本発明は、電極間に発光性材料を挟み電極間に電流を流すことで発光する素子(発光素子)を用いて作成された表示装置に関し、特にそのような表示装置における発光素子の封止構造に関する。
近年、発光素子を用いた薄型軽量ディスプレイの開発が盛んに行われている。発光素子は、一対の電極間に電流を流すことで発光する材料を挟み込むことで作成されるが、液晶と異なりそれ自体が発光するのでバックライトなどの光源がいらないうえ、素子自体が非常に薄いため薄型軽量ディスプレイを作成するにあたり非常に有利である。
この発光素子の発光材料には有機系のものと無機系のものとがあるが、駆動電圧が低い有機系の材料を用いた発光素子が本命視されることが多い。有機系の発光素子を用いたディスプレイの駆動電圧は5〜10Vであり、100〜200Vの駆動電圧を要する無機系材料を用いた電界発光装置と比較すると非常に低い電圧で駆動できることがわかる。また、低消費電力をうたっている液晶ディスプレイの駆動電圧は5〜15.5V程度であり、液晶ディスプレイと比較しても同等、もしくは低い電圧で駆動できることがわかる。
しかし、これだけの長所を備えながら実用化に至っていない背景の一つに、信頼性の問題がある。有機系の材料を用いた発光素子は湿気(水分)により劣化を起こすものが多く、長期の信頼性を得にくいという欠点を有する。水分により劣化を起こした発光素子は輝度低下を起こしたり、発光しなくなってしまったりする。これが発光素子を用いた表示装置におけるダークスポット(黒点)やシュリンク(表示装置端部からの輝度劣化)の原因になっていると考えられている。
もちろん、このような劣化を抑制するためには様々な対策が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
特開平9−148066号公報
特開平13−203076号公報
しかし、これらのような対策を適用したとしても未だ十分な信頼性を得るまでには至っておらず、さらなる信頼性の向上が望まれている。
そこで本発明では、有機系または無機系の発光素子を用いたディスプレイにおいて、外部よりの水や酸素などの劣化要因となる物質の浸入を防ぎ、十分な信頼性を得ることができるような封止構造を提供することを課題とする。
上記課題を鑑み、本発明では層間絶縁膜からの水の浸入を阻害することで発光素子の劣化を抑制して十分な信頼性を得ることを特徴とする。本発明においては基板に挟まれた発光素子で形成された画素部を有する発光装置において、少なくとも一方の基板に透光性があればよい。
本発明の構成の一つは、少なくとも一方が透光性の一対の基板に挟まれた発光素子を有し、前記発光素子は第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜の一方、もしくは両方に接して形成されており、前記第1の層間絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜の外周部において、前記第1の層間絶縁膜を貫通する第1の開口部と、前記第1の開口部と前記第1の開口部における第1の層間絶縁膜を被服する第1の非透水性の保護膜と、前記第2の層間絶縁膜を貫通する第2の開口部とを有することを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、少なくとも一方が透光性の一対の基板に挟まれた発光素子を有し、前記発光素子は第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜の一方、もしくは両方に接して形成されており、前記第1の層間絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜の外周部において、前記第1の層間絶縁膜を貫通する第1の開口部と、前記第1の開口部と前記第1の開口部における第1の層間絶縁膜を被服する第1の非透水性の保護膜と、前記第2の層間絶縁膜を貫通する第2の開口部と、前記第2の開口部と前記第2の開口部における第2の層間絶縁膜を被覆し、前記第1の非透水性の保護膜に前記第2の開口部の底面において接する第2の非透水性の保護膜とを有することを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、少なくとも一方が透光性の一対の基板に挟まれた発光素子を有し、前記発光素子は第1の層間絶縁膜及び第2の層間絶縁膜の一方、もしくは両方に接して形成されており、前記第1の層間絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜の外周部において、前記第1の層間絶縁膜を貫通する第1の開口部と、前記第1の開口部と前記第1の開口部における第1の層間絶縁膜を被服する第1の非透水性の保護膜と、前記第2の層間絶縁膜を貫通する第2の開口部と、前記第2の開口部と前記第2の開口部における第2の層間絶縁膜を被覆し、前記第1の非透水性の保護膜に前記第2の開口部の底面において接する第2の非透水性の保護膜と、前記第1の開口部と第2の開口部が形成されている領域、もしくはその領域の外側において、非透水性の組成物で前記一対の基板が固着されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において、前記第2の非透水性の保護膜は前記発光素子の陽極又は陰極と同じ材料で形成されていることを特徴とする。
本発明の他の構成は、前記構成において、前記発光素子に、薄膜トランジスタが接続されて画素部が設けられていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の非透水性の保護膜は前記薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極で用いられている材料と同じ材料で形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の開口部の下部に半導体膜が形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において、前記第1の開口部の下部に金属膜が形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の開口部の下部に半導体膜が形成されており、前記半導体膜は前記薄膜トランジスタの活性層と同じ材料であることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の開口部の下部に金属膜が形成されており、前記金属膜は前記薄膜トランジスタのゲート電極と同じ材料であることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の開口部の底面と前記第2の開口部の底面の少なくとも一部が前記基板の面内において同じ位置に形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の開口部の底面と前記第2の開口部の底面が前記基板の面内において異なった位置に形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の開口部と前記第2の開口部が複数形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の開口部と前記第2の開口部が複数形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の層間絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜のうち少なくとも1層が有機材料により形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の層間絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜のうち少なくとも1層が無機材料により形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の層間絶縁膜及び前記第2の層間絶縁膜のうち少なくとも1層がシロキサン系の膜により形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記有機材料とはアクリルまたはポリイミドであることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の非透水性の保護膜又は前記第2の非透水性の保護膜は窒化硅素膜であることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記第1の非透水性の保護膜及び前記第2の非透水性の保護膜は窒化硅素膜であることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、少なくとも一方が透光性の一対の基板に挟まれた発光素子を有し、前記発光素子は層間絶縁膜に接して形成されており、前記層間絶縁膜の端部は前記基板の端部に達しておらず前記層間絶縁膜の端部はテーパー状であることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、少なくとも一方が透光性の一対の基板に挟まれた発光素子を有し、前記発光素子は層間絶縁膜に接して形成されており、前記層間絶縁膜の端部は前記基板の端部に達しておらず前記層間絶縁膜の端部はテーパー状であり、前記層間絶縁膜の側端部に非透水性の保護膜が形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、少なくとも一方が透光性の一対の基板に挟まれた発光素子を有し、前記発光素子は層間絶縁膜に接して形成されており、前記層間絶縁膜の端部は前記基板の端部に達しておらず前記層間絶縁膜の端部はテーパー状であり、前記層間絶縁膜の側端部に非透水性の保護膜が形成され、前記層間絶縁膜の側端部の領域、もしくはその領域の外側において非透水性の組成物で前記一対の基板が固着されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記発光素子に、薄膜トランジスタが接続されて画素部が設けられていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記層間絶縁膜の下部から前記基板の端部にかけて半導体膜が形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記層間絶縁膜の下部から前記基板の端部にかけて金属膜が形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記層間絶縁膜の下部から前記基板の端部にかけて半導体膜が形成されており、前記半導体膜は前記薄膜トランジスタの活性層と同じ材料であることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記層間絶縁膜の下部から前記基板の端部にかけて金属膜が形成されており、前記金属膜は前記薄膜トランジスタのゲート電極と同じ材料であることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記層間絶縁膜が有機材料により形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記層間絶縁膜が無機材料により形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記層間絶縁膜がシロキサン系の膜により形成されていることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記有機材料とはアクリルまたはポリイミドであることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、前記構成において前記非透水性の保護膜は窒化硅素膜であることを特徴とする発光装置である。
本発明の他の構成は、少なくとも一方が透光性の一対の基板に挟まれた発光素子からなる画素部と、外部より信号を取り入れる外部接続部と、前記画素部と前記外部接続部とをつなぐ複数の配線とを有し、前記画素部と前記外部接続部との間において非透水性の組成物で前記一対の基板が固着されており、前記発光素子は層間絶縁膜に接して形成されており、前記層間絶縁膜は一部が前記複数の配線における隣り合う配線と配線の間に位置しており、前記配線は前記非透水性の組成物で基板が固着されている部分の下部、もしくは内側において複数の屈曲部が密に設けられていることを特徴とする発光装置である。
上記構成をとることにより、電界発光装置における発光素子の劣化を軽減することが可能となる。また、信頼性を大幅に向上させることが可能となる。
以下に本発明を実施する上での形態を説明する。なお、図面の番号は同じ部分、もしくは同様の部分には同じ番号を付している。また、同じ部分については説明を省略する。
(実施の形態1)
電界発光装置では、層間絶縁膜として酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、アクリル膜、ポリイミド膜やシロキサン系の膜等の絶縁性の膜を使用することが多い。特にアクリル膜やシロキサン系の膜は塗布法による成膜が可能であることと、平坦性が高いために好適な材料ではあるが、一方で比較的透水性が高いという特徴も有する。
図2は図3におけるb−b’の断面図である。図2に示したような従来の構造であると、外部の雰囲気に層間絶縁膜1の端面2が常に曝されていることになる。そのため、上部を非透水性のシール材3で覆い、発光素子4を外気に曝さないような構造となっていたとしても、層間絶縁膜を介して水が浸入し発光素子の劣化が引き起こす場合があった。
そこでこの問題を解決する為の本発明における構成の1つを図1を用いて説明する。図1は層間絶縁膜を介する水の浸入を、層間絶縁膜の周辺部において開けられた溝の内側を非透湿性の膜(以下保護膜と称する)で覆うことで低減させた例であり、(A)、(B)、(C)とも例えば、図3におけるd−d’の断面に相当する。なお、(A)、(B)では非透水性の材料よりなるシール材及び対向基板は省略してある。電界発光装置の周辺部の様子を示している。100が基板、101が下地絶縁膜、102が第1層間絶縁膜、103が第1の保護膜、104が第2の層間絶縁膜、105が第2の保護膜となっている。
この構成では第1の層間絶縁膜102、第2の層間絶縁膜104が比較的高い透湿性を有すると想定しており、これら透湿性の高い膜にそれぞれの膜を厚さ方向に貫通する溝状の開口部106を形成する。そして、少なくともその溝の内部を覆うように(露出した層間絶縁膜の端面及び下部の膜上を連続的に覆うように)保護膜103,105が形成されている。また、保護膜103と105は開口部106において接している。
このような構成を取ると層間絶縁膜102、104の端部より浸入してきた水は溝状の開口部106の端面に形成された非透湿性の保護膜103,105によりそれ以上の浸入を阻まれることになる。また、溝状の開口部106は厚さ方向に貫通するように形成されているため、保護膜を設けなくとも水の進入経路は遮断されることとなり、求められる信頼性の程度によっては溝状の開口部を設けるだけでも発光素子の水による劣化に対する対策となる。
溝状の開口部106は透水性を有する膜の周辺部全てに連続して形成すると最も効果を発揮するが、それができない場合は一辺、もしくは一部に形成するだけでも、少なくともその部分からの水の浸入は低減されるため、ある程度の効果は期待できる。
図1においては溝状の開口部106を層間絶縁膜の周辺部から発光素子の形成されている領域に向かって何度も繰り返し設けているが、溝状の開口部106は一つだけでもかまわない。しかし、このような対策は何度か繰り返し設けるとより信頼性が向上する。
また、保護膜103、105を配線材料で形成した場合、外郭に置くことのできる引き回し配線として利用することも可能となる。さらに、図1(A)と図1(B)の違いは保護膜103と105が各開口部に対して独立しているかそうでないかの違いであるが、図1(B)のような各開口部に対して独立している構成とすると、それぞれの開口部における保護膜を別々の配線として用いることが可能となる。
このような溝状の開口部と保護膜により水の浸入を抑制するような構造は他にも考えられるが、そのいくつかの例を図4に挙げておく。図4に記載の断面図も図3のd−d’などに相当する。また、非透水性の材料よりなるシール材及び対向基板は省略してある。
図1では第1の層間絶縁膜102に形成された第1の開口部と、第2の層間絶縁膜104に形成された第2の開口部の位置が同じである例を示したが、図4では第1の層間絶縁膜102に形成された第1の開口部と、第2の層間絶縁膜104に形成された第2の開口部の位置が異なる例を示した。このような構成であっても図1で示したような構成と同様の効果を得ることができるが、第2の開口部が図1と比較して浅いため、短時間で形成することが可能となる。また、段差が小さくなる為、第2の保護膜105の段切れの心配も少なくなる。図4(A)と図4(B)は開口部の形成するレイアウト上が異なっている。
また、発光素子が形成された素子基板100は対向基板108に非透水性の非透水性の材料よりなるシール材107を用いて固着され、発光素子は外界から封止されるが、図1(C)のようにシール材を溝状の開口部106の上部に形成することでより水の浸入を抑える効果を発揮する。
なお、本実施の形態は、層間絶縁膜が2層である場合を説明したがもちろん1層である場合にも本発明の適用は可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、基板周辺部の透水性の膜(今回は層間絶縁膜を想定。ただし、透水性の膜に対する対策としては対象は層間絶縁膜に限らず本発明は適用することが可能)を基板の外周から適当な距離だけ除去することによって、より水の浸入がしにくくなる構造とした例を図5を参照しながら示す。これらの断面図は図3のe−e’などに相当する。
図5(A)において120は基板端面において層間絶縁膜102,104を除去した部分である。実施の形態1においては層間絶縁膜102、104の端面は外気に触れる状態となっていた。そこで本実施の形態では基板端面における層間絶縁膜102、104を適当な距離だけ除去し、その端面を保護膜103,105で覆っている。これにより、透水性を有する膜の端面が外気に触れることを抑制することができるので、水の浸入自体を阻むことが可能となる。
さらに、対向基板108を固着する際、非透水性の材料よりなるシール材107を保護膜で覆われた層間絶縁膜の端面より外側もしくは層間絶縁膜端面を全て覆うように形成すれば、さらに水の浸入を阻むことが可能となり、信頼性の向上が望める。
また、本実施の形態における他の構成については他にも考えられるが、その一例について図5(B)に示しておく。図5(B)と図5(A)の違いは、基板端面に於ける層間絶縁膜102、104の除去位置である。図5(A)は第1の層間絶縁膜102の端部より基板外周側に第2の層間絶縁膜104の端部が位置している構造であり、図5(B)は第2の層間絶縁膜104の端部より基板外周側に第1の層間絶縁膜102の端部が位置している構造となっている。
なお、本実施の形態の層間絶縁膜は2層となっているが、層間絶縁膜が1層である電界発光装置にも適用することが可能である。
さらに、本実施の形態は実施の形態1と組み合わせることによってさらに効果を増すものである。
(実施の形態3)
本発明の構成の封止構造を作製する場合、図6を参照してもらってもわかるように、開口部106及び基板端面の層間絶縁膜除去部120は、層間絶縁膜102,104に形成されるコンタクトホールを開孔するのと同時に開口することができ、効率的である。
しかし、コンタクトホールの開孔条件は、シリコンの半導体層をエッチングストッパーとして層間絶縁膜及びゲート絶縁膜をエッチングできるような条件でエッチングを行うため、エッチングストッパーの存在しない開口部106及び層間絶縁膜除去部120においては、第1層間絶縁膜102をエッチングする際、エッチング残りが発生したり、下地絶縁膜101が削れてしまったりすることで凹凸が発生することがある。
図7(イ)は下地絶縁膜上に層間絶縁膜としてシロキサン系の膜を形成し、その上部に窒化硅素膜を形成したものを、コンタクトホールの開孔条件で一部の層間絶縁膜を除去した後、配線を形成したもののSEM写真である。Cとcの部分が層間絶縁膜を除去した部分であり、a,b,cには配線が形成されている。Aはエッチングされていない元の表面、Bは層間絶縁膜の端面、Cが下地絶縁膜表面である。
これを見てもらうとわかるように、層間絶縁膜をコンタクトホール開孔条件で下地絶縁膜まで開口すると、Cに見るような小さな凹凸ができる。そして、その上に配線を成膜することで、cのように非常に大きな凹凸となってしまうのである。この凹凸が開口部を開けた後の下地膜上の凹凸に起因することはa上に形成された配線が平坦であることから明白である。なお、配線は保護膜としても用いることができるため、保護膜上に凹凸が発生するということにもなる。また、配線自体のカバレッジも悪くなる。
このような大きな凹凸が発生してしまうと、この上に形成する非透水性の材料よりなるシール材の密着性にも大きな影響が及ぼされる危険性がある。シール材の密着性が悪いと、シール材自身の透湿性が小さかったとしても、その密着性の悪い部分から水が浸入してきてしまうからである。
図7(ロ)は、(イ)と同様に下地絶縁膜上に層間絶縁膜としてシロキサン系の膜を形成したものを、コンタクトホールの開孔条件で層間絶縁膜を除去した後、配線を形成したもののSEM写真である。(イ)Cが(ロ)Dに相当し、基板\下地絶縁膜\層間絶縁膜と形成した後、層間絶縁膜をコンタクトホール開口条件で除去した表面、(イ)cが(ロ)Eに相当し、(ロ)Dの上に配線を形成した表面の写真である。
一方、(ロ)Fは基板\下地絶縁膜\シリコン膜\層間絶縁膜と、下地絶縁膜の上にエッチングストッパーとなるシリコン膜をしいてから層間絶縁膜を形成し、(ロ)Dと同様にコンタクトホールの開口条件で層間絶縁膜を除去した部分の表面の写真である。つまり、(ロ)Dの構成にシリコン膜のエッチングストッパーを設けた構成となっている。Fの部分のシリコン膜はEに配線を形成する際のエッチングによって除去されるため、(ロ)Dと同様、下地絶縁膜が見えている状態であるが、層間絶縁膜の下にシリコンを引いていなかったDと比較して非常に平坦な表面となっているのがわかる。
これは、シリコン膜がエッチングストッパー膜となり、層間絶縁膜をエッチングした際の層間絶縁膜のエッチング残りの発生や、下地膜のえぐれによる凹凸の発生を抑制した為である。
これをふまえて、本実施の形態では、図1における開口部106及び図5における層間絶縁膜除去部120が形成される位置にあらかじめエッチングストッパー膜130、131を形成しておく(図6(A))。なお、図6に示す断面図は図3におけるf−f’の断面に相当する。
本実施の形態においてはこのようなエッチングストッパー膜130、131を駆動回路部や画素部に作製される薄膜トランジスタ(TFT)の半導体層132を形成するシリコン膜によって形成する例について示した。しかし、エッチングストッパー膜130、131は層間絶縁膜除去時、開口部106、層間絶縁膜除去部120のエッチングストッパーとして機能すればどのような膜でも良く、本実施の形態のように半導体層132と同じ材料で半導体層132と同時に形成してもよいし、ゲート電極133と同じ材料でゲート電極形成と同時に形成しても良いし、また、別な材料で別個に形成してもかまわない。ただ、半導体層132もしくはゲート絶縁膜と同時に形成すればプロセス数の増加につながらず有利である。
開口部106及び層間絶縁膜除去部120は配線用のコンタクトホール開孔と同時に開口を行う。この際、本発明の発光装置では開口部106及び層間絶縁膜除去部120の下部にエッチングストッパー膜130、131(シリコン膜)が形成されているため、層間絶縁膜のエッチング残りやえぐれによる凹凸は発生しない。その後に形成される、配線134を、開口部106の内側及び層間絶縁膜除去部120の層間絶縁膜端面を覆って形成すれば保護膜103としても機能する。この際、エッチングストッパー膜130,131により層間絶縁膜を除去する時に下の膜上にエッチング残りやえぐれが生じていないので保護膜103の密着性の悪化を防ぐことができ、さらに保護膜上の凹凸の発生を抑制することが可能となる。
本実施の形態においては、保護膜103は配線134材料と同じ金属膜で形成しており、配線形成のステップと同時に形成することが可能となるが、もちろん別ステップとして異なる材料で形成しても良い。
また、この後に形成される画素部のスイッチング用TFTに発光素子の陽極135の材料でもってさらに保護膜103を覆ってしまっても良い。さらに水の浸入が抑制されると期待できる。(図6(B))
対向基板108は、発光素子を形成した後、非透水性の材料よりなるシール材107によって固着される。シール材は溝状の開口部106及び/又は基板周辺部の層間絶縁膜除去部120の上に乗るように塗布することによって、水の進入経路をふさぐことができるため発光素子の劣化を抑制する効果が高い。なお、発光素子は陽極135と陰極138の間に発光層137を挟んでなっており、発光素子は隔壁136によって素子毎に分離されている(図6(C))。
また、本実施の形態を用いると溝状の開口部106及び基板周辺部における層間絶縁膜除去部120の上の保護膜103の凹凸の発生が抑制されるため、シール材の密着性の悪化を防ぐことができ、密着性の悪い部分からの水の浸入を押さえることが可能となることで信頼性が向上する。
本実施の形態は実施の形態1、実施の形態2と自由に組み合わせることができ、組み合わせることでさらに外部よりの水の浸入を阻むことが可能となるため、電界発光装置のさらなる信頼性の向上につながる。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、層間絶縁膜が全ては除去することが困難となる構造において、層間絶縁膜を介して浸入する水の影響を極力抑えることができる構造について説明する。
実施の形態2や実施の形態3で述べてきたように基板周辺部の層間絶縁膜を除去し、その層間絶縁膜の端面を保護膜103(及び105)とシール材107で覆うことで端面を極力外気に曝さないようにすることは、水の浸入を阻む上で非常に有効な手段となるが、構造によっては層間絶縁膜が全ては除去することが困難となる場合がある。
たとえば、外部端子と内部回路とをつなぐ配線部分を考える(図3c)。この配線は、基板周辺部の層間絶縁膜を除去する構成(層間絶縁膜除去部120を形成する構成:実施の形態2及び実施の形態3)を適用した場合、基板周辺部の層間絶縁膜を除去し、配線となる金属膜を成膜し、その金属膜を所望の配線形状となるようにエッチングすることで形成される。
しかし、図8に示したように、層間絶縁膜15を除去した部分10と、層間絶縁膜が残った部分11の間には層間絶縁膜の端面が作る段差12があり、この部分に成膜された金属膜が十分にエッチングされず、残ってしまう場合がある。このようなエッチング残り13は隣り合う配線14同士をショートさせ、不良の原因となる。
このショートを防ぎつつ、できるだけ外気に触れる層間絶縁膜を少なくするために図9に示したように配線14と配線14の間に層間絶縁膜を残す16という対策が取られる。これにより、大部分の層間絶縁膜が外気に触れることを避けつつ、前述したようなショートによる不良を防止することが可能となる。しかし、配線間に残した層間絶縁膜は除去することができず、常に外気に触れることとなり、その部分よりの水の浸入を防止することはできない。この配線間に残存する層間絶縁膜からの水の浸入は長期の信頼性を考えた場合には悪影響を及ぼしてしまう場合がある。
水の層間絶縁膜を介しての浸入は膜中で水の拡散現象が起こることにより引き起こされる。拡散現象は拡散の式から求められるように、ある位置にまで達する為の時間は距離の2乗に比例するとされる。すなわち、配線間に残った層間絶縁膜のみが水の進入経路だった場合、その距離をできるだけ長く取ることで、電極間に残存する層間絶縁膜を拡散して浸入する水が電界発光装置内部に到達するまでの時間を有効に長くすることが可能となる。
そこで、本実施の形態では、従来、この外部端子と内部回路とをつなぐ配線部分は図10(1)のように、曲がり角などレイアウト的に屈曲部が必要であるところ以外は直線であったが、配線14の形状を図10(2)に示すように配線の長辺形状に意図的に複数の屈曲部を密に設ける。
すると、配線間に存在する層間絶縁膜16の実質的な長さを長くすることが可能となり、内部に到達するまでのに水が層間絶縁膜を拡散する距離が長くなる。結果として、劣化が始まる迄の時間を大幅に稼ぐことができるようになり、従来よりも長期の信頼性が確保できるようになる。
図10(3)〜(6)は、本実施の形態を実現するための他の考えられ得る構成の例である。このように従来構造の図10(1)より配線間の層間絶縁膜の長さが少しでも長くなっていれば従来よりも水の浸入をその分だけ遅らせることになる。必要性に応じて所望のパターンを付ければよい。
また、本実施の形態を用いると、発光装置上面から見た場合の配線間の層間絶縁膜の面積は広くなってしまうため、配線の屈曲部は外気に曝されないところ、すなわち、非透水性の材料よりなるシール材が形成された内側か、該シール材の下部に位置するように配置することが肝要である。
本実施の形態は実施の形態1〜3と適宜組み合わせて用いることが可能であり、電界発光装置の外部端子と内部回路とをつなぐ配線部分(図3c等)は本実施の形態を、その他の外周部分には実施の形態1、実施の形態2を使用するなど、場所に応じて使い分けることでより効率的に水の浸入を防ぐことが可能となる。さらに、本実施の形態において、配線部分を形成する際に層間絶縁膜を除去する工程があるが、その際に実施の形態3の構成を用いると配線上の凹凸の発生を抑制することが可能であるため、非透水性の材料よりなるシール材の密着性が良くなり、シール材と配線界面よりの水の浸入を大幅に減少させることが可能になる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、外部端子と内部回路とをつなぐ配線部分(図3c等)においても基板外周部にの層間絶縁膜を除去し層間絶縁膜経由の水の浸入を防止することができる形態について図11を用いて説明する。
図8からもわかるように、エッチングができずにエッチング残りが発生してしまうのは、層間絶縁膜15端面の段差12のみである。この層間絶縁膜の端面が切り立っているため、配線の形成に使用する異方性のドライエッチングではこの部分に配線材料がエッチングできず残ってしまうことがある。このような配線部分においては、ウエットエッチングに代表される等方性のエッチングは配線のマージン的に使用が困難である。
そこで本実施の形態では層間絶縁膜18の端面17を緩いテーパー形状に加工する。これによって、層間絶縁膜端面17であっても配線のエッチングが確実に行われ、エッチング残りが発生することを防止できるため、配線14の間に層間絶縁膜を残す必要が無くなる(図11)。
結果として、外部端子と内部回路とをつなぐ配線部分(図3c等)においても基板周辺部に位置する層間絶縁膜を全て除去することが可能となり、層間絶縁膜が存在する位置より外周部を全て非透湿性のシール材で覆うことで層間絶縁膜を経由する水の経路を全て断つことができ、電界発光装置の信頼性を大幅に向上することが可能となる。
なおこのテーパーがついた層間絶縁膜端面をアルゴンなどの不活性気体で処理してもよい。これにより配線端面が緻密化し、処理しない状態の端面より水などの不純物が浸入しにくくなる効果がある。また、このテーパーがついた層間絶縁膜端面上に窒化硅素膜等の窒化膜をさらに形成し、覆ってしまっても同様にこの端面からの水の浸入が抑制されるために好適である。
本実施の形態は実施の形態1、実施の形態2と適宜組み合わせて用いることが可能であり、電界発光装置の外部端子と内部回路とをつなぐ配線部分は本実施の形態を、その他の外周部分には実施の形態1、実施の形態2を使用するなど、場所と必要に応じて使い分けることでより効率的に水の浸入を防ぐことが可能となる。
(実施の形態6)
本実施の形態では実施の形態5と実施の形態3を組み合わせた例について説明する。
実施の形態5と実施の形態3を組み合わせた本実施の形態において、層間絶縁膜のエッチング時に生じる凹凸の発生を抑制するために、層間絶縁膜を除去した部分10にエッチングストッパー膜20を形成する場合、層間絶縁膜端面にテーパー形状を形成するためのマージン21を考えると、どうしても残存する層間絶縁膜15の下部にもエッチングストッパーとなる膜が形成されてしまうことになる(図12(A))。
エッチングストッパー膜20は層間絶縁膜除去部分10全面に形成され、その上に配線14が形成されるため、エッチングストッパー膜20に導電性があるとそのままでは層間絶縁膜除去部に形成された配線全てがショートしてしまうことになる。しかし、配線が形成されない位置22のエッチングストッパー膜は、配線形状形成の為のエッチングの際に不要な金属膜と共にエッチングされ、除去される、もしくは配線エッチングで除去できない場合にはそれに適したエッチングを再度行うことで除去されるため、その部分における配線間のショートは心配ない。ところが、前述した残存する層間絶縁膜の下部に位置するエッチングストッパー膜23(テーパー形成マージン21の位置にあるエッチングストッパー膜20)は層間絶縁膜におおわれているため除去されることなく残存してしまう。そして、当該膜に導電性があるとその部分を通して配線がショートしてしまうという問題が生じることとなる(図12(B)参照)。
もちろん、エッチングストッパー膜を絶縁性の膜によって形成した場合はこのような問題は発生しないが、工程数を増加させずにエッチングストッパー膜を形成するとなると、考えられる膜は半導体層に使用したシリコン膜、もしくはゲート電極に使用した金属膜であり、そのどちらも導電性を有するため、この問題は顕著に表れる問題である。
そこで、本実施の形態では、層間絶縁膜の下部に位置するエッチングストッパー膜のうち、配線と配線の間に位置するエッチングストッパー膜を始めから形成しない(図13)。もしくは層間絶縁膜の下部に位置するエッチングストッパー膜のうち、配線と配線の間に位置するエッチングストッパー膜が、配線の下に位置するエッチングストッパー膜から分離されるようにする(図18(ロ))。
本構成を用いることで、外部端子と内部回路とをつなぐ配線部分においても層間絶縁膜を除去する際の凹凸の発生を抑制し、配線の凹凸も抑制することが可能となる。その結果、下の膜の凹凸によるシール材の密着性の低下を防ぐことができ、シール材の密着性が悪い部分からの水の浸入を大幅に減らすことが可能となるため、電界発光装置における信頼性が非常に良くなる。
本実施例では実施の形態1と実施の形態2の詳しい実施例について図14〜図16を用いて説明する。
下地絶縁膜201、駆動回路用トランジスタ(本図面ではnチャネル型の薄膜トランジスタ203、pチャネル型の薄膜トランジスタ204のみ示す)、及び画素部の薄膜トランジスタ(本図面ではスイッチング用トランジスタ205、及び電流制御用トランジスタ206のみ示す)が形成された基板200に第1の層間絶縁膜225を形成する。
基板200としては、ガラス基板、石英基板、結晶性ガラスなどの絶縁性基板や、セラミック基板、ステンレス基板、金属基板(タンタル、タングステン、モリブデン等)、半導体基板、プラスチック基板(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等)等を用いることができるが、少なくともプロセス中に発生する熱に絶えうる材料を使用する。本実施例においてはガラス基板を使用する。
下地絶縁膜201としては酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などが使用できる。これらはスパッタ法や減圧CVD法、プラズマCVD法等公知の方法を用いて形成する。本実施例では窒化酸化シリコン膜を100nmで形成した。
次いで、非晶質半導体膜を形成する。非晶質半導体膜はシリコンまたはシリコンを主成分とする材料(例えばSixGe1−x等)で所望の厚さに形成すればよい。作製方法としては、公知の方法、例えばスパッタ法、減圧CVD法、またはプラズマCVD法等が使用できる。本実施例では、アモルファスシリコンにより膜厚50nmに形成する。
続いて、アモルファスシリコンの結晶化を行う。本実施例においては、結晶化を促進する元素を添加し、熱処理により結晶化した後、レーザ結晶化を行う工程を説明する。
まず、重量換算で5〜10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液もしくは硝酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布し、半導体膜表面にニッケル溶液の薄い膜を形成する。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。触媒元素としては、ニッケル(Ni)以外に、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、といった元素などから選んだ一種または複数種を使用することもできる。
次いで、加熱処理を行い、非晶質半導体膜を結晶化させる。触媒元素を用いているため、500℃〜650℃で4〜24時間程度行えばよい。この結晶化処理により、半導体膜は結晶質の半導体膜となる。
続いて、レーザによる結晶化を行い、結晶性を向上させる。レーザ結晶化法は、レーザ発振装置として、パルス発振型、または連続発振型の気体、固体又は金属レーザ発振装置などを用いる。レーザ発振装置により発振されたレーザは光学系を用いて線状にして照射を行うとよい。
本実施例のように結晶化を助長する金属を使用して結晶化された半導体膜は、膜中に結晶化に使用した金属元素が含まれており、これが残ったままであると様々な不都合が発生する恐れがあるため、ゲッタリングを行いその濃度を下げる工程が必要となる。
まず、表面をオゾン水で処理し、1〜5nm程度のバリア膜を形成してから、該バリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトを形成する。ゲッタリングサイトはアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を膜厚50nm堆積することで形成する。その後ランプアニール装置を用いて750℃、3分の熱処理を行いゲッタリングを行い、ゲッタリングサイトを除去する。
ゲッタリングを行ったら、結晶性半導体膜をエッチングにより所望の形状の半導体層207〜210とする。続いて、ゲート絶縁膜211を形成する。膜厚は115nm程度とし、減圧CVD法またはプラズマCVD法、スパッタ法などでシリコンを含む絶縁膜を形成すれば良い。本実施例では酸化シリコン膜を形成する。
次いで、ゲート絶縁膜上に第1の導電層として膜厚30nmの窒化タンタル(TaN)とその上に第2の導電層として膜厚370nmのタングステン(W)を形成する。なお、本実例では第1の導電層を膜厚30nmのTaN、第2の導電層を膜厚370nmのWとしたが、これに限定されず、第1の導電層と第2の導電層は共にTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。膜厚は第1の導電層が20〜100nm、第2の導電層が100〜400nmの範囲で形成すれば良い。また、本実施例では、2層の積層構造としたが、1層としてもよいし、もしくは3層以上の積層構造としてもよい。
次に、前記導電層をエッチングして電極及び配線を形成するため、フォトリソグラフィーにより露光工程を経てレジストからなるマスクを形成する。第1のエッチング処理では第1のエッチング条件と第2のエッチング条件でエッチングを行う。レジストによるマスクを用い、エッチングし、ゲート電極及び配線を形成する。エッチング条件は適宜選択すれば良い。
本法では、ICP(誘導結合プラズマ)エッチング法を使用した。第1のエッチング条件として、エッチング用ガスにCF4、Cl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1.0Paの圧力でコイル型電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。第1のエッチング条件でのW膜に対するエッチング速度は200.39nm/min、TaNに対するエッチング速度は80.32nm/min、でありTaNに対するWの選択比は約2.5である。また、この第1のエッチング条件によって、W膜のテーパー角度は約26度となる。
続いて、第2のエッチング条件に移ってエッチングを行う。レジストからなるマスクを除去せず、のこしたまま、エッチング用ガスにCF4とCl2を用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)、圧力1.0Paでコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約15秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。この第1のエッチング処理においては、基板側に印加されたバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部はテーパー状となる。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。第2のエッチング処理では、エッチング用のガスにSF6とCl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を24/12/24(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル側の電力に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを発生して25秒程度エッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加した。このエッチング条件ではW膜が選択的にエッチングされ、第2形状の導電層を形成した。このとき第1の導電層はほとんどエッチングされない。第1、第2のエッチング処理によって第1の導電層212a〜215a、第2の導電層212b〜215bよりなるゲート電極が形成される。
そして、レジストからなるマスクを除去せず、第1のドーピング処理を行う。これにより、結晶性半導体層にN型を付与する不純物が低濃度に添加される。第1のドーピング処理はイオンドープ法又はイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量が1×1013〜5×1014atoms/cm2、加速電圧が40〜80kVで行えばよい。本実施例では加速電圧を50kVとして行った。N型を付与する不純物元素としては15族に属する元素を用いることができ、代表的にはリン(P)または砒素(As)が用いられる。本実施例ではリン(P)を使用した。その際、第1の導電層をマスクとして、自己整合的に低濃度の不純物が添加されている第1の不純物領域(N--領域)を形成した。
続き、レジストからなるマスクを除去する。そして新たにレジストからなるマスクを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で、第2のドーピング処理を行う。第2のドーピング処理もN型を付与する不純物を添加する。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜3×1015atoms/cm2、加速電圧を60〜120kVとすれば良い。本実施例ではドーズ量を3.0×1015atoms/cm2とし、加速電圧を65kVとして行った。第2のドーピング処理は第2の導電層を不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層の下方に位置する半導体層にも不純物元素が添加されるようにドーピングを行う。
第2のドーピングを行うと、結晶性半導体層の第1の導電層と重なっている部分のうち、第2の導電層に重なっていない部分もしくはマスクに覆われていない部分に、第2の不純物領域(N-領域、Lov領域)が形成される。第2の不純物領域には1×1018〜5×1019atoms/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物が添加される。また、結晶性半導体膜のうち、第1形状の導電層にもマスクにも覆われておらず、露出している部分(第3の不純物領域:N+領域)には1×1019〜5×1021atom/cm3の範囲で高濃度にN型を付与する不純物が添加される。また、半導体層にはN+領域が存在するが、一部マスクのみに覆われている部分がある。この部分のN型を付与する不純物の濃度は、第1のドーピング処理で添加された不純物濃度のままであるので、引き続き第1の不純物領域(N--領域)と呼ぶことにする。
なお、本実施例では2回のドーピング処理により各不純物領域を形成したが、これに限定されることは無く、適宜条件を設定して、一回もしくは複数回のドーピングによって所望の不純物濃度を有する不純物領域を形成すれば良い。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスクを形成し、第3のドーピング処理を行う。第3のドーピング処理により、Pチャネル型TFTとなる半導体層に前記第1の導電型及び前記第2の導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)が形成される。
第3のドーピング処理では、レジストからなるマスクに覆われておらず、更に第1の導電層とも重なっていない部分に、第4の不純物領域(P+領域)が形成され、レジストからなるマスクに覆われておらず、且つ第1の導電層と重なっており、第2の導電層と重なっていない部分に第5の不純物領域(P-領域)が形成される。P型を付与する不純物元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律表第13族の元素が知られている。
本実施例では、第4の不純物領域及び第5の不純物領域を形成するP型の不純物元素としてはホウ素(B)を選択し、ジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成した。イオンドープ法の条件としては、ドーズ量を1×1016atoms/cm2とし、加速電圧を80kVとした。
なお、第3のドーピング処理の際には、Nチャネル型TFTを形成する半導体層207,209はレジストからなるマスクに覆われている。
ここで、第1及び第2のドーピング処理によって、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されている。しかし、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)のいずれの領域においても、第3のドーピング処理によって、P型を付与する不純物元素の濃度が1×1019〜5×1021atoms/cm2となるようにドーピング処理される。そのため、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)は、Pチャネル型TFTのソース領域及びドレイン領域として問題無く機能する。
なお、本実施例では、第3のドーピング一回で、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)を形成したが、これに限定はされない。ドーピング処理の条件によって適宜複数回のドーピング処理により第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)を形成してもよい。
これらのドーピング処理によって、第1の不純物領域216(N--領域)、第2の不純物領域217(N-領域、Lov領域)、第3の不純物領域218、219(N+領域)、第4の不純物領域220、221(P+領域)、及び第5の不純物領域222、223(P-領域)が形成される。
この後、ゲート電極及びゲート絶縁膜上に第1のパッシベーション膜224を形成する。第1のパッシベーション膜としては、水素を含有する窒化硅素膜、酸化窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜を形成する。
続いて第1の層間絶縁膜225を形成する。第1の層間絶縁膜としては、シロキサン系ポリマーを全面塗布した後、50〜200℃、10分間の熱処理によって乾燥させ、さらに300〜450℃、1〜12時間の焼成処理を行う。この焼成により、1μm厚のシリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されるシロキサン系の膜が全面に成膜される。この工程は、シロキサン系ポリマーの焼成を行うと共に、第1のパッシベーション膜224中の水素によって、半導体層を水素化することが可能であるため、工程数を削減でき、プロセスを簡略化することが可能である。
また、第1の層間絶縁膜としては、CVD法等の公知の手法により形成される無機絶縁膜又は有機材料樹脂、low−k材料などを用いることができる。
この後、第1の層間絶縁膜225を覆うように、CVD法により窒化酸化珪素膜又は酸化窒化珪素膜を形成しても良い。この膜は、後に形成される導電膜をエッチングするときに、エッチングストッパーとして働き、層間絶縁膜のオーバーエッチングを防止することができる。さらにこの上に、スパッタリング法により窒化珪素膜を形成してもよい。この窒化珪素膜は、アルカリ金属イオンの移動を抑制する働きがあるため、後に形成される画素電極からのリチウム元素、ナトリウム等の金属イオンが半導体薄膜へ移動するのを抑制することができる。
次に、第1の層間絶縁膜のパターニング及びエッチングを行い、薄膜トランジスタ203〜206に達するコンタクトホールと、溝状の開口部227、基板周辺の層間絶縁膜除去部228を形成する。
コンタクトホール226及び開口部227、層間絶縁膜除去部228のエッチングは、CF4とO2とHeの混合ガスを用いてシロキサン系の膜をエッチングし、続いてCHF3のガスによりゲート絶縁膜である酸化シリコン膜をエッチングし、除去することで形成する。
続いて、コンタクトホール226中に金属膜を積層し、パターニングしてソース電極及びドレイン電極を形成する。本実施例では、窒素原子を含むチタン膜上に、チタン−アルミニウム合金膜とチタン膜を積層しそれぞれ100nm\350nm\100nmに積層したのち、所望の形状にパターニング及びエッチングして3層で形成されるソース電極ドレイン電極229〜235と画素電極236を形成する。
一層目の窒素原子を含むチタン膜はターゲットをチタンとし、窒素とアルゴンの流量を1:1としてスパッタリング法により形成する。上記のような窒素原子を含むチタン膜を、シロキサン系の膜の層間絶縁膜上に形成すると、膜はがれしにくく、且つ半導体領域と低抵抗接続を有する配線を形成することができる。
本実施例ではトップゲート型のポリシリコンTFTを駆動回路部、画素部共に形成したが、画素部のTFTはアモルファスシリコンを活性層とするTFTや微結晶シリコンを活性層とするTFTとしてもよい。また、ボトムゲート型のTFTを用いても当然実現は可能である。
ソース電極及びドレイン電極を形成すると同時に、同じ材料で溝状の開口部227の内側と基板周辺部における層間絶縁膜除去部228の端面を覆い、第1の保護膜237とする。
次に、第2の層間絶縁膜238を基板全面に形成する。第2の層間絶縁膜238は第1の層間絶縁膜225と同様な材料で形成することができる。本実施例においては、第1の層間絶縁膜と同じシロキサン系の膜により第2の層間絶縁膜238を形成した。
続いて、第1の層間絶縁膜をエッチングする条件と同様の条件において、画素電極に接続するコンタクトホール239及び溝状の開口部240そして基板周辺における層間絶縁膜除去部241を形成する。
ところで、本実施例ではこれら第1の層間絶縁膜225、及び第2の層間絶縁膜238をどちらもシロキサン系の膜で形成しているが、層間絶縁膜の構成はこれに限らず、第1の層間絶縁膜に有機膜、第2の層間絶縁膜に無機膜をというような組み合わせやその逆の組み合わせ、さらに有機と有機の組み合わせ、無機と無機の組み合わせなど適宜変えることは可能である。選択した層間膜の透水性によっては第1の層間絶縁膜と第2の層間絶縁膜のどちらか片方のみに保護膜を形成してもかまわない。
第2の層間絶縁膜238に開口部を形成したら、画素電極に接続するコンタクトホール239に発光素子の陽極となる第1の電極を形成する。発光素子の電極はAl−Si(260a)\TiN(260b)\ITSO(260c)の積層となっている。ここでAl−Siはシリコンが1〜5atomic%程度含まれているアルミニウムであり、ITSOとはITOにSiO2がまざっている材料である。
発光素子の陽極形成と同時に、溝状の開口部240の内側そして基板周辺における層間絶縁膜除去部241における層間絶縁膜238の端面を保護膜242で覆う。保護膜は発光素子の電極260a〜260bで形成すればよく、a〜cの三層全てを用いても、いずれか1層もしくは2層を用いても良い。
次いで、第1の電極の端面を覆うように絶縁物243を形成する。絶縁物243は無機または有機の材料で形成することができる。酸化珪素、酸窒化珪素、シロキサン系、アクリル、ポリイミドなどがある。感光性の有機物を使用して形成すると、開口部の形状が曲率半径が連続的に変化する形状となり発光層を蒸着する際に段切れなどが起こりにくいものとなり好適である。
そして、蒸着装置を用いて、蒸着源を移動させながら蒸着を行う。例えば、真空度が5×10-3Torr(0.665Pa)以下、好ましくは10-4〜10-6Torrまで真空排気された成膜室で蒸着を行う。蒸着の際、抵抗加熱により、予め有機化合物は気化されており、蒸着時にシャッターが開くことにより基板の方向へ飛散する。気化された有機化合物は、上方に飛散し、メタルマスクに設けられた開口部を通って基板に蒸着され、発光層244(正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層を含む)が形成される。
本実施例においては蒸着により発光層を形成するため、低分子の発光材料を使用するが、発光層にはその他に高分子や低分子と高分子の間の性質を持つ中分子があり、高分子材料は溶媒に溶かすことでスピンコートやインクジェット法により塗布することができる。また、有機材料のみではなく、無機材料との複合材料も使用することができる。
発光素子の発光機構は、一対の電極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機化合物層中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
発光層は通常、積層構造となっており、この積層構造は「正孔輸送層/電界発光層/電子輸送層」という構成が代表的である。この構造は非常に発光効率が高いため、現在研究開発が進められている発光装置はほとんどこの構造が採用されている。また、他にも陽極上に正孔注入層/正孔輸送層/電界発光層/電子輸送層、または正孔注入層/正孔輸送層/電界発光層/電子輸送層/電子注入層の順に積層する構造も良い。電界発光層に対して蛍光性色素等をドーピングしても良い。
次いで、上記発光層上に、第2の電極245を陰極として形成する。第2の電極245は、仕事関数の小さい金属(Li、Mg、Cs)を含む薄膜を用いて形成すればよい。また更に、Li、Mg、Cs等を含む薄膜上に積層した透明導電膜(ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2O3―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層膜で形成すると好ましい。膜厚は陰極として作用するように適宜設定すればよいが、0.01〜1μm程度の厚さに電子ビーム蒸着法で形成すればよい。
このような発光素子は発光層の選択と配置によって単色表示も多色表示も可能である。単色表示は同一の材料で全ての発光素子を作製すればよいが、多色表示にはいくつかの方法がある。一つは塗り分け法である。塗り分け法は必要な部分に目的の色で発光する発光層を塗り分けることで多色表示とする。もう一つは色変換法である。これは発光層は同一で形成し、必要な部分にのみ色変換層を設け、発光層からの光を色変換層を通すことで所望の色に変換し多色表示を得るものである。もう一つの方法は白色発光素子にカラーフィルターを設ける方法である。これは白色を発光する発光層を画素部全面に形成し、カラーフェイルターを通すことによって多色表示を実現する。どの方法もフルカラー表示にしたい場合は一画素ごとにRGBの光の三原色が存在するように形成する。このようにすることで発光装置は単色、多色、フルカラー表示を行うことができる。
このようにして発光素子246が完成したら、非透水性の材料よりなるシール材247を用いて対向基板248を素子基板に固着し、封止を行う。非透水性の材料よりなるシール材247は保護膜が形成された絶縁膜周辺の溝状の開口部227,240と、基板周辺部の層間絶縁膜除去部228,241における、保護膜に覆われた層間絶縁膜の端面を覆うように形成すると水の浸入口、進入経路をより強固に遮断するため信頼性の向上に非常に貢献することとなる。この非透水性の材料よりなるシール材247は非透湿性の紫外線硬化樹脂などを用いるとよい。
以上の工程でもって、外部より侵入してくる水による劣化に強い電界発光装置を作製することができ、電界発光装置の信頼性を大幅に向上させることが可能となる。なお、本実施例に置いて封止部における層間絶縁膜周辺の溝状の開口部は1つしか設けられていないがこれは複数設けることも可能であり、複数設けることにより、さらに信頼性が向上することとなる。
本実施例では実施の形態5と実施の形態6についての実施例を図17、図18を参照しながら説明する。図17は層間絶縁膜が一層の構造であるが、基本的には実施例1の構成と同じと考えて良い。発光素子の第1の電極の構造が異なるが、これについては後述する。
図17は図3におけるf−f’の断面図である。図17においては、層間絶縁膜周辺部の溝状の開口部及び基板周辺部の層間絶縁膜除去部に、エッチングストッパー膜250が形成されている。エッチングストッパー膜250は駆動回路部や画素部のトランジスタにおける半導体層を形成すると同時に形成することができる。層間絶縁膜251をエッチングする際のエッチングストッパーとして働き、エッチング残りや凹凸が発生することを低減することで非透水性の材料よりなるシール材の密着性を高める働きがある。
この、エッチングストッパー膜250があること以外、ソース電極及びドレイン電極を作製するところまで実施例1と同様であるので省略する。ソース電極及びドレイン電極が形成されたら、画素部のスイッチング用TFTの電極255に接するように発光素子の第1の電極252を形成する。本実施例ではソース電極及びドレイン電極が形成された層間絶縁膜上に発光素子の第1電極252を作製するため、第2の層間絶縁膜を作製する必要がない。第1の電極252の材料などは実施例1の第1の電極と同様のものが使用でき、第1の電極作製後のプロセスは実施例1と同様であるため省略する。
ここで、第1の電極をITOに代表される透明導電膜で形成すれば、基板200方向に光を取り出すことができる。また、第2の電極も同時に透明な材料で作製すれば、基板200と対向基板248の両方の方向に向かって光を取り出すことができる。
続いて図18に図3cの部分の作製方法について示した。図18(イ)は図3のa−a’の断面図であり、図18(ロ)は図3cの上面図である。隣り合う(イ)と(ロ)の図は同じ工程の図を示している。図18(イ)(ロ)は左側がFPC方向、右側が表示部方向となっている。図18(ロ)は図3cの向きと異なるので注意して欲しい。
本実施例において表示部に、トランジスタが形成され、第1の層間絶縁膜まで形成されると、外部端子と内部回路とをつなぐ配線部分には基板300上に下地絶縁膜301が形成され、下地絶縁膜301上の層間が抜かれる部分にはエッチングストッパー膜302(シリコン膜)が、エッチングストッパー膜302(シリコン膜)と下地絶縁膜301を覆ってゲート絶縁膜として機能している絶縁膜303が、そしてそれを覆って第1の層間絶縁膜304が形成される。第1の層間膜としてはアクリル膜やシロキサン系の膜が使用できるが、本実施例ではシロキサン系の膜を用いることにする(図18(a))。
続いて第1の層間絶縁膜304の端面にテーパー形状を付けるようにエッチングして、層間膜を除去し基板周辺における層間絶縁膜除去部305を形成する。層間絶縁膜除去部305にはあらかじめエッチングストッパー膜となるエッチングストッパー膜302(シリコン膜)が形成されているため、除去後の層間絶縁膜除去部305の表面は平坦であり、エッチング残りや下地のえぐれによる凹凸は発生していない。(図18(b))
次に配線となる金属膜306を形成する。この金属膜は画素部や駆動回路部におけるソース電極やドレイン電極と同じ材質のもので形成すればよい。具体的な材料に関しては実施例1のソース電極やドレイン電極の材料と同様である。(図18(c))
金属膜306はソース電極やドレイン電極を形成するエッチングと同時にエッチングされ、配線307となる。この際層間絶縁膜除去部305に形成されているエッチングストッパー膜302(シリコン膜)のうち、配線307に覆われない部分に関してはこのエッチングで除去される。また、エッチングストッパー膜302(シリコン膜)のうち、配線307の下部に位置しておらず、且つ、残存する層間絶縁膜304の下の位置308に形成されるものは、あらかじめ、配線エッチング後に配線307の下に位置するエッチングストッパー膜309(シリコン膜)と分離するような形状にに形成しておけば、導電性を有する材料でエッチングストッパー膜302を形成したとしても、隣り合う配線同士はショートしない。(図18(d))
エッチングストッパーとしてエッチングストッパー膜302(シリコン膜)を形成することで、層間絶縁膜除去部305に発生する凹凸を防ぐことができ、その後に形成する配線上の大きな凹凸の発生も抑制できるため、上に形成される非透水性の材料よりなるシール材の密着性が保持され、シール材の密着性が悪いところから浸入する水を減少させることが可能となる。
このような構成をとることによって、外部端子部(FPC等)と内部回路をつなぐ、配線部分においても層間絶縁膜を除去し、外気に層間絶縁膜を触れさせないようにできるため、水の浸入を大幅に減らすことができ、電界発光装置の信頼性の向上に貢献する。
また、基板周辺部の第1の層間絶縁膜をその端面にテーパー形状を付けて除去した後、配線用の金属を形成する前にその上にCVD法により窒化ケイ素膜、窒化炭素膜等の窒化膜を形成することは端面より浸入する水分を防ぐ目的で有用である。(図示しない)このような窒化膜を形成することで、より高い信頼性を得ることが可能となる。
ところで、本法において第1の層間絶縁膜の基板周辺部における除去は画素部及び駆動回路部のコンタクトホール開孔と同一の工程で行っており、第1の層間絶縁膜除去後に窒化膜を形成すると画素部及び駆動回路部おいて、当該コンタクトホールを介して行うべき、下層の配線などと、第1の層間絶縁膜状に形成される配線との導通がとれなくなってしまう恐れがある。そこで、配線用の金属を形成する前に下部と電気的な接触が必要な場所においては当該部分における窒化膜の除去を行うことが望ましい。また、第1の層間絶縁膜上に窒化膜を形成すると、このようなコンタクトホール部分における層間絶縁膜の端面からの水分の浸入も同時に防ぐことが可能となるためよりさらに高い信頼性を得ることができる。
本実施例では、本発明の構成が用いられる電界発光装置における画素構造の一例を図19を参照しながら説明する。
図19は、一画素分の素子構造を示している。図3における表示部分はこのような画素がマトリクス状に多数配置されて形成される。もちろんこの画素行性は一例であり、他の考え得るどのような画素構成としてもよい。
図19においては、トップエミッション構造を採用した。一画素はソース線400、駆動TFTゲート線401、アノード線402、消去用ゲート線403、書込用ゲート線404、消去TFT405、書込TFT406、駆動TFT407、表示TFT408、交流駆動用ダイオード409、容量410、駆動TFTのドレイン電極411、駆動TFTゲート線412よりなっている。
そして、この上部に絶縁膜を介して発光素子413が形成されており、発光素子の陽極、もしくは陰極は駆動TFTのドレイン電極411に接続される。
本実施例では、電界発光装置において、映像を表示する為に必要なソースドライバの構成について図20を用いて説明する。
ゲート信号線が選択されている行において、シフトレジスタ500(SR)はクロックパルス504、スタートパルス505に従って、1段目から順次サンプリングパルスを出力する。第1のラッチ回路501はサンプリングパルスが入力されるタイミングで映像信号の取り込みを行い、各段で取り込まれた映像信号は第1のラッチ回路501において保持される。
一つのシフトレジスタ500から出力されたサンプリングパルスにより、第1のラッチ回路501におけるA,B,Cの3つのラッチ回路がそれぞれDATA01−20,DATA21−40,DATA41−60のビデオ線から入力される信号を取り込む。1段目のシフトレジスタ500より出力されるサンプリングパルスではS01〜S1920まであるソース信号線のうち、S01〜S60までのソース信号線に充放電されるための映像信号が取り込まれる。一段目のシフトレジスタ500のサンプリングパルスを受けて映像信号を取り込む第1のラッチ回路では、ラッチ回路AがS01〜S20、BがS21〜S40、CがS41〜S60のソース信号線の分の映像信号を保持する。以降、2段目のシフトレジスタから出力されるサンプリングパルスを受けて映像信号を取り込む第1のラッチ回路はS61〜S120までのソース信号線の分の映像信号を取り込み、A,B,Cのラッチ回路は各々S61〜S80、S81〜S100、S101〜S120のソース信号線の分の映像信号を保持し、同様に32段目のシフトレジスタがS1861〜S1920の分のソース信号線の分の映像信号を取り込み、保持した時点で一行分の取り込みが終了することとなる。
一行分の映像信号の取り込みが完了した後、ラッチパルス(LAT)506が出力されると、第1のラッチ回路501において保持されていた映像信号は一斉に第2のラッチ回路502へと転送され、全ての信号線が一斉に充放電される。第2のラッチ回路502からの出力を所望の大きさにするためのレベルシフタ及びバッファは必要に応じて適宜設ければよい。
以上の動作が一行目から最終行目まで繰り返され、1フレームの書込が完了する。以後、同様の動作を繰り返し、映像の表示を行う。
なお、本構成のソースドライバはあくまで一例であり、たのどのようなソースドライバの構成を使用しても本発明の適用は可能である。
本実施例では、実施の形態5に示したような、絶縁膜の端面にテーパー形状をつける方法について説明する。
ウエットエッチング等の等方性のエッチングによりエッチングを行うことが可能であれば、エッチングの際のマージンとある程度の膜厚があれば簡単にテーパー形状を得ることができる。
本実施例においては、ドライエッチング等の異方性のエッチングにおいて、絶縁膜にテーパー形状を形成する方法について説明する。
まず、始めに通常の方法でもって作製したエッチング用のマスクを用いてドライエッチングにより所望の形状に目的物を加工する方法について図21(A)を用いて簡単に説明する。
まず、被加工物601上全面に感光性のレジストやポリイミドなどのマスク材料602を塗布などにより成膜する(図21(A)−1)。本説明ではポジ型のレジストを例にとって説明する。
続いて、レジスト中の用材を蒸発させ、安定化させるための低温でのプリベークを経た後、所望の形状のフォトマスク603を介してレジストを露光し、部分的に感光させる。(図21(A)−2)
露光より感光した部分を現像液で溶解し除去(図21(A)−3)したのち、レジストの密着性を向上させ、次工程で使用するエッチャントへの耐性を向上させるためにベークを行う。ここまでで、目的物をエッチングするためのマスクが形成される。これまでの工程をフォトリソグラフィという。
そして、このマスクを用いて適切なエッチャントを使用し、目的物のエッチングを行うことで目的物を所望の形状に加工することができる。(図21(A)−4)
ここで、このエッチング用マスクの端面は下部に位置する目的物に対する角度が大きいため、ドライエッチング等の異方性のエッチングを行うとその形状を反映して下の目的物の端面も切り立った形状となってしまう。このような方法で基板周辺部の層間絶縁膜を除去し、配線を形成使用とすると実施の形態4、5で述べたような配線のエッチング残りが層間絶縁膜端面に発生し、配線ショートによる不良を引き起こしてしまう。
そこで、フォトリソグラフィによりマスクを形成する際に、テーパー形状を形成したい部分のフォトマスク604の端部に、露光の際に使用する露光装置における解像度の限界より細い幅のスリット605を形成する。露光装置の解像度より細い幅のスリット及びパターンを介して露光されたレジストなどのマスク材料はその部分において完全には露光されず現像液で露光部分を除去した後も膜厚の減少したマスクが残存する。
このように露光装置の露光解像度以下の幅のスリットもしくは孔をフォトマスクに形成することで、レジスト等の感光性のマスク材料における非露光部分と完全露光部分の間に上記のような不完全露光部分を設けることでエッチング用マスクの端面にテーパー形状を形成することができる。
このテーパー形状を有するエッチング用マスクを使用し、下層の目的物と当該マスク両方をエッチングするような条件でドライエッチングに代表される異方性のエッチングを行うと、目的物をエッチングすると同時にエッチング用マスクはその膜厚が薄い所から消失して行き、エッチング用マスクが消失したことで新たにエッチング雰囲気に曝された目的物が順次エッチングされることによりほぼエッチング用マスクの形状を反映した形状の目的物を得ることができる。(図21(B))
これにより、その端面にテーパー形状を有するエッチング用マスクを用いることで端面に同様のテーパー形状を有する目的物、実施の形態5においては層間絶縁膜を得ることが可能となる。
ところで、露光を行う際のフォトマスクのスリット、パターン及び孔の形状によっては現像後の感光性材料の形状を自在に形成することが可能となる。図22にその一例を示す。図22は基板上にシロキサン系の膜を形成し、その上にレジストを塗布してからフォトマスク700で露光した後、ドライエッチングによってエッチングしたもののSEM写真とフォトマスクの模式図である。SEM写真はその下部に示したフォトマスク700のようなパターンを有するフォトマスクによりレジストを露光している。
通常のフォトマスクは701の部分のみで露光を行うが、図22ではさらに露光装置の解像度の限界以下のパターン702をフォトマスクに形成することによってSEM写真で示したような断面形状を得ることができる。
図22に示したように露光装置の解像度の限界以下のパターン702の形状を変えることで目的物にさまざまな形状を持たせることが可能となる。このように形成したエッチング用マスクを使用して目的物とエッチング条件を適宜変更することにより、今まで作製し得なかった形状のものを作製することもできるようになる。
本発明が適用される電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図15、16に示す。
図23(A)は壁掛け型の表示装置であり、筐体2001、表示部2003、スピーカー部2004等を含む。本発明は、表示部2003の作製に適用される。本発明を使用することにより、より長期においての信頼性を確保することができる。
図23(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。本発明は、表示部2102に適用することができる。デジタルスチルカメラは屋外で使用することが多く、屋内で使用するより過酷な状況におかれることが多いが本発明を使用することによって比較的過酷な状況においても長期の信頼性を得ることが可能となる。
図23(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明は、表示部2203に適用することができる。ノート型パーソナルコンピュータはデスクトップと異なり、持ち歩いて使用することも考えられる。デジタルスチルカメラ同様、持ち運ばれることによってデスクトップコンピュータのモニターより悪条件下の使用の可能性も多くなる。本発明を利用することによって、そのような条件下においてもより長期の信頼性を確保することが可能となる。
図23(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明は、表示部2302に適用することができる。モバイルコンピュータは屋外で使用することが多く、屋内で使用するより過酷な状況におかれることが多いが本発明を使用することによって比較的過酷な状況においても長期の信頼性を得ることが可能となる。
図23(E)は携帯型のゲーム機であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部2403、操作キー2404、記録媒体挿入部2405等を含む。本発明は表示部2402に適用することができる。携帯型のゲーム機は屋外で使用することも多く、屋内で使用するより過酷な状況におかれることが多いが本発明を使用することによって比較的過酷な状況においても長期の信頼性を得ることが可能となる。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。また、製品の信頼性も向上するためメーカーとしての信頼度も高めることができる。
実施の形態1を表す図。
従来の構成を表す図
電界発光装置の上面図を表す図
実施の形態1のバリエーションを表す図
実施の形態2を表す図
実施の形態3を表す図
実施の形態3を表す図
従来の構成を表す図
実施の形態4を表す図
実施の形態4を表す図
実施の形態5を表す図
実施の形態6を表す図
実施の形態6を表す図
実施例1を表す図
実施例1を表す図
実施例1を表す図
実施例2を表す図
実施例2を表す図
実施例3を表す図
実施例4を表す図
実施例5を表す図
実施例5を表すSEM写真
電子機器の一例を示す図