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JP4693732B2 - 複合型金属成形体およびその製造方法 - Google Patents

複合型金属成形体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、相互に溶着した金属粒子間に樹脂の炭化物が介在してなる複合型金属成形体およびその製造方法ならびにコイルへの通電により磁気回路を構成するヨークを具えた電磁駆動装置に関する。
結合材として樹脂を用い、この樹脂と共に金属粒子を成形型内で圧縮成形する粉末成形法が知られている。この粉末成形法によって得られる成形品は、その寸法形状が成形型に極めて近似したものとなり、成形後の後加工を基本的に必要としないという利点を持つ。このため、粉末成形法は主として材料価格の高いものや、切削加工が困難なものを製造する際に有効な方法であると言える。また、この粉末成形法によって得られる成形品は、金属粒子間に結合材である樹脂が介在した構造となっているため、その機械的強度に制約がある。このため、粉末成形法によって得られる成形品は、機械的強度が比較的問題とされない部材として用いられることが多い。例えば、金属粒子として希土類磁石粉末を用いた成形磁性体がモータの円柱状をなすロータなどに採用されている。さらに、金属粒子として軟磁性材料を用いたモータのヨークやステータ、あるいは光学機器に組み込まれるアクチュエータのヨークやトランスの他、磁気ヘッドのコアなどにもその適用範囲が拡げられている。
金属粒子として硬磁性材料を用いた成形磁性体の磁気特性を向上させる場合、成形時の圧力をできるだけ高めて金属粒子間隔を近づけ、磁束密度を高めることが有効である。また、特許文献1に開示されているように、圧縮成形品を加熱して樹脂を硬化させ、そして金属粒子間に介在する樹脂を室温に戻すことによって熱収縮させることも有効である。これによって、粒子間隔を近づけると共に熱収縮歪による抗磁力を高め、最大エネルギー積を改善することができる。
一方、圧縮成形品に対する加熱を極端に行うことにより、粉末冶金焼結法のように結合材を脱脂工程で完全に除去した状態で金属粒子を相互に溶着させ、その後サイジング加工によって所望の寸法形状に仕上げるようにしたものも知られている。ところが、応力歪による影響が大きい金属粒子、例えば軟磁性材料を用いた成形磁性体の場合、上述したサイジング加工の如き後加工により発生する加工歪が、その軟磁気特性を劣化させてしまうという問題を生じてしまう。また、成形磁性体が非対称の複雑な形状の場合、サイジング加工を行うことができない可能性があった。このような不具合を解消するため、特許文献2には中空圧粉体の内側に矯正体を入れ、さらに凸状または凹状のマークを形成した台板に中空圧粉体を載せてその端面を支持させ、焼結体を精度よく製造する方法が提案されている。
特開平07−176416号公報 特開平06−17103号公報
ボンド磁石の結合材として一般的に用いられるエポキシ樹脂は、300℃程度までの耐熱性しかなく、約1000℃に達する軟磁性材料の歪取り焼鈍温度には耐えられない。このため、軟磁性材料をエポキシ樹脂で固めた成形磁性体の歪取りを無理に行おうとすると、エポキシ樹脂が発泡したり消失したりしてしまい、成形磁性体の強度や寸法精度が極めて低い状態となってしまう。また、エポキシ樹脂よりも耐熱性の高い結合材として、水ガラスやシリコーン樹脂を用いることも考えられるが、これらは金属粒子に対する結合力が極めて乏しいため、所定の結合力を得ようとすると多量の結合材を用いる必要がある。しかも、結合材を多量に用いた場合には、金属粒子の間隔が拡がって磁束密度を高めることができず、結果として磁気特性が劣る成形磁性体となってしまう。
粉末成形法による圧縮成形品の機械的強度を高める場合、その材料密度を高めることが効果的であり、そのためには成形圧を高める必要がある。しかしながら、軟磁性材料のように応力歪によって磁気特性が劣化しやすいものを圧縮成形する場合、その軟磁気特性を高めようとして成形圧を増大すると、軟磁性材料自体に加わる応力歪も増大してしまい、逆に軟磁気特性が劣化してしまうという問題があった。
異形部材を形成する方法として、金属材料を放電加工やワイヤカット放電加工で形成することも可能であるが、極めて量産性に乏しく実用的ではない。また、粉末冶金法により異形部材を形成することが考えられるが、焼結時の結合材の飛散による寸法変化や溶着による寸法変化が余りにも大きく、後処理に多大な時間を費やしてしまう。特に、軟磁性材料を用いたものでは、たとえ形状矯正のためのサイジング加工が行えたとしても加工歪が発生し、軟磁気特性が極端に低下してしまう不具合を生じてしまう。
本発明の目的は、寸法精度や機械的強度が良好な、軟磁性材料を含む複合型金属成形体およびこの複合型金属成形体の製造方法を提供することにある。さらに、この複合型金属成形体をムービングマグネットタイプのモータのヨークとして用いることができる電磁駆動装置を提供することも本発明の目的の一つである。
本発明の第1の形態は、相互に溶着した軟磁性材料を含む金属粒子間に樹脂の炭化物が介在し、前記金属粒子に対する前記樹脂の炭化物の重量比が前記金属粒子を100とした場合、0.001%以上2%以下の範囲にあり、かつ前記金属粒子の溶着率が10%以上80%以下の範囲にあることを特徴とする複合型金属成形体にある。
本発明の第1の形態による複合型金属成形体において、樹脂がフラン樹脂であることが好ましい。
本発明の第2の形態は、軟磁性材料を含む金属粒子を樹脂で被覆して成形原料を得るステップと、前記成形原料を所定形状に加圧成形して加圧成形体を得るステップとを具えた複合型金属成形体の製造方法にある。この複合型金属成形体の製造方法においては、前記加圧成形体を加熱して前記樹脂を焼成すると共に前記金属粒子を相互に溶着させて前記金属粒子間に前記樹脂の炭化物が介在する複合型金属成形体を得るステップを具えたことを特徴とする。
本発明の第2の形態による複合型金属成形体の製造方法において、加圧成形体を加熱して複合型金属成形体を得るステップが、軟磁性材料を焼鈍してその内部歪を除去するステップを含むものであってよい。
樹脂が熱硬化性樹脂であり、加圧成形体を加熱することにより樹脂を硬化させるステップをさらに具えることができる。この場合、樹脂がフラン樹脂であることが好ましく、加圧成形体を加熱するステップは、加圧成形体に対して500℃以上1000℃以下の範囲の加熱を含むことが有効である。
本発明の第3の形態は、永久磁石と、コイルへの通電により磁気回路を構成するヨークとを具えた電磁駆動装置において、ヨークが本発明の第1の形態による複合型金属成形体または本発明の第2の形態による製造方法によって製造された複合型金属成形体であることを特徴とするものである。
本発明の複合型金属成形体によると、加圧成形体を加熱して得られる複合型金属成形体の寸法形状が加圧成形体の寸法形状とほとんど変わらず、後加工の必要がない良好な軟磁気特性を有する高精度な複合型金属成形体を得ることができる。その理由は、相互に溶着した金属粒子間に樹脂の炭化物が介在しているためである。
本発明の複合型金属成形体の製造方法によると、加圧成形体を加熱しても樹脂が焼失せずに炭化物として金属粒子間に介在した状態となるため、複合型金属成形体の寸法形状を加圧成形体の寸法形状とほとんど同じに保つことができる。また、隣接する金属粒子の一部が相互に溶着した状態になることと相俟って、寸法精度が高く、しかも機械的強度の優れた複合型金属成形体を得ることができる。特に、良好な軟磁気特性を有する成形磁性体を得ることができる。
本発明による複合型金属成形体を、永久磁石と、励磁コイルへの通電により磁気回路を構成するヨークとからなる電磁駆動装置のヨークとして使用することにより、安定した磁気特性の光量調節装置やモータなどの電磁駆動装置を得ることができる。
本発明による複合型金属成形体は、相互に溶着した軟磁性材料を含む金属粒子間に樹脂の炭化物が介在している。
このような複合型金属成形体において、金属粒子に対する樹脂の炭化物の重量比は、金属粒子を100とした場合、0.001%以上2%以下、好ましくは0.003%以上1.5%以下、最も好ましくは0.005%以上1.0%以下の範囲にある。2%を超えると成形体の密度や機械的強度が低下し、また炭化する樹脂の増加やガスが成形体内部に溜まってしまうことにより寸法精度が低下する。また0.001%より少なくても寸法精度が低下する。金属粒子に対する樹脂の炭化物の重量比は、燃焼赤外線吸収法により求めることができる。基本的に、炭化物の重量比が大きくなると、複合型金属成形体の密度や機械的強度が低下する。逆に、炭化物の重量比が小さくなると、複合型金属成形体の寸法精度が低下する。しかし炭化物の重量比が大きすぎても、炭化する樹脂の増加やガスが成形体内部に溜まってしまうことにより寸法精度が低下する。また、軟磁性材料を含む金属粒子の溶着率は10%以上80%以下、好ましくは15%以上75%以下の範囲である。軟磁性材料を含む金属粒子の溶着率が80%を超えると寸法精度が低下する。逆に、10%より少ないと機械的強度が低下する上、良好な磁気特性が得られない。
金属粒子の溶着率Rは、複合型金属成型体の表面を研磨し、その表面に露出する金属粒子の外周長の総和をL、溶着部の長さをCとした場合、R=(2C/L)×100で表される。別の簡易的な測定方法として、溶着が進むと複合型金属成型体の抵抗が小さくなることから、複合型金属成形体と同一金属で作られたバルクの体積抵抗を複合型金属成形体の体積抵抗で除し、100倍して表す方法がある。さらには、金属粒子が軟磁性材料の場合、溶着が進むと複合型金属成形体の抵抗が小さくなることを利用し、複合型金属成形体と同一金属で作られたバルクのコアロスを100とした場合における複合型金属成形体のコアロスの比で表す方法がある。
いずれの測定方法によっても同様な数値が得られるが、本明細書における溶着率Rの値は、最後のコアロスの比による測定方法によるものである。複合金属成形体と同一金属のバルクのコアロスがわかっている場合は、この方法が最も容易である。
溶着率の値は、小さいほど複合型金属成形体の機械的強度が低下し、逆に溶着率の値が大きいほど複合型金属成形体の機械的強度が上昇する。しかしながら、溶着率の値が大きいほど複合型金属成形体の寸法精度が低下する傾向を持つ。
このように、金属粒子に対する樹脂の炭化物の重量比を、金属粒子を100として0.001%から2%の範囲に設定し、かつ金属粒子の溶着率を10%から80%の範囲に設定した場合、寸法精度の高い複合型金属成形体を確実に得ることができる。しかも、この複合型金属成形体は、その機械的強度が高くかつ量産性に優れたものとすることができる。
本発明による複合型金属成形体の製造方法は、軟磁性材料を含む金属粒子を樹脂で被覆して成形原料を得、この成形原料を所定形状に加圧成形して加圧成形体を得、この加圧成形体を加熱して樹脂を焼成すると共に金属粒子を相互に溶着させることにより得られる。この複合型金属成形体は、金属粒子間に樹脂の炭化物が介在したものである。
この場合、樹脂の焼成時期と金属粒子の溶着時期とを別々に分けることも可能であるが、工程の煩雑さを回避するために同時に設定することが好ましい。得られた複合型金属成形体はそのまま製品として使用することも可能であるが、必要に応じてバリ取りや被覆処理や防錆処理などを施すことも可能である。
本発明においては、加圧成形体を加熱した場合に樹脂が完全に焼失することなく炭化物として焼成され、加圧成形体の寸法が粉末冶金焼結法のように加熱によって大きく変化するようなことは起こらない。加圧成形体に対する加熱は、真空雰囲気,還元雰囲気あるいは不活性ガス雰囲気にて行うことが好ましい。
成形原料となる金属粒子と樹脂との割合は、金属粒子に対して樹脂の割合が多くなると、加圧成形体の密度を高めることが困難となり、加熱の際に金属粒子の溶着が起こり難くなって得られる複合型金属成形体の機械的強度が不足する。逆に、樹脂の割合が少なくなると、加圧成形体の強度が不足して加圧成形体が壊れやすくなったり、加熱を行う際に金属粒子の溶着が進みすぎ、得られる複合型金属成形体の寸法変化が大きくなってしまう。このため、成形原料となる金属粒子と酸性触媒などの添加物を含む樹脂との割合は、フラン樹脂を採用した場合、金属粒子100質量部に対し0.1質量部以上10質量部以下の範囲に設定することが好ましい。より好ましくは、0.3質量部以上5質量部以下の範囲、最も好ましくは0.5質量部以上3質量部以下の範囲である。
成形原料の主たる構成要素は、金属粒子および樹脂である。しかしながら、これらに加え、加圧成形体の密度を高めると同時にこれを成形型から取り出しやすくするため、金属石鹸や高級脂肪酸あるいはタルク,二硫化モリブデン,フッ化炭素などの固体潤滑剤などを0.01質量部以上1質量部以下添加することが好ましい。固体潤滑剤は、一般的に加圧成形体の機械的強度を低下させるため、これを多量に添加することは好ましくない。しかしながら、加圧成形体の密度を高めるために成形型との摩擦力を低減して成形型内で成形原料の移動を容易にし、加圧成形体を加熱して複合型金属成形体を得る際に、容易にガス化して加圧成形体から除去されるようなものであれば、特に限定されない。このような条件を満たす好ましい固体潤滑剤は金属石鹸であり、より好ましいものはステアリン酸亜鉛である。
この複合型金属成形体の製造方法において、金属粒子は、Fe,Ni,Coや、これらを主成分とする軟磁性合金などを単独または相互に混合した軟磁性材料を含むことができる。この場合、加圧成形体を加熱して複合型金属成形体を得るステップは、軟磁性材料を焼鈍してその内部歪を除去するステップを含むことが好ましい。これにより、さらに良好な軟磁気特性を有する成形磁性体を得ることができる。
加圧成形体に対する好ましい加熱温度は、樹脂が焼失せずに焼成されるような温度であり、かつ金属粒子が所定の溶着率にて溶着するような温度である。これは、加圧成形体の一部を構成する樹脂の量や、金属粒子の種類などにより適宜決定される。
一般的に、加熱温度が低い場合には、樹脂の焼成に伴う加圧成形体、すなわち複合型金属成形体の寸法変化は少ないものの、金属粒子の歪取りが不十分となる。この結果、金属粒子の溶着が進まないので機械的強度が低いものとなり、金属粒子として軟磁気材料を使用した場合にはその軟磁気特性を向上させることもできない。逆に、加熱温度が高いと、金属粒子溶着率が高くなって機械的強度が増加するものの、樹脂の炭化が進みすぎて焼失し、得られる複合型金属成形体の寸法変化が大き過ぎてしまい、好ましくない現象が起こる。このため、熱硬化性樹脂がフラン樹脂の場合、加圧成形体の加熱温度を500℃以上1000℃以下の範囲に設定することが有効である。1000℃を超えると機械的強度は増加するが寸法精度が低下する。500℃より低いと金属粒子の歪取りが不十分であり溶着も進まず機械的強度が低いものとなり、また磁気特性も得られない。
本発明にて採用し得る樹脂は、金属粒子を結合する力が強く、加熱によって発泡したり消失したりしないものであれば特に限定されないけれども、上述したように熱硬化性樹脂が好ましく、特にフラン樹脂が好適であると言える。このフラン樹脂は、フラン環を有する樹脂の総称であって、フルフリルアルコール・フルフラール共縮合型,フルフリルアルコール型,フルフラール・フェノール共縮合型のものを用いることができる。この他、フルフラール・ケトン共縮合型,フルフリルアルコール・尿素共縮合型,フルフリルアルコール・フェノール共縮合型のものなども当然用いることが可能である。このフラン樹脂を加熱硬化させる場合、有機または無機の酸性触媒を併用することが好ましい。フラン樹脂に対する酸性触媒の添加量は、フラン樹脂の確実な硬化と金属粒子に対する酸性触媒による影響とを勘案し、フラン樹脂100質量部に対し0.001質量部以上10質量部以下の範囲に設定することが好ましい。
このように、特にフラン樹脂を金属粒子の結合材とすることにより、加圧成形体を加熱に伴ってフラン樹脂を完全に焼失させることなく焼成し、その存在率を所定の範囲に保つことで粉末冶金焼結法のような大きな寸法変化を回避することができる。また、加圧成形体を加熱した場合に金属粒子の溶着率を所定の範囲に保つことにより、得られる複合型金属成形体の機械的強度も向上させることができる。
本発明による電磁駆動装置は、永久磁石と、励磁コイルへの通電により磁気回路を構成するヨークとを具えている。この場合におけるヨークは、本発明の第1の形態による複合型金属成形体または本発明の第2の形態による製造方法によって製造された複合型金属成形体である。
次に、本発明を光学機器の光量調整装置に使用する電磁駆動装置に応用した一実施形態について、その外観を分解状態で示す図1を参照しながら以下に詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態のみに限らず、特許請求の範囲に記載された本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が可能であり、従って本発明の精神に帰属する他の技術にも当然応用することができる。
図1に示した光学機器の光量調整装置10は、本発明による羽根板としての一対の絞り板11,12によって形成される絞り開口を、リンクアーム13の揺動動作により絞り板11,12を相互に逆方向に駆動して可変にするものである。なお、一方の絞り板11には絞り開口によって調整し切れないような過大光量が通過するのを遮るためのNDフィルタ14が固定状態で取り付けられている。一対の絞り板11,12は、光路を通す開口15が形成されたケース16に対して往復動自在に支持され、これらの基端部に形成された長孔17がリンクアーム13の両端部に形成されたピン18に対してそれぞれ連結されている。リンクアーム13の中央部には、半周ずつ2極に着磁された円筒状をなすロータマグネット19から突出する支軸20の一端部が一体的に連結されている。このロータマグネット19は、地板21に組み込まれた図示しない軸受を介して回転自在に地板21に取り付けられている。ロータマグネット19の他端部は、地板21に突設された一対のブラケット22の先端部に嵌着されるキャップ部材23に図示しない軸受を介して回転自在に支持される。
光路を通す開口24が形成された地板21には、リンクアーム13に当接してその揺動端を規定するための図示しないストッパ部が突設されている。所定の隙間を介してロータマグネット19を囲む円筒状のヨーク25は、その内周に一対の位置決め突起26が形成され、弾性変形可能な地板21のブラケット22に形成された嵌合穴27にそれぞれ係合して地板21のブラケット22に対して一体化される。このヨーク25は、軟磁性材料にて形成され、ロータマグネット19とで磁気回路、つまり本発明におけるムービングマグネットを構成する。ロータマグネット19を駆動するための駆動コイル28と、ロータマグネット19の回転速度に比例した逆起電力を生成してこれをロータマグネット19の回転の制御に利用するための制動コイル29とがヨーク25を挟んで180度隔てて対向配置されている。これら駆動コイル28および制動コイル29は、接着テープ30によってヨーク25に固定され、外部からの信号を授受するプリント回路基板31に接続している。ヨーク25に形成された一対の位置決め突起26の対向方向と、駆動コイル28と制動コイル29との対向方向が直交するように、ヨーク25に対する駆動コイル28および制動コイル29の取り付け位置が規定されている。上述した一対の位置決め突起26は、ロータマグネット19のディテントトルクの磁気的安定位置を設定する機能も有する。すなわち、駆動コイル28に対する電流の遮断時にロータマグネット19を磁気吸引することにより、絞り板11,12を駆動して開口絞りを閉じた状態に保持することができる。
このような光量調整装置10のヨーク25が本発明の複合型金属成形体にて形成されており、その製造手順の一例を以下に示す。
金属粒子として軟磁性材料である鉄粉 Somaloy 500(スウェーデン国ヘガネス社の商品名)を用意した。また、樹脂としてフラン樹脂VF303(日立化成工業株式会社の商品名)を用意し、さらにその酸性触媒としてA3(日立化成工業株式会社の商品名)を用意した。そして、フラン樹脂100質量部に対し酸性触媒を1質量部加えたものをアセトンで希釈し、粘度調整を行ってこれを浮遊流動させた状態の鉄粉に散布し、溶剤であるアセトンを蒸発させて酸性触媒を含むフラン樹脂を鉄粉の表面に被覆して成形原料を得た。さらに、この成形原料に一般工業試薬であるステアリン酸亜鉛を固体潤滑剤として成形原料全体量に対し0.5質量部を均一に添加し、これをピストン−バイブレータで振動数120Hz,20Nの振動力で1秒加振して成形型に充填した。しかる後、これをヨーク25の軸線と平行な方向から所定の圧力にて加圧して加圧成形体を得た。
なお、本実施形態における成形型の内径は6.000mm、センターピンの外径は5.200mmであり、このセンターピンの外周面に位置決め突起26となる1つないし2つの半円状凹溝が形成されている。
このようにして加圧成形体を成形型から取り出し、これをセラミック製の平板に載せ、180℃で1時間加熱してフラン樹脂を硬化させた。そして、10-3Paの真空度を保ったまま600℃で1時間加熱を行い、フラン樹脂の分解ガスを発生させて不要なガスを取り除いた。さらに850℃から1000℃に昇温し、水素還元雰囲気中で1時間保持して歪取り焼鈍を行った後、室温に戻して複合型金属成形体であるヨーク25を得た。
一般的に鉄系金属の粉末冶金焼結加工では、通常1100℃から1300℃で金属同士の溶着を行う。この場合の溶着率は通常80%以上となり機械強度の高い焼結体となるが、本実施形態のような薄肉の部品においては寸法変化も大きくなる。さらに複数の部品を接触させて熱処理を行う場合、フラン樹脂の炭化と金属粒子の溶着の他に部品同士の溶着も発生し、作業性が極端に悪化する。
また500℃を下回る温度に設定すると、十分な溶着と内部歪の除去ができなくなる。なお、フラン樹脂の炭化は350℃前後から始まるため、500℃での加熱でも複合型金属成形体の形成が可能である。
本発明においては、金属粒子間に炭化物が一定量残存し、成形体の変形が少なくかつ機械的強度及び磁気特性にも優れた溶着率となるように焼成温度を設定する事により、所定の特性のヨークを形成できる。
得られたヨーク25の特性を以下の表1に示す。ただし、実施例1はフラン樹脂100質量部に対し酸性触媒を1質量部加えたものを鉄粉100質量部に対して0.6質量部加えた成形原料を用い、1cm当たり3.6トンの加圧力にて加圧成形体を得たものである。以下同様に、実施例2は鉄粉100質量部に対して4.0質量部加えた成形原料を用い、1cm当たり3.6トンの加圧力にて加圧成形体を得たものである。実施例3は鉄粉100質量部に対して0.5質量部加えた成形原料を用い、1cm当たり10.0トンの加圧力にて加圧成形体を得たものである。実施例4は、鉄粉100質量部に対して3.0質量部加えた成形原料を用い、1cm当たり10.2トンの加圧力にて加圧成形体を得たものである。実施例5は、鉄粉100質量部に対して1.0質量部加えた成形原料を用い、1cm当たり8.0トンの加圧力にて加圧成形体を得たものである。
なお、本発明の効果を確認するため、比較例1として実施例1における加圧成形体に対する成形圧力を1cm当たり3.2トンにしたものを用意した。同様に、比較例2として実施例2における加圧成形体に対する成形圧力を1cm当たり3.4トンにしたもの、比較例3として実施例3における加圧成形体に対する成形圧力を1cm当たり15.6トンにしたものを用意した。また、比較例4として鉄粉100質量部に対し5.0質量部加えた成形原料を用い、1cm当たり12.5トンにしたものを用意した。さらに、比較例5として以下のものを用意した。すなわち、実施例1で用いた鉄粉100重量部に対し、エラストマーであるシリコーン樹脂DY35-561A/B(東レダウコーニング株式会社の商品名)5重量部をキシレンで希釈し、これを鉄粉にスプレーして成形原料を得た。この成形原料を実施例5と同じ成形圧にて成形を行い、次いでこれを200℃で4時間加熱し、シリコーン樹脂の硬化を行った。しかる後、これを10-3Paの真空度を保ったまま600℃で1時間加熱し、続いて850℃に昇温して水素還元雰囲気中で1時間保持した後、室温に戻して複合型金属成形体である比較例5のヨーク25を得た。
Figure 0004693732
ここで、残存炭素量は、燃焼赤外線吸収法により金属元素との存在比率で求めた。
また、溶着率はヨークに巻線を施して796A/mの磁界を印加した時の1kHzの周波数におけるコアロスを求め、実施例と同一形状の純鉄バルクによるヨークのコアロスを100とした場合の比で表した。
寸法変化率は、成形型の内径寸法に対する得られたヨーク25の外径寸法の誤差の絶対値および成形型のセンターピンの外径寸法に対する得られたヨーク25の内径寸法の誤差の絶対値が共に0.5%未満のものを○、それ以上のものを×で表現した。誤差の絶対値が0.5%未満の場合、得られるヨーク25の寸法矯正を必要としないからである。
圧環強度は、JIS Z2507に規定された方法にて材料試験機の圧縮モードで測定を行った。本実施形態のヨーク25の如き薄肉の部材を取り扱う場合、100N/mm未満の圧環強度になると急激に割れや破壊が起こり易くなることから、100N/mm未満のものを×、それ以上の値のものを○として表した。
磁気特性に関しては、実施例1〜5および比較例1〜5によって得られるヨーク25を図1に示した光量調整装置10に組み込み、電流遮断時における一対の絞り板11,12の作動確認を行った。絞り板11,12が絞り開口を円滑に閉じたものを○、この動作が円滑でなかったり、あるいは閉じなかったりしたものを×で表す。
表1の結果から、光量調整装置10の軟磁性部材である実施例1〜5によるヨーク25は、寸法精度が高くかつ材料強度が大きいことを認められよう。
なお、実施例5および比較例5によるヨーク25に30ターンの一次/二次巻線を施し、直流磁化特性自動記録装置を用いて796A/mの極めて弱い磁界での磁束密度を求めたところ、実施例5のヨーク25は1.05T、比較例5では0.23Tとなった。この結果から、本発明によるヨーク25は極めて弱い磁場で極めて高い磁束密度を持つ優れた軟磁性材料であることを確認できた。
それに対し、比較例1は、残存炭素量が0.001%より少ないが、溶着率も低いため寸法変化率は良好であったが、溶着率が低いために圧環強度が得られず、磁気特性も満足の行くものが得られなかった。比較例2は、残存炭素量が2%より多く、炭化した樹脂の量が多かったことと、ガスが成形体に溜まってしまうため、寸法変化率が大きくなってしまった。また、溶着率が低いために圧環強度が得られず、磁気特性も満足の行くものが得られなかった。比較例3は、溶着率が80%を超えてしまったために寸法変化率が大きくなってしまい、そのために絞り板が円滑に動作しなかったものと思われる。また比較例4は、残存炭素量が2%より多く、炭化した樹脂の量が多かったことと、ガスが成形体に溜まってしまうため、寸法変化率が大きくなってしまい、そのために絞り板が円滑に動作しなかったものと思われる。
また、実施例5によるヨーク25を切断してその切断面を平滑に研磨し、この部分を顕微鏡にて観察した結果を図2に示す。この図2から、金属粒子同士の溶着部と、非溶着部である空孔とが認められる。図3は、図2を模式的に表したものである。図2および図3に示した空孔部の表面に炭化物が残留し、鉄粉の溶着を制限している。図4は、希硝酸で鉄粉をエッチングして除去した走査電子顕微鏡写真であり、エッチング液に侵されずに平坦な面を持ったフラン樹脂の炭化物を確認することができる。
このように、樹脂が加熱により焼成され、炭化状態で複合型金属成形体に残存する残存炭素量を調整することにより、溶着率が低くとも強度が得られ、その形状の安定性を維持して寸法変化のほとんどない高精度な複合型金属成形体を得ることができる。しかも、加熱により金属粒子が相互に溶着して得られる複合型金属成形体の機械的強度を極めて高くすることができる。さらに、金属粒子として軟磁性材料を用いた場合には、加熱により軟磁性材料の内部歪みが除去される結果、その軟磁気特性を極めて高いものにすることができる。
次に、本発明による複合型金属成形体をカメラのシャッタ装置に応用した一実施形態について、その外観を分解状態で示す図5を参照しながら以下に詳細に説明する。このシャッタ装置40は、いわゆるレンズシャッタと呼称される形式のものであり、図示しないレンズ鏡筒の極めて狭い空間に収納される。
このシャッタ装置40のケーシング41とこのケーシング41に被せられる上カバー42との間には、円筒状をなす永久磁石にて形成されたマグネットロータ43が収容されている。また、これらケーシング41と上カバー42との間には、マグネットロータ43に対して所定の隙間を隔ててこれを囲み、マグネットロータ43とで本発明におけるムービングマグネットを構成するヨーク44も収容されている。マグネットロータ43は、周方向に沿って半周ずつ2極に着磁されている。マグネットロータ43の回転軸45の一端側はケーシング41を貫通し、さらに一方のシャッタ羽根46の基端部に形成された長孔47を貫通し、他方のシャッタ羽根48の基端部に形成された連結穴49に一体的に嵌着されている。このマグネットロータ43の一方の回転軸45に対して一体的に嵌着された揺動アーム50の先端部には、駆動ピン51が突設され、先の一方のシャッタ羽根46の長孔47の側方に形成された連結穴52に対して一体的に嵌着されている。これにより、マグネットロータ43がその回転軸45と共に回転すると、他方のシャッタ羽根48もこれと同時に回転するが、一方のシャッタ羽根46は所定のタイミングだけずれて回転することとなる。なお、マグネットロータ43の回転軸45の他端側は、上カバー42に対して回転自在に支持されている。
略音叉状形状を有するヨーク44は、軟磁性材料にて形成され、図示しない電源に接続する巻線53が装着されている。この巻線53に供給される電流の大きさおよびその方向を制御することにより、一対のシャッタ羽根46,48の作動状態を任意に設定することが可能である。音叉状形状ヨーク44のマグネットロータと対向する部分は、巻線53への通電が遮断された時、一対のシャッタ羽根46,48が全閉する方向にマグネットロータ43が回転するような形状となっている。さらにシャッタの機能として、衝撃等が加わったときもシャッタ羽根が開口しないことが必要で、ヨークのマグネットロータと対向する部分は特に寸法の安定性が求められる。この点が前述の略円筒状ヨーク25を使用したものとの相違点である。
このシャッタ装置40の安定した性能を得るためには、マグネットロータ43との対向磁極を形成するヨーク44の平坦度や、マグネットロータ43との隙間寸法の精度が重要である。
そこで、このヨーク44を本発明による製造方法にて作成した。まず、ヨーク44に対応した形状の成形型を用意し、先の実施形態における実施例5と同じ成形原料を用い、1cm当たり9.0トンの成形圧にて加圧成形体を得た。なお、このときの成形型寸法は、マグネットロータ43と対向磁極を形成する部位の径が4.000mm、かつ加圧成形後に脱型した際の成形体の厚みが2.00mmになるように、成形原料投入量の調整と成形型の上下パンチ押し込み量とを調整した。
これを180℃にて加熱してフラン樹脂を硬化させた後、先の実施形態における実施例1〜5と同様の条件で加熱して略音叉状形状の複合型金属成形体である本発明の実施例6のヨークを得た。
次に、比較例6として純鉄の1.00mm平板をヨーク44形状にプレス抜きし、水素雰囲気中にて850℃,1時間の熱処理を施し、プレス抜きヨークを作成した。
さらに、比較例7として前出の鉄粉 Somaloy 500を用い、これにポリアミド樹脂を鉄粉100重量部に対し1.5重量部添加し、焼結原料とした。これを、実施例6と同一の成形型に投入し、1cm当たり9.0トンの成形圧にて、成形圧脱型後の厚みが2.00mmとなるように、成形原料投入量と成形型の上下パンチ押し込み量とを調整した。さらに、これを空気雰囲気で220℃に保持された炉に入れ、バインダーであるポリアミド樹脂の脱脂を行い、続いて水素雰囲気中にて1100℃,1時間の焼結処理を経て焼結ヨークを作成した。
(寸法精度評価)
本実施例6および比較例6,7のヨーク各10個について、寸法精度比較としてマグネットロータ43との対向磁極をなす直径の平均値とその標準偏差値を求めた。このときの測定は、比較例6については1枚について行っている。また、平坦度は、これらヨークを定盤に置き、隙間寸法の最大のものを材厚寸法で除した値に100を乗じて%で表した。数値としては、10個の平均値を示す。これらの結果を表2に示す。
Figure 0004693732
表2からも明らかのように、本発明による実施例では、このような音叉状部材においても、先端部のギャップ変形の極めて少ない、平坦度の極めて高い、金型寸法に極めて近似した高精度の複合金属成形体が得られることを示している。比較例6によると、純鉄のプレス抜きにより多くの不均一な歪が発生し、熱処理により平坦度が悪くなったと思われる。また比較例7においては、1100℃の熱処理温度により金属粒子の溶着率が80%以上となり、平坦度が悪くなったと思われる。
(シャッタ性能評価)
本発明による実施例6のヨーク44に対し巻線53を装着し、図5に示すシャッタ装置40を図示しないレンズ鏡筒内に組み込んだ。そして、巻線53に駆動電流を流さずに永久磁石であるマグネットロータ43とヨーク44との吸引力によってシャッタ羽根46,48を閉状態に保持し、2.0mの高さからレンズ鏡筒を落下させてシャッタ装置40の落下衝撃試験を行った。シャッタ装置40に求められる性能としては、非通電時にシャッタ羽根46,48が閉状態を保っているのみならず、これが組み込まれた光学機器に所定の衝撃が加えられてもシャッタ羽根46,48が閉状態を保ち続けることである。本実施形態及び比較例においては、いずれもシャッタ装置40の状態で非通電時閉状態を保った。しかし落下衝撃試験においては、実施例では常にシャッタ羽根46,48の閉状態が保持されていることを確認することができたが、比較例においては保持力が弱く、開口してしまうことがあった。
(材料強度試験)
本実施例6、比較例6,7のヨークを、大略コの字の先端部が狭まる方向から荷重を加え、座屈強度を測定した。なお、比較例6のプレス抜きヨークについては2枚重ねとした。結果は、本実施例および比較例とも同等の座屈強度を示すとともに取り扱い上、充分な値であった。
上述した実施形態においては、軟磁性材料として鉄粉を用いたが、鉄粉に限らず他の軟磁性材料、あるいは磁性材料に限らず他の金属材料と樹脂とを用いて寸法安定性および機械的強度の高い複合型金属成形体を得ることができる。
本発明を上述したような光量調節装置の電磁駆動装置用ヨークに限らず、各種モータのような電磁駆動装置のヨークとして成形することも可能である。例えば、プリンタなどで用いられる図6に示すようなスピンドルモータ54においては、図7に示す如き放射状のコイル保持部55aを持ったヨーク55に本発明を応用することができる。ヨーク55のコイル保持部55aにはコイル56が巻き掛けられており、このヨーク55を囲むように永久磁石57が環状に配されてスピンドル58と一体に回転する。この場合、ヨーク55の円筒状をなす本体55bから放射状に突出する複数のコイル保持部55aの平坦度を向上でき、実施例6の場合と同様に良好な回転精度を達成することができる。図8および図10に示すようなステッピングモータ59の場合、スピンドル60に永久磁石61が一体的に固定され、コイル62をそれぞれ収容する一対のステータ63がスリーブ64に嵌め込まれた状態となっている。これらのステータ63は実施例1〜5の形状に類似した薄肉部材であり、かつ図9および図11に示す如き環状に配列する櫛歯状部分63aを併せ持っているため、通常のプレス加工などでは達成できない高い精度でステータ63を製造することができる。このため、ステップ精度やトルク特性の優れたステッピングモータ59を得ることが可能である。
このように、モータのステータやトランス,磁気ヘッドのコア以外に、高精度および高強度の非対称形状または薄肉部材を複合型金属成形体として成形することも可能である。
なお、本発明はその特許請求の範囲に記載された事項のみから解釈されるべきものであり、上述した実施形態においても、本発明の概念に包含されるあらゆる変更や修正が記載した事項以外に可能である。つまり、上述した実施形態におけるすべての事項は、本発明を限定するためのものではなく、本発明とは直接的に関係のないあらゆる構成を含め、その用途や目的などに応じて任意に変更し得るものである。
本発明を光学機器の光量調整装置に応用した一実施形態の外観を分解状態で表す立体投影図である。 図1に示したヨークを本発明の方法により製造した際の内部組織を拡大して表す走査電子顕微鏡写真である。 図2に示したヨークの内部組織を模式的に表す概念図である。 図1に示したヨークを本発明の方法により製造した際の位置決め突起の部分の走査電子顕微鏡写真である。 本発明をカメラのシャッタ装置に応用した他の実施形態の外観を分解状態で示す立体投影図である。 本発明をスピンドルモータに応用した別な実施形態の断面図である。 図6に示したスピンドルモータのヨークの部分の平面図である。 本発明を円筒形ステッピングモータに応用したさらに他の実施形態の断面図である。 図8に示した円筒形ステッピングモータの外観を分解状態で表す立体投影図である。 本発明を別な円筒形ステッピングモータに応用したさらに別な実施形態の断面図である。 図10に示した円筒形ステッピングモータのヨークの部分の外観を表す立体投影図である。
符号の説明
10 光量調整装置
11,12 絞り板
13 リンクアーム
14 NDフィルタ
15 開口
16 ケース
17 長孔
18 ピン
19 ロータマグネット
20 支軸
21 地板
22 ブラケット
23 キャップ部材
24 開口
25 ヨーク
26 位置決め突起
27 嵌合穴
28 駆動コイル
29 制動コイル
30 接着テープ
31 プリント回路基板
40 シャッタ装置
41 ケーシング
42 上カバー
43 マグネッ泡トロータ
44 ヨーク
45 回転軸
46 シャッタ羽根
47 長孔
48 シャッタ羽根
49 連結穴
50 揺動アーム
51 駆動ピン
52 連結穴
53 巻線
54 スピンドルモータ
55 ヨーク
55a コイル保持部
55b 本体
56 コイル
57 永久磁石
58 スピンドル
59 ステッピングモータ
60 スピンドル
61 永久磁石
62 コイル
63 ステータ
63a 櫛歯状部分
64 スリーブ

Claims (8)

  1. 相互に溶着した軟磁性材料を含む金属粒子間に樹脂の炭化物が介在し、前記金属粒子に対する前記樹脂の炭化物の重量比が前記金属粒子を100とした場合、0.001%以上2%以下の範囲にあり、かつ前記金属粒子の溶着率が10%以上80%以下の範囲にあることを特徴とする複合型金属成形体。
  2. 前記樹脂がフラン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の複合型金属成形体。
  3. 軟磁性材料を含む金属粒子を樹脂で被覆して成形原料を得るステップと、
    前記成形原料を所定形状に加圧成形して加圧成形体を得るステップと、
    前記加圧成形体を加熱して前記樹脂を焼成すると共に前記金属粒子を相互に溶着させて前記金属粒子の間に前記樹脂の炭化物が介在する複合型金属成形体を得るステップと
    を具えたことを特徴とする複合型金属成形体の製造方法。
  4. 前記加圧成形体を加熱して複合型金属成形体を得るステップは、前記軟磁性材料を焼鈍してその内部歪を除去するステップを含むことを特徴とする請求項に記載の複合型金属成形体の製造方法。
  5. 前記樹脂が熱硬化性樹脂であり、前記加圧成形体を加熱することにより前記樹脂を硬化させるステップをさらに具えたことを特徴とする請求項または請求項に記載の複合型金属成形体の製造方法。
  6. 前記樹脂がフラン樹脂であることを特徴とする請求項に記載の複合型金属成形体の製造方法。
  7. 前記加圧成形体を加熱するステップは、前記加圧成形体に500℃以上1000℃以下の範囲の加熱を含むことを特徴とする請求項に記載の複合型金属成形体の製造方法。
  8. 永久磁石と、コイルへの通電により磁気回路を構成するヨークとを具え、前記ヨークが請求項1または請求項に記載の複合型金属成形体か、あるいは請求項から請求項の何れかに記載の製造方法によって製造された複合型金属成形体であることを特徴とする電磁駆動装置。
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