JP4726405B2 - 加工用粘着シートとその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工用粘着シートとその製造方法並びにその加工用粘着シートを用いて製品を加工する方法に関し、特に、半導体ウエハ等の半導体製品や光学系製品等を精密加工する工程において、製品を保持したり、保護するために使用される加工用粘着シート及びその製造方法並びにその加工用粘着シートを用いて製品を加工する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学産業や半導体産業等において、レンズ等の光学部品や半導体ウエハ等の半導体製品を精密加工する際に粘着シートが使用される。
例えば半導体チップの製造工程においては、IC回路等の所定の回路パターンを形成した半導体ウエハの裏面を研磨して所定の厚さにした後、個々のチップに切断するためにダイシング工程へ搬送される。半導体ウエハ自体が肉薄で脆く、また回路パターンには凹凸があるので、研磨工程やダイシング工程への搬送時に外力が加わると破損しやすい。また、研磨加工工程において、生じた研磨屑を除去したり、研磨時に発生した熱を除去するために精製水によりウエハ裏面を洗浄しながら研磨処理を行っており、この研削水等によって汚染されることを防ぐ必要がある。そのために、回路パターン面等を保護し、半導体ウエハの破損を防止するために、回路パターン面に粘着シートを貼着して作業した後、粘着シートからウエハを剥離回収することが行われており、粘着シートとして、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の基材シートに粘着剤層を有する粘着シートが知られている。特開昭61−10242号公報には、ショアーD型硬度が40以下である基材シートの表面に粘着層を設けたシリコンウエハ加工用フィルムが開示されている。また、特開平9−253964号公報には、ウレタンアクリラート系オリゴマーと反応性希釈モノマーとを含む配合物を放射線硬化させてなる基材に、粘着層を設けた粘着テープが開示されている。特開昭61−260629号公報には、ショアーD型硬度が40以下である基材フィルムの一方の表面に、ショアーD型硬度が40よりも大きい補助フィルムが積層されており、基材フィルムの他方の表面に粘着剤層が設けられているシリコンウエハ加工用フィルムが開示されている。特開2000−150432号公報には、引張試験において、10%伸張時の応力緩和率が、1分後で、40%以上の粘着シートが開示されている。
【0003】
しかし、近年、回路パターン面の凹凸の高低差が大きくなっており、また、チップの小型化に伴い、半導体ウエハには厚みが100μm以下の薄型化が要求されるようになった。例えばPETのように剛性のある基材を用いた粘着シートでは、薄膜研削した後のウエハの反りに関しては抑制されるが、ウエハ表面の回路パターン面の凹凸に追従できず、粘着剤層とパターン面との間の接着が不十分となり、ウエハ加工時に粘着シートが剥がれたり、パターン面へ研削水や異物が入り込んだり、研磨後に粘着シートに弱粘着シート(剥離用シート)を貼り合わせ、弱粘着シートを引っ張ってウエハから粘着シートを剥がす際に、ウエハが破損することがあった。また、EVAのような軟質基材を用いた粘着シートでは、パターン面への追従性は問題ないが、基材の剛性が不足しているので、ウエハ研削後に反りが発生したり、ウエハの自重による撓みが生じた。そこで、剛性のある基材PETと軟質な基材EVAとを貼り合わせた基材が想定されるが、接着剤を介して機械的に貼着した場合には、貼り合わせの際に与えられる応力がフィルム内に残留し、基材がカールしてしまう。また、Tダイ法やカレンダー法等によって積層体を形成する場合には、厚手のフィルムを得ることが困難であり、製膜する際の熱収縮によってフィルム内に残留応力が発生してしまう。このように残留応力が発生した基材を用いた粘着シートでは、ウエハ研削時にウエハが破損したり、研削後にウエハに反りが生じたりするという問題があった。また、溶液塗布法により積層体を形成した場合には、溶剤の使用が環境問題を発生することもあり、さらにまた、厚手のフィルムを得るためには重ね塗りが必要であった。
すなわち、従来の基材フィルムや積層体を基材とする粘着シートでは、このような半導体ウエハの搬送や保護には不十分であった。
【0004】
【特許文献1】
特開昭61−10242号公報
【特許文献2】
特開平9−253964号公報
【特許文献3】
特開昭61−260629号公報
【特許文献4】
特開2000−150432号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明は、半導体ウエハ等の製品を加工する工程において使用される加工用粘着シートであって、例えば、研磨後の半導体ウエハが薄肉であっても、研削工程中にウエハが破損することなく、ウエハの回路パターン表面の凹凸に対する追従性に優れており、また、粘着シートの残留応力によるウエハの反りが小さく、研磨後に粘着シートからウエハを剥離回収する際にウエハが破損することのない加工用粘着シート及びこの加工用粘着シートの製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の加工用粘着シートは、支持体の一方の面に粘着剤層を有する加工用粘着シートであって、前記粘着シートは、幅20mmの細長いシートを曲率半径3.0mmで曲げた時の曲げ弾性率が15N/mm2以上、250N/mm2以下であることを特徴とする。
ここで前記支持体は、ウレタンポリマーとビニル系ポリマーとを有効成分として含有する複合フィルムを有する積層体であることができる。
また前記支持体は、前記複合フィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムとの積層体であることができる。
ここで、前記ビニル系ポリマーはアクリル系ポリマーであることができる。
また前記複合フィルムが、ラジカル重合性モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成し、該ウレタンポリマーと該ラジカル重合性モノマーとを含む混合物を、基材上に塗布し、放射線を照射して硬化させて、形成されてもよい。
ここで、前記ラジカル重合性モノマーはアクリル系モノマーであることができる。
また、前記粘着剤層は、前記複合フィルムの面に設けられていることができる。
【0007】
本発明の製品の加工方法は、上記加工用粘着シートを、精密加工される製品に貼着して保持及び/又は保護した状態で精密加工することを特徴とする製品の加工方法。
【0008】
本発明の加工用粘着シートの製造方法は、ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとを含む混合物を、基材フィルムの上に塗布し、放射線を照射して硬化させることにより複合フィルムを形成し、該基材フィルム上に粘着剤層を形成することにより加工用粘着シートを製造することを特徴とする。
ここで前記混合物は、ラジカル重合性モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成することにより製造されることができる。
また、前記ラジカル重合性モノマーはアクリル系モノマーであることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の加工用粘着シートは、支持体上に粘着剤層を有する。支持体は、ウレタンポリマーとビニル系ポリマーとを有効成分として含有する複合フィルムを有することが好ましく、例えば、複合フィルムと、この複合フィルムとは異なる材料からなるフィルムとの積層体や、複合フィルムと、この複合フィルムとは異なる材料からなるフィルムを2層以上積層した積層体等が挙げられる。なお、本発明において「フィルム」という場合には、シートを含み、「シート」という場合には、フィルムを含む概念とする。
【0010】
以下、図1を用いて、本発明の加工用粘着シートを説明する。図1は、本発明の加工用粘着シートの実施形態の1つを示す断面図である。図1において、加工用粘着シート5は、支持体4と粘着剤層3とから構成されている。ここで支持体4は、基材フィルム1と複合フィルム2とを積層した積層体であり、粘着剤層3は、複合フィルムの面上に設けられている。本発明においては、基材フィルム1と複合フィルム2の種類を適宜、組み合わせることによって、任意の曲げ弾性率の粘着シートを得ることができる。
【0011】
本発明において曲げ弾性率は、求める対象物を幅20mmで長さが約50mmの形状にし、これを曲率半径が3.0mmとなるように長さ方向に屈曲させて、その反発力を測定し、下記式(1)に基づいて求めることができる。ただし、式中、Eは曲げ弾性率(単位:N/mm2)、Rは曲率半径(単位:mm)、wは対象物(測定試料)の幅(単位:mm)、hは対象物(測定試料)の厚み(単位:mm)、Mは反発力(単位:g)である。
E=(2R2/wh3)・M (1)
【0012】
次に図2を用いて、反発力の測定方法を説明する。なお、図2において、図1の構成要素と同一の構成要素については同一の参照番号を付して、これらの説明を省略する。
図2は、対象物(ここでは粘着シート5)の反発力を測定する方法を説明するための図である。電子天秤11の横には、粘着シート5を電子天秤上で屈曲させることができる治具12が配置されている。治具12は、支柱13と押さえ板14とを備えており、押さえ板14は電子天秤11の上面と平行になるように設置されており、支柱13を上下にスライドすることができる。治具12は、粘着シート5を長さ方向に曲げたときの曲率半径Rが3.0mmとなる位置、すなわち粘着シート間が6.0mmとなる位置までスライドさせ、屈曲した粘着シート5の上面を抑えるように設計されている。反発力は、室温において、幅20mmの対象物を曲率半径Rが3.0mmとなるように曲げられた状態で測定される。具体的には、測定試料として粘着シート5を幅20mm、長さ50mmに切断し、これを電子天秤11の上にのせ、曲率半径Rが3.0mmとなるように屈曲させて治具12を設置する。この状態を保持したまま60秒経過した時点で、電子天秤の数値(A)を読み取って、反発力を求める。反発力は、測定した数値(A)から、測定試料(ここでは粘着シート5)の重量(B)を減じた値(A−B)である。
【0013】
上述したように、曲げ弾性率は15N/mm2以上であることが必要であり、20N/mm2以上であることが好ましく、更に好ましくは25N/mm2以上である。また、曲げ弾性率は、250/mm2以下であることが必要であり、200N/mm2以下であることが好ましく、さらに好ましくは150N/mm2以下である。曲げ弾性率が15N/mm2以上であれば、ウエハを薄肉に研削加工した場合でもウエハの反りを許容範囲内におさめることができるので、ウエハの搬送に問題が生じることがない。また、曲げ弾性率が250N/mm2以下であれば、ウエハの回路パターン面の凹凸に対して十分な追従性が得られ、かつ、加工処理後に粘着シートに剥離用シートを貼り合わせ、剥離用シートを引っ張ることにより粘着シートをウエハから容易に剥がすことができる。
【0014】
複合フィルムに積層される基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂のほか、熱硬化性樹脂等が使用される。中でもPETは、精密部品の加工に使用する場合には適度な固さを有しているので好適であり、さらにまた、品種の豊富さやコスト面から有利であるので、好ましく使用される。フィルムの材料は、用途や必要に応じて設けられる粘着剤層の種類等に応じて、適宜決定することが好ましく、例えば紫外線硬化型粘着剤を設ける場合には、紫外線透過率の高い基材が好ましい。
フィルム1には、必要に応じて、通常使用される添加剤等を本発明の効果を阻害しない範囲内で使用することができる。例えば添加剤として、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0015】
本発明においては、基材フィルムの他にさらに1以上のフィルムを積層することができる。このフィルムは、上記基材フィルムと同一の材料からなるフィルムでもよいし、あるいは異なる材料のフィルムでもよい。異なる材料のフィルムとしては、基材フィルムとして列挙された材料と同様の材料を使用することができ、上記材料の中から適宜選択することができる。
また、基材フィルムの表面や他のフィルムの表面には、必要に応じて、マット処理、コロナ放電処理、プライマー処理、化学架橋(シラン等)による架橋処理等を施すことができる。
【0016】
本発明において複合フィルムは、ウレタンポリマーとビニル系ポリマーとを含むことができる。ウレタンポリマーの組成、ビニル系ポリマーの種類や組成、ウレタンポリマーとビニル系ポリマーとの配合比等を適宜選択することによって、また、さらに架橋剤等を適宜組合せることによって、様々な特性を有する複合フィルムを得ることができる。
【0017】
本発明において複合フィルムは、例えば、ウレタンポリマーの存在下で、ビニル系モノマーを溶液重合やエマルジョン重合することによって得ることができる。複合フィルムを構成するビニル系ポリマーは、アクリル系ポリマーであることが好ましく、この場合には、アクリル系モノマーを溶液重合等することによってウレタン−アクリル複合材料を形成することができる。
【0018】
本発明において複合フィルムは、ラジカル重合性モノマーを希釈剤として、このラジカル重合性モノマー中でウレタンポリマーを形成し、ラジカル重合性モノマーとウレタンポリマーとを主成分として含む混合物を例えば基材フィルム上に塗布し、放射線を照射して硬化させることにより、形成してもよい。ここで、ラジカル重合性モノマーとしては、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有するものが使用され、ビニル系モノマー等が使用されるが、反応性の点からは、アクリル系モノマーが好ましい。
【0019】
具体的には、
(a)ポリオールとジイソシアネートとを反応させ、この反応生成物をアクリル系モノマーに溶解させて粘度調整を行い、これをフィルム1に塗工した後、低圧水銀ランプ等を用いて硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合材料を得ることができる。
(b)ポリオールをアクリル系モノマーに溶解させた後、ジイソシアネートを反応させて粘度調整を行い、これをフィルム1に塗工した後、低圧水銀ランプ等を用いて硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合材料を得ることもできる。この方法では、アクリル系モノマーをウレタン合成中に一度に添加してもよいし、何回かに分割して添加してもよい。また、ジイソシアネートをアクリル系モノマーに溶解させた後、ポリオールを反応させてもよい。
ここで、(a)の方法によれば、ポリオールとジイソシアネートとの反応により生成するポリウレタンの分子量が高くなると、アクリル系モノマーに溶解させることが困難になるので、ポリウレタンの分子量が必然的に限定されてしまう、という欠点がある。一方、(b)の方法によれば、分子量が限定されるということはなく、高分子量のポリウレタンを生成することもできるので、最終的に得られるウレタンの分子量を任意の大きさに設計することができる。
また、(c)予め、別途調整したウレタンポリマーをアクリル系モノマー中に溶解し、これを基材に塗工した後、低圧水銀ランプ等を用いて硬化させることにより、ウレタン−アクリル複合材料を得ることもできる。
【0020】
本発明に好ましく用いられるアクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、等を挙げることができる。これらのエステルと共に、マレイン酸、イタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマーや、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基を有するモノマーを用いることができる。
また、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、及びその誘導体、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、イミドアクリレート、N−ビニルピロリドン、オリゴエステルアクリレート、ε−カプロラクトンアクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロドデカトリエンアクリレート、メトキシエチルアクリレート等のモノマーを共重合してもよい。なお、これら共重合されるモノマーの種類や使用量は、複合フィルムの特性等を考慮して適宜決定される。
本発明においては、必要に応じて、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多官能モノマーを架橋剤として用いてもよい。これらのモノマーも、本発明に係るラジカル重合性モノマーに含まれる。
【0021】
これらのラジカル重合性モノマーは、ウレタンとの相溶性、放射線等の光硬化時の重合性や、得られる高分子量体の特性を考慮して、種類、組合せ、使用量等が適宜決定される。
【0022】
ウレタンポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる。イソシアネートとポリオールの水酸基との反応には、触媒を用いても良い。例えば、ジブチルすずジラウレート、オクトエ酸すず、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン等の、ウレタン反応において一般的に使用される触媒を用いることができる。
【0023】
ポリオールとしては、1分子中に2個またはそれ以上の水酸基を有するものが望ましい。低分子量のポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の2価のアルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の3価のアルコール、またはペンタエリスリトール等の4価のアルコール等が挙げられる。
また、高分子量のポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を付加重合して得られるポリエーテルポリオール、あるいは上述の2価のアルコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の2価の塩基酸との重縮合物からなるポリエステルポリオールや、アクリルポリオール、カーボネートポリオール、エポキシポリオール、カプロラクトンポリオール等が挙げられる。これらの中では、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが好ましい。アクリルポリオールとしてはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマーの共重合体の他、水酸基含有物とアクリル系モノマーとの共重合体等が挙げられる。エポキシポリオールとしてはアミン変性エポキシ樹脂等がある。
これらのポリオール類は単独あるいは併用して使用することができる。強度を必要とする場合には、トリオールによる架橋構造を導入したり、低分子量ジオールによるウレタンハードセグメント量を増加させると効果的である。伸びを重視する場合には、分子量の大きなジオールを単独で使用することが好ましい。また、ポリエーテルポリオールは、一般的に、安価で耐水性が良好であり、ポリエステルポリオールは、強度が高い。本発明においては、用途や目的に応じて、ポリオールの種類や量を自由に選択することができ、また、塗布するフィルムの特性、イソシアネートとの反応性、アクリルとの相溶性などの観点からもポリオールの種類、分子量や使用量を適宜選択することができる。
【0024】
ポリイソシアネートとしては芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネート、これらのジイソシアネートの二量体、三量体等が挙げられる。芳香族、脂肪族、脂環族のジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、これらの二量体、三量体や、ポリフェニルメタンポリイソシアネートが用いられる。三量体としては、イソシアヌレート型、ビューレット型、アロファネート型等が挙げられ、適宜、使用することができる。
これらのポリイソシアネート類は単独あるいは併用で使用することができる。ウレタン反応性、アクリルとの相溶性などの観点から、ポリイソシアネートの種類、組合せ等を適宜選択すればよい。
【0025】
本発明において、ウレタンポリマーを形成するためのポリオール成分とポリイソシアネート成分の使用量は特に限定されるものではないが、例えば、ポリオール成分の使用量は、ポリイソシアネート成分に対し、NCO/OH(当量比)が0.8以上であることが好ましく、0.8以上、3.0以下であることがさらに好ましい。NCO/OHが0.8未満では、ウレタンポリマーの分子鎖長を充分に延ばすことができず、フィルム強度や、伸びが低下しやすい。また、NCO/OHが3.0以下であれば、柔軟性を十分確保することができる。
【0026】
複合フィルムには、必要に応じて、通常使用される添加剤、例えば紫外線吸収剤、老化防止剤、充填剤、顔料、着色剤、難燃剤、帯電防止剤などを本発明の効果を阻害しない範囲内で添加することができる。これらの添加剤は、その種類に応じて通常の量で用いられる。これらの添加剤は、ポリイソシアネートとポリオールとの重合反応前に、あらかじめ加えておいてもよいし、ウレタンポリマーと反応性モノマーとを重合させる前に、添加してもよい。
また、塗工の粘度調整のため、少量の溶剤を加えてもよい。溶剤としては、通常使用される溶剤の中から適宜選択することができるが、例えば、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
【0027】
本発明においては、上述したように、例えば、ラジカル重合性モノマー中でポリオールとイソシアネートの反応を行い、ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとの混合物をフィルム1上に塗布し、光重合開始剤の種類等に応じて、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離性放射線や紫外線等の放射線、可視光等を照射することにより、光硬化して複合フィルムを形成することができる。
この際、酸素による重合阻害を避けるために、フィルム1上に塗布したウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとの混合物の上に、剥離処理したシートをのせて酸素を遮断してもよいし、不活性ガスを充填した容器内に基材を入れて、酸素濃度を下げてもよい。あるいは、上記混合物を塗布した上にフィルム2を載せて、放射線等を照射して複合フィルムを形成してもよい。
本発明において、放射線等の種類や照射に使用されるランプの種類等は適宜選択することができ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト、殺菌ランプ等の低圧ランプや、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ等の高圧ランプ等を用いることができる。
紫外線などの照射量は、要求されるフィルムの特性に応じて、任意に設定することができる。一般的には、紫外線の照射量は、100〜5,000mJ/cm2、好ましくは1,000〜4,000mJ/cm2、更に好ましくは2,000〜3,000mJ/cm2である。紫外線の照射量が100mJ/cm2より少ないと、十分な重合率が得られないことがあり、5,000mJ/cm2より多いと、劣化の原因となることがある。
また、紫外線照射する際の温度については特に限定があるわけではなく任意に設定することができるが、温度が高すぎると重合熱による停止反応が起こり易くなり、特性低下の原因となりやすいので、通常は70℃以下であり、好ましくは50℃以下であり、更に好ましくは30℃以下である。
【0028】
ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとを主成分とする混合物には、光重合開始剤が含まれる。光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル、アニソールメチルエーテル等の置換ベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等の置換アセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン等の置換アルファーケトール、2−ナフタレンスルフォニルクロライド等の芳香族スルフォニルクロライド、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシム等の光活性オキシムが好ましく用いられる。
本発明においては、分子内に水酸基を有する光重合開始剤を用いることが特に望ましい。ポリオールとポリイソシアネートを反応させてウレタンポリマーを形成する際に、分子内に水酸基を有する光重合開始剤を共存させることで、ウレタンポリマー中に光重合開始剤を採り込ませることができる。これにより、放射線を照射して硬化させるときにウレタン−アクリルのブロックポリマーを生成することができる。この効果によって伸びと強度を向上させることができるものと推定される。
【0029】
本発明の積層シートにおける複合フィルムとその他のフィルムの厚みは、目的等に応じて、適宜選択することができる。例えば、基材フィルムの厚さは曲げ弾性率を考慮して適宜決定されるが、通常、10〜300μmの範囲内であり、好ましくは30〜200μm程度である。また、複合フィルムの厚さも曲げ弾性率を考慮して適宜決定されるが、通常、10〜300μmの範囲内であり、好ましくは、50〜250μm程度である。
【0030】
本発明の積層体は、その一方の面上に粘着剤層を形成して粘着シートとすることができる。粘着剤層は、半導体ウエハ等の製品を加工する際には適度な粘着力を有して確実に保持することができ、加工後には製品等に負荷をかけずに容易に剥離することができるような粘着力が必要である。このため、加工後に剥離する時の180度ピール粘着力は0.01N/20mm〜1N/20mmの範囲である粘着剤層であることが好ましい。かかる粘着剤層を構成する粘着剤組成としては特に限定されず、半導体ウエハ等の接着固定に使用される公知の粘着剤等を使用することができ、例えば、天然ゴムやスチレン系共重合体等のゴム系ポリマーをベースポリマーとするゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等を使用することができる。これらの中では、半導体ウエハへの接着性、剥離後の半導体ウエハの超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の観点からは、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
【0031】
アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、へプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分とし、これらを重合して得られたアクリル系ポリマー等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/またはメタクリル酸エステルをいい、本発明において(メタ)の如く表示した場合には、全て同様の意味である。
【0032】
アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含むことができる。このようなモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェ−ト等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上を使用することができる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下であることが好ましい。
【0033】
さらに、アクリル系ポリマーには、架橋させるために、多官能性モノマー等を含むことができる。このような多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上を使用することができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下であることが好ましい。
【0034】
アクリル系ポリマーを形成するための重合方法としては、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方法でもよい。粘着剤層は半導体ウエハ等の製品の貼着面を汚さないように、低分子量物質の含有量が小さいものが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは30万以上、さらに好ましくは40万〜300万程度である。
【0035】
また、アクリル系ポリマー等の数平均分子量を高めるために、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等を添加してもよい。その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、ベースポリマー100重量部に対して、1〜5重量部程度配合することが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により、上記成分の他に、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
【0036】
本発明においては、粘着剤として放射線硬化型の粘着剤を用いることが好ましい。放射線硬化型の粘着剤は、例えば、粘着性物質に、放射線等を照射することによって硬化して低接着性物質を形成するオリゴマー成分を配合することにより得られる。放射線硬化型の粘着剤を用いて粘着剤層を形成すれば、シートの貼り付け時には、オリゴマー成分により粘着剤に塑性流動性が付与されるため容易に貼付することができ、シート剥離時には、放射線を照射すれば低接着性物質が形成されるため、半導体ウエハ等の製品から容易に剥離することができる。
【0037】
放射線硬化型粘着剤としては、分子内に炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを使用することができる。例えば、一般的な粘着剤に放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化型粘着剤や、ベースポリマーが、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖または主鎖中もしくは主鎖末端に有する内在型の放射線硬化型粘着剤等を使用することができる。なお、粘着剤層を硬化させるために使用される放射線としては、例えば、X線、電子線、紫外線等が挙げられ、取り扱いの容易さから紫外線を使用することが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
【0038】
添加型の放射線硬化型粘着剤を構成する一般的な粘着剤としては、上述のアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の感圧性粘着剤を使用することができる。
放射線硬化性の官能基を有するモノマーとしては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分としては、ウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等の種々のオリゴマーが挙げられ、その分子量が100〜30,000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性の官能基を有するモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば、5〜500重量部であることが好ましく、さらに好ましくは40〜150重量部程度である。
【0039】
内在型の放射線硬化型粘着剤は、低重合成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、または多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤中を移動する事態は生じず、安定した層構造の粘着剤層を形成することができる。
【0040】
内在型の放射線硬化型粘着剤においてはベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限されることなく使用することができる。このようなベースポリマーは、その基本骨格がアクリル系ポリマーであることが好ましい。ここで用いられるアクリル系ポリマーとしては、アクリル系粘着剤の説明において既に例示したアクリル系ポリマーと同一のものが挙げられる。
【0041】
基本骨格としてのアクリル系ポリマーへ、炭素−炭素二重結合を導入する方法としては、特に制限されず様々な方法を採用することができる。本発明においては、分子設計が容易になるので、炭素−炭素二重結合をアクリル系ポリマーの側鎖に導入して炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーを形成することが好ましい。具体的には、例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基と炭素−炭素二重結合とを有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合または付加反応させて、アクリル系ポリマーの側鎖に、炭素−炭素二重結合を導入することができる。
【0042】
アクリル系ポリマーに共重合されるモノマーの官能基と、この官能基と反応しうる官能基との組合せ例を以下に示す。例えば、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せの中でもヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが、反応追跡の容易さから好適である。また、これら官能基の組合せにおいて、いずれの官能基が基本骨格のアクリル系ポリマーの側にあってもよいが、例えばヒドロキシル基とイソシアネート基の組合せでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、官能基と反応しうる官能基を含む化合物がイソシアネート基を有することが好ましい。この場合、イソシアネート基を有する前記化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α、α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、官能基(ここでは、ヒドロキシル基)を有するアクリル系ポリマーとしては、既にアクリル系粘着剤の説明において例示したヒドロキシル基含有モノマーや、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル系化合物、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル系化合物、ジエチレングリコールモノビニルエーテル系化合物等をアクリル系ポリマーに共重合したものが挙げられる。
【0043】
内在型の放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーを単独で使用することができるが、特性を悪化させない範囲内で、上述した放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合してもよい。放射線硬化性のオリゴマー成分等の配合量は、通常、ベースポリマー100重量部に対して30重量部以下であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
【0044】
前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等によって硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば1〜10重量部、好ましくは3〜5重量部程度である。
【0045】
本発明において粘着剤層は、上述の粘着剤を必要に応じて溶剤等を使用し、中間層上に直接塗布することにより形成してもよいし、粘着剤を剥離ライナー等に塗布して、予め粘着剤層を形成してから、この粘着剤層を中間層に貼り合わせて形成してもよい。
また、粘着剤層の厚みについては、特に限定があるわけではなく任意に設定することができるが、通常は3〜100μmであることが好ましく、10〜30μmであることがさらに好ましい。
【0046】
本発明の加工用粘着シートは、例えば半導体ウエハ等の製品を加工する際の常法に従って用いられる。ここでは、半導体ウエハの裏面を研削加工する際に使用する例を示す。まず、テーブル上にIC回路等のパターン面が上になるように半導体ウエハを載置し、そのパターン面の上に、本発明の加工用粘着シートを、その粘着剤層が接するように重ね、圧着ロール等の押圧手段によって押圧しながら貼付する。あるいは、加圧可能な容器(例えばオートクレーブ)内に、上記のように半導体ウエハと粘着シートとを重ねたものを置いた後、容器内を加圧して半導体ウエハと粘着シートとを貼着してもよいし、これに押圧手段を併用してもよい。また、真空チャンバー内で半導体ウエハと粘着シートとを貼着してもよいし、粘着シートの基材の融点以下の温度で加熱することにより貼着してもよい。
【0047】
半導体ウエハの裏面研磨加工方法としては、通常の研削方法を採用することができる。例えば、上記のようにして粘着シートを貼着した半導体ウエハの裏面を、研磨するための加工機として研削機(バックグラインド)、CMP(Chemical Mechanical Polishing)用パッド等を用いて所望の厚さになるまで研削を行う。放射線硬化型の粘着剤を使用して粘着剤層を形成した粘着シートを用いた場合には、研削が終了した時点で放射線等を照射し、粘着剤層の粘着力を低下させてから剥離する。
【0048】
半導体ウエハに粘着シートを貼着して加工したり搬送したりする工程で、半導体ウエハは収納カセットに収納されるが、ウエハの反り量が10mm以上、又はウエハの撓み量が20mm以上になると、通常の収納カセットに収納することができなくなってしまう。したがって、ウエハの反り量は10mm未満であることが必要であり、5mm未満であることが好ましい。また、ウエハの撓み量は20mm未満であることが必要であり、10mm以下であることが好ましい。
【0049】
【実施例】
以下に実施例を用いて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部は重量部を意味する。
(実施例1)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸t−ブチル50.0部、アクリル酸30.0部、アクリル酸ブチル20.0部と、光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.1部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量650、三菱化学(株)製)73.4部と、ウレタン反応触媒として、ジブチルすずジラウレート0.05部とを投入し、攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート26.6部を滴下し、65℃で2時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、硬化後の厚みが100μmになるように塗布した。この上に、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm2、光量2100mJ/cm2)を照射して硬化させて、PETフィルム上に複合フィルムを形成し、積層シート(支持体)を得た。
次に、アクリル酸エチル78部と、アクリル酸ブチル100部と、アクリル酸2−ヒドロキシエチル40部とからなる配合物をトルエン溶液中で共重合させ、数平均分子量300,000のアクリル系共重合体ポリマーを得た。続いて、このアクリル系共重合体ポリマーに、43部の2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加反応させ、ポリマー分子内側鎖に炭素−炭素二重結合を導入した。このポリマー100部に対して、さらにポリイソシアネート系架橋剤1部、アセトフェノン系光重合開始剤3部を混合したものを、得られた支持体上に塗布して、厚さ30μmの粘着剤層を形成し、粘着シートを作成した。得られた粘着シートの曲げ弾性率は32.8N/mm2であった。
【0050】
(実施例2)
実施例1において作製したウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、硬化後の厚みが100μmになるように塗布した。この上から、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm2、光量2100mJ/cm2)を照射して硬化させて、PETフィルム上に複合フィルムを形成し、積層シート(支持体)を得た。
次に、実施例1と同様にして、厚さ30μmの粘着剤層を設けて加工用粘着シートを作成した。得られた粘着シートの曲げ弾性率は53.5N/mm2であった。
【0051】
(実施例3)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸t−ブチル50.0部、アクリロイルモルホリン30.0部と、アクリル酸20.0部と、多官能モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート1.0部と、光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.1部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量650、三菱化学(株)製)73.4部と、ウレタン反応触媒として、ジブチルすずジラウレート0.05部とを投入し、攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート26.6部を滴下し、65℃で2時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、厚さ75μmのPETフィルムの上に、硬化後の厚みが100μmになるように塗布した。この上に、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm2、光量2100mJ/cm2)を照射して硬化させて、複合フィルムを形成し、支持体を得た。
次に、実施例1と同様にして、厚さ30μmの粘着剤層を設けて加工用粘着シートを作成した。得られた粘着シートの曲げ弾性率は71.2N/mm2であった。
【0052】
(実施例4)
実施例3において作製したウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、硬化後の厚みが100μmになるように塗布した。この上から、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm2、光量2100mJ/cm2)を照射して硬化させて、PETフィルム上に複合フィルムを形成し、積層シート(支持体)を得た。
次に、実施例1と同様にして、厚さ30μmの粘着剤層を設けて加工用粘着シートを作成した。得られた粘着シートの曲げ弾性率は109.2N/mm2であった。
【0053】
(実施例5)
実施例3において作製したウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、硬化後の厚みが25μmになるように塗布した。この上に、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm2、光量2100mJ/cm2)を照射して硬化させて、PETフィルム上に複合フィルムを形成し、積層シート(支持体)を得た。
次に、実施例1と同様にして、厚さ30μmの粘着剤層を設けて加工用粘着シートを作成した。得られた粘着シートの曲げ弾性率は174.7N/mm2であった。
【0054】
(比較例1)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸t−ブチル50.0部、アクリロイルモルホリン30.0部、アクリル酸20.0部と、多官能モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート1.0部と、光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.1部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量650、三菱化学(株)製)73.4部と、ウレタン反応触媒として、ジブチルすずジラウレート0.05部とを投入し、攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート26.6部を滴下し、65℃で2時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、剥離処理したポリエチレンテレフタレートの剥離面上に、硬化後の厚みが200μmになるように塗布した。この上に、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm2、光量2100mJ/cm2)を照射して硬化させた後、剥離シートを剥離除去して複合フィルムの単層シートを得た。
次に、実施例1と同様にして、厚さ30μmの粘着剤層を設けて加工用粘着シートを作成した。得られた粘着シートの曲げ弾性率は5.0N/mm2であった。
【0055】
(比較例2)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、アクリル系モノマーとして、アクリル酸イソボルニル100.0部と、光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)0.1部と、ポリオールとして、ポリオキシテトラメチレングリコール(分子量650、三菱化学(株)製)73.4部と、ウレタン反応触媒として、ジブチルすずジラウレート0.05部とを投入し、攪拌しながら、キシリレンジイソシアネート26.6部を滴下し、65℃で2時間反応させて、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。なお、ポリイソシアネート成分とポリオール成分の使用量は、NCO/OH(当量比)=1.25であった。
ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を、剥離処理したPETフィルムの剥離処理面上に硬化後の厚みが200μmとなるように塗布した。この上に、高圧水銀ランプを用いて紫外線(照度163mW/cm2、光量2100mJ/cm2)を照射して硬化させた後、剥離フィルムを剥離除去して複合フィルムの単層シートを得た。
次に、実施例1と同様にして、厚さ30μmの粘着剤層を設けて加工用粘着シートを作成した。得られた粘着シートの曲げ弾性率は6.2N/mm2であった。
【0056】
(比較例3)
支持体として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。次に、実施例1と同様にして、厚さ30μmの粘着剤層を設けて加工用粘着シートを作成した。得られた粘着シートの曲げ弾性率は269.7N/mm2であった。
【0057】
(比較例4)
支持体として厚さ175μmのエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルムを用意した。次に、実施例1と同様にして、厚さ30μmの粘着剤層を設けて加工用粘着シートを作成した。得られた粘着シートの曲げ弾性率は10.5N/mm2であった。
【0058】
《評価試験》
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた粘着シートについて、ウエハを実際に研削加工して反り量、ウエハ破損、剥離性、及び水浸入の評価を行った。
すなわち、まず、厚さ625μmの8インチウエハを20枚用意し、これに得られた粘着シートを、日東精機(株)製の「DR−8500III」を用いて貼り合わせた後、ディスコ(株)製のシリコンウエハ研削機によって厚さ50μmになるまで研削を行った。これについて、下記に示す評価を行った。その結果を表1に示す。
(1)反り量の評価
厚さ50μmまで研削した粘着シート付きウエハを、平板上に粘着シート面を上にして静置した。平板を基点として、ウエハの高さが最大となる点間の距離を反り量として測定した。ただし、ウエハ20枚の測定値を平均した平均値で示す。
(2)ウエハ破損
研削中にシリコンウエハに割れが発生した枚数をカウントした。
(3)剥離性
ウエハの研削後、弱粘着性の粘着シートをウエハの裏面に貼り合せてウエハから加工処理用粘着シートを剥離除去した。この際に、ウエハに割れや欠けが生じた枚数を数えた。
(4)水浸入の有無
研削した後のシリコンウエハを、粘着シートから剥離して粘着シートを貼着していたシリコンウエハ面を、光学顕微鏡(倍率100倍と200倍の2種類)で観察した。シリコンウエハ20枚のうち1枚でも水の浸入が確認された場合には、水の浸入が「あり」と表示し、1枚も水の浸入が認められなかった場合には「なし」と表示した。
【0059】
【表1】
【0060】
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜5の粘着シートを使用して加工を行ったシリコンウエハは、反り量が5mm以下であり、一般に使用されている収納カセットに容易に収納することができて、搬送作業等に支障をきたしたり、ウエハに破損が生じたりすることはなかった。また、加工処理後に加工用粘着シートを除去した時に、1枚もシリコンウエハに割れや欠けは生じなかった。さらにまた、ウエハには1枚も水の浸入が認められず、かつ厚み50μmまで研磨加工しても1枚も割れが生じなかった。
一方、比較例1〜2及び比較例4の粘着シートを使用してシリコンウエハの薄膜加工を行った場合には、ウエハの反り量が10mm以上であり、搬送作業に支障が生じることがあった。比較例3及び比較例4の粘着シートを使用して薄膜加工を行った場合には、シリコンウエハが破損するものがあった。また、曲げ弾性率が250N/mm2より大きい比較例3の粘着シートを使用した場合には、水の浸入が確認され、粘着シートを剥離する際にウエハに破損が生じた。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体製品や光学系製品等の製品を加工する際に、製品の破損や汚染等を防ぎ、かつ製品に大きな撓みや反りを生じさせない粘着シート及びこの粘着シートの製造方法を提供することができる。例えば、半導体ウエハに本発明の粘着シートを貼着し、半導体ウエハを薄膜研磨しても破損することがない。また、粘着シートの残留応力によるウエハの反りを小さくすることができるので、搬送作業等に支障をきたすことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の実施形態の1つに係る加工用粘着シートの層構成を示す断面図である。
【図2】図2は、反発力を測定する方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 基材シート
2 複合フィルム
3 粘着剤層
4 支持体
5 加工用粘着シート
11 電子天秤
12 治具
13 支柱
14 押さえ板
Claims (7)
- 複合フィルムおよび基材フィルムを有する積層体である支持体の該複合フィルムの面に粘着剤層を有する加工用粘着シートであって、幅20mmの細長いシートを曲率半径3.0mmで曲げた時の曲げ弾性率が15N/mm2以上、250N/mm2以下であり、前記複合フィルムがウレタンポリマーとビニル系ポリマーとを有効成分として含有し、前記複合フィルムが、アクリル系モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成し、該ウレタンポリマーと該アクリル系モノマーとを含む混合物を、基材上に塗布し、放射線を照射して硬化させて、形成されることを特徴とする加工用粘着シート。
- 前記支持体が、前記複合フィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムとの積層体であることを特徴とする請求項1記載の加工用粘着シート。
- 前記ビニル系ポリマーがアクリル系ポリマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工用粘着シート。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の加工用粘着シートを、精密加工される製品に貼着して保持及び/又は保護した状態で精密加工することを特徴とする製品の加工方法。
- ウレタンポリマーとラジカル重合性モノマーとを含む混合物を、基材フィルムの上に塗布し、放射線を照射して硬化させることにより複合フィルムを形成し、該複合フィルム上に粘着剤層を形成することにより加工用粘着シートを製造することを特徴とする加工用粘着シートの製造方法。
- 前記混合物が、ラジカル重合性モノマー中で、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてウレタンポリマーを形成することにより製造されることを特徴とする請求項5記載の加工用粘着シートの製造方法。
- 前記ラジカル重合性モノマーがアクリル系モノマーであることを特徴とする請求項5または6記載の加工用粘着シートの製造方法。
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