本発明は、電極間に有機物を含む発光性材料を挟み電極間に電流を流すことで発光する素子(発光素子)及びそれを用いて作成された発光表示装置に関し、特に時間に対する信頼性の高い発光素子及び発光表示装置に関する。
近年、発光素子を用いた薄型軽量ディスプレイの開発が盛んに行われている。発光素子は、一対の電極間に有機化合物を含む材料を挟み込むことで作成されるが、液晶表示装置と異なりそれ自体が発光するのでバックライトなどの光源がいらない上、素子自体が非常に薄いため薄型軽量ディスプレイを作成するにあたり非常に有利である。
発光素子の発光機構は、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機化合物層中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
一対の電極間に挟まれた有機化合物を含む層は、積層構造となっていることが多く、この積層構造は「正孔輸送層/発光層/電子輸送層」という構成が代表的である。このような構造は非常に発光効率が高いため、現在研究開発が進められている発光表示装置はほとんどこのような構造が採用されている。また、他の構造としては陽極上に正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層、または正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層の順に積層する構造などがある。
有機化合物を含む層は上記のように積層構造が代表的であるが、単層構造で形成されるものや、混合層であっても良く、また、発光層に対して蛍光性色素等をドーピングされていても良い。
発光素子には前述のような有機系の材料が主材料となるのものの他に、無機の材料が主材料のものとがあるが、駆動電圧が低い有機系の材料を用いた発光素子が本命視されることが多い。有機系の発光素子を用いたディスプレイの駆動電圧は5〜10Vであり、100〜200Vの駆動電圧を要する無機系材料を用いた電界発光表示装置と比較すると非常に低い電圧で駆動できることがわかる。また、低消費電力をうたっている液晶ディスプレイの駆動電圧は5〜15.5V程度であり、液晶ディスプレイと比較しても同等、もしくはより低い電圧で駆動できることがわかる。
しかし、これだけの長所を備えながら有機系の発光表示装置の実用化があまり進んでいない背景の一つに、時間に対する信頼性の問題がある。このような発光表示装置は長時間発光させると、始めは問題のない表示が行われていたとしても、時間と共にダークスポットと呼ばれる発光しない部分が現れてしまったり、全体の輝度が低下してしまったり、シュリンクと呼ばれる画面周辺部からの輝度低下が起こってしまったりする。
このような電界発光表示装置の劣化の原因の一つには大気中に存在する水分が関わっていると考えられており、従来より様々な対策が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
特開平9-148066号公報
特開平13-203076号公報
しかし、これらのような対策を適用したとしても未だ十分な信頼性を得るまでには至っておらず、さらなる信頼性の向上が望まれている。
大気中の水分等による外的要因による劣化は電界発光素子の劣化の一つのモードではあるが、電界発光素子が劣化する原因はそれだけではない。
電界発光素子は先に述べたように積層構造をしていることが多いが、異なる材料により形成された膜には膜の材料や成膜法、成膜状態によってそれぞれ固有の応力が発生している。また、膜同士の密着性も材料の性質や成膜条件により異なってくる。この応力や性質など膜同士の相性が悪いとピーリングと呼ばれる剥離が生じる。このような剥離は有機層と無機層など、異なった性質の膜が接する場所、特に電極と有機物を主成分とする層が接する部分、もしくは無機物を主成分とする層と有機物を主成分とする層が接する部分において起こりやすいことがわかっている。
さらに、電界発光素子は電流が流れ、発光する際に光と共に熱も発する。電子が膜中を横切って移動したり、熱が加えられることによって膜同士の界面状態が徐々に変化し、始めは問題の無かった素子であっても使用するにつれてピーリングを起こしてしまう恐れがある。
図10(A)は発光素子の断面TEM写真である。下から電極(陽極)1000\正孔輸送層1001\発光層1002\電子注入層1003\電極(陰極)1004の積層構造となっているが、正常な発光素子はこのようにきれいな積層構造となっている。一方、図10(B)の素子は一定時間駆動し、劣化が起きた素子の断面図であるが、この断面構造はaの部分において剥離が起きててしまっている。
図10(B)の素子のaの部分の様に電極から発光層を含む有機物を含む層がはがれてしまうとその部分の発光が得られなくなってしまい、このような剥離がダークスポットやシュリンクが起きてしまう原因の一つとなっている。
以上の問題を鑑み、本発明では密着性の良くない2層間において剥離が起こりにくい発光素子を提供することを目的とする。また、長期の使用についても信頼性の高い発光素子を提供することを目的とする。なお、本発明において有機物を主成分とする膜には有機金属錯体を含むものとする。
上記問題を鑑み、本発明では密着性の良くない2層の間に当該2層と同じ材料もしくは同様の性質を有する材料の薄膜を交互に積層して設け、応力の緩和もしくは接合状態の改善を行う。
さらに詳しく説明を行うと、密着性の良くない2層(第1の材料を含む第1の層と第2の材料を含む第2の層)の間に1nm〜30nm、好ましくは1nm〜5nmに薄膜化した第1の材料を含む第3の層と第2の材料を含む第4の層よりなる積層体を、前記第3の層を前記第2の層に接して、前記第4の層を第1の層に接して設けることで応力の緩和もしくは接合状態の改善を行う。また、第3の層一層と第4の層一層よりなる積層構造を一単位としてこの積層構造を複数単位設けて積層体を形成しても良い。この場合も前記第3の層を前記第2の層に接して、前記第4の層を前記第1の層に接して設ける。これにより、前記密着性の良くない2層間の剥離を防止することが可能となる。なお、本明細書中において、この薄膜積層構造による剥離防止構造は積層体と呼ぶことにする。
また、積層体の中の膜うち、いずれかの膜を電気伝導性の高い膜とすることで、もし、前記密着性の良くない2層間もしくは積層体中で一部に剥離が生じたとしても当該電気伝導性の高い膜が剥離が起きた箇所より発光層側に存在していればその電気伝導性の高い膜を介して発光素子に電流が供給され、不良となることを防ぐことが可能となる。
本発明の構成の一つは第1の材料を含む第1の層と第2の材料を含む第2の層とを有し、前記第1の層と第2の層との間には、前記第1の材料を含む第3の層と前記第2の材料を含む第4の層とが密接形成されていると共に、前記第4の層は前記第1の層と接し、前記第3の層は前記第2の層と接していることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は第1の材料を含む第1の層と第2の材料を含む第2の層とを有し、前記第1の層と第2の層との間には、前記第1の材料を含む第3の層一層と前記第2の材料を含む第4の層一層よりなる積層構造を一単位として、該積層構造を複数個重ねた積層体が形成され、かつ、前記第4の層は前記第1の層と接し、前記第3の層は前記第2の層と接していることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は前記構成において前記第1の材料は有機物であり、前記第2の材料は無機物であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は前記構成において前記第1の材料は電子輸送性の材料であり、前記第2の材料は電子注入性の材料であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は前記構成において前記第1の材料は正孔輸送性の材料であり、前記第2の材料は正孔注入性の材料であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は前記構成において前記第1の材料は電子輸送性の材料であり、前記第2の材料は電極材料であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は前記構成において前記第1の材料は発光性の材料であり、前記第2の材料は電子注入性の材料であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は前記構成において前記第1の材料は発光性の材料であり、前記第2の材料は電極材料であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は前記構成において前記第1の材料は正孔輸送性の材料であり、前記第2の材料は電極材料であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は前記構成において前記第1の材料は発光性の材料であり、前記第2の材料は正孔注入性の材料であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は前記構成において前記積層体の積層数は2以上であることを特徴とする発光素子である。
本発明の構成の一つは電極層を含む複数の層を有し、前記複数の層の少なくとも1層は有機物を含む層であり、前記有機物を含む層のうち少なくとも一層は電流を流すことで発光する発光層であり前記複数の層のうち異なる2層の間に、前記異なる2層とそれぞれ同じ材料により形成された2膜を交互に2層以上積層した積層構造を有することを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記異なる2層をそれぞれ第1の層、第2の層とすると、前記第1の膜と前記第2の膜との間には前記第1の層と同じ材料により形成された第1の膜と前記第2の層と同じ材料により形成された第2の膜が交互に2層以上積層されていることを特徴とする発光素子である。
である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記第1の層は有機物を主成分とする層であり、前記第2の層は無機物を主成分とする層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記第1の層は有機物を主成分とする層であり、前記第2の層は電子注入性の高い材料よりなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記第1の層は電子輸送性の高い材料よりなる層であり、前記第2の層は電子注入性の高い材料よりなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記第1の層は前記発光層であり、前記第2の層は電子注入性の高い材料よりなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記第1の層は有機物を主成分とする層であり、前記第2の層は電極層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記第1の層は電子輸送性の高い材料よりなる層であり、前記第2の層は電極層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記第1の層は前記発光層であり、前記第2の層は電極層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記電子注入性の高い材料よりなる層とは電子注入層と同じ材料でなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記電子輸送性の高い材料よりなる層とは電子輸送層と同じ材料でなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記前記電子注入性の高い材料よりなる層とは電子注入層と同じ材料でなる層であり、前記電子輸送性の高い材料よりなる層とは電子輸送層と同じ材料でなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記第1の層は有機物を主成分とする層であり、前記第2の層は正孔注入性の高い材料よりなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記第1の層は正孔輸送性の高い材料よりなる層であり、前記第2の層は正孔注入性の高い材料よりなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記第1の層は前記発光層であり、前記第2の層は正孔注入性の高い材料よりなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記第1の層は正孔輸送性の高い材料よりなる層であり、前記第2の層は電極層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記正孔注入性の高い材料よりなる層とは正孔電子注入層と同じ材料でなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記正孔輸送性の高い材料よりなる層とは正孔輸送層と同じ材料でなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記前記正孔注入性の高い材料よりなる層とは正孔電子注入層と同じ材料でなる層であり、前記正孔輸送性の高い材料よりなる層とは正孔輸送層と同じ材料でなる層であることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記積層構造は4層以上積層されていることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記積層構造を構成する膜の膜厚は1nm〜30nmであることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記構成において前記積層構造を構成する膜の膜厚は1nm〜5nmであることを特徴とする発光素子である。
本発明の他の構成は、上記の発光素子を用いたことを特徴とする発光表示装置である。
以上の構成を有する本発明の構成を用いた発光素子は積層体が形成された2層間において剥離が起こりにくくなるため、駆動後の劣化を低減することが可能となる。
また、たとえ積層体が形成された2層間において剥離が起きたとしても、積層体のいずれかの膜の導電性が比較的高ければ下層に積層した導電性の比較的高い膜を介して発光層に電流が供給されるため、剥離がおきてしまった部分であっても発光を得ることが可能となる。
また、このような素子を用いて作成された発光表示装置は従来と比較して高い信頼性を得ることができる。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。図1(A)は発光表示装置の一部を示した例である。スイッチング用TFT100のドレイン電極101に接続されて発光素子102の陽極103が形成され、土手または隔壁と呼ばれる絶縁膜104でその端部を覆ってから有機化合物を含む層105が形成される。その後、陰極106を形成して発光素子が完成する。陰極106上にパッシベーション膜107として窒化ケイ素膜などを形成しても良い。その後、図示していないが封止基板や封止缶をシール剤でもって固着し、発光素子を外の雰囲気から遮断して発光装置が完成する。
図1(a)(b)は図1(A)の102の部分を拡大して、特に陽極103と陰極106、及びその間に挟まれた有機化合物を含む層105を示したものである。有機化合物を含む層105は積層構造をとっており、通常は図1(a)のように下から陽極103上に正孔注入層110\正孔輸送層111\発光層112\(電子輸送層)\電子注入層113と各層一層づつ形成され、その上に陰極106が形成されている。
これらの膜の界面については必ずしも明確なものは無くても良く、蛍光色素のドーピングにより発光層を形成したり、連続的に濃度比が変化していたりしていても良い。また、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層については必須のものでは無く、用いる電極や発光層、その他の材料との相関を考えて適宜用いたり省いたりすることができる。また、これらの膜の他にも正孔や電子が不都合な層に流れ出るのを防ぐためのブロッキング膜を用いることもある。
正孔注入層110に含まれる材料である正孔注入材料としては、有機系の材料であればポルフィリン系の化合物が有効であり、フタロシアニン(以下、H2−Pcと示す)、銅フタロシアニン(以下、CuPcと示す)などがある。導電性高分子化合物に化学ドーピングを施した材料もあり、ポリスチレンスルホン酸(以下、PSSと示す)をドープしたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDOTと示す)や、ポリアニリン、ポリビニルカルバゾール(以下、PVKと示す)などが挙げられる。無機系の材料としては酸化モリブデン(MoOx)、酸化バナジウム(VOx)、酸化ルテニウム(RuOx)、酸化タングステン(WOx)、酸化チタン(TiOx)等の無機酸化物も用いることができる。
正孔輸送層111に含まれる材料である正孔輸送材料としては、芳香族アミン系(すなわち、ベンゼン環−窒素の結合を有するもの)の化合物が好適である。広く用いられている材料として、例えば、先に述べたTPDの他、その誘導体である4,4'−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(以下、「α−NPB」と記す)や、4,4',4''−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(以下、「TDATA」と記す)、4,4',4''−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(以下、「MTDATA」と記す)などのスターバースト型芳香族アミン化合物など有機系の材料が挙げられる。
発光層112に含まれる材料である発光材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Alq3と示す)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(以下、Almq3と示す)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(以下、BeBq2と示す)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−(4−ヒドロキシ−ビフェニリル)−アルミニウム(以下、BAlqと示す)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(以下、Zn(BOX)2と示す)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(以下、Zn(BTZ)2と示す)などの金属錯体の他、各種蛍光色素が有効である。また、三重項発光材料も可能であり、白金ないしはイリジウムを中心金属とする錯体が主体である。三重項発光材料としては、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(以下、Ir(ppy)3と示す)、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン−白金(以下、PtOEPと示す)などが知られている。
電子輸送層に含まれる材料である電子輸送材料としては、有機系の材料である有機金属錯体がよく用いられ、先に述べたAlq3、Almq3、BeBq2などのキノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体や、混合配位子錯体であるBAlqなどが好適である。また、Zn(BOX)2、Zn(BTZ)2などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体もある。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(以下、PBDと示す)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(以下、OXD−7と示す)などのオキサジアゾール誘導体、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(以下、TAZと示す)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(以下、p−EtTAZと示す)などのトリアゾール誘導体、バソフェナントロリン(以下、BPhenと示す)、バソキュプロイン(以下、BCPと示す)などのフェナントロリン誘導体が電子輸送性を有する。
電子注入層113に含まれる材料である電子注入材料としては、LiF、CsFなどのアルカリ金属ハロゲン化物や、CaF2のようなアルカリ土類ハロゲン化物がよく用いられる。また、リチウムアセチルアセトネート(略称:Li(acac)や8−キノリノラト−リチウム(略称:Liq)などのアルカリ金属錯体も有効である。また、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)等の金属酸化物またはベンゾオキサゾール誘導体と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、または遷移金属のいずれか一または複数の材料とを含むようにしても良い。また酸化チタンを用いていても良い。
図1(a)においては、陽極103としてITOを形成しその上に正孔注入層110としてCuPcを20nm、正孔輸送層111としてα−NPBを40nm、発光層112としてAlqを50nm、電子注入層113としてAl−Liを10nm、陰極106としてAlを150nmを形成している。この場合、三角印の場所、発光層112と正孔注入層113との間で剥離が生じやすい。これは、有機金属錯体であり主に有機物を主成分とするAlqよりなる発光層112と無機物で形成されているAl−Liよりなる電子注入層113との密着性が余り良く無い上、発光層の膜厚が厚いため膜応力も大きくなってしまうことが原因である。
図1(b)は本発明の構成を適用した発光素子の一例である。下層の陽極103(ITO)から順に正孔注入層110(CuPc)、正孔輸送層111(α−NPB)、発光層112(Alq)を形成するまでは図1(a)と同様であるが、当該構成においては図1(a)の説明で述べた様に発光層112と正孔注入層113との間の密着性が良くない。
そこで、密着性の良くない2層、すなわち発光性の材料をふくむ発光層112と電子注入性の材料を含む電子注入層113(Al−Li)の間に発光層112の材料であるAlq膜と電子注入層の材料であるAl−Li膜を4層形成し、剥離防止の為の積層体120を形成した。Alq膜の膜厚は1〜30nm程度の厚さとする。Al−Li膜も同様の厚さで形成する。その後、その上に電子注入層113をAl−Liで10nmと、陰極106をアルミニウムで150nm形成して本発明の発光素子が完成する。なお、この交互に積層されている部分120は本明細書中においては積層体と呼ぶ。
このように、ある第1の材料を含む層と第2の材料を含む2層間において、当該2層を形成する材料を含む膜により膜厚1〜30nmで形成された第3の層と第4の層をそれぞれ形成し交互に積層することで、膜界面に働く応力を緩和することが可能となり、前記第1の材料を含む層と第2の材料を含む層が剥離することを抑制できる。
本実施の形態においては、有機系の材料よりなる発光層112と同じ材料を含む膜と無機系の材料よりなる電子注入層113と同じ材料を含む膜とを複数回交互に積層ことによって積層体を形成し、発光層112と電子注入層113との密着性を向上させる構成を例示したが、本発明はある2層(第1の層と第2の層)の間に第2の層と同じもしくは同様の材料を含む第3の薄層と第1の層と同じもしくは同様の材料を含む第4の薄層とを交互に積層した積層体を新たに設けることで第1の層と第2の層との密着性を改善することができればどのような構成であってもかまわない。なお、同様の材料とは有機材料なら有機材料、無機材料なら無機材料のことを指す。また、それらの有する性質が類似しているとなお好ましい。
たとえば、上記記載の構成を図13(A)のようにAbabaBとして表すとすると(a、bはそれぞれA、Bと同じ材料を含む薄膜)、同じ効果を得られるのであれば図13(B)のようなAbcbcB(bはBと同じ材料を含む薄膜、cはAと同様の材料を含む薄膜)や図13(C)のようなAdedeB(e、dはそれぞれA、Bと同様の材料を含む薄膜)のような構成などとしても良い。
また、積層体中の積層数は応力を緩和するためには2層以上形成すればよいが、好ましくは5層以上形成すると良い。
通常、異なった性質の材料を含む膜同士の密着性はあまり良くなく、有機系の材料と無機系の材料はその主だったものである。剥離も有機物を主成分とした膜と無機物を主成分とした膜との間で起こりやすい。すなわち、有機物を主に含む膜と無機物を主に含む膜では密着性が悪い。そのため、有機物を主成分とする発光層やその他の層の上部に無機物を主成分とする層や電極を作製する際に本発明を適用するとよい。すなわち有機物を主成分とする層と無機物を主成分とする層もしくは電極との間に有機物を主成分とする薄膜と無機物を主成分とする薄膜を交互に積層すると良い。
薄膜積層部分を構成する有機物を主成分とする薄膜と無機物を主成分とする薄膜は、発光素子の特性に影響を及ぼさないのであれば発光素子に用いられない材料を用いてもかまわないが、発光素子に用いられ、積層体の前後に蒸着される材料を用いると発光素子に影響を与える心配も少なく、蒸着するための時間も短くなるため有利である。
(実施の形態2)
本発明の他の実施の形態について図2を参照して説明する。図2(A)は通常の発光素子の積層構造(下から陽極200\正孔注入層201\正孔輸送層202\発光層203\電子注入層204\陰極205)を示したものである。aの部分において発光層203と電子注入層204との間で剥離が起きてしまっている状態である。
このように発光層と電極が乖離してしまっている部分においては、発光層の抵抗が高く、膜厚に垂直な方向には電流が流れにくいためaの部分の発光はほとんど得られない。
一方、図2(B)は本発明を用いた発光素子の断面図である。実施の形態1で説明したように、本発明を適用することによって、大幅に剥離の起きる恐れは低減したものの、長期の使用においては剥離が発生してしまう場合もある。図2(B)では、bの部分において剥離が生じてしまっている状態が示されている。
しかし、剥離が本発明の主要な構成部分である積層体210の上部で発生した場合、積層体210に用いられる膜のどちらか一方の膜を電気伝導性の高い膜で形成しておけば、bの部分で剥離がおき、陰極が乖離してしまったとしても下層に積層された電気伝導性の高い膜を介して電流がbの部分にも流れるため、発光が得られないという状況を回避することが可能となる。
本実施の形態の構成を適用するには実施の形態1の構成の他に、積層体部分において、どちらか片方の膜において電気伝導性の高い膜を使用することが必要となるが、本実施の形態は実施の形態1と組み合わせて用いることができる。
また、積層数については剥離による非発光領域の形成を防止する為には、4層以上積層することが望ましい。
これにより、剥離の起きにくい構造を有しつつ、さらに一部剥離が起きたとしてもその部分の発光を得ることができ、不良とならないようにすることができるため、通常の構成と比較して非常に劣化に強い発光素子及び発光表示装置を作成することが可能となる。
(実施の形態3)
膜を成膜する際、膜厚を数nm(1nm〜5nm程度)の極薄い薄膜とすると均等に同じ膜厚の膜にはならず、特に積層される膜同士の性質が異なっており、密着性がわるい場合、図12(A)のように局在化して成膜されると言われている。
本発明のように、下部の膜1200と上部の膜1203の密着性が悪いと、積層体120を極薄い膜厚を有する層の積層として形成した際、第1層目の膜(=上部の膜と同じ材料による膜)1201と下部の膜1200の密着性も悪いことが予想され、図12(A)のように成膜されている可能性が高い。
この状態で続いて第2層目の膜1202を成膜すると、第2層目の膜1202は下部の膜1200と同じ材料で形成されているため、下部の膜1200上の第1の膜1201が成膜されていない部分にも優先的に成膜されることが予想される。
上部の膜1203と接する積層体1204の表面には下部の膜1200同じ材料で形成されている部分(上部の膜と密着性の良くない部分)1205と上部の膜と同じ材料で形成されている部分(上部の膜と密着性が良い部分)1206と両方が露出している状態となる。
これにより上部の膜1203の接合状態が改善され積層体を設けない場合と比べ、飛躍的に密着性が向上すると考えられる。下部の膜についても同様に密着性が改善されるため、剥離が起こりにくくなると考えられる。本明細書中においてはこのような構造を仮にミクロ接合と称する。本発明では、応力の緩和効果だけでなく、このようなミクロ接合の形成によっても密着性を向上させることが可能となる。
発光素子の積層構造には様々な構成が考えられるが、それによって積層体の膜構成も異なってくるため、その例を以下に示す。基本的は密着性の良くない2層間に、薄膜化した当該2層と同じ材料(もしくは同様な材料)で形成した2膜を繰り返し積層することで密着性を改善させることができればよい。
一般的に有機物を主成分とする層と無機物を主成分とする層の密着性は良くないため、当該2膜間に無機物を主成分とする薄膜と有機物を主成分とする薄膜により積層体を作製する。また、この例示された構成において、括弧書きにした正孔注入層と正孔輸送層は必要に応じて適宜用いればよい。
まず、下から陽極\(正孔注入層)\(正孔輸送層)\発光層\電子輸送層\電子注入層\陰極といった素子構成だった場合、電子輸送層と電子注入層の間に電子注入層と同じ材料の膜と電子輸送層と同じ材料の膜で積層体を作製すると良い。
また、下から陽極\(正孔注入層)\(正孔輸送層)\発光層\電子注入層\陰極といった素子構成だった場合は、本実施例の例示と同様に発光層と電子注入層の間に電子注入層と同じ材料の膜と発光層と同じ材料の膜で積層体を作製する。
下から陽極\(正孔注入層)\(正孔輸送層)\発光層\電子輸送層\陰極といった素子構成だった場合は、電子輸送層と陰極の間に陰極と同じ材料の膜と電子輸送層と同じ材料の膜で積層体を作製するとよい。
下から陽極\(正孔注入層)\(正孔輸送層)\発光層\陰極といった素子構成だった場合は、発光層と陰極の間に陰極と同じ材料の膜と発光層と同じ材料の膜で積層体を作製するとよい。
なお、本実施例においてはブロッキング層の記載は行っていないが、必要に応じて適宜用いてもかまわない。また、発光層が電子輸送層を兼ねている場合は発光層として表記した。
このように積層体を設けることによって、密着性が改善し剥離を防ぐことができ、発光素子もしくは発光表示装置の信頼性を改善することが可能となる。
本実施例では、本発明を使用して薄膜トランジスタ及び容量、そして電界発光装置を作製する方法について図3、図4を参照しながら説明する。
まず、基板800上に下地絶縁膜801を形成してから非晶質ケイ素膜を成膜し、レーザを照射することで結晶質ケイ素膜とする。
基板800としてはガラス基板、石英基板、結晶性ガラスなどの絶縁性基板や、セラミック基板、ステンレス基板、金属基板(タンタル、タングステン、モリブデン等)、半導体基板、プラスチック基板(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等)等を用いることができるが、少なくともプロセス中に発生する熱に絶えうる材料を使用する。これら基板は必要に応じてCMP等により研磨してから使用してもよい。本実例においてはガラス基板を使用する。
下地膜801は基板800中のアルカリ金属やアルカリ土類金属が、結晶性ケイ素膜中に拡散するのを防ぐ為に設ける。このような元素は結晶性ケイ素膜の半導体特性に悪影響をおよぼしてしまうためである。材料としては酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素及び窒化酸化ケイ素などを用いることができ、単層または積層構造とすることにより形成する。なお、アルカリ金属やアルカリ土類金属の拡散の心配のない基板であれば特に下地絶縁膜は設ける必要がない。
本実施例においては下地絶縁膜801は積層構造により作製し、1層目の絶縁膜として窒化酸化ケイ素膜を50nm、2層目の絶縁膜として酸化窒化ケイ素膜を100nmで形成した。なお、窒化酸化ケイ素膜と酸化窒化ケイ素膜はその窒素と酸素の割合が異なっていることを意味しており、前者の方がより窒素の含有量が高いことを示している。1層目の下地膜は、プラズマCVD法により、原料ガスにSiH4、N2O、NH3、H2を使用し、圧力が0.3Torr、RFパワーが50W、RF周波数が60MHz、基板温度が400℃として形成する。2層目の下地膜は同じくプラズマCVD法により、原料ガスにSiH4、N2Oを用い、圧力が0.3Torr、RFパワーが150W、RF周波数が60MHz、基板温度が400度の条件で形成する。
続いて下地絶縁膜上に非晶質半導体膜を形成する。本実施例においては非晶質ケイ素膜を25〜100nm(好ましくは30〜60nm)の膜厚で形成する。作製方法としては、公知の方法、例えばスパッタ法、減圧CVD法、またはプラズマCVD法等が使用できる。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚50nmに形成する。その後、500℃、1時間の加熱処理を行って、水素出しを行う。
次に、レーザ照射装置を用いて、非晶質ケイ素膜を結晶化して、結晶質半導体膜を形成する。本実施例のレーザ結晶化には、エキシマレーザを使用し、発振されたレーザビームを光学系を用いて長方形状のビームスポットに加工し、半導体膜に照射する。
具体的には、光学系を用い、レーザビームを照射面において長辺の長さ100mm〜1000mm、短辺方向の長さ200μm〜5000μmの長方形状のビームスポットに加工する。本実施例では、長辺方向300mm、短編方向400μmの線状ビームに加工し、照射する。この時の線状ビームの重ね合わせ率(オーバーラップ率)は50%〜98%として行い、本実施例では90%とする。また、レーザビームのエネルギー密度は100mJ/cm2〜1000mJ/cm2とし、本実施例においては減衰器を用いて350mJ/cm2と設定する。周波数(1秒間当たりのパルス発振数)については、10Hz〜1000Hzとし、本実施例では300Hzとする。本実施例では基板を温度500℃の窒素雰囲気中で1時間加熱した後、レーザアニール法により半導体膜の結晶化を行い、結晶質半導体膜を形成する。ステージは1mm/s〜500mm/s程度の速度で動かしてレーザビームを照射するのが望ましく、本実施例では12mm/sの速度でステージを移動させてレーザビームの照射を行う。
結晶化の方法としては他に非晶質ケイ素膜の結晶化を促進する元素を用い、加熱処理を行うことによって行う方法もある。結晶化を促進する元素とは、代表的にはニッケルが挙げられ、このような元素を用いることによって用いない場合に比べて低温、短時間で結晶化が行われるためガラス基板など比較的熱に弱い基板を使用する際に好適に用いることが可能である。このような結晶化を促進する元素としては、ニッケルの他に鉄、パラジウム、スズ、鉛、コバルト、白金、銅、金などがある。この中から一種もしくは複数種を用いればよい。
このような元素の添加方法としては、例えばこのような元素の塩を溶媒に溶かしてスピンコート法やディップ法などで塗布する方法がある。溶媒としては有機溶媒や水などが使用できるが、ケイ素膜上に直接触れるため、半導体特性に悪影響を及ぼさないものを選ぶことが肝要である。また、塩についても同様である。
続いて、結晶質ケイ素膜に必要に応じてしきい値をコントロールするための微量の不純物を添加する、いわゆるチャネルドーピングを行う。要求されるしきい値を得るために、ボロンもしくはリン等をイオンドーピング法などにより添加する。
その後、図3(A)に示すように、所定の形状にパターニングし、島状の結晶質ケイ素膜801a〜801dを得る。パターニングは、結晶質ケイ素膜にフォトレジストを塗布し、所定の形状を有するマスクを用いて露光し、焼成して、結晶性半導体膜上にマスクを形成し、このマスクを用いて、ドライエッチング法により結晶質ケイ素膜をエッチングすることで行われる。ドライエッチング法のガスは、CF4と、O2等を用いて行えば良い。
続いて、結晶性半導体膜801a〜801dを覆うようにゲート絶縁膜を形成する。ゲート絶縁膜はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い膜厚を40〜150nmとしてケイ素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜はプラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を115nmの厚さに形成する。
次いで、ゲート絶縁膜上に第1の導電層として膜厚30nmの窒化タンタル(TaN)802とその上に第2の導電層として膜厚370nmのタングステン(W)803を形成する。TaN膜、W膜共スパッタ法で形成すればよく、TaN膜はTaのターゲットを用いて窒素雰囲気中で、W膜はWのターゲットを用いて成膜すれば良い。
なお、本実施例では第1の導電層を膜厚30nmのTaN、第2の導電層を膜厚370nmのWとしたが、第1の導電層と第2の導電層は共にTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。さらに、その組み合わせも適宜選択すればよい。膜厚は第1の導電層が20〜100nm、第2の導電層が100〜400nmの範囲で形成すれば良い。また、本実施例では、2層の積層構造としたが、1層としてもよいし、もしくは3層以上の積層構造としてもよい。
次に、前記導電層をエッチングして電極及び配線を形成するため、フォトリソグラフィーにより露光工程を経てレジストからなるマスクを形成する。第1のエッチング処理では第1のエッチング条件と第2のエッチング条件でエッチングを行う。レジストによるマスクを用い、エッチングし、ゲート電極及び配線を形成する。エッチング条件は適宜選択すれば良い。
本法では、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)エッチング法を使用した。第1のエッチング条件として、エッチング用ガスにCF4、Cl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1.0Paの圧力でコイル型電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。
続いて、第2のエッチング条件に移ってエッチングを行う。レジストからなるマスクをのこしたまま、エッチング用ガスにCF4とCl2を用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)、圧力1.0Paでコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約15秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。この第1のエッチング処理において、電極に覆われていないゲート絶縁膜は20nm〜50nm程度エッチングされ、基板側に印加されたバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部はテーパー状となる。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。第2のエッチング処理では、エッチング用のガスにSF6とCl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を24/12/24(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル側の電力に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを発生して25秒程度エッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加した。このエッチング条件ではW膜が選択的にエッチングされ、第2形状の導電層を形成した。このとき第1の導電層はほとんどエッチングされない。第1、第2のエッチング処理によって第1の導電層802a〜802d、第2の導電層803a〜803dよりなるゲート電極が形成される。
そして、レジストからなるマスクを除去せず、第1のドーピング処理を行う。これにより、結晶性半導体層にN型を付与する不純物が低濃度に添加される。第1のドーピング処理はイオンドープ法又はイオン注入法で行えば良1オンドープ法の条件はドーズ量が1×1013〜5×1014atoms/cm2、加速電圧が40〜80kVで行えばよい。本実施例では加速電圧を50kVとして行った。N型を付与する不純物元素としては15族に属する元素を用いることができ、代表的にはリン(P)または砒素(As)が用いられる。本実施例ではリン(P)を使用した。その際、第1の導電層をマスクとして、自己整合的に低濃度の不純物が添加されている第1の不純物領域(N--領域)を形成した。
続き、レジストからなるマスクを除去する。そして新たにレジストからなるマスクを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で、第2のドーピング処理を行う。第2のドーピング処理もN型を付与する不純物を添加する。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜3×1015atoms/cm2、加速電圧を60〜120kVとすれば良い。本実施例ではドーズ量を3.0×1015atoms/cm2とし、加速電圧を65kVとして行った。第2のドーピング処理は第2の導電層を不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層の下方に位置する半導体層にも不純物元素が添加されるようにドーピングを行う。
第2のドーピングを行うと、結晶性半導体層の第1の導電層と重なっている部分のうち、第2の導電層に重なっていない部分もしくはマスクに覆われていない部分に、第2の不純物領域(N-領域)が形成される。第2の不純物領域には1×1018〜5×1019atoms/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物が添加される。また、結晶性半導体膜のうち、第1形状の導電層にもマスクにも覆われておらず、露出している部分(第3の不純物領域:N+領域)には1×1019〜5×1021atom/cm3の範囲で高濃度にN型を付与する不純物が添加される。また、半導体層にはN+領域が存在するが、一部マスクのみに覆われている部分がある。この部分のN型を付与する不純物の濃度は、第1のドーピング処理で添加された不純物濃度のままであるので、引き続き第1の不純物領域(N--領域)と呼ぶことにする。
なお、本実施例では2回のドーピング処理により各不純物領域を形成したが、これに限定されることは無く、適宜条件を設定して、一回もしくは複数回のドーピングによって所望の不純物濃度を有する不純物領域を形成すれば良い。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスクを形成し、第3のドーピング処理を行う。第3のドーピング処理により、Pチャネル型TFTとなる半導体層に前記第1の導電型及び前記第2の導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)が形成される。
第3のドーピング処理では、レジストからなるマスクに覆われておらず、更に第1の導電層とも重なっていない部分に、第4の不純物領域(P+領域)が形成され、レジストからなるマスクに覆われておらず、且つ第1の導電層と重なっており、第2の導電層と重なっていない部分に第5の不純物領域(P-領域)が形成される。P型を付与する不純物元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律表第13族の元素が知られている。
本実施例では、第4の不純物領域及び第5の不純物領域を形成するP型の不純物元素としてはホウ素(B)を選択し、ジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成した。イオンドープ法の条件としては、ドーズ量を1×1016atoms/cm2とし、加速電圧を80kVとした。
なお、第3のドーピング処理の際には、Nチャネル型TFTを形成する部分はレジストからなるマスクに覆われている。
ここで、第1及び第2のドーピング処理によって、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されている。しかし、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)のいずれの領域においても、第3のドーピング処理によって、P型を付与する不純物元素の濃度が1×1019〜5×1021atoms/cm2となるようにドーピング処理される。そのため、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)は、Pチャネル型TFTのソース領域及びドレイン領域として問題無く機能する。
なお、本実施例では、第3のドーピング一回で、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)を形成したが、ドーピング処理の条件によって適宜複数回のドーピング処理により第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)を形成してもよい。
これらのドーピング処理によって、第1の不純物領域(N--領域)804、第2の不純物領域(N-領域)805、第3の不純物領域(N+領域)806、807、第4の不純物領域(P+領域)808、809、及び第5の不純物領域(P-領域)810、811が形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去して第1のパッシベーション膜812を形成する。この第1のパッシベーション膜としてはケイ素を含む絶縁膜を100〜200nmの厚さに形成する。成膜法としてはプラズマCVD法や、スパッタ法を用いればよい。
本実施例では、プラズマCVD法により膜厚100nmの窒素を含む酸化珪素膜を形成した。窒素を含む酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化ケイ素膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化ケイ素膜、あるいはSiH4、N2OをArで希釈したガスから形成される酸化窒化ケイ素膜を形成すれば良い。また、第1のパッシベーション膜としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化ケイ素膜を適用しても良い。もちろん、第1のパッシベーション膜812は、本実施例のような酸化窒化ケイ素膜の単層構造に限定されるものではなく、他のケイ素を含む絶縁膜を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。
次いで、第1のパッシベーション膜812上に、層間絶縁膜813を形成する。層間絶縁膜としては、無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、CVD法により形成された酸化ケイ素膜や、SOG(Spin On Glass)法により塗布された酸化ケイ素膜などを用いることができ、有機絶縁膜としてはポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリルまたはポジ型感光性有機樹脂、ネガ型感光性有機樹脂、ケイ素と酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む、または置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料、いわゆるシロキサンの膜を用いることができる。また、それらの積層構造を用いても良い。
本実施例では、シロキサンにより層間絶縁膜813を形成する。層間絶縁膜としては、シロキサン系ポリマーを全面塗布した後、50〜200℃、10分間の熱処理によって乾燥させ、さらに300〜450℃、1〜12時間の焼成処理を行う。この焼成により、1μm厚のシロキサンの膜が全面に成膜される。この工程は、シロキサン系ポリマーの焼成を行うと共に、第1のパッシベーション膜812中の水素によって、半導体層を水素化及び不純物の活性化をすることが可能であるため、工程数を削減でき、プロセスを簡略化することが可能である。水素化は、第1のパッシベーション膜に含まれる水素によって、半導体層のダングリングボンドを終端するものである。
シロキサン以外の材料で層間絶縁膜を形成する場合には、水素化及び活性化の為に加熱処理が必要となる。その場合は層間絶縁膜を形成する前に別に加熱処理(熱処理)を行う工程が必要となる。熱処理法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中において400〜700℃で行えば良く、本実施例では410℃、1時間の熱処理で活性化処理を行った。なお、熱処理法の他に、レーザーアニール法、又はラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。
また、第1のパッシベーション膜812を形成する前に加熱処理を行ってもよい。但し、第1の導電層802a〜802d及び第2の導電層803a〜803dを構成する材料が熱に弱い場合には、本実施例のように配線などを保護するため、第1のパッシベーション膜812を形成した後で熱処理を行うことが望ましい。さらに、この場合、第1のパッシベーション膜がないため、パッシベーション膜に含まれる水素を利用しての水素化は行うことができない。この場合は、プラズマにより励起された水素を用いる手段(プラズマ水素化)を用いての水素化や、3〜100%の水素を含む雰囲気中において、300〜450℃で1〜12時間の加熱処理による水素化を用いれば良い。
この後、層間絶縁膜813を覆うように、CVD法により窒化酸化珪素膜又は酸化窒化珪素膜を形成しても良い。この膜は、後に形成される導電膜をエッチングするときに、エッチングストッパーとして働き、層間絶縁膜のオーバーエッチングを防止することができる。さらにこの上に、スパッタリング法により窒化珪素膜を形成してもよい。この窒化珪素膜は、アルカリ金属イオンの移動を抑制する働きがあるため、後に形成される画素電極からのリチウム元素、ナトリウム等の金属イオンが半導体薄膜へ移動するのを抑制することができる。
次に、層間絶縁膜のパターニング及びエッチングを行い、結晶質半導体層801a〜801dに達するコンタクトホールを形成する。コンタクトホールのエッチングは、CF4とO2とHeの混合ガスを用いてシロキサン膜をエッチングし、続いてCHF3のガスによりゲート絶縁膜である酸化シリコン膜をエッチングし、除去することで形成する。
続いて、コンタクトホール中に金属膜を積層し、パターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成する。本実施例では、窒素元素を含むチタン膜上に、チタン−アルミニウム合金膜とチタン膜を積層しそれぞれ100nm\350nm\100nmに積層したのち、所望の形状にパターニング及びエッチングして3層で形成されるソース電極及び/又はドレイン電極814〜821を形成する。
一層目の窒素原子を含むチタン膜はターゲットをチタンとし、窒素とアルゴンの流量を1:1としてスパッタリング法により形成する。上記のような窒素元素を含むチタン膜を、シロキサン系の膜の層間絶縁膜上に形成すると、剥離しにくく、且つ結晶性ケイ素膜と低抵抗接続を有する配線を形成することができる。
ここまでで、薄膜トランジスタや容量などの半導体素子を作成することができた。本実施例では、結晶化を促進する元素を用いた結晶性シリコン膜を用いたトップゲートの薄膜トランジスタを用いたが、非晶質半導体膜を用いたボトムゲート型の薄膜トランジスタを画素部に用いることも可能である。非晶質半導体は珪素だけではなくシリコンゲルマニウムも用いることができ、シリコンゲルマニウムを用いる場合、ゲルマニウムの濃度は0.01〜4.5atomic%程度であることが好ましい。
また非晶質半導体中に0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶半導体膜を用いてもよい。また0.5nm〜20nmの結晶を粒観察することができる微結晶はいわゆるマイクロクリスタル(μc)とも呼ばれている。セミアモルファス半導体であるセミアモルファスシリコン(SASとも表記する)は、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。この珪化物気体を水素、水素とヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して用いることでSASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は10倍〜1000倍の範囲で珪化物気体を希釈することが好ましい。グロー放電分解による被膜の反応生成は0.1Pa〜133Paの範囲の圧力で行えば良い。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すれば良い。基板加熱温度は300度以下が好ましく、100〜250度の基板加熱温度が好適である。
このようにして形成されたSASはラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしており、X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)の中和剤として水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020cm-1以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。TFTにしたときのμ=1〜10cm2/Vsecとなる。
続いてこれらの半導体素子を用いて発光装置を作成する工程に入る。
本実施例で説明する発光装置は一対の電極間に発光する物質を含む層を挟み込み、電極間に電流を流すことで発光する素子をマトリクス状に配列させたものである。
発光素子の励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。故に、素子の特徴によって一つの発光装置内において、一重項励起状態の素子あるいは三重項励起状態の素子を混在させても良い。例えばRGBの三色において、赤に三重項励起状態を取る素子、青と緑に一重項励起状態を取る素子としても良い。また、三重項励起状態を取る素子は一般に発光効率が良いため、駆動電圧の低下にも貢献する。
発光素子の材料としては、低分子、高分子、低分子と高分子の間の性質を持つ中分子の発光材料があるが、本実施例では低分子の発光材料を使用する。低分子材料も高分子材料も溶媒に溶かすことでスピンコートやインクジェット法により塗布することができる。また、有機材料のみではなく、無機材料との複合材料も使用することができる。
前工程によって作製された薄膜トランジスタのドレイン電極と一部重なるようにして、発光素子の第1の電極901を形成する。第1の電極は発光素子の陽極、または陰極になる電極であり、陽極とする場合は仕事関数の大きい金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。仕事関数としては仕事関数4.0eV以上がだいたいの目安となる。具体例な材料としては、ITO(indium tin oxide)、酸化インジウムに2〜20%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)、酸化インジウムに2〜20%の酸化珪素(SiO2)を混合したITSO、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、又は金属材料の窒化物(TiN)等を用いることができる。
陰極として用いる場合は、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下が目安)金属、合金、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物などを用いることが好ましい。具体的な材料としては、元素周期律の1族又は2族に属する元素、すなわちLiやCs等のアルカリ金属、及びMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、及びこれらを含む合金(Mg−Ag、Al−Li)や化合物(LiF、CsF、CaF2)の他、希土類金属を含む遷移金属を用いて形成することができる。但し、本実施例において第2の電極は透光性を有するように形成するため、これら金属、又はこれら金属を含む合金を非常に薄く形成し、ITO、IZO、ITSO又はその他の金属(合金を含む)との積層により形成する。
本実施例では第1の電極901は陽極とし、ITSOを用いた。電極としてITSOを用いた場合は真空ベークを行うと発光装置の信頼性が向上する。
また、本実施例において第1の電極は薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極を作製した後に形成されるが、始めに第1の電極を形成しその後薄膜トランジスタの電極を作製してもかまわない。
画素部の薄膜トランジスタに接続されている画素電極である第1の電極901の端部を覆うように絶縁膜902を形成する。この絶縁膜902は土手や隔壁と呼ばれるものである。絶縁膜902としては、無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、CVD法により形成された酸化ケイ素膜や、SOG(Spin On Glass)法により塗布された酸化ケイ素膜などを用いることができ、有機絶縁膜としては感光性または非感光性のポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリルまたはポジ型感光性有機樹脂、ネガ型感光性有機樹脂、ケイ素と酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む、または置換基にフッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも1種を有する材料、いわゆるシロキサンの膜を用いることができる。また、それらの積層構造を用いても良い。感光性の有機物を使用して形成すると、開口部の形状が曲率半径が連続的に変化する形状となり電界発光層を蒸着する際に段切れなどが起こりにくいものとなり好適である。本実施例では感光性のポリイミドを使用した。
続いて、蒸着装置を用いて、蒸着源を移動させながら蒸着を行う。蒸着は真空度が5×10-3Torr(0.665Pa)以下、好ましくは10-4〜10-6Torrまで真空排気された成膜室で蒸着を行う。蒸着の際、抵抗加熱により、予め有機化合物は気化されており、蒸着時にシャッターが開くことにより基板の方向へ飛散する。気化された有機化合物は、上方に飛散し、メタルマスクに設けられた開口部を通って基板に蒸着され、電界発光層903(第1の電極側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、積層体、電子注入層)を形成する。なお、電界発光層903の構成はこのような組み合わせの積層でなくとも良く、また単層、混合層で形成されていても良い。
本実施例では正孔注入層としてCuPcを20nm、正孔輸送層としてα−NPBを40nm、発光層としてAlqを50nm、電子注入層としてAl−Liを10nm形成する。また、積層体としては発光層上に膜厚10nmのAi−Li膜とAlq膜を交互に繰り返し6層形成する。
電界発光層903を形成したら、第2の電極904を電界発光層903に接して形成する。本実施例では第1の電極901が陽極であるため、第2の電極904は陰極として形成する。陰極材料は先に述べたような材料を使用すれば良く、本実施例ではアルミニウム膜を150nm形成することで第2の電極(陰極)904とする。
本実施例では第1の電極901のみ透光性を有する材料で形成されているため、基板の下面方向より光を取り出す構造である。図4(B)は上面発光の構成の1例であり、画素電極901と薄膜トランジスタの電極を異なる層に形成した例である。第1の層間絶縁膜813及び第2の層間絶縁膜903は図4における層間絶縁膜813と同様の材料で作製することができ、その組み合わせも自由に行えるが、今回はどちらの層もシロキサンにより形成する。画素電極901は第2の層間絶縁膜903側からAl−Si\TiN\ITSOと積層して形成したが、もちろん単層でもかまわないし、2層、あるいは4層以上の積層構造でもかまわない。
図5には下面発光、両面発光、上面発光の例を示した。本実施例に記載の下面から光を取り出す構造は図5(A)の構造に相当する。第2の電極の下にLiを含む材料を薄く(透光性を有する程度に)形成し、ITOやITSO、IZOなど透光性を有する材料を第2の電極として形成することで図5(B)のように両面より光を取り出すことのできる両面発光の発光表示装置を得ることが可能となる。なお、アルミニウムや銀など厚膜で形成すると非透光性であるが、薄膜化すると透光性を有するようになるため、アルミニウムや銀の透光性を有する程度の薄膜で第2の電極を形成すると両面発光とすることができる。
図5(C)は上面発光の発光装置の一例であるが、図4(B)に相当する。上面発光はこのように相関膜を図5(A)(B)より一枚多く形成すると、薄膜トランジスタの上部にも発光素子を設けることができ、開口率の点で有利な構成となる。
ところで、両面発光や上面発光の場合に用いられる透明電極であるITOやITSOは蒸着による成膜ができないためスパッタ法による成膜が行われる。第2の電極904をスパッタリング法により形成する場合、電子注入層の表面もしくは電子注入層と電子輸送層の界面にスパッタリングによるダメージが入ってしまうことがあり、発光素子の特性に悪影響を及ぼす可能性がある。これを防ぐためには、スパッタリングによるダメージを受けにくい材料を第2の電極404に最も近い位置に設けるとよい。このようなスパッタダメージを受けにくい材料で、電界発光層903に用いることができる材料としては酸化モリブデン(MoOx)が挙げられる。しかし、MoOxは正孔注入層として好適な物質であるため、第2の電極904に接して設けるには第2の電極904を陽極とする必要がある。このように陰極を第1の電極、陽極を第2の電極とする素子を仮に逆積みの素子を呼んでいる。
そこで、この逆積み素子場合は本実施例のように図6(A)の順(順積み)で形成するのでは無く、図6(B)のように第1の電極901を陰極として形成し、その後順に、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層(MoOx)、第2の電極(陽極)と形成する。また、画素の駆動用薄膜トランジスタはNチャネル型とする必要がある。
MoOxは蒸着法により形成し、x=3以上のものが好適に使用できる。また、MoOx層は銅フタロシアニン(CuPc)などの有機金属錯体や有機物と共蒸着することで有機、無機の混合層としても良い。逆積み素子を用いた場合、画素部の薄膜トランジスタはもともとN型であるa−Si:Hを半導体層としたトランジスタを用いると工程が簡略化されて好適である。駆動回路部が同一基板上に形成されている場合は駆動回路部のみレーザ等を照射することで結晶化して用いるとよい。
図6においては積層体を図示していないが、第2の電極を陽極とする場合も同様に積層体を設けることで密着性の悪い膜同士の密着性を高めることができる。また、積層体を構成する膜のどちらか一方を導電性の高い膜とすることで剥離が生じたとしても導電性の高い膜を介して電流が剥離が起きた部分にも供給され、劣化するのを押さえることが可能となる。
この第2の電極を陽極とする構造は第2の電極をスパッタリングで形成しなければMoOxの正孔注入層は必須では無い為、以下のような構成が考えられる。なお、この例示は発光層と正孔輸送層を有機物を主成分とする膜(有機金属錯体も含む)、陽極を無機物を主成分とする膜と仮定した場合の例であり、その仮定が異なった場合はこの例示には当てはまらない。基本的には有機物を主成分とする層と無機物を主成分とする層の間に無機物を主成分とする薄膜と有機物を主成分とする薄膜の積層体を作製する。また、この例示において、括弧書きにした電子注入層と電子輸送層は必要に応じて適宜用いればよい。
まず、薄膜トランジスタが形成されている方から陰極\(電子注入層)\(電子輸送層)\発光層\正孔輸送層\正孔注入層\陽極といった素子構成で、正孔注入層が有機物を主成分とする膜であった場合、正孔注入層と陽極の間に陽極と同じ材料の膜と正孔注入層と同じ材料の膜で積層体を作製すると良い。
次に、薄膜トランジスタが形成されている方から陰極\(電子注入層)\(電子輸送層)\発光層\正孔輸送層\正孔注入層\陽極といった素子構成で、正孔注入層が無機物を主成分とする膜であった場合、正孔輸送層と正孔注入層の間に正孔注入層と同じ材料の膜と正孔輸送層と同じ材料の膜で積層体を作製すると良い。
また、薄膜トランジスタが形成されている方から陰極\(電子注入層)\(電子輸送層)\発光層\正孔注入層\陽極といった素子構成で、正孔注入層が有機物を主成分とする膜であった場合は、正孔注入層と陽極の間に陽極と同じ材料の膜と正孔注入層と同じ材料の膜で積層体を作製する。
さらに、薄膜トランジスタが形成されている方から陰極\(電子注入層)\(電子輸送層)\発光層\正孔注入層\陽極といった素子構成で、正孔注入層が無機物を主成分とする膜であった場合は、発光層と正孔注入層の間に正孔注入層と同じ材料の膜と発光層と同じ材料の膜で積層体を作製する。
薄膜トランジスタが形成されている方から陰極\(電子注入層)\(電子輸送層)\発光層\正孔輸送層\陽極といった素子構成でであった場合は、正孔輸送層と陽極の間に陽極と同じ材料の膜と正孔輸送層と同じ材料の膜で積層体を作製する。
薄膜トランジスタが形成されている方から陰極\(電子注入層)\(電子輸送層)\発光層\陽極といった素子構成でであった場合は、発光層と陽極の間に陽極と同じ材料の膜と発光層層と同じ材料の膜で積層体を作製する。
このように、第2の電極が陽極となった場合であっても本発明は適用することができ、信頼性の向上に貢献することができる。
その後、プラズマCVD法により窒素を含む酸化珪素膜を第2のパッシベーション膜905として形成した。窒素を含む酸化珪素膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化ケイ素膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化ケイ素膜、あるいはSiH4、N2OをArで希釈したガスから形成される酸化窒化ケイ素膜を形成すれば良い。また、第1のパッシベーション膜としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化ケイ素膜を適用しても良い。もちろん、第2のパッシベーション膜905は単層構造に限定されるものではなく、他のケイ素を含む絶縁膜を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。また、窒化炭素膜と窒化ケイ素膜の多層膜やスチレンポリマーの多層膜、窒化ケイ素膜やダイヤモンドライクカーボン膜を窒素を含む酸化珪素膜の代わりに形成してもよい。
続いて電界発光素子を水など劣化を促進する物質から保護するために、表示部の封止を行う。対向基板を封止に用いる場合は、絶縁性のシール剤により、外部接続部が露出するように貼り合わせる。対向基板と素子基板との間の空間には乾燥した窒素などの不活性気体を充填しても良いし、シール剤を画素部全面に塗布しそれにより対向基板を形成しても良い。シール剤には紫外線硬化樹脂などを用いると好適である。シール剤には乾燥剤やギャップを一定に保つための粒子を混入しておいても良い。続いて外部接続部にフレキシブル配線基板を貼り付けることによって、電界発光パネルが完成する。
このような電界発光パネルには単色、エリアカラー、フルカラーなどの表示方法があるが、フルカラーにはさらに、RBGの3色塗り分け法、白色光源をカラーフィルタによりRBG化する方法、短波長の色を色変換フィルタを使用して長波長の色に変換する方法などがある。また、色純度を向上させるために、カラーフィルタを用いる場合もある。
なお、表示機能を有する本発明の発光表示装置には、アナログのビデオ信号、デジタルのビデオ信号のどちらを用いてもよい。デジタルのビデオ信号を用いる場合はそのビデオ信号が電圧を用いているものと、電流を用いているものとに分けられる。発光素子の発光時において、画素に入力されるビデオ信号は、定電圧のものと、定電流のものがあり、ビデオ信号が定電圧のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。またビデオ信号が定電流のものには、発光素子に印加される電圧が一定のものと、発光素子に流れる電流が一定のものとがある。この発光素子に印加される電圧が一定のものは定電圧駆動であり、発光素子に流れる電流が一定のものは定電流駆動である。定電流駆動は、発光素子の抵抗変化によらず、一定の電流が流れる。本発明の発光表示装置及びその駆動方法には、電圧のビデオ信号、電流のビデオ信号のどちらを用いてもよく、また定電圧駆動、定電流駆動のどちらを用いてもよい。
本実施例では、画素回路、保護回路及びそれらの動作について説明する。
図7(A)に示す画素は、列方向に信号線410及び電源線411、412、行方向に走査線414が配置される。また、スイッチング用TFT401、駆動用TFT403、電流制御用TFT404、容量素子402及び発光素子405を有する。
図7(C)に示す画素は、TFT403のゲート電極が、行方向に配置された電源線412に接続される点が異なっており、それ以外は図7(A)に示す画素と同じ構成である。つまり、図7(A)(C)に示す両画素は、同じ等価回路図を示す。しかしながら、行方向に電源線412が配置される場合(図7(A))と、列方向に電源線412が配置される場合(図7(C))とでは、各電源線は異なるレイヤーの導電膜で形成される。ここでは、駆動用TFT403のゲート電極が接続される配線に注目し、これらを作製するレイヤーが異なることを表すために、図7(A)(C)として分けて記載する。
図7(A)(C)に示す画素の特徴として、画素内にTFT403、404が直列に接続されており、TFT403のチャネル長L(403)、チャネル幅W(403)、TFT404のチャネル長L(404)、チャネル幅W(404)は、L(403)/W(403):L(404)/W(404)=5〜6000:1を満たすように設定するとよい。
なお、TFT403は、飽和領域で動作し発光素子406に流れる電流値を制御する役目を有し、TFT404は線形領域で動作し発光素子406に対する電流の供給を制御する役目を有する。両TFTは同じ導電型を有していると作製工程上好ましく、本実施例ではnチャネル型TFTとして形成する。またTFT403には、エンハンスメント型だけでなく、ディプリーション型のTFTを用いてもよい。上記構成を有する本発明は、TFT404が線形領域で動作するために、TFT404のVgsの僅かな変動は、発光素子406の電流値に影響を及ぼさない。つまり、発光素子406の電流値は、飽和領域で動作するTFT403により決定することができる。上記構成により、TFTの特性バラツキに起因した発光素子の輝度ムラを改善して、画質を向上させた表示装置を提供することができる。
図7(A)〜(D)に示す画素において、TFT401は、画素に対するビデオ信号の入力を制御するものであり、TFT401がオンとなると、画素内にビデオ信号が入力される。すると、容量素子402にそのビデオ信号の電圧が保持される。なお図7(A)(C)には、容量素子402を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、ビデオ信号を保持する容量がゲート容量などでまかなうことが可能な場合には、容量素子402を設けなくてもよい。
図7(B)に示す画素は、TFT406と走査線416を追加している以外は、図7(A)に示す画素構成と同じである。同様に、図7(D)に示す画素は、TFT406と走査線416を追加している以外は、図7(C)に示す画素構成と同じである。
TFT406は、新たに配置された走査線416によりオン又はオフが制御される。TFT406がオンとなると、容量素子402に保持された電荷は放電し、TFT404がオフとなる。つまり、TFT406の配置により、強制的に発光素子405に電流が流れない状態を作ることができる。そのためTFT406を消去用TFTと呼ぶことができる。従って、図7(B)(D)の構成は、全ての画素に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができるため、デューティ比を向上することが可能となる。
図7(E)に示す画素は、列方向に信号線410、電源線411、行方向に走査線414が配置される。また、スイッチング用TFT401、駆動用TFT403、容量素子402及び発光素子405を有する。図7(F)に示す画素は、TFT406と走査線415を追加している以外は、図7(E)に示す画素構成と同じである。なお、図7(F)の構成も、TFT406の配置により、デューティ比を向上することが可能となる。
以上のように、多様な画素回路を採用することができる。特に、非晶質半導体膜から薄膜トランジスタを形成する場合、駆動用TFTの半導体膜を大きくすると好ましい。そのため、上記画素回路において、電界発光層からの光が封止基板側から射出する上面発光型とすると好ましい。
このようなアクティブマトリクス型の発光装置は、画素密度が増えた場合、各画素にTFTが設けられているため低電圧駆動でき、有利であると考えられている。
本実施例では、一画素に各TFTが設けられるアクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、一列毎にTFTが設けられるパッシブマトリクス型の発光装置を形成することもできる。パッシブマトリクス型の発光装置は、各画素にTFTが設けられていないため、高開口率となる。発光が電界発光層の両側へ射出する発光装置の場合、パッシブマトリクス型の表示装置を用いる透過率が高まる。
続いて、図7(E)に示す等価回路を用い、走査線及び信号線に保護回路としてダイオードを設ける場合について説明する。
図8には、画素部500にTFT401、403、容量素子402、発光素子405が設けられている。信号線410には、ダイオード561と562が設けられている。ダイオード561と562は、TFT401又は403と同様に、上記実施の形態に基づき作製され、ゲート電極、半導体層、ソース電極及びドレイン電極等を有する。ダイオード561と562は、ゲート電極と、ドレイン電極又はソース電極とを接続することによりダイオードとして動作させている。
ダイオードと接続する共通電位線554、555はゲート電極と同じレイヤーで形成している。従って、ダイオードのソース電極又はドレイン電極と接続するには、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する必要がある。
ゲート絶縁層へのコンタクトホールは、インクジェット法によりマスクを形成し、エッチング加工すればよい。この場合、大気圧放電のエッチング加工を適用すれば、局所的な放電加工も可能であり、基板の全面にマスクを形成する必要はない。
走査線414に設けられるダイオードも同様な構成である。
このように、本発明によれば、入力段に設けられる保護ダイオードを同時に形成することができる。なお、保護ダイオードを形成する位置は、これに限定されず、駆動回路と画素との間に設けることもできる。
本実施例では、本発明の素子構造の例について、図11を参照しながら説明する。なお、本実施例に記載の構成はあくまで例に過ぎず、本発明の趣旨に反しない限り様々な発光素子に適用することが可能である。
図11(A)(B)は順積み(第1の電極が陽極)であって、下面発光の素子に本発明を適用した例を示している。この場合、積層体を挟む有機物を主成分とする層と無機物を主成分とする層には以下のようなものが挙げられる。まず、有機物を主成分とする層としては発光層と電子輸送層が考えられ、無機物を主成分とする層としては電子注入層もしくは電極層がある。図11(A)には積層体に接して形成される無機物を主成分とする層が電子注入層であった場合の、図11(B)には積層体に接して形成される無機物を主成分とする層が電極層であった場合の本発明を適用した素子構造を示した。
図11(A)は有機物を主成分とする層(発光層もしくは電子輸送層)1100と電子輸送層1103の間に積層体1105が設けられ、さらに電子輸送層1103に接して陰極1104が設けられている。積層体1105は電子注入層1103と同じ材料を用いた層1101と有機物を主成分とする層1100と同じ材料を用いた層1102を4層積層した構造となっている。
この積層体1105があることで、密着性の悪い有機物を主成分とする層(発光層もしくは電子輸送層)1100と電子輸送層1103の間の膜応力の緩和することができ、剥離が起きるのを防ぐことが可能となる。また、剥離が起きてしまったとしても、積層体1105を構成する膜のどちらかがある程度の電気伝導性を有しておればその層を介して膜がはがれた部分にも電流を流すことができ、不良となるのを防ぐことが可能となる。これにより、より高い信頼性を有する発光表示装置を得ることが可能となる。
図11(B)は有機物を主成分とする層(発光層もしくは電子輸送層)1110と電極層1113の間に積層体1114が設けられている。積層体1114は電極1113と同じ材料を用いた層1111と有機物を主成分とする層1110と同じ材料を用いた層1112を4層積層した構造となっている。
なお、図11(B)においては電極層1113を厚く形成している為、上面への光の射出が行われないが、電極層1113を透光性を有する程度に十分に薄膜化すれば上面への光の取り出しが可能となり、上面発光もしくは両面発光の素子とすることができる。薄膜化して透光性を有する電極として使用できる材料には薄膜化しても十分な電気伝導性を有することができるアルミニウムや銀が挙げられる。
この積層体1114があることで、密着性の悪い有機物を主成分とする層(発光層もしくは電子輸送層)1110と電極層1113の間の膜応力の緩和することができ、剥離が起きるのを防ぐことが可能となる。また、剥離が起きてしまったとしても、積層体1114を構成する膜のどちらかがある程度の電気伝導性を有しておればその層を介して膜がはがれた部分にも電流を流すことができ、不良となるのを防ぐことが可能となる。これにより、より高い信頼性を有する発光表示装置を得ることが可能となる。
図11(C)は順積み(第1の電極が陽極)であって、上面発光もしくは両面発光の素子に本発明を適用した例を示しており、第2の電極の材料に透光性を有する電極材料を使用する例である。この場合、通常陽極として用いられる仕事関数の高い電極材料を陰極として用いる為、陰極と有機物を主成分とする層との間に電子注入性の高いリチウム等の層を設けなければいけない。つまり、通常陽極として用いられる電極材料を陰極として用いる場合には、極薄いリチウム膜と陽極材料の積層でもって、陰極1124する。
図11(C)の構造では有機物を主成分とする層(発光層もしくは電子輸送層)1121と陰極1124(リチウムの薄膜1125と透明導電膜1126の積層)との間に積層体1127が設けられている。積層体1127は陰極と同じ材料で形成された層1128と有機物を主成分とする層1121と同じ材料で形成された層1129からなる。陰極と同じ材料で形成された層1128は陰極1124と同様にリチウム1122と透明導電膜1123の積層構造となっている。
図11(C)においては第2の電極及び積層体が透光性を有するため、上面より光を取り出すことが可能であるため、上面発光、両面発光の表示装置に適用することができる。
積層体1127があることで、密着性の悪い有機物を主成分とする層(発光層もしくは電子輸送層)1121と電極層1124の間の膜応力の緩和することができ、剥離が起きるのを防ぐことが可能となる。また、剥離が起きてしまったとしても、積層体1127には透明導電膜が積層されている為その層を介して膜がはがれた部分にも電流を流すことができ、不良となるのを防ぐことが可能となる。これにより、より高い信頼性を有する発光表示装置を得ることができる。
続いて第2の電極が陽極となる逆積み素子について説明をする。図面は図11(A)(B)を用いる。この場合、積層体を挟む有機物を主成分とする層と無機物を主成分とする層には以下のようなものが挙げられる。まず、有機物を主成分とする層としては発光層と正孔輸送層、正孔注入層が考えられ、無機物を主成分とする層としては電子注入層もしくは電極層が考えられる。
図11(A)には積層体に接して形成される無機物を主成分とする層が正孔注入層であった場合の、図11(B)には積層体に接して形成される無機物を主成分とする層が電極層であった場合の本発明を適用した素子構造を示した。
図11(A)は有機物を主成分とする層(発光層もしくは正孔輸送層)1100と正孔輸送層1103の間に積層体1105が設けられ、さらに正孔輸送層1103に接して陽極1104が設けられている。積層体1105は正孔注入層1103と同じ材料を用いた層1101と有機物を主成分とする層1100と同じ材料を用いた層1102を4層積層した構造となっている。
この積層体1105があることで、密着性の悪い有機物を主成分とする層(発光層、正孔輸送層)1100と正孔輸送層1103の間の膜応力の緩和することができ、剥離が起きるのを防ぐことが可能となる。また、剥離が起きてしまったとしても、積層体1105を構成する膜のどちらかがある程度の電気伝導性を有しておればその層を介して膜がはがれた部分にも電流を流すことができ、不良となるのを防ぐことが可能となる。これにより、より高い信頼性を有する発光表示装置を得ることが可能となる。
図11(B)は有機物を主成分とする層(発光層又は正孔輸送層もしくは正孔注入層)1110と電極層1113の間に積層体1114が設けられている。積層体1114は電極1113と同じ材料を用いた層1111と有機物を主成分とする層1110と同じ材料を用いた層1112を4層積層した構造となっている。
この積層体1114があることで、密着性の悪い有機物を主成分とする層(発光層又は正孔輸送層又は正孔注入層)1110と電極層1113の間の膜応力の緩和することができ、剥離が起きるのを防ぐことが可能となる。また、剥離が起きてしまったとしても、積層体1114を構成する膜のどちらかがある程度の電気伝導性を有しておればその層を介して膜がはがれた部分にも電流を流すことができ、不良となるのを防ぐことが可能となる。これにより、より高い信頼性を有する発光表示装置を得ることが可能となる。
尚、これら逆積み素子の場合、第2の電極に透明導電膜を使用することができるので、上面発光、両面発光の発光表示装置に用いることができる。
本実施例ように本発明を用いて発光素子を作製することによって、信頼性高い素子及び発光表示装置を提供することができる。
本発明が適用される電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディ4ディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図9に示す。
図9(A)は発光表示装置でありテレビ受像器などがこれに当たる。筐体2001、表示部2003、スピーカー部2004等を含む。本発明は、表示部2003に適用される。本発明を使用することにより、長時間の使用にも耐える長寿命の発光表示装置を提供することが可能となる。画素部にはコントランスを高めるため、偏光板、又は円偏光板を備えるとよい。例えば、封止基板へ1/4λ板、1/2λ板、偏光板の順にフィルムを設けるとよい。さらに偏光板上に反射防止膜を設けてもよい。
図9(B)は携帯電話であり、本体1301、筐体1302、表示部1303、音声入力部1304、音声出力部1305、操作キー1306、アンテナ1308等を含む。本発明の発光装置をその表示部1303に用いることにより作製される。本発明を使用することにより、長時間の使用にも耐える長寿命の発光表示装置を提供することが可能となる。
図9(C)はパーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明は、表示部2203に適用することができる。本発明を使用することにより、長時間の使用にも耐える長寿命の発光表示装置を提供することが可能となる。
図9(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明は、表示部2302に適用することができる。本発明を使用することにより、長時間の使用にも耐える長寿命の発光表示装置を提供することが可能となる。
図9(E)は携帯型のゲーム機であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部2403、操作キー2404、記録媒体挿入部2405等を含む。本発明は表示部2402に適用することができる。本発明を使用することにより、長時間の使用にも耐える長寿命の発光表示装置を提供することが可能となる。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。また、製品の寿命が向上するため、信頼性の高い製品であるとして評価を高めることが可能となる。
本発明の素子構造。(実施の形態1)
実施の形態2を説明する図。
発光表示装置の作製方法。(実施例2)
発光表示装置の作製方法。(実施例2)
発光表示装置の種類。(実施例2)
発光素子の構成を示す図(実施例2)
画素回路の例(実施例3)。
保護回路の一例(実施例3)。
電子機器。(実施例5)
発光素子の断面TEM写真。
本発明の素子積層例。(実施例4)
接合改善のモデル図。
本発明の構成例。