JP4698812B2 - トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル製造における非プロトン性極性溶媒の回収方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、金属塩化物が副生するトリフルオロエチルカルボン酸エステルの製造方法において、溶媒を効率的に分離回収する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
トリフルオロエチルカルボン酸エステルは、廃熱回収システムの作動流体や耐油、耐熱性に優れたフォスファゼンポリマーの原料として使用される2,2,2−トリフルオロエタノールの合成中間体として用いられるばかりでなく、さらにカルボン酸の金属塩としてアクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸の金属塩を用いて得られるトリフルオロエチル不飽和エステルは、光ファイバーの鞘剤、コンタクトレンズ用原料や樹脂改質剤として利用される非常に有用な化合物である。
【0003】
従来、いくつかのトリフルオロエチルカルボン酸エステルの製造方法が公知である。たとえば、特開昭60−120835号公報、特開昭61−69742号公報、特開平6−298699号公報には、2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンとカルボン酸の金属塩を非プロトン性極性溶媒中で反応させることによりトリフルオロエチルカルボン酸エステルを製造する方法が開示されている。2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンとカルボン酸の金属塩の反応では、金属塩化物が副生するが、これらの公報には副生する金属塩化物の結晶の大きさに言及した記載はない。
【0004】
そこで、本発明者らが、上記公報に基づき忠実に再現実験を繰り返して行った結果、開示された技術は、反応で副生する金属塩化物の結晶が非常に微細で、反応に使用した溶媒をリサイクルするために、金属塩化物と溶媒を分離しようとすると、一般的なろ過設備では、分離が非常に困難であることがわかった。そのため、従来、この問題を解決するために、高価で特殊な分離装置を設置するか、微細な金属塩化物の結晶のサイズを増大させる付加的な工程、例えば溶媒と金属塩化物のスラリーに水を加え一旦金属塩化物を溶解させた後、水を除去して大きな金属塩化物の結晶をつくる工程を加えることが必要となっていた。そのため、設備費が高くなるとか、生産性が低下するなどの問題が発生し、結果としてトリフルオロエチルカルボン酸エステルの製造費が高くなっており、このプロセスの大きな問題となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、開示されたトリフルオロエチルカルボン酸エステルの製造方法では、反応で副生する金属塩化物の結晶が非常に微細で、溶媒を再使用するために必要な溶媒と副生金属塩化物との分離が非常に困難であり、特殊な分離装置を使用するか、微細な金属塩化物の結晶を大きくする付加的な工程が必要であり、安価にトリフルオロエチルカルボン酸エステルを製造するための大きな障害となっていた。それゆえ、従来の問題を克服し、安価にトリフルオロエチルカルボン酸エステルを製造可能な工業的プロセスの開発が望まれていた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、トリフルオロエチルカルボン酸エステルを製造する工程において、副生する金属塩化物の結晶を大きくすることにより溶媒と副生金属塩化物との分離を容易にし、トリフルオロエチルカルボン酸エステル製造における非プロトン性極性溶媒の回収方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、こうした現状に鑑み、2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンと有機カルボン酸の金属塩を反応させるフッ素化エステルの製造方法について鋭意検討した。その結果、水酸基含有有機化合物を添加して、非プロトン性極性溶媒中で2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンと有機カルボン酸の金属塩を反応させると驚くべきことに、反応で副生する金属塩化物の結晶が大きくなり、特殊な分離装置や結晶を大きくさせる付加的な工程が不必要となることを見出し、溶媒を容易に回収できるようになり、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンとカルボン酸の金属塩を非プロトン性極性溶媒中で反応させ、トリフルオロエチルカルボン酸エステルを製造し、副生する金属塩化物を含む反応溶液から溶媒を分離して回収する方法において、水酸基含有有機化合物の存在下に2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンとカルボン酸の金属塩を非プロトン性極性溶媒中で反応させ、反応終了後に反応溶液から非プロトン性極性溶媒を分離することを特徴とするトリフルオロエチルカルボン酸エステル製造における溶媒の回収方法に関するものである。
【0009】
本発明によれば、水酸基含有有機化合物を添加し、非プロトン性極性溶媒中で2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンと有機カルボン酸の金属塩を反応させるだけで、副生する金属塩化物の大きな結晶が生成し、非プロトン性極性溶媒と副生金属塩化物を分離するための高価で特殊な分離装置や結晶を大きくさせる付加的な工程が不必要となり、容易に溶媒を再使用することが可能となる。よって、安価にトリフルオロエチルカルボン酸エステルを工業的に製造することが可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
【0011】
本発明において原料として用いられる化合物は、2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンとカルボン酸の金属塩である。
【0012】
2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンは、触媒存在下にトリクロロエチレンとフッ化水素を反応させて製造することができ、工業的に重要な1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)の重要な中間体であり、一般に市販品として入手できるものをそのまま使用できる。
【0013】
また、もう一つの原料であるカルボン酸の金属塩は特に限定されないが、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、酪酸ナトリウム、酪酸カリウム、安息香酸カリウム、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、フタル酸カリウム、シュウ酸カリウム、ビス−(3−カルボキシル−プロピル)−エーテルのカリウム塩などの有機カルボン酸アルカリ金属塩や酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、プロピオン酸マグネシウム、プロピオン酸カルシウム、酪酸マグネシウム、酪酸カルシウム、安息香酸カルシウム、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸カルシウム、フタル酸カルシウム、シュウ酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩が挙げられる。また、これらのカルボン酸のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の塩は、単独または混合物で使用できる。
【0014】
さらに、これらカルボン酸の金属塩は、通常カルボン酸とアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属のアルカリ塩との中和反応で調製し、脱水して使用する。また、一般の市販品も含水塩でなければ使用できる。金属塩に水が含まれると生成するトリフルオロエチルカルボン酸エステルが反応系中で加水分解し、収率が低下し好ましくない。
【0015】
本発明において、使用される溶媒は、非プロトン性極性溶媒である。非プロトン性極性溶媒としては、例えばスルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが挙げられ、それぞれ単独あるいは2種以上の混合物が使用できる。また、これらの非プロトン性極性溶媒は、特に限定されず、水を含んでいない一般の市販品が使用できる。
【0016】
本発明において、反応系に添加される水酸基含有有機化合物は、カルボン酸および/またはアルコールであり、その種類は特に限定されないが、好ましくは前述のカルボン酸の金属塩に対応した同種のカルボン酸および/または2,2,2−トリフルオロエタノールである。これらのカルボン酸および/またはアルコールは、特に限定されず、水を含んでいない一般の市販品が使用できるが、カルボン酸を添加する場合には、反応原料のカルボン酸の金属塩に対応した同種のカルボン酸を添加する方が好ましい。カルボン酸の金属塩に対応しない異種のカルボン酸を添加した場合には、目的のエステルと添加したカルボン酸のエステル交換反応により、目的とするエステル以外のエステルが生成し、目的のエステルとの分離が困難になる場合があり好ましくない。
【0017】
本発明の方法においては、反応方式は特に限定されず、バッチ式、半バッチ式、連続式のいずれの反応方式で実施してもよい。以下に撹拌機を備えた加圧容器を使用するバッチ式を例にして説明する。
【0018】
まず、加圧容器に非プロトン性極性溶媒、カルボン酸の金属塩、水酸基含有有機化合物を入れ密閉する。次に、加圧容器内の空気を原料または反応に対して不活性なガスで十分に置換する。その後、原料の2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンを充填した後、撹拌しながら昇温し、所定の反応温度で反応させる。ここで、使用できる不活性ガスとは、例えば、原料の2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタン、窒素、アルゴン、炭酸ガスなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは原料の2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンおよび/または窒素である。
【0019】
本発明の方法において使用する2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタン/カルボン酸の金属塩のモル比は、0.5〜10倍モルであり、好ましくは1〜5倍モルである。モル比が0.5未満では、カルボン酸の金属塩の転化率が小さく経済的ではなくなるばかりでなく、反応速度が遅くなり実用的ではない。一方、10倍モルを超えると反応に使用されない2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンが多くなり、工業的に好ましくない。
【0020】
本発明の方法において添加する水酸基含有有機化合物の添加量は、水酸基含有有機化合物と非プロトン性極性溶媒の重量比(水酸基含有有機化合物/非プロトン性極性溶媒)として、0.005〜0.2であり、好ましくは0.01〜0.1である。0.005未満であると添加した効果が小さく、微細な金属塩化物の生成が抑制されず、大きな結晶が得られない。一方、0.2を超えると原料のカルボン酸の金属塩と2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンとの反応速度が低下し、未反応のカルボン酸の金属塩と2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンが多くなり、経済性が損なわれる。
【0021】
非プロトン性極性溶媒の使用量は、極性溶媒の種類や原料のカルボン酸の金属塩、2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンの種類、反応方式により異なるため、一概に限定することはできないが、例えばバッチ式の反応方式でカルボン酸の金属塩100gに対して非プロトン性極性溶媒を50〜5,000ml使用すれば良く、好ましくは100〜2,000mlである。
【0022】
本発明の方法においてカルボン酸の金属塩と2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンとを反応させる温度は、100〜300℃であり、さらに好ましくは140〜250℃である。
【0023】
本発明の方法において、反応圧力は非プロトン性極性溶媒や2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンの使用量により大きく異なるため、特に制限することは困難であるが、本発明の反応条件下では、自圧による常圧〜10MPaの圧力で実施するが、好ましくは反応条件下で常圧〜5MPa以下がよい。
【0024】
本発明において、撹拌速度は、反応方式や加圧容器の大きさ、形状に応じて異なるため、一概に限定することはできないが、原料の撹拌が十分にできる速度を選択すればよい。
【0025】
本発明において、反応時間は特に限定されるものではないが、0.25〜48時間、好ましくは0.5〜24時間がよい。
【0026】
本発明において、カルボン酸の金属塩として、不飽和カルボン酸の金属塩を用いる場合には、不飽和カルボン酸の金属塩および生成する不飽和カルボン酸エステルの重合を抑制するために重合禁止剤を反応系中に添加することが好ましい。添加する重合禁止剤の種類は特に限定されないが、例えばハイドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−t−ブチルピロカテコール、4−メトキシフェノール、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、銅粉のような公知の重合禁止剤を1種またはそれ以上の組み合わせで添加する。
【0027】
本発明の方法においては、反応終了後、反応混合液からフッ素化エステルを取り出す方法は、特に限定されないが、例えば反応終了後、加圧容器を冷却し、未反応の2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンを冷却器で回収し、不活性ガスを排出、さらにその後加圧容器からフッ素化エステル、非プロトン性極性溶媒、未反応のカルボン酸の金属塩、副生した金属塩化物および水酸基含有有機化合物から成る反応混合物を得た後、該反応混合物を常法により蒸留し、所望のトリフルオロエチルカルボン酸エステルを得ればよい。蒸留は、バッチ式で実施しても連続式で実施してもよい。
【0028】
本発明の方法においては、蒸留後の混合物は、非プロトン性極性溶媒、未反応のカルボン酸の金属塩、副生した金属塩化物、および水酸基含有有機化合物の混合物である。該混合物から、副生した金属塩化物と未反応のカルボン酸の金属塩を分離し、残液は再び反応溶媒として使用することができる。
【0029】
副生した金属塩化物と未反応のカルボン酸の金属塩を分離する方法は、特に限定されず、通常の減圧ろ過、加圧ろ過、デカンテーションなどの操作で分離できる。本発明の方法において特異的なことは、副生する金属塩化物の結晶が大きいことである。水酸基含有有機化合物を添加しない場合には、副生する金属塩化物の結晶が微細なため、通常の分離操作では、分離に長時間を要する目詰まりを起こす等のトラブルを発生するため、高価な特殊な分離装置を設置するか、微細な金属塩化物の結晶のサイズを増大させる付加的な工程を必要とし、安価にトリフルオロエチルカルボン酸エステルを製造することは不可能であった。
【0030】
一方本発明により、水酸基含有有機化合物を添加すると副生する金属塩化物の結晶が大きくなるため、特別な分離装置、金属塩化物の結晶を大きくする付加的な工程を必要としない。つまり、通常の分離操作をするだけで副生する金属塩化物と未反応のカルボン酸の金属塩を分離し、非プロトン性極性溶媒と水酸基含有有機化合物の混合液を回収し、再び該反応溶媒として使用することが可能となった。よって、反応溶媒を回収するための副生する金属塩化物の分離工程が通常の分離装置でトラブルなく行えるようになり、結果として経済性に優れたシンプルなプロセスとなり、安価にトリフルオロエチルカルボン酸エステルを製造することが可能となった。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を具体的に実施例にて説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
なお、実施例中のカルボン酸金属塩の転化率およびトリフルオロエチルカルボン酸エステルの選択率は、以下の(1)式および(2)式により計算した。
【0033】
カルボン酸金属塩の転化率(%)=(転化したカルボン酸金属塩のモル数)/(使用したカルボン酸金属塩のモル数)×100 …… (1)
【0034】
含フッ素エステルの選択率(%)=(含フッ素エステルのモル数)/(転化したカルボン酸金属塩のモル数)×100 …… (2)
【0035】
実施例1
電磁撹拌機を備えた300mlオートクレーブに、非プロトン性極性溶媒としてN−メチルピロリドン、有機カルボン酸の金属塩としてメタクリル酸カリウム、水酸基含有有機化合物として2,2,2−トリフルオロエタノール、および重合禁止剤としてN,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンを表1に記載のとおり秤量し密閉した。次に反応系内を真空吸引し、予め耐圧容器に採取した2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンを導管を通じてオートクレーブ内に導入した。その後、オートクレーブを電気炉で180℃に加熱、撹拌し2時間反応させた。反応終了後、オートクレーブを0℃まで冷却し、反応溶液を回収した。次に、回収した反応溶液をG−3のグラスフィルターで手早くろ過し、未反応のメタクリル酸カリウムと生成した塩化カリウムを反応液から分離した。捕集したメタクリル酸カリウムと塩化カリウムは、N−メチルピロリドンで繰り返し洗浄し、洗浄液は反応液に加えた。
【0036】
これらの操作で回収した反応液をガスクロマトグラフにより分析、定量した。一方、N−メチルピロリドンで洗浄したメタクリル酸カリウムと塩化カリウムはさらに、アセトンで洗浄し、乾燥器中80℃で2時間乾燥させた。得られた乾燥粉末中の塩化物イオンを滴定により定量することにより、塩化カリウム含有量とメタクリル酸カリウム含有量を算出した。さらに、乾燥粉末を粒度分布測定装置で結晶の平均粒経を測定した。
【0037】
反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表1に示した。
【0038】
実施例2
水酸基含有有機化合物として、2,2,2−トリフルオロエタノールに換えてメタクリル酸を用いた以外は、実施例1と全く同じ方法で反応させた。反応後、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表1に示した。
【0039】
実施例3
水酸基含有有機化合物として、2,2,2−トリフルオロエタノールに換えてエタノールを用いた以外は、実施例1と全く同じ方法で反応させた。反応後、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表1に示した。
【0040】
実施例4
非プロトン性極性溶媒として、N−メチルピロリドンに換えて1,3−ジメチル−2−イミダゾジノンを用いた以外は、実施例1と全く同じ方法で反応させた。反応後、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表1に示した。
【0041】
実施例5
非プロトン性極性溶媒として、N−メチルピロリドンに換えてN,N−ジメチルホルムアミドを用いた以外は、実施例1と全く同じ方法で反応させた。反応後、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表1に示した。
【0042】
実施例6
カルボン酸の金属塩として、メタクリル酸カリウムに換えてアクリル酸カリウムを用いた以外は、実施例1と全く同じ方法で反応させた。反応後、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表1に示した。
【0043】
実施例7
カルボン酸の金属塩として酢酸ナトリウムを用い、実施例1とほぼ同様の方法で反応させた。反応後、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表1に示した。
【0044】
実施例8
実施例1と同様の原料を用い、それらの添加量を変えた以外は実施例1とほぼ同様の方法で反応させた。反応後、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表1に示した。
【0045】
実施例9
2,2,2−トリフルオロエタノールを非プロトン性極性溶媒に対して0.006重量比だけ添加したこと以外は、実施例1と全く同様に反応を行った。反応後、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表1に示した。
【0046】
実施例10
2,2,2−トリフルオロエタノールを非プロトン性極性溶媒に対して0.15重量比だけ添加したこと以外は、実施例1と全く同様に反応を行った。反応後、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表1に示した。
【0047】
表1の記載から明らかなように、実施例1〜実施例10において、副生する金属塩の結晶のサイズは大きく、容易に非プロトン性極性溶媒を分離し回収することができた。
【0048】
比較例1
2,2,2−トリフルオロエタノールを添加しないこと以外は、実施例1と全く同様に反応を行った。反応後、実施例1と同様にG−3のグラスフィルターを用いてろ過を行ったが、副生した塩化カリウムの結晶が小さく完全に分離することは不可能であった。よって、G−5のグラスフィルターを用い、長時間かけて、ろ過し、反応液と未反応のカルボン酸塩と塩化カリウムを分離した。それ以外は、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表2に示した。
【0049】
比較例2
2,2,2−トリフルオロエタノールを添加しないこと以外は、実施例3と全く同様に反応を行った。反応後、実施例3と同様にG−3のグラスフィルターを用いてろ過を行ったが、副生した塩化カリウムの結晶が小さく完全に分離することは不可能であった。よって、G−5のグラスフィルターを用い、長時間かけて、ろ過し、反応液と未反応のカルボン酸塩と塩化カリウムを分離した。それ以外は、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表2に示した。
【0050】
比較例3
水酸基含有有機化合物の代わりにベンゼンを添加したこと以外は、実施例1と全く同様に反応を行った。反応後、実施例1と同様にG−3のグラスフィルターを用いてろ過を行ったが、副生した塩化カリウムの結晶が小さく完全に分離することは不可能であった。よって、G−5のグラスフィルターを用い、長時間かけて、ろ過し、反応液と未反応のカルボン酸塩と塩化カリウムを分離した。それ以外は、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表2に示した。
【0051】
比較例4
水酸基含有有機化合物の代わりに2,2,2−トリフルオロエチル−メタクリル酸エステルを添加したこと以外は、実施例1と全く同様に反応を行った。反応後、実施例1と同様にG−3のグラスフィルターを用いてろ過を行ったが、副生した塩化カリウムの結晶が小さく完全に分離することは不可能であった。よって、G−5のグラスフィルターを用い、長時間かけて、ろ過し、反応液と未反応のカルボン酸塩と塩化カリウムを分離した。それ以外は、実施例1と全く同様の方法で反応溶液を処理し分析した。反応条件、反応結果および分離した金属塩化物の結晶の平均粒経を表2に示した。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
本発明により、トリフルオロエチルカルボン酸エステルを製造する工程において、副生する金属塩化物の結晶を大きくすることにより溶媒と副生金属塩化物との分離を容易にし、安価にトリフルオロエチルカルボン酸エステルを製造する工業的プロセスが可能になった。
Claims (3)
- 2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンとメタクリル酸またはアクリル酸のカリウム塩を非プロトン性極性溶媒中で反応させ、トリフルオロエチルメタクリル酸エステルまたはトリフルオロエチルアクリル酸エステルを製造し、副生する金属塩化合物を含む反応液から溶媒を分離して回収する方法において、メタクリル酸もしくはアクリル酸および/または2,2,2−トリフルオロエタノールの存在下に2,2,2−トリフルオロ−1−クロロエタンとメタクリル酸またはアクリル酸のカリウム塩を非プロトン性極性溶媒中で反応させ、反応終了後の反応液から反応により生成した塩化カリウムと未反応のメタクリル酸またはアクリル酸のカリウム塩をろ過し、非プロトン性極性溶媒を分離、回収することを特徴とするトリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステルの製造における溶媒の回収方法。
- 前記非プロトン性極性溶媒が、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドおよび1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選ばれる少なくとも1種以上である請求項1に記載のトリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステルの製造における溶媒の回収方法。
- 前記、メタクリル酸もしくはアクリル酸および/または2,2,2−トリフルオロエタノールの添加量が、メタクリル酸もしくはアクリル酸および/または2,2,2−トリフルオロエタノールと非プロトン性極性溶媒の重量比([メタクリル酸もしくはアクリル酸および/または2,2,2−トリフルオロエタノール]/非プロトン性極性溶媒)として、0.005〜0.2である請求項1または請求項2に記載のトリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステルの製造における溶媒の回収方法。
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JPS58134043A (ja) * | 1982-02-04 | 1983-08-10 | Onoda Cement Co Ltd | 2,2,2−トリフルオロエタノ−ルの製造法 |
JPS58135836A (ja) * | 1982-02-05 | 1983-08-12 | Onoda Cement Co Ltd | フツ素化エステルの製造方法 |
JPS63152341A (ja) * | 1986-08-21 | 1988-06-24 | Tokuyama Soda Co Ltd | アシルオキシハロゲン化炭化水素の製造方法 |
JPH06298699A (ja) * | 1993-03-09 | 1994-10-25 | Elf Atochem Sa | カルボン酸またはジカルボン酸のハロゲン化エステルの製造方法 |
JPH0931025A (ja) * | 1995-07-25 | 1997-02-04 | Mitsui Toatsu Chem Inc | ヒドロキシナフタレンカルボン酸のアルキルエステル誘導体の製造方法 |
-
2000
- 2000-10-13 JP JP2000313346A patent/JP4698812B2/ja not_active Expired - Fee Related
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