以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1におけるキャパシタユニットの回路基板の一部分解斜視図であり、(a)は回路基板全体の斜視図を、(b)はキャパシタ接続ピンの第1例の斜視図を、(c)はキャパシタ接続ピンの第2例の斜視図を、(d)はキャパシタ接続ピンの第3例の斜視図をそれぞれ示す。図2は本発明の実施の形態1におけるキャパシタユニットの製造方法の回路基板裏面への防湿剤形成方法を示す斜視図である。図3は本発明の実施の形態1におけるキャパシタユニットの製造方法の回路基板表面への防湿剤形成方法を示す一部断面図であり、(a)は防湿剤形成前の回路基板の側面図を、(b)は防湿剤槽への回路基板の浸漬状態図を、(c)は防湿剤付着不可部品への防湿剤形成時の回路基板の側面図をそれぞれ示す。図4は本発明の実施の形態1におけるキャパシタユニットの一例の一部分解斜視図であり、(a)はベース部への回路基板挿入方法を示す斜視図を、(b)は回路基板、およびベース部へのキャパシタ実装方法を示す斜視図をそれぞれ示す。図5は本発明の実施の形態1におけるキャパシタユニットの他例の一部分解斜視図であり、(a)は2本のリード線の長さが異なる場合の一部分解斜視図を、(b)は2ヶ所のキャパシタ接続部分を有するキャパシタ接続ピンの斜視図を、(c)は2ヶ所のキャパシタ接続部分を有するキャパシタ接続ピンを用いた場合の一部分解斜視図をそれぞれ示す。図6は本発明の実施の形態1におけるキャパシタユニットの全体の分解斜視図である。図7は本発明の実施の形態1におけるキャパシタユニットのケースの断面図である。
なお、各図において、従来例の図15と同じ構成要素については同じ符号を用いて説明する。
図1(a)において、回路基板3には後述するキャパシタ1の数量(本実施の形態1では6個とした)の2倍の本数である12本のキャパシタ接続ピン11がキャパシタ接続ピン穴11aに垂直方向に挿入固定される。ここで、キャパシタ接続ピン11の詳細構造について図1(b)、(c)を参照しながら説明する。
キャパシタ接続ピン11は銅製で、例えば図1(b)に示す形状に加工されている。銅製とすることにより加工性が良好となるので、プレス等により容易に形成でき生産性が向上する。また、比抵抗が小さいので、キャパシタ接続ピン11の長さ分だけリード線2(芯材が鉄製で比抵抗が銅の約6倍大きい)を短くすることにより、各キャパシタ1の内部抵抗を低減することも可能となる。なお、キャパシタ接続ピン11の表面は腐食を防止し信頼性を高めるために、錫等のメッキ層が形成されていてもよい。
キャパシタ接続ピン11の上部はキャパシタ1のリード線2を接続するキャパシタ接続部分11bが形成されている。キャパシタ接続部分11bはリード線2の長さ方向(図1(b)では右側から見た方向)に対し断面がU字形状となるように加工してある。なお、これはV字形状でもよい。キャパシタ接続部分11bをこのような形状とすることで、リード線2をキャパシタ接続部分11bに接続しやすくなるため、生産性が向上する。
また、キャパシタ接続部分11bの底部には貫通孔であるリード線穴4が設けられている。ここに後述する曲げ加工、および切断加工を施されたリード線2の先端が挿入される。リード線2の先端は所定の長さ(ここでは確実にリード線2を挿入できるようにリード線穴4の長さより若干長くした)で切断されているため、リード線2の先端はキャパシタ接続部分11bに確実に固定され、両者のハンダ付けによる接続がしやすくなる。その結果、さらに生産性が向上する。
キャパシタ接続部分11bの下端には回路基板挿入部分11cが形成されている。回路基板挿入部分11cの大きさは、回路基板3に形成したキャパシタ接続ピン穴11aより小さい寸法としているが、そのままでは回路基板挿入部分11cをキャパシタ接続ピン穴11aに挿入すると、キャパシタ接続ピン11が自由に動いてしまい、キャパシタ接続部分11bをリード線2の方向に固定することができなくなる可能性がある。そこで、回路基板挿入部分11cには一部に凸部分11dが設けられている。さらに、凸部分11dの上端から、回路基板3の厚さと略等しい間隔tを高さ方向(図1(b)では上方向)に設けた位置にキャパシタ接続ピン段差11eが形成してある。これらにより、回路基板挿入部分11cをキャパシタ接続ピン穴11aに挿入すると、回路基板3は凸部分11dとキャパシタ接続ピン段差11eに挟み込まれる状態となる。従って、キャパシタ接続ピン11は一度挿入すれば自由に動けなくなる。
これらのことから、所定の本数のキャパシタ接続ピン11を、キャパシタ接続部分11bがリード線2の方向を向くように固定した冶具で順次、あるいは一度にキャパシタ接続ピン穴11aに挿入することにより、キャパシタ接続ピン11の方向が揃った状態で回路基板3に固定できる。さらに、キャパシタ接続部分11bがキャパシタ1を保持部分5で保持した時のリード線2の先端と対応する位置になるように回路基板3にキャパシタ接続ピン穴11aを設けてキャパシタ接続ピン11を実装している。これらのことから、後述するキャパシタ1の取り付け工程で、リード線2がキャパシタ接続部分11bの上端部等に当接することなくリード線穴4に挿入され、生産性が向上する。
なお、キャパシタ接続ピン11の回路基板挿入部分11cとキャパシタ接続部分11bを除く中間部分11fの高さは、キャパシタ1を後述する保持部分5に挿入固定した際の、回路基板3の表面からリード線2までの高さと略等しくしている。これにより、キャパシタ1を保持部分5に固定した際にリード線2の先端はちょうどキャパシタ接続部分11bに至るので、比抵抗の高いリード線2の長さを最短にできる。
また、キャパシタ接続ピン11の中間部分11fには屈曲部分11gを設けた。これは図1(b)のような「く」の字状でも、U字状でもよい。これにより、キャパシタ接続ピン11のキャパシタ接続ピン穴11aへの挿入方向を容易に決定できるため、生産性が向上する。さらに、屈曲部分11gにより車両からの振動や温度変化によるリード線2やキャパシタ接続ピン11への応力を吸収できるので、高信頼性も同時に得られる。
なお、図1(c)に示すように、段差11eには段差テーパー部分11hを設けてもよい。これにより、キャパシタ接続ピン穴11aの直径と回路基板挿入部分11cの公差があっても、キャパシタ接続ピン11は段差テーパー部分11hにより常にキャパシタ接続ピン穴11aの中心に挿入できるので、リード線2とキャパシタ接続部分11bの位置ずれを低減でき、さらに生産性が向上する。
また、図1(d)に示すように、段差11eとして中間部分11fの一部に切り起こし部分11iを設けてもよい。これにより、キャパシタ接続ピン11を回路基板3のキャパシタ接続ピン穴11aに挿入した際に、2ヶ所の切り起こし部分11iが回路基板3に当接するので、図1(b)、(c)のキャパシタ接続ピン11に比べ傾く可能性を低減できる。その結果、リード線2との接続がさらに容易になり、生産性が向上する。
ここで、図1(d)に示すように、凸部分11dは屈曲部分11gと同様に「く」の字状等の曲げ加工を行ってもよい。これにより、凸部分11dの形成が容易になる。この場合、切り起こし部分11iと凸部分11dの間隔は、図1(d)に示す位置において回路基板3の厚さtと略等しくなるようにする。
次に、図1(a)に戻って、キャパシタ接続ピン11以外の回路基板3への実装部品について説明する。キャパシタ1は前記したように防湿剤形成後に実装するので、それ以外の回路部品、例えば充放電回路や状態検出回路等のキャパシタ1を電気的に制御する回路部品があらかじめハンダ付け実装されている。そのうち、FET等の発熱部品12はヒートシンク13に取り付けられた状態で実装されている。これにより発熱部品12の発熱を抑制している。なお、ヒートシンク13は回路基板3に対し図示しないネジで固定されている。
また、図1(a)に示すように回路基板3の左側の端部にはコネクタ14(1組のオスコネクタ、およびメスコネクタのいずれか一方)が実装されている。これは、回路基板3の端部で、キャパシタ1の長さ方向の延長上(図1(a)では左辺上)に実装されていることになる。また、コネクタ14の端子は図1(a)において、回路基板3の左側となるように実装している。これは、端子が回路基板3のケース23(後述する)への挿入方向となるように実装されていることになる。コネクタ14は回路基板3に対し図示しないネジによっても一部固定されている。これら以外の回路部品は図1(a)では描画を省略している。
さらに、回路基板3には後述するベース部18の回路基板固定部分19に固定するために2ヶ所の回路基板ネジ穴6が設けられるとともに、回路基板ネジ穴6の近傍に2ヶ所の位置決め凹部3aが設けられている。これは、回路基板固定部分19に一体形成した位置決め突起19aと対応する位置に設けられている。これにより、回路基板3を回路基板固定部分19に固定する際に、位置決め突起19aが位置決め凹部3aに挿入される。その結果、回路基板ネジ穴6と後述するベース部ネジ穴22の位置が一致するので、ネジ締めが極めて容易になり、生産性が向上する。
なお、回路部品の中には電解コンデンサやコネクタ14等のように防湿剤が付着すると破損や接触不良を起こすものがあり、また、発熱部品12とヒートシンク13の界面に防湿剤が侵入すると発熱部品12からヒートシンク13への熱伝導が不十分となり、発熱部品12が劣化、破損してしまう。そこで、これらの防湿剤付着不可部品は回路基板3の任意の一辺(図1(a)では回路基板3の左辺)の端部近傍に配置、実装している。さらに、本実施の形態1では防湿剤付着不可部品を回路基板3の片面(図1(a)では表面)のみに実装している。これらの理由は後述する。
キャパシタ1以外の回路部品がハンダ付けやネジ止めにより所定の位置に実装された後は、回路基板3の両面のハンダ付け部分に防湿剤を形成する。以下にその製造方法について図2を参照しながら説明する。
まず、図2の上図に示すように冶具用コネクタ14a(コネクタ14に対応する他方のコネクタ)をコネクタ14と嵌合する。冶具用コネクタ14aには固定冶具15が接続されており、さらに回路基板3の移動手段(図示せず)に取り付けられている。従って、1組のコネクタ(コネクタ14と冶具用コネクタ14a)を嵌合することで回路基板3を保持、移動することが可能となる。回路基板3にコネクタ14と冶具用コネクタ14aを嵌合した状態を図2の上図に示す。
次に、本実施の形態1では上記したように防湿剤付着不可部品が回路基板3の片面(図2では表面)のみに実装される構成であるので、まず先に冶具用コネクタ14aを介して固定冶具15に接続された移動手段により回路基板3が水平になるように保持し、移動手段で回路基板3を図2の下方へ移動させ、防湿剤付着不可部品が実装されない面側(図2では裏面)の回路基板3の全面のみを防湿剤槽16の中に貯蔵した防湿剤17の液面に付着させる。この際、回路基板3の表面まで防湿剤17の液面が至らないように移動手段で正確に移動させる。
次に、移動手段により回路基板3を図2の上方に移動させ、回路基板3の裏面に付着した防湿剤17を硬化させる。これにより、回路基板3の裏面全体に防湿剤17を形成しておくことができる。
次に、回路基板3の表面への防湿剤17の形成方法について図3を参照しながら説明する。まず、図3(a)に示すように、移動手段(図示せず)によって固定冶具15を介し回路基板3を水平方向から時計回りに回転させ傾ける。これにより、防湿剤付着不可部品が上側になるように回路基板3が保持されたことになる。
この状態で図3(b)に示すように、移動手段により回路基板3を下方に移動し、防湿剤付着不可部品の直近(図3(a)の一点鎖線で示した範囲)まで回路基板3を防湿剤17中に浸漬する。この際、回路基板3の防湿剤付着不可部品まで防湿剤17の液面が至らないように移動手段で正確に移動させる。
その後、移動手段により回路基板3を図3(b)の上方に移動させる。その後、例えば従来のように図3の回路基板3の左辺にディスペンサで防湿剤17を塗布して、防湿剤付着不可部品のハンダ付け部分に別途形成してもよいが、ここでは次の方法で防湿剤17を防湿剤付着不可部品のハンダ付け部分に形成している。
図3(b)で回路基板3が防湿剤17の液面から十分離れたら、すぐに図3(c)に示すように回路基板3を防湿剤付着不可部品側(図3(c)の左側)に傾ける。具体的には移動手段により回路基板3を反時計方向に回転させる。その結果、防湿剤17中に浸漬された部分(図3(a)の一点鎖線で示した範囲)に既に付着している防湿剤17が重力により図3(c)の矢印で示した方向、すなわち、防湿剤付着不可部品のハンダ付け部分に流れていく。これにより、防湿剤付着不可部品のハンダ付け部分に防湿剤17を形成できる。
この時、防湿剤17が防湿剤付着不可部品のハンダ付け部分に流れていく距離は、従来の回路基板3の表面周囲にディスペンサで防湿剤17を塗布してから様々な角度、方向に傾ける場合の距離に比べて極めて短く、また一辺(本実施の形態1では回路基板3の左辺)に対してのみ傾ければよいので、生産性が向上する上、防湿剤17の厚みムラが非常に少なくなり、均一な膜状の防湿剤17を形成できる。
なお、コネクタ14に冶具用コネクタ14aを嵌合して防湿剤17を付着する構成としたので、図3(c)のように回路基板3を傾けることで流れてきた防湿剤17が万一コネクタ14の内部に侵入しても、コネクタ14の端子は冶具用コネクタ14aで保護されていることになり、防湿剤17の端子への付着による接触不良等の故障を防止することができる。
このように移動手段を用いて回路基板3を移動させ、回路基板3への防湿剤17の形成動作(防湿剤17の付着、浸漬動作や、回路基板3の傾き、上下動作など)を行うことにより、これらの動作を正確、かつ自動的に行うことができ、生産性、および歩留まりが非常に向上する。従って、これらの工程上の理由により、防湿剤付着不可部品を回路基板3の一辺の端部、かつ片面のみに実装している。
防湿剤付着不可部品も含め全てのハンダ付け部分に防湿剤17が付着したら、裏面の時と同様に硬化させることにより防湿剤17を回路基板3の両面全体に形成することができる。
このような防湿剤17の形成方法によって、回路基板3の両面に防湿剤付着不可部品のハンダ付け部分も含め極めて容易に、かつ均一な厚さに防湿剤17を形成できるので、生産性が向上すると同時に、耐湿性に対する信頼性も向上する。
以上の製造方法により、回路基板3が完成したので、次に回路基板3のベース部18への取り付け、およびキャパシタ1の実装について図4を参照しながら説明する。
完成した回路基板3は図4(a)に示すようにベース部18に取り付けられる。ここで、ベース部18について詳細を説明する。ベース部18は樹脂を射出成型して形成され、キャパシタ1の保持部分5や回路基板固定部分19、位置決め突起19a、弾性突起20等が一体で形成されている。
まず、保持部分5は図4(a)に示すように、内径がキャパシタ1の外径より僅かに大きい半円筒形状の弾性部分5aを有する。従って、保持部分5はキャパシタ1の外周(ここでは半円分)に沿って配された構造となる。ここにキャパシタ1を図4(a)の上方からはめ込むことで保持しているが、キャパシタ1を強固に固定するために弾性部分5aの先端は断面がテーパ形状を有する構造としている。また、弾性部分5aのベース部18側には切り欠き部分5bが形成されている。これにより、キャパシタ1を弾性部分5aにはめ込むと、弾性部分5aの先端が広がりながら保持部分5の底部で固定される。この際、弾性部分5aのテーパー形状の下辺は弾性によりキャパシタ1に当接するので、キャパシタ1は保持部分5の底部、および弾性部分5aのテーパー形状の下辺の計3ヶ所で強固に固定されることになる。このような構成とすることで、キャパシタ1や保持部分5の公差を吸収できるので、キャパシタ1を確実に固定できる。
なお、キャパシタ1を弾性部分5aに挿入する際、キャパシタ1の先端側がベース部18に当接しないように、弾性部分5aと接続した台座5cを設ける形状とした。さらに、台座5cにはキャパシタ1の先端側(リード線2がない側面)に設けた図4(b)に示す防爆弁1aが万一動作しても、その動作を妨げないように、台座5cの中央に窪み形状の空間5dを設けている。これらにより、キャパシタ1の先端側を台座5cに沿って弾性部分5aに挿入することで容易に正規の位置にキャパシタ1を保持できる上、キャパシタ1を弾性部分5aにはめ込むと、キャパシタ1の先端側の防爆弁1aはちょうど空間5dに対向することになるので、防爆弁1aの動作が可能となる。さらに、漏出した電解液が空間5dに留まるので、回路基板3上に電解液が付着することがなく、高信頼性が得られる。なお、キャパシタ1の先端側を直接ベース部18に当接するよう保持すると、防爆弁1aが動作できなくなるので、例えば上記した空間5dのような防爆弁1aの動作空間を確保する必要がある。従って、防爆弁1aの動作空間が確保できれば、上記構造に限定されるものではない。
以上のことから、図4(a)に示す保持部分5の構造とすることにより、キャパシタ1をはめ込むだけで正規の位置に強固に固定でき、生産性が向上するとともに、電解液の漏洩を防止できるため、信頼性も向上できる。
次に、回路基板固定部分19はベース部18の下端近傍から突出するように一体形成されている。回路基板固定部分19の上部両端には回路基板3の2ヶ所の位置決め凹部3aと対応する位置に位置決め突起19aを一体形成するとともに、回路基板3をネジ21で固定するためのベース部ネジ穴22が位置決め突起19aの近傍に一体形成されている。なお、ネジ21は点線で示したように回路基板3に設けた回路基板ネジ穴6を介してベース部ネジ穴22にネジ止めされる構成となる。この際、前記したように位置決め突起19aが位置決め凹部3aに挿入されるので、回路基板3とベース部18の位置決めが極めて容易にでき、生産性が向上する。
次に、弾性突起20は回路基板3が固定されたベース部18と後述するケース23を固定する部分であり、その先端には図4(a)に示すようなテーパー形状のケース固定爪部24が一体形成してある。本実施の形態1では弾性突起20をベース部18の上下2ヶ所に形成したので、ベース部18とケース23は2ヶ所で固定されることになる。
ここで、回路基板3をベース部18に固定する方法について説明する。まず図4(a)において、矢印方向から位置決め突起19aを回路基板3の位置決め凹部3aに挿入する。これにより、2ヶ所の回路基板ネジ穴6とベース部ネジ穴22の位置が一致するので、それぞれにネジ21を締めこんで固定する。なお、本実施の形態1では2ヶ所で固定しているが、これはさらに多くてもよい。
次に、キャパシタ1の実装方法について説明する。まず、図4(b)に示すように、複数のキャパシタ1は円筒形状の電気二重層コンデンサからなる。各キャパシタ1の一方の端面(図4(b)では左側面)には2本のリード線2が設けられている。この2本のリード線2はあらかじめ極性が、それぞれ同方向になるように、すなわち、例えば図4(b)のキャパシタ1におけるリード線2においては、手前のリード線2(キャパシタ1の上から見ると左側)が正極、奥のリード線2(同、右側)が負極になるように揃えた状態で、リード線2の先端がキャパシタ1の長さ方向に対し直角になるように曲げ加工が施されている。
このようにキャパシタ1の長さ方向に対しリード線2の先端を直角になるように曲げると、必ず極性の区別ができるので、従来のようにリード線2を極性により異なる長さにしておく必要がなくなる。そこで、あらかじめ2本のリード線2の先端を所定の長さに切断しておく。なお、所定の長さはキャパシタ1を図1(b)、(c)のリード線穴4に挿入した時に僅かにリード線穴4から突き出る長さとした。
次に、各キャパシタ1を順次図4(b)の矢印で示した方向から保持部分5に挿入していく。このとき、リード線2の先端はリード線穴4にちょうど挿入されるように揃えて切断してあるので、極めて容易に挿入できる。
最後に各リード線2とキャパシタ接続部分11bをハンダ付けして電気的に接続する。この結果、キャパシタ1はキャパシタ接続ピン11の長さ方向と直角方向になるように電気的に接続される。この際、リード線2の先端はリード線穴4に挿入されているので、ハンダ付け作業が非常に容易な上、キャパシタ接続部分11bのリード線2側から見た断面はU字形状、またはV字形状であるので、表面張力が大きいハンダがU字、またはV字の中に収まり、さらにハンダ付けしやすくなる。この点からも生産性の向上が得られる。
なお、リード線2とキャパシタ接続部分11bの接続はハンダ付けに限定されるものではなく、他の接続方法でもよい。
ここで、前記ハンダ付けはキャパシタ1の挿入後に行うので、リード線2に組立時の応力がかからない状態でハンダ付けでき高信頼性も得られる。
また、回路基板3には少なくともキャパシタ1が直列、並列、または直並列に接続される回路パターンが形成されており(本実施の形態では6本直列とした)、ハンダ付けを行うことで、キャパシタ1が上記回路のいずれかになるように接続される。
このようにしてキャパシタ1の実装までが完了するが、リード線2の先端を直角方向に曲げることで極性の区別を行っているので、リード線2の先端をキャパシタ接続ピン11のリード線穴4に挿入する必要がある。従って、本実施の形態1では先に回路基板3を回路基板固定部分19に固定してからキャパシタ1を挿入する組立順序となる。
なお、上記と一部異なる構成のキャパシタユニットの例を図5に2例示す。
まず、図5(a)はリード線2を直角方向に曲げずに、2本のリード線2の極性が同方向に揃うようにキャパシタ1を長さ方向に対し水平方向に配した時、2本のリード線2の長さが極性に応じて互いに異なるように所定の長さで切断した構成を示す。これにより、長さの違いで極性の区別ができる上、直角方向に曲げる工程が不要となり、さらにリード線2が真直であるので、キャパシタ接続部分11bにリード線穴4を設ける必要がなくなり、生産性が向上する。
但し、この場合はキャパシタ接続ピン11の位置が極性に応じてずれるので、リード線2の長さに合わせて配置する必要がある。
次に、図5(b)、(c)はキャパシタ接続ピン11において、2ヶ所のキャパシタ接続部分11bを一体形成し、キャパシタ1を保持部分5に保持した際に、隣り合うキャパシタ1の最近接リード線2を2ヶ所のキャパシタ接続部分11bにそれぞれ接続する構成を示す。これにより、最近接リード線2、すなわち、例えばあるキャパシタ1の右側のリード線2と、その隣のキャパシタ1の左側のリード線2を図5(b)に示すような1つのキャパシタ接続ピン11に接続できるので、図5(c)に示すようにキャパシタ接続ピン11の数量を減らすことができ(この場合は12本から7本に減量可)、その分、生産性が向上する。なお、図5(b)に示したキャパシタ接続ピン11はキャパシタ接続部分11b、および屈曲部分11gを2ヶ所設けた以外は図1(b)、(c)と同じ構造である。屈曲部分11gをそれぞれに設けた理由は、外部振動等による応力を互いに伝えないようにするためである。
但し、図5(b)、(c)の構成では、複数のキャパシタ1を直列に接続する場合に限定される。
ここで図4の構成に戻って、以上に説明したようにしてキャパシタ1の実装まで終了した時の回路基板3とベース部18を図6の右図に示す。キャパシタ1は回路基板3の上方空間に重なるように実装されているので、小型化が可能となる。これは以下の理由による。
すなわち、もしキャパシタ1を実装後に防湿剤17を形成すると、キャパシタ1と重なる部分の回路基板3上に防湿剤17を極めて形成しにくくなる。従って、あらかじめ防湿剤17を回路基板3の両面に形成してからキャパシタ1を実装することで、回路基板3の上方空間を有効に活用できるため、小型化が可能となる。さらに、上記の構成により、キャパシタ1が回路基板3に対し水平方向に配置されるので、キャパシタユニットの低背化も可能となる。
次に、回路基板3を内包するケース23について図6を参照しながら説明する。なお、この段階では回路基板3にはキャパシタ1を含む全ての回路部品が実装され、防湿剤17が形成された状態であるので、ケース23が回路基板3を内包するということは、ケース23が回路基板3に実装された全ての回路部品を内包することになる。この際、キャパシタ1が回路基板3に対し水平方向に実装されるため、小型低背化が可能となる。
ケース23は図6の左側に示す形状になるように、ベース部18と同じ樹脂で射出成型により形成される。ケース23にはコネクタ14を外部配線(図示せず)と接続するために、その先端をケース23から一部突出させるコネクタ穴25が一体形成されている。コネクタ穴25はコネクタ14の外寸より大きくしてあり、ケース23のベース部挿入口26と対向する面(図6では左側の面)に設けられている。これにより、コネクタ14と外部配線を接続でき、かつキャパシタ1を実装した回路基板3と同一面内にコネクタ14を配置できるので、低背化が可能となる。
また、回路基板3を挿入し、ケース23の中で位置決めを行うための溝27がベース部挿入口26の両側の壁面(図6では左右の壁面)に設けられている。なお、溝27の詳細は後述する。
さらに、ケース23にはベース部18を固定するために、弾性突起20の先端に設けたケース固定爪部24と嵌合する係止部28も一体形成されている。なお、係止部28は貫通しており、その大きさはケース固定爪部24より僅かに大きい形状とした。これにより、係止部28にケース固定爪部24が確実に嵌合するので、ケース23とベース部18を十分固定できる。また、係止部28は弾性突起20と同じ数だけ設けている。これらの数は本実施の形態1では2つとしたが、ベース部18やケース23の大きさなどによって適宜増やしてもよい。
ここで、溝27の詳細について図7を参照しながら説明する。図7は図6の一点鎖線におけるケース23の断面図である。溝27の高さはベース部挿入口26側では回路基板3の厚さよりも高くして余裕を持たせている。これにより、回路基板3を溝27に挿入しやすくなり生産性が向上する。
溝27の先端は幅(ここでは高さに相当)が狭くなる形状を有する構成とした。具体的には、溝27の上下いずれかの辺(ここでは上辺)が先端近傍でテーパー形成部分29を有する構成とした。これにより、回路基板3を溝27に挿入していくと、溝27の先端近傍に設けたテーパー形成部分29により溝27の下辺側、すなわち、回路基板3の位置決めを行う基準側に回路基板3が導かれ、回路基板3を容易に正規の位置に固定することができる。
このように構成することで、回路基板3を溝27の奥まで挿入した時には回路基板3の位置決めが完了しているので、コネクタ14がケース23に当接することなく正確にコネクタ穴25から突出できる。従って、組み立て時にコネクタ14がケース23に当接することによるコネクタ14のハンダ付け部分への応力印加を防ぐことができ、信頼性が向上する。
さらに、溝27に沿って回路基板3を挿入することで、コネクタ14以外にもキャパシタ1等の大型部品がケース23に当接してハンダ付け部分に応力が印加されてしまう可能性を低減できる。
このようなことから、溝27を図7に示す形状とすることにより、回路基板3を容易に、かつ、大型部品がケース23に当接しないようにケース23に挿入できるので、生産性が向上するだけでなく、信頼性も向上する。
次に、ベース部18を回路基板3側からケース23に挿入する工程について説明する。
回路基板3が固定されたベース部18は、図6の直線矢印で示すように、回路基板3の両端をケース23の溝27にはめ込みながら挿入していく。この際、溝27のベース部挿入口26側は回路基板3の厚さより余裕のある高さとしているので、回路基板3を挿入しやすくなる。
さらにベース部18をケース23の奥まで挿入していくと、やがてテーパー形成部分29により溝27の高さが回路基板3の厚さとほぼ等しくなるので、回路基板3は正確に位置決めがなされると同時に、コネクタ14の先端がコネクタ穴25から突出する。
ベース部18をケース23の最後まで挿入すると、図6の曲線矢印で示したように、弾性突起20の先端に設けたケース固定爪部24がケース23に設けた係止部28に嵌合する。これにより、ベース部18とケース23が固定される。
なお、ベース部18とケース23の固定をさらに確実にするために、ベース部18とケース23の隙間、ケース固定爪部24、溝27、係止部28等に接着剤を塗布してもよい。これにより強固に固定できるだけでなく、接着剤を塗布した部分の防塵や防湿効果が得られる。
以上のようにして、キャパシタユニットが形成される。最終的にこのような構成とすることにより、小型低背化、生産性の向上だけでなく、信頼性向上の効果も得られる。
以上の構造により、生産性が良好な小型低背構成のキャパシタユニットを実現することができた。
なお、本実施の形態1ではキャパシタ1を6個使用しているが、従来例(図15)ではキャパシタ1が28個であり、数量が異なっている。これはキャパシタユニットの電力仕様が異なるためであって、キャパシタユニットを搭載する車両に応じて必要な数量を搭載すればよい。
(実施の形態2)
図8は本発明の実施の形態2におけるキャパシタユニットの回路基板の一部分解斜視図である。図9は本発明の実施の形態2におけるキャパシタユニットの一部分解斜視図であり、(a)はベース部への回路基板挿入方法を示す斜視図を、(b)は回路基板をベース部に固定した際の固定部分の断面図を、(c)は回路基板、およびベース部へのキャパシタ実装方法を示す斜視図をそれぞれ示す。図10は本発明の実施の形態2におけるキャパシタユニットの全体の分解斜視図である。
なお、本実施の形態2において、実施の形態1と同じ構成要素については同じ符号を用い、詳細な説明を省略する。
すなわち、実施の形態1との相違点は以下の通りである。
1)キャパシタ接続ピン11は回路基板挿入部分11cとキャパシタ接続部分11bを除く中間部分11fの下端を樹脂でモールドすることにより、複数のキャパシタ接続ピン11を一体形成するとともに、モールドした樹脂の下端部に複数の突起を設けた。
2)回路基板固定部分19にはスナップ21aが一体形成されるとともに、回路基板3には回路基板固定穴3bを設け、回路基板固定部分19に回路基板3を固定する際に、スナップ21aが回路基板固定穴3bに嵌合することにより両者を固定した。
3)2本のリード線2の極性が同方向に揃うようにキャパシタ1を長さ方向に対し水平方向に配した時、2本のリード線2はいずれも直角上方向になるように曲げられるとともに、キャパシタ1の高さ以下の部分で、かつキャパシタ1から遠ざかるようにキャパシタ1の長さ方向に曲げられる加工、すなわち、クランク形状加工が施され、リード線2の先端を所定の長さで切断した。
以下、これらの相違点を中心に説明する。
まず、1)の一体型キャパシタ接続ピン30については図8に示すように、本実施の形態2では12本のキャパシタ接続ピン11を、中間部分11fの下端で樹脂モールドして一体形成している。このような構成とすることで、12本のキャパシタ接続ピン11を一度に、しかもそれぞれのキャパシタ接続部分11bの方向を揃える手間もなく回路基板3に垂直方向に実装でき、実施の形態1に比べ、さらに生産性が向上する。
なお、樹脂モールドする部分は図8に示したように中間部分11fの下端に設けているが、これは中間部分11fの上部に設けるとモールド樹脂がキャパシタ接続ピン11によってのみ支持されることになるので、外部振動等による応力がモールド樹脂を介して全てのリード線2に伝播してしまう。従って、これを低減するためにモールド樹脂が回路基板3と接触することで安定支持ができる下端に設けている。
また、図8に示すように中間部分11fの下端にモールドした樹脂の下端部に複数の一体型キャパシタ接続ピン突起30bを設けている。本実施の形態2では一体型キャパシタ接続ピン30の両端にのみ一体型キャパシタ接続ピン突起30bを一体形成している。これにより、回路基板3への実装時に一体型キャパシタ接続ピン30のモールド樹脂は一体型キャパシタ接続ピン突起30bで安定支持されるとともに、一体型キャパシタ接続ピン突起30bの高さだけ各キャパシタ接続ピン11の中間部分11fの一部が露出する。
これは、一体型キャパシタ接続ピン30を回路基板3に挿入し、図8における回路基板3の裏面からハンダ付けした際に、キャパシタ接続ピン穴11aからハンダが表側にも回り込むことで確実に固定されるため、ハンダ回り込みスペースを設ける必要があることから中間部分11fの一部を露出している。
また、前記スペースを設けることにより、図3(c)に示したように回路基板3を傾けた時に、防湿剤17が前記スペースを通って防湿剤付着不可部品のハンダ付け部分に行き渡ることができる。
従って、一体型キャパシタ接続ピン突起30bを設けることにより、防湿剤17の形成が実施の形態1と同様に可能となり、生産性が向上する上、各キャパシタ接続ピン11の回路基板3の表面側へのハンダ回り込みを阻害せず、信頼性も向上する。
なお、一体型キャパシタ接続ピン突起30bの数は本実施の形態2で示した2ヶ所に限らず、それ以上あってもよい。また、少なくとも2ヶ所の一体型キャパシタ接続ピン突起30bの先端には、互いに大きさ、および/または形状の異なる凸部(図示せず)を設け、それと対応する回路基板3上の位置に、前記凸部より僅かに大きい大きさ、および/または形状の一体型キャパシタ接続ピン取り付け穴3cを設けてもよい。例えば図8では四角形と円形とした。これにより、凸部と一体型キャパシタ接続ピン取り付け穴3cの大きさ、および/または形状が合わないと、一体型キャパシタ接続ピン30を回路基板3に挿入できないので、挿入方向を間違えることがなくなり生産性、歩留まりが向上する。
次に、2)の回路基板3の固定方法については、図9(a)、(b)に示すようにベース部18に一体形成されたスナップ21aを用いて行っている。スナップ21aは図9(b)の断面図に示すように、中央部に割れ目の入った傘形状をしており、スナップ21aと対応する位置に図9(a)に示す回路基板固定穴3bが設けられている。スナップ21aの下部(傘形状の軸部に相当)は直径が回路基板固定穴3bの直径より僅かに小さく、かつ、高さが回路基板3の厚さtより僅かに高くしてある。従って、回路基板固定穴3bをスナップ21aの上部から挿入すると、割れ目が塞がりながら回路基板3が挿入されていき、回路基板3が回路基板固定部分19に当接すると割れ目が広がり、スナップ21aの傘部分で回路基板固定穴3bと嵌合する。これにより、回路基板3が回路基板固定部分19に固定される。
このような固定方法とすることで、実施の形態1のようにネジ21、およびネジ締め工程が不要となり、極めて生産性を向上させることができる。
なお、スナップ21aの数は本実施の形態2で示した2ヶ所に限らず、それ以上あってもよい。
次に、3)のキャパシタ1の2本のリード線2の曲げ加工については図9(c)に示すようなクランク形状としている。これにより、リード線2の極性の区分が可能となるため、キャパシタ1を保持部分5にはめ込む際に方向を間違えることがなくなり、生産性が向上する。さらに、クランク形状を有するので、その部分で車両の衝撃等の外部応力を吸収できる。従って、キャパシタ接続ピン11に屈曲部分11gを設ける必要がなくなる上に、実施の形態1と同様の信頼性が得られる。
また、リード線2の先端はキャパシタ1の高さ以下ではあるが、図9(c)のように曲げるので、キャパシタ1のリード線2突出部分よりは高い位置になる。従って、キャパシタ接続部分11bを実施の形態1より高く配置できるので、ハンダ付け作業がさらに容易になり、この点からも生産性が向上する。
但し、リード線2の長さが長くなるので、銅製のキャパシタ接続ピン11を使用していても実施の形態1のようにリード線2によるキャパシタ1全体の内部抵抗低減効果は少ない。従って、いずれの構成を選択するかは使用環境や条件(性能、生産性、コスト等)によって最適な方に決定すればよい。
次に、本実施の形態2の組み立て方法について、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
まず、図8に示すように、回路部品が実装された回路基板3に一体型キャパシタ接続ピン30をキャパシタ接続ピン穴11aに挿入して、回路基板3の裏面からハンダ付けすることにより実装固定する。なお、一体型キャパシタ接続ピン30は他の回路部品の実装に問題がない範囲でいつ実装してもよい。
次に、回路基板3の両面に防湿剤17を形成する。その製造方法は図2、図3と全く同じである。
一体型キャパシタ接続ピン30を実装し、防湿剤17の形成が完了した状態の回路基板3を図9(a)の左図に示す。次に、この回路基板3を矢印で示したようにベース部18に固定する。この際の固定方法は上記2)で説明した通りである。
次に、キャパシタ1を保持部分5にはめ込む。なお、保持部分5の構造は実施の形態1と同じである。従って、キャパシタ1は回路基板3の上方空間に水平方向に配置されるので、小型低背化が可能となる。
キャパシタ1を保持部分5にはめ込む時、リード線2はクランク状に曲げ加工が施され、その先端はちょうどキャパシタ接続部分11bに至るので、キャパシタ1をはめ込んだ後は容易にハンダ付け作業ができる。この結果、キャパシタ1はキャパシタ接続ピン11の長さ方向と直角方向になるように電気的に接続される。
なお、本実施の形態2ではリード線2の最先端を実施の形態1のように直角方向に曲げる加工を行っていない。これは、次の理由による。
実施の形態1では本来リード線2の長さを極力短くして内部抵抗を下げる構成としたが、単にリード線2を短く切断してしまうと極性の区別ができなくなるので、先端を少しだけ曲げ加工していた。そのため、曲げた先端がキャパシタ接続部分11bに当接すると、リード線2を曲げた分だけキャパシタ接続部分11bから浮いてしまうのでハンダ付け作業性が悪くなる。そこで、キャパシタ接続部分11bの底部にリード線穴4を設け、そこに曲げたリード線2の先端を挿入してリード線2が浮くのを抑制していた。その結果、リード線2の位置決めが正確になるので、ハンダ付け性が改善され、生産性向上が可能となった。
一方、本実施の形態2では、クランク状にリード線2を曲げているので、極性の区別は可能である。従って、キャパシタ接続部分11bの底部にリード線穴4を設けて、リード線2の先端を挿入する必要がない。そのため、本実施の形態2のキャパシタ接続部分11bの底部にはリード線穴4を設けていない。以上の理由から、リード線2の最先端を実施の形態1のように直角方向に曲げる加工を行っていない。但し、キャパシタ接続部分11bの形状(U字、またはV字)については実施の形態1で説明したようにハンダ付け作業性が向上するので、実施の形態1と同じ形状としている。
各キャパシタ1のハンダ付けが完了すれば、図10の矢印で示したように、ケース23に回路基板3を挿入してキャパシタユニットが完成する。この際のケース23の構造やベース部18との固定方法等は実施の形態1と全く同じである。
以上の構造により、生産性が良好な小型低背構成のキャパシタユニットを実現することができた。
なお、本実施の形態2で説明した一体型キャパシタ接続ピン30の使用や、リード線2のクランク形状曲げ加工は、それぞれ実施の形態1で行ってもよい。
但し、一体型キャパシタ接続ピン30を実施の形態1で行う場合は、屈曲部分11gを設けなければならない。この場合、モールド樹脂は屈曲部分11g以外の中間部分11fの下端に形成する必要がある。これにより、リード線2やキャパシタ接続ピン11に加わる応力を屈曲部分11gで吸収できるので、実施の形態1と同様の高信頼性が得られる。
なお、もし屈曲部分11gの上端に形成すると、外部振動等による応力が全てのリード線2に伝播してしまうが、リード線2の長さは最短になるように切断されているので、伝播した応力を吸収する部分がない構成となる。ゆえに、信頼性の観点からモールド樹脂は屈曲部分11g以外の中間部分11fの下端に形成しなければならない。
(実施の形態3)
図11は本発明の実施の形態3におけるキャパシタユニットのベース部、キャパシタ、および回路基板の一部分解斜視図であり、(a)はベース部へのキャパシタ保持方法を示す斜視図を、(b)はベース部への回路基板の挿入方法を示す斜視図をそれぞれ示す。図12は本発明の実施の形態3におけるキャパシタユニットのキャパシタを保持後のベース部の断面図であり、(a)はベース部への回路基板挿入前の断面図を、(b)はベース部への回路基板挿入後の断面図をそれぞれ示す。図13は本発明の実施の形態におけるキャパシタユニットの回路基板固定突起の断面が三角形状の場合の回路基板固定部分の拡大斜視図である。図14は本発明の実施の形態3におけるキャパシタユニットのケースの構造図であり、(a)は斜視図を、(b)は断面図をそれぞれ示す。
なお、本実施の形態3において、実施の形態1や実施の形態2と同じ構成要素については同じ符号を用い、詳細な説明を省略する。
すなわち、実施の形態1や実施の形態2との相違点は以下の通りである。
1)保持部分5を弾性部分5aと切り欠き部分5b付きの円筒形状とし、あらかじめキャパシタ1を保持部分5に挿入した後に回路基板3をベース部18に挿入するようにした。
2)回路基板固定部分19はベース部18と垂直方向に設けた回路基板固定突起19bと、回路基板固定突起19bから回路基板3の厚さtと略等しい間隔を高さ方向に設けた位置に配置した弾性を有する回路基板固定爪部19cとからなるとともに、回路基板3に回路基板固定穴3bを設け、回路基板固定部分19に回路基板3を固定する際に、回路基板固定突起19bと回路基板固定爪部19cの間に回路基板3を挿入し、回路基板固定爪部19cが回路基板固定穴3bに嵌合することにより両者が固定される構成とした。
3)回路基板3をケース23に挿入した際に、ベース部18から最も遠い回路基板3の一辺が、ケース23に設けた回路基板当接部分23aに当接する構成とした。
以下、これらの相違点を中心に説明する。
まず、1)の組立工程の違いについて図11を参照しながら説明する。図11(a)の右側に示すように、ベース部18の保持部分5は円筒形状であり、その途中まで切り欠き部分5bを4ヶ所設けた構造とした。これにより円筒は4つの部分に分けられるが、その内、任意の対向する2ヶ所には切り欠き部分5bの先端を厚くすることで弾性部分5aを形成しており、残りの2ヶ所には、それぞれ少なくとも1ヶ所で円筒の長さ方向にリブ5eを設けている。
円筒形状の内径はキャパシタ1の外径よりも僅かに大きくなるように形成されているので、キャパシタ1を図11(a)の矢印方向から冶具等(図示せず)を用いてリード線2の方向が揃うように保持部分5に挿入すると、キャパシタ1は弾性部分5aを広げながらリブ5eに当接しつつ円筒形状に対し平行方向に導かれる。従って、キャパシタ1はリブ5eで位置決めされつつ弾性部分5aの弾性により強固に固定される。このような構成とすることで、実施の形態1と同様にキャパシタ1や保持部分5の公差を吸収できるので、キャパシタ1を確実に固定できる。なお、切り欠き部分5bは特に4ヶ所に限定されるものではない。
キャパシタ1を保持部分5に挿入する際にキャパシタ1の極性を間違えないように、本実施の形態3においても実施の形態1と同様にリード線2の先端を直角方向になるように曲げ加工が施されている。但し、本実施の形態3では先にキャパシタ1を保持部分5に挿入するので、次に回路基板3をベース部18に挿入する際にキャパシタ接続部分11bとリード線2が当接しないように、実施の形態1とは逆方向にリード線2が曲げ加工されている。その結果、極性の区別ができる上、回路基板3をベース部18に挿入すると、リード線2がキャパシタ接続部分11bにスムースに挿入されるので、容易に組み立てることができ、生産性が向上する。なお、これにより実施の形態2と同様に、キャパシタ接続ピン11にリード線穴4を設ける必要はなくなる。
保持部分5には実施の形態2と同様に、図12(a)(図11(b)の一点鎖線部分の断面図)に示すように台座5cの部分に窪み状の空間5dが設けられている。キャパシタ1は台座5cに当接するまで挿入される上、空間5dはキャパシタ1の防爆弁1aが十分動作できるだけの大きさにしてあるので、万一防爆弁1aが動作しても電解液が飛散することがなく、高信頼性を得ている。
次に、2)の回路基板固定部分19について説明する。本実施の形態3では回路基板固定部分19を回路基板固定突起19bと回路基板固定爪部19cからなる構造とし、ベース部18と垂直方向に一体形成している。この部分の詳細を図12(a)を用いて説明する。
回路基板固定突起19bと回路基板固定爪部19cは回路基板3の厚さtと略等しい間隔を設けて構成している。また、回路基板固定爪部19cは一部にテーパー形状が形成された構造を有し、前記テーパー形状は図12(b)に示すように回路基板3に設けた回路基板固定穴3bと嵌合する位置に設けてある。さらに、回路基板固定爪部19cの根元部分には回路基板3の端部(図12(b)の丸点線で示した回路基板3の右端)と当接する傾斜部分19dが設けられている。
なお、回路基板固定爪部19cは回路基板3の上側で、回路基板3の端部近傍に配置している。これは、回路基板固定爪部19cを保持部分5と干渉しないように、なるべく回路基板3の端部(図11(b)では前右端と後右端)に設けることで、その分、図12に示すように回路基板固定爪部19cと保持部分5の間隔を狭められ、小型低背化が可能になるためである。
また、回路基板固定突起19bは回路基板固定爪部19cより大きい構成としている。これは、回路基板固定突起19bが回路基板3の位置決めを担うためであり、この部分が弱いと回路基板3の位置がずれて生産性が損なわれる可能性がある。なお、回路基板固定突起19bを回路基板固定爪部19cより大きくするために、本実施の形態3では厚みを厚くする構成としたが、これは幅を広くしたり長さを長くしたり、あるいはそれらを複合してもよい。
さらに、回路基板固定部分19に回路基板3を挿入した際に、回路基板固定突起19bは回路基板固定穴3bと重ならない位置に配置される構成とした。すなわち、図11に示すように、回路基板固定突起19bと回路基板固定爪部19cが互いにずれた位置に配置する構成とした。これにより、回路基板固定部分19に回路基板3を挿入した際に、回路基板固定爪部19cが正常に回路基板固定穴3bに嵌合されているか否かを目視で容易に確認でき、生産性や歩留まりが向上する。
なお、回路基板固定部分19は図13に示す構成としてもよい。すなわち、ベース部18の両下端には、それぞれベース部18と垂直方向に2個の回路基板固定突起19bが一体形成してある。ここで、回路基板固定突起19bの断面は三角形状とし、根元に近づくほど太くなるように三角形の下側にテーパー形状を形成した。これにより、図13に実線矢印で示したように、回路基板3に設けた位置決め凹部3aが回路基板固定突起19bと対応する位置関係になるので、回路基板3を回路基板固定突起19bと回路基板固定爪部19cの間に容易、かつ正確に挿入できる。
回路基板固定爪部19cは、回路基板固定突起19bと同様にベース部18の両下端で垂直方向にそれぞれ一体形成されている。さらに、回路基板固定突起19bから回路基板3の厚さと略等しい間隔を高さ方向(図13では下方向)に設けた位置に形成されており、弾性を有する構造としている。従って、回路基板固定突起19bと回路基板固定爪部19cの間に回路基板3を挿入すると、回路基板固定爪部19cと対応する位置で回路基板3に設けた回路基板固定穴3bに嵌合する。これは、回路基板固定穴3bを回路基板固定爪部19cより僅かに大きい形状としてあるためである。この際、位置決め凹部3aの長さは回路基板固定突起19bの長さより短いので、回路基板固定爪部19cが回路基板固定穴3bに嵌合するまでに、回路基板固定突起19bの先端は位置決め凹部3aよりも奥に押し込まれる。これにより、回路基板固定爪部19cの回路基板固定穴3bへの嵌合に加え、回路基板固定突起19bによる回路基板3の表面への反力により、回路基板3は回路基板固定突起19bと回路基板固定爪部19cの両面から強固に固定されることになる。
以上のことより、位置決め凹部3aと回路基板固定突起19bの位置を合わせて回路基板3を挿入するので、図11(b)の構成に比べさらに容易に、正確に挿入でき、生産性が向上するとともに、回路基板3が強固に固定されるので、車両振動等の外部応力に対する高信頼性も得られる。
ここで、回路基板固定突起19bは幅が狭いので、回路基板3を挿入した時に、付け根に応力が集中しやすい。そこで、図13では付け根部分にアールを設け補強している。なお、この方法以外にも回路基板固定突起19bの数を回路基板固定爪部19cより多くしたり、回路基板固定突起19bを回路基板固定爪部19cより大きくしたり、あるいはそれらを同時に実施する構造としてもよい。
また、回路基板固定部分19に回路基板3を挿入した際に、回路基板固定突起19bは回路基板固定穴3bと重ならない位置に配置した。これにより、図11(b)の構成と同様に回路基板固定穴3bに回路基板固定爪部19cが嵌合したことを目視で確認できるので、生産性が向上する。
以上説明した1)、2)の特長を中心に、ベース部18へキャパシタ1と回路基板3を挿入実装する方法について説明する。
まず、図11(a)に示すようにベース部18の保持部分5にキャパシタ1を矢印方向から挿入する。これは冶具等により図11(a)のようにリード線2の方向を揃えた上で、順次、または一度に挿入する。キャパシタ1は前記したように図12に示す台座5cに当接するまで挿入される。
次に、あらかじめ図2や図3に示した製造方法で防湿剤17が形成された回路基板3をベース部18に挿入する。この時、図12(a)の矢印で示すように回路基板3は回路基板固定突起19bと回路基板固定爪部19cの間に挿入される。その結果、図12(b)に示すように、回路基板固定爪部19cは弾性を有するので、回路基板固定穴3bに嵌合される。これにより、ベース部18と回路基板3が固定される。
後は実施の形態1における図6の右図に示すように、リード線2とキャパシタ接続部分11bをハンダ付けしてキャパシタ1の実装が完了する。
以上の説明から明らかなように、本実施の形態3では実施の形態2と同様にネジ21で回路基板3をベース部18に固定する必要がないので、ネジ21自体が不要となる上、ネジ締め工程も不要であるので、実施の形態1に比べさらに生産性が向上する。
次に、本実施の形態3の3)の特長について図14を参照しながら説明する。ケース23の構造は基本的には実施の形態1や実施の形態2と同様であるが、図14に示すように回路基板当接部分23aが一体形成されている点が異なる。ここには、回路基板3をケース23に挿入した際に、ベース部18から最も遠い回路基板3の一辺、すなわち図11(b)における回路基板3の左辺が当接するように構成されている。
回路基板当接部分23aの詳細な形状は、図14(b)のケース23の断面図に示すように、回路基板当接部分23aに当接する回路基板3の辺(左辺)と垂直方向(図14(b)では下方向)に応力がかかるようにケース傾斜部分23bを有する構成としている。この応力により、回路基板3を強固に固定している。
従って、組立の最終工程であるベース部18のケース23への挿入において、回路基板3が溝27に沿って挿入されていくと、回路基板3の左辺はやがてテーパー形成部分29により溝27の下辺で正確に位置決めされる。その後、最終的にケース固定爪部24が係止部28と嵌合することによりベース部18とケース23が固定されるのであるが、その際、回路基板3の左辺は回路基板当接部分23aのケース傾斜部分23bに当接すると同時に、図12(b)の点線部分に示すように、回路基板3の右辺(キャパシタ1の実装側)も回路基板固定爪部19cの根元に設けた傾斜部分19dに当接する。その結果、回路基板3は右辺両端で傾斜部分19dに、左辺中央でケース傾斜部分23bに、それぞれ当接することになり、回路基板3には下向き方向の応力が加わることになる。しかし、傾斜部分19dによる応力は回路基板固定突起19bが、ケース傾斜部分23bによる応力は溝27の下辺が、それぞれ受け止めるので、回路基板3はケース23の内部で強固に固定されることになる。これらのことより、回路基板3は極めて容易に、かつ強固に固定できるので、生産性が向上すると同時に、回路基板3への車両振動等に対しても共振せず高信頼性が得られる。
なお、本実施の形態3では弾性突起20の幅をケース固定爪部24の幅より大きくしてある。これにより、ケース23にベース部18を挿入、固定した時に、ケース固定爪部24と係止部28の隙間が弾性突起20により塞がれるので、前記隙間からケース23の内部への埃等の異物侵入を防ぐことができる。この構成は実施の形態1、実施の形態2で行ってもよい。
ここまでで説明した以外の構成や製造方法は実施の形態1や実施の形態2と同じであるので、詳細な説明は省略する。
以上の構造により、生産性が良好な小型低背構成のキャパシタユニットを実現することができた。
なお、本実施の形態3でキャパシタ1の数量を増加したり、キャパシタユニットの底面積を低減する方法として、キャパシタ1を一列に並べるのではなく、二列以上に積み重ねて並べる構成としてもよい。この場合もあらかじめキャパシタ接続ピン11を回路基板3に実装後、防湿剤17を形成してからキャパシタ1を挿入、接続できるので、良好な生産性と小型構成を両立可能なキャパシタユニットが実現できる。
また、実施の形態1〜3ではキャパシタ1を円筒形状のものとして説明したが、それに限定されるものではなく角柱形状等としてもよい。