JP4691860B2 - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、希薄燃焼可能な内燃機関の排気系内であって、同排気系内に設けられた還元触媒上流に還元剤を供給し、排気中の有害成分の浄化を促す内燃機関の排気浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンや希薄燃焼を行うガソリンエンジンでは、高い空燃比(リーン雰囲気)の混合気を燃焼に供して機関運転を行う運転領域が、全運転領域の大部分を占める。この種のエンジン(内燃機関)では一般に、酸素の存在下で窒素酸化物(NOx)を吸収するNOx吸収剤(触媒)がその排気系に備えられる。
【0003】
代表的なNOx触媒として、例えば吸蔵還元型NOx触媒や選択還元型NOx触媒が知られている。
【0004】
吸蔵型NOx触媒は、排気中の酸素濃度が高い条件下ではNOxを吸収し、排気中の酸素濃度が低い条件下ではNOxを放出する特性を有する。ちなみに排気中に放出されたNOxは、排気中に炭化水素(HC)や一酸化炭素(CO)等の還元成分が存在していれば、それら還元成分と速やかに反応して窒素(N2)に還元される。また、吸蔵還元型NOx触媒は、所定の限界量のNOxを吸収し、その状態を保持(吸蔵)している場合、排気中の酸素濃度が高い条件下にあってもそれ以上NOxを吸収しなくなる。そこで、このような吸蔵還元型NOx触媒を排気系に備えた内燃機関では、同触媒のNOx吸蔵量が限界量に達する前に、排気系内に還元剤を添加して同触媒に吸蔵されているNOxを放出および還元浄化し、同触媒のNOx吸収能力を回復させるといった制御を所定のインターバルで繰り返すのが一般的である。
【0005】
これに対し、選択還元型NOx触媒は、排気中の酸素濃度が高く且つ、炭化水素(HC)等の還元成分が存在する条件下で、排気中に存在するこれら還元成分とNOxとを互いに反応させ、窒素(N2)、水(H2O)及び二酸化炭素(CO2)のかたちに浄化する特性を有する。このため、このような選択還元型NOx触媒を排気系に備えた内燃機関では、当該機関の運転中排気系内への還元剤の添加を継続的に行い、排気中に存在するNOxを浄化するのが一般的である。
【0006】
ところで、NOx触媒を採用して排気中のNOxの還元浄化を図る内燃機関では、上記吸蔵還元型NOx触媒、或いは選択還元型NOx触媒の何れを採用する場合であれ、所望量の還元剤を所望のタイミングで排気系のNOx触媒上流に供給する必要がある。
【0007】
例えば特開平6−74022号公報に記載された装置では、NOx触媒へ流入する排気中に、所定の通路を通じて圧送供給される還元剤を、開閉制御の自在な噴射弁を介して所望量ずつ噴射供給する構成を適用している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記公報記載の装置によるように、排気中に還元剤を適宜噴射供給してNOx触媒の機能調整を行う装置では、還元剤の噴射口が排気流路に直接晒される装置構造を採用せざるを得ないことから、同噴射口や噴射口近傍の還元剤の流路が高温の排気によって熱せられ易くなっていた。
【0009】
このため、熱せられた還元剤が炭化して還元剤の噴射口を詰まらせたり、噴射弁を固着させる等し、結果として還元剤が噴射されなくなったり、噴射量や噴射タイミングの調整ができなくなってしまうことがあった。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、内燃機関の排気系に直接還元剤を噴射供給してNOx触媒の機能調整を図る内燃機関の排気浄化装置において、排気由来の熱の影響を受けることなく所望量の還元剤を所望のタイミングで安定して供給することのできる装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、内燃機関の排気ポートを形成する外郭部材に設けられ、該排気ポート内に還元剤を噴射する還元剤噴射ノズルを有してなる内燃機関の排気浄化装置において、前記還元剤噴射ノズルの噴射口から内部に亘って形成される還元剤の通路の昇温を抑制する昇温抑制手段を備えることを要旨とする。
【0012】
同構成によれば、還元剤の熱変性によって生じる前記還元剤噴射ノズルの噴口や内部通路における詰まりや、同還元剤噴射ノズル内部の弁構造等の劣化が好適に抑制される。よって、所望タイミングで所望量の還元剤を噴射供給する同還元剤噴射ノズルの機能が、高精度に且つ、長期に亘って保持されるようになる。
【0013】
また、前記昇温抑制手段は、前記外郭部材の一部をなす構造体であって、前記排気ポートに対する前記還元剤噴射ノズルの露呈部分の少なくとも一部を覆うとともに、前記還元剤噴射ノズルの噴射口及び前記排気ポート間を連通する通路を形成する構造体を備えるのがよい。
【0014】
同構成によれば、前記還元剤噴射ノズルが前記排気ポート内に露出されないため、排気の熱が同還元剤噴射ノズルに直接伝導することがなく、同還元剤噴射ノズル内部の温度上昇が好適に抑制されるようになる。また、同還元剤添加ノズルの先端部が同排気ポート内に突出する等して排気の流れが乱されることもなく、同排気ポート内の排気の流れも安定した状態に保持される。
【0015】
また、前記昇温抑制手段は、少なくともその一部が、前記排気ポートを形成する外郭部材の材質に比して高い熱伝導率の材質から形成され、前記還元剤噴射ノズル外面の少なくとも一部を覆うのがよい。
【0016】
同構成によれば、前記排気ポートを形成する外郭部材の材質に比して高い熱伝導率の材質から形成される前記昇温抑制手段の一部が、同排気ポートから前記還元剤噴射ノズルの外縁に向かう熱を効率的に吸収して周囲へ逃がすことにより、同還元剤噴射ノズルの吸熱量を好適に低減する。
【0017】
また、前記昇温抑制手段は、前記排気ポートを形成する外郭部材の材質に比して高い熱伝導率の材質から形成される部位の近傍に、冷却媒体の通路を備え、前記高い熱伝導率の材質から形成される部位の包含する熱を前記冷却媒体に吸収させるのがよい。
【0018】
なお、前記排気ポートを形成する外郭部材の材質に比して高い熱伝導率の材質から形成される部位のうち、前記冷却媒体の通路への最近接位置は、前記還元剤噴射ノズルの軸心に向かう当該通路の投影面(範囲)内に含まれるのが好ましい。
【0019】
同構成によれば、前記通路内の冷却媒体が、前記還元剤噴射ノズル若しくはその周囲の熱を、前記高い熱伝導率の材質から形成される部位を介して好適に吸収するようになり、同還元剤噴射ノズルの昇温が好適に抑制される。
【0020】
また、前記昇温抑制手段は、前記還元剤噴射ノズル外周面の一部が通路内壁の一部をなして形成される冷却媒体の通路を有してなるのがよい。
【0021】
同構成によれば、還元剤噴射ノズル内の全体、或いは局部を、その外周面から効率的に冷却することができるようになる。
【0022】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を、ディーゼルエンジンシステムに適用した第1の実施の形態について説明する。
【0024】
図1において、内燃機関(以下、エンジンという)100は、燃料供給系10、燃焼室20、吸気系30及び排気系40等を主要部として構成される直列4気筒のディーゼルエンジンシステムである。
【0025】
先ず、燃料供給系10は、サプライポンプ11、コモンレール12、燃料噴射弁13、遮断弁14、調量弁16、燃料添加ノズル17、機関燃料通路P1及び添加燃料通路P2等を備えて構成される。
【0026】
サプライポンプ11は、燃料タンク(図示略)から燃料を汲み上げ、この汲み上げた燃料を高圧にした上で、機関燃料通路P1を介してコモンレール12に供給する。コモンレール12は、サプライポンプ11から供給された高圧燃料を所定圧力に保持(蓄圧)する蓄圧室としての機能を有し、この蓄圧した燃料を各燃料噴射弁13に分配する。燃料噴射弁13は、その内部に電磁ソレノイド(図示略)を備えた電磁弁であり、適宜開弁して燃焼室20内に燃料を噴射供給する。
【0027】
他方、サプライポンプ11は、燃料タンクから汲み上げた燃料の一部を、添加燃料通路P2を介して燃料添加ノズル(還元剤噴射ノズル)17に供給する。添加燃料通路P2には、サプライポンプ11から燃料添加ノズル17に向かって遮断弁14及び調量弁16が順次配設されている。遮断弁14は、緊急時において添加燃料通路P2を遮断し、燃料供給を停止する。調量弁16は、燃料添加ノズル17に供給する燃料の圧力(燃圧)を制御する。燃料添加ノズル17は所定圧以上の燃圧(例えば0.2MPa)が付与されると開弁し、排気系40(排気ポート40a)内に燃料を噴射供給する機械式の開閉弁である。すなわち調量弁16により燃料添加ノズル17上流の燃圧が制御されることにより、所望の燃料が適宜のタイミングで燃料添加ノズル17より噴射供給(添加)される。
【0028】
吸気系30は、各燃焼室20内に供給される吸入空気の通路(吸気通路)を形成する。他方、排気系40は、上流から下流にかけ、排気ポート40a、排気マニホールド40b、触媒上流側通路40c、触媒下流側通路40dといった各種通路部材が順次接続されて構成され、各燃焼室20から排出される排気ガスの通路(排気通路)を形成する。
【0029】
また、このエンジン100には、周知の過給機(ターボチャージャ)50が設けられている。ターボチャージャ50は、シャフト51を介して連結された2つのタービンホイール52,53を備える。一方のタービンホイール(吸気側タービンホイール)52は、吸気系30内の吸気に晒され、他方のタービンホイール(排気側タービンホイール)53は排気系40内の排気に晒される。このような構成を有するターボチャージャ50は、排気側タービンホイール52が受ける排気流(排気圧)を利用して吸気側タービンホイール53を回転させ、吸気圧を高めるといったいわゆる過給を行う。
【0030】
吸気系30において、ターボチャージャ50に設けられたインタークーラ31は、過給によって昇温した吸入空気を強制冷却する。インタークーラ31よりもさらに下流に設けられたスロットル弁32は、その開度を無段階に調節することができる電子制御式の開閉弁であり、所定の条件下において吸入空気の流路面積を絞り、同吸入空気の供給量を調整(低減)する機能を有する。
【0031】
また、エンジン100には、燃焼室20の上流(吸気系30)及び下流(排気系40)をバイパスする排気還流通路(EGR通路)60が形成されている。このEGR通路60は、排気の一部を適宜吸気系30に戻す機能を有する。EGR通路60には、電子制御によって無段階に開閉され、同通路を流れる排気流量を自在に調整することができるEGR弁61と、EGR通路60を通過(還流)する排気を冷却するためのEGRクーラ62が設けられている。
【0032】
また、排気系40において、排気側タービンホイール53の下流(触媒上流側通路40c及び触媒下流側通路40d間)には、吸蔵還元型NOx触媒(以下、単に触媒という)41を収容した触媒ケーシング42が設けられている。触媒ケーシング42に収容された触媒41は、例えばアルミナ(Al2O3)を担体とし、この担体上に例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類と、白金Ptのような貴金属とが担持されることによって構成される。
【0033】
この触媒41は、排気中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸収し、排気中の酸素濃度が低く、且つ還元成分(例えば燃料の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO2若しくはNOに還元して放出する。NO2やNOとして放出されたNOxは、排気中のHCやCOと速やかに反応することによってさらに還元されてN2となる。ちなみにHCやCOは、NO2やNOを還元することで、自身は酸化されてH2OやCO2となる。すなわち、触媒ケーシング42(触媒41)に導入される排気中の酸素濃度やHC成分を適宜調整すれば、排気中のHC、CO、NOxを浄化することができることになる。
【0034】
エンジン100では、燃料添加ノズル17を通じて排気系40の触媒41上流に添加される燃料の添加量や添加タイミングを制御することにより、触媒41に導入される排気中の酸素濃度やHC成分が調整される。すなわち、本実施形態において、排気系40に設けられた触媒41、この触媒41に導入される排気中の成分を調整する燃料添加ノズル17、さらにはこの燃料添加ノズル17を含めて燃料を圧送供給する燃料供給系10等が併せて、エンジン100の排気を浄化する排気浄化装置としての機能を担うこととなる。
【0035】
一方、エンジン100の各部位には、各種センサが取り付けられており、当該部位の環境条件や、エンジン100の運転状態に関する信号を出力する。
【0036】
すなわち、レール圧センサ70は、コモンレール12内に蓄えられている燃料の圧力に応じた検出信号を出力する。燃圧センサ71は、添加燃料通路P2内を流通する燃料のうち、調量弁16へ導入される燃料の圧力(燃圧)Pgに応じた検出信号を出力する。エアフロメータ72は、吸気系30内のスロットル弁32下流において吸入空気の流量(吸気量)Gaに応じた検出信号を出力する。空燃比(A/F)センサ73は、排気系40の触媒ケーシング42下流において排気中の酸素濃度に応じて連続的に変化する検出信号を出力する。排気温センサ74は、同じく排気系40の触媒ケーシング42下流において排気の温度(排気温度)Texに応じた検出信号を出力する。
【0037】
また、アクセル開度センサ75はエンジン100のアクセルペダル(図示略)に取り付けられ、同ペダルへの踏み込み量Accに応じた検出信号を出力する。クランク角センサ76は、エンジン100の出力軸(クランクシャフト)が一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力する。これら各センサ70〜76は、電子制御装置(ECU)80と電気的に接続されている。
【0038】
ECU80は、中央処理装置(CPU)81、読み出し専用メモリ(ROM)82、ランダムアクセスメモリ(RAM)83及びバックアップRAM84、タイマーカウンタ85等を備え、これら各部81〜85と、A/D変換器を含む外部入力回路86と、外部出力回路87とが双方向性バス88により接続されて構成される論理演算回路を備える。
【0039】
このように構成されたECU80は、上記各種センサの検出信号を外部入力回路を介して入力し、これら信号に基づいてエンジン100の燃料噴射等についての基本制御を行う他、還元剤(還元剤として機能する燃料)添加にかかる添加タイミングや供給量の決定等に関する還元剤(燃料)添加制御等、エンジン100の運転状態に関する各種制御を実行する。
【0040】
次に、ECU80の実行する燃料添加の基本原理についてその概略を説明する。
【0041】
一般に、ディーゼルエンジンでは、燃焼室内で燃焼に供される燃料及び空気の混合気の酸素濃度が、ほとんどの運転領域で高濃度状態にある。
【0042】
燃焼に供される混合気の酸素濃度は、燃焼に供された酸素を差し引いてそのまま排気中の酸素濃度に反映されるのが通常であり、混合気中の酸素濃度(空燃比)が高ければ、排気中の酸素濃度(空燃比)も基本的には同様に高くなる。一方、上述したように、吸蔵還元型NOx触媒は排気中の酸素濃度が高ければNOxを吸収し、低ければNOxをNO2若しくはNOに還元して放出する特性を有するため、排気中の酸素が高濃度状態にある限りNOxを吸収することとなる。ただし、当該触媒のNOx吸収量に限界量が存在し、同触媒が限界量のNOxを吸収した状態では、排気中のNOxが同触媒に吸収されず触媒ケーシングを素通りすることとなる。
【0043】
そこで、エンジン100のように燃料添加ノズル17を備えた内燃機関では、適宜の時期に燃料添加ノズル17を通じ排気系40の触媒41上流に燃料を添加することで、一時的に排気中の酸素濃度を低減し、且つ還元成分量(HC等)を増大させる。すると触媒41は、これまでに吸収したNOxをNO2若しくはNOに還元して放出し、自身のNOx吸収能力を回復(再生)するようになる。放出されたNO2やNOが、HCやCOと反応して速やかにN2に還元されることは上述した通りである。
【0044】
このとき、自身の吸収したNOxを上記態様で放出しつつ還元浄化する触媒41にとって、触媒ケーシング42内に流入する排気中の還元成分量(燃料の濃度)と、酸素濃度(空燃比)とにより還元浄化の効率が決定づけられることとなる。
【0045】
そこで、エンジン100では、排気中の適切な還元成分量および空燃比を安定して得ることができるように、排気系40への燃料添加(燃料添加制御)を実施する。
【0046】
次に、エンジン100のシリンダヘッドに取り付けられ、添加燃料通路P2を通じて送られる燃料を適宜エンジン100の排気系40(排気ポート40a)内へ噴射供給(添加)する燃料添加ノズル17について、その周辺部の構造とともに詳しく説明する。
【0047】
図2は、エンジン100のシリンダヘッドに取り付けられた燃料添加ノズル17を、その周辺部の断面構造とともに概略的に示す一部断面図である。
【0048】
同図2に示すように、エンジン100のシリンダヘッド(外郭部材)100a内には、排気系40の最上流部位をなす排気ポート40aが貫通形成されている。排気ポート40aの上流側開口端は燃焼室20(図1参照)に連通し、下流側開口端は排気マニホールド40bの上流側開口端に連通する。燃料添加ノズル17は、シリンダヘッド100aに形成された取り付け穴101に嵌入されることにより、燃料の噴射孔17aを排気ポート40a内に向けて取り付けられる。
【0049】
燃料添加ノズル17は、円柱形状からなる胴部17bと、この胴部17bより小さな外径を有する円柱形状からなる先端部17cとが、同一軸に沿って連なった形状を有する。先端部17cには、その(排気ポート側)底面から側周面に向かって一部が切り取られたかたちで斜面が形成されており、この斜面上に燃料を噴射するための噴口、すなわち噴射孔17aの開口部が形成されている。また、燃料添加ノズル17は、その先端部17c外周に、胴部17bの外径とほぼ同等の外径、先端部17cの外径よりやや大きな内径を有する環状のガスケット17dを環装した状態で取り付け穴101に嵌入される。ガスケット17dは、シリンダヘッド100a(例えば鋳鉄製)や燃料添加ノズル17(例えばステンレス鋼製)に比べ、銅或いは銅の合金等といった相対的に熱伝導性の高い材質から形成されている。取り付け穴101の内面形状は、燃料添加ノズル17の先端部17cから胴部17b半ばにかけての外形とほぼ合致する。すなわち、シリンダヘッド100bの頂面から排気ポート40aに向かって、相対的に径の大きなを有する筒状孔101aと、小さな径する有底の筒状孔101bがほぼ同一軸方向に連設されたかたちで形成される。
【0050】
取り付け穴101の奥部にあたる有底の筒状孔101bには、排気流路の下流方向に向かうかたちで排気ポートに連通する噴射通路101cが形成されている。燃料添加ノズル17の噴射孔17aは、当該燃料添加ノズル17が取り付け穴101に嵌入された状態において、噴射通路101cを介し排気ポート40aに直面する。
【0051】
すなわち、燃料添加ノズル17は、その先端部17c底面と排気ポート40a内面との間にある程度の肉厚を有する壁102(構造体)を隔ててシリンダヘッド100aに埋設された状態にあり、且つ、同シリンダヘッド100aに形成された噴射通路101cを通じて先端部17cの噴射孔17aを排気ポート40aと連通させる構成を有する。
【0052】
一方、シリンダヘッド100a内を循環する冷却水の通路の一部(以下、ウォータジャケットという)110が、ガスケット17dの外縁と近接する位置に形成されている。エンジン100の運転時、ウォータジャケット110内の冷却水は、放熱機能を有するラジエータ(図示略)との間を適宜循環し、その温度(冷却水温)をほぼ一定に保持する。
【0053】
次に、燃料添加ノズル17の主要内部構造および動作態様を、周辺部位との関連を含めて説明する。
【0054】
図3は、先の図2の一部を拡大するとともに、燃料添加ノズル17についてはとくにその内部構造を詳しく示す断面図である。
【0055】
同図3に示すように、本実施の形態にかかるエンジン100では、排気ポート40a、ウォータジャケット110、および燃料添加ノズル17の配置が以下のような関係にある。
【0056】
すなわち、ガスケット17dの底面に対峙するシリンダヘッド100a内面(以下、ノズルシートという)103の外縁のうち、少なくとも一部にウォータジャケット110が近接していることで、ノズルシート103上のガスケット17dに含まれる熱が、ウォータジャケット110内の冷却水へ効率的に移動するようになる。
【0057】
また、ノズルシート103外縁のうちウォータジャケット110への最近接位置を点Pとしたとき、燃料添加ノズル17の軸心に向かう対向面110aの投影面(範囲)d内に点Pが含まれるように、ノズルシート103及びウォータジャケット110相互間の配置が設定されている。なお、投影面(範囲)d内には、ウォータジャケット110に対向するガスケット17dの外周面が概ね含まれることとなるのが好ましい。ウォータジャケット110内を満たす冷却水の燃料添加ノズル17に対する対向面110aは、燃料添加ノズル17やガスケット17dからウォータジャケット110に熱が移動する場合、その熱を効率的に吸収する有効受熱面であるといえる。このため、ノズルシート103及びウォータジャケット110相互間に上記のような配置関係を適用することで、ガスケット103からウォータジャケット110内の冷却水に移動する熱に関し、移動効率の最適化が図られるようになる。
【0058】
また、ノズルシート103および排気ポート40a内面の間の距離は、排気ポート40a内の排気に含まれる熱が壁102や噴射通路101cを介して先端部17cに吸収される速度(効率)よりも、ガスケット103を介してウォータジャケット110内の冷却水に吸収される速度(効率)が上回るように、十分小さく設定されている。
【0059】
一方、燃料添加ノズル17の内部には、添加燃料通路P2を介して圧送される燃料を噴射孔17aに至らしめる内部通路が形成されている。当該内部通路は、添加燃料通路P2に直接連通する第1の管状通路17e、当該第1の管状通路17eよりも大きな径を有する第2の管状通路17f、当該第2の管状通路17fよりも小さな径を有する第3の管状通路17g、当該第3の管状通路17gよりさらに小さな径を有する第4の管状通路17hといった複数の管状通路が、順次連なって形成されている。第2の管状通路17f内には、第1の管状通路17eよりも大きな径を有する金属球(チェックボール)17iが収納されている。また、第4の管状通路17g内に収容されているスプリング17jが燃料の圧送方向と拮抗する方向にチェックボール17iを付勢することで、チェックボール17iが第1の管状通路17eと第2の管状通路17fとの境界を閉塞する。
【0060】
第1の管状通路17e内の燃圧が所定圧を上回ると、図4に示すように同通路17e内の燃料が矢指方向αにチェックボール17iを押し動かす。このようにして、第1の管状通路17eから第2の管状通路17fへ向かう燃料の流れが許容されることで噴射孔17aより霧状の燃料が噴射され、噴射通路101cを通じて排気ポート40a内に到達する。排気ポート40a内に到達した霧状の燃料は、排気ポート40a内において矢指β方向に流動する高温の排気中で速やかに気化され、拡散しつつ排気系40下流の触媒41に移送されることとなる。
【0061】
ここで、液体の燃料は高温条件下でより速やかに気化するため、燃料添加ノズル17から一旦噴射された燃料は、排気系40(排気ポート40a)内で高温の排気に晒されるのが好ましい。これに対し、燃料添加ノズル17自体が高温になると、その内部を流通する燃料が炭化して通路内面に堆積したり、スプリング17jが劣化し易くなる。とくに、従来の技術において説明したように、燃料添加ノズルを介して排気系内に燃料(還元剤)を噴射供給するにあたり、還元剤の噴射口が排気流路に直接晒される装置構造、例えば燃料添加ノズルの先端部を排気系内に突出させる装置構成を採用した場合には、燃料添加ノズル17の温度上昇が顕著になる。
【0062】
この点、本実施の形態にかかるエンジン100では、排気ポート40a内を流動する排気に含まれる熱は壁102に阻まれるため、燃料添加ノズル17の先端部17c底面に直接伝わることはほとんどない。また、噴射孔17a及び同噴射孔17aの形成される先端部17cの斜面も、排気ポート40aの内部空間と連通してはいるものの、噴射通路101cを介することで、高温の排気流(熱風)からの受熱量は低減される。さらに、排気ポート40a内の排気から噴射通路101cや壁102に伝わる熱や、わずかながら燃料添加ノズル17の先端部17cに吸収された熱は、先端部17c及びシリンダヘッド100aの間隙等を通じてガスケット17dに移動し、さらにウォータジャケット110内の冷却水に吸収される。
【0063】
すなわち、排気ポート40aに対する燃料添加ノズル噴射ノズル17の露呈部分を覆う構造体をなす通路101cや壁102による受熱量の低減作用と、熱伝導率の高いガスケット17dを介する冷却水への放熱作用とが相乗的に機能することにより、燃料添加ノズル17(とくにその先端部17c)の温度上昇が好適に抑制される。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態によれば、燃料添加ノズル17の一部を排気ポート40a内面から突出させることなく内面から埋没させることで、燃料添加ノズル17にとっては排気ポート内を流動する高温の排気を直接受けることがなくなる。さらに壁102の存在で、燃料添加ノズル17の受熱量は一層低減されることとなる。
【0065】
よって、燃料添加ノズル17の内部通路、とくに先端部17内の内部通路や噴出孔に滞留する燃料を炭化させ、当該部位に詰まりを発生させたり、燃料添加ノズル17内において弁構造の構成要素をなすスプリング17jを劣化させ、その開弁圧を低下させることもない。また、排気ポート40a内面から突き出した燃料添加ノズル17の一部が排気ポート40a内の排気の流れに乱れを生じさせる懸念もない。
【0066】
しかも、噴射孔17a及び排気ポート40a間を連通する噴射通路101cによって、噴射孔17aを通じて霧化されつつ排気ポート40a内に噴射供給される燃料の進路および形態は好適に確保される。
【0067】
また、ノズルシート103(ガスケット17d)と排気ポート40a内面とが十分近接し、また同じくノズルシート103(ガスケット17d)とウォータジャケット110とが十分近接する構造により、
排気ポート40a内を流動する排気に含まれる熱が、燃料添加ノズル17(とくにその先端部17c)に吸収されることなく、また吸収された場合であれ、熱伝導性の高いガスケット17dを介して効率的にウォータジャケット110内の冷却水に逃がされ、燃料添加ノズル17(とくにその先端部17c)の温度上昇が好適に抑制されるようになる。
【0068】
従って、所望量の燃料を、所望のタイミングで排気ポート40aに噴射供給する燃料添加ノズル17の機能が、好適に確保され、且つその耐久性も向上するようになる。
【0069】
なお、噴射通路101cや壁102の形状を、例えば図5において示す噴射通路101cや壁102aのように変形させてもよい。すなわち、壁102aの壁面を壁102の壁面に比し小さなものとすることで、噴射通路101cの通路空間を噴射通路101cの通路空間に比して大きく形成する。
【0070】
このような構成によれば、燃料添加ノズル17の先端部17cのうち排気ポート40aに露呈される部位は大きくなり、当該先端部17cと排気との接触面(先端部17の受熱面)はやや増大するものの、同先端部17cからの放熱効率は高くなり、燃料添加ノズル17(とくにその先端部17c)の温度上昇の抑制機能は十分に確保される。すなわち、図3或いは図4に示す構造によるものと、同等若しくはこれに準ずる効果を奏することができる。また、取り付け穴101を形成すべくシリンダヘッド100aを加工するにあたり、その加工容易性はむしろ向上することとなる。
(参考例)
次に、本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を、ディーゼルエンジンシステムに適用した参考例について先の第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0071】
なお、当該参考例にあって、適用対象とするエンジン1の構成、およびECU80のハードウエア構成について、その基本構成は、先の第1の実施の形態で図1において説明したものとほぼ同様である。よって、同第1の実施の形態において適用することとしたものと同等の構成および機能を有する構成部材については、同一の符号を付し、それらに関するここでの重複する説明は割愛する。
【0072】
図6は、本参考例にかかるエンジンについて、そのシリンダヘッドに取り付けられた燃料添加ノズルの主要内部構造をその周辺部位とともに示す断面図であり、先の図4と同様、燃料添加ノズルが排気ポートに向かって燃料を噴射供給している状態を示す。
【0073】
同図6に示すように、本参考例にかかるエンジンでは、先の第1の実施の形態のおいてシリンダヘッド100aに形成された取り付け穴101に替え、シリンダヘッド100bの頂面から排気ポート40aに向かって、相対的に径の大きな筒状孔104aと小さな径の筒状孔104bがほぼ同一軸方向に連続して形成されることにより、貫通孔(取り付け孔)104が形成される。
【0074】
筒状孔104aと筒状孔104bとの境界には、第1の実施の形態と同様のノズルシート103が形成される。また、取り付け孔104のうち筒状孔104aの排気ポート40a側端部から筒状孔104bの開口端に亘る内面形状と、ほぼ一致する外形を有し、取り付け孔104の排気ポート40a側開口端を概ね閉塞するキャップ17kが設けられる。キャップ17kは、ガスケット17dの装着された燃料添加ノズル17の先端部17cに嵌着され、先端部17cのうち同ガスケット17dから突出した部分を、噴射孔17aの形成される斜面のみ露呈させたかたちで覆うことになる。キャップ17kもガスケット17dと同じく、銅或いは銅の合金等のように、シリンダヘッド100aや燃料添加ノズル17に比べて相対的に高い熱伝導性を有する材質から形成される。
【0075】
なお、本参考例においても、ノズルシート103外縁のうちウォータジャケット110への最近接位置を点Pとしたとき、燃料添加ノズル17の軸心に向かう対向面110aの投影面(範囲)d内に点Pが含まれるように、ノズルシート103及びウォータジャケット110相互間の配置が設定されている。ここで、投影面(範囲)d内には、ガスケット17dの外周面、およびキャップ17kの外周面のうち少なくとも筒状孔104aの内周面に対向する部分であって、ウォータジャケット110に対向する部位が概ね含まれることとなるのが好ましい。
【0076】
以上のように、先の第1の実施の形態における壁102に替え、燃料添加ノズル17の先端部17cをキャップ17kにより覆う構成を適用した当該参考例によっても、第1の実施の形態と同様、燃料添加ノズル17の一部を排気ポート40a内面から突出させることなく内面から埋没させることで、燃料添加ノズル17にとっては排気ポート内を流動する高温の排気を直接受けることがなくなる。
【0077】
また、排気ポート40aから燃料添加ノズル17に向かう熱にとって、他部位(ウォータジャケット)への逃げ道として効率的に機能するキャップ17kの存在で、冷却水への放熱作用が一層増し、燃料添加ノズル17の受熱量は好適に低減されることとなる。
【0078】
よって、燃料添加ノズル17の内部通路、とくに先端部17c内の内部通路や噴出孔に滞留する燃料を炭化させ、当該部位に詰まりを発生させたり、燃料添加ノズル17内において弁構造の構成要素をなすスプリング17jを劣化させ、その開弁圧を低下させることもない。また、排気ポート40a内面から突き出した燃料添加ノズル17の一部が排気ポート40a内の排気の流れに乱れを生じさせる懸念もない。
【0079】
さらに、ノズルシート103(ガスケット17d)と排気ポート40a内面とが十分近接し、また同じくノズルシート103(ガスケット17d)とウォータジャケット110とが十分近接する構造により、排気ポート40a内を流動する排気に含まれる熱が、燃料添加ノズル17(とくにその先端部17c)に吸収されることなく、また吸収された場合であれ、熱伝導性の高いキャップ17kおよびガスケット17dを介して効率的にウォータジャケット110内の冷却水に逃がされ、燃料添加ノズル17(とくにその先端部17c)の温度上昇が好適に抑制されるようになる。
【0080】
従って、所望量の燃料を、所望のタイミングで排気ポート40aに噴射供給する燃料添加ノズル17の機能が、好適に確保され、且つその耐久性も向上するようになる。
【0081】
なお、図7に示すように、ガスケット17dを除外し、キャップ17kのみを適用して、排気ポート40a内の排気から燃料添加ノズル17(とくにその先端部17c)への熱伝導を抑制する一方、当該先端部17c周辺の熱をウォータジャケット110内の冷却水に放熱する機能を担わせることとしてもよい。
(第2の実施の形態)
次に、本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を、ディーゼルエンジンシステムに適用した第2の実施の形態について先の第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0082】
なお、当該第2の実施の形態にあっても、適用対象とするエンジン1の構成、およびECU80のハードウエア構成について、その基本構成は、先の第1の実施の形態で図1において説明したものとほぼ同様である。よって、同第1の実施の形態において適用することとしたものと同等の構成および機能を有する構成部材については、同一の符号を付し、それらに関するここでの重複する説明は割愛する。
【0083】
図8は、本実施の形態にかかるエンジンについて、そのシリンダヘッドに取り付けられた燃料添加ノズルの主要内部構造をその周辺部位とともに示す断面図であり、先の図4と同様、燃料添加ノズルが排気ポートに向かって燃料を噴射供給している状態を示す。
【0084】
同図8に示すように、本実施の形態においては、エンジンのシリンダヘッド100cに形成されるウォータジャケット111が燃料添加ノズル17の取り付け穴105に連通し、取り付け穴105に嵌装された燃料添加ノズル17の胴部17bの外周面がウォータジャケット111内壁の一部をなす。
【0085】
燃料添加ノズル17の胴部17b外周面と取り付け穴105の内周面との間隙には、ウォータジャケット111の内壁をなす部位を挟んで一対のOリング18,19が環装され、シリンダヘッド100cの頂面側或いは排気ポート40a側への冷却水の漏出を封止する。
【0086】
上記のような構成によれば、燃料添加ノズル17内の全体、或いは局部を、燃料添加ノズル17の胴部17bの外周面から効率的に強制冷却することができるようになる。
【0087】
なお、ウォータジャケットの通路構造および燃料添加ノズル17との位置関係は、上記各実施の形態において示したウォータジャケット110のように、燃料添加ノズル18の片側の周面近傍に形成されるものに限らず、両側の周面近傍に形成されるものや、全周面を取り巻くように形成されるものであってもよい。また、上記第2の実施の形態において示したウォータジャケット111のように、ウォータジャケットが燃料添加ノズル17の片側の周面の一部を内壁として形成されるものに限らず、ウォータジャケット内を燃料添加ノズルが貫通する構造若しくは両者の位置関係を適用してもよい。
【0088】
また、上記各実施の形態や参考例において適用することとしたガスケット11dや、上記参考例において適用することとしたキャップ11kの構成材料は、銅やその合金に限らず、シリンダヘッドや燃料添加ノズルの材質よりある程度以上熱伝導性(率)が高く、所定の強度や耐久性を有するものであれば、他の材料であっても構わない。
(第3の実施の形態)
次に、本発明にかかる内燃機関の排気浄化装置を、ディーゼルエンジンシステムに適用した第3の実施の形態について先の第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0089】
なお、当該第3の実施の形態にあっても、適用対象とするエンジン1の構成、およびECU80のハードウエア構成について、その基本構成は、先の第1の実施の形態で図1において説明したものとほぼ同様である。よって、同第1の実施の形態において適用することとしたものと同等の構成及び機能を有する構成部材については、同一の符号を付し、それらに関するここでの重複する説明は割愛する。
【0090】
本実施の形態にかかるエンジンにも、第1の実施の形態にかかるエンジン(図2参照)と同様、そのシリンダヘッド内に貫通形成された排気ポートに噴射孔を向けた燃料添加ノズルが取り付けられている。
【0091】
図9(a)及び図9(b)は、本実施の形態にかかるエンジンについて、そのシリンダヘッドに取り付けられた燃料添加ノズルの一部を、その周辺部位の断面構造とともに示す一部断面図である。ここで、図9(a)は、燃料添加ノズルが排気ポートに向かって燃料を噴射していない状態を示し、図9(b)は、燃料添加ノズルが排気ポートに向かって燃料を噴射している状態を示す。また図9(b)おいては、燃料添加ノズルについて、その一部(噴射孔近傍)を断面構造として示す。
【0092】
燃料添加ノズル17’は、円柱形状からなる胴部17b’と、この胴部17b’より小さな外径を有する形状からなる先端部17c’とが、同一軸に沿って連なった形状を有する。そして先端部17c’の底面から側周面に向かう斜面には、排気ポート40aの下流方向に向かって噴射孔17a’の開口部が形成されている。また、燃料添加ノズル17’は、その先端部17c'外周に、胴部17b’の外径とほぼ同等の外径、先端部17c’の外径よりやや大きな内径を有する環状の皿形バネ座金17mを環装した状態で取り付け穴101’に嵌入される。
【0093】
取り付け穴101’の奥部にあたる有底の筒状孔101b’には、排気流路の下流方向に向かうかたちで排気ポートに連通する噴射通路101c’が形成されている。燃料添加ノズル17’の噴射孔17a’は、当該燃料添加ノズル17’が取り付け穴101’に嵌入された状態において、噴射通路101c’を介し排気ポート40aに直面する。
【0094】
すなわち、燃料添加ノズル17’は、その先端部17c’底面と排気ポート40a内面との間にある程度の肉厚を有する壁102’(構造体)を隔ててシリンダヘッド100dに埋設された状態にあり、且つ、同シリンダヘッド100dに形成された噴射通路101c’を通じて先端部17c’の噴射孔17a’を排気ポート40aと連通させる構成を有する。
【0095】
ここで、燃料添加ノズル17’の先端部17c’を取り巻く壁102’や噴射通路101c’には、排気ポート40aから燃料添加ノズル17’への排気の巻き込み、壁102’自体の強度、加工容易性といった観点から、以下のような構成が採用されている。
【0096】
すなわち、排気ポート40aの内壁のうち、燃料添加ノズル17’の先端部17a’直下に位置する部位は緩やかに隆起し、凸部R1を形成する。また、燃料添加ノズル17’の噴射孔17a’前方(燃料の噴射方向前方)に位置する部位は緩やかに窪み、凹部R2を形成する。凸部R1及び凹部R2双方の境界には、平面(境界面)102cが形成され、燃料添加ノズル17’の噴射孔17a’と中心軸を共有する噴射通路101c’が取り付け穴101’(噴射孔17a’の開口部)まで貫通形成されている。また、凸部R1及び凹部R2を境界面102cに向かってみた平面図に相当する図10を併せ参照して明らかなように、凸部R1及び凹部R2の表面は、いずれも滑らかな曲面(概ね半円形状)をなす。
【0097】
図11(a)及び図11(b)は、先の図9のXI-XI断面を示す平面図であり、とくに図11(a)は燃料添加ノズルが排気ポートに向かって燃料を噴射していない状態、図11(b)は、燃料添加ノズルが排気ポートに向かって燃料を噴射している状態を示す。
【0098】
同図11(a),(b)に示すように、燃料添加ノズル17’から噴射される霧状燃料にとって、噴射孔17a’の開口部から噴射通路101c’、排気ポート40a内の通路空間にかけて、十分に広い経路が確保されている。
【0099】
このように、滑らかな表面形状をなす凸部R1及び凹部R2を連ね、その境界面に噴射通路101c’の開口端を設ける構成により、噴射通路101c’が排気ポート40a内壁の奥部に引き込まれ、壁102’が比較的肉厚に形成され、十分な強度が保証されるばかりでなく、噴射孔17a’を介して排気ポート40a内の通路空間に向かう噴霧の通路面積(例えば噴射通路101c’の通路面積)にも、十分な大きさを確保することができる。また、凸部R1及び凹部R2の表面が曲面形状(半円形状)であることから、乱流の発生も好適に抑制されるようになる。さらに、噴射通路101c’の形成は、例えばドリル加工のみによって、簡易且つ容易に行うことができ、また、その工程に関しとりわけ高い加工精度が要求されることもない。すなわち、製造コストの面においても優位な構成であるといえる。
【0100】
なお、本実施の形態にかかる燃料添加ノズル17’及び同ノズルが取り付けられるシリンダヘッド100dの構成において、皿形バネ座金17mを設けることとした位置には、この皿形バネ座金17mに替え、又はこれに加え、先の第1の実施の形態と同様の性質を有するガスケット17dを装着することとしてもよい。この場合、シリンダヘッド100d内のガスケット17d近傍には、ウォータジャケットを形成するのが好ましい(図2参照)。
【0101】
また、上記第1〜第3の実施の形態や参考例においては、燃料タンクからコモンレール12へ燃料を供給するサプライポンプ11を用いて、サプライポンプ11の汲み上げた燃料の一部を排気系40内に添加供給する装置構成を適用することとした。しかし、こうした装置構成に限らず、例えば添加燃料を燃料タンク、或いは他の燃料(還元剤)供給源から供給する独立した供給系を備える装置構成を適用してもよい。
【0102】
また、上記各実施の形態や参考例においては、燃料の排気系への添加にあたり、添加燃料通路P2を介して供給される燃料の圧力を調量弁16によって制御し、その圧力制御によって燃料添加ノズル17の開閉弁動作を制御する構成を適用している。これに対し、例えば燃料噴射弁13のように、ECU80による通電を通じて直接開閉弁動作を制御される電磁弁等を燃料添加を行う噴射弁として適用してもよい。
【0103】
また、上記各実施の形態や参考例においては、本発明の排気浄化装置を内燃機関としての直列4気筒のディーゼルエンジン100に適用することとしたが、希薄燃焼を行うガソリンエンジンにも好適に本発明を適用することができる。また、直列4気筒の内燃機関に限らず、搭載気筒数の異なる内燃機関にも本発明を適用することはできる。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、還元剤の熱変性によって生じる還元剤噴射ノズルの噴口や内部通路における詰まりや、同還元剤噴射ノズル内部の弁構造等の劣化が好適に抑制される。よって、所望タイミングで所望量の還元剤を噴射供給する同還元剤噴射ノズルの機能が、高精度に且つ、長期に亘って保持されるようになる。
【0105】
また、還元剤噴射ノズルが排気ポート内に露出されないため、排気の熱が同還元剤噴射ノズルに直接伝導することがなく、同還元剤噴射ノズル内部の温度上昇が好適に抑制されるようになる。また、同還元剤添加ノズルの先端部が同排気ポート内に突出する等して排気の流れが乱されることもなく、同排気ポート内の排気の流れも安定した状態に保持される。
【0106】
また、排気ポートを形成する外郭部材の材質に比して高い熱伝導率の材質から形成される昇温抑制手段の一部が、同排気ポートから前記還元剤噴射ノズルの外縁に向かう熱を効率的に吸収して周囲へ逃がすことにより、同還元剤噴射ノズルの吸熱量が好適に低減される。
【0107】
また、前記通路内の冷却媒体が、前記還元剤噴射ノズル若しくはその周囲の熱を、前記高い熱伝導率の材質から形成される部位を介して好適に吸収するようになり、同還元剤噴射ノズルの昇温が好適に抑制される。
【0108】
また、還元剤噴射ノズル内の全体、或いは局部を、その外周面から効率的に冷却することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるディーゼルエンジンシステムを示す概略構成図。
【図2】同実施の形態にかかるエンジンのシリンダヘッドに取り付けられた燃料添加ノズルを、その周辺部の断面構造とともに概略的に示す一部断面図。
【図3】図2の一部を拡大するとともに、燃料添加ノズル17についてはその内部構造を詳しく示す断面図。
【図4】同実施の形態において、シリンダヘッドに取り付けられた燃料添加ノズルが排気ポートに向かって燃料を噴射している状態を示す断面図。
【図5】同実施の形態の変形例において、シリンダヘッドに取り付けられた燃料添加ノズルが排気ポートに向かって燃料を噴射している状態を示す断面図。
【図6】本発明の参考例において、シリンダヘッドに取り付けられた燃料添加ノズルが排気ポートに向かって燃料を噴射している状態を示す断面図。
【図7】同参考例の変形例において、シリンダヘッドに取り付けられた燃料添加ノズルが排気ポートに向かって燃料を噴射している状態を示す断面図。
【図8】本発明の第2の実施の形態において、シリンダヘッドに取り付けられた燃料添加ノズルが排気ポートに向かって燃料を噴射している状態を示す断面図。
【図9】本発明の第3の実施の形態において、シリンダヘッドに取り付けられた燃料添加ノズルの一部を示す側面図。
【図10】同実施の形態において、燃料添加ノズルの取り付け部位である排気ポート内壁の一部を、燃料添加ノズルの噴射孔に向かってみた正面図。
【図11】図9のXI-XI断面図。
Claims (4)
- 内燃機関の排気ポートを形成する外郭部材に設けられ、該排気ポート内に還元剤を噴射する還元剤噴射ノズルと、
前記還元剤噴射ノズルの噴射口から該還元剤噴射ノズルの内部通路に亘って形成される還元剤の通路の昇温を抑制する昇温抑制手段と、
を備える内燃機関の排気浄化装置であって、
前記還元剤噴射ノズルの噴射口は、該還元剤噴射ノズルの先端部の底面から側周面に向かう斜面に形成された開口部を有し、
前記昇温抑制手段は、前記外郭部材の一部をなす構造体であって、前記排気ポートに対して前記還元剤噴射ノズルの先端部を覆うとともに、前記還元剤噴射ノズルの噴射口及び前記排気ポート間を連通する通路を形成する構造体を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。 - 前記昇温抑制手段は、前記排気ポートを形成する外郭部材の材質に比して高い熱伝導率の材質から形成され、前記還元剤噴射ノズル外面の少なくとも一部を覆うように前記還元剤噴射ノズルの外面と前記外郭部材との間に設けられるガスケットを更に備えることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記昇温抑制手段は、前記ガスケットの近傍の前記外郭部材に形成された冷却媒体の通路を更に備え、前記ガスケットの包含する熱を前記冷却媒体に吸収させることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記昇温抑制手段は、前記還元剤噴射ノズル外周面の一部が通路内壁の一部をなすように前記外郭部材に形成された冷却媒体の通路を更に有してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
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