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JP4710558B2 - 加工性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 - Google Patents

加工性に優れた高張力鋼板およびその製造方法 Download PDF

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JP4710558B2 JP2005329576A JP2005329576A JP4710558B2 JP 4710558 B2 JP4710558 B2 JP 4710558B2 JP 2005329576 A JP2005329576 A JP 2005329576A JP 2005329576 A JP2005329576 A JP 2005329576A JP 4710558 B2 JP4710558 B2 JP 4710558B2
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Description

本発明は、自動車用部材の素材に適した、加工性に優れた高張力鋼板およびその製造方法に関する。
環境保全につながる燃費向上の観点から、自動車用鋼板の高強度薄肉化が強く求められている。自動車用部材はプレス成形により得られる複雑な形状のものが多く、高強度でありながら加工性の指標である伸びと伸びフランジ性がともに優れた材料が必要である。近年、鋼板強度はますます高強度化し、980MPaを超えるものが要望されている。また、鋼板をより軽量化する観点からさらなる薄肉化が指向されており、板厚2.5mm以下の薄物に対する要望も強くなってきている。
従来、この種の鋼板は種々提案されており、例えば特許文献1には、転位密度の高いベイニティック・フェライト組織が生成した、伸びフランジ性に優れた鋼板が提案されている。しかし、この鋼板は、転位密度の高いベイニティック・フェライト組織を含むために伸びが乏しいという欠点がある。また、ベイニティック・フェライト生成のために、ランナウトテーブル上での強冷却が不可避であり、薄物製造時にはランナウトテーブルでのストリップの走行性に問題が生じるため、板厚2.5mm以下の薄物を生産するには不向きである。
特許文献2には、組織の大部分をポリゴナルフェライトとし、TiCを中心として析出強化および固溶強化した伸びフランジ性に優れる鋼板が提案されている。しかし、この鋼板に用いられている一般的によく知られた析出物で980MPa以上に高張力化するには、多量のTi添加が必要となり、サイズの大きい析出物が生成しやすく、特性が不安定になりやすいという欠点がある。また、この鋼は特性向上のために圧延荷重を増大させるSiを積極的に用いているため、薄物の製造において圧延荷重が増大し、鋼板形状確保が難しい。
特許文献3には、微細なTiCおよび、またはNbCが析出したアシキュラー・フェライト組織を有した、伸びフランジ性に優れた鋼板が提案されている。しかし、この鋼板も先に述べた特許文献1で提案された鋼板同様に、アシキュラー・フェライトという転位密度の高い組織であるため十分な伸びが得られていない。また、この鋼は特許文献2で提案された鋼と同様に、特性向上のために圧延荷重を増大させるSiを積極的に用いているため、薄物の製造において圧延荷重が増大し、鋼板形状確保が難しい。
特許文献4には、Vの炭窒化物で析出強化した熱延鋼板が提案されている。しかし、この鋼板は、組織はフェライト主相となっているもののパーライト等が同時に生成し、伸びや伸びフランジ性が低下する懸念がある。また、この技術では、フェライトを微細化するために、仕上げ圧延の際、タンデム圧延機列の最終から1段前の圧延スタンドにおいてAr点以上で圧延し、その後50℃/秒以上の平均冷却速度で「Ar点−50℃」以下の温度まで冷却した後、最終スタンドにおいて20%以下の圧下を施すことが必要であり、通常の製造ラインでは製造に困難性を伴う。
また、超高張力鋼板を得る技術として、特許文献5の技術が開発されている。特許文献5の技術は、フェライト単相中にC、Ti、Moよりなる微細炭化物を分散させ、伸びと伸びフランジ性がともに優れた超高張力鋼板を得ることができる技術である。しかしながら、特許文献5に記載された鋼板では、980MPa以上の引張強度を得るために多量のCやTiを添加すると、通常のスラブ加熱温度(1250℃程度以下)ではスラブ中に析出しているTiCなどを完全には溶解させることができない場合があり、完全に溶解させるにはより高温が必要となって製造が困難となる場合がある。
特開平6−172924号公報 特開平6−200351号公報 特開平7−11382号公報 特開2004−143518号公報 特開2003−89848号公報
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、自動車用部材のようにプレス時の断面形状が複雑な用途に適した、加工性の指標である伸びと伸びフランジ性がともに優れた高張力鋼板、特に980MPa以上の強度を有する高張力鋼板、およびそのような高張力鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、以下の知見を得た。
(1)熱延段階で素地をマルテンサイトとし、これに連続焼鈍などの熱処理を加えることで素地の強度を高く保ったままTi、Mo、Vを含有した複合微細炭化物が析出し、非常に強度が高く、強度に対する伸び特性の指標である強度−伸びバランスや伸びフランジ性が良好な鋼板が得られる。
(2)C、Ti、Mo、Vの添加バランスを適宜制御すると、これらが複合した炭化物が微細に析出する。
(3)複合析出物中のVの割合が低くなると、析出物が粗大化するため、伸びと伸びフランジ性がともに低下する。
(4)Vを添加した鋼は、Ti、Moのみを添加した鋼に比べて低温で炭化物が溶解し、強化に効く微細析出物が効率よく得られる。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものであり、以下の(1)〜()を提供するものである。
)質量%で、C:0.06超〜0.24%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜0.2%、V:0.15超〜1.2%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、C、Ti、Mo、V含有量が以下の(I)式を満足する成分組成を有し、鋼板組織が、面積率で95%以上のマルテンサイト状組織が観察されるとともに、引張強度(TS)と伸び(El)との積であるTS×Elが13000MPa・%以上となる組織である実質的に焼き戻しマルテンサイト単相組織であり、平均粒径10nm未満のTi、MoおよびVを含む炭化物が分散析出するとともに、該Ti、MoおよびVを含む炭化物は、原子%で表されるTi、Mo、Vが、V/(Ti+Mo+V)≧0.3を満たす組成を有することを特徴とする、引張強度が980MPa以上の加工性に優れた高張力鋼板。
0.8≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(V/51)}≦1.5 …(I)
(ただし、C、Ti、Mo、Vは各成分の質量%を表す)
)上記(1)の高張力鋼板において、板厚2.5mm以下の薄物熱延鋼板であることを特徴とする引張強度が980MPa以上の加工性に優れた高張力鋼板。
)上記(1)または(2)の高張力鋼板において、表面に溶融亜鉛系めっき皮膜を有することを特徴とする引張強度が980MPa以上の加工性に優れた高張力鋼板。
)質量%で、C:0.06超〜0.24%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜0.2%、V:0.15超〜1.2%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、C、Ti、Mo、V含有量が以下の(I)式を満足する成分組成を有する鋼を溶製し、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度400℃未満の条件で熱間圧延を行ったのち、600〜720℃で20秒〜24時間の焼鈍を行って、(1)または(2)に記載の鋼板を製造することを特徴とする、引張強度が980MPa以上の加工性に優れた高張力鋼板の製造方法。
0.8≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(V/51)}≦1.5 …(I)
(ただし、C、Ti、Mo、Vは各成分の質量%を表す)
)上記()において、前記焼鈍後の鋼板に溶融亜鉛系めっきを施すことを特徴とする引張強度が980MPa以上の加工性に優れた高張力鋼板の製造方法。
なお、本発明において実質的に焼戻しマルテンサイト単相組織とは、焼戻しマルテンサイト以外に微量の他の相を許容できることをいい、好ましくは焼戻しマルテンサイトの面積比率が95%以上である。
本発明によれば、Ti、Moに加えてVを適正なバランスで添加して、Ti、MoおよびVを含む微細な炭化物を分散析出させることにより、加工性に優れた高張力鋼板が得られる。
以下、本発明について、金属組織、化学成分、製造方法等に分けて具体的に説明する。
[金属組織]
本発明に係る高張力鋼板は、実質的に焼戻しマルテンサイト単相組織であり、Ti、Mo、Vを含む炭化物が析出している。
・実質的に焼戻しマルテンサイト単相組織:
マトリックスを焼戻しマルテンサイト組織としたのは、特に高強度としかつ伸び特性を確保する上で、焼戻しマルテンサイトとすることが有効であるとともに、伸びフランジ性の向上には、単相組織とすることが有効であるためである。焼戻しマルテンサイトは、例えばフェライト組織よりは伸び特性には劣るものの、高強度化の達成が容易であり、また、マルテンサイト組織に比べ、高伸び特性のTS×Elバランスに優れた鋼板とすることができる。
ここで、焼戻しマルテンサイトとマルテンサイトの区別を組織観察のみで行うことは困難である。一方、鋼板特性としては、前述のように、マルテンサイトが焼戻されない状態では、引張強度(TS)は高いものの、伸び(El)特性が悪くなり、TS×Elバランスが悪くなる。そこで、本発明では、組織観察を行い、マルテンサイト組織が観察されるとともに、TS×Elが13000MPa・%以上である場合、焼戻しマルテンサイト組織が得られているものとした。
すなわち、本発明において、実質的に焼戻しマルテンサイトからなるとは、鋼板組織として、面積率で95%以上のマルテンサイト状組織が観察されるとともに、TS×Elが13000MPa・%以上であることを意味する。
・Ti、Mo、Vを含む炭化物:
Ti、Mo、Vを含む炭化物は、微細となるため、鋼を強化するのに有効である。従来は、析出物としてMo、Vを含まないTiCを用いることが主流であった。しかしながら、Tiは析出物形成傾向が強いため、Mo、Vを含まない場合には粗大化しやすく、強化に対する効果が低くなることから、必要な強化量を得るには加工性を劣化させるまでの析出物が必要となる。これに対し、TiとMo、Vを含む複合炭化物は微細に析出するため、加工性を劣化させずに鋼を強化することができる。これは、Mo、Vの析出物形成傾向がTiよりも弱いため、強化に寄与しない粗大な析出物となることなく安定して微細に存在することができ、加工性を低下させない少量で有効に強化できるからであると考えられる。
析出物微細化の効果はTiにMoを加えるだけでも得られるが、Ti、Moを含む炭化物のみで980MPa以上の引張強度が得られるレベルのTiを添加すると、前述のように一般的な熱延前の加熱温度を上回る高温が要求される場合があり、高温化を図るためには例えば特殊な設備を要するためコストアップとなる。一方、VとCの組み合わせは溶解温度が非常に低く、980MPa以上という高強度を得るために多量に添加しても通常の加熱温度で容易に溶解することができる。
また、従来、Ti、Moに加え、多量のVを添加すると、伸びが低下する傾向にあるため、Vの添加は比較的低い範囲に抑えられていた。しかしながら、本発明者らが詳細に検討した結果、Vの添加量を増大させるに従いVの析出量が高くなり、添加したVが炭化物として十分に析出するようになり、炭化物を安定して微細に析出させることで、十分な伸びを確保した上で、高強度化を達成できることを見出した。
炭化物が安定して微細に存在できるためには炭化物の組成が影響し、炭化物の組成が、原子%で表されるTi、Mo、Vが、V/(Ti+Mo+V)≧0.3を満たすようになると、析出物の粗大化を抑制する効果が高くなり、所望の微細析出物を得ることができる。したがって、本発明では、原子%で表されるTi、Mo、VがV/(Ti+Mo+V)≧0.3を満たす範囲でTi、Mo、Vを含む炭化物が分散析出していることを要件とする。
また、この複合炭化物の平均粒径を10nm未満とすることで、析出物周囲の歪みが転位の移動の抵抗としてより効果的となり、効率よく鋼を強化できる。このため、本発明では、平均粒径10nm未満のTi、Mo、Vを含む炭化物が析出していることを要件とする。さらに好ましくは、平均粒径が5nm以下である。さらに、鋼中のCと(Ti+Mo+V)との原子数比が0.8〜1.5となるようにC、Ti、Mo、Vの含有量を調整することにより、Ti、Mo、Vを含む炭化物が析出しやすくなり、10nm未満の微細析出物の形成が容易となるため、鋼中のCと(Ti+Mo+V)との原子数比が0.8〜1.5の範囲となるようにVおよびTi、Moを添加することが好ましい。上記原子数比のより好ましい範囲は0.8〜1.3である。なお、上記Cと(Ti+Mo+V)との原子数比0.8〜1.5を質量%に換算すると、以下の(I)式を満たすことになる。
0.8≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(V/51)}≦1.5 …(I)
ただし、上記(I)式中、C、Ti、Mo、Vは各成分の質量%を表す。
[化学成分]
本発明では、上記金属組織さえ満たしていれば所望の伸びおよび伸びフランジ性および980MPa以上の引張強度が得られ、化学成分は特に限定されないが、質量%で、C:0.06超〜0.24%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜0.2%、V:0.15超〜1.2%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、C、Ti、Mo、V含有量が以下の(I)式を満足する成分組成を有することが好ましい。
0.8≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(V/51)}≦1.5 …(I)
ただし、上記(I)式中、C、Ti、Mo、Vは各成分の質量%を表す。
以下、これら各成分について説明する。
C:0.06超〜0.24%
Cは炭化物を形成し、鋼を強化するのに有効である。しかし、0.06%以下では、鋼の強化が不十分であり、0.24%を超えて添加するとスポット溶接が困難となるため、C含有量は0.06超〜0.24%が好ましい。より好ましくは、0.07%以上であり、特に1100MPa以上の引張強度を得るためには0.1%以上であることが望ましい。
Si:0.3%以下
Siは固溶強化には有効な元素であるが、0.3%を超えて添加すると、フェライトからのC析出が促進されて粒界に粗大な鉄炭化物が析出しやすくなり、伸びフランジ性が低下する。また、本発明においては、従来、高張力鋼板に積極的に用いられてきたSiを低減することによりオースナイトの圧延荷重を低減し、薄物の製造が容易となる。0.3%を超えてSiを添加すると、2.5mm以下の材料の圧延が不安定となり、板形状も悪くなる。これらの理由により、Si含有量は0.3%以下が好ましい。さらに好ましくは0.15%以下であり、望ましくは0.05%以下である。
Mn:0.5〜2.0%
Mnは固溶強化により鋼を強化する観点からは0.5%以上が好ましいが、2.0%を超えて添加すると偏析し、伸びフランジ性が低下する。このため、Mn含有量は0.5〜2.0%が好ましい。
P:0.06%以下
Pは固溶強化に有効であるが、0.06%を超えて添加すると偏析して伸びフランジ性を低下させるため、0.06%以下とすることが好ましい。
S:0.005%以下
Sは少ないほど好ましく、0.005%を超えると伸びフランジ性が低下するため、0.005%以下が好ましい。
Al:0.06%以下
Alは脱酸剤として添加される。しかし、鋼中のAlが0.06%を超えると伸びおよび伸びフランジ性が低下するため、0.06%以下が好ましい。下限は特にないが、脱酸剤としての効果を十分に得るためにはAl量を0.01%以上とすることが好ましい。
N:0.006%以下
Nは少ないほど好ましく、0.006%を超えると粗大な窒化物が増え、伸びフランジ性が低下するため、0.006%以下が好ましい。
Mo:0.05〜0.5%
Moは本発明において重要な元素であり、0.05%以上添加することで熱延後の冷却中にフェライト変態やパーライト変態を抑制し、容易にマルテンサイト組織が得られるようになる。また、Ti、Vと微細な析出物を形成することで、優れた伸びおよび伸びフランジ性を確保しつつ鋼を強化することができる。しかし、0.5%を超えて添加しても効果が飽和し、コストアップとなるだけであるため、Mo含有量は0.05〜0.5%が好ましい。
Ti:0.03〜0.2%
Tiは本発明において重要な元素である。Mo、Vと複合炭化物を形成することで、優れた伸びおよび伸びフランジ性を確保しつつ、鋼を強化することができる。しかし、0.03%未満では、鋼を強化する効果が不十分であり、0.2%を超えると伸びフランジ性が低下するとともに、熱延前のスラブ加熱温度を1300℃以上という高温にしなければ炭化物が溶解しないため、これ以上添加しても微細析出物として有効に析出させることができない。したがって、Ti含有量は0.03〜0.2%が好ましい。
V:0.15超〜1.2%
Vは本発明において重要な元素である。前述のように、炭化物が安定して微細に存在できるためには炭化物の組成が影響し、炭化物の組成が、原子%で表されるTi、Mo、Vが、V/(Ti+Mo+V)≧0.3を満たすようになると、析出物の粗大化を抑制する効果が高くなり、所望の微細析出物を得ることができる。また、Cを0.06%超えて多量に含有させるとともに、Vを多量に含有させることでVの析出効率が上昇し、V/(Ti+Mo+V)≧0.3を満たす析出物を得られるようになることが判明した。
具体的には、Cを0.06%超えて多量に含有させた上でVを0.15%を超えて含有させて非常に良好な析出効率とすることで、炭化物の組成が、原子%で表されるTi、Mo、VがV/(Ti+Mo+V)≧0.3を満たすようになり、Ti、Moと微細な複合炭化物を形成し、優れた伸びや伸びフランジ性を確保しつつ鋼を強化することができることが判明した。しかし、Vの含有量が1.2%を超えると中心偏析が強く現れるようになり、伸びや靭性の低下を招くため、V含有量は0.15超〜1.2%が好ましい。より好ましくは0.2〜1.2%である。なお、Vを1.2%含有させた場合でもスラブ加熱温度は1200℃程度の通常温度とすれば炭化物が完全に溶解する。
0.8≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(V/51)}≦1.5
(ただし、式中のC、Ti、Mo、Vは各成分の質量%を表す)
本発明においてC、Ti、Mo、Vの添加バランスは非常に重要である。C、Ti、Mo、V含有量を上記所定範囲とした上で、(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(V/51)}を0.8〜1.5とすることにより、Ti、Mo、VがV/(Ti+Mo+V)≧0.3を満たす組成を有する多量の炭化物を微細に、すなわち平均粒径10nm未満として分散析出しやすくすることができる。(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(V/51)}が0.8未満では、析出物が粗大となって980MPa以上の強度が安定して得られなくなり、一方、(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(V/51)}が1.5超では、Cが過剰となってパーライトを生じるため成形性が低下する。
[製造方法]
本発明では、上記成分組成を有する鋼を溶製し、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度400℃未満の条件で熱間圧延を行った後、600〜720℃で20秒〜24時間の焼鈍を行う。なお、通常上記成分組成を有する鋼は溶製後、常法に従いスラブに鋳造され、そのまま、あるいは一旦冷却後、再加熱して熱間圧延に供される。スラブを再加熱する場合でも、本発明においては、スラブの加熱温度は常法の範囲である1200〜1250℃程度とすればよい。
・仕上圧延終了温度:880℃以上
仕上圧延終了温度は伸びおよび伸びフランジ性の確保と圧延荷重の低減に重要である。880℃未満では未再結晶で圧延が進行するために起こる歪みの蓄積量が増大し、圧延荷重が著しく増大することで薄物の熱間圧延が困難となるため、880℃以上とする。
・巻取温度:400℃未満
巻取温度が400℃以上になるとベイナイトやフェライトを生じて本願の目的とするマルテンサイトの素地を得られないため、400℃未満とする。なお、巻取温度は低くなりすぎると熱間圧延後の冷却時に使用した水が蒸発せずコイル内に水がたまり鋼板が腐食する場合があるため、100℃以上とすることが好ましい。
・焼鈍温度:600〜720℃
本発明における焼鈍は素地であるマルテンサイトを焼戻し、強度を確保しつつ延性を回復させるのと同時にTi、Mo、Vを含む複合炭化物を析出させることが目的である。焼鈍温度が600℃未満ではマルテンサイトの焼戻し、複合炭化物の析出とも十分でなく、一方720℃を超えるとγ相を生じて冷却中に軟質なフェライトに変態してしまうため、焼鈍温度は600〜720℃とする。
・焼鈍時間:20秒〜24時間
焼鈍時間は20秒〜24時間とする。焼鈍時間が20秒未満ではマルテンサイトの焼戻し、複合炭化物の析出が十分でなく、一方24時間を超えると焼戻しの進行や析出物の粗大化で急激に軟質化するので、焼鈍時間は20秒〜24時間とする。
なお、焼鈍は連続焼鈍ライン、連続溶解亜鉛めっきライン、箱焼鈍など、通常行われるいずれの焼鈍方式で行ってもよく、これらのいずれでも所望の効果を得ることができる。
本発明の高張力鋼板には、表面に溶融亜鉛系めっき皮膜を形成し、溶融亜鉛めっき系鋼板としたものを含む。例えば、熱延後の焼鈍を連続溶解亜鉛めっきラインで行い、焼鈍後連続して溶融亜鉛めっき、あるいはさらに合金化処理を行うことができる。本発明の高張力鋼板は良好な加工性を有することから、溶融亜鉛系めっき皮膜を形成しても良好な加工性を維持できる。ここで、溶融亜鉛系めっきとは、亜鉛および亜鉛を主体とした溶融めっきであり、亜鉛のほかにAl、Crなどの合金元素を含んだものも含む。また、めっきままでも、めっき後に合金化処理を行ってもかまわない。また、本発明の高張力鋼板は、鋼板形状確保等の問題なく従来要求の強かった板厚2.5mm以下の薄物材とすることができる。
(実施例1)
表1に示す組成からなるスラブを溶製し、スラブ加熱温度(SRT)1250℃、熱延仕上温度(FDT)900℃、巻取温度(CT)200℃で板厚1.8mmまで熱延後、700℃で120秒の連続焼鈍を行った。
得られた鋼板を酸洗後、鋼板から作製した薄膜を透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察するとともに、析出物のサイズを測定した。析出物中のTi、Mo、Vの組成はTEMに装備されたエネルギー分散型X線分光装置(EDX)による分析から決定し、析出物のV比率(原子比)=V/(Ti+Mo+V)(式中、Ti,Mo,Vは原子%)を求めた。なお、組織の観察は走査型電子顕微鏡(SEM)によって行った。また、焼鈍後の組織については、前述のようにマルテンサイト状組織が面積率で95%以上観察されるとともに、TS×Elが13000MPa・%以上の場合を焼戻しマルテンサイトとし、13000MPa・%未満の場合は単にマルテンサイトとした。
また、得られた鋼板からJIS5号引張試験片および穴広げ試験片を採取した。引張試験片は圧延垂直方向から採取し、穴広げ試験は130mm角の鋼板の中央に10mmφのポンチにより、クリアランス(片側)を板厚の12.5%で打ち抜いた穴を有する試験片を準備し、60°円錐ポンチにより打ち抜き穴のバリ側の反対方向から押し上げ、割れが鋼板を貫通した時点での穴径dを測定し、穴広げ率λを次式より算出した。
λ(%)={(d−10)/10}×100
表2に、A値、熱延後組織、焼鈍後組織、析出物平均粒径、析出物の組成(V比率)、降伏強度(YS)、引張強度(TS)、伸び(El)、TS×El、穴広げ率(λ)を示す。なお、表2中、A値は、上記(I)式の(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(V/51)}の値を示す。
表2に示すように、本発明の範囲内である鋼A〜Cでは、加工性に優れた、具体的にはTS×El≧13000MPa・%と伸び特性に優れるとともに、伸びフランジ性の指標である穴広げ率(λ)がλ≧50%である、980MPa以上の高張力鋼板が得られることが確認された。なお、組織観察により、鋼板はマルテンサイト単相組織であることが確認され、また、TS×Elの値が13000MPa・%以上であることから、焼鈍後に生成されたマルテンサイトは焼戻しマルテンサイトであることが確認された。これに対して、比較例である鋼Dは、TS×Elの値が13000MPa・%を超え、焼戻しマルテンサイトにはなっているものの、微細析出物が生じないため引張強度が980MPaを超えず、加工性も本発明鋼より劣る結果であった。
Figure 0004710558
Figure 0004710558
(実施例2)
表1に示す鋼Bの組成のスラブを用い、表3に示す条件で、板厚1.8mmまで熱延して焼鈍を行った(鋼板No.1〜11)。なお、No.6については溶融亜鉛めっきラインにて焼鈍し、引き続きライン内で合金化溶融亜鉛めっき(亜鉛めっき浴温:480℃ 合金化温度:530℃)を行った。
得られた鋼板を実施例1と同様に評価した。結果を表4に示す。
表4に示すように、本発明を満たす条件で製造した本発明例No.1〜6は、加工性に優れ980MPa以上の高張力鋼板が得られていることが確認された。これに対して比較例であるNo.7〜11は、加工性および強度のいずれかが劣っていた。
Figure 0004710558
Figure 0004710558

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.06超〜0.24%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜0.2%、V:0.15超〜1.2%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、C、Ti、Mo、V含有量が以下の(I)式を満足する成分組成を有し、鋼板組織が、面積率で95%以上のマルテンサイト状組織が観察されるとともに、引張強度(TS)と伸び(El)との積であるTS×Elが13000MPa・%以上となる組織である実質的に焼き戻しマルテンサイト単相組織であり、平均粒径10nm未満のTi、MoおよびVを含む炭化物が分散析出するとともに、該Ti、MoおよびVを含む炭化物は、原子%で表されるTi、Mo、Vが、V/(Ti+Mo+V)≧0.3を満たす組成を有することを特徴とする、引張強度が980MPa以上の加工性に優れた高張力鋼板。
    0.8≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(V/51)}≦1.5 …(I)
    (ただし、C、Ti、Mo、Vは各成分の質量%を表す)
  2. 板厚2.5mm以下の薄物熱延鋼板であることを特徴とする請求項1に記載の引張強度が980MPa以上の加工性に優れた高張力鋼板。
  3. 表面に溶融亜鉛系めっき皮膜を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の引張強度が980MPa以上の加工性に優れた高張力鋼板。
  4. 質量%で、C:0.06超〜0.24%、Si≦0.3%、Mn:0.5〜2.0%、P≦0.06%、S≦0.005%、Al≦0.06%、N≦0.006%、Mo:0.05〜0.5%、Ti:0.03〜0.2%、V:0.15超〜1.2%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、C、Ti、Mo、V含有量が以下の(I)式を満足する成分組成を有する鋼を溶製し、仕上圧延終了温度880℃以上、巻取温度400℃未満の条件で熱間圧延を行ったのち、600〜720℃で20秒〜24時間の焼鈍を行って、請求項1または請求項2に記載の鋼板を製造することを特徴とする、引張強度が980MPa以上の加工性に優れた高張力鋼板の製造方法。
    0.8≦(C/12)/{(Ti/48)+(Mo/96)+(V/51)}≦1.5 …(I)
    (ただし、C、Ti、Mo、Vは各成分の質量%を表す)
  5. 前記焼鈍後の鋼板に溶融亜鉛系めっきを施すことを特徴とする、請求項に記載の引張強度が980MPa以上の加工性に優れた高張力鋼板の製造方法。
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