JP4732115B2

JP4732115B2 - 硬質表面用酸性洗浄剤組成物

Info

Publication number: JP4732115B2
Application number: JP2005300002A
Authority: JP
Inventors: 栄一小暮; 紀行森井; 康彦牧野; 敏久早川; 一訓佃
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 2005-10-14
Filing date: 2005-10-14
Publication date: 2011-07-27
Anticipated expiration: 2025-10-14
Also published as: CN1948448A; TW200720426A; TWI452134B; JP2007106920A; CN1948448B

Description

本発明は、トイレの便器の傾斜面、浴室の壁等の垂直面に対し、適度な付着力をもち、かつ洗浄性、すすぎ性に優れ、さらにタイル目地などを傷めることのない硬質表面用酸性洗浄剤組成物に関する。

浴室やトイレなどの硬質表面は石灰質汚れなどの有機物質と無機物質が複合した強固な無機有機複合汚れが形成し、これを除去するために塩酸などの強酸を用いた酸性の洗浄剤が用いられている。

しかしながらこのような強酸はタイルの目地を傷めるなどの基材損傷性の問題があるため、特許文献１〜５には有機酸を用いる技術が開示されている。また、これら公報にはアミンオキシド型界面活性剤を用いることも記載されている。

一方、壁などの傾斜面に洗浄剤を付着滞留させることは強固な複合汚れを洗浄除去する上で重要であり、特許文献１、２、５には組成物に粘性を付与する技術が開示されている。
特開２００５−９７５１１号公報特開２００３−１８３６９７号公報特表２００１−５２２３９７号公報特表平１１−５１４６９６号公報特表平１０−５０１２７５号公報

しかしながら、特許文献１、２、５のように、粘性を付与することで傾斜面に付着させる技術は、滞留性は向上する反面、すすぎが悪くなるという課題があり、滞留性とすすぎ性を両立することは困難である。特許文献５には分岐鎖を有する界面活性剤を用いることで付着滞留性とすすぎ性を両立する試みがなされているが、未だ満足できるすすぎ性を得るには至っていない。

従って本発明の課題は、トイレの傾斜面や浴室の壁などへの適度な付着力をもち、かつ洗浄性、すすぎ性に優れ、さらにタイル目地などを傷めることのない硬質表面用酸性洗浄剤組成物を提供することを目的とする。

本発明は、（ａ）分子量１００〜５００の多価カルボン酸〔以下、（ａ）成分という〕２〜１０質量％、（ｂ）（ｂ１）Ｎ−ラウリル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアミンオキシド〔以下、（ｂ１）成分という〕及び（ｂ２）Ｎ−ミリスチル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアミンオキシド〔以下、（ｂ２）成分という〕から選ばれる一種以上のアミンオキシド〔以下、（ｂ）成分という〕１．０〜１０．０質量％、（ｃ）アルカリ金属の硫酸塩またはハロゲン酸塩〔以下、（ｃ）成分という〕２〜２０質量％、並びに水を含有する、硬質表面用酸性洗浄剤組成物に関する。

本発明によれば、トイレの傾斜面や浴室の壁などへの適度な付着力をもち、かつ洗浄性、すすぎ性に優れ、さらにタイル目地などを傷めることのない硬質表面用酸性洗浄剤組成物が提供される。

本発明で用いる（ａ）成分は分子中にカルボン酸基を２ケ以上有する分子量１００〜５００の多価カルボン酸（ポリカルボン酸）であり、（ｉ）エチレンジアミン４酢酸、ジエチレントリアミン５酢酸、グリシンジ酢酸、アラニンジ酢酸、アスパラギン酸ジ酢酸、グルタミン酸ジ酢酸から選ばれるアミノカルボン酸、（ii）リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸、コハク酸から選ばれる多価カルボン酸を挙げることができる。本発明では（ii）から選ばれる多価カルボン酸が複合汚れ除去効果、タイル目地などの基材損傷性、及び付着滞留性、すすぎ性の点から好ましく、この中でもっとも好ましいのはクエン酸である。本発明の組成物は、（ａ）成分を２〜１０質量％、好ましくは３〜８質量％含有する。このような範囲で満足できる洗浄性能と低温貯蔵安定性が得られる。

本発明の組成物は、（ｂ）成分として（ｂ１）成分のＮ−ラウリル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアミンオキシド及び（ｂ２）成分のＮ−ミリスチル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアミンオキシドから選ばれる一種以上のアミンオキシドを含有する。（ｂ１）成分と（ｂ２）成分は併用することが好ましく、両者の質量比は、（ｂ１）／（ｂ２）＝５／１〜１／１０、更に５／１〜１／２、特に４／１〜１／１が好ましい。このような範囲内において望ましい付着性、すすぎ性が得られる。

また、本発明の組成物は、（ｂ）成分を１〜１０質量％含有する。好ましくは２〜７質量％、特に好ましくは３〜５質量％含有することが、洗浄力、及びすすぎ性の点から好適である。

本発明では（ｃ）成分として、アルカリ金属の硫酸塩またはハロゲン酸塩を含有する。アルカリ金属としてはナトリウム及びカリウムが好ましい。アルカリ金属の硫酸塩としては、具体的には硫酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸水素カリウム、硫酸ナトリウムカリウム複塩を挙げることができる。また、アルカリ金属のハロゲン酸塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウムを挙げることができる。この中で特に好ましいのは硫酸ナトリウムである。

本発明の組成物は、（ｃ）成分を２〜２０質量％、好ましくは３〜１５質量％含有することが必要であり、このような範囲において好適な付着滞留性、及びすすぎ性を実現することが可能となる。

本発明では（ｄ）成分として、分子中に陽イオン性基を有するモノマー構成単位〔以下、（ｄ１）という〕を全モノマー構成単位に対して１０〜１００モル％、好ましくは２０〜８０モル％、特に４０〜７０モル％有する高分子化合物を含有することが、高い洗浄効果を得る目的から好ましい。

（ｄ１）としては下記一般式（１）及び一般式（２）のモノマー構成単位から選ばれるものが好適である。

〔式中、Ｒ¹¹は水素原子、又はメチル基であり、Ｒ¹²は水素原子、メチル基、又はヒドロキシ基である。Ｘは−ＣＯＯＲ¹⁴−、−ＣＯＮ（Ｒ¹⁵）Ｒ¹⁶−であり、ここでＲ¹⁴、Ｒ¹⁶は炭素数２〜５のアルキレン基であり、Ｒ¹⁵は水素原子又はメチル基である。Ｙ^-は陰イオン基である。Ｒ²¹は炭素数１〜３のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、ｎは０又は１の数である。〕

一般式（１）においてＲ¹¹は水素原子が好ましく、Ｒ¹²は水素原子、メチル基が好ましい。Ｘは−ＣＯＮ（Ｒ¹⁵）Ｒ¹⁶−が好ましく、Ｒ¹⁵は水素原子が好適である。Ｒ¹³はメチル基が好ましく、Ｙ^-はハロゲンイオン、硫酸イオン、炭素数１〜３のアルキル硫酸エステルイオン、燐酸イオン、炭素数１〜１２の脂肪酸イオン、炭素数１〜３のアルキル基が１〜３個置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオンが好適であり、特にクロルイオンが好ましい。

一般式（２）においてＲ²¹はメチル基が好ましく、Ｙ^-はハロゲンイオン、硫酸イオン、燐酸イオン、炭素数１〜１２の脂肪酸イオン、炭素数１〜３のアルキル基が１〜３個置換していてもよいベンゼンスルホン酸イオンが好適であり、特にクロルイオンが好ましい。ｎは０が好適である。

本発明の（ｄ）成分は、（ｄ）成分を構成するモノマー構成単位に対応する単量体を通常の重合反応を行って製造することができる。あるいは、高分子化合物に後処理を施すことにより、最終的に（ｄ）成分を得ても良い。例えば、陽イオン性基として４級アンモニウム基を有する高分子化合物の場合は、当初の単量体中に４級アンモニウム基を有する単量体を重合反応により得る方法の他に、アミノ基を有する単量体を用いて重合反応を行った物に４級化処理を施すことによって（ｄ）成分を得てもよい。もちろん陰イオン性基についても同様である。当然ながら、後処理を必要とする高分子化合物を得るために用いられる単量体は、後処理を考慮した構造のものが選ばれる。

本発明では、特に、（ｄ）成分として、Ｎ，Ｎ−ジアリル−Ｎ、Ｎ−ジアルキル（炭素数１〜３）４級アンモニウム塩を重合して得られるモノマー構成単位〔これが（ｄ１）となる〕、またはＮ，Ｎ−ジアリル−Ｎ−アルキル（炭素数１〜３）アミンを重合させたモノマー構成単位に、メチルクロリド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどの４級化剤を用いてアルキル化したモノマー構成単位〔これが（ｄ１）となる〕を有するものが好ましい。

本発明の（ｄ）成分は（ｄ１）以外に上記モノマーと共重合可能なモノマーを重合して得られるモノマー構成単位を含んでいてもよい。特にアクリル酸又はその塩、メタクリル酸又はその塩、クロトン酸又はその塩、α−ヒドロキシアクリル酸又はその塩、マレイン酸又はその塩、無水マレイン酸、スチレンスルホン酸塩から選ばれる陰イオン基含有モノマーに由来する構成単位〔以下、（ｄ２）という〕、及び二酸化硫黄に由来する構成単位〔以下、（ｄ３）という〕が好適であり、（ｄ１）／〔（ｄ２）+（ｄ３）〕のモル比が５／１〜１／３、更に４／１〜１／２、特に３／１〜１／１が洗浄効果の点から好適である。なお、このモル比は、（ｄ１）、（ｄ２）、（ｄ３）の由来となるモノマーのモル比として算出できる。

本発明の（ｄ）成分はいかなる重合法によって得てもよいが、ラジカル重合法が特に好ましく、塊状、溶液、又は乳化系にてこれを行うことができる。

本発明の（ｄ）成分の重量平均分子量は1,000〜100,000、好ましくは2,000〜80,000、特に好ましくは5,000〜60,000であり、この重量平均分子量はアセトニトリルと水の混合溶媒（リン酸緩衝液）を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコールを標準物質として求めたものである。

本発明の組成物は、（ｄ）成分を0.01〜5質量％、更に0.02〜3質量％、特に0.05〜1質量％含有することが好ましい。

本発明では（ｂ）成分以外の界面活性剤〔以下（ｅ）成分という〕を含有することができるが、本発明の効果を妨げる場合があるため、その含有量は注意を要する。全界面活性剤中の（ｂ）成分の割合が３０〜１００質量％、更に５０〜１００質量％、特に７０〜１００質量％であることが、本発明の効果を得る目的から好ましい。

（ｅ）成分としては陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、及び両性界面活性剤を挙げることができる。

陰イオン界面活性剤としては、炭素数１０〜１５のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数１０〜１６のアルキル硫酸エステル塩、炭素数１０〜１６のアルキル基とオキシアルキレン基（好ましくはオキシエチレン基）の平均付加モル数が１〜６、更に１〜５、特に１〜４のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、炭素数１０〜１６のアルキル基とオキシアルキレン基（好ましくはオキシエチレン基）の平均付加モル数が１〜１２のポリオキシアルキレンアルキルエーテルメチルカルボン酸塩、炭素数８〜１８の脂肪酸塩、炭素数８〜１６のアルカンスルホン酸塩、炭素数８〜１６のオレフィンスルホン酸塩を具体的例として挙げることができる。なおアルキル硫酸エステル塩とポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、組成物の酸性が強い場合は、分解しやすくなるため、配合が制限される。特にｐＨが４．０以下の場合は、実質的に配合しないことが望ましい。

非イオン界面活性剤としては、炭素数１０〜１６のアルキル基とオキシエチレン基の平均付加モル数が１〜１２のポリオキシエチレンアルキルエーテルを挙げることができる。

陽イオン界面活性剤としては、窒素原子に置換する基のうち１個又は２個が炭素数８〜１６のアルキル基であり、残りが炭素数１〜３のアルキル基、１〜３のヒドロキシアルキル基、もしくはベンジル基である４級アンモニウムを挙げることができる。

両性界面活性剤としては、炭素数８〜１６のアルキル基を１つと炭素数１〜３のアルキル基を２つ有するＮ，Ｎ，Ｎ−トリアルキル−Ｎ−スルホプロピルアンモニウムベタイン、炭素数８〜１６のアルキル基を１つと炭素数１〜３のアルキル基を２つ有するＮ，Ｎ，Ｎ−トリアルキル−Ｎ−（２-ヒドロキシスルホプロピル）アンモニウムベタイン、炭素数８〜１６のアルキル基を１つと炭素数１〜３のアルキル基を２つ有するＮ，Ｎ，Ｎ−トリアルキル−Ｎ−カルボキシメチルアンモニウムベタインを挙げることができる。

本発明の硬質表面用酸性洗浄剤組成物には、上記の成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で通常の洗浄剤に配合されている添加剤、例えば、香料、抗菌剤、顔料、染料などを添加することができる。

本発明の酸性洗浄剤組成物は、上記（ａ）〜（ｃ）成分及び任意成分を水に溶解ないし分散させた液体組成物の形態であり、組成物中の水の含有量は、好ましくは50〜95質量％、特に好ましくは70〜90質量％である。

また、本発明の組成物は酸性であり、２５℃におけるｐＨは１〜４、更に１．５〜３．５、特に２〜３が好ましく、このような範囲で優れた洗浄力を得ることができ、また、基材損傷性の問題がない。このようなｐＨに調整するには、（ａ）成分の含有量を調整することで達成できるが、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸や水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを用いて目的のｐＨに微調整することも可能である。

表１に示す成分を配合した液体洗浄剤組成物について、下記に示す試験を行った。結果を表１に示す。

＜付着性評価＞
図１（ａ）のように、一辺に紐３、３’を取り付けた正方形の陶器パネル１（１０ｃｍ×１０ｃｍ）を水平状態に保持し、その一辺から３ｃｍの箇所に、２５℃で恒温にした洗浄剤組成物２の約１ｇをパネル１の一辺と平行に同じ長さで、且つ均一量になるよう直線を引くようにして塗布する。次いで、図１（ｂ）のように、パネル１が地面に対して垂直になるように設置する。このときパネル１は、その下端から組成物２が滴り落ちるのに十分な距離が生じるように設置する。垂直状態で３０秒静置し、パネル上に残存した洗浄剤組成物重量を測定し、次式により付着率を算出した。なお、試験は各試料につき３回行い、その平均付着率を基に以下の評価基準に従い評価した。
付着率（％）＝｛残存重量（ｇ）／塗布組成物重量（ｇ）｝×１００
＊付着性評価基準
○：平均付着率が３０％以上
△：平均付着率が１５％以上〜３０％未満
×：平均付着率が１５％未満

＜すすぎ性評価＞
上記付着性評価と同様に、ただし、図１（ｂ）の状態の静置時間を２５秒とした、液体洗浄剤組成物２が塗布されたパネル１を、図２のように、４５°傾けて、組成物２を塗布した部分と上辺の間に、２５℃、４Ｌ／分の割合で流水を５秒間当てる。このときパネルを約１０ｃｍ／秒（辺）のスピードで図２中、左右の矢印の方向に動かす。表面の組成物の除去状態を目視観察した。なお、試験は各試料につき３回行い、その評価をもとに以下の基準に従い評価した。
＊すすぎ性評価基準
○：洗剤残り無し
△：僅かに洗剤残りあり
×：洗剤残りあり

＜複合汚れ洗浄性試験＞
ブラシでこすった程度では落ちない水洗トイレ便器内の無機物・有機物複合汚れに対する洗浄力を以下のようにして評価した。特に頑固な無機物汚れや有機物複合汚れは、便器の縁の内側に付くため、本評価方法では、洋式便器の便器に向かって手前の縁裏の汚れに約３０ｃｍに渡って６〜７ｇ程度の洗浄剤組成物を満遍なくかけ、３分後にブラシで軽くこすった時の汚れの除去状態を目視観察し、下記の評価基準に従い評価した。
＊複合汚れ洗浄力評価基準
○：良好
△：やや良好
×：悪い

＜石鹸カス汚れ洗浄性試験＞
半年間、同じ条件で使用し、且つ未洗浄のポリプロピレン製の風呂桶に対する洗浄力を以下のようにして評価した。洗浄剤組成物を含ませた布を、汚れに１分間密着させた後、スポンジでこすった後の汚れの除去状態を目視観察し、下記の評価基準に従い評価した。
＊石鹸カス汚れ洗浄力評価基準
○：良好
△：やや良好
×：悪い

＜目地損傷性試験＞
タイルの目地に各洗浄剤組成物をふりかけ、５分後のタイル目地を目視観察し、下記の評価基準に従い評価した。
＊目地損傷性試験評価基準
○：損傷無し
×：損傷あり

（注）表中の成分は以下のものである。
・（ｂ１）：Ｎ−ラウリル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアミンオキシド
・（ｂ２）：Ｎ−ミリスチル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアミンオキシド
・（ｄ−１）：塩化ジアリルジメチルアンモニウムとマレイン酸と二酸化硫黄（モル比２／１／１）の共重合体、重量平均分子量３万
・（ｄ−２）：塩化ジアリルジメチルアンモニウムとマレイン酸（モル比２／１）の共重合体、重量平均分子量６万
・（ｅ−１）：直鎖アルキル（炭素数１２）ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩
・（ｅ−２）：ポリオキシエチレン（エチレンオキサイド平均付加モル数１０）ラウリルエーテル
・（ｅ−３）：ココアルキルトリメチルアンモニウムクロライド

実施例における付着性の評価方法を示す概略図

実施例におけるすすぎ性の評価方法を示す概略図

符号の説明

１：陶器パネル
２：液体洗浄剤組成物
３、３’：紐

Claims

（ａ）分子量１００〜５００の多価カルボン酸２〜１０質量％、（ｂ）（ｂ１）Ｎ−ラウリル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアミンオキシド及び（ｂ２）Ｎ−ミリスチル−Ｎ，Ｎ−ジメチルアミンオキシドから選ばれる１種以上のアミンオキシド１．０〜１０．０質量％、（ｃ）アルカリ金属の硫酸塩またはハロゲン酸塩２〜２０質量％、並びに水を含有し、２５℃におけるｐＨが１〜４である、硬質表面用酸性洗浄剤組成物。
（ａ）がクエン酸である請求項１記載の硬質表面用酸性洗浄剤組成物。
全界面活性剤中の（ｂ１）と（ｂ２）の割合が３０〜１００質量％である請求項１又は２記載の硬質表面用酸性洗浄剤組成物。
（ｃ）が硫酸ナトリウムである請求項１〜３の何れか１項記載の硬質表面用酸性洗浄剤組成物。
（ｄ）分子中に陽イオン性基を有するモノマー構成単位を全モノマー構成単位に対して１０〜１００モル％有する高分子化合物を含有する、請求項１〜４の何れか１項記載の硬質表面用酸性洗浄剤組成物。