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JP4686803B2 - 赤外線画像表示装置 - Google Patents

赤外線画像表示装置 Download PDF

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JP4686803B2
JP4686803B2 JP33664699A JP33664699A JP4686803B2 JP 4686803 B2 JP4686803 B2 JP 4686803B2 JP 33664699 A JP33664699 A JP 33664699A JP 33664699 A JP33664699 A JP 33664699A JP 4686803 B2 JP4686803 B2 JP 4686803B2
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中村  健太郎
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外線画像表示装置に係り、特に、温度変化が少ない背景の中で背景温度とは異なる温度の物体が移動する際や、背景温度とは異なる温度の物体に対して赤外線画像表示装置側が移動する際に、表示画像の視認性の低下を防止することが可能な赤外線画像表示装置に関する。
【0002】
全ての物体は、その物体自体の温度と一義的関係にある強度の赤外線を放射している。そして、放射される赤外線の波長は、その物体を形成している物質に依存している。
【0003】
赤外線画像表示装置は、物体から放射される赤外線を一次元情報として赤外線検知器で受光して光電変換し、光電変換出力であるアナログ量の電気信号をデジタル信号に変換した上で、赤外線検知器を構成する複数の赤外線検知素子間の検知感度と同一温度における出力電圧のばらつき即ちオフセットを補正し、表示精度の変換(これを「階調変換」という。この明細書では、以降、一貫して「階調変換」と記載する。)をして、モニタによって所定の掃引をして二次元画像に変換して、可視光による画像の表示をする。
【0004】
上記の如く、赤外線画像表示装置は、物体から放射される赤外線を検出して表示するので、カメラなどを使用して可視光を捕捉して表示する画像表示装置とは大きく異なり、昼夜を問わず物体の認識が可能である。
【0005】
又、レーダやソナーとも大きく異なり、物体を認識するために積極的に電磁波や音波又は超音波を放射しないで、認識対象の物体自体が放射する赤外線を捕捉することによって受動的に物体を認識することが可能であるので、認識対象の物体側に気付かれないで物体を認識することができるという大きな利点を有している。
【0006】
更に、物体が放射する赤外線を検知して当該物体を認識するということは、物体を非接触で認識できるということで、認識対象の物体に接近することがができなかったり、接近すること自体が危険な場合にも容易に物体の認識が可能である。
【0007】
さて、赤外線画像表示装置に用いられる赤外線検知素子は、その検出波長域から3〜5μm帯と8〜12μm帯に大きく区分される。3〜5μm帯の検知素子には白金シリコン(PtSi)、インジウム錫(InSn)、水銀カドミウム・テルル(HgCdTe)などが用いられ、8〜12μm帯の検知素子には主に水銀カドミウム・テルルが用いられる。
【0008】
特に、水銀とカドミウムとテルルの合金である水銀カドミウム・テルルは、それらの組成比を変えることによって広い波長範囲において高感度な検知素子を実現できるので注目されている。
【0009】
従って、赤外線画像表示装置によって極低温から高温までの広い温度範囲にわたって温度情報を取得することができる。
【0010】
このような多くの特徴を活かして、赤外線画像表示装置は監視カメラ、サーモ・グラフィ、リモート・センシング、航空機や車両などの移動体の前方監視装置など、官民を問わず極めて広範囲な分野で使用されている。勿論、国家防衛の分野においても使用されており、又、最近では医療やスポーツ生理学の分野での使用が注目されている。
【0011】
さて、赤外線画像表示装置が表示する画像には温度情報に変化が少ない画像と、温度変化が少ない背景中を背景温度とは温度が異なる物体が移動するか、赤外線画像表示装置側が背景とは温度が異なる物体に対して移動するために温度情報に変化が生じ得る画像とがある。前者については元々変化が少ないので赤外線画像の視認性に問題は生じないが、後者については視認性が低下するという問題が生じ得る。
【0012】
そこで、変化が少ない背景の中で背景の温度とは異なる温度の物体が移動する際や、背景温度とは物温度が異なる物体に対して赤外線画像表示装置側が移動する際にも、表示画像の視認性の低下を防止することが可能な赤外線画像表示装置の実現が求められている。
【0013】
【従来の技術】
図14は、赤外線画像表示装置の一般的構成である。
【0014】
図14において、
1は、受光する赤外線を集光するレンズ系や、集光された赤外線を走査する機構を含む光学系、
2は、光学系1が走査する赤外線を受けて光電変換し、アナログ電気信号を出力する赤外線検知器、
3は、赤外線検知器2が出力するアナログ電気信号の信号対雑音比を確保するために、赤外線検知器2の出力を所定のレベルまで増幅する増幅器、
4は、増幅器3のアナログ出力をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換器(図では、「A/D」と略記している。以降も、図においては同様に標記する。尚、「A」は「Analog」の頭文字、「D」は「Degital 」の頭文字である。)、
5は、画像処理をする間アナログ・デジタル変換器4の出力を格納するフレーム・メモリ(図では、「フレームメモリ」と標記しているが同一の物である。)、
6は、アナログ・デジタル変換器4の出力のレベル(アナログ信号をデジタルの符号に変換したものである。)の出現数を計数して、原画像のヒストグラムを作成するヒストグラム作成部、
7は、ヒストグラム作成部6が作成した原画像のヒストグラムを、表示する階調に合わせて階調変換したヒストグラムを作成し、原画像を階調変換した画像に変換するヒストグラム変換部、
9は、ヒストグラム変換部7が出力する階調変換されたデジタル信号をアナログ信号に逆変換するデジタル・アナログ変換器(図では、「D/A」と略記している。以降も、図においては同様に標記する。尚、「D」と「A」の略し方はアナログ・デジタル変換器の場合と同じである。)
10は、デジタル・アナログ変換器9が出力するアナログ信号に所定の掃引を行なって二次元画像として表示するモニタである。
【0015】
ここで、先に説明した如く、光学系1で受光する赤外線のダイナミック・レンジは極めて広いので、アナログ・デジタル変換器4の精度は12ビット程度必要である。
【0016】
一方、モニタ10が表示する画像によって温度情報や物体の有無を認識するのは人間の眼であり、人間の眼の分解能は信号対雑音比にして50dB程度であるから8ビット程度である。
【0017】
従って、モニタ10では温度情報や物体を認識するのに必要な精度で表示すればよく、フレーム・メモリ5、ヒストグラム作成部6及びヒストグラム変換部7を用いて階調変換を行なう訳である。
【0018】
図15は、従来の画像処理を説明する図で、高温域の物体と常温域の背景よりなる画像を例にしたものである。
【0019】
図15(イ)は、原画像のヒストグラム作成を示すもので、縦軸は画素数、横軸は12ビットで表した信号レベルである。12ビットで表わし得る信号レベル数は4096であるから、横軸には0から4095がふられる。
【0020】
ここでは、高温域の物体と常温域の背景よりなる画像を例に図示しているので、ヒストグラムは2つの山に分かれている。そして、常温域の背景が視野の大部分を占めるので、常温域の山の方が大きくなることが通常である。このヒストグラムは図14のヒストグラム作成部6において作成されて、ヒストグラム変換部7に転送される。
【0021】
ヒストグラム変換部7においては、原画像のヒストグラムにおいて画素数が所定数(図では、「閾値」と表現している。)に満たない信号レベルをカットして、ヒストグラムをカットされずに残った信号レベルのみを並べ直し、カットされずに残った信号レベルの総数Nを求める。これが、図15(ロ)に示されている。
【0022】
次いで、図15(ハ)の如く、横軸の信号レベルNを8ビットの表示精度に対して均等に割り振る。8ビットで表わし得る信号レベルは256であるから、縦軸には0から255がふられる。これで、12ビットの原画像の階調が8ビットに圧縮されて、原画像の画素の信号レベルをアドレスとして、ヒストグラム変換部内のヒストグラム変換用メモリ(図14では図示せず。)に格納される。
【0023】
この後、図14のフレーム・メモリ5から、ヒストグラム変換用メモリに格納されたヒストグラムと同じフレームの画像データ、即ち、デジタル化された信号レベルを読み出して、読み出した信号レベルをアドレスとしてヒストグラム変換用メモリに格納されている8ビット階調の画像データを読み出すことによって、原画像を8ビットの画像に変換する。
【0024】
即ち、ヒストグラム変換用メモリは12ビットの階調と8ビットの階調を読み替える変換テーブルになっている。要するに、原画像の信号レベルを与えて、対応する表示画像の信号レベルを求める訳である。これを、グラフ的に表現して図15(ニ)に示している。
【0025】
従って、8ビットに変換された画像のヒストグラムは図15(ホ)に示すように、256の信号レベルの中に分布するヒストグラムになる。これは、図15(ロ)のヒストグラムにおいて、最大信号レベル数Nを255に変換したもので、階調変換の前後でヒストグラムの形状は保存される。
【0026】
そして、上で説明したようにヒストグラム変換用メモリに12ビットの原画像の信号レベルをアドレスとして格納した8ビット階調の画像データを、12ビットの原画像の信号レベルをアドレスとして読み出して階調変換しているので、8ビットに階調変換した画像は原画像に忠実な画像になる。
【0027】
上記では、背景中に高温物体がある場合に限定して説明しているが、上記の画像処理は、背景中に低温物体がある場合でも、背景中に高温物体と低温物体がある場合にも適用できることはいうまでもない。
【0028】
尚、高温物体の典型的な例はエンジンを作動させている自動車であり、低温物体の典型的な例は晴天の空であり、移動する低温物体の例としては、晴天の空からの赤外線を反射する移動体のフロント・ガラスがある。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、8ビットに階調変換された画像の視認性がよいためには、原画像自体に変化が少ないことが必要である。
【0030】
図16は、従来の画像処理における問題点を説明する図である。
【0031】
図16(イ)は、常温の背景中に高温物体がない場合の原画像、原画像のヒストグラム及び階調変換後のヒストグラムを示している。例えば、山や畑などの景色を想像すればよい。
【0032】
一方、図16(ロ)は、常温の背景中に高温物体がある場合の原画像、原画像のヒストグラム及び階調変換後のヒストグラムを示している。例えば、山や畑などを背景として自動車がエンジンを作動させて静止しているか、走行している場合を想定すればよい。
【0033】
原画像に高温物体が存在ない場合に12ビットの信号レベルについてヒストグラムを作成すると、図16(イ)中の原画像のヒストグラムのようになる。これを、先に説明した手法によって8ビットのヒストグラムに変換すると、ヒストグラムの256の信号レベルは全て常温域の背景を示す信号レベルだけで占められることになる。
【0034】
一方、原画像に高温物体が存在する場合に12ビットの信号レベルについてヒストグラムを作成すると、図16(ロ)中の原画像のヒストグラムのようになる。ここで、背景部分の温度分布は高温物体の有無に関係ないので、原画像のヒストグラムに占める背景部分のヒストグラムには変わりがない。
【0035】
この高温物体が存在する場合の原画像のヒストグラムを、先に説明した手法によって8ビットのヒストグラムに変換すると、256の信号レベルを常温域の背景と高温物体とがシェアすることになる。
【0036】
従って、階調変換後のヒストグラムにおいて、常温域の背景が占めるレベル数は高温物体の有無によって変化する。
【0037】
今、高温物体が停止しているか,背景中をゆっくりと動く場合を考えると、図16(ロ)の原画像に対する階調変換後のヒストグラムには変化が生じない。何故なら、ヒストグラムは原画像そのものではなく、原画像における温度分布を表わすものであるから、高温物体の位置の変化はヒストグラムには影響を与えないからである。
【0038】
従って、高温物体が停止しているか,背景中をゆっくりと動く場合には、図16(ロ)の階調変換後のヒストグラムに変化が生じないので、表示画像の視認性は良好な状態に保たれる。
【0039】
次いで、高温物体が背景中を高速で移動する場合を考える。特に顕著な場合は、赤外線画像表示装置の至近距離において高温物体が背景中を高速で移動する場合である。
【0040】
この場合には、高温物体が原画像にない状態、高温物体が原画像に入った状態、及び、高温物体が原画像から出た状態というように、原画像が短時間で変化する。
【0041】
まず、高温物体が原画像中にない場合の階調変換後のヒストグラムは図16(イ)の右端の図で表される。
【0042】
そこへ高温物体が原画像内に高速で入ってくると、一瞬の内に階調変換後のヒストグラムは変化して、図16(ロ)の右端の図のように変化する。即ち、背景部分のヒストグラムのレベル数が圧縮され、背景部分のヒストグラムは左にシフトさせられる。
【0043】
そして、次の瞬間には高温物体は高速で原画像から出てゆくので、一瞬の内に階調変換後のヒストグラムは変化して、図16(イ)の右端の図のようになる。即ち、背景部分のヒストグラムに割り当てられる信号レベル数が多くなり、背景部分のヒストグラムが右にシフトさせられる。
【0044】
そして、背景部分のヒストグラムの左右へのシフトは、図16(イ)及び図16(ロ)の右端の図のヒストグラムのピーク部に引いた補助線によって明確に示されている。
【0045】
つまり、原画像内を高温物体が高速で移動する時には、階調変換後のヒストグラムにおいて、常温域の背景に割り振られる信号レベル数が急変するので、高温物体の移動に伴って背景部分の見え方が急速に変化して表示画像にぶれが生ずる。
【0046】
この状態では、背景部分のヒストグラムの変化にマスクされて高温物体の移動の視認性が低下する。
【0047】
このようなことは、背景中を低温物体が急速に移動する場合にも起こり得ることである。
【0048】
赤外線画像表示装置によって監視しているということは、当然のことながら、背景だけを確認することが目的ではなく、そこに出入りする異常物体の有無を確認することに意味がある。又、赤外線画像表示装置側が高速で移動しながら前方を監視するということは、常に高速で変化する原画像内に異常な物体を発見することに意味がある。
【0049】
従って、原画像中を異常物体が高速で移動する時に、赤外線画像表示装置において視認性が低下することは許されない。
【0050】
本発明は、かかる点に鑑み、変化が少ない背景の中で背景の温度とは異なる温度の物体が高速で移動する際や、背景とは温度が異なる物体に対して赤外線画像表示装置側が高速で移動する際にも、表示画像の視認性の低下を防止することが可能な赤外線画像表示装置を提供することを目的とする。
【0051】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の手段は、原画像に出現する信号レベルのヒストグラムを複数の温度域に分割して作成し、分割された複数の温度域各々の信号レベル数に応じて階調変換後の信号レベル数を割り当て、原画像の信号レベルと階調変換後の信号レベルとの変換を行なう技術である。
【0052】
本発明の第一の手段によれば、原画像のヒストグラムを複数の温度域に分割して作成し、分割された複数の温度域の各々信号レベル数に応じて階調変換後の信号レベル数を割り当てるので、原画像内に例えば高温物体があってもなくても、階調変換後に背景部分に割り当てられる信号レベル数に変化が生ずることはない。同様に、原画像内に低温物体があるかないかについても、階調変換後に背景部分に割り当てられる信号レベル数に変化が生ずることはない。
【0053】
従って、原画像内を異常物体が高速で移動する場合においても、表示画像の視認性が低下することはない。
【0054】
本発明の第二の手段は、原画像に出現する信号レベルのヒストグラムを複数フレームにわたって平均して階調変換後の信号レベルを割り当て、原画像の信号レベルと階調変換後の信号レベルとの変換を行なう技術である。
【0055】
本発明の第二の手段によれば、原画像のヒストグラムを複数フレームにわたって平均して階調変換後の信号レベルを割り当てて、原画像の信号レベルと階調変換後の信号レベルとの変換を行なうので、原画像内を異常物体が高速で移動しても、階調変換後のヒストグラムにおける背景部分のヒストグラムは異常物体の有無によって急速に影響を受けることがない。
【0056】
従って、被写体内を異常物体が高速で移動する場合においても、表示画像の視認性が低下することはない。
【0057】
本発明の第三の手段は、1フレーム前に演算して格納されたヒストグラムと現在の原画像のヒストグラムとの差分をとり、該差分に対して温度域によって異なる重み付けをして、重み付けされた差分と1フレーム前に格納されたヒストグラムとを加算し、重み付けされた差分と1フレーム前に格納されたヒストグラムとを加算したヒストグラムに対して階調変換後の信号レベル数を割り当てて、原画像の信号レベルと階調変換後の信号レベルとの変換を行なう技術である。
【0058】
本発明の第三の手段によれば、1フレーム前に格納されたヒストグラムと現在の原画像のヒストグラムとの差分をとり、該差分に対して常温部分に大きな重み係数をかけると共に例えば高温部分に対しては小さい重み係数をかけて、重み付けされた差分と1フレーム前に格納されたヒストグラムとを加算し、重み付けされた差分と1フレーム前に格納されたヒストグラムとを加算したヒストグラムに対して階調変換後の信号レベル数を割り当てるので、原画像内を異常物体が高速で移動しても、階調変換後のヒストグラムにおける背景部分のヒストグラムは異常物体の有無によって急速に影響を受けることがない。
【0059】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第一の実施の形態のハードウェア構成である。
【0060】
図1において、
1は、受光する赤外線を集光するレンズ系や、集光された赤外線を走査する機構を含む光学系、
2は、光学系1が走査する赤外線を受けて光電変換し、アナログ電気信号を出力する赤外線検知器、
3は、赤外線検知器2が出力するアナログ電気信号の信号対雑音比を確保するために、赤外線検知器2の出力を所定のレベルまで増幅する増幅器、
4は、増幅器3のアナログ出力をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換器である。
【0061】
51は、アナログ・デジタル変換器4の出力を3つの出力端子に順番に出力する第一のセレクタ(図では、「第一のSEL」と標記している。以降も、図では同様に標記する。尚、「SEL」は「SELECTER」の最初の3文字による略語である。)、
52は1フレーム分の画素の信号レベルを格納する第一のフレーム・メモリ(図では、フレーム・メモリを構成しているのがランダム・アクセス・メモリであるので、「RAM」と標記している。以降も、ランダム・アクセス・メモリを使用するメモリは同様に標記する。尚、「RAM」は「Random Access Memory」の頭文字をとった略語で、極めて一般的に使われているものである。)、
53は、1フレーム分の画素の信号レベルを格納する第二のフレーム・メモリ、
54は、1フレーム分の画素の信号レベルを格納する第三のフレーム・メモリ、
55は、第一のフレーム・メモリ52、第二のフレーム・メモリ53及び第三のフレーム・メモリ54から読み出される画像データのいずれかを選択する第二のセレクタで、
上記第一のセレクタ51、第一のフレーム・メモリ52、第二のフレーム・メモリ53、第三のフレーム・メモリ54及び第二のセレクタ55によって、図14のフレーム・メモリ5を構成する。
【0062】
尚、該第一乃至第三のフレーム・メモリには、原画像の画素アドレスをアドレスとして原画像の信号レベル即ち画像データが格納され、該第一乃至第三のフレーム・メモリからは、原画像の画素アドレスをアドレスとして原画像の信号レベルが読み出される。即ち、図では第一乃至第三のフレーム・メモリへのアドレス線が省略されている。
【0063】
61は、原画像において出現する信号レベルのヒストグラムを作成するためのヒストグラム作成用メモリ、
62は、ヒストグラム作成用メモリ61から読み出される信号レベルの出現数に1を加算する加算器、
63は、バッファ・ゲートで、
上記ヒストグラム作成用メモリ61、加算器62及びバッファ・ゲート63によって、図14のヒストグラム作成部6を構成する。
【0064】
71は、ヒストグラム変換を実行するデジタル信号プロセッサ(図では、「DSP」と標記している。以降も、図では同様に標記する。尚、「DSP」は「Digital Signal Proccesser 」の頭文字をとった略語で、一般的な略語になりつつある。)、
72は、ヒストグラム作成用メモリ61で作成された原画像のヒストグラムの転送を受けて格納するヒストグラム格納用メモリ、
73は、デジタル信号プロセッサ71が実行するプログラムを格納している読み出し専用メモリ(図では、「ROM」と略記している。以降も、図においては同様に標記する。尚、「ROM」は「Read Only Memory」の頭文字をとった略語で、極めて一般的な略語である。又、プログラムを実行する際には、読み出し専用メモリから1ステップずつ読み出すのではなく、或る範囲のプログラム・ステップを読み出し専用メモリから読み出してランダム・アクセス・メモリに一時記憶し、そこから1ステップずつ読み出して実行することが通常であるが、そのためのランダム・アクセス・メモリは図示を省略している。)、
74は、デジタル信号プロセッサ71がヒストグラム格納用メモリ72に格納されたヒストグラムから階調変換したヒストグラムを原画像の信号レベルをアドレスとして書き込み、第二のセレクタ55の出力である原画像の信号レベルをアドレスとして読み出す、階調変換テーブルとしてのデュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ(図では、「DP−RAM」と標記している。以降も、図では同様に標記する。尚「DP−RAM」は「Dual Port Random Access Memory」の頭文字をとった略語で、一般に使われているものである。)で、
上記デジタル信号プロセッサ71、ヒストグラム格納用メモリ72、読み出し専用メモリ73及びデュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74によって、図14のヒストグラム変換部7を構成する。
【0065】
但し、後で詳細に説明するように、読み出し専用メモリ73に格納されているプログラムは、従来の技術とは異なる。
【0066】
9は、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74から読み出されるデータをアナログ信号に変換するデジタル・アナログ変換器である。
【0067】
10は、デジタル・アナログ変換器9の出力を所定の掃引方式によって二次元画像にして表示するモニタである。
【0068】
ここで、光学系1で受光する赤外線のダイナミック・レンジは極めて広いので、正確にデジタル変換するにはアナログ・デジタル変換器4の精度は12ビット程度必要である。
【0069】
一方、モニタ10が表示する画像によって温度情報や物体の認識するのは人間の眼であり、人間の眼の分解能は8ビット程度である。
【0070】
従って、モニタ10では温度情報や物体の認識するのに必要な精度で表示すればよく、フレーム・メモリ、ヒストグラム作成部及びヒストグラム変換部において下に詳細に記載する如く8ビットに階調変換を行なう。
【0071】
次に、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74は12ビットから8ビットへの階調変換テーブルとして機能するので、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74の容量は12ビット×8ビットである。又、デジタル信号プロセッサ71のアドレスは12ビットである。
【0072】
更に、通常の赤外線画像表示装置において、表示画素数は水平方向320、垂直方向240であるので、ヒストグラム作成用メモリ61は12ビット×17ビットの容量であり、データ線は17ビットである。従って、加算器62は17ビットを扱うことができるものである。
【0073】
又、該第一乃至第三のフレーム・メモリの容量も、ヒストグラム格納用メモリ72の容量も17ビット×12ビットである。
【0074】
さて、ヒストグラムの作成は次のようにして行なう。
【0075】
先ず、ヒストグラムの作成においてオフセットがあってはならないので、電源投入後にヒストグラム作成用メモリ61を一旦リセットしてから動作を開始する。
【0076】
アナログ・デジタル変換器4は、特定の時刻に12ビットの信号レベルのうち特定の信号レベルをアドレスとしてヒストグラム作成用メモリ61に供給する。ヒストグラム作成用メモリ61は、上記の如くパワー・オン・リセットされているので、最初は当該アドレスには0が格納されている。この0が読み出されて、加算器62において1と加算され、加算結果の1がヒストグラム作成用メモリ61の当該アドレスに格納される。
【0077】
次に、もし先の出力と同じ信号レベルがアナログ・デジタル変換器4から出力されてヒストグラム作成用メモリ61にアドレスとして供給されれば、再度1が加算された結果が当該アドレスに格納される。
【0078】
一方、アナログ・デジタル変換器4から異なる信号レベルがアドレスとして供給されれば、ヒストグラム作成用メモリ61の異なったアドレスに1が加算されて格納される。
【0079】
このようにして、アナログ・デジタル変換器4の出力レベル毎に出現画素数がヒストグラム作成用メモリ61に格納されてゆき、原画像のヒストグラムが作成される。
【0080】
そして、原画像のヒストグラムはフレーム内の画素毎に順次作成されてゆくので、原画像のヒストグラムの作成とフレーム・メモリへの原画像の信号レベルの書き込みは同時に行なわれる。
【0081】
ヒストグラム作成用メモリ61において1フレーム・メモリ分の画像に対してヒストグラムが作成されると、作成された原画像のヒストグラムはヒストグラム格納用メモリ72に転送されて格納される。
【0082】
デジタル信号プロセッサ71は、読み出し専用メモリ73に格納されているプログラムに沿って、ヒストグラム格納用メモリ72に書き込まれた原画像のヒストグラムに演算を行なって、演算結果を原画像の信号レベルをアドレスとしてデュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74に書き込む。この時に書き込まれるデータは8ビットに圧縮された階調データである。尚、この演算が本発明の第一の実施の形態におけるデジタル信号プロセッサ71の特徴的な演算であるが、これについては後で詳細に説明する。
【0083】
デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74に書き込まれた8ビットの階調データは、3面のフレーム・メモリ、即ち、第一乃至第三のフレーム・メモリの1面から読み出される原画像の信号レベルをアドレスとしてデュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74から読み出されて、デジタル・アナログ変換器9に供給される。従って、デジタル・アナログ変換器9に供給されるデータは、画素アドレスに対応する階調変換された信号レベル即ち画像データである。
【0084】
これが、デジタル・アナログ変換器9においてアナログ信号に変換され、モニタに供給されて所定の掃引を受けて二次元画像として表示される。
【0085】
上記の手順を、本発明の第一の実施の形態の処理手順を示す図として図示した図が図2である。
【0086】
図2(イ)は、フレームを示しており、1フレームは2つのフィールドで構成される。ここでは、第1フレームから第4フレームまでを図示している。
【0087】
図2(ロ)は、原画像データの有効データを示している。
【0088】
画像の有効データはフィールドを充満させている訳ではなく、フィールドの切り替わりの前後に処理に必要な時間をとって、残りの時間に有効データが与えられる。
【0089】
図2(ハ)は、有効データのフレーム・メモリへの保存を示している。取得した有効データはフレーム毎に逐次フレーム・メモリに格納される。ここでは、第1フレームの画素の有効データが第一のフレーム・メモリに格納されるものとして図示している。従って、以降の有効データは、順次3面のフレーム・メモリの1面に格納されてゆく。
【0090】
第1フレームの画素の信号レベルが第一のフレーム・メモリに格納されるのと同時に、第1フレームの画素の有効データを表す信号レベルはヒストグラム作成用メモリに供給され、先の説明の如く、逐次ヒストグラムが作成されてゆく。従って、第1フレームの信号レベルのヒストグラムは第1フレームの間に作成される。これが、図2(ニ)に示されている。
【0091】
ヒストグラム作成用メモリで作成された第1フレームの画像のヒストグラムは、第1フレームの空き時間にヒストグラム格納用メモリに転送され、第2フレームの時間にデジタル信号プロセッサによってヒストグラム変換され、第2フレームの空き時間に変換結果がデュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリに格納される。これが、図2(ホ)に示されている。
【0092】
デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリに格納された変換結果は、第3フレームの時間に第一のフレーム・メモリに格納されている信号レベルをアドレスとして読み出される。これで階調変換された信号レベルがデジタル・アナログ変換器に供給されることになる。これが、図2(ヘ)の「出力データ3」に示されている。
【0093】
即ち、第1フレームの信号レベルが階調変換されて出力されるのは第3フレームの時間である。この間にも原画像の信号レベルが連続的に入力されてくるので、フレーム・メモリには1フレーム分のメモリを3面準備しておき、第1フレームの信号レベルを第一のフレーム・メモリに書き込むのであれば、第2フレームの信号レベルを第二のフレーム・メモリに書き込み、第3フレームの信号レベルを第三のフレーム・メモリに書き込むというように、3面のフレーム・メモリに順番に書き込む必要がある。これによって、第1フレームの階調変換されたヒストグラムと、第1フレームの画素の信号レベルを対応させて階調変換することができる。そして、第4フレーム以降には上記の動作を繰り返して行なえばよい。
【0094】
ここまでの説明は、図1と図2によるおおまかな本発明の第一の実施の形態の処理手順であるが、本発明の第一の実施の形態の特徴は未だ説明していない。そこで、図3によって、本発明の第一の実施の形態の処理手順における特徴を説明する。
【0095】
図3は、本発明の第一の実施の形態の原理を説明する図で、原画像が低温域の物体、常温域の背景及び高温域の物体を含む場合を例に図示したものである。
【0096】
図3(イ)は、原画像のヒストグラム作成を示すもので、縦軸は画素数、横軸は12ビットで表した信号レベルである。12ビットで表わし得る信号レベル数は4096であるから、横軸には0から4095がふられる。
【0097】
ここでは、高温域の物体、常温域の背景及び低温域の物体よりなる画像を例に図示しているので、原画像のヒストグラムには3つの山が現れる。尚、aは原画像において低温域と常温域の境界として定義される信号レベル、bは原画像において常温域と高温域の境界として定義される信号レベルである。
【0098】
このヒストグラムは図1のヒストグラム作成部において作成されて、ヒストグラム変換部に転送される。
【0099】
図1のヒストグラム変換部においては、原画像のヒストグラムにおいて画素数が所定数(図3(イ)では、「閾値」と表現している。)に満たない信号レベルをカットしてヒストグラムを並べ直し、カットされずに残った信号レベルの数を温度域毎に求める。
【0100】
ここでは、図3(イ)に示す如く、カットされずに残った信号レベル数は、低温域でN1 、常温域でN2 、高温域でN3 としている。
【0101】
そして、カットされないで残った信号レベルを並べ直す時に、低温域、常温域及び高温域毎に並べ直しを行なう。即ち、低温域のN1 の信号レベルに関するヒストグラム、常温域のN2 の信号レベルに関するヒストグラム、及び、高温域のN3 の信号レベルに関するヒストグラムを独立に扱う。これが、図3(ロ)に示されている。
【0102】
次いで、図3(ロ)のヒストグラムの信号レベルに対して階調変換された信号レベル(ここでは、8ビット、256レベルの信号レベルに変換するものとして図示している。)を割りつける。この時に、各温度域に対して256の信号レベルを各温度域の信号レベル数に応じて割り振るようにする。
【0103】
ここで、階調変換後の信号レベルのうち低温域と常温域の境界の信号レベルをcとし、常温域と高温域の境界の信号レベルをdとしておく。
【0104】
先ず、図3(ハ)の二次元座標の横軸の変数をi(iは、性の整数をとりうる。)とする時、傾斜1/N1 で0から1まで変化する直線1(これをL1 とする。)を定義する。即ち、直線1の方程式は、
1 =i・(1/N1 ) (1)
である。
【0105】
上記の仮定から、低温域にはcの信号レベルが割り当てられるから、低温域に割り当てられる表示レベルは、
表示レベル=c・L1 (2)
となる。
【0106】
次いで、傾斜1/N2 で0から1まで変化する直線2(これをL2 とする。)を定義する。即ち、直線2の方程式は、
2 =i・(1/N2 ) (3)
である。
【0107】
上記の仮定から、常温域にはcからdの信号レベルが割り当てられるから、常温域に割り当てられる表示レベルは、
表示レベル=(d−c)・L2 +c (4)
となる。
【0108】
同様に、傾斜1/N3 で0から1まで変化する直線3(これをL3 とする。)を定義すると、
3 =i・(1/N3 ) (5)
となり、高温域に割り当てられる表示レベルは、
表示レベル=(255−d)・L3 +d (6)
となる。
【0109】
階調変換後の信号レベルを各温度域への配分を示しているのが、図3(ハ)である。これで、12ビットの原画像の階調が各温度域毎に8ビットに圧縮されて求められる。これが、原画像の画素の信号レベルをアドレスとして、ヒストグラム変換部内のヒストグラム変換用メモリに格納される。
【0110】
この後、図1のフレーム・メモリのいずれかから、ヒストグラム変換用メモリに格納された画像と同じフレームの信号レベルを読み出して、読み出した信号レベルをアドレスとしてヒストグラム変換用メモリに格納されている8ビットの階調データを読み出すことによって、原画像を8ビットの画像に階調変換する。
【0111】
即ち、ヒストグラム変換用メモリは温度域毎に12ビットの階調と8ビットの階調を読み替える変換テーブルになっている。そして、12ビットの原画像と8ビットの処理画像の変換テーブルを2次元座標で表現したものを図3(ニ)に示している。
【0112】
従って、8ビットに変換された画像のヒストグラムは図3(ホ)に示すヒストグラムになる。これは、図3(ロ)のヒストグラムにおいて、低温域の信号レベルN1 をcに、常温域の信号レベルN2 を(d─c)に、高温域の信号レベルN3 を(255−d)に割りつけたもので、階調変換の前後でヒストグラムの形状は保存される。
【0113】
そして、上で説明したようにヒストグラム変換用メモリにおいて、12ビットの原画像のデータをアドレスとして格納した8ビットの信号レベルを、12ビットの原画像の信号レベルをアドレスとして読み出して階調変換しているので、8ビットに階調変換した画像は原画像に忠実な画像になる。
【0114】
しかも、次に示すように、本発明の第一の実施の形態によれば、原画像内を異常物体が高速で移動することがあっても、階調変化後のヒストグラムにおける背景部分のヒストグラムのレベルが変動することがなくなる。
【0115】
図4は、本発明の第一の実施の形態における画像処理を説明する図で、ここでは簡単のために、常温域の背景と高温域の物体だけを考慮して図示したものによって説明する。
【0116】
図4(イ)は、原画像に高温物体が存在しない場合の原画像、原画像のヒストグラム及び階調変換後のヒストグラムを示し、図4(ロ)は、高温物体が存在する場合の原画像、原画像のヒストグラム及び階調変換後のヒストグラムを示している。
【0117】
高温物体がない場合の原画像は常温域の温度情報のみを持っているので、この場合の原画像のヒストグラムは、図3と同じ符号を用いれば、図4(イ)の真ん中の図に示す如く、信号レベルb以下に作成される。
【0118】
これは、階調変換したヒストグラムにおいては、図4(イ)の右端の図の如く、常温域は信号レベルd以下に変換される。
【0119】
一方、高温物体があっても、常温域の温度情報は信号レベルb以下に限定されてヒストグラムが作成されるので、図4(ロ)の真ん中の図に示す如く、常温域のヒストグラムは高温物体の存在には左右されない。
【0120】
そして、高温物体が原画像にある場合には、図4(ロ)の真ん中の図に示す如く、高温域の温度情報は信号レベルb以上に限定されてヒストグラムが作成される。
【0121】
このようにして作成された原画像のヒストグラムを階調変換する際に、上記の如く、常温域と高温域では独立に階調変換するので、常温域のヒストグラムは高温物体の有無に影響されずに同じ信号レベルの範囲に分布する。
【0122】
従って、高温物体が常温域の背景中を高速で移動しても、背景のヒストグラムが形成される信号レベルに変化が生じないので、表示画像の視認性が低下することはない。
【0123】
勿論、常温の背景内に高温物体が比較的長時間滞在する場合にも、表示画像の視認性には何等影響がない。
【0124】
又、原画像が常温域と低温域の温度情報を持つ場合も、常温域と低温域と高温域の温度情報を持つ場合も、表示画像の視認性には問題は生じない。
【0125】
ここまでにおいて、本発明の第一の実施の形態について十分説明してきたが、動作を再確認する意味でフローチャートによる説明をしておく。
【0126】
図5は、本発明の第一の実施の形態の動作を示すフローチャートである。以降、図5の符号に沿って本発明の第一の実施の形態の動作を説明する。尚、ここでは原画像が常温域と高温域の温度情報を持っている場合を例にしている。又、ここで使う信号レベルの境界値、信号レベル数及び直線の方程式は図3のものと同じにしてある。
【0127】
S1.図1のヒストグラム作成用メモリ61をリセットし、全てのアドレスに0が格納されている状態を作り出す。
【0128】
これは、ヒストグラム作成の最初の段階で必須な処理である。
【0129】
S2.ヒストグラム作成用メモリの、アナログ・デジタル変換器の出力に対応するアドレスに1を加算し、ヒストグラム作成用メモリの当該アドレスに格納する。
【0130】
これによって、アナログ・デジタル変換器が出力する信号レベル毎に、順次ヒストグラムが作成されてゆく。
【0131】
S3.ステップS2の処理が、全ての画素について終了したか否か判定する。
【0132】
これは、1フレームの画素数が判っているので、加算演算する度に歩進するカウンタのカウント値が上記画素数に達したか否かを判定すればよい。
【0133】
全ての画素について加算演算が終了していないと判定された場合(No)には、ステップS2にジャンプして、全ての画素について加算演算が終了するまでステップS2乃至ステップS3の処理を繰り返して行なう。
【0134】
以上が、原画像のヒストグラム作成の段階で、図1のヒストグラム作成用メモリ61、加算器62によって行なわれる。
【0135】
S4.ステップS3で、全ての画素について加算演算を終了したと判定された場合(Yes)には、ヒストグラム作成用メモリが作成した原画像のヒストグラムを図1のヒストグラム格納用メモリ72に転送する。
【0136】
S5.原画像の信号レベル0〜bに対して、所定の画素数以下の信号レベルをカットする。
【0137】
これは、階調数を圧縮変換する際に、出現頻度が少なくて表示の必要性が低い信号レベルを削除して、圧縮された階調数の中で効率よく画像表示するために行なう処理である。
【0138】
S6.信号レベル0〜bでカットされずに残った信号レベルを並べ直して、この信号レベル範囲でのレベル総数N2 を求める。
【0139】
S7.傾斜1/N2 で0〜1の範囲を値をとる直線2を定義する。
【0140】
iを0及びN2 までの整数として、上記直線の方程式をL2 とすれば、
2 =i(1/N2
となる。
【0141】
S8.原画像の信号レベルbまでに対応する階調変換後の信号レベルをdとする時、ステップS7で求めた直線に対してdを掛けて、表示レベルを8ビットに変換する。
【0142】
即ち、8ビットに変換後の表示レベルは、
表示レベル=d・L2
となる。
【0143】
S9.ステップS8で求めた表示レベルを、ヒストグラム変換用メモリの原画像の信号レベルに対応するアドレスに格納する。
【0144】
ステップS5からステップS9までが、背景のヒストグラム変換の段階で、変換動作は図1のデジタル信号プロセッサ71が、ヒストグラム格納用メモリ72と読み出し専用メモリ73とを使用して行なう。
【0145】
S10.次いで、信号レベルb〜4095に対して、所定の画素数以下の信号レベルをカットする。
【0146】
S11.信号レベルb〜4095でカットされずに残った信号レベルを並べ直して、この信号レベル範囲でのレベル総数N3 を求める。
【0147】
S12.傾斜1/N3 で0〜1の範囲を値をとる直線3を定義する。
【0148】
iを0及びN3 までの整数として、上記直線の方程式をL3 とすれば、
3 =i・(1/N3
となる。
【0149】
S13.原画像の信号レベルbに対応する階調変換後の信号レベルをdとする時、ステップS12で求めた直線によって表示レベル(255−d)を割りつけて、表示レベルを8ビットに変換する。
【0150】
即ち、8ビットに変換後の表示レベルは、
表示レベル=(255−d)・L3 +d
となる。
【0151】
S14.ステップS13で求めた表示レベルを、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリの原画像の信号レベルに対応するアドレスに格納する。
【0152】
ステップS10からステップS14までが、高温物体のヒストグラム変換の段階で、変換動作はデジタル信号プロセッサ71がヒストグラム格納用メモリ72及び読み出し専用メモリ73を使用して行なう。
【0153】
S15.3面のフレーム・メモリの内、上記ヒストグラム変換をしたフレームと同じフレームの信号レベルを格納しているフレーム・メモリの信号レベルをアドレスとして、ヒストグラム変換用メモリに格納されている階調データを読み出して、階調変換を行なう。
【0154】
S16.ステップS15で読み出したデータをデジタル・アナログ変換器に供給してアナログ変換し、モニタに出力して画像表示する。
【0155】
ステップS15とステップS16が、階調変換・表示の段階で、階調変換はデジタル信号プロセッサがフレーム・メモリとヒストグラム変換用メモリを使用して行なう。
【0156】
尚、このフローチャートでは,常温域のヒストグラムを求めて変換する段階と、高温域のヒストグラムを求めて変換する段階が記載されているが、もし、低温域の温度情報があるなら、低温域のヒストグラムを求めて変換する段階を追加すればよい。
【0157】
次いで、本発明の第二の実施の形態の説明に移行する。
【0158】
図6は、本発明の第二の実施の形態のハードウェア構成である。
【0159】
図6において、
1は、受光する赤外線を集光するレンズ系や、集光した赤外線を走査する機構を含む光学系、
2は、光学系1が走査する赤外線を受けて光電変換し、アナログ電気信号に変換する赤外線検知器、
3は、赤外線検知器2が出力するアナログ電気信号の信号対雑音比を確保するために、赤外線検知器2の出力を所定のレベルまで増幅する増幅器、
4は、増幅器3のアナログ出力をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換器である。
【0160】
51aは、アナログ・デジタル変換器4が出力する信号レベルをいずれかのフレーム・メモリに供給する第三のセレクタ、
52は1フレーム分の原画像の信号レベルを格納する第一のフレーム・メモリ、
53は1フレーム分の原画像の信号レベルを格納する第二のフレーム・メモリ、
55aは、第一のフレームメモリ52又は第二のフレーム・メモリ53から読み出される原画像の信号レベルを選択する第四のセレクタで、
第三のセレクタ51a、第一のフレーム・メモリ52、第二のフレーム・メモリ53及び第四のセレクタ55aによって図14のフレーム・メモリ5を構成する。
【0161】
尚、第一のフレーム・メモリ52、第二のフレーム・メモリ53には、原画像の画素アドレスをアドレスとして原画像の信号レベルが格納され、第一のフレーム・メモリ52、第二のフレーム・メモリ53からは、原画像の画素アドレスをアドレスとして原画像の信号レベルが読み出される。
【0162】
61は、原画像の信号レベルの出現頻度を順次格納して原画像のヒストグラムを作成するヒストグラム作成用メモリ、
62は、原画像の信号レベル毎にヒストグラム作成用メモリ61に格納されている数と1を加算する加算器、
63は、バッファ・ゲートで、
上記ヒストグラム作成用メモリ61、加算器62及びバッファ・ゲート63によって、図14のヒストグラム作成部6を構成する。
【0163】
71は、ヒストグラム変換を実行するデジタル信号プロセッサ、
72aは、ヒストグラム作成用メモリが作成した原画像のヒストグラムの転送を受けて格納する、ヒストグラム格納用メモリ、
73aは、デジタル信号プロセッサ71が実行するプログラムを格納している読み出し専用メモリ、
74は、デジタル信号プロセッサ71がヒストグラム格納用メモリ72aに格納されたヒストグラムから階調変換したヒストグラムを原画像の信号レベルをアドレスに書き込み、第二のセレクタ55の出力である原画像の信号レベルをアドレスとして読み出す、階調変換テーブルとしてのデュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリで、
上記デジタル信号プロセッサ71、ヒストグラム格納用メモリ72a、読み出し専用メモリ73a及びデュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74によって、図14のヒストグラム変換部7を構成する。
【0164】
但し、後で詳細に説明するように、読み出し専用メモリ73aに格納されているプログラムは、従来のものとは異なる。
【0165】
9は、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74から読み出されるデータをアナログ変換するデジタル・アナログ変換器である。
【0166】
10は、デジタル・アナログ変換器9の出力を表示するモニタである。
【0167】
ここでも、アナログ・デジタル変換器の階調は12ビット、デジタル・アナログ変換器の階調は8ビット、表示画素は320(水平)×240(垂直)であるものとする。
【0168】
従って、第一のフレーム・メモリ52及び第二のフレーム・メモリ53、ヒストグラム作成用メモリ61、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74の容量は図1の本発明の第一の実施の形態における各々容量と同じである。
【0169】
一方、ヒストグラム格納用メモリ72aの容量は、後で詳細を説明するようにヒストグラム格納用メモリにおいてn(nは正の整数)フレーム分のヒストグラムを格納するので、17ビット×12ビット×nフレームである。
【0170】
さて、ヒストグラムの作成は次のようにして行なう。
【0171】
先ず、原画像のヒストグラムの作成は、ヒストグラム作成用メモリ61と加算器62によって、既に説明した技術と全く同じ技術によって行なわれる。
【0172】
そして、原画像のヒストグラムは順次作成されてゆくので、原画像のヒストグラムの作成とフレーム・メモリへの原信号レベルの書き込みは同時に行なわれる。
【0173】
ヒストグラム作成用メモリ61において1フレーム・メモリ分の画像に対して原画像のヒストグラムが作成されると、作成された原画像のヒストグラムはヒストグラム格納用メモリ72aに転送されて格納される。
【0174】
そして、ヒストグラム作成用メモリ61からヒストグラム格納用メモリ72aには、nフレームにわたって連続的に原画像のヒストグラムが転送されて格納される。
【0175】
ヒストグラム格納用メモリ72aにnフレーム分の原画像のヒストグラムが格納されると、デジタル信号プロセッサ71は、読み出し専用メモリ73aに格納されているプログラムに沿って、ヒストグラム格納用メモリ72aに書き込まれているnフレーム分の原画像のヒストグラムを加算し、加算したフレーム数nで除算して、nフレームにわたる原画像のヒストグラムの平均であるヒストグラムを求める。
【0176】
更に、デジタル信号プロセッサ71は、nフレームにわたる原画像のヒストグラムの平均値に対して、画素数が閾値以下の信号レベルをカットし、残った信号レベル数Nを8ビットの信号レベルに均等に割りつけて、割りつけられた8ビットの信号レベルを原画像の信号レベルをアドレスとしてデュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74に書き込む。
【0177】
デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74に書き込まれた8ビットの階調データは、第一のフレームメモリ52又は第二のフレーム・メモリ53のいずれかから読み出される原画像の信号レベルをアドレスとして読み出されて、デジタル・アナログ変換器9に供給され、アナログ信号に変換された後にモニタ10に供給されて表示される。
【0178】
この場合には、ヒストグラム格納用メモリに格納されたnフレーム分のヒストグラムの平均に対して階調変換を行なう。つまり、階調変換されるヒストグラムは特定のフレームのヒストグラムではない。
【0179】
尚、本発明の第二の実施の形態においては、種々の温度域に分けてヒストグラムを求めて変換するのではなく、全ての温度域について一遍に処理を行なことを付記しておく。
【0180】
上記の手順を、本発明の第二の実施の形態の処理手順を示す図として図示した図が図7である。
【0181】
図7(イ)は、フレームを示している。
【0182】
図7(ロ)は、原画像データの有効データを示している。
【0183】
図7(ハ)は、原画像の有効データのフレーム・メモリへの保存を示している。取得した有効データはフレーム毎に逐次第一及び第二のフレーム・メモリに交互に保存される。
【0184】
有効データがフレーム・メモリに保存されるのと同時に、同じ有効データの信号レベルはヒストグラム作成用メモリに供給され、先の説明の如く、1フレームの間に逐次原画像のヒストグラムが作成されてゆく。これが、図7(ニ)に示されている。
【0185】
ヒストグラム作成用メモリで作成された1フレーム分の原画像のヒストグラムは、同一フレームの空き時間にヒストグラム格納用メモリに転送される。そして、nフレーム分の原画像のヒストグラムが格納されると、ヒストグラムが格納された最終フレームの直後のフレームの初頭においてそれらの加算演算とnによる除算が行なわれて平均化され(図7(ホ))、上記と同一フレームの残余の時間に既に説明しているヒストグラムの変換が行なわれて(図7(ヘ))、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74に格納される。
【0186】
デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74に格納されたヒストグラムの変換結果は、その変換結果が求められたフレームの直前のフレームに第一のフレーム・メモリ又は第二のフレーム・メモリに書き込まれた原画像の信号レベルをアドレスとして読み出される。これで階調変換された信号レベルがデジタル・アナログ変換器に供給されることになる。これが、図7(ト)の「出力データ(n+2)」に示されている。
【0187】
尚、図7においては、図が煩雑になるのを避けるために、特定の範囲のフレームの有効データ及びヒストグラムに着目して処理手順を図示しているが、上記の動作は常に連続的に行なわれていることはいうまでもない。
【0188】
さて、図1の構成においては、同じフレームの原画像と階調変換されたヒストグラムを対応させて階調変換するために、フレーム・メモリには3フレーム分の容量が必要であったが、図6の構成においては、nフレームのヒストグラムを平均したヒストグラムと原画像を対応させて階調変換する。即ち、階調変換された信号レベルは特定のフレームの原画像の信号レベルと1:1の関係にある訳ではないので、原理的には、フレーム・メモリは2面のランダム・アクセス・メモリで構成すればよい。
【0189】
図8は、本発明の第二の実施の形態における画像処理を説明する図である。
【0190】
図8において、縦方向は時間軸で、図の下にゆくほど時間が経過することを意味している。
【0191】
図8の横方向には、原画像、原画像のヒストグラム、平均後のヒストグラム、及び、階調変換後のヒストグラムの順に図示している。
【0192】
原画像には長時間にわたって背景しか写っていないとすると、最初は原画像のヒストグラムと平均化されたヒストグラムは同じである。この時点の平均化されたヒストグラムの12ビットの信号レベルが均等に8ビットの信号レベルに割りつけられるので、階調変換後のヒストグラムでは背景部分に対して8ビット全体の信号レベルが配分されている。
【0193】
次の時刻に高温物体が原画像に写るものとする。この時の原画像のヒストグラムの高温域には、2行2列目の原画像のヒストグラムに示す如く、高温物体を示すヒストグラムの山が現れる。
【0194】
nフレームにわたる平均は、この原画像のヒストグラムと、これ以前の(n−1)フレームの原画像のヒストグラムとにわたって行なう。従って、2行2列目の原画像のヒストグラムを含めた原画像のヒストグラムの平均には、2行3列目の平均後のヒストグラムに示す如く、高温域に小さな山が現れる。この小さな高温域の山も含めて階調変換を行なうので、階調変換後のヒストグラムは2行4列目の如く、高温域にやはり小さなヒストグラムの山が現れ、その分、背景のヒストグラムの山のピークが僅かに左にシフトする。
【0195】
このような処理を繰り返して、高温物体が原画像に写るようになってから一定の時間が経過すると、図8の最下行に示す如く、原画像のヒストグラムと平均後のヒストグラムは等しくなり、それに応じて、階調変換後のヒストグラムにおいても、高温域のヒストグラムを示す山が大きくなって、背景を示すヒストグラムの山が最初よりは更に左にシフトしてゆく。
【0196】
しかし、背景の山が左側にシフトする速度は、平均化を行なうことによって遅くすることができる。従って、本発明の第二の実施の形態によっても、原画像の中を高温物体が高速に移動する際の画像の視認性の低下を防止することができる。そして、当然、低温物体が移動したり、低温物体と高温物体が移動しても、画像の視認性の低下を防止することができる。
【0197】
図9は、本発明の第二の実施の形態の動作を示すフローチャートである。以降、まとめの意味で、図9の符号に沿って本発明の第二の実施の形態の動作について説明する。
【0198】
S21.図6のヒストグラム作成用メモリ61をリセットし、全てのアドレスに0が格納されている状態を作り出す。
【0199】
これは、ヒストグラム作成の最初の段階で必須な処理である。
【0200】
S22.ヒストグラム作成用メモリの、アナログ・デジタル変換器の出力に対応するアドレスに1を加算し、ヒストグラム作成用メモリの当該アドレスに格納する。
【0201】
これによって、アナログ・デジタル変換器が出力する信号レベル毎に、順次ヒストグラムが作成されてゆく。
【0202】
S23.ステップS22の動作が、全ての画素について終了したか否か判定する。
【0203】
これは、1フレームの画素数が判っているので、加算する度に歩進するカウンタのカウント値が上記画素数に達したか否かを判定すればよい。
【0204】
全ての画素について終了していないと判定された場合(No)には、ステップS22にジャンプして、全ての画素について上記動作が終了するまでステップし22乃至ステップS23の処理を繰り返して行なう。
【0205】
以上が、原画像のヒストグラム作成の段階で、図6のヒストグラム作成用メモリ61、加算器62によって行なわれる。
【0206】
S24.ステップS23で、全ての画素について加算動作を終了したは判定された場合(Yes)には、ヒストグラム作成用メモリから、図6のヒストグラム格納用メモリ72aに作成した原画像のヒストグラムを転送する。
【0207】
S25.nフレーム分の原画像のヒストグラムを転送したか否か判定する。
【0208】
転送した原画像のヒストグラムがnフレーム分に満たないと判定された場合(No)には、ステップS21にジャンプして、ステップS21乃至ステップS24の処理を繰り返して行なう。
【0209】
S26.ステップS25で、nフレーム分の原画像のヒストグラムを転送したと判定された時には、nフレーム分の原画像のヒストグラムの加算を行なう。
【0210】
尚、nフレーム分の原画像のヒストグラムが転送されたことは、図6のヒストグラム格納用メモリ72aのnフレーム目へのアクセスが完了したことを監視していれば判ることである。
【0211】
そして、一旦、図6のヒストグラム格納用メモリ72aのnフレーム目へのアクセスが完了した後は、サイクリックに書き込みが行なわれることによって、1フレームずつシフトしてnフレーム分の原画像のヒストグラムが格納されることになるので、ステップS25では常にnフレーム格納済と判定されることになる。
【0212】
S27.ステップS26で加算されたヒストグラムを加算したフレーム数nで除算して、原画像のヒストグラムを平均したヒストグラムを算出する。
【0213】
ステップS24乃至ステップS27がヒストグラムの平均の段階で、主としてデジタル信号プロセッサが行なう。
【0214】
S28.原画像の信号レベル0〜4095に対して、所定の画素数以下の信号レベルをカットする。
【0215】
これは、階調数を圧縮変換する再に、出現頻度が少ないために表示の必要性が低い信号レベルを削除して、圧縮された階調数の中で効率的に画像表示するために行なう処理である。
【0216】
S29.残った信号レベルを並べ直して、レベル総数Nを求める。
【0217】
S30.傾斜1/Nで0〜1の範囲を値をとる直線4を定義する。
【0218】
iを0及びNまでの整数として、上記直線の方程式をL4 とすれば、
4 =i(1/N)
となる。
【0219】
S31.ステップS30で求めた直線に対して階調変換後のレベル255を掛けて、表示レベルを8ビットに変換する。
【0220】
即ち、8ビットに変換後の表示レベルは、
表示レベル=255・L4
となる。
【0221】
S32.ステップS31で求めた表示レベルを、図6のデュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリの、原画像の信号レベルに対応するアドレスに格納する。
【0222】
ステップS28乃至ステップS32がヒストグラムの変換の段階で、主としてデジタル信号プロセッサが行なう。
【0223】
S33.2面のフレーム・メモリの内、原画像の信号レベルの書き込みを行なっていない方のフレーム・メモリの信号レベルをアドレスとして、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリに格納されている階調データを読み出して、階調変換を行なう。
【0224】
S34.ステップS33で読み出したデータをデジタル・アナログ変換器に出力してアナログ変換し、モニタに出力して画像表示する。
【0225】
ステップS33とステップS34が、階調変換・表示の段階で、階調変換は主としてデジタル信号プロセッサが行なう。
【0226】
尚、図6ではヒストグラム格納用メモリをnフレーム分備えて、デジタル信号プロセッサによって加算と平均演算をするものを示しているが、累積加算をランダム・アクセス・メモリと加算器による公知の回路によって行ない、加算結果を除算器で除算することによって平均化すること、即ち、平均化を全てハードウェアで行なうことも可能である。
【0227】
又、第二の実施の形態の別の変形として、図示はしないが、2面のフレーム・メモリの各々において、上記nフレーム分のヒストグラムの平均化と同期してnフレーム分の信号レベルを平均化して、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリからの読み出しアドレスとすることも可能である。
【0228】
2面のフレーム・メモリを上記の構成にすることによって、階調変換を行なう際に2面のフレーム・メモリの一方から読み出される画像の信号レベルと、平均化されたヒストグラムにおける信号レベルには確かな相関が保たれるので、階調変換後の画像品質がよくなる。
【0229】
次いで、本発明の第三の実施の形態の説明に移行する。
【0230】
図10は、本発明の第三の実施の形態のハードウェア構成である。
【0231】
図10において、
1は、受光する赤外線を集光して走査する光学系、
2は、光学系1が走査する赤外線を受けて光電変換し、アナログ電気信号を出力する赤外線検知器、
3は、赤外線検知器2が出力するアナログ電気信号の信号対雑音比を確保するために、赤外線検知器2の出力を所定のレベルまで増幅する増幅器、
4は、増幅器3のアナログ出力をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル変換器である。
【0232】
51aは、アナログ・デジタル変換器4の出力を順次異なる出力端子に出力する第三のセレクタ、
52は1フレーム分の原画像の信号レベルを格納する第一のフレーム・メモリ、
53は1フレーム分の原画像の信号レベルを格納する第二のフレーム・メモリ、
55aは、第一のフレーム・メモリ52又は第二のフレーム・メモリ53の出力の一方を選択する第四のセレクタで、
第三のセレクタ51a、第一のフレーム・メモリ52、第二のフレーム・メモリ53及び第四のセレクタ55aによって図14のフレーム・メモリ5を構成する。
【0233】
尚、第一のフレーム・メモリ52、第二のフレーム・メモリ53には、原画像の画素アドレスをアドレスとして原画像の信号レベルが格納され、第一のフレーム・メモリ52、第二のフレーム・メモリ53からは、原画像の画素アドレスをアドレスとして原画像の信号レベルが読み出される。
【0234】
61は、原画像のヒストグラムを作成するヒストグラム作成用メモリ、
62は、ヒストグラム作成用メモリ61の出力と1を加算する加算器、
63は、バッファ・ゲートで、
上記 ヒストグラム作成用メモリ61、加算器62及びバッファ・ゲート63によって、図14のヒストグラム作成部6を構成する。
【0235】
81は、ヒストグラム作成用メモリ61が作成したヒストグラムに、後述する重み付け演算を施したヒストグラムを格納する第一の重み付け演算用メモリ、
82は、ヒストグラム作成用メモリ61が作成したヒストグラムに、後述する重み付け演算を施したヒストグラムを格納する第二の重み付け演算用メモリ、
83は、ヒストグラム作成用メモリ61が作成した原画像のヒストグラムと、第一の重み付け演算用メモリ又は第二の重み付け演算用メモリ82に格納されている、1フレーム前に重み付け演算されたヒストグラムとの減算を行なう加算器、
84は、原画像の信号レベルをアドレスとして、原画像の信号レベルに対する重み付け係数を格納する読み出し専用メモリ、
85は、読み出し専用メモリ84から読み出される重み付け係数と加算器83の出力の乗算を行なう乗算器、
86は、乗算器85の出力と、第一の重み付け演算用メモリ81又は第二の重み付け演算用メモリ82から読み出された1フレーム前に重み付け演算されたヒストグラムの加算を行ない、加算結果を第一の重み付け演算用メモリ81又は第二の重み付け演算用メモリ82に供給する加算器、
87は、加算器86の出力を第一の重み付け演算用メモリ81又は第二の重み付け演算用メモリ82の一方に供給する第五のセレクタ、
88は、第一の重み付け演算用メモリ81又は第二の重み付け演算用メモリ82の一方から読み出される重み付け演算結果を選択する第六のセレクタで、
第一の重み付け演算用メモリ81、第二の重み付け演算用メモリ82、加算器83、読み出し専用メモリ84、乗算器85、加算器86、第五のセレクタ87及び第六のセレクタ88によって重み付け演算部を構成する。
【0236】
71は、ヒストグラム変換を実行するデジタル信号プロセッサ、
72は、重み付け演算部の演算結果を格納する、ヒストグラム格納用メモリ、
73bは、デジタル信号プロセッサ71が実行するプログラムを格納している読み出し専用メモリ、
74は、デジタル信号プロセッサ71がヒストグラム格納用メモリ72に格納されたヒストグラムから階調変換したヒストグラムを、原画像の信号レベルをアドレスとして書き込み、第四のセレクタ55aの出力である原画像の信号レベルをアドレスとして読み出す、階調変換テーブルとしてのデュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリで、
上記デジタル信号プロセッサ71、ヒストグラム格納用メモリ72、読み出し専用メモリ73b及びデュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74によって、図14のヒストグラム変換部7を構成する。
【0237】
但し、図10の構成における読み出し専用メモリ73bに格納されているプログラムは、従来の技術とは異なるものである。
【0238】
9は、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74から読み出される画像データをアナログ変換するデジタル・アナログ変換器である。
【0239】
10は、デジタル・アナログ変換器9の出力を表示するモニタである。
【0240】
ここでも、アナログ・デジタル変換器の階調は12ビット、デジタル・アナログ変換器の階調は8ビット、表示画素は320(水平)×240(垂直)であるものとする。
【0241】
従って、第一のフレーム・メモリ52、第二のフレーム・メモリ53、ヒストグラム作成用メモリ61、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ74の容量は図1の本発明の第一の実施の形態における容量と同じである。
【0242】
さて、ヒストグラム演算部の動作は下記の通りである。
【0243】
ヒストグラム作成用メモリ61と第一の重み付け演算用メモリ81及び第二の重み付け演算用メモリ82は、動作開始時にリセットされる。
【0244】
ヒストグラム作成用メモリ61から1フレーム分の原画像のヒストグラムが出力された後、第一の重み付け演算用メモリ81又は第二の重み付け演算用メモリ82の格納内容との差分がとられる。
【0245】
該差分に対して、原画像の信号レベルをアドレスとして読み出し専用メモリ84から読み出される重み係数を乗算する。該重み係数は、原画像の信号レベルの常温域に対しては例えば1としておき、高温域に対しては小さな値に設定しておく。従って、乗算器85の出力において、高温域は相対的に圧縮され、常温域は圧縮されない。
【0246】
ついで、乗算器85の出力に第一の重み付け演算用メモリ81又は第二の重み付け演算用メモリ82に格納されているヒストグラムが加算される。最初は、第一の重み付け演算用メモリ81又は第二の重み付け演算用メモリ82に格納されているヒストグラムの値は全て0であるから、加算結果は乗算器85の出力に一致する。これが、第一の重み付け演算用メモリ81又は第二の重み付け演算用メモリ82のいずれか一方に格納される。
【0247】
以降のフレームでも同様な演算が繰り返される。
【0248】
従って、上記の演算を行なうために必要な第一の重み付け演算用メモリ81及び第二の重み付け演算用メモリ82の容量は、17ビット×12ビットである。
【0249】
尚、本発明の第三の実施の形態においては、原画像のヒストグラムを種々の温度域に分けて取り扱うのではなく、全ての温度域を一遍に扱って画像処理するということを付言しておく。
【0250】
上記の手順を、本発明の第三の実施の形態の処理手順を示す図として図示した図が図11である。
【0251】
図11(イ)は、フレームを示している。
【0252】
図11(ロ)は、原画像データの有効データを示している。
【0253】
図11(ハ)は、有効データのフレーム・メモリへの保存を示している。取得した有効データはフレーム毎に逐次第一及び第二のフレーム・メモリに交互に格納される。
【0254】
有効データの信号レベルがフレーム・メモリに格納されるのと同時に、同じ有効データはヒストグラム作成用メモリに供給され、先の説明の如く、1フレームの間に逐次ヒストグラムが作成されてゆく。これが、図11(ニ)に示されている。
【0255】
ヒストグラム作成用メモリで作成された1フレーム分の原画像のヒストグラムは、同一フレームの空き時間にヒストグラム演算部に転送される。そして、第一の重み付け演算用メモリ又は第二の重み付け演算用メモリの一方に格納されている、1フレーム前に演算、格納された重み付けされたヒストグラムとの上記重み付け演算が行なわれて、再び上記演算に用いられたヒストグラムを格納していた重み付け演算用メモリとは異なる重み付け演算用メモリに格納される(図11(ホ))と共に、ヒストグラム格納用メモリに転送される。
【0256】
上記の如く、ヒストグラム作成用メモリで作成された1フレーム分の原画像のヒストグラムと、第一の重み付け演算用メモリ又は第二の重み付け演算用メモリの一方に格納されている、1フレーム前に演算、格納された重み付けされたヒストグラムとの上記重み付け演算が行なわれて、再び上記演算に用いられたヒストグラムを格納していた重み付け演算用メモリとは異なる重み付け演算用メモリに格納するので、重み付け演算用メモリは2面必要になる訳である。
【0257】
ヒストグラム格納用メモリに格納されたヒストグラムに対して既に説明しているヒストグラム変換が行なわれ(図11(ヘ))て、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリに原画像の信号レベルをアドレスとして格納される。
【0258】
該デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリに格納されたヒストグラムは、その1フレーム前に第一のフレーム・メモリ又は第二のフレーム・メモリに書き込まれた原画像の信号レベルをアドレスとして読み出される。これで階調変換された信号レベルがデジタル・アナログ変換器に供給されることになる。これが、図7(ト)の「出力データ4」である。
【0259】
尚、図11においては、図が輻輳になるのを避けるために特定のフレームの有効データ及びヒストグラムのみに着目して処理手順を図示しているが、上記の動作は常に継続的に行なわれている。
【0260】
さて、図1の構成においては、同じフレームの原画像とヒストグラムを対応させて階調変換するために、フレーム・メモリには3フレーム分の容量が必要であったが、図10の構成においては、前フレームのヒストグラムとの間で差分をとって重み付けし、該重み付けされた差分を前フレームのヒストグラムに加算するという演算をして得たヒストグラムと原画像を対応させて階調変換するので、階調変換するときのヒストグラムは特定のフレームのものではない。従って、原理的には、フレーム・メモリは2フレーム分の容量があればよい。
【0261】
図12は、本発明の第三の実施の形態における画像処理を説明する図である。
【0262】
図12において、縦方向は時間軸で、図の下にゆくほど時間が経過することを意味している。
【0263】
図12の横方向には、原画像、原画像のヒストグラム、重み付け後のヒストグラム、階調変換後のヒストグラムの順に図示している。
【0264】
長時間にわたって原画像には背景しか写っていないとすると、最初は原画像のヒストグラムと重み付け後のヒストグラムは同じである。この時点の重み付け後のヒストグラムの12ビットの信号レベルが均等に8ビットの信号レベルに割りつけられるので、階調変換後のヒストグラムでは8ビット全体にわたって背景に信号レベルが配分される。
【0265】
次の時刻に高温物体が原画像に写るものとする。この時の原画像のヒストグラムの高温域には、2行2列目の原画像のヒストグラムに示す如く、高温物体を示すヒストグラムの山が現れる。
【0266】
前フレームとの間の重み付けは、この原画像のヒストグラムと、1フレーム前に重み付け演算用メモリに格納された重み付け後のヒストグラムとの間で行なう。即ち、先ず、2行2列目の原画像のヒストグラムと1行3列目のヒストグラムとの差分をとる。この場合、背景の常温域のヒストグラムは等しいので、該差分は2行2列目の原画像のヒストグラムのうち高温域の山と等しくなる。
【0267】
既に述べたように、高温域の温度情報には小さな重み係数をかけるので、重み付け後の差分のヒストグラムは高温域に小さな山を有している。該重み付け後の差分と1フレーム前に重み付け演算用メモリに格納されたヒストグラムとの加算を行なうので、その結果は図12の2行3列目の重み付け後のヒストグラムのようになる。
【0268】
このような処理を繰り返して、高温物体が原画像に写るようになってから一定の時間が経過すると、図12の最下行に示す如く、原画像のヒストグラムと重み付け後のヒストグラムは等しくなり、それに応じて、階調変換後のヒストグラムにおいても、高温域を示すヒストグラムの山が大きくなって、背景を示すヒストグラムの山が最初よりは左にシフトしてゆく。
【0269】
しかし、背景の山が左側にシフトする速度は、重み付けを行なうことによって遅くすることができるので、本発明の第三の実施の形態によっても、原画像中を高温物体が高速に移動する際の画像の視認性の低下を防止することができる。勿論、原画像中を低温物体が高速で移動しても、低温物体と高温物体が高速で移動しても、画像の視認性の低下を防止することができる。
【0270】
図13は、本発明の第三の実施の形態の動作を示すフローチャートである。以降、まとめの意味で、図13の符号に沿って本発明の第二の実施の形態の動作について説明する。
【0271】
S41.図10のヒストグラム作成用メモリ61及び重み付け演算用メモリ91をリセットし、全てのアドレスに0が格納されている状態を作り出す。
【0272】
これは、ヒストグラム作成の最初の段階に必須な処理である。
【0273】
S42.ヒストグラム作成用メモリの、アナログ・デジタル変換器の出力に対応するアドレスに1を加算し、ヒストグラム作成用メモリの当該アドレスに格納する。
【0274】
これによって、アナログ・デジタル変換器が出力する信号レベル毎に、順次原画像のヒストグラムが作成されてゆく。
【0275】
S43.ステップS42の動作が、全ての画素について終了したか否か判定する。
【0276】
これは、1フレームの画素数が判っているので、加算する度に歩進するカウンタのカウント値が上記画素数に達したか否かを判定すればよい。
【0277】
全ての画素について終了していないと判定された場合(No)には、ステップS42にジャンプして、全ての画素について上記動作が終了するまでステップし42乃至ステップS43の処理を繰り返して行なう。
【0278】
以上が、原画像のヒストグラム作成の段階で、図10のヒストグラム作成用メモリ61、加算器62によって行なわれる。
【0279】
S44.ステップS43で、全ての画素について加算動作を終了したと判定された場合(Yes)には、ヒストグラム作成用メモリから、図10の重み付け演算部に作成した原画像のヒストグラムを転送する。
【0280】
S45.転送された原画像のヒストグラムと一方の重み付け演算用メモリに格納されている重み付け後のヒストグラムとの差分を演算する。
【0281】
S46.上記差分に、温度域毎に異なる重み付け係数を乗算する。
【0282】
重み付けは、背景の常温域については大きく(通常は、1にすればよい。)、高温域は小さくする。
【0283】
S47.重み付け演算用メモリに格納されている、1フレーム前に演算、格納されたヒストグラムと、上記重み付けされた差分を加算する。
【0284】
S48.上記加算結果のヒストグラムを、ヒストグラム格納用メモリに転送すると共に、もう一方の重み付け演算用メモリに格納する。
【0285】
以降も、この演算を順次行なってゆく。
【0286】
そして、ステップS45乃至S48が重み付け演算の段階で、図10の重み付け演算部が行なう。
【0287】
S49.原画像の信号レベル0〜4095に対して、所定の画素数以下の信号レベルをカットする。
【0288】
これは、階調数を圧縮変換する再に、出現頻度が少なくて表示の必要性が低い信号レベルを削除して、圧縮された階調数の中で効率的に画像表示するために行なう処理である。
【0289】
S50.残った信号レベルを並べ直して、信号レベルの総数Nを求める。
【0290】
S51.傾斜1/Nで0〜1の範囲を値をとる直線4を定義する。
【0291】
iを0及びNまでの整数として、上記直線の方程式をL4 とすれば、
4 =i(1/N)
となる。
【0292】
S52.ステップS51で求めた直線に対して階調変換後のレベル255を掛けて、表示レベルを8ビットに変換する。
【0293】
即ち、8ビットに変換後の表示レベルは、
表示レベル=255・L4
となる。
【0294】
ステップS49乃至S52がヒストグラム変換の段階で、主としてデジタル信号プロセッサが行なう。
【0295】
S53.ステップS52で求めた表示レベルを、ヒストグラム変換を行なうデモケアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリの原画像の信号レベルに対応するアドレスに格納する。
【0296】
S54.2面のフレーム・メモリの内、原画像の信号レベルの書き込みを行なっていない方のフレーム・メモリの信号レベルをアドレスとして、デュアル・ポートランダム・アクセス・メモリに格納されている階調データを読み出して、階調変換を行なう。
【0297】
S55.ステップS33で読み出したデータをデジタル・アナログ変換器に出力してアナログ変換し、モニタに出力して画像表示する。
【0298】
ステップS54とステップS55が、階調変換・表示の段階で、階調変換は主としてデジタル信号プロセッサが行なう。
【0299】
尚、図10では原画像のヒストグラムに対する重み付け演算を重み付け演算部というハードウェアによって行なう例を図示しているが、重み付け演算をデジタル信号プロセッサによってソフトウェア的に行なうことも勿論可能である。
【0300】
又、本発明の第三の実施の形態の別の変形として、図示はしないが、アナログ・デジタル変換器4が出力する原画像の信号レベルを格納する2面のフレーム・メモリにおいて、上記重み付け演算と同期して重み付け演算して、デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリからの読み出しアドレスとすることも可能である。
【0301】
2面のフレーム・メモリを上記の構成にすることによって、階調変換を行なう際に2面のフレーム・メモリの一方から読み出される画像の信号レベルと、平均化されたヒストグラムにおける信号レベルには確かな相関が保たれるので、階調変換後の画像品質がよくなる。
【0302】
さて、本発明の第一乃至第三の実施の形態において、ヒストグラム変換部は、入力されるヒストグラムまたはヒストグラム変換部で生成したヒストグラムに対して、所定数以下の画素数に対応する信号レベルをカットするものとして説明している。これは、従来にも同様な処理をしており、又、出現頻度が少ない信号レベルに対して階調変換した後も信号レベルを割り当てる必要がないという実用的な判断によるもので、本発明の画像処理に本質的なものではない。
【0303】
【発明の効果】
本発明の第一の手段によれば、原画像のヒストグラムを複数の温度域に分割して作成し、分割された複数の温度域の各々信号レベル数に応じて階調変換後の信号レベル数を割り当てるので、被写体内に例えば高温物体があってもなくても、階調変換後に背景部分に割り当てられる信号レベル数に変化が生ずることはない。又、被写体内に低温物体があるかないかについても、階調変換後に背景部分に割り当てられる信号レベル数に変化が生ずることはない。
【0304】
従って、被写体内を異常物体が高速で移動する場合においても、表示画像の視認性が低下することはない。
【0305】
本発明の第二の手段によれば、原画像のヒストグラムを複数フレームにわたって平均して階調変換後の信号レベルを割り当てて、原画像の信号レベルと階調変換後の信号レベルとの変換を行なうので、被写体内を異常物体が高速で移動しても、階調変換後のヒストグラムにおける背景部分のヒストグラムは異常物体の有無によって急速に影響を受けることがない。
【0306】
従って、被写体内を異常物体が高速で移動する場合においても、表示画像の視認性が低下することはない。
【0307】
本発明の第三の手段によれば、1フレーム前の原画像のヒストグラムと現在のヒストグラムとの差分をとり、該差分に対して常温部分に大きな重み係数をかけると共に例えば高温部分に対しては小さい重み係数をかけて、重み付けされた差分と1フレーム前のヒストグラムとを加算し、重み付けされた差分と1フレーム前のヒストグラムとを加算したヒストグラムに対して階調変換後の信号レベル数を割り当てるので、被写体内を高温物体が高速で移動しても、階調変換後のヒストグラムにおける背景部分のヒストグラムは異常物体の有無によって急速に影響を受けることがない。このことは、被写体内を低温物体が高速で移動しても同様である。
【0308】
従って、被写体内を異常物体が高速で移動する場合においても、表示画像の視認性が低下することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第一の実施の形態のハードウェア構成。
【図2】 本発明の第一の実施の形態の処理手順を示す図。
【図3】 本発明の第一の実施の形態の原理を説明する図。
【図4】 本発明の第一の実施の形態における画像処理を説明する図。
【図5】 本発明の第一の実施の形態の動作を示すフローチャート。
【図6】 本発明の第二の実施の形態のハードウェア構成。
【図7】 本発明の第二の実施の形態の処理手順を示す図。
【図8】 本発明の第二の実施の形態における画像処理を説明する図。
【図9】 本発明の第二の実施の形態の動作を示すフローチャート。
【図10】 本発明の第三の実施の形態のハードウェア構成。
【図11】 本発明の第三の実施の形態の処理手順を示す図。
【図12】 本発明の第三の実施の形態における画像処理を説明する図。
【図13】 本発明の第三の実施の形態の動作を示すフローチャート。
【図14】 赤外線画像表示装置の一般的構成。
【図15】 従来の画像処理を説明する図。
【図16】 従来の画像処理における問題点を説明する図。
【符号の説明】
1 光学系
2 赤外線検知器
3 増幅器
4 アナログ・デジタル変換器(A/D)
5 フレーム・メモリ
6 ヒストグラム作成部
7 ヒストグラム変換部
9 デジタル・アナログ変換器
10 モニタ
51 第一のセレクタ(第一のSEL)
51a 第三のセレクタ(第三のSEL)
52 第一のフレーム・メモリ(RAM)
53 第二のフレーム・メモリ(RAM)
54 第三のフレーム・メモリ(RAM)
55 第二のセレクタ(第二のSEL)
55a 第四のセレクタ(第四のSEL)
61 ヒストグラム作成用メモリ(RAM)
62 加算器
63 バッファ・ゲート
71 デジタル信号プロセッサ(DSP)
72 ヒストグラム格納用メモリ(RAM)
73 読み出し専用メモリ(ROM)
74 デュアル・ポート・ランダム・アクセス・メモリ(DP−RAM)
81 第一の重み付け演算用メモリ(RAM)
82 第二の重み付け演算用メモリ(RAM)
83 加算器
84 重み付け読み出し専用メモリ(ROM)
85 乗算器
86 加算器
87 第五のセレクタ(第五のSEL)
88 第六のセレクタ(第六のSEL)

Claims (2)

  1. 原画像における信号レベルの出現頻度であるヒストグラムを、複数の温度域に分割して作成するヒストグラム作成部と、
    該ヒストグラム作成部が出力するヒストグラムと重み付け演算用メモリに格納されている前フレームのヒストグラムとの差分をとり、常温域に比べて高温域および低温域の小さく設定した温度域毎に異なる重み付け係数によって該差分に重み付けをし、重み付けされた差分と該重み付け演算用メモリが出力する前フレームのヒストグラムとを加算して、該ヒストグラム作成用メモリが出力する原画像のヒストグラムに重み付け演算をする重み付け演算部と、
    該重み付け演算部の出力に対して階調変換後の信号レベル数を割り当てて階調変換後のヒストグラムを生成し、フレーム・メモリに格納された原画像の信号レベルと階調変換後の信号レベルとの変換を行なうヒストグラム変換部と
    を備えることを特徴とする赤外線画像表示装置。
  2. 請求項1に記載の赤外線画像表示装置であって、
    上記フレーム・メモリは、原画像のヒストグラムに対する上記重み付け演算と同期して、原画像の画像データに対して重み付け演算するフレーム・メモリである
    ことを特徴とする赤外線画像表示装置。
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