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JP4739120B2 - 導電性酸化チタンとその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規導電性酸化チタンおよびその製造方法に関する。
さらに詳しくは、導電性が高いだけではなく、基材との密着性、透明性、可撓性などの特性に優れた導電性酸化チタンおよびその製造方法に関する。
従来、導電性を有する材料として金属微粒子がよく知られているが、金属微粒子は着色があったり、種類によっては高価であったり腐蝕するなどの問題があった。また、酸化物系導電性材料として錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)等が知られている。このような酸化物系導電性材料は透明性を有する導電性薄膜、あるいは耐候性に優れた導電性薄膜を得るには好ましいが、インジウム、アンチモン等は稀少金属であり、高価であることからこれら酸化物系導電性材料に変わる材料が求められている。
このような酸化物導電性材料として、非特許文献1および2には、チタン酸ストロンチウム基材上で、パルス−レーザーデポジション(PLD)法により酸化チタンにNb、Taをドーピングしたものは、導電性とともに透明性を有する導電性薄膜を形成できることが開示されている。
古林ら、Thin Solid Film xx(2005)xxx-xx、ELSEVIER TSF-20608;NO of Page 3 古林ら、Japanese Journal of Applied Physics Vol.44 NO.34,2005 pp.L1063-L1065
しかしながら、非特許文献1および2に記載されたPLD法による薄膜は、製造装置が高価であったり、連続生産に不向きで、このため得られる導電性薄膜は用途によっては必ずしも安価とはいえなかった。
そこで、本発明者らは、上記問題点に鑑み、鋭意検討した結果、ペルオキソチタン酸に由来する酸化チタン成分を使用し、しかも、予めドーピング材用化合物と混合しておき、かかる溶液を水熱処理すれば、酸化チタンに簡単にドーピング材をドープすることが可能であるばかりか、酸化チタンの形状も制御することが可能でとなり、得られる酸化チタンが高い導電性を有するだけではなく、透明性や密着性などの特性も付与できることを見出して本発明を完成するに至った。
本発明は、基材との密着性に優れ、透明性にも優れた導電性の薄膜の形成等に導電性フィラーとして好適に用いることができる粒状または繊維状の導電性酸化チタンおよびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明の構成は以下に示される。
[1]3A族(ランタノイド属およびアクチノイド属)、5A族、3B族、4B族からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素からなるドーピング材(D)元素を含み、
該ドーピング材の含有量がTiとの原子比D/Tiで0.01〜0.2の範囲にあり、
形状が粒状または繊維状あるいは管状である導電性酸化チタン。
[2]前記ドーピング材(D)元素がV、Nb、Ta、Pb、U、Ndからなる群から選ばれる少なくとも1種である[1]の導電性酸化チタン。
[3]導電性酸化チタンが、粒状形状であり、導電性酸化チタンの平均粒子径が5〜500nmの範囲にある[1]または[2]の導電性酸化チタン。
[4]導電性酸化チタンが、繊維状あるいは管状形状であり、導電性酸化チタンの短軸の平均幅(W)が5〜50nmの範囲にあり、長軸の平均長さ(L)が50nm〜5μmの範囲にあり、平均アスペクト比(L/W)が5〜1000の範囲にある[1]または[2]の導電性酸化チタン。
[5]前記導電性酸化チタンがアナタース型酸化チタンである[1]〜[4]の導電性酸化チタン。
[6]体積抵抗値が10Ω・cm以下の範囲にある[1]〜[5]の導電性酸化チタン。
[7]ペルオキソチタン酸および/または酸化チタンコロイドと3A族(ランタノイド属およびアクチノイド属)、5A族、3B族、4B族からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーピング材用化合物との混合水溶液を、
110〜270℃の範囲で水熱処理し、ついで、還元ガス雰囲気、酸化ガス雰囲気または不活性ガス雰囲気下、100〜700℃で加熱処理する導電性酸化チタンの製造方法。
[8]ペルオキソチタン酸および/または酸化チタンコロイドと3A族(ランタノイド属およびアクチノイド属)、5A族、3B族、4B族からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーピング材用化合物との混合水溶液を、
アルカリ存在下に110〜270℃の範囲で水熱処理し、ついで、還元ガス雰囲気、酸化ガス雰囲気または不活性ガス雰囲気下、100〜700℃で加熱処理する導電性酸化チタンの製造方法。
[9]前記混合水溶液を脱イオン処理する[7]または[8]の導電性酸化チタンの製造方法。
[10]前記ドーピング材用化合物の元素がV、Nb、Ta、Pb、U、Ndからなる群から選ばれる少なくとも1種である[7]〜[9]の導電性酸化チタンの製造方法。
[11]前記ペルオキソチタン酸および/または酸化チタンコロイドとドーピング材用化合物(D)との混合割合が原子比D/Tiで0.01〜0.2の範囲にある[7]〜[10]の導電性酸化チタンの製造方法。
[12]前記ペルオキソチタン酸を水熱処理して得た酸化チタンコロイドとドーピング材用化合物(D)との混合割合が原子比D/Tiで0.01〜0.2の範囲にある[7]〜[11]の導電性酸化チタンの製造方法。
[13]前記アルカリがアルカリ金属水酸化物および/または有機塩基であり、ペルオキソチタン酸のモル数(MT)とアルカリのモル数(MB)とのモル比(MB)/(MT)が5〜300の範囲にある[8]〜[12]の導電性酸化チタンの製造方法。
本発明によれば、従来、得ることが困難であった導電性酸化チタンを効率的に製造できる。
導電性酸化チタンが粒状である場合は、基材との密着性に優れ、透明性にも優れた導電性の薄膜の形成等に導電性フィラーとして好適に用いることができ、また、導電性酸化チタ
ンが繊維状あるいは管状である場合は基材との密着性に優れ、特に、薄膜を変形させてもクラックが生じたり、基材と剥離することがなく可撓性に優れた導電性の薄膜の形成等に導電性フィラーとして好適に用いることができる導電性酸化チタンおよびその製造方法を提供することができる。
以下、先ず、本発明に係る導電性酸化チタンについて具体的に説明する。
[導電性酸化チタン]
本発明に係る導電性酸化チタンは3A族(ランタノイド属およびアクチノイド属)、5A族、3B族、4B族からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーピング材(D)を含み、該ドーピング材の含有量がTiとの原子比D/Tiで0.001〜0.2の範囲にあり、形状が粒状(球、ロッド状、正八面体状等)または繊維状あるいは管状であることを特徴としている。
ドーピング材用元素としては、3A族(ランタノイド属およびアクチノイド属)、5A族、3B族、4B族からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーピング材用元素を用いることができるが、なかでもV、Nb、Ta、Pb、U、Ndからなる群から選ばれる少なくとも1種を用いると元素固有の電子状態により、酸化チタンの電子状態を大きく変える(自由電子を増加させる)ことができ、高い導電性が出現すると考えられる。
導電性酸化チタン中のドーピング材の含有量は、Tiとの原子比D/Tiで0.01〜0.2、さらには0.02〜0.1の範囲にあることが好ましい。
前記原子比D/Tiが小さすぎる場合は、ドーピング元素が少ないために酸化チタンの自由電子の増加が少なく、導電性が不充分となる。また前記原子比D/Tiが大きすぎると、ドーピングした元素の影響が強くなりすぎ、自由電子は減少する傾向にあり、このため導電性が不充分となることがある。
本発明に係る導電性酸化チタンの形状は、粒状または繊維状あるいは管状である。
ここで、粒状とは球状、アスペクト比が小さく棒状、正八面体等の多面体の粒子等をいう。
導電性酸化チタンの形状が粒状酸化チタンの場合は平均粒子径が5〜500nm、さらには10〜200nmの範囲にあることが好ましい。平均粒子径が小さいと、粒界抵抗が大きくなるため、製膜した場合に導電性が不充分となることがある。平均粒子径が大きすぎると、塗布液法で製膜した場合にクラックが生じたり、フェーズが悪化したりすることがある。
また、導電性酸化チタンの形状が繊維状または管状酸化チタンの場合は、短軸の平均幅(W)が5〜50nm、さらには10〜40nmの範囲にあることが好ましい。短軸の平均幅(W)が小さいものは、それ自体を得ることが困難であり、得られたとしても平均長さが短くなり、前記粒状導電性酸化チタンと変わることがなくなり、製造費用が高価であることから経済性が低下することがある。また、短軸の平均幅(W)が大きいものも得ることが困難である。
繊維状または管状導電性酸化チタンの長軸の平均長さ(L)が50nm〜5μm、さらには100nm〜3μmの範囲にあることが好ましい。長軸の平均長さ(L)が短い場合は、繊維状導電性酸化チタンが緻密に被膜内に充填せず、膜の強度が不充分であったり、導電性が不充分となることがある。また、長軸の平均長さ(L)が大きすぎると、用途が制約を受けたり、導電性薄膜を形成してもさらに導電性が向上することもなく、基材との密着性が低下することがある。
さらに、繊維状または管状導電性酸化チタンの平均アスペクト比(L/W)は、5〜1000、さらには10〜800の範囲にあることが好ましい。平均アスペクト比(L/W)が小さい場合は、導電性薄膜としても導電性において前記粒状導電性酸化チタンと変わることがなくなり、製造費用が高価であることから経済性が低下する。また平均アスペクト比(L/W)が大きすぎても、繊維状導電性酸化チタンが緻密に充填せず、膜の強度が不充分であったり、導電性が不充分となることがある。
管状導電性酸化チタンは、繊維状導電性酸化チタンの内部に長さ方向に貫通した穴を有するものであり、内部の穴径は概ね2〜20nmの範囲にあるものが好適である。
このような導電性酸化チタンは、無定型、アナタース型、ルチル型およびブルッカイト型のいずれであってもよいが、アナタース型、ルチル型およびブルッカイト型等の結晶性導電性酸化チタンは前記した元素をドープされて電子状態が変化し、より高い導電性を有することから好適に用いることができる。また、酸化チタンは、還元型、すなわち低次酸化物であってもよい。
なかでも、アナタース型の導電性酸化チタンは合成が容易であり、且つ、導電性に優れているので好適に用いることができる。
本発明の導電性酸化チタンは体積抵抗値が10Ω・cm以下、さらには0.1Ω・cm以下の範囲にあることが好ましい。導電性酸化チタンの体積抵抗値が高いものは、薄膜を形成しても導電性が不充分である。
なお、導電性酸化チタンが粒状のものは体積抵抗値が概ね10〜10-5Ω・cmの範囲にあり、導電性酸化チタンが繊維状または管状のものは体積抵抗値が概ね10〜10-6Ω・cmの範囲にある。
つぎに、本発明に係る導電性酸化チタンの製造方法について説明する。
[導電性酸化チタンの製造方法]
本発明に係る導電性酸化チタンの製造方法は、ペルオキソチタン酸水溶液および/または酸化チタンコロイドと、3A族(ランタノイド属およびアクチノイド属)、5A族、3B族、4B族からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーピング材用化合物との混合水溶液を、110〜270℃の範囲で水熱処理し、ついで、還元ガス雰囲気、酸化ガス雰囲気または不活性ガス雰囲気下、200〜700℃で加熱処理することを特徴としている。
本発明に用いるペルオキソチタン酸としては、従来公知のペルオキソチタン酸を用いることができ、例えば、以下のようにして得ることができる。
まず、従来公知の方法によってチタン化合物を加水分解してオルソチタン酸のゾルまたはゲルを調製する。
オルソチタン酸のゲルは、チタン化合物として塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニルなどのチタン塩を使用し、この水溶液にアルカリを加えて中和し、洗浄することによって得ることができる。
また、オルソチタン酸のゾルは、チタン塩の水溶液をイオン交換樹脂に通して陰イオンを除去するか、あるいはチタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシドなどのチタンアルコキシドの水および/または有機溶媒に酸またはアルカリを加えて加水分解することによって得ることができる。
中和あるいは加水分解する際のチタン化合物の溶液のpHは7〜13の範囲にあることが好ましい。チタン化合物溶液のpHが上記範囲にない場合は後述するゲルまたはゾルの
比表面積が低すぎることがあり、結晶性酸化チタンの生成が低下する傾向がある。
さらに、中和あるいは加水分解する際の温度は0〜40℃の範囲にあることが好ましく、特に好ましい範囲は0〜30℃の範囲である。中和あるいは加水分解する際の温度が上記範囲にない場合は結晶性酸化チタンの生成が低下する傾向がある。
得られたゲルまたはゾル中のオルソチタン酸粒子は、非晶質であることが好ましい。
次に、オルソチタン酸のゲルまたはゾルあるいはこれらの混合物に、過酸化水素を添加してオルソチタン酸を溶解してペルオキソチタン酸水溶液を調製する。
ペルオキソチタン酸水溶液を調製するに際しては、オルソチタン酸のゲルまたはゾルあるいはこれらの混合物を、必要に応じて約50℃以上に加熱したり、攪拌したりすることが好ましい。また、この際、オルソチタン酸の濃度が高くなるすぎると、その溶解に長時間を必要とし、さらに未溶解のゲルが沈殿したり、あるいは得られるペルオキソチタン酸水溶液が粘調になることがある。このため、TiO2濃度としては、約10重量%以下であることが好ましく、さらに約5重量%以下であることが望ましい。
添加する過酸化水素の量は、H22/TiO2(オルソチタン酸はTiO2に換算)重量比で1以上であれば、オルソチタン酸を完全に溶解することができる。H22/TiO2重量比が1未満であると、オルソチタン酸が完全には溶解せず、未反応のゲルまたはゾルが残存することがある。また、H22/TiO2重量比は大きいほど、オルソチタン酸の溶解速度は大きく反応時間は短時間で終了するが、あまり過剰に過酸化水素を用いても、未反応の過酸化水素が系内に残存するだけであり、経済的でない。このような量で過酸化水素を用いると、オルソチタン酸は0.5〜20時間程度で溶解する。
また、ペルオキソチタン酸水溶液とともに、またはその替わりに、酸化チタンコロイドを使用してもよい。
酸化チタンコロイドとしては、従来公知のコロイドを用いることができる。酸化チタンコロイドは、たとえば、ペルオキソチタン酸を水熱処理することにより得られる。酸化チタンコロイドの平均粒子径は、5〜100nm、さらには10〜25nmの範囲にあることが好ましい。
本発明に用いるペルオキソチタン酸水溶液、酸化チタンコロイド(双方使用する場合は合計)の濃度はTiO2として10重量%以下、さらには0.5〜5重量%の範囲にあることが好ましい。
TiO2としての濃度が大きすぎると、ペルオキソチタン酸の場合、安定性が低く、また、酸化チタンコロイドの場合、凝集することがあり、前記した元素のドーピングが不均一になるためか、得られる導電性酸化チタンの導電性が不充分となることがある。
ついで、ペルオキソチタン酸水溶液および/または酸化チタンコロイドと、3A族(ランタノイド属およびアクチノイド属)、5A族、3B族、4B族からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーピング材用化合物の水溶液とを混合する。
より好ましいドーピング材用化合物としては、V、Nb、Ta、Pb、U、Nd等の塩化物、硫酸塩、アルコキシド化合物、水酸化物、ペルオキソ化合物等が挙げられる。
ペルオキソチタン酸水溶液および/または酸化チタンコロイドとドーピング材用化合物の水溶液との混合比率は、ペルオキソチタン酸および/または酸化チタンコロイドとドーピング材(D)用化合物との混合割合が、D/Ti原子比で0.01〜0.2、さらには0.02〜0.1の範囲となるように混合することが好ましい。
前記原子比D/Tiが小さい場合は、ドーピング元素が少ないために酸化チタンの自由電子の増加が少なく、導電性が不充分となる。また、前記原子比D/Tiが大きすぎても、ドーピング元素の影響が強くなりすぎ、自由電子は減少する傾向にあり、このため導電性が不充分となることがある。
混合水溶液は、ドーピング材用化合物として塩化物、硫酸塩等を用いた場合は陰イオン交換樹脂等により脱イオン処理して用いることが好ましい。脱イオン処理すると均一にドーピングできるためか導電性の高い粒状導電性酸化チタンを得ることができる。
ついで、混合水溶液を110〜270℃、好ましくは130〜160℃の範囲で水熱処理する。
水熱処理温度が低いと得られる導電性酸化チタンの結晶性が低く、導電性が不充分となることがある。
水熱処理温度が高いと、ドーピング材の使用量によっても異なるが、ドーパントが遊離する傾向にあり、得られる導電性酸化チタンの導電性が不充分となることがある。
水熱処理時間は、温度によっても異なるが通常0.5〜24時間である。
水熱処理後、酸化チタン粒子分散液を濾過し、洗浄し、常法によって乾燥する。
乾燥して得た酸化チタン粒子は、ついで、還元ガス雰囲気、酸化雰囲気または不活性ガス雰囲気下、100〜700℃、さらには300〜600℃で加熱処理する。
このようにして得られた導電性酸化チタンは粒状であり、平均粒子径が5〜500nmの範囲にあり、体積抵抗値が概ね10Ω・cm以下の範囲にある。
また、ペルオキソチタン酸および/または酸化チタンコロイドと3A族(ランタノイド属およびアクチノイド属)、5A族、3B族、4B族からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーピング材用化合物との混合水溶液を、
アルカリ存在下に110〜270℃の範囲で水熱処理し、ついで、還元ガス雰囲気、酸化ガス雰囲気または不活性ガス雰囲気下、100〜700℃で加熱処理しても導電性酸化チタンを製造することができる。この方法によれば、繊維状または、管状の導電性酸化チタンを製造することができる。
なお、繊維状または管状となる理由は明確ではないものの、アルカリ存在下で水熱処理すると、酸化チタンがチタン酸ナトリウムなどへの溶解と析出を促進し、Tiの再配列が起こり、形状が変化(粒状から繊維状、管状)するものと考えられる。
ペルオキソチタン酸水溶液としては前記したと同様のものを用いる。
繊維状、管状の導電性酸化チタンを調製する場合、ペルオキソチタン酸水溶液を110〜270℃、好ましくは130〜160℃で水熱処理して酸化チタンコロイド微粒子分散液を調製しておくことが望ましい。
水熱処理温度が110℃未満の場合はペルオキソチタン酸の未反応物が残存したり、得られる酸化チタンコロイが一部凝集することがあり、このような酸化チタンコロイドを用いて得られる繊維状導電性酸化チタンには凝集粒子が含まれることがあり、繊維状導電性酸化チタンの径、長さ、アスペクト比等が不均一で、均一な導電性膜を形成するのが困難となることがある。
水熱処理温度が270℃を超えると、酸化チタンコロイドの粒子径が大きくなりすぎたり、大きな凝集粒子が生成することがあり、このような酸化チタンコロイドを用いると導
電性酸化チタンの結晶化に長時間を要したり、結晶性が不充分となり、得られたとしても導電性が不充分となる傾向がある。
このとき得られる酸化チタンコロイド微粒子の平均粒子径は概ね10〜25nmの範囲にあることが好ましい。
ついで、酸化チタンコロイド微粒子分散液と3A族(ランタノイド属およびアクチノイド属)、5A族、3B族、4B族からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーピング材用化合物の水溶液とを混合する。
ドーピング材用化合物としては前記したと同様の化合物を用いることができる。
酸化チタンコロイド微粒子分散液とドーピング材用化合物水溶液との混合比率は、酸化チタンコロイド微粒子とドーピング材(D)用化合物との混合割合がD/Ti原子比で0.01〜0.2、さらには0.02〜0.1の範囲となるように混合することが好ましい。
この場合も、混合水溶液は、ドーピング材用化合物として塩化物、硫酸塩等を用いた場合は陰イオン交換樹脂等により脱イオン処理して用いることが好ましい。脱イオン処理すると均一にドーピングできるためか導電性の高い繊維状あるいは管状の導電性酸化チタンを得ることができる。
ついで、酸化チタンコロイド微粒子分散液とドーピング材用化合物水溶液との混合水溶液にアルカリ水溶液を添加する。
アルカリ水溶液としては、LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOHおよびこれらの混合物および水溶液を用いることができ、とくにNaOH、KOHおよびこれらの混合
物は結晶性の高い繊維状導電性酸化チタンあるいは管状導電性酸化チタンを高収率で得ることができる。
このときのアルカリ金属水酸化物の添加量は、酸化チタンコロイド微粒子のTiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM)/(TM)が1〜30、さらには2〜15の範囲にあることが好ましい。
このモル比(AM)/(TM)が1未満の場合は、酸化チタン粒子の結晶性化自体が起きにくく、繊維状導電性酸化チタンあるいは管状導電性酸化チタンが得られず、モル比(AM)/(TM)が30を越えると板状の酸化チタン粒子が増加し繊維状あるいは管状の導電性酸化チタンの収率が低下する傾向にある。
また、本発明ではこれらアルカリとして有機塩基を用いることも可能であり、さらに、アルカリ金属水酸化物と併用することもできる。
有機塩基としては、テトラメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム塩または水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類を挙げることができる。
このような有機塩基はこれらのモル数(OBM)とTiO2のモル数(TM)との比(OBM)/(TM)が1〜30となるように添加して用いることが好ましい。
このような範囲で有機塩基を用いると、繊維状あるいは管状の導電性酸化チタンを高収率で得ることができる。
繊維状となる条件、管状となる条件については、原料の製造方法、粒径に応じ一概にいえないが、総じて、温度が低くTiO2が高い場合に管状となり、温度が高く、アルカリ
モル比が高い場合に繊維状となる傾向がある。
上記のようにして調製された酸化チタンコロイド微粒子のアルカリ水溶液分散液を50〜350℃、好ましくは80℃〜250℃の温度範囲で水熱処理する。
水熱処理温度が50℃未満では、繊維状あるいは管状の導電性酸化チタンの生成に長時間を要し、また、得られたとしても収率が低い場合があり、水熱処理温度が350℃を越えても繊維状あるいは管状の導電性酸化チタンの生成速度が速くなったり、収率がさらに高くなることもなく、繊維状あるいは管状の導電性酸化チタンの凝集物が生成することがある。
得られた繊維状あるいは管状酸化チタン微粒子は、ついで、洗浄し、乾燥することができる。
洗浄方法としてはアルカリ金属等を低減できれば特に制限はなく、従来公知の脱水濾過法、限外濾過膜法、イオン交換樹脂法、電気透析、逆浸透法等を採用することができる。また、塩酸、硝酸などの酸を用いて洗浄することもできる。
ついで、常法によって乾燥し、乾燥して得た繊維状あるいは管状の酸化チタン粒子は、還元ガス雰囲気、酸化雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気下、100〜700℃、さらには300〜600℃で加熱処理することが好ましい。
なお、酸化チタンコロイド微粒子の代わりに、予め調製した粒状の導電性酸化チタンを、ドーピング材用化合物を添加することなくアルカリ存在下で水熱処理することもできる。
このようにして得られた繊維状導電性酸化チタンは、短軸の平均幅(W)が5〜50nmの範囲にあり、長軸の平均長さ(L)が500nm〜5μmの範囲にあり、平均アスペクト比(L/W)が5〜1000の範囲にある。また、体積抵抗値が概ね10Ω・cm以下の範囲にある。
[実施例]
以下、実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
導電性酸化チタン(1)の調製
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは10.5であった。ついで、生成
したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.5
重量%であった。そのペルオキソチタン酸水溶液に、塩化ニオブ水溶液をNb/Ti=0.05(原子モル比)となるように加え、さらに陰イオン交換樹脂を加え2時間攪拌した後、樹脂分離を行った溶液に、TiO2に対するモル比が0.016となるようにテトラメ
チルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)を添加した。このときの分散液の
pHは11であった。ついで、230℃で5時間水熱処理して導電性酸化チタン(1)の分散液を調製した。
その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(1)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結
果を表1に示す。
なお、体積抵抗値の測定は、上下が貫通したアルミナ製のシリンダー(内部断面積が1cm2)に、先ず下部に導電性のピストン状電極柱を挿入し、これに試料として導電性酸
化チタン(1)を0.5g充填し、ついで上部からも導電性のピストン状電極柱を挿入し、
油圧機にて100kg/cm2(9.8MPa)の圧力で加圧し、この状態で上下電極柱
にデジタルマルチメーター(テスター)の端子を接続して抵抗値(Ω)を測定し、これを試料の充填高さ(cm)で除し、結果を表1に示す。
[実施例2]
導電性酸化チタン(2)の調製
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは10.5であった。ついで、生成
したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.5
重量%であった。そのペルオキソチタン酸水溶液に、塩化ニオブ水溶液をNb/Ti=0.02(原子モル比)となるように加え、さらに陰イオン交換樹脂を加え2時間攪拌した後、樹脂分離を行った溶液に、TiO2に対するモル比が0.016となるようにテトラメ
チルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)を添加した。このときの分散液の
pHは11であった。ついで、230℃で5時間水熱処理して導電性酸化チタン(2)の分散液を調製した。その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(2)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
[実施例3]
導電性酸化チタン(3)の調製
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは10.5であった。ついで、生成
したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.5
重量%であった。そのペルオキソチタン酸水溶液に、塩化ニオブ水溶液をNb/Ti=0.16(原子モル比)となるように加え、さらに陰イオン交換樹脂を加え2時間攪拌した後、樹脂分離を行った溶液に、TiO2に対するモル比が0.016となるようにテトラメ
チルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)を添加した。このときの分散液の
pHは11であった。ついで、230℃で5時間水熱処理して導電性酸化チタン(3)の分散液を調製した。
その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(3)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
[実施例4]
導電性酸化チタン(4)の調製
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは10.5であった。ついで、生成
したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.5
重量%であった。そのペルオキソチタン酸水溶液に、塩化タンタル水溶液をTa/Ti=0.05(原子モル比)となるように加え、さらに陰イオン交換樹脂を加え2時間攪拌した後、樹脂分離を行った溶液に、TiO2に対するモル比が0.016となるようにテトラ
メチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)を添加した。このときの分散液
のpHは11であった。ついで、230℃で5時間水熱処理して導電性酸化チタン(4)の分散液を調製した。
その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(4)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
[比較例1]
導電性酸化チタン(R1)の調製
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは10.5であった。ついで、生成
したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.5
重量%であった。そのペルオキソチタン酸水溶液に、塩化ニオブ水溶液をNb/Ti=0.8(原子モル比)となるように加え、さらに陰イオン交換樹脂を加え2時間攪拌した後、樹脂分離を行った溶液に、TiO2に対するモル比が0.016となるようにテトラメチ
ルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)を添加した。このときの分散液のp
Hは11であった。ついで、230℃で5時間水熱処理して導電性酸化チタン(R1)の分散液を調製した。
その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。得られた導電性酸化チタン(R1)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
[比較例2]
導電性酸化チタン(R2)の調製
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは10.5であった。ついで、生成
したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.5
重量%であった。そのペルオキソチタン酸水溶液に、塩化ニオブ水溶液をNb/Ti=0.0005(原子モル比)となるように加え、さらに陰イオン交換樹脂を加え2時間攪拌した後、樹脂分離を行った溶液に、TiO2に対するモル比が0.016となるようにテト
ラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)を添加した。このときの分散
液のpHは11であった。ついで、230℃で5時間水熱処理して導電性酸化チタン(R2)の分散液を調製した。
その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(R2)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
[実施例5]
導電性酸化チタン(5)の調製
実施例1において調製した導電性酸化チタン(1)を濃度40重量%のKOH水溶液7
0gに、TiおよびNbのモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモ
ル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、160℃で45時間水熱処理し、得られた粒子は純水にて充分洗浄した後、繊維状チタンの水分散液(TiO2としての濃度5重量%)に、繊維状酸化チタン粒子と同量の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを添加し、60℃で24時間処理してアルカリの除去等高純度化を行い、その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(5)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
[実施例6]
導電性酸化チタン(6)の調製
実施例2において調製した導電性酸化チタン(2)を濃度40重量%のKOH水溶液70gに、TiおよびNbのモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモ
ル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、160℃で45時間水熱処理し、得られた粒子は純水にて充分洗浄した後、繊維状チタンの水分散液(TiO2としての濃度5重量%)に繊維状酸化チタン粒子と同量の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを添加し、60℃で24時間処理してアルカリの除去等高純度化を行い、その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(6)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
[実施例7]
導電性酸化チタン(7)の調製
実施例3において調製した導電性酸化チタン(3)を濃度40重量%のKOH水溶液70gに、TiおよびNbのモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモ
ル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、160℃で45時間水熱処理し、得られた粒子は純水にて充分洗浄した後、繊維状チタンの水分散液(TiO2としての濃度5重量%)に繊維状酸化チタン粒子と同量の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを添加し、60℃で24時間処理してアルカリの除去等高純度化を行い、その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(7)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
[実施例8]
導電性酸化チタン(8)の調製
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは10.5であった。ついで、生成
したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.5
重量%であった。そのペルオキソチタン酸水溶液に、硫酸バナジル水溶液をV/Ti=0.05(原子モル比)となるように加え、さらに陰イオン交換樹脂を加え2時間攪拌した後、樹脂分離を行った溶液に、TiO2に対するモル比が0.016となるようにテトラメ
チルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)を添加した。このときの分散液の
pHは11であった。ついで、230℃で5時間水熱処理して導電性酸化チタン(8)の分散液を調製した。
その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2h焼成した。得られた粉末を濃度40重量%のKOH水溶液70gに、TiおよびVのモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM)/(TM)が10となるように添加
し、160℃で45時間水熱処理し、得られた粒子は純水にて充分洗浄した後、繊維状チタンの水分散液(TiO2としての濃度5重量%)に繊維状酸化チタン粒子と同量の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを添加し、60℃で24時間処理してアルカリの除去等高純度化を行い、その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(8)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
[実施例9]
導電性酸化チタン(9)の調製
実施例1において調製した導電性酸化チタン(1)を濃度40重量%のKOH水溶液7
0gに、TiおよびNbのモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモ
ル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、125℃で60時間水熱処理し、得られた粒子は純水にて充分洗浄した後、管状チタンの水分散液(TiO2としての濃度5重量%)に繊維状酸化チタン粒子と同量の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを添加し、60℃で24時間処理してアルカリの除去等高純度化を行い、その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(9)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
[比較例3]
導電性酸化チタン(R3)の調製
比較例1において調製した導電性酸化チタン(R1)を濃度40重量%のKOH水溶液
70gに、TiおよびNbのモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)との
モル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、160℃で45時間水熱処理し、得られた粒子は純水にて充分洗浄した後、繊維状チタンの水分散液(TiO2としての濃度5重量%)に繊維状酸化チタン粒子と同量の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを添加し、60℃で24時間処理してアルカリの除去等高純度化を行い、その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(R3)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
[比較例4]
導電性酸化チタン(R4)の調製
比較例2において調製した導電性酸化チタン(R2)を濃度40重量%のKOH水溶液70gに、TiおよびNbのモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)との
モル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、160℃で45時間水熱処理し、得られた粒子は純水にて充分洗浄した後、繊維状チタンの水分散液(TiO2としての濃度5重量%)に繊維状酸化チタン粒子と同量の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを添加し、60℃で24時間処理してアルカリの除去等高純度化を行い、その後、溶液を120℃にて蒸発乾燥させ、大気中で550℃にて2時間焼成した。
得られた導電性酸化チタン(R4)の平均粒子径、形状、結晶型、体積抵抗値を測定し、結果を表1に示す。
Figure 0004739120

Claims (7)

  1. ペルオキソチタン酸および/または酸化チタンコロイドと3A族(ランタノイド属およびアクチノイド属)、5A族、3B族、4B族からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーピング材用化合物との混合水溶液を、脱イオン処理したのち、
    アルカリ存在下に110〜270℃の範囲で水熱処理し、ついで、還元ガス雰囲気、酸化ガス雰囲気または不活性ガス雰囲気下、300〜600℃で加熱処理する
    ことを特徴とする導電性酸化チタンの製造方法。
  2. ペルオキソチタン酸および/または酸化チタンコロイドと3A族(ランタノイド属およびアクチノイド属)、5A族、3B族、4B族からなる群から選ばれる少なくとも1種のドーピング材用化合物との混合水溶液を、脱イオン処理したのち、
    110〜270℃の範囲で水熱処理し、ついで、還元ガス雰囲気、酸化ガス雰囲気または不活性ガス雰囲気下、300〜600℃で加熱処理して得られた導電性酸化チタンを、
    アルカリ存在下に110〜270℃の範囲で水熱処理し、ついで、還元ガス雰囲気、酸化ガス雰囲気または不活性ガス雰囲気下、300〜600℃で加熱処理することを特徴とする導電性酸化チタンの製造方法。
  3. 前記ドーピング材用化合物の元素がV、Nb、Ta、Pb、U、Ndからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性酸化チタンの製造方法。
  4. 前記ペルオキソチタン酸および/または酸化チタンコロイドとドーピング材用化合物(D)との混合割合が原子比D/Tiで0.01〜0.2の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性酸化チタンの製造方法。
  5. 前記酸化チタンコロイドがペルオキソチタン酸を水熱処理して得られたものであり、酸化チタンコロイドとドーピング材用化合物(D)との混合割合が原子比D/Tiで0.01〜0.2の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性酸化チタンの製造方法。
  6. 前記アルカリがアルカリ金属水酸化物および/または有機塩基であり、TiO 2 のモル数(T M )とアルカリ金属水酸化物のモル数(A M )とのモル比(A M )/(T M )が1〜30の範囲にあり、TiO 2 のモル数(T M )と有機塩基のモル数(OB M )とのモル比(T M )/(OB M )が1〜30の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性酸化チタンの製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法で得られた粒状ないし繊維状の導電性酸化チタン。
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