JP4701545B2 - インクセット - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、黒色の水性顔料インク組成物と黒色以外の水性顔料インク組成物の少なくとも一種とからなるインクセットに関し、特に、保存安定性及び発色性に優れる印刷物の提供が可能であると共に、カラーブリード等を起こすおそれがないインクセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インクの小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う記録方法である。この記録方法は、複数色のインクからなるインクセットを用いることにより、多色印刷を容易に行うことができるため、種々の分野において急速に普及している。インクジェット記録に用いられるインクとしては、水を主成分とし、これに色材及び有機溶剤その他の各種添加剤を含有させた水性インクが一般的である。色材としては、染料及び顔料があり、彩度の高さ、種類の豊富さ、水への溶解性等の理由で、現在は染料が主流となっている。しかし、染料は一般に耐候性に劣るため、染料インクにより文字及び/又は画像を印刷された印刷物は画像堅牢性に劣るという欠点を有している。これに対し、顔料は耐候性に優れているので、近年その需要が高まってきており、顔料の特性を活かした水性顔料インクの開発が進められている。
【0003】
水性顔料インクには、一般に、保存安定性に優れる、発色性に優れる印刷物が得られる、等の特性が求められる。このような特性を満たす水性顔料インクとして、ポリエチレンイミンを含有させた水性顔料インクが知られている(例えば、特開平6−329964号公報、特開平10−36726号公報及び特開平10−60352号公報等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
複数色の水性顔料インクからなる従来のインクセットは、記録媒体への多色印刷に用いられると、異なる色の境界で色が混じり合って境界がはっきりしなくなる現象、いわゆるカラーブリードを起こすという問題があった。また、従来のインクセットは、単色でインクを打ち込んだ場合でも、単色の部分が周囲に広がるように滲んでしまう現象(いわゆる色滲み)や、紙(記録媒体)を構成するパルプ繊維に沿ってインクが広がり、ヒゲ状の筋が発生する現象(いわゆるフェザリング)を起こすという問題もあった。これらの現象は、特に、黒色インク部分とカラーインク部分(特にイエローインク部分)との間で目立ち、画質の著しい低下を招く。
【0005】
従って、本発明の目的は、保存安定性及び発色性に優れる印刷物の提供が可能であると共に、カラーブリード等を起こすおそれがないインクセットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、保存安定性及び発色性に優れる印刷物の提供が可能な、ポリエチレンイミンを含有させた水性顔料インクについて種々検討した結果、分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体を含有する水性顔料インクにポリエチレンイミンを添加すると、該水性顔料インクは凝集してゲル化するが、分散剤として(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体を含有する水性顔料インクにポリエチレンイミンを添加しても該水性顔料インクはゲル化しないことを知見すると共に、このようなポリエチレンイミンを含有させた水性顔料インクの分散剤の違いによるゲル化の有無を、黒色の水性顔料インク組成物と黒色以外の水性顔料インク組成物の少なくとも一種とからなるインクセットに適用することにより、カラーブリード等を防止することができることを知見した。
【0007】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、黒色の水性顔料インク組成物と黒色以外の水性顔料インク組成物の少なくとも一種とからなるインクセットにおいて、黒色の前記水性顔料インク組成物が、顔料、ポリエチレンイミン、(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体及び水を含有しており、黒色以外の前記水性顔料インク組成物が、顔料、スチレン−アクリル酸共重合体及び水を含有するインクセットを提供することにより上記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクセットについて詳述する。
本発明のインクセットは、前述の通り、黒色の水性顔料インク組成物と黒色以外の水性顔料インク組成物の少なくとも一種とからなるインクセットであり、黒色の水性顔料インク組成物が、顔料、ポリエチレンイミン、(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体及び水を含有しており、黒色以外の他の色の水性顔料インク組成物が、顔料、スチレン−アクリル酸共重合体及び水を含有している。
【0009】
本発明に係る黒色の水性顔料インク組成物に含有されるポリエチレンイミンとしては、この種のインクにおいて用いられるものでよく、アニオン変性、カチオン変性されているものでもよい。また、ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、好ましくは500〜10000、更に好ましくは800〜2000である。
【0010】
前記ポリエチレンイミンは、本発明に係る黒色の水性顔料インク組成物中、好ましくは0.1〜3重量%、更に好ましくは0.2〜1重量%含有される。含有量が0.1重量%未満では、印字品質の向上や、色滲み、カラーブリード、フェザリング等の防止効果に乏しく、3重量%超では、インク粘度が上がりインクの取扱性に劣る、保存安定性が低下する等のおそれがある。
また、前記(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体は、顔料の分散安定性とインク取扱性とのバランスの観点から、本発明に係る黒色の水性顔料インク組成物中、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%、一層好ましくは2〜10重量%含有される。
【0011】
一方、本発明に係る黒色以外の水性顔料インク組成物に含有されるスチレン−アクリル酸共重合体としては、この種のインクにおいて、通常、分散剤として用いられているスチレン−アクリル酸共重合体が好ましく用いられるが、特に、重量平均分子量が好ましくは1000〜100000、更に好ましくは5000〜10000のものを用いることが好ましい。
【0012】
前記スチレン−アクリル酸共重合体は、顔料の分散安定性とインク取扱性とのバランスの観点から、本発明に係る黒色以外の水性顔料インク組成物中、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%、一層好ましくは2〜5重量%含有される。
【0013】
本発明に係る水性顔料インク組成物中に含有される顔料としては、この種のインクに用いられるものと同様のものを用いることができ、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の有機顔料;チタン白、亜鉛華、鉛白、カーボンブラック系、ベンガラ、朱、カドミウム赤、黄鉛、群青、コバルト青、コバルト紫、ジンクロメート等の無機顔料等が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水相に分散可能なら、何れも使用できる。尚、「顔料」とは、水や溶剤、油等に不溶の粒子状の固体をいう。
【0014】
前記顔料は、本発明に係る水性顔料インク組成物中、好ましくは0.5〜15重量%、更に好ましくは2〜10重量%含有される。含有量が0.5重量%未満では、印字濃度が不十分であり、15重量%超では、粘度の増大やインクジェット記録用インクとして用いた場合にノズルの目詰まりを起こすおそれがある。
【0015】
本発明に係る水性顔料インク組成物には、記録媒体への濡れ性を高めて浸透性を高める観点から、浸透促進剤を含有させることができる。浸透促進剤としては、水溶液(水性顔料インク組成物)の表面張力の低下作用を有するものが用いられ、水溶性有機溶剤及び/又は界面活性剤を用いることが好ましい。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のカルビトール類;エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコ−ル−n−ブチルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
また、前記界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;サーフィノール61、82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等のアセチレングリコ−ル系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
前記浸透促進剤は、本発明に係る水性顔料インク組成物中、好ましくは0.5〜40重量%、更に好ましくは2〜30重量%含有される。
【0016】
また、本発明に係る水性顔料インク組成物には、吐出安定性を向上させる観点から、保湿剤を含有させることができる。保湿剤としては、この種の水性顔料インク組成物におけるものと同様のものを特に制限なく用いることができ、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等の糖類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
前記保湿剤は、本発明に係る水性顔料インク組成物中、好ましくは0.5〜40重量%、更に好ましくは2〜30重量%含有される。
【0017】
本発明に係る水性顔料インク組成物には、上述したように、顔料と、ポリエチレンイミン及び(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体又はスチレン−アクリル酸共重合体とを含有させ、更に必要に応じて、浸透促進剤、保湿剤を含有させ、バランスとして水を含有させる。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
【0018】
本発明に係る水性顔料インク組成物には、更に必要に応じて、水溶性ロジン類等の定着剤、安息香酸ナトリウム等の防黴剤・防腐剤、アロハネート類等の酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤等の添加剤を含有させることができ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらの各添加剤としては、この種の水性顔料インク組成物におけるものと同様のものを特に制限なく用いることができる。
【0019】
本発明に係る水性顔料インク組成物は、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル等を使用して、従来の顔料インクと同様に調製することができる。調製に際しては、メンブレンフィルターやメッシュフィルター等を用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
【0020】
本発明のインクセットは、水性顔料インク組成物を記録媒体に付着させて印字を行う記録方法であれば、何れの方法でも好適に使用できる。このような記録方法としては、例えば、水性顔料インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行う記録方法であるインクジェット記録方法、ペン等による筆記具による記録方法、その他各種の印字方法が挙げられ、特にインクジェット記録方法、とりわけオンデマンド型のインクジェット記録方法に用いられることが好ましい。オンデマンド型のインクジェット記録方法としては、例えば、プリンターヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う圧電素子記録方法、プリンターヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法等が挙げられ、何れのインクジェット記録方法にも好適に使用できる。
【0021】
本発明のインクセットは、記録媒体に対して多色印刷に用いられた場合、黒色の水性顔料インク組成物中に、ポリエチレンイミン及び(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体が含有されており、また、黒色以外の水性顔料インク組成物が、ポリエチレンイミンの添加によりゲル化を起こすスチレン−アクリル酸共重合体分散系のインクとなっているので、黒色インク部分とそれ以外の色のインク部分(カラーインク部分)との境界部分で、該カラーインクがゲル化し、その結果、カラーブリードや色滲み、フェザリングが防止される。
【0022】
また、本発明のインクセットは、黒色の水性顔料インク組成物中に含有されたポリエチレンイミンの作用により、保存安定性及び発色性に優れる印刷物の提供が可能であり、特に、記録媒体としてサイズ処理紙を用いた場合に有効である。本発明のインクセットが、特にサイズ処理紙に有効である理由は、黒色の水性顔料インク組成物中に含有されたポリエチレンイミンと、記録媒体表面のカルボキシル基とが反応して該黒色の水性顔料インク組成物のゲル化が起こる結果、顔料が記録媒体上に多く残るためと推察される。また、前記サイズ処理紙とは、サイズ剤が内添及び/又は表面塗工された記録媒体を意味し、該記録媒体には、普通紙(被記録面に繊維が露呈している記録媒体)の他、塗工紙も含まれる。
【0023】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
本発明のインクセットは、黒色の水性顔料インク組成物と黒色以外の水性顔料インク組成物の少なくとも一種とからなるインクセットであればよく、インクの色の種類及び数は特に制限されない。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例により何等制限されるものではない。
【0025】
〔実施例1〕
ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色の水性顔料インク組成物をそれぞれ調製し、これらの水性顔料インク組成物からなるインクセット1を得た。各水性顔料インク組成物の組成は、下記の通りとし、それらの調製は、何れも下記の要領で行った。
顔料と分散剤と水とを混合して混合物とし、サンドミル(安川製作所製)中で、該混合物の1.5倍量(重量)のガラスビーズ(直径1.7mm)と共に2時間分散させた後、ガラスビーズを取り除いて、顔料分散液を得た。次いで、下記組成における顔料と分散剤以外の成分(溶剤及び添加剤)を混合且つ溶解させてインク溶媒を調製し、前記顔料分散液を撹拌しながら、該インク溶媒を該顔料分散液に徐々に滴下して、常温で20分間撹拌した。その後、これを5μmのメンブランフィルターで濾過して、インクジェット記録用の水性顔料インク組成物を得た。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
〔実施例2〕
前記ブラック顔料インク組成物に代えて、下記〈ブラック顔料インク組成物の組成2〉からなるブラック顔料インク組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、インクセット2を得た。
【0031】
〔比較例1〕
前記ブラック顔料インク組成物に代えて、下記〈ブラック顔料インク組成物の組成3〉からなるブラック顔料インク組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、インクセット3を得た。
【0032】
〔比較例2〕
前記ブラック顔料インク組成物に代えて、下記〈ブラック顔料インク組成物の組成4〉からなるブラック顔料インク組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、インクセット4を得た。
【0033】
〔比較例3〕
前記ブラック顔料インク組成物に代えて、下記〈ブラック染料インク組成物の組成〉からなるブラック染料インク組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、インクセット5を得た。このブラック染料インク組成物は、染料をインク溶媒に加え、常温で20分撹拌して溶解した後、5μmのメンブランフィルターで濾過することにより調製した。
【0034】
〔試験例〕
実施例1〜2及び比較例1〜3の各インクセットそれぞれにより、インクジェットプリンタ(商品名「EM−900C」、セイコーエプソン(株)製)を用いて、常温常圧下にて記録媒体に対し印刷を行い、印刷物をそれぞれ得た。そして、これらの印刷物について、印刷直後の色滲み評価、印刷後のカラーブリード評価、印刷後のフェザリング評価を、それぞれ下記の試験により行った。それらの結果を、下記〔表1〕に示す。
尚、前記記録媒体として、「XeroxP」(商品名、ゼロックス(株)製)、「Xerox4024」(商品名、ゼロックス(株)製)及び「上質普通紙」(セイコーエプソン(株)製、型番 KA4250NP)の3種類の普通紙を用いた。また、印刷モードは、推奨設定(きれい)モードとした。
【0035】
(印刷直後の色滲み評価試験)
印刷直後の前記各印刷物について、そのイエローとブラックとが重なって印刷される領域(画質低下が最も判別し易い領域)をそれぞれ目視により観察し、ブラックの色滲みの程度を下記評価基準により評価した。
<評価基準>
A:色滲みの無い、良好な画像が得られた。
B:色滲みが僅かに生じた。
C:色滲みの発生がはっきりと認められた。
D:色の境界がはっきりしない程、滲みが起こった。
【0036】
(印刷後のカラーブリード評価試験)
自然乾燥させた後の前記各印刷物について、そのイエローとブラックとが重なって印刷される領域(画質低下が最も判別し易い領域)をそれぞれ目視により観察し、それらの色境界での不均一な色混じりの程度を下記評価基準により評価した。
<評価基準>
A:色混じりの無い、良好な画像が得られた。
B:色混じりが僅かに生じた。
C:色混じりの発生が認められた。
D:色の境界がはっきりしない程、色混じりが起こった。
【0037】
(印刷後のフェザリング評価試験)
自然乾燥させた後の前記各印刷物について、そのイエローとブラックとが重なって印刷される領域(画質低下が最も判別し易い領域)をそれぞれ目視により観察し、ブラックのヒゲ状の滲み出しの有無を下記評価基準により評価した。
<評価基準>
A:ヒゲ状の滲み出しの無い、良好な画像が得られた。
B:ヒゲ状の滲み出しが僅かに生じた。
C:ヒゲ状の滲み出しの発生が認められた。
−:滲みやカラーブリードがひどく、評価出来なかった。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜2の各インクセットは、何れも色滲み、色混じり、ヒゲ状の滲み出しがなく、高画質の印刷物を提供することが可能であることが分かる。これに対し、比較例1〜3の各インクセットは、印刷物の色滲み等がひどく、高画質の印刷物を提供することが出来なかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明のインクセットによれば、発色性に優れると共に、カラーブリード等がない高画質の印刷物の提供が可能である。また、本発明のインクセットは、保存安定性に優れており、長期保存が可能である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、黒色の水性顔料インク組成物と黒色以外の水性顔料インク組成物の少なくとも一種とからなるインクセットに関し、特に、保存安定性及び発色性に優れる印刷物の提供が可能であると共に、カラーブリード等を起こすおそれがないインクセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インクの小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う記録方法である。この記録方法は、複数色のインクからなるインクセットを用いることにより、多色印刷を容易に行うことができるため、種々の分野において急速に普及している。インクジェット記録に用いられるインクとしては、水を主成分とし、これに色材及び有機溶剤その他の各種添加剤を含有させた水性インクが一般的である。色材としては、染料及び顔料があり、彩度の高さ、種類の豊富さ、水への溶解性等の理由で、現在は染料が主流となっている。しかし、染料は一般に耐候性に劣るため、染料インクにより文字及び/又は画像を印刷された印刷物は画像堅牢性に劣るという欠点を有している。これに対し、顔料は耐候性に優れているので、近年その需要が高まってきており、顔料の特性を活かした水性顔料インクの開発が進められている。
【0003】
水性顔料インクには、一般に、保存安定性に優れる、発色性に優れる印刷物が得られる、等の特性が求められる。このような特性を満たす水性顔料インクとして、ポリエチレンイミンを含有させた水性顔料インクが知られている(例えば、特開平6−329964号公報、特開平10−36726号公報及び特開平10−60352号公報等参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
複数色の水性顔料インクからなる従来のインクセットは、記録媒体への多色印刷に用いられると、異なる色の境界で色が混じり合って境界がはっきりしなくなる現象、いわゆるカラーブリードを起こすという問題があった。また、従来のインクセットは、単色でインクを打ち込んだ場合でも、単色の部分が周囲に広がるように滲んでしまう現象(いわゆる色滲み)や、紙(記録媒体)を構成するパルプ繊維に沿ってインクが広がり、ヒゲ状の筋が発生する現象(いわゆるフェザリング)を起こすという問題もあった。これらの現象は、特に、黒色インク部分とカラーインク部分(特にイエローインク部分)との間で目立ち、画質の著しい低下を招く。
【0005】
従って、本発明の目的は、保存安定性及び発色性に優れる印刷物の提供が可能であると共に、カラーブリード等を起こすおそれがないインクセットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、保存安定性及び発色性に優れる印刷物の提供が可能な、ポリエチレンイミンを含有させた水性顔料インクについて種々検討した結果、分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体を含有する水性顔料インクにポリエチレンイミンを添加すると、該水性顔料インクは凝集してゲル化するが、分散剤として(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体を含有する水性顔料インクにポリエチレンイミンを添加しても該水性顔料インクはゲル化しないことを知見すると共に、このようなポリエチレンイミンを含有させた水性顔料インクの分散剤の違いによるゲル化の有無を、黒色の水性顔料インク組成物と黒色以外の水性顔料インク組成物の少なくとも一種とからなるインクセットに適用することにより、カラーブリード等を防止することができることを知見した。
【0007】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、黒色の水性顔料インク組成物と黒色以外の水性顔料インク組成物の少なくとも一種とからなるインクセットにおいて、黒色の前記水性顔料インク組成物が、顔料、ポリエチレンイミン、(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体及び水を含有しており、黒色以外の前記水性顔料インク組成物が、顔料、スチレン−アクリル酸共重合体及び水を含有するインクセットを提供することにより上記目的を達成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のインクセットについて詳述する。
本発明のインクセットは、前述の通り、黒色の水性顔料インク組成物と黒色以外の水性顔料インク組成物の少なくとも一種とからなるインクセットであり、黒色の水性顔料インク組成物が、顔料、ポリエチレンイミン、(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体及び水を含有しており、黒色以外の他の色の水性顔料インク組成物が、顔料、スチレン−アクリル酸共重合体及び水を含有している。
【0009】
本発明に係る黒色の水性顔料インク組成物に含有されるポリエチレンイミンとしては、この種のインクにおいて用いられるものでよく、アニオン変性、カチオン変性されているものでもよい。また、ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、好ましくは500〜10000、更に好ましくは800〜2000である。
【0010】
前記ポリエチレンイミンは、本発明に係る黒色の水性顔料インク組成物中、好ましくは0.1〜3重量%、更に好ましくは0.2〜1重量%含有される。含有量が0.1重量%未満では、印字品質の向上や、色滲み、カラーブリード、フェザリング等の防止効果に乏しく、3重量%超では、インク粘度が上がりインクの取扱性に劣る、保存安定性が低下する等のおそれがある。
また、前記(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体は、顔料の分散安定性とインク取扱性とのバランスの観点から、本発明に係る黒色の水性顔料インク組成物中、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10重量%、一層好ましくは2〜10重量%含有される。
【0011】
一方、本発明に係る黒色以外の水性顔料インク組成物に含有されるスチレン−アクリル酸共重合体としては、この種のインクにおいて、通常、分散剤として用いられているスチレン−アクリル酸共重合体が好ましく用いられるが、特に、重量平均分子量が好ましくは1000〜100000、更に好ましくは5000〜10000のものを用いることが好ましい。
【0012】
前記スチレン−アクリル酸共重合体は、顔料の分散安定性とインク取扱性とのバランスの観点から、本発明に係る黒色以外の水性顔料インク組成物中、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%、一層好ましくは2〜5重量%含有される。
【0013】
本発明に係る水性顔料インク組成物中に含有される顔料としては、この種のインクに用いられるものと同様のものを用いることができ、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、キナクリドン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の有機顔料;チタン白、亜鉛華、鉛白、カーボンブラック系、ベンガラ、朱、カドミウム赤、黄鉛、群青、コバルト青、コバルト紫、ジンクロメート等の無機顔料等が挙げられる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であっても水相に分散可能なら、何れも使用できる。尚、「顔料」とは、水や溶剤、油等に不溶の粒子状の固体をいう。
【0014】
前記顔料は、本発明に係る水性顔料インク組成物中、好ましくは0.5〜15重量%、更に好ましくは2〜10重量%含有される。含有量が0.5重量%未満では、印字濃度が不十分であり、15重量%超では、粘度の増大やインクジェット記録用インクとして用いた場合にノズルの目詰まりを起こすおそれがある。
【0015】
本発明に係る水性顔料インク組成物には、記録媒体への濡れ性を高めて浸透性を高める観点から、浸透促進剤を含有させることができる。浸透促進剤としては、水溶液(水性顔料インク組成物)の表面張力の低下作用を有するものが用いられ、水溶性有機溶剤及び/又は界面活性剤を用いることが好ましい。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のカルビトール類;エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコ−ル−n−ブチルエーテル等のグリコールエーテル類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
また、前記界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;サーフィノール61、82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等のアセチレングリコ−ル系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
前記浸透促進剤は、本発明に係る水性顔料インク組成物中、好ましくは0.5〜40重量%、更に好ましくは2〜30重量%含有される。
【0016】
また、本発明に係る水性顔料インク組成物には、吐出安定性を向上させる観点から、保湿剤を含有させることができる。保湿剤としては、この種の水性顔料インク組成物におけるものと同様のものを特に制限なく用いることができ、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等の糖類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。
前記保湿剤は、本発明に係る水性顔料インク組成物中、好ましくは0.5〜40重量%、更に好ましくは2〜30重量%含有される。
【0017】
本発明に係る水性顔料インク組成物には、上述したように、顔料と、ポリエチレンイミン及び(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体又はスチレン−アクリル酸共重合体とを含有させ、更に必要に応じて、浸透促進剤、保湿剤を含有させ、バランスとして水を含有させる。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
【0018】
本発明に係る水性顔料インク組成物には、更に必要に応じて、水溶性ロジン類等の定着剤、安息香酸ナトリウム等の防黴剤・防腐剤、アロハネート類等の酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤等の添加剤を含有させることができ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらの各添加剤としては、この種の水性顔料インク組成物におけるものと同様のものを特に制限なく用いることができる。
【0019】
本発明に係る水性顔料インク組成物は、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミル等を使用して、従来の顔料インクと同様に調製することができる。調製に際しては、メンブレンフィルターやメッシュフィルター等を用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
【0020】
本発明のインクセットは、水性顔料インク組成物を記録媒体に付着させて印字を行う記録方法であれば、何れの方法でも好適に使用できる。このような記録方法としては、例えば、水性顔料インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて印字を行う記録方法であるインクジェット記録方法、ペン等による筆記具による記録方法、その他各種の印字方法が挙げられ、特にインクジェット記録方法、とりわけオンデマンド型のインクジェット記録方法に用いられることが好ましい。オンデマンド型のインクジェット記録方法としては、例えば、プリンターヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う圧電素子記録方法、プリンターヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法等が挙げられ、何れのインクジェット記録方法にも好適に使用できる。
【0021】
本発明のインクセットは、記録媒体に対して多色印刷に用いられた場合、黒色の水性顔料インク組成物中に、ポリエチレンイミン及び(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体が含有されており、また、黒色以外の水性顔料インク組成物が、ポリエチレンイミンの添加によりゲル化を起こすスチレン−アクリル酸共重合体分散系のインクとなっているので、黒色インク部分とそれ以外の色のインク部分(カラーインク部分)との境界部分で、該カラーインクがゲル化し、その結果、カラーブリードや色滲み、フェザリングが防止される。
【0022】
また、本発明のインクセットは、黒色の水性顔料インク組成物中に含有されたポリエチレンイミンの作用により、保存安定性及び発色性に優れる印刷物の提供が可能であり、特に、記録媒体としてサイズ処理紙を用いた場合に有効である。本発明のインクセットが、特にサイズ処理紙に有効である理由は、黒色の水性顔料インク組成物中に含有されたポリエチレンイミンと、記録媒体表面のカルボキシル基とが反応して該黒色の水性顔料インク組成物のゲル化が起こる結果、顔料が記録媒体上に多く残るためと推察される。また、前記サイズ処理紙とは、サイズ剤が内添及び/又は表面塗工された記録媒体を意味し、該記録媒体には、普通紙(被記録面に繊維が露呈している記録媒体)の他、塗工紙も含まれる。
【0023】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
本発明のインクセットは、黒色の水性顔料インク組成物と黒色以外の水性顔料インク組成物の少なくとも一種とからなるインクセットであればよく、インクの色の種類及び数は特に制限されない。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げ、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例により何等制限されるものではない。
【0025】
〔実施例1〕
ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色の水性顔料インク組成物をそれぞれ調製し、これらの水性顔料インク組成物からなるインクセット1を得た。各水性顔料インク組成物の組成は、下記の通りとし、それらの調製は、何れも下記の要領で行った。
顔料と分散剤と水とを混合して混合物とし、サンドミル(安川製作所製)中で、該混合物の1.5倍量(重量)のガラスビーズ(直径1.7mm)と共に2時間分散させた後、ガラスビーズを取り除いて、顔料分散液を得た。次いで、下記組成における顔料と分散剤以外の成分(溶剤及び添加剤)を混合且つ溶解させてインク溶媒を調製し、前記顔料分散液を撹拌しながら、該インク溶媒を該顔料分散液に徐々に滴下して、常温で20分間撹拌した。その後、これを5μmのメンブランフィルターで濾過して、インクジェット記録用の水性顔料インク組成物を得た。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
〔実施例2〕
前記ブラック顔料インク組成物に代えて、下記〈ブラック顔料インク組成物の組成2〉からなるブラック顔料インク組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、インクセット2を得た。
【0031】
〔比較例1〕
前記ブラック顔料インク組成物に代えて、下記〈ブラック顔料インク組成物の組成3〉からなるブラック顔料インク組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、インクセット3を得た。
【0032】
〔比較例2〕
前記ブラック顔料インク組成物に代えて、下記〈ブラック顔料インク組成物の組成4〉からなるブラック顔料インク組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、インクセット4を得た。
【0033】
〔比較例3〕
前記ブラック顔料インク組成物に代えて、下記〈ブラック染料インク組成物の組成〉からなるブラック染料インク組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、インクセット5を得た。このブラック染料インク組成物は、染料をインク溶媒に加え、常温で20分撹拌して溶解した後、5μmのメンブランフィルターで濾過することにより調製した。
【0034】
〔試験例〕
実施例1〜2及び比較例1〜3の各インクセットそれぞれにより、インクジェットプリンタ(商品名「EM−900C」、セイコーエプソン(株)製)を用いて、常温常圧下にて記録媒体に対し印刷を行い、印刷物をそれぞれ得た。そして、これらの印刷物について、印刷直後の色滲み評価、印刷後のカラーブリード評価、印刷後のフェザリング評価を、それぞれ下記の試験により行った。それらの結果を、下記〔表1〕に示す。
尚、前記記録媒体として、「XeroxP」(商品名、ゼロックス(株)製)、「Xerox4024」(商品名、ゼロックス(株)製)及び「上質普通紙」(セイコーエプソン(株)製、型番 KA4250NP)の3種類の普通紙を用いた。また、印刷モードは、推奨設定(きれい)モードとした。
【0035】
(印刷直後の色滲み評価試験)
印刷直後の前記各印刷物について、そのイエローとブラックとが重なって印刷される領域(画質低下が最も判別し易い領域)をそれぞれ目視により観察し、ブラックの色滲みの程度を下記評価基準により評価した。
<評価基準>
A:色滲みの無い、良好な画像が得られた。
B:色滲みが僅かに生じた。
C:色滲みの発生がはっきりと認められた。
D:色の境界がはっきりしない程、滲みが起こった。
【0036】
(印刷後のカラーブリード評価試験)
自然乾燥させた後の前記各印刷物について、そのイエローとブラックとが重なって印刷される領域(画質低下が最も判別し易い領域)をそれぞれ目視により観察し、それらの色境界での不均一な色混じりの程度を下記評価基準により評価した。
<評価基準>
A:色混じりの無い、良好な画像が得られた。
B:色混じりが僅かに生じた。
C:色混じりの発生が認められた。
D:色の境界がはっきりしない程、色混じりが起こった。
【0037】
(印刷後のフェザリング評価試験)
自然乾燥させた後の前記各印刷物について、そのイエローとブラックとが重なって印刷される領域(画質低下が最も判別し易い領域)をそれぞれ目視により観察し、ブラックのヒゲ状の滲み出しの有無を下記評価基準により評価した。
<評価基準>
A:ヒゲ状の滲み出しの無い、良好な画像が得られた。
B:ヒゲ状の滲み出しが僅かに生じた。
C:ヒゲ状の滲み出しの発生が認められた。
−:滲みやカラーブリードがひどく、評価出来なかった。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜2の各インクセットは、何れも色滲み、色混じり、ヒゲ状の滲み出しがなく、高画質の印刷物を提供することが可能であることが分かる。これに対し、比較例1〜3の各インクセットは、印刷物の色滲み等がひどく、高画質の印刷物を提供することが出来なかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明のインクセットによれば、発色性に優れると共に、カラーブリード等がない高画質の印刷物の提供が可能である。また、本発明のインクセットは、保存安定性に優れており、長期保存が可能である。
Claims (8)
- 黒色の水性顔料インク組成物と黒色以外の水性顔料インク組成物の少なくとも一種とからなるインクセットにおいて、
黒色の前記水性顔料インク組成物が、顔料、ポリエチレンイミン、(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体及び水を含有しており、
黒色以外の前記水性顔料インク組成物が、顔料、スチレン−アクリル酸共重合体及び水を含有するインクセット。 - 黒色の前記水性顔料インク組成物が、前記ポリエチレンイミンを0.1〜3重量%及び前記(メタクリル酸−2−フェノキシエチル)−スチレン共重合体を0.1〜20重量%含有する請求項1記載のインクセット。
- 前記ポリエチレンイミンの重量平均分子量が500〜10000である請求項1又は2記載のインクセット。
- 黒色以外の前記水性顔料インク組成物が、前記スチレン−アクリル酸共重合体を0.1〜20重量%含有する請求項1〜3の何れかに記載のインクセット。
- インクジェット記録方法に用いられる請求項1〜4の何れかに記載のインクセット。
- 請求項1〜5の何れかに記載のインクセットを用いて、記録媒体に文字及び/又は画像を形成する記録方法。
- 前記記録媒体がサイズ処理紙である請求項6記載の記録方法。
- 請求項6又は7記載の記録方法によって記録が行われた記録物。
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