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JP4723769B2 - 中空ラックバーの製造方法 - Google Patents

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JP4723769B2
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Yamanaka Engineering Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、ラックアンドピニオン式の舵取り装置に用いられる中空ラックバーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラックアンドピニオン式の舵取り装置では、自動車のハンドルに連結されるピニオンが回転し、それに伴いピニオンと噛み合うラックバーが車両幅方向に移動する結果、ラックバーの端部に連結された車輪の向きを変えて車両の操舵がなされる。自動車等の車両は近年の環境意識の高まり等から軽量化が常に望まれている。ラックバーについても軽量化のために中空ラックバーが採用されだしている。
【0003】
中空ラックバーの製造方法は、特開2000−317572号公報に開示されたように、ラック歯型を中空のワークの被加工部位に径方向から押しつけた後、数種類のマンドレルワークの中空空間に圧入することでその被加工部位をラック型に押圧し歯型を形成する方法がある。
【0004】
しかしながら、特開2000−317572号公報に開示された方法は、マンドレルを圧入するため1回当たりの加工量をマンドレルが座屈しない程度の量にとどめる必要が生じ、加工量を増やすためには徐々に外径が大きくなる複数のマンドレルを順番に圧入していく必要があり、加工性に問題があった。
【0005】
そこで、特開2001−58239号公報に開示されたように、盛り上がり部分からなる押圧部をもつマンドレルを略円筒形の中空パイプ状のワーク内に挿入する挿入工程と、そのワークをラック型で圧接する圧接工程と、そのマンドレルをワークから引き抜いて、マンドレルの押圧部をワークの軸方向に移動させることにより、ワークの被加工部位をラック型に押圧してラック歯形を成型する成型工程とを有する中空ラックバーの製造方法が提案された。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2001−58239号公報に開示された方法は、鍛造加工後に起こるスプリングバックによりラック歯の型転写性が良好でなかった。このために歯形精度(歯すじ誤差)が規格要求値を越えてしまう。製品規格を満たすためには、歯すじ面の凹を改善する必要がある。歯すじ面の凹を改善するために予め鍛造型を補正する方法があるが適正に補正することは技術的に困難である。
【0007】
そこで本発明の中空ラックバーの製造方法は、簡便に精度の高い中空ラックバーを製造する方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する目的で本発明者等は鋭意研究を行った結果、中空パイプ状のワークを側面からラック歯型で潰し加工を行うときの被加工部位の板厚が歯すじ面に発生する凹と関係することを見出した。すなわち、被加工部位の周方向中央付近が板厚が一番薄く両端部へ行くほど厚くなるので、ラック型による型鍛造でラック歯を形成するときに中央部は板厚が薄いためにラック歯の中央部付近の歯先部付近が欠肉傾向となり、ラック歯の成型時に被加工部位の両端部から中央部に向けて歯先部が形成されていく傾向があった。その結果、中央部は両端部に比べて板厚が薄いことで剛性が低いこと、充分ラック型内に材料が充填されないこと、そして歯底面ではワークの内径面とも近いことが相俟って、鍛造成型後のスプリングバックが局部的に発生する結果、歯すじ面の中央部が50μm程度の凹部を形成することを見出した。すなわち、歯すじ面に発生する凹の原因として被加工部位の周方向の中央部と両端部との板厚の差が問題であることが判明し、本知見に基づいて本発明を行った。なお、従来技術として解決課題が異なるものの類似する技術として予めワークの被加工部位の形状を平面状とする技術があるが(特開昭58−122147号公報、特開2000−238650号公報)、単に被加工部位を平面とするだけでは前述した肉厚の不均一の問題は解決されない。
【0009】
すなわち、本発明の中空ラックバーの製造方法は、盛り上がり部分からなる押圧部をもつマンドレルを略円筒形の中空パイプ状のワーク内に挿入する挿入工程と、該ワークをラック型で圧接する圧接工程と、該マンドレルを該ワークから引き抜いて、該マンドレルの該押圧部を該ワークの軸方向に移動させることにより、該ワークの被加工部位を該ラック型に押圧してラック歯形を成型する成型工程と、を有するワークにラック歯形を形成する中空ラックバーの製造方法であって、前記圧接工程の前に、前記ラック型が圧接される前記ワークの前記被加工部位の周方向中央部よりも両端部の断面の径方向を薄くする薄肉化工程を有し、前記薄肉化工程は、前記被加工部位の前記両端部を前記周方向中央部よりも金型押しつけ方向に凹ませる薄肉化金型の一対の押圧部で押圧して塑性変形させる工程であることを特徴とする。
【0010】
つまり、ラック歯を成型する前にラック歯が形成される被加工部位の両端部の金型押しつけ方向の板厚を周方向中央付近より薄くし、周方向中央付近と両端部付近との間の板厚の差を予め小さくすることで、両者の剛性の差を減少させ、局部的に発生するスプリングバックを抑制できたのである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の中空ラックバーの製造方法について詳細に説明する。本発明の中空ラックバーの製造方法は、挿入工程と圧接工程と成型工程とを有し、その圧接工程の前に、薄肉化工程を有する。
【0012】
薄肉化工程は、圧接工程の前に、ラック型が圧接されるワークの被加工部位の周方向中央部よりも両端部の断面の径方向を薄くする工程である。圧接工程の前に行うことで、ラック型がワークの被加工部位に圧接される前に薄肉化が完了し、その後の加工が良好となる。なお、「被加工部位」とは、後述する圧接工程及び成型工程においてラック型がワークにラック歯を形成する部分である。
【0013】
被加工部位を薄肉化する方法としては、相対的に被加工部位の周方向中央付近よりも両端部の径方向の厚みが薄くなれば、どのような方法を採用しても良い。なお、薄肉化といっても相対的なものであるので、被加工部位の周方向中央付近を増肉することで相対的に両端部の厚みを薄くすることも薄肉化に含まれる。具体的に好ましい薄肉化の方法としては、被加工部位の両端部を押圧して塑性変形させる方法である。この場合に単純に金型等で両端部を押圧して薄肉化しても良いが、ワークの内部を自由状態として押圧すると、両端部を押圧することで生起する逃げ部分がワーク内部に突出することがあるので、押圧による薄肉化を採用する場合には、内部にマンドレル等を予め挿入しておき、ワーク内部への逃げを防止する。この場合のマンドレルは、後述するマンドレルをそのまま用いても良いし、別個のマンドレル等を用いても良い。マンドレルを共用する場合には本工程は挿入工程と圧接工程との間に、マンドレルを共用しないときには本工程は挿入工程の前に行う。他の薄肉化の方法としては、被加工部位の両端部をワークの軸方向に切削する方法がある。
【0014】
挿入工程は、マンドレルを略円筒形の中空パイプ状のワーク内に挿入する工程である。マンドレルは盛り上がり部分からなる押圧部をもつ。押圧部が設けられる位置はマンドレルをワーク内に挿入したときに、ワークの被加工部を越えた位置である。たとえば、マンドレルの先端に押圧部を設けて、押圧部がワーク内の被加工部を越えて挿入される。押圧部は、後述する成型工程で、マンドレルを引き抜く際にワークに直接当接してワークの被加工部を塑性変形させる部分であるから、ワークに対する引き抜き抵抗が小さい形状とすることが好ましい。たとえば、紡錘形状等とする。
【0015】
圧接工程は、ワークをラック型で圧接する工程である。ワークの被加工部位にラック型を圧接することで、ある程度の歯形がワークの被加工部位に形成される。
【0016】
成型工程は、マンドレルをワークから引き抜いて、マンドレルの押圧部をワークの軸方向に移動させることにより、ワークの被加工部位をラック型に押圧してラック歯形を成型する工程である。マンドレルがワーク軸方向に移動するにつれて押圧部が被加工部位に塑性変形を生起させ、ラック型内を充填する。本工程は、前述の圧接工程と同時に行うこともできる。すなわち、ラック型をワークの被加工部位に圧接する(圧接工程)と同時に、マンドレルをワーク内から引き抜くことができる。マンドレルには引っ張り方向の応力が加わるのみであるので、押圧部の移動による加工量を比較的大きくしてもマンドレルの破損は生起しない。
【0017】
以上の構成をもつことから本発明の中空ラックバーの製造方法は以下の作用効果をもつ。まず、ワーク内部にマンドレルが挿入される(挿入工程)。その後、ワークの被加工部位の周方向の両端部を特に圧接する金型により、被加工部位を圧接すること、又は両端部の一部を切削等の機械的加工で除去することで両端部を中央部よりも薄肉化する(薄肉化工程)。
【0018】
そして、ラック型を被加工部位に圧接する(圧接工程)。このときに、ラック型は相対的に肉厚である中央付近からワークの被加工部位に当接する。その後、ワーク内からマンドレルを引き抜くことでマンドレルに設けられている押圧部がワーク内から被加工部位をラック型に向けて塑性変形させる(成型工程)。被加工部位の中央付近が肉厚であるのでラック型へは中央付近から充填が完了し、その後、相対的に薄肉化されている両端部に材料が流れていく。その結果、被加工部位の中央付近に充分な応力を加えることが可能となり、ラック型を外したときの局所的なスプリングバックを抑制することができ、意図しない凹部が歯すじ面に形成されることが防止できる。
【0019】
【実施例】
以下に、本発明の中空ラックバーの製造方法の実施の一形態を図1〜図11に基づいて詳細に説明する。図において同一符号は同一部分または相当部分とする。
【0020】
本実施例の中空ラックバーの製造方法を実現する装置は、中空パイプ状のワークWを位置決め保持するダイス1と、そのダイス1に位置決め保持されたワークWを固定するクランパ2と、ダイス1に位置決め保持・固定されたワークWを薄肉化する薄肉化金型T又は薄肉化金型Tと交換可能であるラック歯形をワークWに成型するラック型3と、薄肉化金型Tと共に用いられるマンドレルM又はワークWに対して軸方向に移動されることにより、該ワークWをラック型3に圧接してワークWにラック歯形を成型するマンドレル5と、薄肉化金型T又はラック型3を支持して、ダイス1に位置決め保持・固定されたワークWをその径方向にプレスするプレス手段(図略)と、ワークWに挿入されたマンドレルM、5をそのワークWから引き抜くように相対的に移動させるマンドレル移動手段6と、を備えている。
【0021】
そして、本装置は、プレス手段により薄肉化金型T又はラック型3をダイス1に位置決め保持・固定されたワークWの径方向にプレスすることによって薄肉化又は荒歯形を成型できる装置である。図1のように、薄肉化金型Tが配設されている場合には、薄肉化金型Tを圧接することにより、被加工部位Wrの周方向の両端部が薄肉化されるようになっている。また、図3のように、ラック型3が配設されているときには、ラック型3をワークWの被加工部位Wrに圧接した後に、マンドレル5の押圧部51をマンドレル移動手段6により引き抜き・移動させることで、荒歯形を成型されたワークWをラック型3に押圧することによりワークWに最終的なラック歯形を成型するように構成されている。さらに、本装置は、マンドレル移動手段6をプレス手段と連動して駆動させるように構成されている。さらにまた、本装置は、マンドレル移動手段6が、ワークWに成型するラック歯形に応じてマンドレル5を速度可変に移動させることができるように構成されている。
【0022】
ダイス1は、中空パイプ状のワークWの軸線Cから略下半分の外形と同様の断面に形成された溝10をラック型3に対する対向面に有するもので、この実施の形態の場合、プレス(図略)のベッドに取付けられている。この溝10のマンドレル5が引き抜き移動される側(図の右側)の端部には、ワークWの一方の端部の端面Waが当接されてその移動を阻止して位置決めする壁面10aと、この壁面10aに一方の端面Waが当接されたワークWに挿入されたマンドレル5をその軸方向に移動可能に挿通する挿通部10bとが形成されており、他方の側(図の左側)の端部は、異なる長さのワークWを位置決め保持し得るように、ワークWのダイス1からの他方の端部Wbの突出を許容する開放部10cが形成されている。
【0023】
クランパ2は、ダイス1に位置決め保持されたワークWの被加工部位Wrと開放部10cから突出する他方の端部Wbとの間を上方から押えて挟持することにより、ダイス1との間でワークWを固定するもので、例えば、窒素ガスなどの不活性ガスや圧縮空気などの圧力作動流体によって伸長・退縮駆動される流体圧シリンダのピストンロッド(図略)に支持されている。また、クランパ2は、図示は省略するが、プレスのラムに設けられ、ラック型3よりもダイス1に向かって突出させるように形成された、可撓性や弾性を備えたウレタンなどからなるクッションなどにより構成することもできる。
【0024】
薄肉化金型Tは、図2に示すような断面をもち、ワークWの被加工部位Wrの周方向の両端部を押圧し薄肉化する要素である。
【0025】
ラック型3(以下、パンチ3という)は、ワークWに成型するラック歯形と対称に形成されたラック歯31を有するもので、この実施の形態の場合、図示しないプレスのラムに取付けられている。パンチ3のラック歯31の圧力角や歯厚、ピッチなどは、製造する中空ラックバーのラック歯形によって異なるが、部分によって異ならることなく均等に形成することができる。また、例えば、中空ラックバーとして自動車のバリアブルステアリングラックバーを製造する場合には、被加工部位Wrの中央と端部とで圧力角や歯厚、ピッチなどを変化させるように、ラック歯31の圧力角やピッチなどを部分によって異ならせて形成することもできる。パンチ3は、ダイスに対する対向面に中空パイプ状のワークWの軸線Cから略上半分の形状と同様の断面に形成された溝30を有しており、この溝30内の中間にラック歯31が形成されている。すなわち、パンチ3のラック歯31が形成されていない部分の溝30は、ワークWにラック歯形を成型することなく、ダイス1の溝との間で単にワークWを保持するだけである。さらに、溝30の、ワークWのからマンドレル5が移動される側の端部には、ダイス1と同様に、ワークWの端部Waが当接されてその移動を阻止する壁面30aと、ワークWに挿入されたマンドレル5をその軸方向に移動可能に挿通する挿通部30bとが形成されている。
【0026】
なお、本実施例では、この薄肉化金型Tとパンチ3とは取り替え自在な型であるが、薄肉化金型T及びパンチ3のそれぞれのために専用の装置を用意して薄肉化工程とその他の工程とを分離することも可能である。その場合でも構成は大きく変わらない。
【0027】
マンドレル5は、図3〜図6に示すように、パンチ3によりプレスされるワークWを支持してラック歯形を成型する部分の内側形状を決定付けるように形成された平面50aを有する軸部50が、少なくともワークWのマンドレル5が挿入される端部Waから被加工部位Wrの反対側端部までに相当する長さの部分に形成されている。また、マンドレル5のワークWに挿入される先端には、後述するように、引き抜かれるように軸方向に移動された際に、荒歯形が成型されたワークWの内側を押圧し最終的なラック歯形が成型させるようにワークWの肉をラック型3のラック歯31間に流動させる押圧部51が形成されている。さらに、マンドレル5の押圧部51とは反対側の端部には、マンドレル移動手段6に係合される係合部52が形成されている。
【0028】
マンドレル5の押圧部51は、図7および図8に示すように、ワークWの内側と接して押圧する圧接平面51aを有するもので、押圧部51の圧接平面51aまでの高さが軸部50の平面50aまでの高さよりも所定量だけ高くなるように形成されている。また、押圧部51の断面の大きさも軸部50の断面の大きさよりも所定量だけ大きく形成されている。そして、この押圧部51と軸部50との間には、押圧部51よりも断面形状が小さい軸部50から連続するように傾斜する傾斜面51bが全周にわたって形成されている。また、マンドレル5の押圧部51よりもさらに先端側には、押圧部51よりもわずかに断面積が小さく形成された逃げ部53を有しており、この逃げ部53と押圧部51との間には、両者を連続するように緩やかに傾斜する傾斜面51cが全周にわたって形成されている。なお、本発明では、マンドレル5が引き抜くように移動されるために座屈するおそれがないので、押圧部51の圧接平面51aまでの高さと軸部50の平面50aまでの高さとの比を従来の技術よりも大きくすることができる。
【0029】
マンドレルMは押圧部51を有しない点と、被加工部位Wrに挿入される部位の径がマンドレル5の押圧部51が挿入できる程度に大きい点の他は、ほぼマンドレル5と同様の構成をもつ。
【0030】
マンドレル移動手段6は、一対のカム部材61,62により構成されてなるもので、一方のカム部材61にはマンドレルMの係合部(図略)又はマンドレル5の係合部52が係合されており、他方のカム部材62にはプレスのノックアウト機構(図略)に接続されている。ノックアウト機構は、例えば、プレスが油圧プレスである場合に、カム部材62と接続されるピストンロッドを備えたノックアウトシリンダにより構成され、さらに、ノックアウトシリンダはそのピストンロッドの駆動速度を、製造する中空ラックバーの成型しようとするラック歯形の圧力角や歯厚、ピッチなどに応じて適切にワークWの肉をフィルアップすることができるように、各ストロークごとはもちろんのこと一ストロークのなかでも、制御可能に変化させることができるように構成されている。そして、両カム部材61,62のカム面61a,62aは、プレスのラムが下降されてパンチ3がワークWに荒歯形を成型した後に、互いに押圧して一方のカム部材61に係合されたマンドレルM、5をワークWから引き抜く方向に移動させるように形成されている(図6の矢印Xを参照)。なお、図3〜図5においては、両カム部材61,62のカム面61a,62aが互いに離間した状態で示されている。しかしながら、これらの図は、特にワークWに荒歯形を成型した後にマンドレル5をワークWから引き抜く方向に移動させることを説明するために示したものであり、両カム部材61,62のカム面61a,62aが互いに接するように構成することもできる。
【0031】
なお、この実施例では、一般的なプレスのベッドにダイス1を取付け、ラムにパンチ3を取付け、ノックアウト機構にマンドレル移動手段6を接続した。すなわち、本発明はこの実施の形態に限定されることはないが、一般的なプレスに適用させることができる。また、本発明のマンドレル移動手段6は、プレスのノックアウト機構を利用する一対のカム部材61,62を用いることにより、ワークWに対してパンチ3をプレスする力と連動してマンドレル5を引き抜くように移動させることができるが、マンドレル5を引き抜くように移動させて圧接工程を行わせることができるものであれば、すなわち、ワークWに荒歯形を成型した後にマンドレル5をワークWから引き抜く方向に移動させることができるものであれば、例えば、マンドレルを直接移動駆動する流体圧シリンダなど(図略)、他の手法を用いることもできる。
【0032】
本実施例の中空ラックバーの製造方法を、上述したように構成されたプレスに適用された製造装置を用いて説明する。本製造方法は、マンドレル5をワークW内に挿入する挿入工程と、ワークWをラック型3で圧接する圧接工程と、マンドレル5をワークWから引き抜いて、マンドレル5の押圧部51をワークWの軸方向に移動させることにより、ワークWの被加工部位Wrをラック型3に押圧してラック歯形を成型する成型工程と、を有するワークにラック歯形を形成する中空ラックバーの製造方法であって、圧接工程の前に、ワークWの被加工部位Wrの周方向中央部よりも両端部の断面の径方向を薄くする薄肉化工程を有することを特徴とする。
【0033】
薄肉化工程は、図1に示すように、ワークW内にマンドレルMを挿入した後に、薄肉化金型Tで被加工部位Wrをプレスして、ワークWの被加工部位Wrを図2の破線で示す断面形状とする。薄肉化されたワークWの被加工部位Wrは、図2、11に示すように、中央付近Wcよりも両端部Wsの径方向の厚みが小さくなっている。薄肉化工程を行った後に、薄肉化金型Tをパンチ3に変更するか、又はパンチ3が配設されている装置にワークWを移動させる。
【0034】
中空パイプ状のワークWにラック歯形を成型するに際しては、当初、図3に示すように、ダイス1からクランパ2およびパンチ3が離間された状態とされている。ワークWには、マンドレル5の軸部50の平面50aや押圧部51との摩擦を低減させるための潤滑処理として燐酸塩被膜処理あるいは金属石けん被膜を形成する処理が施されている。
【0035】
この状態で、最初に、ワークWを、その端面Waがダイス1の溝10の壁面10aに当接されるようにして、溝10に位置決め保持させると共に、このワークW内にマンドレル5の先端を、その押圧部51がワークWの被加工部位Wrを通り過ぎるように深く挿入する(挿入工程)。ワークWに挿入されたマンドレル5は、ダイス1に形成された挿通部10bにその軸方向に移動可能に挿通され、その係合部52が一方のカム部材61に係合されている。なお、ダイス1の溝10にワークWを位置決め保持してからこのワークWにマンドレル5を挿入してもよく、また、ワークWにマンドレル5を挿入してからこのワークWをダイス1の溝10に位置決め保持してもよい。
【0036】
この状態から、図4に示すように、図示しない流体圧シリンダのピストンロッドを伸長駆動し、あるいは、プレスのラムを下降させることにより、クランパ2を下降させてワークWを上方から押えてダイス1との間で挟持して、移動不能に固定する。次いで、プレスのラムを駆動下降させワークWに対してその径方向にパンチ3のラック歯31を圧接する(圧接工程工程)。このとき、ワークWの被加工部位Wrは、マンドレル5の軸部50にバックアップされた状態でパンチ3によりプレスされるものの、パンチ3のラック歯31に対してワークWの肉がフィルアップされていない状態、すなわち、荒歯形がプレス成型されているだけである(図9および図10の右方におけるラック歯31間のワークの状態を参照)。そして、ワークWの、パンチ3のラック歯31とマンドレル5の軸部51との間で被加工部位Wrの内径の断面形状の高さは、マンドレル5の軸部51の平面51aの高さと同じに、すなわち、マンドレル5の押圧部51の圧接平面51aの高さよりも低くなるように成型される。この圧接工程において、パンチ3のラック歯31がワークWに対して荒歯形を成形するためのプレス力は、次に説明する成型工程が完了するまで保持される。
【0037】
その後、プレス力が保持された状態で、図示しないノックアウトシリンダの駆動により、カム部材62を図6に矢印Yで示すようにカム部材61に対して相対的に移動させると、カム面61a,62aが互いに押圧され、図6に矢印Xで示したように、カム部材61が図の右方に摺動移動される。このとき、ワークWがダイス1とパンチ3に形成された溝10,30に位置決め保持されており、ワークWの端部Waが溝10,30の壁面10a,30aに当接されているために、ワークWの軸方向の移動が阻止されている。したがって、一方のカム部材61に係合されたマンドレル5が座屈することなく挿入されたワークWから引き抜かれるようにワークWに対して軸方向に相対的に移動される。そして、パンチ3のラック歯31がプレスされマンドレル5の軸部50との間で荒歯形が成型されたワークWは、マンドレル5の軸部50から傾斜面51bを介して連続する押圧部51の圧接平面51aが通過することにより、パンチ3のラック歯31に対して圧接・塑性変形され、その部分の肉がラック歯31の間にフィルアップされて最終的なラック歯形が成型される(成型工程)。このときに、被加工部位Wrの周方向両端部の径方向の厚みを薄肉化工程によって予め中央付近の径方向の厚みよりも薄くしてあるので、材料の流れはラック型3の中央付近から両端部へと流れることとなる。その結果、局所的なスプリングバックの発生が抑制されて、最終的に被加工部位Wrに形成されるラック歯の歯すじ面は、ラック型3の形状が精度良く転写される。
【0038】
なお、一回の加工サイクルでパンチのラック歯31に対するワークWの肉のフィルアップが不足する場合には、異なる高さの圧接平面51aが形成された押圧部51を有するマンドレル5を用意し、パンチ3のラック歯31のワークに対するプレスのストローク量を段階的に増加させるようにプレスの下死点位置を変更すると共に、プレスのストローク量に応じた高さの圧接平面51aが形成された押圧部51を有するマンドレル5に順次交換し、圧接工程と成型工程とを繰り返し行うこともできる。本製造方法では、マンドレル5を引き抜くように移動させるために座屈するおそれがないので、押圧部51の圧接平面51aまでの高さと軸部50の平面50aまでの高さとの比を従来の技術と比べて大きくすることができる。したがって、従来の技術と比べて、1回の加工工程における加工量が多いため、圧接工程と成型工程とを繰り返し行う回数を減少させる事ができる。
【0039】
また、図9に示すように、圧力角や歯厚、ピッチが均等な歯形を成型する場合には、これらラック歯形の圧力角や歯厚、ピッチなどと対応して形成された各ラック歯31に対して適切にワークWの肉が径方向および軸方向に移動するようにマンドレル5を移動させるべく、ノックアウトシリンダを一ストロークのなかでほぼ均等な速度Vとなるように制御する。
【0040】
一方、図10に示すように、自動車のバリアブルステアリングラックバーのように成型するラック歯形の圧力角や歯厚、ピッチなどが部分によって変化するような場合には、これらラック歯形の圧力角や歯厚、ピッチなどと対応して形成されたラック歯31に対して適切にワークWの肉が径方向および軸方向に移動する(フィルアップする)量を変化させることができるようにマンドレル5の移動速度を変化させるべく、ノックアウトシリンダの一ストロークにおける駆動速度をV1,V2・・・と変化させて制御する。これにより、パンチ3のラック歯31にかかる負荷を低減させるよう調整することができ、したがってパンチ(ラック型)3の寿命を向上させることができる。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の中空ラックバーの製造方法は、薄肉化工程を設けたことにより、局部的に発生するスプリングバックを抑制でき、簡便に精度の高い中空ラックバーを製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における薄肉化工程の前の状態を示した断面図である。
【図2】実施例における薄肉化工程で用いられる薄肉化金型の一部断面図である。
【図3】実施例における挿入工程を行った直後の状態を示した断面図である。
【図4】実施例における圧接工程の前の状態を示した断面図である。
【図5】実施例における圧接工程を行っている状態を示した断面図である。
【図6】実施例における成型工程を行っている状態を示した断面図である。
【図7】実施例における圧接工程及び成型工程でワーク内に挿入されているマンドレルの先端の構造を示す部分拡大図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【図9】実施例における成型工程でマンドレルの押圧部がワークの被加工部位を押圧してラック型内にフィルアップしている状態を示した断面図である。
【図10】実施例における成型工程でマンドレルの押圧部がワークの被加工部位を押圧してラック型内にフィルアップしている状態を示した断面図である。
【図11】実施例におけるワークの薄肉化工程により薄肉化された被加工部位付近の部分拡大図である。
【符号の説明】
W…ワーク Wr…被加工部位
1…ダイス
2…クランパ
T…薄肉化金型
3…ラック型
M、5…マンドレル 51…押圧部
6…マンドレル移動手段

Claims (2)

  1. 盛り上がり部分からなる押圧部をもつマンドレルを略円筒形の中空パイプ状のワーク内に挿入する挿入工程と、
    該ワークをラック型で圧接する圧接工程と、
    該マンドレルを該ワークから引き抜いて、該マンドレルの該押圧部を該ワークの軸方向に移動させることにより、該ワークの被加工部位を該ラック型に押圧してラック歯形を成型する成型工程と、を有するワークにラック歯形を形成する中空ラックバーの製造方法であって、
    前記圧接工程の前に、前記ラック型が圧接される前記ワークの前記被加工部位の周方向中央部よりも両端部の断面の径方向を薄くする薄肉化工程を有し、
    前記薄肉化工程は、前記被加工部位の前記両端部を前記周方向中央部よりも金型押しつけ方向に凹ませる薄肉化金型の一対の押圧部で押圧して塑性変形させる工程であることを特徴とする中空ラックバーの製造方法。
  2. 盛り上がり部分からなる押圧部をもつマンドレルを略円筒形の中空パイプ状のワーク内に挿入する挿入工程と、
    該ワークをラック型で圧接する圧接工程と、
    該マンドレルを該ワークから引き抜いて、該マンドレルの該押圧部を該ワークの軸方向に移動させることにより、該ワークの被加工部位を該ラック型に押圧してラック歯形を成型する成型工程と、を有するワークにラック歯形を形成する中空ラックバーの製造方法であって、
    前記圧接工程の前に、前記ラック型が圧接される前記ワークの前記被加工部位の周方向中央部よりも両端部の断面の径方向を薄くする薄肉化工程を有し、
    前記薄肉化工程は、前記被加工部位の前記両端部を前記ワークの軸方向に切削する工程であることを特徴とする中空ラックバーの製造方法。
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