JP4693270B2 - 高次非線形誘電率を計測する走査型非線形誘電率顕微鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、強誘電材料の永久分極の状態や結晶性を評価するものとして開発した走査型非線形誘電率顕微鏡の改良技術であって、超高分解能の走査型非線形誘電率顕微鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明者らは先に誘電・強誘電析料の線形・非線形誘電率分布の計測がおこなえる走査型非線形誘電率顕微鏡(SNDM)を開発した。本顕微鏡は機械的応答、熱的応答である圧電・焦電応答などを使わずに、純電気的に分極分布や結晶の異方性を測定するものであって、分解能もサブナノメータオーダに達していることが確かめられており、極微小分極分布観察のための測定法の一つとして注目を集めている。また、当然ながら線形の誘電率や誘電損失も計測できる。
まず、この走査型非線形誘電率顕微鏡の動作原理について説明する。本顕微鏡の原理は本件発明者らが提案している印加交番電界による誘電率変化の動的測定法を基本にしたものであり、それは以下に述べるように残留分極を固定したまま、電束と電界の間の非線形性の次数を分離できる計測法である。
まず、比較的大きな振幅EP3=Vp/dとゆっくりした角周波数ωpをもつ交番電界が非線形性をもった誘電体に印加され、そのため微分容量Cs(t)が時間の関数として交番的に変化する状況を考える。ここでZ軸(3方向)を残留分極Prの方向にとり簡単化のためこの方向のみの変化を考える。このような物質中で電束密度D3と電界E3の関係は非線形性まで考慮に入れて
D3=Pr+ε(2)E3+ε(3)E3 2 /2+ε(4)E3 3 /6+ε(5)E3 4 /24‥‥(1)
で与えられる。その展開係数ε(2)、ε(3)およびε(4)‥‥をここではそれぞれ二次(線形)、三次(最低次の非線形)および四次‥‥の誘電率と呼ぶことにする。それらは、2階、3階および4階‥‥のテンソル量である。なお、この一見奇妙な呼び名は電気的エンタルピーH2などのエネルギー関数を電界で展開したときの展開次数から定義されたものであり、通常D−E関係で定義される電界の次数より一次大きいことに注意されたい。
特に3階のテンソル量であるε(3)は圧電定数と同様に対称中心をもつ材料には存在せず、強誘電材料においては、残留分極Aの向きを反転させるとそれに従って符号が変わる性質をもっている。少々正確さを欠くがこのことを図示したのが図18であり、強誘電体のヒステリシス曲線において、D=Prの点ではD−E曲線は上に凸であり(二次曲線成分の係数は負)ε(3)=−ε'(3)<0、D=−Prの点では下に凸となりε(3)=ε'(3)>0(大きさは同じで逆符号)となる。また、未分極状態(原点)ではD−E曲線は点対称で二次曲線成分はなくなりε(3)=0となる。さらに、一次の傾きである線形の誘電率は分極の反転によっては変化しないことも、この図からあわせて理解できる。
【0003】
このような特性を持つ材料に外部から強制的に電界を印加し、その各点でのD−E曲線の傾きの変化すなわち微分容量の変化を計測することにより、非線形誘電率を計測するのである。具体的には、試料に外部から
Ep3=EpCOSωpt (2)
の交番電界を印加し、その試料の微分容量をω0の角周波数(ωp≪ω0)の微小高周波電界E 3で測定する。
E 3=E 0COSω0t (3)
ただし、Ep ≫ E 0 の関係にある。ここで
E3=Ep3+E 3 (4)
を(1)式に代入し整理すると、微小高周波電界によって誘起される微小な電束密度D 3は以下のように与えられる。(ただし、下式ではω0に近い成分のみを抽出し2ω0などのω0からかけはなれた成分を無視している。)
D 3=(ε(2)+ε(3) Ep3+ε(4)Ep3 2/2)E 3 (5)
上式は外部から強制的に印如した電界Ep3により、微分誘電率が変化することを表しており、そのため微分容量Cs(t)は次式に従い変化する。
Cs(t)=Cs 0+ΔCs(t) (6)
ここで、Cs 0 は零印加電界時の静電容量、ΔCs(t)は電界印加による静電容量の交番的変化分であり、これらの比は
で与えられる。
以上のことより、三次の誘電率に起因する容量変化は印加電界と同一周波数で変化し、その振幅は印加電界の振幅に比例し、四次の誘電率による容量変化は印加交番電界の2倍の周波数をもち、その振幅の自乗に比例する振幅をもつことがわかる。
【0004】
次に、走査型非線形誘電率顕微鏡用プローブおよびシステムを説明する。
上記印加電界による容量変化(誘電率変化)の直流成分に対する比は大きくて10-3の大きさであり、通常は10-5〜10-8程度の微小な変化である。この変化を測定用基板上の任意の位置で測定できるプローブを本発明者らが開発した。開発したプローブには同軸共振器を用いた分布定数型とLC共振器を用いた集中定数型があるが、ここでは最近の高分解能型に対応した集中定数型について説明する。
図16に走査型非線形誘電率顕微鏡用集中定数型プローブの概念図を示す。薄板状の誘電体試料(基板)の背面に電極(背面電極)を配置し、その表面側に円形のアース導体(リング)とその中心位置に探針を組み合わせたプローブを配置する。中心導体(探針)直下の試料の静電容量Cs(t)と外付けのインタクタンスLで構成された集中定数型の共振器の共振周波数に同調して発振器が発振する。リングと背面電極間に外部から角周波数ωp振幅Vpの電圧を印加すると、非線形効果のため静電容量が変化し発振周波数の交番的変化が起こる。同図中Cg(t)は円形のアース導体(リング)直下の静電容量であり、Cg(t)はCs(t)に比べて十分大きくとるので共振周波数に関しては無視でき、中心導体直下の微小な部分の情報(これを基に顕微鏡像が作られる。)が得られる。また図中のCoは共振器や発信回路中に存在する浮遊容量である。ただし、上記説明は基板の厚さが探針の直径より小さい場合についてのみ正確であり、探針先端の直径が被測定基板の厚さより十分小さいときは(通常の試料はほとんどこの場合に該当する。)、探針直下への電界の集中のため基板表面近くの部分の容量変化が観測される。
因みに上記原理に従って作成した集中定数型プローブの発振周波数は1GHz〜2.2GHz程度であり、探針はSTMなどに用いられるW針の作り方を参考にして本顕微鏡用の仕様に合わせて製作した。
次に、図17に本顕微鏡システムのブロックダイアグラムを示す。プローブの発振器から出力される信号は非線形誘電率の大きさに対応してFM変調されており、このFM波を復調器によって復調し、それをロックイン検波することによって非線形誘電率の大きさに対応した出力信号が得られる。また試料台であるX−Yステージを動かすことにより、非線形誘電率の分布測定が行われるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
さて、本発明者は走査型非線形誘電率顕微鏡を研究する過程で、前記(7)式により容量変化を測定すると、非線形誘電率の次数分離が可能であるということが分かった。即ち、印加電界と同じ周波数成分を検出すれば3次の非線形誘電率が、3倍の周波数成分を検出すれば5次の非線形誘電率を測定することができる。従来は、このε(3)の非線形誘電率を計測していたが、今回本発明者は2次上の奇数次項であるε(5)の非線形誘電率に注目した。尚、原理的には同じように式を展開して更に高次の非線形誘電率を測定することも可能である。1次上ではなく、2次上の奇数次項であるε(5)の非線形誘電率に注目したのは、ε(4)のような偶数次の非線形誘電率は残留分極の正逆方向について区別がないためである。そして、この非線形誘電率は高次となるほど、プローブである探針直下の集中度が高くなるとの知見を得た。
本発明の課題は、この知見に基き従来の非線形誘電率顕微鏡よりも分解能において優れた新たな非線形誘電率顕微鏡を開発し、提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の走査型非線形誘電率顕微鏡は、試料表面に接触させる探針と試料背面間に印加された低周波の交番電界によって変化する容量を測定するときに、従来の3次の非線形誘電率では無く、5次といったそれより高い奇数次の非線形誘電率を分離測定すると共に、針先半径の値がより小さい探針を使用することによって、平面領域的にも深さ領域的にも狭い領域の情報を検出し、高分解能の画像を得ることが出来るように構成した。具体的には試料表面に先端が接触する探針と該探針近傍の適宜の面積を有する電極と外付けのインダクタンスコイルLと発振器とからなるプローブと、前記電極と前記外付けコイルLを介して接続されている探針及び試料背面の電極間に低周波の交番電圧を印加する手段と、前記発振器のFM変調信号を復調するFM復調器と、該FM復調器の出力信号を受けるロックインアンプリファイアとからなり、前記プローブは探針直下の静電容量と外付けコイルLで構成されるLC共振器の共振周波数に同調して発振するようにできており、その出力信号は交番電界を印加することによる試料の微小な容量変化によりFM変調され、それをFM復調器で復調し、ロックインアンプで交番印加電圧の整数倍の周波数で同期検波することにより試料の3次を越える高次の非線形誘電率の大きさに対応した信号を得るようにした。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1にこの容量変化の分布を高分解能に検出する走査型非線形誘電率顕微鏡(SNDM)の具体的な概念を示す。SNDMのプローブは探針1、外付けのインタクタンスL、探針1の針先を中心とするをリング(アース導体)2、発振器3からできている。このプローブは探針直下の静電容量Cs0と外付けコイルLで構成されるLC共振器の共振周波数に同調して発振するようにできており、その出力信号は交番電界を印加することによる試料の微小な容量変化によりFM変調される。それをFM復調器4で復調し、ロックインアンプ5で交番印加電界と同期検波することにより試料の非線形誘電率の大きさに対応した信号を得ている。ここで、この同期検波を行う際に印加電界と同一周波数又はその整数倍周波数の内どの周波数成分を検波するかによって測定する非線形誘電率の次数を選ぶことができる。
【0008】
図2に測定試料の比誘電率が300の場合の探針直下の電界の1,2及び4乗分布を示す。探針は勿論同じものを使用した場合である。図2中aは探針先端半径を示し、非常に緩やかなカーブを持つ円弧は探針先端の形状を表している。これより、ε(2)像(線形誘電率像)の分解能を決定する電界の1乗分布は、半径0.005a程度の領域に局在していることがわかる。更にε(3)像(3次の非線形誘電率像)、ε(5)像(5次の非線形誘電率像)の分解能を、それぞれ決める探針直下の電界の2乗及び4乗分布の図を見ると分かるようにそれらは次数が上がれば上がる程狭い領域に集中してくる。集中度が高いということはその部分の容量変化のみを検出していることであり、それを基にした二次元走査画像は、結果的により浅い表面層部分を高分解能で観察したものとなる。また、ε(3)の計測では静電容量に対する検出感度が探針半径aに比例し、印加電界の強度がaに逆比例する為検出感度は探針半径に依存しなかったが、ε(5)の計測では印加電界の3乗(1/a3)に比例する為検出感度は1/a2に逆比例し、細い探針を用いる方が感度が上がるという特徴がある。非線形誘電率情報は高次となるに従い信号レベルは低くなるのであるが、それ以上に細い探針を用いることによる感度上昇が勝るのでノイズに埋もれてしまわない範囲では信号レベルの低下は問題にならない。
誘電体に電界を印加した時の非線形誘電率に起因する容量変化の一般的定理を用いると、試料の容量変化と非線形誘電率の関係を求めることができる。ここで、△C及び△C'をそれぞれ3次及び5次の非線形誘電率に起因する容量変化、Vを探針印加電圧とすると、
【数1】
と表せる。ここで、Snl,S'nlはSNDMの感度係数であり、容量変化感受率と呼ばれる次式で与えられる。
【数2】
上式中X,Y,Zは針先半径aで規格化した座標であり、E x,E y,E zはその座標で表した単位印加電位当りの電界である。これより、Snlは比誘電率のみの関数で針先半径aについて独立であり、ε(3)の非線形誘電率測定の場合には信号強度は針先半径aには依存せず、分解能を上げようとして針先半径aを小さくしても感度が変わることがないということが分かる。更にε(5)の非線形誘電率計測の場合は1/a2がかかるため、針先半径aが小さくなるほど信号強度が大きくなり、高分解能化に対してより有利であることが分かる。
なお、ここではε(2)像(線形誘電率像)、ε(3)像(3次の非線形誘電率像)、ε(5)像(5次の非線形誘電率像)について述べたが、ε(4)像,ε(6)像‥‥‥‥等の偶数次非線形誘電率計測についても、分極方向の判別機能が無いだけで現象的には同様のことがいえる。
【0009】
次にこのSnl及びS'nlを用いて、針先半径aの探針で試料面Y軸方向に走査を実行するという図3のようなモデルでSNDMの一次元分解能の計算を行った。その結果を図4に示す。縦軸には信号強度をとり、横軸は針先半径aで規格したY座標である。比誘電率30の図4(a)と比誘電率300の図4(b)との比較により、試料の比誘電率が大きくなると、一次元分解能が上がることが分かる。因みに、誘電率300の場合、ε(3)の非線形誘電率計測の一次元分解能は針先半径aの約0.03倍、又ε(5)の非線形誘電率の一次元分解能は約0.005倍であることが分かる。つまり、高次の非線形誘電率測定は、低次の測定の場合よりもかなり高分解能であることが予想される。
【0010】
次に、図5に示すような試料表面に針先半径Aの探針を接触させた時のSNDMの深さ方向感度モデルを想定し、その計算結果を図6(a),(b)に示す。縦軸には信号強度をとり、横軸は針先半径aで規格化した深さH(=h/a)をとってある。つまりSNDMは、縦軸の信号強度が1になる深さの領域まで感度があり、比誘電率30の図6(a)と比誘電率300の図6(b)との比較から、比誘電率が大きくなるほどより試料の表面に近い層の情報を得ていることが分かる。更に高次の非線形誘電率計測の場合は、最低次と比べてより表面近傍の情報を得ていることもグラフから明らかである。概念的には、図7に示すように計測する非線形誘電率の次数によってSNDMの深さ方向感度が大きく異なるため、計測される分極像も大きく変わる場合があることが予想される。
以上の事柄から、本発明は従来の3次の非線形誘電率では無く、5次といったそれより高い奇数次の非線形誘電率を測定すると共に、針先半径aの値がより小さい探針を使用することで、平面領域的にも深さ領域的にも狭い領域の情報を検出し、高分解能の画像を得ることが出来るSNDMを実現するものである。
【0011】
[実験データ1]
次に実際に高次の非線形誘電率像の計測を行い、同じ場所の最低次の非線形誘電率像と比較検討してみた。このデータは1回の走査によって得たFM復調信号から、異なる周波数の参照信号によって分離抽出できるので、同一走査部分を印加電界など全く同一条件下での比較データが取得できる。図8は針先半径aが1μmの探針でBaTiO3のc-cドメイン境界を計測した結果をグラフで示したものである。実験的にも境界部での信号勾配から(a)に示したε(3)の像よりも(b)に示したε(5)の像の方が高分解能であることが分かる。
[実験データ2]
次に針先半径25nmの導電性カンチレバー(原子間力顕微鏡に使用されるプローブの形態)を用いて図8のときとは異なるBaTiO3試料の表面を測定した。その結果を図9に示す。ε(3)の非線形誘電率像とε(5)の非線形誘電率像は、分極が対応している場所もあるが、そうでないところも存在した。この実験は、特に小さな針先半径の探針を用いた為、ε(5)の非線形誘電率像計測の場合、試料の極々表面層のみを見ており表面の状態を高感度に検出しているため、より広い領域のデータであるε(3)の非線形誘電率像とは相違していると考えられる。また、ε(5)の非線形誘電率像で信号強度が0になっている部分(図中破線で囲った領域)は、表面にあるaドメインもしくは常誘電層を感度よく検出しているものと思われる。因みにε(3)の非線形誘電率像はこの部分でも若干の出力信号が存在しており、これは表面下の層の検出信号が混在しているものと解される。
[実験データ3]
図10は、図9と同様にプローブ探針に針先半径25nm導電性のカンチレバーを用いて測定したPZT薄膜の2次元像である。図10の(a)がε(3)の非線形誘電率像であり、図10の(b)がε(5)の非線形誘電率像である。この顕微鏡像の比較からもε(3)非線形誘電率像よりε(5)非線形誘電率像の方がより細かい情報が画像化されており2次元領域的に高分解能であると共により浅い表面層を観測していることが確認できる。
【0012】
[実験データ4]
次に、針先半径25nmカンチレバーを用いて周期反転LiNbO3(PPLN)の表面層の時間変化を測定したものについて報告する。図11の(a),(b)は空気中に長時間放置されたPPLNのドメイン境界での像である。ε(3)の測定(図11の(a))では明らかにc−cドメイン境界が見えるが、ε(5)(図11の(b))では見えていない。そこでこの試料を表面研磨して測定したところ、図12の(a),(b)の顕微鏡像が得られた。この画像から明らかなように研磨直後のドメイン境界の像がくっきりと現われ、ε(5)(図12の(b))でも明瞭である。この結果を図13にε(3)の信号を実線で、ε(5)の信号を破線でグラフ表示した。図の(a)は研磨前のデータであり、(b)は研磨直後のデータである。研磨前のε(5)の信号からはドメイン境界情報が読取れないことがグラフ上からも明らかである。さらに研磨後10時間を経た時点で改めて同じ領域の顕微鏡像を得た。それが図14の(a),(b)であり、該検出信号をε(3)の信号を実線で、ε(5)の信号を破線でグラフ表示したものが図15である。図14の(b)から明らかなようにε(5)の測定でまたドメイン境界を見ることができなくなっている。
以上の結果を踏まえて考察すると、まず、ε(5)の測定ではε(3)の測定に比べてかなり浅い領域に限定された情報を得ているはずである。研磨前の試料に対し比較的深い層までの情報を含んでいるε(3)の測定では観測できるドメイン境界が極表面部分の情報のみを示すε(5)の測定では消えているということは、LiNbO3表面に非常に薄い常誘電層が形成されており、それをε(5)の測定で検出していることを示している。そして、比較的深い層までの情報を含んでいるε(3)の測定ではドメイン境界が観測できるということから、その層は極めて薄いものであること、また、このLiNbO3表面の常誘電層は研磨後10時間という短い期間で形成されることが判る。ちなみに、この実験で用いた試料LiNbO3の線形の比誘電率は約30であって、針先半径が25nmの探針を使用するものとした場合、図6の(a)の特性図から割り出すと、ε(3)の測定では5nm、ε(5)の測定では1.25nmの深さまでを計測していることになる。すなわち、ε(5)の測定では表面から1〜数格子分の深さまでの情報のみを得ることができるということになる。
以上のように、本発明における高次非線形誘電率計測は探針半径を変えることなく、ロックインアンプの参照信号を印加電界の周波数の整数倍のいずれかに設定するのみで分解能や深さ方向感度を任意に変えることができる。特に次数が高くなる程高分解能となり、又、この高次非線形誘電率測定は試料の表面層観察に非常に有効であることが理解されよう。
【0013】
【発明の効果】
本発明は、試料表面に接触させる探針と試料背面間に印加された低周波の交番電界によって変化する容量を測定する走査型非線形誘電率顕微鏡において、4次以上の高い次数の非線形誘電率を分離測定することにより、平面領域的にも深さ領域的にも狭い領域の情報を検出し、高分解能の画像を得ることができるものである。更に、針先半径の値がより小さい探針を使用することによって、相乗的に平面領域的にも深さ領域的にも狭い領域の情報を検出し、高分解能の画像を得ることができる。そして分離測定する非線形誘電率を5次以上の奇数次とすることにより、分極状態を測定出来る画像を得ることが出来る。また、本発明の走査型非線形誘電率顕微鏡は、試料表面に先端が接触する探針と該探針先端を中心とする電極と外付けのインダクタンスコイルLと発振器とからなるプローブと、前記電極と前記外付けコイルLを介して接続されている探針並びに試料背面の電極間に低周波の交番電圧を印加する手段と、前記発振器のFM変調信号を復調するFM復調器と、該FM復調器の出力信号を受けるロックインアンプリファイアとからなり、前記プローブは探針直下の静電容量と外付けコイルLで構成されるLC共振器の共振周波数に同調して発振するようにできており、その出力信号は交番電界を印加することによる試料の微小な容量変化によりFM変調され、それをFM復調器で復調し、ロックインアンプで交番印加電圧の整数倍の周波数で同期検波することにより試料の高次の非線形誘電率の大きさに対応した信号を容易に精度よく得ることができる。より深い層までの情報を含む低次の非線形誘電率測定情報から、より浅い層のみの情報を含む高次の非線形誘電率測定情報を引くことにより、より浅い層以下のより深い層までの情報を割り出す本発明の走査型非線形誘電率顕微鏡を用いた層解析方法は、高次の非線形誘電率測定情報には含まれていない層の情報を低次の非線形誘電率測定の元情報より精度のよい情報として抽出することができる。更には、ロックインアンプの参照信号を印加電界の周波数の異なる整数倍に設定することによって、分解能や深さ方向感度の異なる複数の情報を得るとともに、複数の異なる針先半径の探針を用いた測定情報を得て、これらを綜合するものであるから、より高精度の測定情報が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高次非線形誘電率顕微鏡の原理を説明する図である。
【図2】測定試料の比誘電率が300の場合の探針直下の電界の1,2,4乗分布を示す図である。
【図3】SNDMの一次元分解能計算モデル。
【図4】SNDMの一次元分解能計算結果を示すグラフである。
【図5】SNDMの深さ方向感度計算結果モデル。
【図6】SNDMの深さ方向感度計算結果を示すグラフである。
【図7】各非線形誘電率測定で見える深さを示す図である。
【図8】BaTiO3のc−cドメイン境界部の測定結果を示すグラフである。
【図9】広範囲でのBaTiO3の一次現像。
【図10】PZT薄膜の非線形誘電率像。
【図11】研磨前のPPLNのドメイン境界部の非線形誘電率像。
【図12】研磨直後のPPLNのドメイン境界部の非線形誘電率像。
【図13】PPLNのドメイン境界部の一次現像。
【図14】研磨後10時間のPPLNのドメイン境界部の非線形誘電率像。
【図15】研磨後10時間のPPLNのドメイン境界部の一次元像。
【図16】本発明の基礎となるSNDM用の集中定数型プローブを示す図である。
【図17】本発明の基礎となる走査型非線形誘電率顕微鏡システムを示す図である。
【図18】強誘電体のヒステリシス曲線と非線形誘電率を説明する図である。
【符号の説明】
1 探針 4 FM復調器
2 試料(高誘電率物質) 5 ロックインアンプリファイア
3 発振器
Claims (4)
- 試料表面に先端が接触する探針と該探針近傍の適宜の面積を有する電極と外付けのインダクタンスコイルLと発振器とからなるプローブと、前記電極と前記外付けコイルLを介して接続されている探針及び試料背面の電極間に低周波の交番電圧を印加する手段と、前記発振器のFM変調信号を復調するFM復調器と、該FM復調器の出力信号を受けるロックインアンプリファイアとからなり、前記プローブは探針直下の静電容量と外付けコイルLで構成されるLC共振器の共振周波数に同調して発振するようにできており、その出力信号は交番電界を印加することによる試料の微小な容量変化によりFM変調され、それをFM復調器で復調し、ロックインアンプで交番印加電圧の整数倍の周波数で同期検波することにより試料の3次を越える高次の非線形誘電率の大きさに対応した信号を得ることを特徴とする走査型非線形誘電率顕微鏡。
- 請求項1に記載の走査型非線形誘電率顕微鏡において、ロックインアンプの参照信号を印加電界の周波数の異なる整数倍に設定することにより、分解能や深さ方向感度の異なる複数の情報を得る走査型非線形誘電率顕微鏡を用いた測定方法。
- より深い層までの情報を含む低次の非線形誘電率測定情報から、より浅い層のみの情報を含む高次の非線形誘電率測定情報を引くことにより、より浅い層以下のより深い層までの情報を割り出す請求項1に記載の走査型非線形誘電率顕微鏡を用いた層解析方法。
- 請求項1に記載の走査型非線形誘電率顕微鏡において、ロックインアンプの参照信号を印加電界の周波数の異なる整数倍に設定することにより、分解能や深さ方向感度の異なる複数の情報を得るとともに、複数の異なる針先半径の探針を用いた測定情報を得て、これらを綜合することによって、より高精度の情報を得られる走査型非線形誘電率顕微鏡を用いた測定方法。
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