー１０２の芯部には、凹状挿入部１０４と連通する流路部１１２が形成されている。ボディー１０２の外周面には、ロックリング１１０の一端部１１０Ａを覆うカバー１１４が外挿されている。

一方、ノーズ１２０は、先端部１２２に行くにしたがって小径となっており、周面にロックリング１１０が嵌り込む周溝１２４が形成されている。また、周溝１２４より先端側と後方側には、それぞれ周溝１２６、１２８が形成されており、これらの周溝１２６、１２８にＯリング１３０、１３２が設けられている。ノーズ１２０の芯部には、流路部１３４が形成されている。

図１０に示すように、ノーズ１２０をボディー１０２の凹状挿入部１０４に挿入すると、ノーズ１２０の周溝１２４にロックリング１１０が嵌り込む。この状態で、ボディー１０２の流路部１１２とノーズ１２０の流路部１３４にビールなどの液体を流すことができる。そのとき、継手１００に内圧がかかると、ノーズ１２０が抜ける方向に若干移動し、ロックリング１１０が浅溝部１０８に移動することによって、ノーズ１２０が凹状挿入部１０４から抜け出さないようにロックされる（例えば特許文献１を参照）。
特開２００５−１４７２８９号公報

しかし、図１０に示す継手１００は、ノーズ１２０をボディー１０２の凹状挿入部１０４へワンタッチ構造で接続するため、ノーズ１２０の凹状挿入部１０４への挿入が不足する場合がある。ノーズ１２０の挿入不足などでノーズ１２０とボディー１０２との結合が不十分のまま加圧されると、液体がノーズ１２０とボディー１０２との間から勢い良く噴出し、周囲が液体で汚れる場合がある。

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ノーズとボディーとの結合が不十分であっても、流体の噴出を抑制することができる継手を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、請求項１に記載の発明に係る継手は、一方の配管に接続されるノーズと、他方の配管に接続され、前記ノーズが挿入される凹状挿入部を有するボディーと、を備える継手であって、前記凹状挿入部に設けられ、前記ノーズを前記凹状挿入部へ挿入したときに、前記ノーズの外周面に形成された溝部を係合するロック部材と、前記ボディーの流路部に設けられ、前記ロック部材が前記溝部へ係合されたときに、前記ノーズの先端部に押されて前記流路部を開放し、前記ロック部材が前記溝部から外れたときに、前記流路部を流れる流体の流体圧によって前記流路部を閉止する方向へ移動する移動弁と、を有すると共に、前記ボディーの流路部の壁部に形成された突起部に、前記ボディーの奥側に行くにしたがって大径となるテーパー面が形成されており、前記移動弁は、軸方向の挿入口側の端部が挿入口側に行くにしたがって小径となる円錐状の傾斜面とされ、前記傾斜面が前記テーパー面と当接して前記流路部を閉止する弁体部と、前記弁体部に設けられ、前記突起部に係止されて前記流路部内への脱落を防止する係止部と、前記係止部に設けられた開口と、を有し、前記ロック部材が前記溝部に係合しない状態では、前記流路部を流れる流体の流体圧によって前記傾斜面が前記テーパー面と当接し、前記流路部を閉止することを特徴としている。

請求項１に記載の発明によれば、ノーズがボディーの凹状挿入部に挿入されたとき、凹状挿入部に設けられたロック部材が、ノーズの外周面に形成された溝部を係合し、ノーズとボディーとが連結される。ボディーの流路部には、移動弁が設けられており、ロック部材が溝部へ係合されたときに、移動弁がノーズの先端部に押されて流路部を開放する。この状態で、ボディーとノーズに流体を流すことができる。

その際、ノーズの凹状挿入部への挿入が不足すると、ロック部材が溝部にきちんと係合されておらず、ロック部材が溝部から外れる場合がある。ロック部材が溝部から外れたとき、流路部を流れる流体の流体圧によって、移動弁が流路部を閉止する方向へ移動する。このため、ボディーの流路部から流体が継手の外部へ噴出することが抑制される。また、この継手では、スプリングを用いることなく、ロック部材が溝部から外れたときにボディーの流路部を閉止することができ、低コスト化が可能となる。

また、ボディーの流路部の壁部に形成された突起部に、ボディーの奥側に行くにしたがって大径となるテーパー面が形成されている。移動弁は、軸方向の挿入口側の端部が挿入口側に行くにしたがって小径となる円錐状の傾斜面とされた弁体部を有している。ロック部材が溝部に係合しない状態では、ボディーの流路部を流れる流体の流体圧によって、弁体部の傾斜面が、ボディーの流路部の壁部に形成された突起部のテーパー面と当接し、ボディーの流路部を閉止する。また、移動弁の開放時には、弁体部に設けられた係止部が突起部に係止され、移動弁が流路部内へ脱落することが防止される。また、係止部には開口が設けられており、ボディーの流路部から開口を通じてノーズへ流体が流れる。このため、スプリングを用いることなく、簡単な構成でボディーの流路部を閉止することができ、よりいっそうのコストダウンが可能となる。

請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の継手において、前記流体が、ビールであることを特徴としている。

請求項２に記載の発明では、流体がビールであるため、圧力が高く、ノーズの凹状挿入部への挿入が不足すると、ロック部材が溝部から外れやすいが、移動弁が内圧によって流路部を閉止することで、流体が継手の外部へ噴出することが抑制される。

本発明に係る継手は、ボディーの凹状挿入部へのノーズの挿入が不十分で、ロック部材がノーズの溝部から外れた場合であっても、ボディーの流路部から流体が継手の外部へ噴出することを抑制できる。

以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。

図１は、本発明の第１実施形態である継手１０の分離状態を示す半裁断面図であり、図２は、この継手１０の結合状態を示す半裁断面図である。

これらの図に示すように、継手１０は、雌型金具であるボディー１２と、雄型金具であるノーズ４０とで構成されている。この継手１０は、例えばビールなどの液体Ｌを所定の圧力（例えば、約０．４ＭＰａ）で流す用途で使用されている。

ボディー１２は、ノーズ４０が挿入される円形状の凹状挿入部１４が形成されたボディー本体１６と、このボディー本体１６の後端側に連結されるアダプター１８とを備えている。ボディー本体１６の後端側の内周面には、雌ネジ１６Ａが形成されており、環状のシール部材２０が内挿されている。そして、ボディー本体１６の雌ネジ１６Ａに、アダプター１８に形成された雄ネジ１８Ａが螺合され、ボディー本体１６とアダプター１８とがシール部材２０でシールされる。

ボディー本体１６の凹状挿入部１４内のノーズ４０の挿入口１４Ａ側には、環状の樹脂コレット２２が設けられている。樹脂コレット２２とボディー本体１６との間には、樹脂コレット２２を凹状挿入部１４内に軸方向へ移動可能に保持する環状の保持部材２４が設けられている。保持部材２４の外周には凸部２４Ａが形成されており、保持部材２４がボディー本体１６に圧入され、凸部２４Ａがボディー本体１６の凹部に係合されることでボディー本体１６に固定されている。

ボディー本体１６の挿入口１４Ａ側には、樹脂カバー２６が軸方向へ移動可能に外挿されている。樹脂カバー２６の端部２６Ａは折り曲げられて樹脂コレット２２の先端部と当接しており、樹脂カバー２６を奥側（ノーズ４０の挿入方向）に押し込むことで、樹脂コレット２２が奥側に移動する構成となっている。ボディー本体１６の周面には、樹脂カバー２６の内側に樹脂カバー２６の軸方向の位置を規制する突起２７が設けられている。また、ボディー本体１６の挿入口１４側の周面には、樹脂カバー２６の内側に樹脂カバー２６の抜けを防止する突起２９が設けられている。

樹脂コレット２２は、環状体からなり、環状体の軸方向に形成された複数の切込み２３によって略２／３の長さが切割りされている。樹脂コレット２２の内周面には、複数に切割りされた端部に、ノーズ４０に形成された溝部４４を係合する凸部２２Ａが形成されている。また、樹脂コレット２２の外周端には、径方向に拡大した突起２２Ｂが形成されている。この突起２２Ｂが挿入口１４Ａ側に移動したときに、保持部材２４の奥側端部に形成された小径の段部２４Ｂに突き当たることにより、樹脂コレット２２がボディー本体１６から抜けないように構成されている。樹脂コレット２２は、切込み２３の両側の部分が弾性変形により拡径可能となっている。

ボディー本体１６の芯部には、凹状挿入部１４の奥側に液体Ｌが流れる流路部２８が形成されている。また、ボディー本体１６の凹状挿入部１４と流路部２８との間には、ボディー本体１６の内壁から内径側に張り出した突起部１７が設けられている。突起部１７には、移動弁３０が軸方向に移動可能に支持されている。また、ボディー本体１６の突起部１７の奥側には、奥側に行くに従って大径となるテーパー面１７Ａが形成されている。

図３及び図４に示すように、移動弁３０は、突起部１７より奥側（挿入口１４Ａと反対側）に配置された弁体部３２と、弁体部３２から挿入口１４Ａ側に立設された４本の柱部３４と、これらの柱部３４の先端に設けられた環状部３６とで構成されている。環状部３６の内側の開口３７と、４本の柱部３４の間の開口３８は、液体Ｌを流すための空間であり、これらの開口３７、３８は液体Ｌが流れやすいように大きく形成されている。図１に示すように、環状部３６は、突起部１７より挿入口１４Ａ側に配置され、弁体部３２は、突起部１７を挟んで環状部３６と反対側に配置されている。

弁体部３２は、軸方向の両側が円錐状に形成されており、挿入口１４Ａ側の傾斜面３２Ａがボディー本体１６の突起部１７に形成されたテーパー面１７Ａと当接することによって、開口３７、３８が突起部１７より挿入口１４Ａ側に移動し、ボディー本体１６の流路部２８を閉止するように構成されている。

図５に示すように、環状部３６の弁体部３２側には、ボディー本体１６の突起部１７の挿入口１４Ａ側に形成された段部１７Ｂに係止される係止部３６Ａが形成されている。この係止部３６Ａが段部１７Ｂに係止されることにより、移動弁３０がボディー本体１６の流路部２８へ脱落することが防止される。この移動弁３０は、樹脂又は金属で形成されている。

一方、ノーズ４０は、先端部４２に行くにしたがって小径となるように形成されている。ノーズ４０の周面には、凹状挿入部１４に挿入したときに樹脂コレット２２の凸部２２Ａと係合可能な周方向の溝部４４が形成されている。ノーズ４０の周面には、溝部４４より先端側に周溝４６が形成されており、この周溝４６にＯリング４８が嵌め込まれている。ノーズ４０の芯部には、液体Ｌが流れる流路部５０が形成されている。また、ノーズ４０の挿入方向の端面には、半径方向に拡大するテーパー面４２Ａが形成されている。テーパー面４２Ａとすることで、ボディー１２の流路部２８からノーズ４０の流路部５０への液体Ｌの流れがよりスムーズになる。

次に、本発明の継手１０の作用について説明する。

図１に示す継手１０のノーズ４０とボディー１２を結合するとき、ユーザーはボディー本体１６の凹状挿入部１４にノーズ４０を挿入する。すると、ノーズ４０の周面が樹脂コレット２２の凸部２２Ａを押し、保持部材２４の奥側のスペースで凸部２２Ａが弾性変形により拡径する。そして、図２に示すように、凸部２２Ａが弾性復元力によりノーズ４０の溝部４４に係合し、ノーズ４０がロックされる。

その際、ノーズ４０の先端部４２がボディー本体１６の突起部１７に支持された移動弁３０の環状部３６を押し、移動弁３０が奥側に移動する。これにより、図６及び図７に示すように、移動弁３０の開口３８が突起部１７の奥側へ移動し、ボディー１２の流路部２８とノーズ４０の流路部５０が開口３８、３７を介して連通する。これによって、ボディー１２の流路部２８から開口３８、３７を通じてノーズ４０の流路部５０へ液体Ｌ（例えばビール）を流すことが可能となる。このとき、複数の柱部３４の間にそれぞれ開口３８を設けると共に、環状部３６に開口３７を設けることで、液体Ｌの流れがスムーズになる。

継手１０に液体Ｌが流れると、継手１０に内圧が作用し、ノーズ４０がボディー１２から抜ける方向の力を受け、樹脂コレット２２が凹状挿入部１４の挿入口１４Ａ側に若干移動し、樹脂コレット２２の突起２２Ｂのテーパー面が保持部材２４の端部の段部２４Ｂに当たる。これにより、樹脂コレット２２が縮径して凸部２２Ａと溝部４４との係合が外れなくなり、ノーズ４０の把持力が大きくなる。

一方、ノーズ４０の凹状挿入部１４への挿入が不足した場合には、樹脂コレット２２の凸部２２Ａがノーズ４０の溝部４４へきっちりと嵌り込まない。この状態で、継手１０に液体Ｌを流すと、図８に示すように、継手１０が加圧されて凸部２２Ａが溝部４４から外れ、ノーズ４０が凹状挿入部１４の挿入口１４Ａ側へ抜けようとする。

このとき、液体Ｌが流れるときの内圧により移動弁３０が液体Ｌの流れる方向へ移動し、弁体部３２の傾斜面３２Ａが突起部１７のテーパー面１７Ａと当接する。これにより、開口３７、３８が突起部１７よりも挿入口１４Ａ側へ移動し、ボディー１２の流路部２８が弁体部３２によって閉止される。このため、液体Ｌがボディー１２の流路部２８から勢い良く噴出することが抑制される。

このような継手１０では、ボディー１２の樹脂コレット２２の凸部２２Ａとノーズ４０の溝部４４との係合が外れたとき（緊急時には）、液体Ｌの内圧によって移動弁３０が移動して流路部２８を閉止するので、移動弁３０を移動させるスプリングが不要である。このため、低コストで継手１０を製造することができる。

なお、移動弁３０の弁体部３２の突起部１７のテーパー面１７Ａと当接する部分に、ゴム製のシール部材を設けても良い。

なお、上記実施形態では、移動弁３０の形状を上記構成に限定するものではなく、ノーズ４０とボディー１２の結合時に液体Ｌを流し、ノーズ４０とボディー１２が外れたときにボディー１２の流路部２８を閉止する構成であれば、他の形状でも良い。

また、上記実施形態では、液体Ｌとしてビールを流したが、この構成に限定するものではなく、炭酸飲料や、その他の流体も適用可能である。

本発明の第１実施形態に係る継手のノーズとボディーを分離した状態を示す半裁断面図である。 本発明の第１実施形態に係る継手のノーズとボディーを結合した状態を示す半裁断面図である。 図１に示す継手に用いられる移動弁を示す側面図である。 図１に示す継手に用いられる移動弁を示す半裁断面図である。 ボディーの突起部に移動弁の係止部が係止された状態を示す断面図である。 図２に示すＡ−Ａ線における継手の断面図である。 図２に示すＢ−Ｂ線における継手の断面図である。 ボディーに配置された樹脂コレットの凸部がノーズの溝部から外れたときの移動弁の状態を示す半裁断面図である。 従来の継手のノーズとボディーを分離した状態を示す半裁断面図である。 従来の継手のノーズとボディーを結合した状態を示す半裁断面図である。

符号の説明

１０ 継手
１２ ボディー
１４ 凹状挿入部
１６ ボディー本体
１７ 突起部
１７Ａ テーパー面
１７Ｂ 段部
２２ 樹脂コレット（ロック部材）
２２Ａ 凸部
２８ 流路部
３０ 移動弁
３２ 弁体部
３４ 柱部
３６ 環状部
３６Ａ 係止部
３７ 開口
３８ 開口
４０ ノーズ
４２ 先端部
４４ 溝部
５０ 流路部
Ｌ 液体（流体）

Claims (2)

1. 一方の配管に接続されるノーズと、他方の配管に接続され、前記ノーズが挿入される凹状挿入部を有するボディーと、を備える継手であって、
   前記凹状挿入部に設けられ、前記ノーズを前記凹状挿入部へ挿入したときに、前記ノーズの外周面に形成された溝部を係合するロック部材と、
   前記ボディーの流路部に設けられ、前記ロック部材が前記溝部へ係合されたときに、前記ノーズの先端部に押されて前記流路部を開放し、前記ロック部材が前記溝部から外れたときに、前記流路部を流れる流体の流体圧によって前記流路部を閉止する方向へ移動する移動弁と、
   を有すると共に、
   前記ボディーの流路部の壁部に形成された突起部に、前記ボディーの奥側に行くにしたがって大径となるテーパー面が形成されており、
   前記移動弁は、
   軸方向の挿入口側の端部が挿入口側に行くにしたがって小径となる円錐状の傾斜面とされ、前記傾斜面が前記テーパー面と当接して前記流路部を閉止する弁体部と、
   前記弁体部に設けられ、前記突起部に係止されて前記流路部内への脱落を防止する係止部と、
   前記係止部に設けられた開口と、
   を有し、
   前記ロック部材が前記溝部に係合しない状態では、前記流路部を流れる流体の流体圧によって前記傾斜面が前記テーパー面と当接し、前記流路部を閉止することを特徴とする継手。
2. 前記流体が、ビールであることを特徴とする請求項１に記載の継手。

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