JP4712150B2 - 耐熱安定性に優れた芳香族ポリカーボネート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は耐熱安定性に優れたポリカーボネートに関し、詳しくは1H−NMRスペクトル中に特定の積分強度を有する特定シグナルを有する、熱分解による機械強度低下の少ない、肉薄品への溶融成型加工に好適なポリカーボネートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネートは機械強度や色相、透明性に優れたエンジニアリングプラスチックである。近年その用途は多岐にわたり様々な成型品への加工がなされているが、特に優れた機械強度を持つことからディスク基盤や電化製品ハウジングといった肉薄体の材料として多く使用されている。
【0003】
ポリカーボネートの成形加工は主に溶融成形によって行われる。その際、ポリカーボネートは溶融粘度が高いために溶融流動性、成形性が低く、特に肉薄品への溶融成型加工は通常250〜400℃の高温で行われている。しかし一般に、かかる高温ではポリカーボネートに熱分解が生じやすくなり、その結果、成形品の機械強度が低下するなどの品質劣化がおこることが従来より問題となっている。そのため、溶融成形品の機械強度を低下させないよう、特に溶融成形時の温度領域における熱分解に対し安定なポリカーボネートの開発が望まれている。
【0004】
ポリカーボネートの耐熱安定性を向上させる方法として、耐熱安定剤をポリマーに混入する方法が従来より知られている。しかしながら、耐熱安定剤を混入したポリカーボネートは剤の影響で色相や透明性、機械強度といったポリカーボネートの特性に悪影響を及ぼすことや、製造工程やコスト増などの欠点が指摘される。
【0005】
また、ポリカーボネートの耐熱安定性に対し末端水酸基が悪影響を及ぼすことは、例えば特許公開公報61−87724、87725号公報に指摘されている通りである。ポリマー製造プロセスの特徴上、分子中に末端水酸基が本質的に多く存在する溶融重合法、あるいは固相重合法においては、とりわけ熱意をもってポリカーボネート末端のOH基を減少せしめる方法が各種提案されているが、OH末端基の減少には限界があることもまたよく知られている。
【0006】
このような背景から、簡便、安価に製造するために耐熱安定剤を特に加えたり、OH末端基減少のための方法を特に講じることなしに、熱分解に対し安定な、特に肉薄品への溶融成型加工に好適な、従来に比べて簡便、安価に製造されるポリカーボネートの開発が強く望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は耐熱安定剤を特に加えることなしに、溶融成形時の温度領域における熱分解に対し安定であり、肉薄品への溶融成型加工に好適なポリカーボネートを開発することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、重クロロホルムを溶媒として測定される1H−NMRスペクトル中でδ=2.14〜2.17ppm、δ=3.46〜3.49ppm、δ=3.62〜3.69ppm、およびδ=5.42〜5.46ppmの4つの範囲に検出されるシグナルの積分強度の合計が、該スペクトル中でδ=1.50〜2.00ppmの範囲に検出されるメチル基に由来するシグナルの積分強度に対し、0.01〜2.0%であるポリカーボネートが、特に、溶融成型時の温度領域における熱分解に対し安定であり、特に肉薄品への溶融成型加工に好適であることを見出し本発明にいたった。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明におけるポリカーボネートは、平均分子量が10000〜100000であり、主たる繰り返し構造が下記式(1)
【0010】
【化2】
【0011】
で表される。
【0012】
本発明におけるポリカーボネートは良好な耐熱安定性をもつために、重クロロホルムを溶媒として測定される1H−NMRスペクトル中において、(A)δ=2.14〜2.17ppm、(B)δ=3.46〜3.49ppm、(C)δ=3.62〜3.69ppmおよび(D)δ=5.42〜5.46ppmの4つの範囲に検出されるシグナルの積分強度の合計が、該スペクトル中でδ=1.50〜2.00ppmの範囲に検出される、ポリマーの繰り返し単位構造中のメチル基に由来するシグナル(基準シグナル)の積分強度に対し、0.01〜2.0%であることを特徴とする。
【0013】
上記(A)〜(D)の範囲に検出されるシグナルがどのような化学構造に由来するかについては不明であるが、1H−NMRスペクトルの特定シグナルについて特定の積分強度を有するポリカーボネートは、特に溶融成形時の温度領域における熱分解に対する安定性が増加し、溶融成形によって得られる成形品は良好な機械強度をもつということを見出した。
【0014】
さらには上記(A)〜(D)の範囲に検出されるシグナルの積分強度の合計が、基準シグナルの積分強度に対し、0.01〜1%、とりわけ0.01〜0.8%であることが、好ましい。
【0015】
上記(A)〜(D)の範囲に検出されるシグナルの積分強度の合計が、基準シグナルの積分強度に対し0.01%に満たない場合や2%を超える場合は上記の耐熱安定性の効果が十分に得られない。
【0016】
また本発明において1H−NMRスペクトルのシグナルは、(A)δ=2.14〜2.17ppm、(B)δ=3.46〜3.49ppm、(C)δ=3.62〜3.69ppmおよび(D)δ=5.42〜5.46ppmの4つ全てのNMRスペクトル範囲に検出される必要はなく、(A)〜(D)のうち少なくとも1つの範囲に検出されればよい。また(A)〜(D)の積分強度の合計がδ=1.50〜2.00ppmの範囲に検出されるメチル基に由来するのシグナルの積分強度に対し上記の範囲であれば、ポリカーボネートが優れた耐熱性をもつに十分な効果がある。
【0017】
本発明におけるポリカーボネートの特徴である特定成分は、5000回以上の積算測定を行ったNMRスペクトルで検出ならびに定量するができる。積算回数が多いほど該スペクトルのシグナル/ノイズ比(S/N比)は大きくなり、試料中の微小成分がより明確に検出され、とり正確に定量できることは従来より周知の事実であり、例えば積算回数5000回におけるS/N比は、50回に比べて約10倍となることが知られている。
【0018】
本発明においては、積算回数を5000回以上とし、S/N比を十分高くすることで、従来得られていたNMRスペクトルにおいて、ノイズと区別できなかった微小成分を新たに発見するに至った。さらに、該成分について定量比較基準であるメチル基のシグナル強度に対して10-2%のオーダーで定量することによって、由来する化学構造は不明ながらも、それらの含有量とポリカーボネートの耐熱安定性を向上させる効果との間に上述の関係があることを見出し、その効果をNMRスペクトル中のシグナル積分強度比によって規定した。従って本発明におけるNMRスペクトルの測定は積算回数が5000回に満たない場合、微小成分とノイズが判別できず、あるいは十分な定量ができないため好ましくない。
【0019】
本発明におけるポリカーボネートはいかなる方法で製造してもよく、例えば炭酸エステル形成性化合物としてホスゲンを用いる溶液法(ホスゲン法)や、炭酸エステル形成性化合物として炭酸ジエステルを用いる溶融法や固相重合法でもよい。このなかで、有害なハロゲン化物を使用しないという利点から炭酸ジエステルを用いる溶融法や固相重合法が好ましく、さらに本発明における特定成分を含有するポリカーボネートを簡便に得るためには溶融法がより好ましい。
【0020】
溶融法によるポリカーボネートの製造は、常圧およびまたは減圧窒素雰囲気下で芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを加熱しながら攪拌して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させることで行われる。
【0021】
溶融法による本発明のポリカーボネートの製造は、例えば、炭酸ジエステル成分としてジフェニルカーボネートを用いる、あるいはジフェニルカーボネートとジ(2−アルコキシカルボニルフェニル)カーボネートを混合したものとを用いて、2,2―ビス(4―ヒドロキシフェニル)プロパン(以下ビスフェノールAと略す)と溶融混合し、重合反応させることにより製造することができる。
【0022】
例えば、反応の第一段階には、160〜300℃、好ましくは180〜280℃の温度で、0.2〜3時間、好ましくは0.5〜2時間、さらに好ましくは0.6〜1.5時間、減圧下、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とを反応させ、次いで反応系の真空度を高めながら反応温度を高めてジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物との反応を行い、最終的には反応器内の内部圧力10-5〜0.001mmHgで温度290〜330℃で10分〜60分間重合反応させることにより本発明のポリカーボネートを製造することができる。
【0023】
すなわち、溶融法によってポリカーボネートを製造する際の反応後期の反応温度は、本発明における1H−NMRスペクトルの特定シグナルについて特定の積分強度を有するポリカーボネートを好適に得るために好ましくは290〜330℃と通常よりもやや高い温度範囲にすることが有効である。
【0024】
また、反応後期には系を減圧にして生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。本発明における1H−NMRスペクトルの特定シグナルについて特定の積分強度を有するポリカーボネートを好適に得るために反応器内の内部圧力は好ましくは0.001mmHg以下と、通常よりも真空度をあげることが効果的である。
【0025】
このように290〜330℃と通常よりも高い温度範囲で、さらに反応器内の内部圧力0.001mmHg以下と通常よりも高い真空度で、10分〜60分間重合反応させることにより本発明の1H−NMRスペクトルの特定シグナルについて特定の積分強度を有するポリカーボネートを好ましく製造することができる。
【0026】
本発明で使用する炭酸ジエステルとしては例えばジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート、ビス(2−クロロフェニル)カーボネート、m−クレシルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(4−フェニルフェニル)カーボネート、等が挙げられる。
【0027】
其の他、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等も所望により使用できることは当然である。
【0028】
なかでもジフェニルカーボネートが、反応性、得られる樹脂の着色に対する安定性、さらにはコスト面から好ましいものとして挙げられる。
【0029】
炭酸ジエステル成分としてジフェニルカーボネートとジ(2−アルコキシカルボニルフェニル)カーボネートのようなジフェニルカーボネートにアルコキシカルボニルが置換した化合物をを混合したものとを用いると、化学反応の詳細は不明であるが、本発明の1H−NMRスペクトルの特定シグナルについて特定の積分強度を有するポリカーボネートを好適に得ることができる。
【0030】
好適なジ(2−アルコキシカルボニルフェニル)カーボネートの具体例としては、ジ(2−メトキシカルボニル−フェニル)カーボネート、ジ(2−エトキシカルボニル−フェニル)カーボネートなどが挙げられる。
【0031】
かかる炭酸ジエステルとビスフェノールAとを、公知の方法で反応せしめることにより(1)式であらわされ繰り返し単位構造を有するポリカーボネートを製造することができる。
【0032】
また、ポリカーボネートの耐熱安定性に対し末端水酸基が悪影響を及ぼすことは、例えば特許公開公報61−87724、87725号公報に指摘されている通りである。ポリマー製造プロセスの特徴上、分子中に末端水酸基が本質的に多く存在する溶融重合法、あるいは固相重合法においては、とりわけ熱意をもってポリカーボネート末端のOH基を減少せしめる方法が各種提案されているが、OH末端基の減少には限界があることもまたよく知られている。
【0033】
これに対し、本発明におけるポリカーボネートは、1H−NMRスペクトルのシグナルについて特定の化学シフトおよび積分強度をもつ構造成分をもつことにより、とりわけ末端OH基濃度を極端に減少させなくても、良好な耐熱安定性を有する。
【0034】
さらに本発明の目的を達成する好ましい実施態様においては、上記ポリカーボネートにおいて、末端水酸基が少なくともポリマー1トンあたり100化学当量以下にすることにより好ましく実施することができるが、さらに好ましくは80化学当量以下、さらに好ましくは3〜60化学当量、特に好ましくは5〜50化学当量であることが好ましい。(OH末端基は少ないほど好ましいが、目的分子量のポリカーボネートにおいて、工業的技術水準でOH末端基をポリマー1トンあたり5化学当量以下にするのは困難である。)
【0035】
OH末端基濃度を上記範囲内にするには、ホスゲン法においては分子量調節剤として使用される末端封止剤により必然的に上記範囲内に収まるが、反応プロセスの特徴上、OH末端基が多く生成する溶融重合法、あるいは固相重合法においては、特別のOH末端基減少策を講じる必要がある。
例えば、重合原料仕込みモル比制御法;重合反応仕込み時の炭酸ジエステル/芳香族ジヒドロキシ化合物モル比を高めることにより、例えば重合反応装置の特徴を考え1.03〜1.10の間に設定し重合を行う。あるいは、重合反応終了時点において例えば、USP 5696222号記載の方法に従い、サリチル酸エステル系化合物によりOH末端基を封止することにより達成される。
【0036】
サリチル酸エステル系化合物の使用量は封止反応前の末端OH基、1化学当量あたり0.8〜10モル、より好ましくは0.8〜5モル、特に好ましくは0.9〜2モルの範囲である。かかる量比で添加することにより、末端OH基の80%以上を好適に封止することができる。また、本封止反応を行うとき、上記特許記載の触媒を使用するのが好ましい。
【0037】
これらサリチル酸エステルとしては具体的には2−メトキシカルボニルフェニル−フェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルー2’−メチルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルー4’−エチルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニル−3’−ブチルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニル−4’−ドデシルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニル−4’−ヘキサデシルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニル−2’、4’−ジブチルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルージノニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニル−シクロヘキシルフェニルカーボネート、
2−メトキシカルボニルフェニル−ビフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニル−クミルフェニルカーボネートなどが挙げられる。
【0038】
本発明において重合速度を速めるために重合触媒を使用することができ、重合触媒としてはアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカリ金属やアルカリ土類金属のアルコキシド、アルカリ金属やアルカリ土類金属の有機酸塩、第4級アンモニウム塩などの含窒素塩基性化合物、第4級ホスホニウム塩などの含リン塩基性化合物等の、通常エステル化反応やエステル交換反応に使用される触媒があげられる。
【0039】
触媒は単独で用いてもまたは二種以上併用してもよい。なかでも色相や熱安定性または重合速度が大きい点から、(i)アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物、および(ii)含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物を組み合わせた触媒が好ましい。
【0040】
触媒として本発明に使用されるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物としては、たとえばアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の水酸化物、炭化水素化合物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シアン酸塩チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化硼素塩、安息香酸塩、燐酸水素化物、ビスフェノール、フェノールの塩等が挙げられる。
【0041】
具体例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ルビジウム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸ルビジウム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カリウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジカリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAのジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、モノナトリウム塩、モノカリウム塩、ナトリウムカリウム塩、ナトリウムリチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙げられる。
【0042】
又触媒として含窒素塩基性化合物、及びまたは含りん塩基性化合物を併用するのが好ましい。
【0043】
これらのうち含窒素塩基性化合物の具体例としてはたとえばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するアンモニウムヒドロキシド類、
テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムフェノキシド、テトラブチルアンモニウム炭酸塩、ベンジルトリメチルアンモニウム安息香酸塩、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムエトキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する塩基性アンモニウム塩、
トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシルジメチルアミンなどの第三級アミン、あるいはテトラメチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート、テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレートなどの塩基性塩などを挙げることができる。
【0044】
また含リン塩基性化合物の具体例としてはたとえばテトラメチルホスホニウムヒドロキシド、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルホスホニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルホスホニウムヒドロキシドなどのアルキル、アリール、アルキルアリール基などを有するホスホニウムヒドロキシド類、あるいはテトラメチルホスホニウムボロハイドライド、テトラブチルホスホニウムボロハイドライド、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラメチルホスホニウムテトラフェニルボレートなどの塩基性塩などを挙げることができる。
【0045】
本発明におけるこれらの重合触媒の使用量は特定成分の含有量を特定範囲にするために、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の場合は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対する化学当量が、1×10-7〜1×10-5当量の範囲で選ばれ、また、含窒素塩基性化合物およびまたは含リン塩基性化合物の場合は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対する化学当量が5×10-5〜1×10-3当量の範囲で選ばれる。
【0046】
ここで本願明細書に言うアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物の当量は、触媒1分子中に含まれるアルカリ金属元素又はアルカリ土類金属元素の価数の総和と触媒のモル数との積を意味し、触媒1分子中にアルカリ金属元素(1価)が1つ含まれる場合には、触媒1モルは触媒1当量に等しくなり、アルカリ土類金属元素(2価)が1つ含まれる場合には、触媒1モルは触媒2当量に等しくなる。また、触媒1分子中にアルカリ金属元素(1価)が2つ含まれる場合には触媒1モルは触媒2当量に等しくなる。
【0047】
該触媒の使用量が上記の範囲に満たない場合、得られるポリカーボネートの諸物性に悪影響及ぼしたり、またエステル交換反応が十分に進行せず、所望の分子量のポリカーボネートが得られない等の問題があり、好ましくない。また、触媒使用量が上記の範囲を超える場合も、特定成分の含有量が特定範囲を超えるため好ましくない。
【0048】
本発明においては、薄肉な溶融成型に好適なポリカーボネートを得るために、重合後の溶融粘度不安定性を0.5%以下のものが好ましく使用されるが、ポリカーボネートの溶融粘度安定性を0.5%以下にするためには、重縮合反応後、より好ましくは、末端封止反応終了後のポリカーボネートに対し溶融粘度安定化剤を特定量を添加すること等により達成しうる。溶融粘度安定性の劣ったポリカーボネートにおいては、成形加工時の安定性不良に加えて、高湿条件化および成型品の長期使用時の機械的物性の安定性不良とりわけ耐衝撃性の低下が著しく、実用性に耐えないものとなってしまう。
【0049】
ここで溶融粘度安定性は、窒素雰囲気下、せん断速度1rad/sec、300℃で30分間測定した溶融粘度の変化の絶対値で評価し、1分間あたりの変化率で表す。
【0050】
本発明における溶融粘度安定化剤とは、ポリカーボネート製造時に使用する重合触媒の活性の一部または全部を失活させるものである。
【0051】
溶融粘度安定化剤を添加する方法としては、例えば、反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある間に添加してもよいし、一旦ポリカーボネートをペレタイズした後、再溶解し添加しても良い。前者においては、反応槽内または押し出し機内の反応生成物であるポリカーボネートが溶融状態にある間に添加してもよいし、また重合後得られたポリカーボネートが反応槽から押し出し機を通ってペレタイズされる間に、不活性化剤を添加して混練することもできる。
【0052】
溶融粘度安定化剤としては、公知のいかなる剤も使用できるが、例えば、
オクチルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラメチルホスホニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラヘキシルホスホニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラオクチルホスホニウム塩、デシルスルホン酸テトラメチルアンモニウム塩、ベンゼンスルホン酸テトラエチルアンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩、
ベンゼンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼンスルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベンゼンスルホン酸フェニル、p−トルエンスルホン酸メチル、p−トルエンスルホン酸エチル、p−トルエンスルホン酸ブチル、p−トルエンスルホン酸オクチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、ドデシルスルホン酸メチル、ヘキサデシルスルホン酸エチル、ノニルスルホン酸プロピル、デシルスルホン酸ブチル、等が例示される。
【0053】
なかでも得られるポリカーボネートの色相や耐熱性、耐沸水性などの物性の向上に対する効果が大きい点から、有機スルホン酸の塩、有機スルホン酸エステル、有機スルホン酸無水物、有機スルホン酸ベタインなどのスルホン酸化合物、なかでもスルホン酸のホスホニウム塩および/またはスルホン酸のアンモニウム塩を使用することが好ましい。そのなかでも特に、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩やp−トルエンスルホン酸テトラブチルアンモニウム塩などが好ましい例として挙げられる。
【0054】
上記の方法により本発明の耐熱安定性に優れたポリカーボネートが得られるが、これを用いて各種成型品を成型する場合に用途に応じて従来公知の加工安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、離型剤、着色剤などを添加してもよい。しかしながら、本発明におけるポリカーボネート組成物を測定して得られるNMRスペクトルにおいて、上記のごとく規定した化学シフトの範囲δ=2.14〜2.17ppm、δ=3.46〜3.49ppm、δ=3.62〜3.69ppm、およびδ=5.42〜5.46ppmの4つの範囲に検出されるシグナルが上記添加剤に由来する場合は、その添加剤が本来持つ耐熱安定性に対する効果を除き、本発明における耐熱安定性を向上させる効果には関係ない。
【0055】
また、本発明のポリカーボネートの分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸、およびこれらのエステル等が挙げられ、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、4,4’トリメチルホスフェートおよびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いても良い。かかる熱安定剤の配合量は、本発明のポリカーボネート100重量部に対して0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.1重量部がさらに好ましい。
【0056】
また、本発明のポリカーボネートには溶融成型時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。かかる離型剤としては、オレフィン系ワックス、カルボキシル基及び/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、パラフィンワックス、蜜蝋等が挙げられる。かかる離型剤の配合量は、本発明のポリカーボネート100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましい。
【0057】
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであるのが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、グリセリンモノステアレート、グリセリンステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。かかる離型剤の配合量は、本発明のポリカーボネート100重量部に対し、0.01〜5重量部が好ましい。
【0058】
本発明で規定するこれらの添加剤また本発明のポリカーボネートは、前記の各添加成分を任意の方法、例えばタンブラー、ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押し出し機等により混合して製造することができる。
【0059】
本発明で製造されるポリカーボネートはいかなる用途に使用してもよく、特にCDやDVD−RAMなどの光ディスク基盤材料として好適に用いることができる。
【0060】
【実施例】
以下に実施例をあげて更に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例によって製造したポリカーボネートの試験方法は以下の方法によった。
【0061】
1)1H−NMR測定
ポリカーボネート組成物の20mgを、内部標準としてテトラメチルシランを0.3%含む0.5mlの重クロロホルムに溶解し、溶液を日本電子(株)社製JEOLNM−270を用いて1H−NMRを10000回積算測定し、A成分;δ=2.14〜2.17ppm、B成分;δ=3.62〜3.69ppm、C成分;δ=3.46〜3.49ppm、D成分;δ=5.42〜5.46ppmの4つの特定範囲に検出されるシグナルの積分強度を測定し、該スペクトル中でδ=1.50〜2.00ppmの範囲に検出されるポリカーボネート主鎖中メチル基に由来するシグナルの積分強度に対する比を求めた。
【0062】
2) 成型片の作成条件(成型性評価)と耐熱試験
製造例において製造された各ポリカーボネート組成物をASTM−D638に準拠した破断伸び試験片、厚さ3mm、Φ50mmの円形平板、および厚さ5mm、長さ120mmX幅12mmの長方形平板の連結した成型品を成型する金型を用い、名機(株)製DM−50B射出成型機により、シリンダー温度380℃で成型した(成型板−ア)。このとき100ショット連続成型し、そのうちポリマー脆弱により離型不良となったショット数が0〜5ショットであれば成型性良好であり、6ショット以上であれば成型性不良であると評価した。また、同射出成型機シリンダー内でシリンダー温度380℃、10分間保持した後、成型板−アと同様の方法で成型板を作成した(成型板−イ)。
【0063】
3)耐熱試験前後の破断伸び変化
成型した破断伸び試験片の破断伸びを準拠規格ASTM−D638によって評価した。また、試験片は1検体について10個用意し、23℃±2℃、50±5%RHのもとで50時間状態調節をした後、これと同じ雰囲気で測定を行い、平均値によって評価した。破断伸びの数値が高いほど成型品は高強度であり、耐熱処理の前後(成型板−ア、イ)の破断伸びの保持率(R);
R=E2/E1 X 100(%)
E1:成型板−アの破断伸び
E2:成型板−イの破断伸び
が小さいほどポリマーの耐熱性は良好であり、破断伸び保持率;Rが50%以上であれば熱による機械強度の安定性は良好であると評価した。
【0064】
[製造例1]
ポリカーボネートの製造方法は以下のように行った。攪拌装置、精留塔および減圧装置を備えた反応槽に、原料としてビスフェノールAを137重量部、およびジフェニルカーボネートを67重量部、ジ(2−メトキシカルボニル−フェニル)カーボネートを85重量部、重合触媒としてビスフェノールAのジナトリウム塩2×10-4重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5×10-3重量部を仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
【0065】
攪拌下、反応槽内を80mmHgに減圧し、生成するフェノールを溜去しながら10分間反応させた。次に220℃に昇温した後徐々に減圧し、フェノールを溜去しながら20mmHgで10分間反応させた。さらに徐々に昇温し240℃で10分間、280℃で20分間反応させ、その後徐々に減圧し10mmHgで10分間、0.1mmHgで10分間反応を続行し、最終的に300℃/10-4mmHgで重合反応を継続し重合反応装置の攪拌電力より判断し、ポリカーボネートの粘度平均分子量が15300になった時点で、ポリマーの一部を採取し粘度平均分子量を測定しつつ粘度平均分子量15300の樹脂を製造した。
その後、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を2×10-3重量部を加え、同温、同圧で10分間攪拌し、ペレット化した。
【0066】
[製造例2]
製造例1で製造されたポリカーボネートに安定剤としてトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.005重量部と、離型剤としてグリセリンモノステアレートを0.01重量部添加し、ベント式二軸押出し機によりシリンダー温度240℃で脱気しながら溶融混練し、ペレット化した。
【0067】
[製造例3]
製造例1で用いたものと同様の反応槽に、原料としてビスフェノールAを137重量部、およびジ(2−メトキシカルボニル−フェニル)カーボネートを170重量部、重合触媒としてビスフェノールAのジナトリウム塩2×10-4重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5×10-3重量部を仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
【0068】
攪拌下、反応槽内を30mmHgに減圧し、生成するフェノールを溜去しながら5分間反応させた。次に220℃に昇温した後徐々に減圧し、フェノールを溜去しながら5mmHgで5分間反応させた。さらに徐々に昇温し280℃で20分間反応させ、その後徐々に減圧し0.1mmHgで10分間反応を続行し、最終的に300℃/10-4mmHgで重合反応を継続し重合反応装置の攪拌電力より判断し、ポリカーボネートの粘度平均分子量が15300になった時点で、ポリマーの一部を採取し粘度平均分子量を測定しつつ粘度平均分子量15300の樹脂を製造した。
その後、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を2×10-3重量部を加え、300℃/10−4mmHgで10分間攪拌した。該ポリカーボネートに製造例2と同様に同種、同量の安定剤、離型剤を添加し、溶融混練によってペレット化した。
【0069】
[製造例4]
製造例1で用いたものと同様の反応槽に、原料としてビスフェノールAを137重量部、およびジフェニルカーボネートを135重量部、重合触媒としてビスフェノールAのジナトリウム塩2×10-4重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5×10-3重量部を仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
【0070】
攪拌下、反応槽内を80mmHgに減圧し、生成するフェノールを溜去しながら20分間反応させた。次に220℃に昇温した後徐々に減圧し、フェノールを溜去しながら20mmHgで20分間反応させた。さらに徐々に昇温し240℃で20分間、280℃で20分間反応させ、その後徐々に減圧し10mmHgで10分間、0.1mmHgで20分間反応を続行し、最終的に300℃/10-4mmHgで重合反応を継続し重合反応装置の攪拌電力より判断し、ポリカーボネートの粘度平均分子量が15300になった時点で、ポリマーの一部を採取し粘度平均分子量を測定しつつ粘度平均分子量15300の樹脂を製造した。
その後、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を2×10-3重量部を加え、同温、同圧で10分間攪拌した。該ポリカーボネートに製造例2と同様に同種、同量の安定剤、離型剤を添加し、溶融混練によってペレット化した。
【0071】
[比較製造例1]
ホスゲン吹き込み管、温度計及び攪拌装置を備えた反応槽に、ビスフェノールA、503重量部、7.2%水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウムとして168重量部)及びハイドロサルファイトナトリウム1重量部を仕込んで溶解し、攪拌下、塩化メチレン1680重量部及び48.5%水酸化ナトリウム水溶液(80重量部;水酸化ナトリウムとして39重量部)を加えた後、ホスゲン251重量部を25℃において180分間かけて加え、ホスゲン化反応を行った。
【0072】
ホスゲン化終了後パラ−t−ブチルフェノール17.5重量部、及び48.5%水酸化ナトリウム80重量部(水酸化ナトリウムとして39重量部)及び触媒としてトリエチルアミン131重量部を加え、33℃に保持し2時間攪拌して反応を終了させた。反応混合液より塩化メチレン層を分離し、水洗を5回繰り返し精製し、粘度平均分子量15300のポリカーボネートを得た。
【0073】
[比較製造例2]
比較製造例1で得られたポリマーに製造例2と同様に同種、同量の安定剤、離型剤を添加し、溶融混練によってペレット化した。
【0074】
[比較製造例3]
製造例1で用いたものと同様の反応槽に、原料としてビスフェノールAを137重量部、およびジ(2−メトキシカルボニル−フェニル)カーボネートを170重量部、重合触媒としてビスフェノールAのジナトリウム塩2×10-4重量部、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5×10-3重量部を仕込んで窒素雰囲気下180℃で溶融した。
【0075】
攪拌下、反応槽内を80mmHgに減圧し、生成するフェノールを溜去しながら5分間反応させた。次に220℃に昇温した後徐々に減圧し、フェノールを溜去しながら20mmHgで10分間反応させた。さらに徐々に昇温し240℃で10分間、280℃で20分間反応させ、その後徐々に減圧し10mmHgで10分間反応を続行し、最終的に300℃/5mmHgで重合反応を継続し重合反応装置の攪拌電力より判断し、ポリカーボネートの粘度平均分子量が15300になった時点で、ポリマーの一部を採取し粘度平均分子量を測定しつつ粘度平均分子量15300の樹脂を製造した。
その後、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩を2×10-3重量部を加え、同温、同圧で10分間攪拌した。該ポリカーボネートに製造例2と同様に同種、同量の安定剤、離型剤を添加し、溶融混練によってペレット化した。
【0076】
以上のようにして得られた製造例1〜3、比較製造例1〜2のポリカーボネートについて1H−NMR測定し、A成分;δ=2.14〜2.17ppm、B成分;δ=3.62〜3.69ppm、C成分;δ=3.46〜3.49ppm、D成分;δ=5.42〜5.46ppmの4つの特定範囲に検出されるシグナルの積分強度を測定し、該スペクトル中でδ=1.50〜2.00ppmの範囲に検出されるポリマー主鎖中メチル基のシグナルの積分強度に対する比、および耐熱処理前後の破断伸びの測定結果を以下の表1にまとめた。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】
本発明のように、ポリカーボネートについて1H−NMRスペクトルの特定のシグナルについて特定の積分強度を有することにより耐熱安定性が向上し、該ポリカーボネートを溶融成形したときに得られる成形品が優れた機械強度をもつことは実施例より明らかである。
Claims (3)
- 主たる繰り返し単位が下記式(1)
- 該重合触媒が、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して(i)1×10-7〜1×10-5当量のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属化合物、かつ(ii)5×10-5〜1×10-3当量の含窒素塩基性化合物および/または含リン塩基性化合物からなることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート。
- 重合後の溶融粘度安定性が0.5%以下であり、かつポリマー1トンあたりの末端OH基量が100化学当量以下である請求項1または2に記載のポリカーボネート。
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