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JP4706172B2 - 芳香族ポリカーボネートの製造装置及び芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリカーボネートの製造装置及び芳香族ポリカーボネートの製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、芳香族ポリカーボネートの製造装置及び製造方法に関する。
芳香族ポリカーボネートは、ビスフェノールAとジフェニルカーボネートとを原料として重合させることにより製造される。その際、ビスフェノールAは、通常、固形物の状態で混合され、加熱溶融してから重合反応に供される。
通常、ビスフェノールAは、精製された後の溶融状態のものを冷却し、固形状としたものを使用しているが、ビスフェノールAの製造設備が、芳香族ポリカーボネートの製造設備と近接して設けられている場合、上記溶融状態のまま、あるいは、ビスフェノールAとフェノールの一定組成の混合溶液のまま、上記芳香族ポリカーボネートの製造設備に供して重合を行うと、あらためて加熱したり、精製したりする必要がなくなり、熱効率が向上する。
ところで、ビスフェノールAの製造工程の、得られたビスフェノールAを晶析する工程において、使用される晶析装置等の接液部に固体の付着が生じやすく、数ヶ月に1度は、この工程を停止させて、掃除をする必要がある。このため、ビスフェノールAの製造工程の、合成反応工程から晶析工程に至る工程は、断続的な運転となる。
これに対し、ジフェニルカーボネート製造工程においては、上記のような問題はなく、連続的にジフェニルカーボネートを製造することができる。このため、ビスフェノールAを溶融状態のまま、必要量貯蔵することにより、芳香族ポリカーボネートを連続的に重合することが可能となる。
しかし、ビスフェノールAを溶融状態で保持すると、黄変、分解等が生じやすく、得られる芳香族ポリカーボネートの品質に影響を与えることとなる。
そこでこの発明は、十分な品質を有する芳香族ポリカーボネートの製造設備及び製造方法を提供することを目的とする。
この発明は、フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、晶析工程、加熱融解工程、フェノール除去工程を経て溶融ビスフェノールAを得、この溶融ビスフェノールA及びジフェニルカーボネートを原料として重合させる重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造するために使用される芳香族ポリカーボネートの製造設備において、上記晶析工程で使用される晶析装置と、上記重合工程で使用される重合装置との間に、ビスフェノールAとフェノールとの混合物を貯蔵するタンクを設けることにより、上記課題を解決したのである。
晶析工程で使用される晶析装置と、重合工程で使用される重合装置との間に、ビスフェノールAとフェノールとの混合物を貯蔵するタンクを設けるので、ビスフェノールAとフェノールとの付加物結晶や、そのスラリー又は混合液を保存することができる。この付加物結晶、そのスラリー又は混合液は、溶融したビスフェノールAに比べて安定性が高いので、分解が生じにくく、黄変も生じにくい。このため、保存したビスフェノールAを使用しても、得られる芳香族ポリカーボネートの品質を保持することができる。
以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
この発明にかかる芳香族ポリカーボネート(PC)の製造方法は、図1に示すような、フェノール(PL)及びアセトン(AT)を原料とし、合成反応工程(以下、(a)工程と称する。)、低沸分除去工程(以下、(b)工程と称する。)、晶析工程及び分離工程(以下、(c)工程と称する。)、加熱融解工程(以下、(e)工程と称する。)、及びフェノール(PL)除去工程(以下、(f)工程と称する。)を経て溶融ビスフェノールA(BPA)を得、この溶融ビスフェノールA(BPA)及びジフェニルカーボネート(DPC)を原料として重合させる重合工程(以下、(g)工程と称する。)を経て芳香族ポリカーボネート(PC)を製造する方法である。
上記工程(a)は、フェノール(PL)とアセトン(AT)とを酸性触媒の存在下で、縮合反応させてビスフェノールAを生成させる工程である。ここで用いる原料のフェノール(PL)及びアセトン(A)は、化学量論量よりもフェノール(PL)が過剰な条件で反応させる。フェノール(PL)とアセトン(A)とのモル比は、フェノール(PL)/アセトン(A)の比として3〜30、好ましくは5〜20の範囲である。反応温度は通常30〜100℃、好ましくは50〜90℃、反応圧力は、一般に常圧〜5kg/cm2・Gで行われる。
上記酸性触媒としては、塩酸等の無機酸や有機酸、イオン交換樹脂等を用いることができる。上記酸性触媒としてイオン交換樹脂を用いる場合、ゲル型で架橋度が1〜8%、好ましくは2〜6%のスルホン酸型陽イオン交換樹脂が適しているが、特に限定されるものではない。
上記スルホン酸陽イオン交換樹脂は、そのままでも用いられるが、必要に応じて、変性させたスルホン酸陽イオン交換樹脂を用いることができる。上記変性に要される化合物としては、メルカプト基を有する化合物等があげられる。
上記メルカプト基を有する化合物としては、2−アミノエタンチオール等のアミノアルカンチオール、2−(4−ピリジル)エタンチオール等のω−ピリジルアルカンチオール、加水分解等により容易にメルカプト基を発現する2,2−ジメチルチアゾリジン等のチアゾリジン類等、従来からこの用途に用い得ることが知られている任意のものを用いることができる。
上記工程(a)で生成する反応混合物中には、一般にビスフェノールA(BPA)の他に、未反応フェノール(PL)、未反応アセトン(AT)、触媒、反応生成水及び着色物質等の副生物が含まれる。
上記工程(b)は、上記工程(a)で得られる反応混合液から低沸点成分と触媒とを除去する工程である。ここでいう低沸点成分とは、反応生成水、未反応アセトン(AT)、及びこれらと沸点が近いものである。この工程では、上記反応混合物からこれらの低沸点成分を例えば減圧蒸留等により除去し、また触媒等の固体成分は濾過等によって除かれる。なお、固定床触媒反応器を用いる場合は脱触媒の必要は特にない。減圧蒸留は圧力50〜300mmHg、温度70〜130℃の範囲を用いるのが好ましく、未反応フェノール(PL)が共沸してその一部が系外へ除かれることもある。
上記工程(c)は、上記工程(b)で得られた混合液を冷却させることにより、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との付加物の結晶を析出させ、次いで、固液を分離する工程である。この工程(c)に先立って、上記工程(b)で得られた混合液中のビスフェノールA(BPA)の濃度を、フェノールを留去又は追加することにより、ビスフェノールAの濃度を10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%に調整しておくと、上記付加物の収率を高め、かつスラリー状の混合液の見掛けの粘度を調節して、作業性を改良する上で好ましい。
上記工程(c)における冷却は、一般に45〜60℃の温度まで行われ、これによって、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との付加物の結晶が析出し、系はスラリー状になる。この冷却は、熱交換器や晶析槽において、外部冷却、又は水の蒸発潜熱による除熱によって行われる。次に、このスラリー状の液を、分離装置に送り、ろ過、遠心分離等の固液分離装置により付加物結晶と反応副生物を含む母液とに固液分離し、付加物結晶を次工程に供する。
上記工程(e)は、上記付加物が加熱溶融されていない場合、これを加熱溶融する工程である。この結晶をそのまま、又はフェノール(PL)を添加して、80〜160℃に加熱することにより溶融して次工程に供する。
上記工程(f)は、上記工程(e)で得られた溶融液からフェノール(PL)を除去して溶融ビスフェノールA(BPA)を得る工程である。工程(e)で得られた溶融液から、減圧蒸留等の方法によってフェノール(PL)を除去することにより付加物を解離させて、高純度のビスフェノールAが回収できる。この減圧蒸留は、圧力10〜100mmHg、温度150〜220℃の範囲で、かつ系内に存在するビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との混合液の融点より少なくとも10℃高い温度で行うのが好ましい。減圧蒸留に加えてスチームストリッピングを行って、残存するフェノール(PL)を除去する方法も提案されている。
また、上記工程(f)では、フェノール(PL)を完全に除去しなくてもよく、残存したフェノール(PL)は、次工程の重合工程で副生するフェノールとともに留去することができる。その際、ビスフェノールA(BPA)とジフェニルカーボネート(DPC)の供給モル比を制御すべく、工程(f)で残存するフェノールの含有量は、一定に調整することが好ましい。
上記工程(g)は、原料として、上記ビスフェノールA(BPA)及びジフェニルカーボネート(DPC)を用い、これとアルカリ水溶液等の塩基性触媒とを加えて重合反応を行い、芳香族ポリカーボネート(PC)を製造する工程である。
上記の(c)工程の晶析工程と(g)工程との間には、上記のビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との混合物の貯蔵工程(以下、「(d)工程」と称する。)が設けられる。
この(d)工程を設けることにより、(a)工程から(g)工程に入るまでのいずれかの工程が一時的に停止し、停止した工程以前の工程が断続的になっても、(d)工程で上記混合物が貯蔵され、これを(g)工程に供与することができ、連続的に芳香族ポリカーボネート(PC)を製造することが可能となる。
特に、上記の(c)工程の晶析工程は、使用される晶析槽、熱交換器等の晶析装置の接液部に固体の付着が生じやすく、数ヶ月に1度は、この工程を停止させて、掃除をする必要がある。このため、上記の(a)工程から(c)工程の晶析工程に至る工程は断続的な運転となる傾向がある。そこで、(c)工程の晶析工程と(g)工程の間に上記(d)工程を設けることにより、(a)工程から(c)工程の晶析工程に至る工程が断続的になっても、上記(g)工程を連続的に行うことができる。
上記(d)工程で貯蔵される混合物の形態としては、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との付加物結晶、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との付加物結晶を含むスラリー、ビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との混合液等があげられる。
上記のビスフェノールA(BPA)とフェノール(PL)との混合物の組成は、ビスフェノールA(BPA)が45〜70重量%、フェノール(PL)が55〜30%の範囲にあるのが一般的である。このため、上記の貯蔵時の温度が0〜95℃の場合、付加物は結晶状態となる。また、上記の混合物中のフェノール割合が高い場合、貯蔵温度が40℃以上になると、ビスフェノールA(BPA)と付加していないフェノール(PL)が溶融状態となるため、スラリー状又は溶液となる。さらに、貯蔵温度が95℃を超えると、上記付加物が溶融するため、溶融状態となる。
上記貯蔵温度は好ましくは45〜150℃であり、上記ビスフェノールAとフェノールの混合物がスラリー状ないしは溶液状態であることが望ましい。また、ビスフェノールAの分解および着色を防止する目的で、できるだけ低温で保持させるのが好ましく、上記条件下では、ビスフェノールAの分解で生じる着色原因物質と考えられる、4−イソプロペニルフェノールの生成を抑制することが可能である。
さらに、貯蔵タンク内を窒素ガス等の不活性ガス雰囲気とし、エアの混入を防止することも重要である。また、貯蔵タンクの材質は、一般的なオーステナイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼を使用することができるが、色調低下の原因になるFeの溶出の少ないものが好適に用いられ、なかでも、Cr含有量が16%以上であり、カーボン含有量が0.03%以上の鋼材質、例えば、SUS316よりはSUS304が好ましく、SUS316L、SUS304LよりはSUS316、SUS304が好ましく用いられる。当然ではあるが、よりCr含有量の高いSUS309SやSUS310Sはより好ましい方向である。
このビスフェノールAとフェノールとの混合物を貯蔵するタンクの容量は、上記(a)工程から(g)工程に入るまでの運転時間及び停止時間を考慮して決めればよく、具体的には、下記式(1)の条件を満たことが好ましい。
10≦(V/F)≦1000 (1)
なお、式(1)において、Vは、ビスフェノールAとフェノールとの混合物を貯蔵するタンクの容量(m3)を示し、Fは、重合工程に供されるビスフェノールAの供給量(m3/hr)を示す。
V/Fが10より小さいと、上記(e)工程〜(g)工程を連続的に行うことが困難となる場合がある。一方、1000より大きくてもよいが、あまり大きくしすぎても、生産効率の面から、そこまで貯蔵する必要性が乏しく、かえって無駄となりやすい。
なお、この貯蔵タンクは、1つであってもよく、直列又は並列に複数個設けても良い。複数個設けた場合の上記式(1)のVは、複数個存在するタンクの容量の合計量を意味する。
上記(d)工程では、上記の形態を有する付加物を貯蔵するため、pHが酸性やアルカリ性になった場合、分解反応が生じやすくなる。これを防止するため、上記(c)工程の晶析工程と(g)工程との間、あるいはそれより前の工程に、中和工程(以下、「(h)工程」と称する。)を設けることが好ましい。この(h)工程で、付加物中の酸成分又は塩基成分を中和することができ、付加物中のビスフェノールA(BPA)の分解を抑制することができる。
以下、この発明を、実験例を用いて説明する。
(実施例1)
〔ビスフェノールAの製造〕
温度調節器を有する流通式合成反応器に、4−ピリジンエタンチオールでスルホン酸基の15%を中和した、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化成(株)製:商品名ダイヤイオンSK−104)を60L充填した。この合成反応器に、フェノール:アセトンのモル比が10:1の混合液を温度80℃、68.2kg/hrの流量で装入し、反応させた。アセトンの転化率は80%であった。反応混合物は、低沸点物(未反応アセトン、水、フェノールの一部)を5.1kg/hの流量でパージしたのち、50℃に冷却して付加物の結晶を析出させた。これを濾過して、付加物の結晶と母液とに分離した。流量はそれぞれ16.5kg/hと46.5kg/hであった。この母液の10wt%を母液処理工程に供給し、他の母液は合成反応器に装入する原料の一部として循環させた。
ここで得られた付加物結晶を、再度27.2kg/hの流量のフェノールに溶解させたのち、50℃に冷却して結晶を析出させ、濾過して付加物の結晶(11.3kg/h)と母液(32.5kg/h)とに分離した。分離された結晶は、精製フェノール1.5kg/hrと混合され、ビスフェノールAとフェノールの60:40重量%の混合物を、12.8kg/hrで貯蔵タンク(以下の条件)にストックし、次工程のフェノール除去工程に12.0kg/hrで連続して供給した。
貯蔵タンクは、SUS304製の容量150Lのもの(明細書に記載のV/F=22となる)を使用し、系内を窒素でシールし、ビスフェノールAとフェノールの混合物の内温を120℃に調整した。また、上記ビスフェノールAとフェノールの混合物には、イオン交換樹脂からの溶出したと考えられるフェノールスルホン酸が約10重量ppb検出されたため、貯蔵タンクに移送する前に、該酸性物質を完全に中和すべく、中和相当量の苛性ソーダ水溶液を添加し中和した後、上記貯蔵タンクに供給した。貯蔵タンクの液面は、運転開始から僅かながら徐々に上昇してきた。
次に、貯蔵タンク内のビスフェノールAとフェノールの混合物は、12.0kg/hrで連続して、フェノール除去工程に移送され、0.3mmHgの減圧下、180℃に加熱してフェノールを除去し、純度99.95%以上のビスフェノールAを7.2kg/hr(6.8L/hr)の流量で得た。得られたビスフェノールAは、そのまま、後述する芳香族ポリカーボネート製造工程に連続して供給した。
一方、母液処理工程に供給した母液は、フェノールの一部を留去し濃縮した。次に、水酸化ナトリウムを0.1重量%含ませ、50mmHgの減圧下、210℃にコントロールした分解蒸留塔の塔底に装入した。塔底の液レベルは一定の条件で運転し(滞留時間 1hr)、分解蒸留塔の塔底液は0.5kg/hの流量で系外にパージした。さらに、分解蒸留塔の塔頂からの流出液と前述のフェノールとを混ぜ、スルホン酸型酸性陽イオン交換樹脂(三菱化成株式会社製、商品名ダイヤイオンSK−104)を4L充填した、流通式反応器に4.2kg/hの流量で装入し、80℃の条件で、反応させた。得られた反応液は最初の合成反応器に循環した。
前述の合成反応器へは、系外へパージされた量及び得られたビスフェノールAの量に対応する量の市販のフェノール(18.5kg/h)とアセトン(3.6kg/h)を補給し、合成反応を連続的に行い、上記の系全体としてビスフェノールAを連続的に製造した。
〔芳香族ポリカーボネートの製造〕
上記連続的に供給されるビスフェノールAとジフェニルカーボネートを窒素ガス雰囲気下、1.024重量比で溶融混合し、窒素雰囲気下、210℃、100Torrに制御した第1縦型攪拌重合槽内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。また、上記原料混合物の供給を開始すると同時に、触媒として水溶液とした炭酸セシウムをビスフェノールA1モルに対し、0.5×10-6モルの流量で連続供給した。槽底より排出された重合液は、引き続き第2、3の縦型重合槽並びに第4の横型重合槽に逐次連続供給された。反応の間、各槽の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。第1、2重合槽より蒸発するガスは、それぞれ多段凝縮器で凝縮液化され、一部を各重合槽に還流し、残りを副生フェノールタンクに回収した。一方、第3,4重合槽より蒸発するガスは、それぞれ、並列2基ある片方のフリーズコンデンサーで固化され、他方のフリーズコンデンサーとの切替運転により固化分を溶融し、副生フェノールタンクに回収した。
各反応槽の重合条件は、第1重合槽(210℃、100Torr)、第2重合槽(240℃、15Torr)、第3重合槽(260℃、0.5Torr)、第4重合槽(280℃、0.5Torr)であった。
上記得られたポリマーを溶融状態のまま、ポリカーボネート当たり5重量ppm相当のp−トルエンスルホン酸ブチルを連続的に添加しながら、ペレット化した。こうして得られたポリカーボネートのMvは21,000であり、初期YIは1.8であった。
・分子量(Mv)の測定:
ポリカーボネートの濃度(C)が0.6g/dlの塩化メチレン溶液を用いて、ウベローデ型粘度計により温度20℃で測定した比粘度(ηsp)から、下記の両式を用いて分子量(Mv)を算出した。
ηsp/C=[η](1+0.28ηsp)
[η]=1.23×10-4(Mv)0.83
・初期色相(YI)の測定:
ポリカーボネート樹脂を窒素雰囲気下、120℃で6時間乾燥した後、(株)日本製鋼所製J−100射出成形機で3mm厚の射出成形片を360℃で製作し、スガ試験機株式会社製SC−1によりYI値を測定した(このYI値が大きいほど着色していることを示す)。
上記運転を1週間継続した後、ビスフェノールAの晶析装置を洗浄する目的で、合成反応・晶析工程を一時的に約8hrほど停止した。しかしながら、その間も貯蔵タンクにストックされた混合液を用いて、後工程を連続して運転し、ビスフェノールA、および、芳香族ポリカーボネートを製造することができた。また、得られた上記品質は、1週間の継続運転時もその後の後工程のみの運転時も、初期品質と何ら変わりなく問題なかった。
(実施例2)
実施例1のビスフェノールA製造時の貯蔵タンクの容量を2m3(V/F=294となる)に変えた以外は、上記実施例1と同様の操作を行い、ビスフェノールAおよび芳香族ポリカーボネートを連続して製造した。得られた芳香族ポリカーボネートのMvは21,000であり、初期YIは1.8を示した。
また、上記運転を2ヶ月継続したが、その間、芳香族ポリカーボネートの色相(初期YI)は1.8〜1.9を示し、良好な製品を得ることができた。さらに、その後、ビスフェノールAの合成反応・晶析工程を一時的に約3日ほど停止したが、貯蔵タンクにストックされた混合液を用いて、後工程を連続して運転することができ、得られた製品品質も問題なかった。それ以降、上述の通り、ビスフェノールAの前工程(貯蔵タンクより前にある工程まで)を、2ヶ月毎に3日間停止する断続運転を行い、該ビスフェノールAの後工程から芳香族ポリカーボネートの製造までを連続運転して、約半年にわたり、良品質の芳香族ポリカーボネートを連続して得ることができた。
(比較例1)
実施例1のビスフェノールA製造時の貯蔵タンクの容量を50L(V/F=7となる)に変えた以外は、上記実施例1と同様の操作を行い、ビスフェノールAおよび芳香族ポリカーボネートを連続して製造した。得られた芳香族ポリカーボネートのMvは21,000であり、初期YIは1.8を示した。
しかしながら、上記運転を開始して2日を過ぎてから、貯蔵タンクが一杯となり、ビスフェノール製造の前工程(貯蔵タンクより前にある工程まで)の製造速度を低下させ、貯蔵タンクの液面が一定になるように調整した。その後、該前工程のみを停止したところ、貯蔵タンクの液面は見る見るうちに低下し、約4hrで空となり、後工程および芳香族ポリカーボネート工程の全工程を停止せざるを得なくなった。
(比較例2)
比較例1において、貯蔵タンクの液面が一定になるように、ビスフェノールAの前工程(貯蔵タンクより前にある工程まで)の製造速度を調整しながら、連続的にビスフェノールAを製造し、得られたビスフェノールAは冷却後、造粒されたものを、新たに設けたビスフェノールAの粉体ホッパー(容量1m3)に一度貯蔵した。その後、粉体計量フィーダーを用いて、ジフェニルカーボネート溶液に供給、溶解させながら、上述の通り連続的に芳香族ポリカーボネートを製造した。上記粉体ホッパーにビスフェノールAが存在している間は、ビスフェノールA工程を一時的に停止しても、芳香族ポリカーボネートの製造速度には問題無かったが、この方法では、溶融しているビスフェノールAを粉体にするため一度冷却し、その後溶解のために加熱する必要があり、熱効率の面で不利であった。また、ビスフェノールAの供給時に粉塵が発生し、ガスラインが閉塞するトラブルが発生した。
(比較例3)
比較例1において、貯蔵タンクの液面が一定になるように、貯蔵タンク以降の製造速度を若干上昇させ、連続的にビスフェノールAを7.7kg/hrで製造した。得られたビスフェノールA単体は、新たに設けた容量2m3のタンクに貯蔵され、内温が160℃にコントロールされた後、比較例1と同様に、7.2kg/hrで芳香族ポリカーボネートの製造原料として供給した。得られた芳香族ポリカーボネートの初期YIは1.8であったが、運転を継続するにつれて、色相が明らかに悪化し始め、ビスフェノールA単体で溶融保持すると品質は大幅に悪化した。
この発明に係る芳香族ポリカーボネート(PC)製造工程のスキームを示す工程図

Claims (7)

  1. フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、晶析工程、加熱融解工程、フェノール除去工程を経て溶融ビスフェノールAを得、この溶融ビスフェノールA及びジフェニルカーボネートを原料として重合させる重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造するために使用される芳香族ポリカーボネートの製造設備において、
    上記晶析工程で使用される晶析装置と、上記フェノール除去工程で使用される装置との間に、ビスフェノールAとフェノールとの混合物を貯蔵するタンクを設け
    このタンクの容量は、下記式(1)の条件を満たすことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造設備。
    10≦(V/F)≦1000 (1)
    (なお、式(1)において、Vは、ビスフェノールAとフェノールとの混合物を貯蔵するタンクの容量(m )を示し、Fは、重合工程に供されるビスフェノールAの供給量(m /hr)を示す。)
  2. 前記のビスフェノールAとフェノールとの混合物を貯蔵するタンクを、前記の加熱融解工程で使用される装置とフェノール除去工程で使用される装置との間に設けることを特徴とする請求項1に記載の芳香族ポリカーボネートの製造設備。
  3. フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、晶析工程、加熱融解工程、フェノール除去工程を経て溶融ビスフェノールAを得、この溶融ビスフェノールA及びジフェニルカーボネートを原料として重合させる重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造する芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
    上記の晶析工程とフェノール除去工程との間に、ビスフェノールAとフェノールとの混合物をタンクにより貯蔵する貯蔵工程を設け
    このタンクの容量は、下記式(1)の条件を満たすことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法。
    10≦(V/F)≦1000 (1)
    (なお、式(1)において、Vは、ビスフェノールAとフェノールとの混合物を貯蔵するタンクの容量(m )を示し、Fは、重合工程に供されるビスフェノールAの供給量(m /hr)を示す。)
  4. 前記のビスフェノールAとフェノールとの混合物をタンクにより貯蔵する貯蔵工程を、前記の加熱融解工程とフェノール除去工程との間に設けることを特徴とする請求項3に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  5. 上記ビスフェノールAとフェノールとの混合物の貯蔵工程において、この混合物が、ビスフェノールAとフェノールとの付加物結晶、ビスフェノールAとフェノールとの付加物結晶を含むスラリー、ビスフェノールAとフェノールとの混合液のいずれかの形態で貯蔵される請求項3又は4に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  6. 上記晶析工程と重合工程との間、又はそれより前の工程に、中和工程を設けることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
  7. フェノール及びアセトンを原料とし、合成反応工程、晶析工程、加熱融解工程、フェノール除去工程を経て溶融ビスフェノールAを得、この溶融ビスフェノールA及びジフェニルカーボネートを原料として重合させる重合工程を経て芳香族ポリカーボネートを製造する芳香族ポリカーボネートの製造方法において、
    上記の合成反応工程から晶析工程に至る工程を断続的に行うと共に、上記重合工程を連続的に行うことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネートの製造方法。
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