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JP4699001B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、未凝固部を含む鋳片の短辺面を連続して打撃することにより、鋳片に振動を付与しつつ鋳造する連続鋳造方法に関する。
連続鋳造により鋳造された鋳片の厚さ方向の中心部およびその近傍には、中心偏析やV偏析とよばれるマクロ偏析である内部欠陥が発生しやすい。中心偏析は、鋳片の最終凝固部にC、S、P、Mnなどの偏析しやすい溶質成分(以下、「偏析成分」ともいう)が濃化して発生する内部欠陥であり、V偏析は、鋳片の最終凝固部の近傍に、これらの偏析成分がV字状に濃化して発生する内部欠陥である。
これらのマクロ偏析が発生した鋳片を素材として熱間加工を行った製品では、靱性の低下や水素誘起割れなどが発生しやすく、また、これらの製品を冷間で最終製品に加工する際に、割れが発生しやすくなる。
鋳片における偏析の生成機構は、以下のように考えられている。すなわち、凝固が進行するにつれて、凝固組織である柱状晶の樹枝間に偏析成分が濃化する。その偏析成分の濃化した溶鋼が、凝固時の鋳片の収縮、またはバルジングと呼ばれる鋳片の膨れなどにより、柱状晶の樹枝間から流出する。流出した濃化溶鋼は、最終凝固部の凝固完了点に向かって流動し、そのまま凝固して偏析成分の濃化帯を形成する。このようにして形成された偏析成分の濃化帯が偏析である。
鋳片の偏析防止対策としては、柱状晶の樹枝間に残った偏析成分の濃化した溶鋼の移動を防止すること、およびこれらの濃化溶鋼が局所的に集積することを防止することなどが効果的である。本発明者らは、上述の課題を達成するために研究を重ね、未凝固部を含む鋳片に鋳片表面から打撃を付与することが、偏析の低減に極めて有効であることを知見し、下記の特許文献1および特許文献2に記載の連続鋳造方法を提案した。
特許文献1にて提案した連続鋳造方法は、下記の第1〜第3に示される鋳造方法である。すなわち、第1の方法は、横断面形状が矩形の鋳片を鋳造する際に、未凝固部を含む鋳片の短辺面側に配置した打撃振動装置により、未凝固部を含む鋳片の短辺面を連続して打撃することにより、鋳片に振動を付与しつつ鋳造する鋼の連続鋳造方法である。また、第2の方法は、前記第1の方法において、さらに、鋳片の短辺面を最初に打撃した位置より鋳造方向に下流側で、中心固相率が0.2〜0.95である未凝固部を含む位置の鋳片を、ガイドロール対を用いて、鋳造方向の長さ1m当たり0.5mm〜2.5mmの割合で圧下する鋳造方法である。そして、第3の方法は、第1の方法において、未凝固部を含む鋳片の短辺面を連続して打撃する位置の上流側または下流側において、未凝固部を含む鋳片をバルジングさせ始め、そのバルジングさせた鋳片を、鋳片の短辺面を最初に打撃した位置より鋳造方向下流側の厚さ中心部が凝固完了するまでの間で、R=D1/D2により表される圧下率Rが0.8〜1.1となる条件で、圧下ロール対により鋳片を圧下する鋳造方法である。ここで、D1は未凝固部を含む鋳片の幅中央部における圧下量(mm)を、D2は圧下開始時の固相率が0.8以下の未凝固部の厚さ(mm)を表す。
また、特許文献2にて提案した方法は、下記の第1および第2の鋳造方法である。すなわち、第1の方法は、矩形の横断面形状を有する鋳片の未凝固部を含む鋳造方向の位置を、圧下用ガイドロール対により圧下する際に、鋳造方向における圧下領域の範囲内において、鋳片表面を連続して打撃することにより、鋳片に振動を付与しつつ鋳造する鋼の連続鋳造方法である。さらに、第2の方法は、矩形の横断面形状を有する鋳片を鋳造する際に、未凝固部を含む位置の鋳片をバルジングさせ、バルジングさせた前記鋳片を厚さ方向中心部の凝固が完了するまでの間に、圧下ロール対により圧下する連続鋳造方法であって、バルジング開始後圧下を開始するまでの鋳造方向領域の範囲内、または鋳造方向における圧下領域の範囲内において、鋳片表面を連続して打撃することにより、鋳片に振動を付与しつつ鋳造する方法である。
上記の連続鋳造方法の提案後も、偏析の防止方法に関する研究を進めた結果、鋳片幅が大きい場合には、上述の鋳造方法を用いても、なお成分偏析が十分には低減できない場合のあることが判明した。偏析が十分に低減できない理由は、下記のとおりである。すなわち、
(1)鋳片の打撃を短辺面側から行う場合に、鋳片幅が大きくなると、打撃による振動が鋳片内部に十分に伝播しなくなるからである。つまり、打撃による振動が鋳片内部に十分に伝播しなければ、成長途中の柱状晶を破断することはできず、したがって、柱状晶は成長を続けるので、凝固組織を微細な結晶組織とすることができなくなる。
(2)さらに、最終凝固部近傍に打撃を付与して振動させる場合においても、生成した等軸晶に振動を伝達することができず、等軸晶がブリッジングするからである。
上述のとおり、連続鋳造における中心偏析やV偏析などの偏析の発生を防止し、内部品質の良好な鋳片を得るためには、なお、解決されなければならない問題が残されている。
特開2002−273554号公報(特許請求の範囲、段落[0010]および段落[0011]) 特開2003−334641号公報(特許請求の範囲、段落[0016]および[0017])
前述したとおり、鋳片に打撃を付与しながら鋳造を行う方法には、下記の問題がある。すなわち、鋳片の打撃を短辺面側から行う場合に、鋳片幅が大きくなると、打撃による振動が鋳片内部にまで十分に伝播しないため、成長途中の柱状晶を破断することができずに、柱状晶が成長する。したがって、凝固組織を微細な結晶組織とすることできず、十分な偏析低減効果が得られない。さらに、最終凝固部近傍に打撃を付与して振動させる場合においても、生成した等軸晶に振動を伝達することができずに、等軸晶がブリッジングし、十分な偏析低減効果が得られない。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、鋳片に打撃を付与することにより、中心偏析やV偏析などの偏析の発生を防止し、内部品質の良好な鋳片を得ることができる鋼の連続鋳造方法を提供することにある。
本発明者は、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて、鋳片に付与した打撃振動を鋳片内部にまで十分に伝播させる方法について研究を重ね、下記の(a)〜(c)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)偏析低減効果を得るには、偏析低減効果が得られるための最低打撃エネルギー以上のエネルギーにより、鋳片を打撃する必要がある。
ここで、1回の打撃当たりの打撃エネルギーは下記(2)式によりで定義される。
E=(1/2)×m×V2 ・・・・(2)
ただし、mは打撃用金型の質量(kg)を、Vは打撃用金型の鋳片への衝突速度(m/s)を表す。
(b)上記(a)の1回の打撃当たりの最低打撃エネルギーは鋳片幅に比例し、下記(3)式により表される。
Emin=0.0065×W ・・・・(3)
ここで、Eminは偏析低減効果が得られる1回の打撃当たりの最低打撃エネルギー(J)を、また、Wは鋳片の長辺幅(mm)をそれぞれ表す。
(c)さらに、上記の(3)式で与えられる最低打撃エネルギー以上の打撃を与えるとともに、鋳片の未凝固部を含む鋳造方向の位置を複数の圧下用ガイドロール対により圧下することにより、より一層の偏析低減効果を得ることができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)および(2)に示す連続鋳造方法にある。
(1)横断面形状が矩形の鋳片を鋳造する際に、未凝固部を含む鋳片の短辺面側の少なくとも1ヶ所に配置した打撃振動装置を用いて、鋳片の短辺面を連続して打撃することにより鋳片に振動を付与しつつ鋳造する方法であって、下記(1)式により表される関係を満足する打撃エネルギーを鋳片に与える鋼の連続鋳造方法。
E≧0.0065×W ・・・(1)
ここで、Eは鋳片に与える1回の打撃当たりの打撃エネルギー(J)を、Wは鋳片の長辺幅(mm)をそれぞれ表す。
(2)上記(1)に記載の連続鋳造方法において、さらに、未凝固部を含む鋳片の長辺面を、複数の圧下用ガイドロール対を用いて連続して圧下することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
本発明において、「連続して打撃する」とは、未凝固部を含む鋳片が存在する、ある一定の箇所に配置した打撃振動装置により鋳片の短辺面を打撃するに際して、好適な単位時間当たりの打撃数の範囲で、後述する打撃用金型を振動させて、鋳片の短辺面を打撃することを意味し、その打撃数は、60〜480回/分の範囲が望ましい。
また、「連続して圧下する」とは、鋳造方向の下流側に向かって連続して配置され、順次、鋳片厚さを低減させるべく圧下勾配をつけられた複数のガイドロール対により鋳片を圧下することを意味し、その圧下勾配は、鋳造方向の長さ1m当たり0.5〜2.5mmの範囲が望ましい。
本発明の連続鋳造方法によれば、中心偏析、V偏析などのマクロ偏析の発生しない内部品質の良好な鋳片を製造することができる。よって、本発明は、これらの鋳片を素材とする熱間圧延線材、棒鋼、鋼管、厚板などの内部品質の向上に大きく貢献できる。
本発明の方法は、前記のとおり、横断面形状が矩形の鋳片を鋳造する際に、未凝固部を含む鋳片の短辺面側の少なくとも1ヶ所に配置した打撃振動装置を用いて、鋳片の短辺面を連続して打撃することにより、鋳片に所定値以上の打撃エネルギーを与えて振動を付与しつつ鋳造する連続鋳造方法である。さらに、上記の連続鋳造方法において、未凝固部を含む鋳片の長辺面を、複数の圧下用ガイドロール対を用いて連続して圧下してもよい。以下に、本発明の連続鋳造方法について詳細に説明する。
(A)発明の基本構成
図1は、鋳片を連続して打撃する装置を連続鋳造機内に設けて本発明の方法を実施する連続鋳造機の例を示す模式図であり、同図(a)は、連続鋳造機の全体概略を模式的に示す縦断面図であり、同図(b)は、同図(a)のA1−A2断面を模式的に示す平面図である。
浸漬ノズル1を経て鋳型2内に注入された溶鋼3は、鋳型2により冷却され、鋳型2との接触部分から凝固殻5を形成する。凝固殻5は、複数のガイドロール対4により案内されながら徐々にその厚さを増し、未凝固部6を含む鋳片7となる。未凝固部を含む鋳片および凝固完了した鋳片7は、ピンチロール8により鋳造方向の下流側に引き抜かれる。
図1で例示する連続鋳造機においては、符号4aにより示される5つのガイドロール対は、鋳片を軽圧下するためのガイドロール対を示す。この5つのガイドロール対は、圧下勾配を調節でき、軽圧下を行わないようにすることもできる。なお、図1中に符号4で示すガイドロール対は、鋳片を圧下しない通常のガイドロール対を意味する。
本発明の方法では、横断面形状が矩形の鋳片を鋳造する際に、未凝固部を含む鋳片の短辺面側の少なくとも1ヶ所に配置した打撃振動装置により、未凝固部を含む鋳片の短辺面を連続して打撃することにより、鋳片に振動を付与しつつ鋳造する。鋳片への打撃は、未凝固部を含む鋳片の短辺面側の少なくとも1ヶ所に配置した打撃振動装置により、連続して打撃する。未凝固部を含む鋳片の短辺面側の2ヶ所、例えば、鋳造方向の鋳片の位置がほぼ同じであって、鋳片の両側の短辺面側の2ヶ所に配置した打撃振動装置により、連続して打撃してもよいし、鋳造方向に2ヶ所以上の未凝固部を含む鋳片の短辺面側に配置した打撃振動装置により、連続して打撃してもよい。
鋳片を連続して打撃する装置として、図1(b)に示すように、先端部に打撃用の金型11を有する打撃振動装置10を用いることができる。このような装置を用いて、未凝固部を含む鋳片の短辺面9を連続して打撃することにより、鋳片に振動を付与することができる。
鋳片の短辺面を打撃するのは、下記の理由による。すなわち、長辺面を打撃する場合には、長辺の幅方向の全体にわたって打撃効果を得るためには、打撃装置の打撃用金型11を鋳片の長辺幅方向に多数配置する必要が生じ、設備費が上昇するからである。また、鋳片の長辺面側には、打撃振動装置10を配置するための余裕空間が少なく、したがって、打撃振動装置10を配置するために大幅な設備改造を要するからである。
打撃振動装置の先端部に配置する打撃用の金型は、耐久性、耐熱性などの観点から、鋳物製の打撃用金型とするのが望ましい。打撃用金型の鋳造方向の長さは、鋳片サイズによるが、100〜500mm程度とするのが望ましい。鋳片の短辺面に平行な鋳造方向の金型の断面形状は、長方形、楕円形状などが望ましい。打撃用金型は交換できる形式とするのが望ましい。例えば、ボルトなどにより金型を打撃振動装置の先端部に取り付ける方式を採用するのが望ましい。また、打撃用金型を振動させる機構としては、例えば、エアーシリンダーや電動ハンマーなどを用いることができる。
(B)本発明の限定理由および好ましい範囲
鋳片には、下記(1)式により表される関係を満足する打撃エネルギーを連続して付与する必要がある。
E≧0.0065×W ・・・(1)
ここで、Eは鋳片に与える1回の打撃当たりの打撃エネルギー(J)を、Wは鋳片の長辺幅(mm)を表す。
なお、上記(1)式の打撃エネルギーは、下記(2)式によりで定義されるエネルギーである。
E=(1/2)×m×V2 ・・・・(2)
ただし、mは打撃用金型の質量(kg)を、Vは打撃用金型の鋳片への衝突速度(m/s)を表す。
上記(1)式を満足する打撃エネルギーを鋳片に付与すれば、打撃による振動が鋳片内部に十分に伝播するので、成長途中の柱状晶を破断して、凝固組織を微細な結晶組織とすることでき、したがって、十分な偏析低減効果を得ることができる。また、最終凝固部近傍に打撃を付与して振動させる場合においても、生成した等軸晶に振動を十分に伝達させることができるので、等軸晶のブリッジングを防止し、十分な偏析低減効果を得ることができる。
打撃エネルギーを調節するには、打撃用金型の質量の調整、または鋳片への打撃用金型の衝突速度の調整などを行えばよい。鋳片に与える打撃エネルギーの上限値は特に規定しないが、鋳片や連続鋳造機を損傷しない範囲の値とする観点から、500Jを超えない範囲で調節することが望ましい。
また、単位時間当たりの打撃数は、60〜480回/分とすることが望ましい。その打撃数が60回/分未満では、鋳片の偏析低減効果が鋳片の長手方向で不均一となりやすく、また、480回/分を超えて多くなると、鋳片や連続鋳造機を損傷するおそれがあるため、かえって望ましくないからである。
打撃振動装置を未凝固部を含む鋳片の短辺面側に配置するに当たっては、鋳片の中心部固相率が0.1〜0.9に相当する位置に配置するのが望ましい。ここで、中心部固相率とは、鋳片の厚さ方向中心部において、液相と固相の合計量に対して固相量の占める分率をいう。等軸晶などのブリッジングは、中心部固相率が0.1以上の領域で発生することから、鋳片の中心部固相率が0.1未満の位置では、等軸晶などの生成が十分ではなく、鋳片を打撃する効果は小さいからである。また、中心部固相率が0.9を超える領域では、未凝固溶鋼が振動および流動しにくくなるので、等軸晶などのブリッジングまたはブリッジングにより形成された空間部を、鋳片の打撃により破壊することが困難となるからである。
さらに、本発明の方法においては、鋳片の表面を打撃する位置を含み、その上流側から下流側にわたる中心部固相率が0.1〜0.95である鋳片の未凝固部を含む鋳片長手方向の範囲を、複数の圧下用ガイドロール対を用いて、鋳造方向の長さ1m当たり0.5〜2.5mmの割合で圧下するのが望ましい。鋳片を圧下する際に、中心部固相率が0.1未満では、柱状晶の樹枝間などから排出される偏析成分濃化溶鋼の排出量が少なくなり、圧下の効果が小さいからである。一方、中心部固相率が0.95を超えると、未凝固溶鋼が流動しにくくなるので、上記の濃化溶鋼を上流側に排出しにくくなるからである。
また、鋳造方向の長さ1m当たり0.5mm未満の圧下では、濃化溶鋼が最終凝固部の近傍に集積するのを防止する効果が小さく、一方、2.5mmを超えると、圧下用ガイドロール対を支える支持枠に撓みが発生し、十分な圧下効果が得られにくくなるからである。
鋳片を圧下する場合においても、前記(1)式で表される関係を満足する打撃エネルギーを鋳片に与える必要がある。(1)式の関係を満足する打撃エネルギーを鋳片に与えることにより、打撃による振動を鋳片内部に十分に伝播させることができ、さらなる偏析低減効果を得ることができるからである。
(試験方法)
本発明の連続鋳造方法の効果を確認するため、下記の鋳造試験を行い、その結果を評価した。鋳片を圧下する圧下用ガイドロール対を5対備えた図1に示される構成の連続鋳造装置を用いて、中炭素鋼および高炭素鋼を、厚さ300mm、幅400〜2300mmのブルームまたはスラブに鋳造した。鋳造速度は0.75m/分とした。
表1に、鋳造に用いた中炭素鋼および高炭素鋼の供試鋼の成分組成を示した。
Figure 0004699001
鋳片圧下時の中心部固相率は0.1〜0.9の範囲とし、鋳造方向の長さ1m当たり1.0mmの割合で圧下した。二次冷却は、比水量を0.8リットル/kg−鋼の条件で一定とした。
鋳片の未凝固部を含む位置の片方の短辺面の1ヶ所を打撃振動装置により連続して打撃し、鋳片に振動を付与した。打撃振動装置を配置する際のメニスカスからの距離は10mで一定とし、打撃振動装置の打撃用金型の質量および鋳片への衝突速度を種々変更して試験を行った。鋳片に振動を付与する際に、短辺面を基準面として、短辺面の振動の振幅が±3mmとなるように、鋳片を連続して打撃した。また、打撃振動装置の打撃用金型の振動数(打撃数)は120回/分とし、エアーシリンダー方式により打撃用金型を振動させて打撃振動を付与した。打撃条件は、打撃用金型の質量を15〜300kgとし、衝突速度を0.2〜0.5m/secとした。
打撃振動装置の先端部に配置する打撃用金型のブルームとの接触面の形状は、鋳片厚さ方向の幅を200mm、鋳造方向の長さを400mmとし、種々の肉厚の直方体のブロック形状のものとした。
各鋳造試験において、鋳片のサンプルを採取し、そのサンプルの横断面の厚さ方向および幅方向の中心部相当の位置から、厚さ方向中心部を挟んで厚さ方向に10mm、幅方向に200mm、鋳造方向に15mm程度の試験片を採取した。これらの試験片を用いて、鋳片の厚さ方向中心部に相当する位置の26ヶ所から、7mmピッチで直径2mmのドリル刃により切り粉を採取して、C含有率を分析により求め、そのC含有率(C)(質量%)をレードル内溶鋼のC含有率(C0)(質量%)で除して、比(C/C0)の値を算出し、前記比の最大値(以下「最大中心偏析率」という)を求めた。なお、試験結果の評価は、最大中心偏析率が1.15以下の場合を良好とし、1.15を超える場合を不良とした。
(試験結果)
表2に試験条件および試験結果を示す。
Figure 0004699001
表2において、試験番号1〜22は、本発明例についての試験であり、試験番号23〜44は、比較例についての試験である。
本発明例では、同表に示したとおり、打撃エネルギーが前記(1)式の右辺の値以上、すなわち、(1)式で表される関係を満足しており、鋼種および鋳片の圧下の有無にかかわらず、鋳片の最大偏析率が1.15を下回る良好な結果が得られた。これに対して、比較例では、打撃エネルギーが(1)式の右辺の値未満、すなわち、(1)式の関係を満足せず、鋳片の最大偏析率が1.15を超える劣った結果となった。
図2は、鋳片の偏析状況に及ぼす鋳片の長辺幅と打撃エネルギーとの関係を示す図である。同図において、○印は、鋳片の最大偏析率が1.15を下回った試験結果であり、●印は、鋳片の最大偏析率が1.15を超えた試験結果である。
前記(1)式の関係を満足する領域(図2において、E=0.0065×Wの直線の上側の領域)では、鋳片の最大偏析率が1.15を下回る良好な結果が得られており、これは、衝撃エネルギーが鋳片内部にまで十分に伝播し、偏析低減効果が発揮されたことによる。しかしながら、(1)式の関係を満足しない領域(同図中の直線の下側の領域)では、打撃エネルギーが鋳片内部にまで十分に伝播せず、その結果、鋳片の最大偏析率が1.15を上回る劣った結果になったと推察される。
図3は、本発明例および比較例についての鋳片の最大中心偏析率を、圧下の有無別に比較した図である。同図の結果によれば、未凝固部を含む鋳片に圧下を加えることにより、本発明例および比較例ともに鋳片の最大中心偏析率は低下し、偏析状況は好転している。
上記の結果から、鋳片に前記(1)式の関係を満足する条件で打撃を付与しつつ、鋳片の未凝固部に圧下を加えることにより、さらに一層の偏析低減効果が得られることが確認された。
図4は、本発明の連続鋳造方法の実施前および実施後において、厚板工場において調査した内質格落ち率を比較して示した図である。ここで、内質格落ち率(%)とは、厚板製品の内部品質についての超音波試験(UST)において、内部品質欠陥発生と判定された検査結果数を、総検査数で除した百分比率を意味する。内部品質欠陥とは、板厚の中心付近の欠陥であって、スラブの中心偏析、V偏析などのマクロ偏析を原因とする内部欠陥である。
本発明に係る連続鋳造方法の実施により、厚板工場における内質格落ち率は、本発明法を実施する以前の内質格落ち率に比較して約1/4にまで低減し、厚板製品の内部品質改善に及ぼす本発明法の効果が確認された。
本発明の連続鋳造方法によれば、未凝固部分を含む鋳片の短辺面に、偏析改善効果を与えるための最低限度以上のエネルギーを有する打撃を付与して、鋳片を振動させながら鋳造することにより、中心偏析、V偏析などのマクロ偏析の発生を防止した内部品質の良好な鋳片を製造することができる。したがって、本発明の方法は、内部品質の良好な熱間圧延線材、棒鋼、鋼管、厚板などを製造するための素材鋳片を供給する連続鋳造分野において、広範に適用できる鋳造方法である。
鋳片を連続して打撃する装置を設けた連続鋳造機の例を示す模式図であり、同図(a)は、連続鋳造機の全体概略を模式的に示す縦断面図であり、同図(b)は、同図(a)のA1−A2断面を模式的に示す平面図である。 鋳片の偏析状況に及ぼす鋳片の長辺幅と打撃エネルギーとの関係を示す図である。 本発明例および比較例についての鋳片の最大中心偏析率を、圧下の有無別に比較した図である。 本発明法の実施前後における厚板工場での内質格落ち率を比較した図である。
符号の説明
1:浸漬ノズル、 2:鋳型、 3:溶鋼、 4:ガイドロール対、
4a:鋳片を圧下するガイドロール対、 5:凝固殻、 6:未凝固部、
7:鋳片、 8:ピンチロール、 9:鋳片の短辺面、 10:打撃振動装置、
11:打撃用金型。

Claims (2)

  1. 横断面形状が矩形の鋳片を鋳造する際に、未凝固部を含む鋳片の短辺面側の少なくとも1ヶ所に配置した打撃振動装置を用いて、鋳片の短辺面を連続して打撃することにより鋳片に振動を付与しつつ鋳造する方法であって、下記(1)式で表される関係を満足する打撃エネルギーを鋳片に与えることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    E≧0.0065×W ・・・(1)
    ここで、Eは鋳片に与える1回の打撃当たりの打撃エネルギー(J)を、Wは鋳片の長辺幅(mm)をそれぞれ表す。
  2. さらに、未凝固部を含む鋳片の長辺面を、複数の圧下用ガイドロール対を用いて連続して圧下することを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
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