本発明は、真珠核等を判別可能な核の検査装置及び方法に関する。
真珠核には、どぶ貝が用いられているもの、シャコ貝が用いられているもの、人工核が用いられているもの等、種々のものが混在している。
この内、シャコ貝はワシントン条約で政府の許可証がある以外は当該国からの輸出が禁止されており、シャコ貝の真珠核やシャコ貝を真珠核としている真珠を的確に判別し許可無く輸出されるのを防止する必要がある。人工核が用いられている真珠はその価値が低く、これらを的確に判別して除去し、真珠の品質を確保する必要がある。
この場合、真珠層が形成されていない真珠核そのものであれば、その外観によっておよその判別は可能である。
しかし、外観の目視による判別では判別精度に難点がある。また、判別すべき真珠は大量に存在し、外観の目視による判別では多数の検査員を必要とし、その員数、判別精度を考慮すると現実には判別不可能である。
さらに、真珠層が形成された後に真珠核の材質を判別することは殆ど不可能である。
このような問題を解決するため、真珠に対し光を照射することによって真珠核の材質を判別する核の検査装置がある。この装置では、発光部と受光部とを対向配置し、核を透過した発光部からの光を受光部により受光することによって光透過率分布を得て光CT画像を生成する。
しかしながら、このような装置では、真珠核の迅速な判別を行うことができなかった。
解決しようとする問題点は、核を迅速に判別できない点にある。
本発明は、核を迅速に判別するために、支持部に着脱自在に支持した核に振動を付与可能な非磁性体の支持手段と、前記核に磁界を印加して該核の磁化率を検出可能な磁化率検査手段と、前記検出した核の磁化率と核の重量とから算出した重量磁化率に基づいて前記核を判別する判別手段とよりなることを最も主な特徴とする。
本発明の核の検査装置は、支持部に着脱自在に支持した核に振動を付与可能な非磁性体の支持手段と、前記核に磁界を印加して該核の磁化率を検出可能な磁化率検査手段と、前記検出した核の磁化率と核の重量とから算出した重量磁化率に基づいて前記核を判別する判別手段とよりなるため、重量磁化率の相違により核を迅速且つ的確に判別することができる。
前記支持手段が前記核を回転可能に支持し、該回転によって前記核に対する磁界の印加位置を変化可能とする場合は、複数箇所での核の重量磁化率を得ることができ、より的確に核を判別することができる。
前記支持手段が前記核を180度の範囲で回転させる場合は、より的確に核を判別することができる。
本発明の核の検査方法は、核の磁化率及び重量から得た重量磁化率の比較によって核を判別することを特徴とする。
従って、重量磁化率の相違によって迅速に核を大別することができる。
重量磁化率の相違によって一次判別する一次工程と、前記一次工程で抽出された核を、比重の比較によって二次判別する二次工程とを備えた場合は、一次工程で重量磁化率の相違によって迅速に核を大別し、さらに、かかる大別によって抽出した核のみ二次工程でより比重の相違によって判別することができ、迅速かつ的確に核を判別することができる。
前記一次工程で抽出された核を、交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別する二次工程とを備えた場合は、二次工程で、より詳細に核を判別することができ、より的確に核を判別することができる。
前記二次工程の異方性の検出に、前記核の液中での浮力による回転、又は前記核の磁化率、又は前記核の光透過率、又は前記核の光反射率を用いた場合は、核の交差2軸での異方性を確実且つ迅速に検出し、核を判別することができる。
核を迅速に判別するという目的を、重量磁化率に基づく判別により実現した。
参考例
図1〜図3は、本発明の参考例に係り、図1は核の検査装置の斜視図、図2は同概略全体図、図3は同要部拡大概略図、図4は核に磁界を印可する時の核を示す正面図であり、(a)は筋模様に沿った方向に磁界を印可する場合であり、(b)は筋模様に交差する方向に磁界を印可する場合である。
図1、図2のように、核の検査装置1は、支持手段3と、磁化率検査手段5と、判別手段としてのコントローラ7とよりなっている。
前記支持手段3は、機台9上にフレーム11を介して設けられている。支持手段3は、球形状の真珠核13を支持部15に着脱自在に支持し、支持部15に支持した真珠核13を振動しつつ回転可能としている。支持部15は非磁性体であり、例えば樹脂製中空の可撓パイプで形成されている。前記真珠核13は、支持部15先端にエアの吸引力等によって着脱自在に支持される。
前記真珠核13に対する振動は、支持手段3の振動発生器17で行う。振動発生器17は、フレーム11上に取り付けられ、支持部15の端部が結合されている。振動発生器17は、前記コントローラ7に接続され、該コントローラ7によって駆動制御される。
前記真珠核13の回転は、支持手段3のモータ19によって行われる。モータ19は、振動発生器17上に配置され、該振動発生器17を回転させるようになっている。この回転によって、支持部15を介して真珠核13を回転可能としている。前記モータ19による回転は、コントローラ7によって制御され、180度の範囲で行われるようになっている。ただし、その回転角度は、例えば、90度等のように判別精度と判別速度との関係で任意に設定することができる。また、真珠核13を回転させないように構成することも可能である。この場合は、モータ19を省略することができる。
前記磁化率検査手段5は、比較試料として、小磁石コイル21、検出コイル23、比較コイル25、磁極27を備えている。
前記小磁石コイル21は、前記ハウジング29内において、前記支持部15の端部側に取り付けられている。前記検出コイル23は、前記支持部15先端の真珠核13周囲に配置されている。前記比較コイル25は、前記小磁石コイル21の周囲に配置されている。検出コイル23及び比較コイル25の出力信号は、コントローラ7に入力されるようになっている。前記磁極27は、フレーム11に取り付けられ、相互に対向配置されている。磁極27の制御は、コントローラ7によって行われる。
次に本参考例の核の検査装置の作用を核の検査方法と共に述べる。
本参考例では、一次工程において真珠核13の磁化率及び重量から得た重量磁化率によって一次判別して、二次工程において一次判別によって抽出された真珠核13を、比重の比較によって二次判別する。
前記一次工程は、核の検査装置1を用いて行われる。すなわち、図2、図3のように、支持部15先端の真珠核13を振動発生器17により振動させながら、磁極27間で真珠核13に対し矢印A方向に磁界を印可する。このとき、検出コイル23、比較コイル25からの信号によって、真珠核13の磁化率を測定することができる。この磁化率の測定は、コントローラ7によるモータ19の制御によって、図4のように、真珠核13を180度の範囲で回転させ、真珠核13に対する磁界の印加位置を変更しながら行う。測定された磁化率は、コントローラ7で磁化率測定対象の真珠核13の重量により除され、重量磁化率に換算される。真珠核13の重量は、例えば、予め測定しコントローラ7に入力されるか、図2のように支持部15に支持したとき重量センサが自動的に測定してコントローラ7に入力される。
さらに、本参考例では、重量磁化率の測定を、真珠核13の筋模様30に沿った軸と筋模様30に交差した軸の交差2軸で行うことにより、図5のような測定値を得ることができた。
図5は、どぶ貝又はシャコ貝を用いた核の交差2軸での重量磁化率の変化状態を示している。図5の縦軸は重量磁化率を示し、横軸はモータ19による真珠核13の回転角度を示している。
図5において、線分31は、どぶ貝を用いた真珠核に筋模様30に沿うように磁界を印可した場合の変化を示している。線分33は、どぶ貝を用いた真珠核に筋模様30に交差するように磁界を印可した場合の変化を示している。線分35は、シャコ貝を用いた真珠核に筋模様30に沿うように磁界を印可した場合の変化を示している。線分37は、シャコ貝を用いた真珠核に筋模様30に交差するように磁界を印可した場合の変化を示している。
この図5において、どぶ貝の線分31,33が約−5.00E−08〜−1.50E−07間の範囲にあり、シャコ貝の線分35,37が約−3.50E−07〜−4.00E−07の範囲にある。従って、重量磁化率の変化を示す線分が、約−3.50E−07〜−4.00E−07の範囲にあるか否かでシャコ貝を用いた核を迅速且つ的確に判別することができる。
図6は、シャコ貝、白チョウ貝、どぶ貝、又はシミ入りどぶ貝を用いた核の交差2軸での重量磁化率の変化を複数回測定し、その測定結果を平均化した平均重量磁化率の分布を示すグラフである。各図縦軸は平均重量磁化率の分布率を示し、横軸は平均重量磁化率の分布領域を示している。図6(a)はシャコ貝を核として用いた場合、(b)は白チョウ貝を核として用いた場合、(c)はどぶ貝を核として用いた場合、(d)は表面等にシミのあるいわゆるシミ入りどぶ貝を核として用いた場合のグラフである。
この図6明らかなように、本参考例では、シャコ貝及び白チョウ貝の平均重量磁化率が約−3.50E−07〜−4.00E−07の範囲で分布している。どぶ貝の平均重量磁化率は約−2.50E−07〜2.25E−07の範囲に、シミ入りどぶ貝の平均重量磁化率は約−3.00E−07〜0.75E−07の範囲に分布している。従って、平均重量磁化率が、−3.00E−07〜2.25E−07の範囲であれば、どぶ貝又はシミ入りどぶ貝と判断することができ、約−3.50E−07〜−4.00E−07の範囲内であれば、シャコ貝又は白チョウ貝と判断することができる。従って、一次工程では、検査装置1による重量磁化率の比較する一次判別によって、真珠核13を高速大別することができる。なお、重量磁化率を振動試料磁力計、交流磁力計、磁気天秤、核磁気共鳴装置(NMR/MRI)、電子スピン共鳴装置(ESR)によって測定することによって、真珠核13に真珠層が形成されている場合であっても高速大別を可能となる。
このように一次判別された真珠核13は、適宜抽出されて二次工程が行われる。本参考例では、シャコ貝と白チョウ貝を抽出している。
図7は、シャコ貝又は白チョウ貝を用いた核の重量磁化率の分布を示すグラフである。図7の縦軸は重量磁化率の分布率を示し、横軸は重量磁化率の分布領域を示している。図7(a)はシャコ貝を核として用いた場合、(b)は白チョウ貝を核として用いた場合を示している。
この図7から明らかなように、シャコ貝と白チョウ貝を用いた核の重量磁化率の分布は相互に近似しており、二次工程においてシャコ貝と白チョウ貝とを比重の比較によって二次判別する。
真珠核13の比重は、例えば、真珠核13の重量と図8に示す重量測定装置39によって測定した重量とで算出する。図8の測定重量は、純水41中での真珠核13の重量である。
前記重量測定装置39は、純水41を秤量皿43上に立設した垂下柱45から真珠核13を垂下し、該真珠核13を支柱47に支持した容器49内の純水41に沈めるものである。
この重量測定装置38での測定値によって真珠核13の重量を除し比重を算出することで、図9のような結果を得ることができた。
図9は、シャコ貝又は白チョウ貝を用いた核の比重分布を示すグラフである。図9の縦軸は核の比重の分布率を示し、横軸は核の比重を示している。図9(a)はシャコ貝を用いた核の場合、(b)は白チョウ貝を用いた核の場合を示している。
この図9から明らかなように、シャコ貝の比重は約2.85〜2.91の範囲で分布し、白チョウ貝の比重は約2.73〜2.81の範囲で分布している。従って、真珠核13の比重が約2.85〜2.91の範囲内である場合はシャコ貝と判断することができ、真珠核13の比重が約2.73〜2.81の範囲内である場合はシャコ貝と判断することができる。このため、二次工程では、一次工程での高速大別により抽出したシャコ貝と白チョウ貝とを迅速且つ的確に判別することができる。
以上のように、本参考例では、測定した磁化率及び重量から算出した重量磁化率の相違によって真珠核13を大別し、真珠核13の判別を迅速且つ的確に行わせることができる。この重量磁化率の測定は高速での検査が可能なため、時間当たり数万個の大量検査が可能な装置を実現することができる。
重量磁化率の算出は、支持手段3によって真珠核13を回転させ該真珠核13に対する磁界の印加位置を変化させながら行うため、複数位置での重量磁化率を算出することができ、より的確に真珠核13を判別することができる。
しかも、真珠核13の回転は、180度の範囲で行われるため、真珠核13の全体に渡って磁界を印可することができ、より的確に真珠核13の判別を行うことができる。
本参考例では、一次工程において重量磁化率の相違により真珠核13を一次判別によって大別し、二次工程において前記大別によって抽出した真珠核13を比重の相違により二次判別するため、二次工程では一次工程での大別により抽出した真珠核13のみを判別すればよく、真珠核13の判別を迅速且つ的確に行わせることができる。
しかも、二次工程では、比重を比較することによって行うため、一次工程で使用した真珠核13の重量を利用することができ、真珠核13の判別を、より迅速且つ的確に行わせることができる。
上記参考例では、一次工程と二次工程とを行っていたが、一次工程のみ行うことも可能である。
また、真珠核13の交差2軸での重量磁化率に基づいて真珠核13の判別を行っていたが、1軸の重量磁化率に基づいて真珠核13の判別を行うことも可能である。
図10、図11は、本発明の実施例1に係り、図10は二次工程に用いられる核の検査装置の概略平面図、図11は同要部概略側面図である。
本実施例では、二次工程において、交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別するものである。
図10、図11のように、核の検査装置1Aは、検査液槽51と、発光部を構成するランプ53,54と、受光部を構成するCCDカメラ55,56と、判別手段を構成するコントローラ7Aとからなっている。
前記検査液槽51は、例えば光を透過する透明の材質で形成され、供給部57と、流路部59と、第1選別路部61と、第2選別路部63とからなっている。
前記供給部57は、球形状の核として真珠核13を多数受け入れ、流路部59へ1つずつ流出供給する。
前記流路部59は、前記真珠核13を1つずつ連続して流す。
前記第1,第2選別路部61,63は、前記流路部59の下流端に分岐して形成されている。第1,第2選別路部61,63間に、選別ドア65が設けられている。選別ドア65は、モータ67の駆動によって、第1選別路部61閉塞状態と第2選別路部63閉塞状態とへ切り替えるように回転制御される。モータ67の駆動は、前記コントローラ7Aによって制御される。
前記ランプ53は、検査液槽51の流路部59下面側に配置されている。ランプ53によって、流路部59の下方から上方へ光を発する。前記ランプ54は、検査液槽51の流路部59側面側に配置されている。ランプ54によって、流路部59の横方向一方から同他方へ光を発する。従って、ランプ53,54は、検査液槽51に対し縦横方向へ光を発する構成となっている。
前記CCDカメラ55は、前記流路部59の上側で、前記ランプ53に対向配置されている。CCDカメラ55は、前記ランプ53からの光を前記真珠核13を通して受光可能となっている。CCDカメラ55の信号は、コントローラ7Aへ入力される。前記CCDカメラ56は、前記流路部59の横方向他方側で、前記ランプ54に対向配置されている。CCDカメラ56は、前記ランプ54からの光を前記真珠核13を通して受光可能となっている。CCDカメラ56の信号は、コントローラ7Aへ入力される。
前記検査液槽51内には、前記真珠核13よりも比重の大きな毒性の少ない液体69として、例えばテトラブロモエタンが収容されている。液体69は、供給部57から、第1,第2選別路部61,63側へ流れて循環する。従って、真珠核13は、図11のように検査液槽51内で浮き、供給部57側から流路部59を通り、第1選別路部61又は第2選別路部63側へ流れる。
前記流路部59には、前記CCDカメラ55,56に対応して、通過センサを構成する第1通過センサ発光部71及び第1通過センサ受光部73が設けられている。第1通過センサ発光部71、第1通過センサ受光部73は、前記コントローラ7Aに接続されている。
従って、コントローラ7Aの制御による第1通過センサ発光部71の発光は、第1通過センサ受光部73で受けられ、コントローラ7Aへ受光信号が入力される。第1通過センサ発光部71と第1通過センサ受光部73との間を真珠核13が通過すると、第1通過センサ受光部73での受光量がなくなるか減少するので、コントローラ7Aにおいて真珠核13が第1通過センサ発光部71と第1通過センサ受光部73との間を通過したと検知する。
前記流路部59の下流端側には、通過センサを構成する第2通過センサ発光部75、第2通過センサ受光部77が設けられている。第2通過センサ発光部75、第2通過センサ受光部77は、前記コントローラ7Aに接続されている。
従って、コントローラ7Aの制御による第2通過センサ発光部75の発光は、第2通過センサ受光部77で受光され、その受光信号がコントローラ7Aへ入力される。第2通過センサ発光部75と第2通過センサ受光部77との間を真珠核13が通過すると、コントローラ7Aにおいて前記第1通過センサ発光部71及び第1通過センサ受光部73の場合と同様にして、真珠核13の通過を検出する。
この装置1Aでは、一次工程で抽出された真珠核13が、供給部57側から多数供給され、検査液槽51を流れる液体69と共に供給部57から流路部59へ一定速度で流れる。流路部59では、まず真珠核13が第1通過センサ発光部71及び第1通過センサ受光部73間を通過することによって、通過センサ受光部29での受光が遮られ、コントローラ7Aへその信号が送られて真珠核13の通過が検出される。第1通過センサ発光部71及び第1通過センサ受光部73によって通過検出が行われるとコントローラ7Aにおいてカウントアップも同時に行われる。
前記第1通過センサ発光部71及び第1通過センサ受光部73とCCDカメラ55との位置関係及び液体69の流速とにより、真珠核13が通過センサ発光部71及び通過センサ受光部73間に位置したとき、コントローラ7Aがランプ53,54及びCCDカメラ55,56に動作信号を送る。この動作信号により、ランプ53,54が発光し、CCDカメラ55,56は真下及び真横から真珠核13を撮像する。
前記CCDカメラ55,56の撮像信号は、前記コントローラ7Aに入力され、後述のように真珠核13の核の材質異方性があるか否かを判別する。
前記流路部59の下流側では、次に第2通過センサ発光部75及び第2通過センサ受光部77により真珠核13の通過検出が行われる。第2通過センサ発光部75及び第2通過センサ受光部77によって通過検出が行われるとコントローラ7Aにおいてカウントアップも同時に行われる。
コントローラ7Aでは前記第2通過センサ発光部75及び第2通過センサ受光部77での通過検出時のカウントアップと前記第1通過センサ発光部71及び第1通過センサ受光部73での通過検出時のカウントアップとを対応させ、前記判別情報に応じてモータ23を駆動制御する。
前記真珠核13が異方性があると判別されたときには選別ドア21が第2選別路部63側を閉塞するように回動し、真珠核13は第1選別路部61側へ流れる。真珠核13が異方性がないと判断された場合には、選別ドア65が第1選別路部61側を閉塞するように回動し、第2選別路部63側へ流れる。
前記第1,第2選別通路61,63では、すくい取り機などによりそれぞれ核13が取り出される。液体69はそのまま循環する。
このようにして、真珠核13の核の材質を的確に且つ連続して大量に選別し、取り出すことができる。
前記核の検査装置1Aによる核の検査方法の二次工程は、上記のように、球形状の核の交差2軸での異方性を検出することにより、材質に異方性のある核と異方性のない核とを判別するものである。具体的には、異方性のあるどぶ貝又は白チョウ貝などと異方性のないシャコ貝などとを判別する。本実施例においては、一次工程で白チョウ貝及びシャコ貝を抽出しているが、どぶ貝とシャコ貝の判別の場合を例にとって説明する。また、本実施例において、異方性の検出は、核の光透過率を用いている。
図12は、どぶ貝を用いた核の交差2軸での光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向での光透過状態図である。すなわち、(a)は1軸方向としてX軸方向、(b)は他軸方向として直交するY軸方向に光を当てた場合を示している。
図12のようにX軸方向に光を透過すると核は明るく見え、Y軸方向に透過すると(b)のように暗く見える。
これに対し、図13はシャコ貝を用いた核の光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向の光透過状態図である。すなわち、(a)はX軸方向に光を当てた場合、(b)はY軸方向に光を当てた場合を示している。
図13のように、X軸方向、Y軸方向の何れの方向に光を当てた場合についても、シャコ貝の真珠核13は光透過率の差が殆ど無かった。
従って、図12(a),(b)の光透過率の変化と図13(a),(b)のそれとを比較することによって、どぶ貝を用いた真珠核であるのか、シャコ貝を用いた真珠核であるのか判別することができる。その他人工核等も異方性がなく、同様に判別することができる。
同様に、白チョウ貝を用いた真珠核であるのか、シャコ貝を用いた真珠核であるのかも判別することができる。
図14(a)はどぶ貝を用いた真珠核の概略断面図、(b)は同要部拡大断面図、(c)は交差板構造を示す模式図である。
この図14のように、どぶ貝は交差板構造をしており、交差2軸XYにおいて異方性を有している。従って、筋模様に平行な方向であるX軸方向での光透過率は高く、筋模様に直交するY軸方向では光透過率が低下する。
そして、前記のように、真珠核13を液体69に浮かべると、どぶ貝の真珠核を用いた真珠核13は、筋目が水平方向(X軸方向)となるように浮き上がり、ランプ53,54で光を当てたときにCCDカメラ55,56で撮像すると、図12(a),(b)のように光透過率の異なった2種の映像を得ることができる。図12(a)の映像は、CCDカメラ56で撮像され、図12(b)の映像は、CCDカメラ55で撮像されたものである。
前記コントローラ7Aは、前記CCDカメラ55,56からの撮像信号により、図12(a),(b)のような映像信号の比較によりどぶ貝の真珠核、図13(a),(b)のような映像信号の比較によりそれ以外のシャコ貝等の真珠核であると判別し、前記のように真珠核13を連続的に仕分けることができる。
なお、前記一次工程においてどぶ貝とシミ入りどぶ貝を抽出した場合は、筋模様が垂直方向(Y軸方向)となるように浮き上がる。従って、CCDカメラ55で撮像される映像は図12(a)、CCDカメラ56で撮像される映像は図12(b)となる。従って、シミ入りどぶ貝の場合も同様に判別することができる。
本実施例では、検査液槽51で真珠核13の方向を決定し2方向のみを測定するので、早い検出を行うことができる。
すなわち、一次工程によって重量磁化率の相違によって真珠核13を大別し抽出した真珠核13を、二次工程において交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別することができる。従って、一次工程において高速大別により抽出した真珠核13のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
尚、検査液槽内に液体を静止状態で収容し、検査液層内の底部側から真珠核等を浮上させると、異方性のある真珠核の場合は浮力により回転モーメントが発生し、浮上しながら回転する。この回転をCCDカメラで撮像することにより異方性のあるものと無いものとを判別することもできる。
前記ランプ53,54及びCCDカメラ55,56は、発した光を受光できる形態のものであれば良く、CCDカメラ55,56を光検出器に代えることもできる。前記ランプ53,54及びCCDカメラ55,56を、発光素子及び受光素子の組み合わせに代えることもできる。
前記実施例では、どぶ貝の真珠核とシャコ貝等の真珠核とを判別したが、真珠核以外に異方性のある核の材質検査に適用することもできる。この場合、異方性のある球形状の核がX軸方向又はY軸方向の一方にのみ規則的に筋等を向けて浮き上がる性質のものであれば、発行部及び受光部であるランプ53,54及びCCDカメラ55,56は、検査液槽51に対し縦横少なくとも一方に設ければ良い。
前記判別は映像信号の比較により行ったが、光の透過率、又は反射率を直接測定して判別することもできる。
図15は、どぶ貝又はシミ入りどぶ貝を用いた真珠核とシャコ貝を用いた真珠核との透過光の波長に応じた光透過率の測定結果を示したグラフである。透過率の測定法は、紫外光から可視光・赤外光を試料に照射しその透過光と参照光との比から透過率の波長依存性を測定した。
図15において、線分79はどぶ貝を用いた真珠核に図14のY軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分80はどぶ貝を用いた真珠核に図14のX軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分81はシャコ貝を用いた核に同Y軸方向(便宜上横)から光を当てた場合の変化を示している。線分82はシャコ貝を用いた真珠核に同X軸方向(便宜上縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分83はシミ入りどぶ貝を用いたシミ入り真珠核に同Y軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分84はシミ入り真珠核に同X軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。
この図15において、透過率の波長特性より透過率異方性の比較、例えば600nmと700nmにおけるどぶ貝の線分80,79での縦横の透過率の比較と同シャコ貝の線分82,81での縦横の透過率の比較とから、その差が大きい方をどぶ貝を用いた真珠核であると判別することができる。
従って、白チョウ貝を用いた真珠核であるか、シャコ貝を用いた真珠核であるかも、判断することができる。
なお、シミ入り真珠核についても同様な手法で判別することができる。
この場合も、前記のように検査液槽51で真珠核13の方向を決定し2方向のみを測定することで、早い検出を行うことができる。
なお、透過率で判別する態様では、真珠核に白チョウ貝等の比較的透明な真珠層が薄く形成された真珠については真珠核と同様に判別することはできるが、真珠層が厚く形成された場合や、黒チョウ貝等の不透明な真珠層の真珠については判別することはできない。
図16は、どぶ貝又はシミ入りどぶ貝を用いた真珠核とシャコ貝を用いた真珠核との波長に応じた光反射率の測定結果を示したグラフである。反射率の測定法は、紫外光から可視光・赤外光を試料に照射しその反射光と参照光との比から反射率の波長依存性を測定した。
図16において、線分85はどぶ貝を用いた真珠核に図14のY軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分86はどぶ貝を用いた真珠核に図14のX軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分87はシャコ貝を用いた真珠核に同Y軸方向(便宜上横)から光を当てた場合の変化を示している。線分88はシャコ貝を用いた真珠核に同X軸方向(便宜上縦)から光を当てた場合の変化を示している。線分89はシミ入りどぶ貝を用いたシミ入り真珠核に同Y軸方向(筋模様から見て横)から光を当てた場合の変化を示している。線分90はシミ入り真珠核に同X軸方向(筋模様から見て縦)から光を当てた場合の変化を示している。
この図16において、反射率の波長特性より短波長域の反射率の比較、例えば300nmと400nmにおけるどぶ貝の線分86,85での縦横の反射率の比較と同シャコ貝の線分88,87での縦横の反射率の比較とから、その差が大きい方をどぶ貝を用いた真珠核であると判別することができる。
従って、白チョウ貝を用いた真珠核であるか、シャコ貝を用いた真珠核であるかも、判断することができる。
このように、一次工程において高速大別により抽出した真珠核13のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
なお、シミ入り真珠核についても同様な手法で判別することができる。
この場合も、前記のように検査液槽51で真珠核13の方向を決定し2方向のみを測定することで、早い検出を行うことができる。
また、反射率で判別する態様では、真珠の判別はできないが、真珠に紐を通すための穴があけられた穴あき真珠の判別には有効である。この場合、真珠の穴に光を当てて反射光を受光することになる。
図17は、本発明の実施例2に係る核の検査装置1Bの概略平面図を示している。なお、実施例1と対応する構成部分には同符号又は同符号にBを付して説明する。
本実施例は、上記実施例1と同様に、二次工程において、交差2軸での異方性を検出することにより材質に異方性のある核と異方性の無い核とを二次判別するものである。なお、本実施例においても、どぶ貝とシャコ貝の場合を例にとって説明する。
本実施例の核の検査装置1Bは、検査通路95と、第1,第2検査部91,93と、判別手段としてのコントローラ7Bとを備えている。
前記検査通路95は、供給部57B、流路部59B、第1,第2選別路部61B,63Bを備えている。
前記検査通路95では、液体によって真珠核13を流すのではなく、真珠核13を流路部59Bに沿って転がす。
前記流路部59Bの下流端には、モータ67によって駆動される選別ドア65が実施例1同様に設けられている。
前記第1,第2検査部91,93は、前記流路部59Bに沿って一定の間隔をおいて配置され、前記真珠核13を透過する波長の異なる光の光透過率を検出する。
具体的には、第1,第2検査部91,93は、ランプ97,99と、受光部101,103と、干渉フィルタ105,107とからなっている。コントローラ7Bの制御によってランプ97,99が駆動されると、その光が真珠核13を通って干渉フィルタ105,107に至る。干渉フィルタ105,107では、特定の波長の光のみを通し、受光部101,103で受光される。受光部101,103の信号は、コントローラ7Bに入力される。
前記干渉フィルタ105は、例えば、λ=600nmの波長の光のみを透過し、干渉フィルタ107は、λ=700nmの波長の光のみを通すように設定されている。
前記コントローラ7Bにおいて、前記受光部101,103で受光される特定波長の光透過率を比較することによって、真珠核13の材質を判別する。
前記第1,第2検査部91,93の動作タイミングは、第1通過センサ発光部71及び第1通過センサ受光部73による通過検出タイミングに応じて行われ、選別ドア65の駆動は、実施例1同様に第2通過センサ発光部75及び第2通過センサ受光部77による通過検出のタイミングに応じて行われる。なお、第1通過センサ発光部71及び第1通過センサ受光部73は、第1,第2検査部91,93のそれぞれに対応して設ける構成にすることもできる。
そして、前記図15のように透過率変化の傾きがどぶ貝、シミ入りどぶ貝の真珠核とシャコ貝の真珠核とでは異なっている。
従って、前記のように第1,第2検査部91,93において、真珠核13が第1,第2検査部91,93をそれぞれ通過する際にランプ97,99でそれぞれ光を当て、受光部101,103で特定の波長の光を受光することにより、コントローラ7Bにおいてどぶ貝を用いた真珠核13であるのか、シャコ貝を用いた真珠核13であるのかを連続的に判別することができる。
従って、白チョウ貝を用いた真珠核であるか、シャコ貝を用いた真珠核であるかも連続的に判別することができる。
このため、上記実施例1同様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核13のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
しかも、この判別の場合には、実施例1のように、液体を用いて流すことなく、真珠核13を流路部59B上に単に転がして移動させるだけでよいため、核の材質の判別をより迅速に行うことができる。
判別結果によって、第1,第2選別流路部61B,63Bに選択的に流されるのは、実施例1と同様である。
尚、前記干渉フィルタ105,107を用いることなく、半導体レーザを用い、特定の波長のレーザ光を真珠核13に当てる構成や、第1検査部91に回析格子分光器を組み込んで第1検査部91のみの構成とすることも可能である。
図18は、本実施例の変形例を示している。この実施例では、レーザ出力部109から出力されたレーザ光を真珠核13で反射させ、受光部111で受光するようにしたものである。
そして、前記図16のように反射率変化の傾きがどぶ貝、シミ入りどぶ貝の真珠核とシャコ貝の真珠核とでは異なっている。
このため、第1,第2検査部91,93において検出される特定波長(例えば300nmと400nm)の光反射率を比較することによって、どぶ貝を用いた真珠核13であるのか、シャコ貝を用いた真珠核13であるのかを判別することができる。
従って、白チョウ貝を用いた真珠核13であるのか、シャコ貝を用いた真珠核13であるのかも判別することができる。
このため、上記実施例同様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核13のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
また、シャコ貝以外の人工核など等方性のある材質の核の場合も、シャコ貝と同様に取り扱うことができ、どぶ貝を用いた核であるのか、その他の材質の核であるのかを判別することができる。
本実施例でも、真珠核に真珠層が形成されると判別できないが、真珠に紐を通すための穴があけられた穴あき真珠の判別には有効である。
以下、本発明の実施例3について、参考例の図1〜3を参照して説明する。
本実施例では、核の検査装置1を利用して、二次工程において磁化率に基づいて異方性のある核とない核とを判別するものである。なお、本実施例においても、どぶ貝とシャコ貝の場合を例にとって説明する。
すなわち、本実施例では、振動発生器17により支持部15先端の真珠核13を振動させながら、検出コイル23、比較コイル25からの信号によって、真珠核13の磁化率を測定する。この磁化率の測定は、コントローラ7による磁極27の制御によって、磁界の強さを変化させることによって行う。
この結果、図19のような測定値を得ることができた。
図19(a),(b)はどぶ貝を核として用いた場合の検出結果、(c),(d)はシャコ貝を核として用いた場合の検出結果、(e),(f)はシミ入りどぶ貝を核として用いた場合の検出結果であり、(a),(c),(e)は1軸方向であるX軸方向の磁化変化を示すグラフ、(b),(d),(f)は他軸方向であるY軸方向の磁化変化を示すグラフである。XY軸は直交2軸であるが、どぶ貝の核及びシミ入りどぶ貝の核の場合、X軸方向を図14で説明した筋模様に平行する方向とし、Y軸方向は同筋模様に直交する方向としている。
この測定結果のように、どぶ貝を真珠核13に用いた場合、シャコ貝を真珠核13に用いた場合には、反磁性の特性を示し、シミ入りどぶ貝を真珠核13に用いた場合には、常磁性の特性を示した。材質に異方性を有するどぶ貝を真珠核13に用いた場合には、支持部15に対する支持状態を変えて測定した結果に違いが見られた。
具体的には、(a),(b)の比較では、(a)の0点から3段目まで上がったときの値が(b)の同4段目の値と等しくなっており、(e)では0点から3段目に至った値が(f)の0点から2.5段目に至った値に一致している。この結果から明らかなように、どぶ貝の真珠核13では、前記X軸方向、Y軸方向での磁化率の測定値に変化が現れた。これに対し、シャコ貝を真珠核13に用いた(c),(d)の測定結果では、何れも同じ値を示し、測定値に違いを見ることができなかった。
この結果、図2の支持部15に対する真珠核13の支持方向を異ならせて磁化を測定し、前記のように磁化率の変化が現れた場合にはどぶ貝を用いた真珠核13であると判別し、違いが見られない場合にはシャコ貝を用いた真珠核13であると判別することができる。
同様に、白チョウ貝を用いた真珠核13である、シャコ貝を用いた真珠核13であるかも判別することができる。
従って、上記実施例1様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核13のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
この場合、実施例1の検査液槽51の場合と同様に、真珠核13を液体に浮かせ、その方向を決定してから2方向のみを測定すると、早い検出を行うことができる。
図20は真珠核の周りに真珠層を形成した真珠について測定した結果を示し、(a),(b)は黒蝶貝を真珠核に用いた真珠の検出結果であり、(c),(d)はシャコ貝を真珠核に用いた真珠の検出結果であり、(a),(c)は1軸方向であるX軸方向の磁化変化を示すグラフであり、(b),(d)は他軸方向であるY軸方向の磁化変化の検出結果を示すグラフである。
この場合も、実施例1の検査液槽51の場合と同様に、真珠を液体に浮かせ、その方向を決定してから2方向のみを測定すると、早い検出を行うことができる
この図20の測定結果においても、黒蝶貝を真珠核に用いた黒蝶真珠の場合には、材質の異方性によって(a),(b)の測定結果に違いが見られ、シャコ貝を真珠核に用いた真珠の場合には、(c),(d)のように違いが見られなかった。
図21は、前記図19、図20の測定結果をもとに、支持部15に対する支持状態の変更による磁化率の比を数値として示した図表である。尚、図21では、白チョウ貝を真珠核として用いた白チョウ真珠についても数値を加えている。
図21で、磁化率縦横比は、前記のように図2の支持部15にX軸、Y軸方向の取付状態を変更して測定した結果の比である。この結果、どぶ貝核(どぶ貝の真珠核)は、磁化率縦横比15.6〜83.0%、シミ入りどぶ貝核(シミ入りどぶ貝の真珠核)は13.1〜65.6%、白チョウ真珠は34.40%、黒蝶真珠は9.20%であるのに対し、シャコ貝核(シャコ貝の真珠核)は1.4〜8.4%、シャコ貝核真珠は1.25〜2.62%であった。この検出値の違いに基づきシャコ貝核あるいはシャコ貝核真珠を明確に区別し、判別することができる。
この結果、前記コントローラ7により図19、図20のような検出結果を読み込み、前記のように比較することでシャコ貝の真珠核、人工核など等方性のある核を異方性のある核に対して判別することができる。
図22は、実施例4に係る核の検査装置1Cの概略全体平面図を示している。
本実施例の核の検査装置1Cは、外側コイル113と、第1,第2検査コイル115,117と、可動位置決め体121と、判別手段としてのコントローラ7Cとからなっている。
前記外側コイル113は、低周波発電機119に接続されている。前記第1,第2検査コイル115,117は、互いに逆向きに巻回されて前記外側コイル113内に配置され、コントローラ7C側の平衡回路に接続されている。コントローラ7Cは、電圧を測定し、測定電圧が検出磁化となっている。
前記可動位置決め体121は、球形状の真珠核13を支持し、該真珠核13を第1,第2検査コイル115,117内に配置、移動させ得る構成となっている。可動位置決め体121は、支持フレーム123を備えている。支持フレーム123に連結シャフト125が連結されている。連結シャフト125は、図外のリニア駆動部などによって駆動されるようになっている。連結シャフト125を介して支持フレーム123を移動させ、真珠核13を第1検査コイル115内又は第2検査コイル117内に配置、移動させることができる。
前記コントローラ7Cは、連結シャフト125を操作して前記第1,第2検査コイル115,117の一方に前記真珠核13を位置決めたとき、同他方の磁化の検出値が零になるように調整する。この零調整後に第1,第2検査コイル115,117の他方の磁化の検出値が零になる位置(中心対称位置で、図22の鎖線図示の位置)に真珠核13を移動させる。該位置で検出した真珠核13の交差2軸での磁化に基づいて、該真珠核13の材質を判別する。
前記交差2軸での磁化の検出は、真珠核13を支持フレーム123上で回転させ、図14で示すX軸、Y軸の向きをフレーム123上で変更することにより実行される。
図23、図24は、前記可動位置決め体121の回転駆動部133を示し、図23は支持フレーム123先端側の断面図、図24は図23のSA−SA矢視における断面図である。
図23、図24のように、支持フレーム123上には、受け皿127が設けられている。支持フレーム123の下面側に支持された軸129にゴムローラ131が取り付けられている。ゴムローラ131の外周部は、支持フレーム123及び受け皿127を貫通して、真珠核13に接している。軸129は、図外の駆動部に連結されている。
従って、駆動部の駆動によって、軸129が回転すると、ゴムローラ131が連動する。ゴムローラ131が回転すると、これに接する真珠核13も回転し、回転前に真珠核13のX軸が上下方向に向いていたとき回転により同横方向に向けることができる。
判別に際しては、図22において、まず零点調整を行う。例えば、コントローラ7Cの駆動信号により連結シャフト125を軸方向駆動させる。この駆動によって支持フレーム123を介し真珠核13を第2検査コイル117内に位置させ、第1検査コイル115側の検出磁化が零となるように調整する。この調整はコントローラ7Cの制御で行われ、第1検査コイル115側の検出磁化が零となる位置は、コントローラ7Cにより記憶される。
次に、コントローラ7Cの制御で連結シャフト125の軸方向駆動を戻す。この駆動の戻しで支持フレーム123を介し真珠核13を第1検査コイル115内の磁化零の位置に配置する。このとき第1検査コイル115側は、反対の磁界となっているため、差分の磁化が検出される。
この検出を、前記回転駆動部133の駆動によって真珠核13を回転させ、そのXY軸方向を変えて測定する。コントローラ7Cは、この測定値の比率を比較することによって異方性のあるどぶ貝を用いた真珠核13か、等方性のシャコ貝等を用いた真珠核13かを判別する。
図25は、磁化の異方性を示す形状指数を表すグラフである。
図25において、点135は、どぶ貝を真珠核とした場合の測定比率から求めた形状指数であり、点137は、どぶ貝の真珠核を用いた真珠の測定比率から求めた形状指数であり、点139は、シャコ貝を真珠核とした場合の測定比率から求めた形状指数である。
この図25の結果のように、シャコ貝を真珠核とした場合には、形状指数がある一定範囲内に集約する。このため、シャコ貝以外のどぶ貝を用いた真珠核と、シャコ貝を用いた真珠核とを明確に区別し、判別することができる。
従って、上記実施例1同様、一次工程において高速大別により抽出した真珠核13のみを、二次工程においてより詳細に判別することができ、迅速且つ的確に核を判別することができる。
尚、本発明の核の検査方法及び装置において、上記各実施例で真珠核を判別するのに用いたものは、真珠層を形成した後の真珠の真珠核、或いは真珠以外に用いる核、同被覆材で被覆された核の材質を検査することに用いることもできる。
核の検査装置の斜視図である(参考例)。
核の検査装置の概略全体図である(参考例)。
核の検査装置の要部拡大概略図である(参考例)。
核に磁界を印可する時の核を示す正面図であり、(a)は筋模様に沿った方向に磁界を印可する場合であり、(b)は筋模様に交差する方向に磁界を印可する場合である(参考例)。
どぶ貝又はシャコ貝を用いた核の交差2軸での重量磁化率の変化状態を示すグラフである(参考例)。
シャコ貝、白チョウ貝、どぶ貝、又はシミ入りどぶ貝を用いた核の平均重量磁化率の分布を示すグラフであり、(a)はシャコ貝を核として用いた場合、(b)は白チョウ貝を核として用いた場合、(c)はどぶ貝を核として用いた場合、(d)は表面等にシミのあるいわゆるシミ入りどぶ貝を核として用いた場合を示している。
シャコ貝又は白チョウ貝を用いた核の重量磁化率の分布を示すグラフであり、(a)はシャコ貝を核として用いた場合、(b)は白チョウ貝を核として用いた場合を示している。
重量測定装置の全体図である(参考例)。
シャコ貝又は白チョウ貝を用いた核の比重分布を示すグラフであり、(a)はシャコ貝を用いた核の場合、(b)は白チョウ貝を用いた核の場合を示している(参考例)。
二次工程に用いられる核の検査装置の概略平面図である(実施例1)。
次工程に用いられる核の検査装置の要部概略側面図である(実施例1)。
どぶ貝を用いた核の交差2軸での光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向での光透過状態図である(実施例1)。
シャコ貝を用いた核の光透過状態を示し、(a)は1軸方向の光透過状態図、(b)は他軸方向の光透過状態図である(実施例1)。
(a)はどぶ貝を用いた真珠核の概略断面図、(b)は同要部拡大断面図、(c)は交差板構造を示す模式図である(実施例1)。
核の光透過率と波長との関係を示すグラフである(実施例1)。
核の光反射率と波長との関係を示すグラフである(実施例1)。
本発明に係る核の検査装置の概略平面図である(実施例2)。
変形例に係る要部概略図である(実施例2)。
(a),(b)はどぶ貝を核として用いた場合の検出結果、(c),(d)はシャコ貝を核として用いた場合の検出結果、(e),(f)はシミ入りどぶ貝を核として用いた場合の検出結果であり、(a),(c),(e)は1軸方向での磁力の変化を示すグラフ、(b),(d),(f)は他軸方向での磁力変化を示すグラフである(実施例3)。
(a),(b)は黒蝶貝を核に用いた真珠の検出結果であり、(c),(d)はシャコ貝を核に用いた真珠の検出結果であり、(a),(c)は1軸方向の磁力変化を示すグラフであり、(b),(d)は他軸方向の磁力変化の検出結果を示すグラフである(実施例3)。
各材質の核による磁化率縦横比を示す図表である(実施例3)。
本発明に係る核の検査装置の概略全体平面図である(実施例4)。
回転駆動部を示す断面図である(実施例4)。
図23のSA−SA矢視方向から見た回転駆動部を示す断面図である(実施例4)。
磁化の測定比率から求めた形状指数を示すグラフである(実施例4)。
1 検査装置
3 支持手段
5 磁化率検査手段
7 コントローラ(判別手段)
13 真珠核
15 支持部