以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態の参考例1における光ピックアップであり、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」と「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」をともに記録または再生、消去できる光ピックアップの概略構成を示す図である。
図1に示す光ピックアップの要部は、波長405nmの半導体レーザ101、コリメートレンズ102、偏光面切換素子103、ハーフミラー104’、偏向プリズム105、偏光選択性開口制限素子106、偏光選択性収差補正素子107、対物レンズ109、検出レンズ111、光束分割手段112、受光素子113より構成されている。
ここで、対物レンズ109は、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」に対し、無限系で波面収差が最小になるように設計されている。一般に対物レンズは高NAになるほど公差が厳しくなるので、NA0.85とNA0.65で比べると、NA0.85での望ましい特性を出す方が難しくなるので、特に、NA0.85で収差が補正された非球面レンズを使うことが望ましいためである。
第1,第2の青色光記録媒体110a,110bはそれぞれ基板厚さ、使用波長が異なる光記録媒体で、第1の青色光記録媒体110aは基板厚さが0.1mmの光記録媒体で、第2の青色光記録媒体110bは基板厚さが0.6mmの光記録媒体である。記録または再生時にはいずれかの光記録媒体のみが図示しない回転機構にセットされて高速回転される。
まず、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光面切換素子103で偏光方向を紙面垂直面内で90度回転され、ハーフミラー104’を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、偏光選択性開口制限素子106と偏光選択性収差補正素子107を不感帯透過し、対物レンズ109に入射し、第1の青色光記録媒体110a上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第1の青色光記録媒体110aから反射した光束は、再び略平行光とされ、ハーフミラー104’で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光面切換素子103では偏光方向に回転はされずにそのまま透過し、ハーフミラー104’を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、偏光選択性開口制限素子106でNA0.65に制限され、偏光選択性収差補正素子107において所定の球面収差が付加され、対物レンズ109に入射し、第2の青色光記録媒体110b上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第2の青色光記録媒体110bから反射した光束は、再び略平行光とされ、ハーフミラー104’で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
以下、青色2方式互換のために、本参考例1で採用している光学部品について説明する。
まず、NAと光束径に関する条件として、本参考例1では、光記録媒体に応じて、NAを切り換える必要がある。すなわち、第1の青色光記録媒体110aではNA0.85であり、第2の青色光記録媒体110bではNA0.65である。対物レンズ109の焦点距離をf、集光に利用される光束の有効径をφとしたとき、NAは次の式(数1)で与えられる。
よって、光記録媒体の種類に応じて、通過光束径を切り換える手段を用いればよい。そこで、光記録媒体に応じて、光源からの出射光の偏光方向を切り換える偏光面切換素子103と、偏光方向に応じて、反射,回折,吸収のいずれかの光学特性を利用して光束径の切り換えを行う偏光選択性開口制限素子106を選択すればよい。
また、偏光面切換素子103としては、TN(ツイスト・ネマティック)型液晶を用いればよい。TN型液晶は電圧を加えたときには偏光方向を回転させ、電圧を印加させないときは不感透過させることで一般に知られている。
偏光選択性開口制限素子106としては、例えば偏光方向に応じて、図2のように透過,反射によって光束径を切り換える手段を用いればよい。偏光選択性開口制限素子106は図3(a)に示す構造をしている。すなわち、偏光フィルム126が透明ガラス127により挟まれ、特定方向に偏光する光束を透過させる。また、透明ガラス127でなく、透明性の高い樹脂でもよい。偏光フィルム126の偏光領域は図3(b)に示すようになっている。すなわち、偏光選択性開口制限素子106は外周部の偏光フィルム形成領域129では、偏光フィルム126により特定方向に偏光する光束のみを透過させる。なお、偏光選択性開口制限素子106の内周部における領域128の直径はNA0.85、有効光束直径3mmの対物レンズの場合、実効的NAが0.65になるように約2.3mmの円形とする。なお、有効光束直径3mm以外の場合、これに比例してアパーチャの径を変更し実効的NAが0.65となる大きさとする。
第1の青色光記録媒体110aの場合、図4に示すように、TN型液晶である偏光面切換素子103に電圧を加えない。その結果、コリメートレンズ102から出た紙面に平行な方向に偏光する光束は、TN型液晶の偏光面切換素子103により偏光方向を90度変えられ紙面に垂直な方向に偏光するようになり、偏光選択性開口制限素子106で遮光されず透過し、対物レンズ109に入射する。
次に、第2の青色光記録媒体の場合、TN型液晶である偏光面切換素子103に電圧を加える。その結果、コリメートレンズ102から出た紙面に平行な方向に偏光する光束は、偏光面切換素子103により偏光方向を変えられずに透過し、偏光選択性開口制限素子106で外周部の偏光フィルム形成領域129で遮光され内周部の領域128からだけ透過して対物レンズ109に入射する。
本参考例1では、偏光面切換素子103はコリメートレンズ102とハーフミラー104’の間にあるが、ハーフミラー104’と偏光選択性開口制限素子106の間であってもよい。なお、図3(b)では、内周側に円形の透孔の領域128を形成したが、必ずしも円形とする必要はなく、楕円形状であってもよい。
また、本参考例1の偏光選択性開口制限素子106としては、偏光方向に応じて、図5のように回折によって光束径を切り換える手段でもよい。具体的には偏光選択性を有する回折格子を形成してやればよい。
さらに、本参考例1の偏光選択性開口制限素子106として、例えば複屈折媒質を使って偏光選択性回折光学素子を構成して外周光を回折させてもよい。ここで、図6(a)を参照して複屈折媒質に対する偏光された光束の透過特性を検討する。図6(a)は一般的な複屈折媒質に光束が入射した場合の透過する光束の進行経路を表した図である。複屈折媒質に光束が入射すると、その入射した光束の偏光によって光束の進行経路が変化する。すなわち、図6(a)に示したように、複屈折媒質に対して紙面平行方向に偏光された光束は複屈折媒質を透過するときに光束の経路が変化しない。この光束を常光線という。一方、複屈折媒質に対して紙面垂直方向に偏光された光束は複屈折媒質を透過するときに光束の経路が変化する。この光束を異常光線という。
このような複屈折媒質を利用した本参考例1による偏光選択性回折光学素子について説明する。図6(b)は本参考例1における回折光学素子の光束が入射される面を表した図で、図6(c)は図6(b)のA−A’線の断面図である。
図6(c)に示した回折光学素子は、等方性媒質131と複屈折媒質132とこれらを挟むようにして配置されたガラス130とからなる。複屈折媒質132は図6(c)に示すように鋸歯状に形成されたものが円心部から円周に同心円に多数形成された形状となっている。等方性媒質131はこの複屈折媒質132と相補的な形状であり、複屈折媒質132の鋸歯状に形成された面に密着している。なお、断面形状はこれに限られるものでなく、図6(d)に示すような階段状に高さが変化した面でもよい。
図6(c)と図6(d)を参照して回折光学素子を利用した開口制限方法について説明する。図5は開口制限素子に入射される光束の偏光方向による透過状態を現した図である。図6(c)に示したように、複屈折媒質132は入射される光束の偏光方向にしたがってno_405(波長405nmにおける正常屈折率)とne_405(波長405nmにおける異常光屈折率)の屈折率を持つ。ここで、noは常光線に対する屈折率(正常屈折率)を表して、neは異常光線に対する屈折率(異常光屈折率)をそれぞれ表す。ここで、等方性媒質131の屈折率n1_405とne_405を等しくなるように等方性媒質131と複屈折媒質132を選択して開口制限素子を製作した場合について検討する。
第1の青色光記録媒体については、光束の偏光方向を異常光線の偏光方向と等しくして入射させる。すると、等方性媒質131と複屈折媒質132で屈折率が同じであるから、光束は何の影響もなく透過する。一方、第2の青色光記録媒体については、第1の青色光記録媒体と直交する方向(常光線の偏光方向)に偏光された光束とする。その光束が入射すると、等方性媒質131と複屈折媒質132で互いに異なる屈折率となる。したがって、開口制限素子の等方性媒質131と複屈折媒質132の境界面の形状によって回折が起きて進行経路が変わる。図5に示したように、第1の青色光記録媒体に対して開口制限素子は不感帯である。しかし、第2の青色光記録媒体の場合には開口制限素子に入射される光束は外周部において回折が起きる。この回折方向をNA0.65で光記録媒体上に集光されるスポットとは異なる方向に集光あるいは散乱させればよい。
さらに、本参考例1における偏光選択性開口制限素子106としては、偏光方向に応じて、図7に示すように吸収によって光束径を切り換える手段でもよい。
次に、使用波長405nm、基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体に対して良好な収差特性となるよう設計されたNA0.85の対物レンズを、使用波長は同一の波長405nmで基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体にNA0.65で用いたときに発生する波面収差を図8に示す。図8は横軸に入射瞳半径をとり、縦軸に波面収差を表す。図8は位相差分布の2次元的な断面形状を表しているが、実際には縦軸(NA=0)に関して回転対称な3次元的な分布となっている。このような発生収差を補正するための偏光選択収差補正素子の構成とその作用,効果について以下に具体的に説明する。
まず、前記開口制限と同様に、複屈折媒質の回折効果を利用した偏光選択性収差補正素子について説明する。図9は本参考例1における収差補正素子の光束が入射される面を表した図で、図10(a)および図10(b)はそれぞれ異なる構成例の図9のA−A’線の断面図である。
図10(a)と図10(b)に示した本参考例1の収差補正素子は、等方性媒質133と複屈折媒質134とこれらを挟むようにして配置されたガラス130とからなる。複屈折媒質134は図10(a)に示すように鋸歯状に形成されたものが円心部から円周に同心円に多数形成された形状としている。等方性媒質133はこの複屈折媒質134と相補的な形状であり、複屈折媒質の鋸歯状に形成された面に密着している。断面形状はこれに限られるものでなく、図10(b)に示すような階段状に高さが変化した面でもよい。
この図10(a)と図10(b)を参照して回折光学素子を利用した収差補正方法について説明する。図11は図10(a)の収差補正素子(回折光学素子)に入射される光束の偏光方向による透過光束の形状を現した図である。図10(a)に示したように、複屈折媒質134は入射される光束の偏光方向にしたがってno_405とne_405の屈折率を持つ。ここで、noは常光線に対する屈折率(正常屈折率)を表して、neは異常光線に対する屈折率(異常光屈折率)をそれぞれ表す。等方性媒質の屈折率n1_405とne_405を等しくなるように等方性媒質133と複屈折媒質134を選択して収差補正素子を製作した場合について検討する。
第1の青色光記録媒体については光束の偏光方向を異常光線の偏光方向と等しくして入射させる。すると、等方性媒質133と複屈折媒質134で屈折率が同じであるから、波長405nmの光束は何の影響もなく透過する。
一方、第2の青色光記録媒体については第1の青色光記録媒体と直交する方向(常光線の偏光方向)に偏光された光束とする。その光束が入射すると、等方性媒質133と複屈折媒質134で互いに異なる屈折率となる。したがって、収差補正素子の等方性媒質133と複屈折媒質134の境界面の形状によって回折が起きて進行経路が変わり、球面収差を補正することができるようになる。図11に示したように、第1の青色光記録媒体に対して収差補正素子は不感帯である。しかし、第2の青色光記録媒体の場合には収差補正素子に入射される光束の波面は直線なのに対して、収差補正素子を透過した光束の波面は曲線となる。これは収差補正素子内の複屈折媒質と等方性媒質の境界面で発生する回折による効果で、これによって球面収差を補正することができる。
このとき、回折格子の深さを適切に調節すると、第2の青色光記録媒体の記録再生時の光束の回折効率を最大にすることができる。逆にいうと、光量損失の問題を解決することができる。
なお、複屈折材料は方解石、LiNbO3、LiTaO3などの光学結晶で形成してもよい。また液晶を重合硬化させた高分子性液晶や、1軸延伸により複屈折性が発現するポリカーボネートなどの高分子材料で形成してもよい。
収差補正素子としては前述のような回折を利用したものに限られず、0次光を利用した補正方法であってもよい。複屈折媒質を利用した本参考例1による位相シフタ素子について説明する。図12において、ガラス130などの等方性屈折率を有する透光性基板上に常光屈折率がno_405で異常光屈折率がne_405の複屈折材料層の複屈折媒質134を形成するものとする。複屈折媒質134に半導体レーザなどの光源から光束が入射したとき、その透過光が光軸から離れて周辺に向かうにつれて複屈折媒質の厚さが変化し、かつその厚さは光軸に関して回転対称性を有するように、エッチング加工する。この回転対称性を有している複屈折媒質134の形状は透過光の波面収差を補正する形状とする。このように形成された複屈折媒質134の凹部分を等方性屈折率n1_405の透明な充填剤(等方性媒質)を用いて埋め、等方性屈折率を有する透光性基板である2枚のガラス130で複屈折媒質134を挟み込み、偏光選択性収差補正素子を作製することが可能である。充填剤の屈折率n1_405は、複屈折媒質134の異常光屈折率ne_405とほぼ等しくなるように材料を選定する。
第1の青色光記録媒体については光束の偏光方向を異常光線の偏光方向と等しくして入射させる。すると、充填剤と複屈折媒質134で屈折率が同じであるから、波長405nmの光束は何の影響もなく透過する。
一方、第2の青色光記録媒体については第1の青色光記録媒体と直交する方向(常光線の偏光方向)に偏光された光束とする。その光束が入射すると、充填剤と複屈折媒質134で互いに異なる屈折率となる。複屈折材料層と充填剤との屈折率差(ne_405−n1_405)と、複屈折媒質134の厚さの空間分布とに比例した位相差分布を生じる。したがって、波面収差に変化が生じる。このとき、位相シフタ素子において生じる空間的な位相差分布が、第2の青色光記録媒体を用いたときに発生する図8に示す位相差分布を相殺するように複屈折媒質134の厚さ分布を形成することにより、波面を最良化できる。
図13は本発明の実施の形態の参考例2における光ピックアップであり、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」と「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」をともに記録または再生、消去できる光ピックアップの概略構成を示す図である。
図13に示す光ピックアップの要部は、波長405nmの半導体レーザ101、コリメートレンズ102、偏光ビームスプリッタ104、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、液晶収差補正素子107a、1/4波長板108、対物レンズ109、検出レンズ111、光束分割手段112、受光素子113より構成されている。
ここで、対物レンズ109は、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」に対し、無限系で波面収差が最小になるように設計されている。一般に対物レンズは高NAになるほど公差が厳しくなるので、NA0.85とNA0.65で比べると、NA0.85での望ましい特性を出す方が難しくなるので、特に、NA0.85で収差が補正された非球面レンズを使うことが望ましいためである。
第1,第2の青色光記録媒体110a,110bはそれぞれ基板厚さ、使用波長が異なる光記録媒体で、第1の青色光記録媒体110aは基板厚さが0.1mmの光記録媒体で、第2の青色光記録媒体110bは基板厚さが0.6mmの光記録媒体である。記録または再生時にはいずれかの光記録媒体のみが図示しない回転機構にセットされて高速回転される。
まず、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ104を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aと、液晶収差補正素子107aを不感帯透過し、1/4波長板108を通過し円偏光とされ、対物レンズ109に入射し、第1の青色光記録媒体110a上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第1の青色光記録媒体110aから反射した光束は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板108を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ104で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ104を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aでNA0.65に制限され、液晶収差補正素子107aにおいて所定の球面収差が付加され、対物レンズ109に入射し、第2の青色光記録媒体110b上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第2の青色光記録媒体110bから反射した光束は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板108を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ104で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
以下、青色2方式互換のために、本参考例2で採用している光学部品について説明する。
本参考例2においては、開口制限素子としてゲストホスト型液晶を用いたものであり、図14(a)に示すような選択的な環状遮光フィルタして機能する。また、図14(b),(c)はその動作原理を示す説明図である。
第1,第2の青色光記録媒体110a,110bに応じてNAを変更するもので、具体的には、図14(b),(c)に示すように、環状のパターンを持った液晶シャッタからなり、対物レンズ109に入射する光束の外周部を透過あるいは遮光するものである。図14(b),(c)に示すように、ゲストホスト型液晶136を外周部に設け、電圧を印加しないとき、すなわち、オフ状態のとき図14(b)に示すように全面透過を、そして、電圧を印加したとき、すなわち、オン状態のとき図14(c)に示すように部分的透過する素子である。
続いて、図15(a)は液晶収差補正素子を示す断面図であり、その電極パターンを示す図15(b),(c)を用いて、液晶収差補正素子の構成、動作原理を説明する。
本参考例2において使用する液晶収差補正素子107aの構成について、図15(a)を参照しながら説明する。ガラス基板137a,137bが、導電性スペーサ138により接着され液晶セルを形成している。ガラス基板137aの内側表面には、内側表面から電極139a、絶縁膜140a、配向膜141aの順に、またガラス基板137bの内側表面には、内側表面から電極139b、絶縁膜140b、配向膜141bの順に被膜されている。電極139aは電極引出部142で接続線によって制御回路と接続できるようパターン配線されている。
また、電極139bは導電性スペーサ138によりガラス基板137a上に形成された電極139aと電気的に接続されている。したがって、電極139bは電極引出部142で接続線によって位相補正素子制御回路と接続できる。液晶セル内部には液晶143が充填されている。
次に、本参考例2における液晶収差補正素子107aを構成し、液晶層を挟持する基板上に形成される電極は、本参考例2において、電極パターンが光軸中心に同心円状に形成されてなり、図15(b)あるいは図15(c)が電極パターンの概念図である。
ここで、使用波長405nm、基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体に対して良好な収差特性となるよう設計されたNA0.85対物レンズを、使用波長は同一の波長405nmで基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体にNA0.65で用いたときに発生する波面収差を図16(a)、図16(c)の上側部分に示す。図16は横軸に入射瞳半径をとり、縦軸に波面収差を表す。図16は位相差分布の2次元的な断面形状を表しているが、実際には縦軸(NA=0)に関して回転対称な3次元的な分布となっている。このような発生収差を補正するための液晶収差補正素子の構成とその作用,効果について以下に具体的に説明する。
液晶収差補正素子107aは、図15(b),(c)に示すような給電部あるいは分割電極に所定の電圧を印加して、液晶の屈折率nをn1からn2まで、同心円状に自在に変えることを可能としている。屈折率nを変化させると、各領域を通過する光束に光路差Δn・d(Δnは屈折率変化分、dは液晶のセル厚)、すなわち、波長をλとして、位相差Δn・d(2π/λ)を与えることができる。
ここで、第2の青色光記録媒体へ集光したときに発生する球面収差は、図16(a),(c)の上側部分である。図15(b)の電極を用いた場合、このような球面収差に対し、対物レンズ109に光源側から入射する光束に、図16(a)の下側部分に示すような位相差が与えられるように、液晶素子の各同心円帯の給電部に印加する電圧を調整すると、液晶素子を透過する光束の各部での波面の遅れにより「波面収差」を打ち消すことができる。また、図15(c)に示す電極を用いた場合、このような球面収差に対し、対物レンズ109に光源側から入射する光束に、図16(c)の下側部分に示すような位相差が与えられるように、液晶素子の各同心円帯の給電部に印加する電圧を調整すると、液晶素子を透過する光束の各部での波面の遅れにより「波面収差」を打ち消すことができる。
図16(b)は、図16(a)における実線(波面収差)と破線(液晶素子による波面の遅れ)の和、すなわち補正後の波面収差を示す。もとの波面収差(図16(a)の上側部分)よりも格段に小さくなる。図16(d)は、図16(c)における実線(波面収差)と破線(液晶素子による波面の遅れ)の和、すなわち補正後の波面収差を示す。もとの波面収差(図16(c)の上側部分)よりも格段に小さくなる。
図17は本発明の実施の形態の参考例3における光ピックアップであり、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」と「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」をともに記録または再生、消去できる光ピックアップの概略構成を示す図である。
図17に示す光ピックアップの要部は、波長405nmの半導体レーザ101、コリメートレンズ102、偏光ビームスプリッタ104、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、収差補正用回折光学素子107b、1/4波長板108、対物レンズ109、検出レンズ111、光束分割手段112、受光素子113より構成されている。
ここで、対物レンズ109は、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」に対し、無限系で波面収差が最小になるように設計されている。一般に対物レンズは高NAになるほど公差が厳しくなるので、NA0.85とNA0.65で比べると、NA0.85での望ましい特性を出す方が難しくなるので、特に、NA0.85で収差が補正された非球面レンズを使うことが望ましいためである。
第1,第2の青色光記録媒体110a,110bはそれぞれ基板厚さ、使用波長が異なる光記録媒体で、第1の青色光記録媒体110aは基板厚さが0.1mmの光記録媒体で、第2の青色光記録媒体110bは基板厚さが0.6mmの光記録媒体である。記録または再生時にはいずれかの光記録媒体のみが図示しない回転機構にセットされて高速回転される。
まず、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ104を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、収差補正用回折光学素子107bを不感帯透過し、1/4波長板108を通過し円偏光とされ、対物レンズ109に入射し、第1の青色光記録媒体110a上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第1の青色光記録媒体110aから反射した光束は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板108を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ104で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ104を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aでNA0.65に制限され、収差補正用回折光学素子107bにおいて所定の球面収差が付加され、対物レンズ109に入射し、第2の青色光記録媒体110b上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第2の青色光記録媒体110bから反射した光束は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板108を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ104で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
以下、青色2方式互換のために、本参考例3で採用している光学部品について説明する。
本参考例3で用いられている収差補正用の回折光学素子は、参考例1で用いた偏光選択性でなく、偏光依存性のない回折光学素子である。よって、参考例1のように複屈折媒質と等方性媒質をガラスで挟み込むような煩雑な構成でなく、ガラス、プラスチックなどの基板表面に回折面が設けられた製造が容易な構成となっている。回折光学素子107bは図18(a)に示すように、光軸を中心に複数本の輪帯からなる。回折光学素子107bは、図18(b)に示すように、その断面が鋸歯状、または、図18(c)に示すように、階段状となるように形成される。例えば、鋸歯状断面の回折光学素子は回折効率が他より高いので有利である。回折光学素子の断面形状の作成法として、フォトリソグラフィ技術を応用する方法と、ダイヤモンドバイトなどで精密切削する方法がある。また、形状を金型に雛形を形成しておき、射出成形またはいわゆる2P法で透明材料から複数の回折光学素子を複製することもできる。
回折光学素子107bの回折格子は、図19(a),(b)に示すように、その0次光は対物レンズ109を介して第1の青色光記録媒体110a上に、また1次回折光は対物レンズ109を介して第2の青色光記録媒体110b上に集光するように形成されている。また、0次光,1次回折光は、それぞれ他の基板厚の光記録媒体上に合焦状態にないので、これら回折光は読取又は記録にはほとんど影響しない。
なお回折次数として、0次回折光をNA0.85に選択した理由は、対物レンズ109が、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」に対し、無限系で波面収差が最小になるように設計されているためである。また図19では、簡単のため図17で記載されている収差補正用回折光学素子107bと対物レンズ109の間にある1/4波長板108を省略している。
具体的な例として、図20に示すブレーズ断面形状の回折格子を、回折格子の深さdを0〜2μmに変化させて、基材として例えばHOYA社のガラスMLaC130(nd=69.4、νd=53.2)からなる回折光学素子を作製した場合の、回折格子の回折効率の変化を算出してみる。本参考例3における回折格子の回折効率ηmは次の式(数2)で表される。
(数2)中、dは格子溝深さ、mは回折次数、nは材料屈折率を示している。図20は、横軸に回折格子の深さd、縦軸に回折格子の回折効率の変化を算出した結果を示す図である。図20中の「B0」,「B1」,「B2」,「B3」はそれぞれ0次回折光、1次回折光、2次回折光、3次回折光の回折効率を示す。
図20に示すように、回折効率は回折格子の位相深さで調整できるため、第1の青色光記録媒体、第2の青色光記録媒体の照射パワー特性に応じて位相深さを選択してやればよい。一般に小径スポットほどパワーが集約される。光記録媒体上のビームスポット径は波長λに比例し、NAに反比例して小さくなり、パワーとしてはスポット面積に反比例して大きくなる。すなわちNA0.85とNA0.65を比較した場合、光記録媒体上に集光されるパワーは(0.85/0.65)2の比率でNA0.85の方が大きくなる。よって、第1の青色光記録媒体と第2の青色光記録媒体が同一材料、同一の線速で使用される場合は、各媒体で必要とされる集光パワーは同等であるため、0次光と1次回折光の効率比が1:1.7となるようにすればよい。すなわち位相深さは0.32μm付近を選択してやればよい。
あるいは、第1の青色光記録媒体と第2の青色光記録媒体のいずれか一方のみは再生専用の光情報処理装置であれば、再生側の効率を小さくすれば、もう一方の光記録媒体に対しては十分なパワーを照射することが可能となり高速化も容易となる。
次に、対物レンズおよび回折光学素子の形状に関して具体的な数値事例を示す。図19(a),(b)に示したように非球面の対物レンズ109の光源側に回折光学素子107bが配置され、その対物レンズ側の面上に回折格子を形成している。
また、レンズ面の非球面形状は、光軸方向の座標X 、光軸直交方向の座標Y 、近軸曲率半径R、円錐定数K、高次の係数A,B,C,D,E,F,…を用いて、周知の非球面式を次の式(数3)で表される。
また、回折光学素子の位相関数Φ(r)は、回折次数m、波長λ、光軸からの半径r、係数C1〜C5を用いて、次の式(数4)で表される。
本
参考例3における対物レンズは、使用波長405nm、NA0.85、f=1.765mm、nd=1.694、νd=53.2であり、図21に、具体的データを示す。図21中の記号は、以下のとおりである。「OBJ」は物点(光源としての半導体レーザ)を意味するが、対物レンズ109は「無限系」であり、曲率半径:RDYおよび厚さ:THIの「INFINITY(無限大)」は光源が無限遠にあることを意味する。なお、特に断らない限り、長さの次元を持つ量の単位は「mm」である。
「S1」は回折光学素子の光源側面、「S2」は光記録媒体側面を意味する。「S3」は光ピックアップ用対物レンズの光源側面、「S4」は光記録媒体側面を意味する。本参考例3における対物レンズの肉厚は2.381463mmであり、S4の欄における曲率半径の右側に記載された厚さ0.425496mmは「ワーキングディスタンス:WD」を示す。「S5」は光記録媒体110の光照射側基板の光源側面、「S6」は同記録面に合致した面であり、これらの面S5,S6の間隔、すなわち、基板厚は第1の青色光記録媒体については0.1mm、第2の青色光記録媒体については0.6mmで、nd=1.516330、νd=64.1である。「EPD:入射瞳径」であり、第1の青色光記録媒体については3.0mm、第2の青色光記録媒体については2.3mmである。「WL:波長」は使用波長(405nm)を表す。
得られた対物レンズと回折光学素子を組み合わせた系の軸上で波面収差は、0次光については0.0027λrms、1次回折光については0.0007λrmsであり、マレシャル限界0.07λ以下に抑えられている。
さらに、本発明の実施の形態の参考例4における光ピックアップとして、第1の青色光記録媒体に対しては0次光、第2の青色光記録媒体に対しては1次回折光を使った回折光学素子を、対物レンズと一体化とした。
図22(a),(b)に示したように非球面の対物レンズ109における光源側の入射面上に回折格子面を形成し、回折格子および対物レンズの出射面はいずれも非球面形状とした。よって、第1面および第2面は一体集光レンズの回折格子および出射面である。自動設計して製造された各非球面レンズのデータは図23のとおりである。
得られた対物レンズと回折光学素子を組み合わせた系の軸上で波面収差は第1の青色光記録媒体について0.0049λrms、第2の青色光記録媒体について0.0005λrmsであり、マレシャル限界0.07λ以下に抑えられている。
図24は本発明の実施の形態の参考例5における光ピックアップであり、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」と「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」と「使用波長660nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体」と「使用波長785nm、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体」をともに記録または再生、消去できる光ピックアップの概略構成を示す図である。
図24に示す光ピックアップの要部は、波長405nmの半導体レーザ101、コリメートレンズ102、偏光ビームスプリッタ104、トリクロイックプリズム115、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、液晶収差補正素子107a、1/4波長板108、対物レンズ109、検出レンズ111、光束分割手段112、受光素子113から構成される波長405nmの光束が通過する青色光学系と、ホログラムユニット201、コリメートレンズ202、ダイクロイックプリズム204、トリクロイックプリズム115、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、液晶収差補正素子107a、1/4波長板108、対物レンズ109から構成される波長660nmの光束が通過するDVDの光学系と、ホログラムユニット211、コリメートレンズ212、ダイクロイックプリズム204、トリクロイックプリズム115、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、液晶収差補正素子107a、1/4波長板108、対物レンズ109から構成される波長785nmの光束が通過するCDの光学系から構成されている。
すなわち、トリクロイックプリズム115、ダイクロイックプリズム204、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、液晶収差補正素子107a、1/4波長板108、対物レンズ109は3つあるいは2つの光学系の共通部品である。
ここで、対物レンズ109は、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」に対し、無限系で波面収差が最小になるように設計されている。一般に対物レンズは高NA、短波長になるほど公差が厳しくなるので、青色NA0.85での望ましい特性を出す方が難しくなるので、特に、NA0.85で収差が補正された非球面レンズを使うことが望ましいためである。
第1,第2の青色光記録媒体110a,110b、DVD系,CD系光記録媒体110c,110dはそれぞれ基板厚さ、使用波長が異なる光記録媒体であり、第1の青色光記録媒体110aは基板厚さが0.1mmの光記録媒体、第2の青色光記録媒体110bは基板厚さが0.6mmの光記録媒体、DVD系光記録媒体110cは基板厚さ0.6mmの光記録媒体、CD系光記録媒体110dは基板厚さ1.2mmの光記録媒体である。記録または再生時にはいずれかの光記録媒体のみが図示しない回転機構にセットされて高速回転される。
まず、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ104、トリクロイックプリズム115を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aと、液晶収差補正素子107aを不感帯透過し、1/4波長板108を通過し円偏光とされ、対物レンズ109に入射し、第1の青色光記録媒体110a上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第1の青色光記録媒体110aから反射した光束は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板108を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ104で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ104、トリクロイックプリズム115を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aでNA0.65に制限され、液晶収差補正素子107aにおいて所定の球面収差が付加され、1/4波長板108を通過し円偏光とされ、対物レンズ109に入射し、第2の青色光記録媒体110b上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第2の青色光記録媒体110bから反射した光束は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板108を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ104で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長660nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体」を記録または再生、消去する場合について説明する。近年、DVD系光記録媒体のピックアップには受発光素子を1つのキャンの中に設置し、ホログラムを用いて光束の分離を行うホログラムユニットが一般的に用いられるようになってきた。図24において、201は、半導体レーザ201a、ホログラム201bおよび受光素子201cを一体化して構成されたホログラムユニットを示す。このホログラムユニット201の半導体レーザ201aから出射された660nmの光束は、ホログラム201bを透過し、コリメートレンズ202で平行光とされ、ダイクロイックプリズム204を透過し、青色波長帯域の光は透過し、赤色および赤外波長帯域の光束は反射させるトリクロイックプリズム115によって偏向プリズム105の方向に反射され、偏向プリズム105によって光路が90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aでNA0.65に制限され、液晶収差補正素子107aにおいて所定の位相が付加され、1/4波長板108を通過し円偏光あるいは楕円偏光とされ、対物レンズ109に入射し、DVD系光記録媒体110c上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。DVD系光記録媒体110cから反射した光束は、偏向プリズム105、トリクロイックプリズム115で反射され、ダイクロイックプリズム204を通過しコリメートレンズ202で収束光とされ、ホログラム201bにより半導体レーザ201aと同一キャン内にある受光素子201c方向に回折されて受光素子201cに受光される。受光素子201cからは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長785nm、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体」を記録または再生、消去する場合について説明する。CD系光記録媒体についてもDVD系光記録媒体と同様にホログラムユニットが一般的に用いられるようになってきた。図24において、211は、半導体レーザ211a、ホログラム211bおよび受光素子211cを一体化して構成されたホログラムユニットを示す。このホログラムユニット211の半導体レーザ211aから出射された785nmの光束は、ホログラム211bを透過し、コリメートレンズ212で平行光とされ、赤色波長帯域の光は透過し、赤外波長帯域の光束は反射させるダイクロイックプリズム204で反射し、青色波長帯域の光は透過し、赤色および赤外波長帯域の光束は反射させるトリクロイックプリズム115によって偏向プリズム105の方向に反射され、偏向プリズム105によって光路が90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aでNA0.50に制限され、液晶収差補正素子107aにおいて所定の位相が付加され、1/4波長板108を通過し円偏光あるいは楕円偏光とされ、対物レンズ109に入射し、CD系光記録媒体110d上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。CD系光記録媒体110dから反射した光束は、偏向プリズム105、トリクロイックプリズム115、ダイクロイックプリズム204で反射され、コリメートレンズ212で収束光とされ、ホログラム211bにより半導体レーザ211aと同一キャン内にある受光素子211c方向に回折されて受光素子211cに受光される。受光素子211cからは、情報信号,サーボ信号が検出される。
以下、青色2方式、DVD、CD互換のために、本参考例5で採用している光学部品について説明する。
本参考例5においては、第1,第2の青色光記録媒体110a,110b、DVD系,CD系光記録媒体110c,110dの4種類の光記録媒体に記録あるいは再生を行うため、4段階の開口の切り換えが必要となる。第1の青色光記録媒体110aではNA0.85となるφ1、第2の青色光記録媒体110bではNA0.65となるφ2、DVD系光記録媒体110cではNA0.65となるφ3、CD系光記録媒体110dではNA0.50となるφ4を選択するものとした場合、φ1>φ3>φ2>φ4となる。ここでφ3とφ2が同じNAに対して、開口径が異なるのは、長波長ほど焦点距離が相対的に伸びるためであり、前述した式の(数1)から明らかなように同じNAを得るためには、φ3をφ2より大きくする必要がある。
このような4段階の開口制限素子としてゲストホスト型液晶開口制限素子106aを用いる。図25に示すように選択的な環状遮光フィルタして機能する。各光記録媒体に応じてNAを変更するもので、具体的には、環状のパターンを持った液晶シャッタからなり、対物レンズ109に入射する光束の外周部を選択的に遮光するものである。図25に示すように、外側から同心円状に形成された各領域に選択的に電圧のオン,オフ状態を選ぶ。第1の青色光記録媒体のときは全面透過させ、DVD系光記録媒体のときはφ3となるように、第2の青色光記録媒体のときはφ2、CD系光記録媒体のときはφ4となるようにすればよい。
次に、波長405nm、NA0.85で基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体110aに対して波面収差が最小となる単一の対物レンズ109に、NA0.65で基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体110bにスポット形成させた場合。図26(a)に示すように基板厚みの違いに伴う波面収差が発生する。
また、波長405nm、NA0.85で基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体110aに対して波面収差が最小となる単一の対物レンズ109に、NA0.65で基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体110cに波長660nmの光束を無限系入射によりスポット形成させた場合、図26(b)に示すように波長と基板厚みの違いに伴う球面収差が発生する。
また、波長405nm、NA0.85で基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体110aに対して波面収差が最小となる単一の対物レンズ109に、NA0.50で基板厚1.2mmのCD系光記録媒体110dにスポット形成させた場合。図26(c)に示すように基板厚みの違いに伴う球面収差が発生する。
本参考例5では、これらの球面収差と逆極性の球面収差を発生させるために、参考例2と同様の液晶収差補正素子107aを具備してなる。
前述の3つの異なる球面収差を補正するための電極構成としては、例えば、図27のように構成すればよい。すなわち、連続した透明電極145,146を1対となし、透明電極145,146のそれぞれにメタル電極145a〜145c,146a〜146cを形成してなる。メタル電極はメタル配線によりそれぞれ外部の信号源に接続されており、各信号源より各々任意の電圧を供給できる。そして、本参考例5では、透明電極145として第2の青色光記録媒体、およびDVD系光記録媒体を記録,再生しようとしたときに発生する球面収差が最大となる各瞳半径位置の略中点に形成し、透明電極146としてCD系光記録媒体の記録,再生しようとしたときに発生する球面収差が最大となる瞳半径位置に形成している。
具体的には、図26の場合、第1,第2の青色光記録媒体、DVD系,CD系光記録媒体における各光路の対物レンズの入射光束径はφ3.0mm、φ2.3mm、φ1.8mmであり、液晶収差補正素子107aの光束通過径は、第1の青色光記録媒体の光路と略同等の3.0mmで作製される(実際には0.1〜0.2mmのマージンを持たせる)。このとき透明電極145の瞳半径は1.7mm、透明電極146の瞳半径は1.3mmとすればよい。本参考例5では、大きく3種類の球面収差、すなわち、NA0.65青色、DVD、CDを補正するが、図26(a),(b)を見れば明らかなとおり、球面収差が最大となる位置は略一致しているため、2種類のピーク位置を出すようなメタル電極145b,146bの電極パターンを用いればよい。
そして、このような電極パターンを有する液晶素子に対して、例えば、光記録判別手段(図示しない)によりDVD系光記録媒体が挿入されたことが認識されると、付加位相量が最大となる位置となるように予め記録された印加電圧が各電極(メタル電極145b)に加えられ、CD系光記録媒体が挿入されたことが認識されると、付加位相量が最大となる位置となるように予め記録された印加電圧が各電極(メタル電極146b)に加えられる。
図28は本発明の実施の形態1における光ピックアップであり、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」と「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」と「使用波長660nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体」と「使用波長785nm、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体」をともに記録または再生、消去できる光ピックアップの概略構成を示す図である。
図28に示す光ピックアップの要部は、波長405nmの半導体レーザ101、コリメートレンズ102、偏光面切換素子103、ハーフミラー104’、トリクロイックプリズム115、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、偏光選択性収差補正素子107、対物レンズ109、検出レンズ111、光束分割手段112、受光素子113から構成される波長405nmの光束が通過する青色光学系と、ホログラムユニット201、コリメートレンズ202、ダイクロイックプリズム204、トリクロイックプリズム115、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、偏光選択性収差補正素子107、対物レンズ109から構成される波長660nmの光束が通過するDVDの光学系と、ホログラムユニット211、コリメートレンズ212、ダイクロイックプリズム204、トリクロイックプリズム115、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、偏光選択性収差補正素子107、対物レンズ109から構成される波長785nmの光束が通過するCDの光学系から構成されている。
すなわち、トリクロイックプリズム115、ダイクロイックプリズム204、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、偏光選択性収差補正素子107、対物レンズ109は3つあるいは2つの光学系の共通部品である。
ここで、対物レンズ109は、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」に対し、無限系で波面収差が最小になるように設計されている。一般に対物レンズは高NA、短波長になるほど公差が厳しくなるので、青色NA0.85での望ましい特性を出す方が難しくなるので、特に、NA0.85で収差が補正された非球面レンズを使うことが望ましいためである。
第1,第2の青色光記録媒体110a,110b、DVD系,CD系光記録媒体110c,110dはそれぞれ基板厚さ、使用波長が異なる光記録媒体で、第1の青色光記録媒体110aは基板厚さが0.1mmの光記録媒体、第2の青色光記録媒体110bは基板厚さが0.6mmの光記録媒体、DVD系光記録媒体110cは基板厚さ0.6mmの光記録媒体、CD系光記録媒体110dは基板厚さ1.2mmの光記録媒体である。記録または再生時にはいずれかの光記録媒体のみが図示しない回転機構にセットされて高速回転される。
まず、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光面切換素子103で偏光方向を紙面垂直面内で90度回転され、ハーフミラー104’、トリクロイックプリズム115を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aと、偏光選択性収差補正素子107を不感帯透過し、対物レンズ109に入射し、第1の青色光記録媒体110a上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第1の青色光記録媒体110aから反射した光束は、再び略平行光とされ、ハーフミラー104’で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光面切換素子103では偏光面は回転せずそのまま通過し、ハーフミラー104’、トリクロイックプリズム115を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aでNA0.65に制限され、偏光選択性収差補正素子107において所定の球面収差が付加され、対物レンズ109に入射し、第2の青色光記録媒体110b上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第2の青色光記録媒体110bから反射した光束は、再び略平行光とされ、ハーフミラー104’で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長660nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体」を記録または再生、消去する場合について説明する。前述した参考例5で説明したように、DVD系光記録媒体のピックアップには受発光素子を1つのキャンの中に設置したホログラムユニット201が一般的に用いられ、半導体レーザ201a、ホログラム201bおよび受光素子201cを一体化して構成される。このホログラムユニット201の半導体レーザ201aから出射された660nmの光束は、ホログラム201bを透過し、コリメートレンズ202で所定の有限系の光束とされ、ダイクロイックプリズム204を透過し、青色波長帯域の光は透過し、赤色および赤外波長帯域の光束は反射させるトリクロイックプリズム115によって偏向プリズム105の方向に反射され、偏向プリズム105によって光路が90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aでNA0.65に制限され、偏光選択性収差補正素子107において所定の球面収差が付加され、対物レンズ109に入射し、DVD系光記録媒体110c上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。DVD系光記録媒体110cから反射した光束は、偏向プリズム105、トリクロイックプリズム115で反射され、コリメートレンズ202で収束光とされ、ホログラム201bにより半導体レーザ201aと同一キャン内にある受光素子201c方向に回折されて受光素子201cに受光される。受光素子201cからは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長785nm、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体」を記録または再生、消去する場合について説明する。CD系光記録媒体についてもDVD系光記録媒体と同様にホログラムユニット211が一般的に用いられるようになってきた。半導体レーザ211a、ホログラム211bおよび受光素子211cを一体化して構成されたホログラムユニット211の半導体レーザ211aから出射された785nmの光束は、ホログラム211bを透過し、コリメートレンズ212で所定の有限系の光束とされ、赤色波長帯域の光は透過し、赤外波長帯域の光束は反射させるダイクロイックプリズム204で反射し、青色波長帯域の光は透過し、赤色および赤外波長帯域の光束は反射させるトリクロイックプリズム115によって偏向プリズム105の方向に反射され、偏向プリズム105によって光路が90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aでNA0.50に制限され、偏光選択性収差補正素子107において所定の球面収差が付加され、対物レンズ109に入射し、CD系光記録媒体110d上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。CD系光記録媒体110dから反射した光束は、偏向プリズム105、トリクロイックプリズム115、ダイクロイックプリズム204で反射され、コリメートレンズ212で収束光とされ、ホログラム211bにより半導体レーザ211aと同一キャン内にある受光素子211c方向に回折されて受光素子211cに受光される。受光素子211cからは、情報信号,サーボ信号が検出される。
以下、青色2方式、DVD、CD互換のために、本実施の形態1で採用している光学部品について説明する。
本実施の形態1において、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aについては、前述した実施の形態の参考例5と同等のものを使用するため、詳細な説明は省略し、偏光選択性収差補正素子について、以下に説明する。
波長405nm、NA0.85で基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体110aに対して波面収差が最小となる単一の対物レンズ109に、NA0.65で基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体110bにスポット形成させた場合、図26(a)に示すように基板厚みの違いに伴う球面収差が発生する。
本実施の形態1では、この球面収差と逆極性の球面収差を発生させるために、偏光選択性収差補正素子107と、偏光面切換素子103を具備してなる。偏光選択性収差補正素子107と、偏光面切換素子103は、それぞれ参考例1の偏光選性択収差補正素子と、偏光面切換素子と同一のものであり、第2の青色光記録媒体については参考例1と同様に補正される。
次に、波長405nm、NA0.85で基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体110aに対して波面収差が最小となる単一の対物レンズ109に、NA0.65で基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体110cに波長660nm無限系入射でスポット形成させた場合。図26(b)に示すように波長と基板厚みの違いに伴う球面収差が発生する。ところが、本実施の形態1においては偏光選択性収差補正素子107が挿入されているため、図26(b)とは発生する球面収差形状が異なる。偏光選択性収差補正素子は、n1_405とne_405を等しくしているのでn1_660とno_660は異なることになる。すなわち、波長660nmの光束に対しては等方性媒質と複屈折媒質で互いに異なる屈折率となるためである。したがって、偏光選択性収差補正素子が回折光学素子の場合は等方性媒質と複屈折媒質の境界面の形状によって回折が起き、偏光選択性収差補正素子が位相シフタ素子の場合は複屈折媒質の厚み分布に相当する位相差が付加された球面波が発生する。
また、波長405nm、NA0.85で基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体110aに対して波面収差が最小となる単一の対物レンズ109に、NA0.50で基板厚1.2mmのCD系光記録媒体110dにスポット形成させた場合、図26(c)に示すように基板厚みの違いに伴う球面収差が発生する。ところが、前述のDVD系光記録媒体と同様に偏光選択性収差補正素子107が挿入されているため、図26(c)とは球面収差形状は異なる。
本実施の形態1では、これらの球面収差と逆極性の球面収差を発生させるために、DVDおよびCDの光学系を有限系の構成にしている。有限系倍率として所定の倍率を選択することで任意の球面波が得られ、この球面波形状の球面収差をキャンセルしてやるような倍率を選択すればよい。
図29は本発明の実施の形態2における光ピックアップであり、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」と「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」と「使用波長660nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体」と「使用波長785nm、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体」をともに記録または再生、消去できる光ピックアップの概略構成を示す図である。
本実施の形態2における光ピックアップの構成としては、前述の実施の形態1に限られるものでなく、トリクロイックプリズム115の青色光学系側に青色用の収差補正素子と開口制限素子を配置した光学系を用い、対物レンズの前段に波長選択性の開口制限素子と球面収差補正素子を配置したような構成であってもよい。
図29における波長選択性開口制限素子としては、本件発明者による先願の特願2003−21862に記載されているような青色,DVD,CDの3段階において開口の切り換えが可能な開口制限素子を用いればよい。また波長選択性収差補正素子としては、本件発明者による先願の特願2002−226023に記載されているような青色、CDは不感帯で、DVDのみの収差補正を行うような素子を用い、CDについては所定の有限とした構成であってもよい。
図30は本発明の実施の形態3における光ピックアップであり、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」と「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」と「使用波長660nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体」と「使用波長785nm、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体」をともに記録または再生、消去できる光ピックアップの概略構成を示す図である。
本実施の形態3における光ピックアップの構成としては、トリクロイックプリズム115の青色光学系側に青色用の収差補正素子と開口制限素子を配置した光学系を用いた実施の形態2の構成において、対物レンズとして3波長互換の対物レンズ109’を用い、この対物レンズ109’の前段に波長選択性の開口制限素子106cを配置した構成である。
図30において、波長選択性開口制限素子として、実施の形態2と同様に青色,DVD,CDの3段階において開口の切り換えが可能な開口制限素子を用いればよい。そして、3波長互換用対物レンズ109’としては、回折レンズあるいは貼り合せレンズを用いればよく、レンズ特性に合わせて光学系の倍率を変更してやればよい。
図31は本発明の実施の形態4における光ピックアップであり、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」と「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」と「使用波長660nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体」と「使用波長785nm、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体」をともに記録または再生、消去できる光ピックアップの概略構成を示す図である。
図31に示す光ピックアップの要部は、波長405nmの半導体レーザ101、コリメートレンズ102、偏光ビームスプリッタ104、エキスパンダー光学系116、トリクロイックプリズム115、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、1/4波長板108、対物レンズ109、検出レンズ111、光束分割手段112、受光素子113から構成される波長405nmの光束が通過する青色光学系と、ホログラムユニット201、コリメートレンズ202、ダイクロイックプリズム204、トリクロイックプリズム115、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、1/4波長板108、対物レンズ109から構成される波長660nmの光束が通過するDVD系光学系と、ホログラムユニット211、コリメートレンズ212、ダイクロイックプリズム204、トリクロイックプリズム115、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、1/4波長板108、対物レンズ109から構成される波長785nmの光束が通過するCD系光学系から構成されている。すなわち、トリクロイックプリズム115、ダイクロイックプリズム204、偏向プリズム105、ゲストホスト型液晶開口制限素子106a、1/4波長板108、対物レンズ109は3つあるいは2つの光学系の共通部品である。
また、第1,第2の青色光記録媒体110a,110b、DVD系,CD系光記録媒体110c,110dはそれぞれ基板厚さ、使用波長が異なる光記録媒体であり、第1の青色光記録媒体110aは基板厚さが0.1mmの光記録媒体、第2の青色光記録媒体110bは基板厚さが0.6mmの光記録媒体、DVD系光記録媒体110cは基板厚さ0.6mmの光記録媒体、CD系光記録媒体110dは基板厚さ1.2mmの光記録媒体である。記録または再生時にはいずれかの光記録媒体のみが図示しない回転機構にセットされて高速回転される。
まず、「使用波長405nm、NA0.85、光照射側基板厚0.1mmの第1の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ104を透過し、エキスパンダー光学系116にて所定の収斂光に変換され、トリクロイックプリズム115を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aを不感帯透過し、1/4波長板108を通過し円偏光とされ、対物レンズ109に入射し、第1の青色光記録媒体110a上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第1の青色光記録媒体110aから反射した光束は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板108を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ104で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長405nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmの第2の青色光記録媒体」を記録または再生する場合について説明する。波長405nmの半導体レーザ101から出射した直線偏光の発散光は、コリメートレンズ102で略平行光とされ、偏光ビームスプリッタ104を透過し、エキスパンダー光学系116を無限系光束で透過し、トリクロイックプリズム115を透過し、偏向プリズム105で光路を90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aでNA0.65に制限され、1/4波長板108を通過し円偏光とされ、対物レンズ109に入射し、第2の青色光記録媒体110b上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。第2の青色光記録媒体110bから反射した光束は、往路とは反対回りの円偏光となり、再び略平行光とされ、1/4波長板108を通過して往路と直交した直線偏光になり、偏光ビームスプリッタ104で反射され、検出レンズ111で収束光とされ、光束分割手段112により複数の光路に偏向分割され受光素子113に至る。受光素子113からは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長660nm、NA0.65、光照射側基板厚0.6mmのDVD系光記録媒体」を記録または再生、消去する場合について説明する。また前述の参考例5において説明したように、DVD系光記録媒体のピックアップには受発光素子を1つのキャンの中に設置したホログラムユニット201が用いられる。このホログラムユニット201の半導体レーザ201aから出射された660nmの光束は、ホログラム201bを透過し、コリメートレンズ202で平行光とされ、ダイクロイックプリズム204を透過し、青色波長帯域の光は透過し、赤色および赤外波長帯域の光束は反射させるトリクロイックプリズム115によって偏向プリズム105の方向に反射され、偏向プリズム105によって光路が90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aでNA0.65に制限され、1/4波長板108を通過し円偏光あるいは楕円偏光とされ、対物レンズ109に入射し、DVD系光記録媒体110c上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。DVD系光記録媒体110cから反射した光束は、偏向プリズム105、トリクロイックプリズム115で反射され、コリメートレンズ202で収束光とされ、ホログラム201bにより半導体レーザ201aと同一キャン内にある受光素子201c方向に回折されて受光素子201cに受光される。受光素子201cからは、情報信号,サーボ信号が検出される。
次に、「使用波長785nm、NA0.50、光照射側基板厚1.2mmのCD系光記録媒体」を記録または再生、消去する場合について説明する。CD系光記録媒体についてもDVD系光記録媒体と同様にホログラムユニット211が一般的に用いられる。このホログラムユニット211の半導体レーザ211aから出射された785nmの光束は、ホログラム211bを透過し、コリメートレンズ212で所定の発散光とされ、赤色波長帯域の光は透過して赤外波長帯域の光束は反射させるダイクロイックプリズム204で反射し、青色波長帯域の光は透過して赤色および赤外波長帯域の光束は反射させるトリクロイックプリズム115によって偏向プリズム105の方向に反射され、偏向プリズム105によって光路が90度偏向され、ゲストホスト型液晶開口制限素子106aでNA0.50に制限され、1/4波長板108を通過し円偏光あるいは楕円偏光とされ、対物レンズ109に入射し、CD系光記録媒体110d上に微小スポットとして集光される。このスポットにより、情報の再生、記録あるいは消去が行われる。CD系光記録媒体110dから反射した光束は、偏向プリズム105、トリクロイックプリズム115、ダイクロイックプリズム204で反射され、コリメートレンズ212で収束光とされ、ホログラム211bにより半導体レーザ211aと同一キャン内にある受光素子211c方向に回折されて受光素子211cに受光される。受光素子211cからは、情報信号,サーボ信号が検出される。
本実施の形態4においては、第1,第2の青色光記録媒体110a,110b、DVD系,CD系光記録媒体110c,110dの4種類の光記録媒体に記録または再生を行うため、4段階の開口の切り換えが必要となる。第1の青色光記録媒体110aではNA0.85となるφ1、第2の青色光記録媒体110bではNA0.65となるφ2、DVD系光記録媒体110cではNA0.65となるφ3、CD系光記録媒体110dではNA0.50となるφ4を選択するものとした場合、φ1>φ3>φ2>φ4となる。ここでφ3とφ2が同じNAに対して、開口径が異なるのは、長波長ほど焦点距離が相対的に伸びるためであり、前述した(数1)から明らかなように同じNAを得るためには、φ3をφ2より大きくする必要がある。
このような4段階の開口制限素子としてゲストホスト型液晶開口制限素子106aを用いる。参考例5においても説明したように、図25に示すような選択的な環状遮光フィルタして機能する。各光記録媒体に応じてNAを変更するもので、具体的には、環状のパターンを持った液晶シャッタからなり、対物レンズ109に入射する光束の外周部を選択的に遮光するものである。
図32は、一般的な対物レンズの基板厚みと発散度の関係を示した特性図である。横軸は基板厚み、縦軸は対物レンズに入射する光束の発散度の関数で使用状態における対物レンズの倍率である。対物レンズより基板側へ出射する光束は常に収斂光であるので、対物レンズに収斂光が入射するときの符号を「+」,発散光が入射するときの符号は「−」とする。また、この倍率が「0」のときは、対物レンズへは平行光が入射する。図32中の曲線は各基板厚に対し、波面収差を最小とする倍率を結んだものであり、例えば基板厚「B」において平行光入射が最良の場合、基板厚が厚くなるほど「−」、すなわち発散光、薄くなるほど「+」すなわち収斂光を入射させてやると収差が小さくなるということが一般に知られる。
よって、図33(a)〜(d)に示すように、第1の青色光記録媒体110aの場合に収斂光入射、第2の青色光記録媒体110bおよびDVD系光記録媒体110cの場合に平行光入射、CD系光記録媒体で発散光入射において、収差最良となる対物レンズ形状が得られる。例えば、第1の青色光記録媒体110aの場合は、基板厚が薄くなった分で生じるアンダーの球面収差を、収斂光によるオーバーの収差で打ち消している。なお、図34に示すレンズデータの記載方法は前述した図21などに記載したものと同様である。
また選択倍率としては、前述した例に限られるものではなく、図32から、第1の青色光記録媒体110aの場合に無限系入射、第2の青色光記録媒体110bおよびDVD系光記録媒体110cおよびCD系光記録媒体110dにおいて発散光入射において収差最良となるレンズであってもよい。あるいは、第1の青色光記録媒体110aの場合に収斂光入射、第2の青色光記録媒体110bおよびDVD系光記録媒体110cおよびCD系光記録媒体110dの場合に発散光入射で収差最良となるレンズであってもよい。
また、図31に示すように、第1,第2の青色光記録媒体110a,110bに対し、対物レンズ109への入射光束の発散状態を切り換える手段として、エキスパンダー光学系116を用いればよい。このエキスパンダー光学系116は正負、パワーの異なるレンズ116a,116bを光軸上に配置したものであって、レンズ間距離を変化させることにより、エキスパンダー光学系116を通過した光束の発散状態を変化させられる。
図35は本発明の実施の形態5における光情報処理装置の概略構成を示す透過斜視図である。
光情報処理装置である情報記録再生装置10は光記録媒体20に対して、光ピックアップ11を用いて情報の記録または再生、消去の1以上を行う装置である。この実施の形態5において、光記録媒体20はディスク状であって、保護ケースのカートリッジ21内に格納されている。光記録媒体20はカートリッジ21ごと、挿入口12から情報記録再生装置10に矢印「入」方向へ挿入セットされ、スピンドルモータ13により回転され、光ピックアップ11により情報の記録や再生、あるいは消去が行われる。なお、光記録媒体20は保護ケースに入れられている必要はなく裸の状態であってもよい。
この光ピックアップ11として、前記実施の形態1〜4に記載された光ピックアップを適宜用いることができる。