JP4676596B2 - プライマー組成物および接着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プライマー組成物および接着方法に関する。更に詳しくは、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基(以下、「反応性ケイ素基」という。)を有する飽和炭化水素系重合体を主成分として含有するシーリング材(特にイソブチレン系重合体を主鎖骨格とするイソブチレン系シーリング材)に有効なプライマー組成物および接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性シーリング材は、近年、建築物・自動車両等に幅広く使用されるようになってきている。シーリング材は、各種部材間の接合部や隙間に充填し、水密・気密を付与する目的で使用されている材料である。従って、目地部や窓枠周り等を構成する各種基材、すなわち、ガラス、セラミックス、金属、セメント、モルタル等の無機材料やプラスチック等の有機材料(以下、これらをまとめて「基材」という。)に対して良好な接着性を示す必要がある。しかし、シーリング材自身の接着性は未だ不十分で、プライマーの使用が多くの場合必須となっている。
【0003】
一般建築物の内外装の目地部に適用されるシーリング材として、シリコーン系、変成シリコーン系、ポリサルファイド系およびポリウレタン系等が良く知られている。これらのシーリング材は、目地の種類(基材の種類も含めて)別に適切なシーリング材を選んで使う「適材適所」の考え方に基づいて使い分けられており、それぞれのシーリング材に適合する専用プライマーが開発されている。
【0004】
一方、反応性ケイ素基を含有するイソブチレン系重合体を主鎖骨格とするイソブチレン系シーリング材が最近開発された。このイソブチレン系シーリング材は、動的追従性、耐熱性、耐候性、耐水性、塗装性に優れ、目地周辺を汚染しない等の特徴を有し、万能シーリング材としての性能を有している。このイソブチレン系シーリング材に有効なプライマーとして、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を含有するプライマー組成物が特開平11−343429号公報に開示されているが、このプライマーを用いても、養生時間が短い場合の初期接着性が十分でないことがあるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、各種基材に対する接着性の良好なプライマー組成物を提供することを目的とし、特に反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材と各種基材を短い養生時間で良好に接着させるためのプライマー組成物および接着方法を提供することを目的とする。
【0006】
【問題点を解決する為の手段】
本発明者等は、このような問題を解決するために鋭意検討した結果、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、反応性ケイ素基を有するビニル系共重合体、または、反応性ケイ素基を有するポリブタジエン系重合体に、粘着性付与樹脂を添加したプライマー組成物によって、その目的を達成しうることを見出して、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、(A)(a)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、(b)主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端および/または側鎖に、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有するビニル系共重合体、(c)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有するポリブタジエン系重合体、よりなる群から選択された物質の1種もしくは2種以上と、(B)粘着性付与樹脂を含有することを特徴とするプライマー組成物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0009】
本発明では、(A)成分として、(a)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、(b)主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端および/または側鎖に、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有するビニル系共重合体、(c)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有するポリブタジエン系重合体、よりなる群から選択された物質の1種もしくは2種以上を用いることができる。これらの(A)成分は、ガラス、金属、多孔質基材などの各種基材に対する密着性が良好で、ガラス越しの耐候接着性に優れ、イソブチレン系シーリング材等の極性の低いシーリング材とも馴染みが良い被膜を形成する成分として機能する。
【0010】
(a)成分である反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は、芳香環以外の炭素ー炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、水素添加ポリブタジエン、水素添加ポリイソプレンなどがあげられる。
【0011】
反応性ケイ素基としては、一般式(1)、
【0012】
【化2】
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基または(R’)3SiO−(R’は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である)で示されるトリオルガノシロキシ基である。また、Xは、それぞれ独立に、水酸基または加水分解性基である。さらに、aは0、1、2、3のいずれかであり、bは0、1、2のいずれかであり、aとbとが同時に0になることはない。また、mは0または1〜19の整数である)で表される基があげられる。
【0013】
加水分解性基としては、たとえば、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基があげられる。
【0014】
これらのうちでは、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとくに好ましい。
【0015】
加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σb)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が反応性ケイ素基中に2個以上結合する場合には、それらは同じであってもよいし、異なってもよい。
【0016】
反応性ケイ素基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合には、20個以下であることが好ましい。
【0017】
とくに、一般式(2)
【0018】
【化3】
(式中、R2、X、aは前記と同じ)で表される反応性ケイ素基が、入手が容易であるので好ましい。
【0019】
飽和炭化水素系重合体1分子中の反応性ケイ素基は1個以上であり、1.1〜5個あることが好ましい。分子中に含まれる反応性ケイ素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、良好な被膜が得られなくなることがある。
【0020】
反応性ケイ素基は、飽和炭化水素系重合体分子鎖の末端あるいは内部にあってもよいし、また、両方にあってもよい。とくに、反応性ケイ素基が分子末端にあるときは、最終的に形成される硬化被膜に含まれる飽和炭化水素系重合体成分の有効網目鎖量が多くなるため、高強度の被膜が得られやすくなるなどの点から好ましい。
【0021】
また、これら反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体は単独あるいは2種以上併用することができる。
【0022】
本発明に用いる反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1ーブテン、イソブチレンなどのような炭素数1〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、上記オレフィン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの方法により得ることができるが、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多くすることができるので好ましい。
【0023】
イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、イソブチレンと共重合体を有する単量体単位をイソブチレン系重合体中の好ましくは50%以下(重量%、以下同じ)、さらに好ましくは30%以下、とくに好ましくは10%以下の範囲で含有してもよい。
【0024】
このような単量体成分としては、たとえば、炭素数4〜12のオレフィン、ビニルエーテル、芳香族ビニル化合物、ビニルシラン類、アリルシラン類などがあげられる。このような共重合体成分としては、たとえば1ーブテン、2ーブテン、2ーメチルー1ーブテン、3ーメチルー1ーブテン、ペンテン、4ーメチルー1ーペンテン、ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、αーメチルスチレン、ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、βーピネン、インデン、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、1,3−ジビニルー1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、トリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、ジアリルジメチルシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0025】
また、イソブチレンと共重合性を有する単量体として、ビニルシラン類やアリルシラン類を使用すると、ケイ素含有量が増加しシランカップリング剤として作用しうる基が多くなり、得られるプライマー組成物の接着性が向上する。
【0026】
水添ポリブタジエン系重合体や他の飽和炭化水素系重合体においても、上記イソブチレン系重合体のばあいと同様に、主成分となる単量体単位の他に他の単量体単位を含有させてもよい。
【0027】
また、本発明に用いる反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体には、本発明の目的が達成される範囲で、ブタジエン、イソプレンなどのポリエン化合物のような重合後2重結合の残るような単量体単位を少量、好ましくは10%以下、さらには5%以下、とくには1%以下の範囲で含有させてもよい。
【0028】
飽和炭化水素系重合体、好ましくはイソブチレン系重合体または水添ポリブタジエン系重合体の数平均分子量は500〜50,000程度であるのが好ましく、とくに1,000〜20,000程度の液状ないし流動性を有するものが取扱いやすいなどの点から好ましい。
【0029】
つぎに反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法について説明する。
【0030】
反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体のうち、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イニファー法と呼ばれる重合法(イニファーと呼ばれる開始剤と連鎖移動剤を兼用する特定の化合物を用いるカチオン重合法)で得られた末端官能型、好ましくは、全末端官能型イソブチレン系重合体を用いて製造することができる。例えば、この重合体の脱ハロゲン化水素反応や特開昭63−105005号公報に記載されているような重合体への不飽和基導入反応等により末端に不飽和基を有するポリイソブチレンを得た後、一般式(3)
【0031】
【化4】
(式中、R1、R2、X、aおよびbは前記と同じである。)
で表されるヒドロシラン化合物(この化合物は一般式(1)で表される基に水素原子が結合した化合物である。)、好ましくは、一般式(4)
【0032】
【化5】
(式中、R2、Xおよびaは前記と同じである。)
で表されるヒドロシラン化合物を白金触媒を用いてヒドロシリル化反応と呼ばれる付加反応をさせることにより反応性ケイ素基を重合体に導入する方法があげられる。ヒドロシラン化合物としては、たとえば、トリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、フェニルジクロロシランのようなハロゲン化シラン類;トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、フェニルジメトキシシランのようなアルコキシシラン類;メチルジアセトキシシラン、フェニルジアセトキシシランのようなアシロキシシラン類;ビス(ジメチルケトキシメート)メチルシラン、ビス(シクロヘキシルケトキシメート)メチルシランのようなケトキシメートシラン類などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちではとくにハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類が好ましい。
【0033】
このような製造法は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特許公報第2512468号、特開昭64−22904号、特許公報第2539445号の各明細書などに記載されている。
【0034】
また、分子鎖内部に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体は、イソブチレンを主体とするモノマー中に反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類を添加し、共重合せしめることにより製造される。
【0035】
さらに、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体を製造する際の重合に際して、主成分であるイソブチレンモノマー以外に反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類などを共重合せしめたのち末端に反応性ケイ素基を導入することにより、末端および分子鎖内部に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体が製造される。
【0036】
反応性ケイ素基を有するビニルシラン類やアリルシラン類としては、たとえば、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ジアリルジクロロシラン、ジアリルジメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γーメタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシランなどがあげられる。
【0037】
前記水添ポリブタジエン系重合体は、たとえば、まず、末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の水酸基を−ONaや−OKなどのオキシメタル基にした後、一般式(5):
CH2=CH−R3−Y (5)
(式中、Yは塩素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、R3は−R4−、−R4−OCO−または−R4−CO−(R4は炭素数1〜20の2価の炭化水素基で、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基が好ましい)で示される2価の有機基で、−CH2−、−R”−C6H5−CH2−(R”は炭素数1〜10の炭化水素基)より選ばれる2価の基がとくに好ましい)で示される有機ハロゲン化合物を反応させることにより、末端オレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体(以下、末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体ともいう)が製造される。
【0038】
末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体の末端水酸基をオキシメタル基にする方法としては、Na、Kのごときアルカリ金属;NaHのごとき金属水素化物;NaOCH3のごとき金属アルコキシド;NaOH、KOHなどのアルカリ水酸化物などと反応させる方法があげられる。
【0039】
前記方法では、出発原料として使用した末端ヒドロキシ水添ポリブタジエン系重合体とほぼ同じ分子量をもつ末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体が得られるが、より高分子量の重合体を得たい場合には、一般式(5)の有機ハロゲン化合物を反応させる前に、塩化メチレン、ビス(クロロメチル)ベンゼン、ビス(クロロメチル)エーテルなどのごとき、1分子中にハロゲンを2個以上含む多価有機ハロゲン化合物と反応させれば分子量を増大させることができ、その後一般式(5)で示される有機ハロゲン化合物と反応させれば、より高分子量でかつ末端にオレフィン基を有する水添ポリブタジエン系重合体をうることができる。
【0040】
前記一般式(5)で示される有機ハロゲン化合物の具体例としては、たとえばアリルクロライド、アリルブロマイド、ビニル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)ベンゼン、アリル(ブロモメチル)ベンゼン、アリル(クロロメチル)エーテル、アリル(クロロメトキシ)ベンゼン、1ーブテニル(クロロメチル)エーテル、1ーヘキセニル(クロロメトキシ)ベンゼン、アリルオキシ(クロロメチル)ベンゼンなどがあげられるが、それらに限定されるものではない。これらのうちではアリルクロライドが安価であり、しかも容易に反応するので好ましい。
【0041】
前記末端オレフィン水添ポリブタジエン系重合体への反応性ケイ素基の導入は、分子鎖末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体の場合と同様にヒドロシラン化合物を白金系触媒を用いて付加反応をさせることにより製造される。
【0042】
前記のように反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体が、芳香環でない不飽和結合を分子中に実質的に含有しない場合には、不飽和結合を有する有機系重合体やオキシアルキレン系重合体のような従来のゴム系重合体より形成される被膜とくらべて、著しく耐候性がよくなる。また、該重合体は炭化水素系重合体であるので湿気遮断性や耐水性がよく、ガラス、アルミなどの各種無機質基材に対して優れた接着性能を有するとともに、湿気遮断性の高い被膜を形成する。
【0043】
本発明のプライマー組成物中の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の含有率は1〜30%が好ましく、3〜20%がより好ましく、5〜10%がとくに好ましい。特に本発明のプライマー組成物をモルタルなどの多孔質の基材に対して用いる場合には、多孔質基材からの水分の浸出防止のため被膜の膜厚をより厚くする必要があり、該重合体の含有率は2〜50%が好ましく、5〜30%がより好ましく、10〜20%がとくに好ましい。
【0044】
上記の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体はそれ自身の粘度が高く作業性が悪いことがある。そのため、該重合体の粘度を下げて取扱いを改善することを目的に、本発明のプライマー組成物の接着性や汚染性が悪化しない程度に各種の可塑剤を添加しても良い。
【0045】
本発明の(a)成分である飽和炭化水素系重合体と相溶性がよい可塑剤としては、例えば、ポリブテン、水添ポリブテン、水添α−オレフィンオリゴマー、アタクチックポリプロピレンなどのポリビニル系オリゴマー;ビフェニル、トリフェニルなどのなどの芳香族系オリゴマー;水添液状ポリブタジエンなどの水添ポリエン系オリゴマー;パラフィン油、塩化パラフィン油などのパラフィン系オリゴマー;ナフテン油などのシクロパラフィン系オリゴマーなどがあげられる。
【0046】
また、フタル酸エステル系可塑剤や非芳香族2塩基酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤等も本発明のプライマー組成物の接着性、耐候性、耐熱性などを低下させない程度に、上記の可塑剤と併用して使用してもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0047】
前記可塑剤は、飽和炭化水素系重合体に反応性ケイ素基を導入する際に、反応温度の調節、反応系の粘度の調節などの目的で溶剤のかわりに用いてもよい。前記可塑剤の配合量は、反応性ケイ素基含有飽和炭化水素系重合体100部(重量部、以下同じ)に対して1〜100部が好ましく、10〜50部が更に好ましい。可塑剤の配合量がこの範囲を下回ると可塑化効果が小さく、また、この範囲を上回ると十分な接着性が得られないことがある。
(b)成分である反応性ケイ素基を有するビニル系共重合体(以下、シリル基含有ビニル系重合体という)の、主鎖が実質的にビニル系重合体鎖からなるとは、主鎖にウレタン結合やシロキサン結合などからなるセグメントのように、ビニル系単量体単位からなるセグメント以外のセグメントが、シリル基含有ビニル系重合体にビニル系重合体としての特性を実質的に損わない範囲で含有されていてもよいという意味であり、一般に主鎖を構成する原子の50原子%程度以下の範囲でビニル系単量体単位からなるセグメント以外のセグメントが含まれていてもビニル系重合体としての特性が実質的に損われることはない。このように主鎖が実質的にビニル系重合体からなるため、耐久性、耐薬品性などに優れるプライマーとなる。
【0048】
反応性ケイ素基としては、(a)成分の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の場合と同様に、一般式(1)または一般式(2)で表される基があげられる。
【0049】
また、前記シリル基含有ビニル系重合体の主鎖末端および/または側鎖に加水分解性シリル基を1分子中に少なくとも1個有するとは、該重合体の主鎖の末端や側鎖に1分子当り少なくとも1個、好ましくは2個以上の加水分解性シリル基を有するということである。1分子当り少なくとも1個の加水分解性シリル基を有するため、水分の存在下で高分子量化またはゲル化し、化学的に安定なシロキサン結合を生成して塗膜の耐薬品性などを向上させる。また、加水分解性シリル基は無機質基材への親和性がよく、かつ水分の存在によって架橋反応をおこすので塗膜は無機質の基材に対しても密着性がよいという効果がえられる。
【0050】
前記シリル基含有ビニル系重合体中の単位重量当りの加水分解性シリル基のmol数(以下、「 Si当量」という。)は、0.2〜5.0mmol/gであることが好ましく、0.5〜4.0mmol/gであることがより好ましく、1.0〜3.0mmol/gであることが特に好ましい。 Si当量が0.2mmol/gを下回るとプライマー組成物の接着性や皮膜形成性が十分でないことがある。
【0051】
前記シリル基含有ビニル系重合体の数平均分子量は500〜50,000程度であるのが好ましく、とくに1,000〜30,000程度のものが取扱いやすいなどの点から好ましい。
【0052】
また、該重合体のガラス転移点(Tg)などにもとくに限定はないが、たとえばTgが10℃以下というように低くなると重合体が低収縮性であるという特徴が生じ、Tgが30℃以上というように高くなると耐薬品性、耐水性、基材の補強性が向上するという特徴が生じる。
【0053】
前記のごときシリル基含有ビニル系重合体を製造する種々の方法がある。たとえば、(i)ビニル系モノマーと加水分解性シリル基含有モノマー(以下、シリル基含有モノマーという)との共重合により製造する方法、(ii)ビニル系モノマーと反応性官能基(以下、X基という)含有モノマー[例えばアクリル酸]とを共重合させ、その後生成した共重合体を反応性ケイ素基及びX基と反応し得る官能基を有する化合物[例えばイソシアネート基と−Si(OCH3)基を有する化合物]と反応させる方法、等が挙げられる。
【0054】
(b)成分のビニル系重合体鎖を構成する際に用いるビニル系モノマーとしては、例えば(メタ)アクリレート、スチレン類、α−メチルスチレン類、ケイ素基含有ビニルモノマー、フッ素含有ビニルモノマー、エポキシ基含有ビニルモノマー、マレイン酸エステル類等、種々のものが挙げられるが、これらの中では(メタ)アクリレートが好ましい。なお、本発明における(メタ)アクリレートは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味するものである。
【0055】
前記ビニル系モノマーにはとくに限定はないが、その具体例としては、たとえばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ポリカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸など)と炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのジエステルまたはハーフエステルなどの不飽和カルボン酸のエステル;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸、4−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有ビニル化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、アミノエチルビニルエーテルなどのアミノ基含有ビニル化合物;(メタ)アクリルアミド、イタコン酸ジアミド、α−エチルアクリルアミド、メタクリルアミド、クロトンアミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド、N−ビニルピロリドン、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどのアミド基含有ビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アロニクス5700(東亜合成化学工業(株)製)、Placcel FA−1、Placcel FA−4、Placcel FM−1、Placcel FM−4(ダイセル化学工業(株)製)などの水酸基含有ビニル化合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、それらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など)、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、酸無水物またはその塩;ビニルメチルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、マレイミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルスルホン酸などのその他のビニル化合物などがあげられる。これらの内、ラウリル(メタ)アクリレートやステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数10以上のアルキル(メタ)アクリレートは、イソブチレン系シーリング材等の極性の低いシーリング材とも馴染みが良い被膜を形成する為より好ましい。
【0056】
たとえばシリル基含有ビニル系重合体としてTgが10℃以下というように低いTgのものを製造するばあいには、ビニル系モノマーとしてブチルアクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのようにそのホモポリマーのTgが低いビニルモノマーを多く使用すればよく、またTgが30℃以上というように高いTgのものを製造するばあいには、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、スチレンなどのようにそのホモポリマーのTgが高いビニルモノマーを多く使用すればよい。
【0057】
また、前記シリル基含有モノマーにもとくに限定はないが、その具体例としては、たとえば
【0058】
【化6】
などがあげられる。
【0059】
前記シリル基含有モノマーとビニル系モノマーとからシリル基含有ビニル系重合体を製造する方法にはとくに限定はなく、たとえば特開昭54−36395号公報、同57−36109号公報、同58−157810号公報に示される方法などにしたがって製造しうるが、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルや2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ系ラジカル開始剤を用いた溶液重合が開始剤の取扱いが容易であり、また重合反応生成混合物がそのまま利用できるという点から最も好ましい。
【0060】
前記製造に際し、必要に応じてn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、(CH3O)3Si−S−S−Si(OCH3)3、(CH3O)3Si−S8−S−Si(OCH3)3などの連鎖移動剤を用いて分子量を調節することができる。
【0061】
とくに加水分解性シリル基を分子中に有する連鎖移動剤、たとえばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシランを用いればシリル基含有ビニル系重合体の末端に加水分解性シリル基を導入することができる。
【0062】
重合溶剤としては、炭化水素類(トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサンなど)、酢酸エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど)、エーテル類(エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテートなど)、ケトン類(メチルエチルケトン、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトン、アセトンなど)のごとき非反応性の溶剤であればとくに限定はなく使用しうる。
【0063】
本発明のプライマー組成物中のシリル基含有ビニル系重合体の含有率は1〜30重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましく、5〜10重量%がとくに好ましい。特に本発明のプライマー組成物をモルタルなどの多孔質の基材に対して用いる場合には、多孔質基材からの水分の浸出防止のため被膜の膜厚をより厚くする必要があり、該重合体の含有率は2〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましく、10〜20重量%がとくに好ましい。
【0064】
また、シリル基含有ビニル系重合体が、Tg10℃以下のシリル基含有ビニル系重合体とTg30℃以上のシリル基含有ビニル系重合体とを含むように調製したばあいには、とくにALCのように多孔質の無機質基材に適用したばあい、Tg10℃以下のシリル基含有ビニル系重合体は低収縮性などの特性をよくするために、またTg30℃以上のシリル基含有ビニル系重合体は補強性や耐水性などをよくするために有効となり、好ましい。
【0065】
この場合のTg10℃以下のシリル基含有ビニル系重合体とTg30℃以上のシリル基含有ビニル系重合体との使用割合は重量比で1/9〜8/2程度が好ましい。
【0066】
なお、Tgは下記Foxの式で計算することができる。
【0067】
【数1】
(式中、Tgiはi成分のTg、miはi成分の重量分率を表わす。)
(c)成分である反応性ケイ素基を有するポリブタジエン系重合体は、ブタジエンのラジカル重合や、例えば金属ナトリウム錯体触媒によるアニオン重合、および、いわゆるチーグラー(Ziegler)触媒により製造されるポリブタジエン系重合体に、先述の(a)成分の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体の場合と同様に、一般式(3)で表されるヒドロシラン化合物を白金触媒を用いてヒドロシリル化反応と呼ばれる付加反応をさせることにより、反応性ケイ素基を重合体に導入することができる。
【0068】
該ポリブタジエン系重合体中の単位重量当りの加水分解性シリル基のmol数( Si当量)は、0.2〜7.0mmol/gであることが好ましく、0.5〜5.0mmol/gであることがより好ましく、1.0〜4.0mmol/gであることが特に好ましい。 Si当量が0.2mmol/gを下回るとプライマー組成物の接着性や皮膜形成性が十分でないことがある。
【0069】
該ポリブタジエン系重合体の数平均分子量は500〜50,000程度であるのが好ましく、とくに1,000〜20,000程度の液状ないし流動性を有するものが取扱いやすいなどの点から好ましい。
【0070】
該ポリブタジエン系重合体は、1,2−結合と1,4−結合がランダムに結合した分子構造を有するが、前記ヒドロシリル化反応は、1,2−結合により生成する側鎖のビニル基に対して反応性が高い為、1,2−結合の割合の高いポリブタジエン系重合体を用いるのが好ましい。ポリブタジエン系重合体の1,2−結合の割合は、10〜99%が好ましく、30〜97%がより好ましく、50〜95%が特に好ましい。具体的には、日本石油化学(株)製の日石ポリブタジエンB−3000や、日本曹達(株)製のNISSO−PB B−2000等を用いることができる。また、ポリブタジエン系重合体は、水酸基やカルボキシル基を導入したものを用いてもよく、アクリル変性、エポキシ化変性、マレイン化変性したもの、一部水素添加したものを用いてもよい。
【0071】
本発明のプライマー組成物中の反応性ケイ素基を有するポリブタジエン系重合体の含有率は1〜30%が好ましく、3〜20%がより好ましく、5〜10%がとくに好ましい。特に本発明のプライマー組成物をモルタルなどの多孔質の基材に対して用いる場合には、多孔質基材からの水分の浸出防止のため被膜の膜厚をより厚くする必要があり、該重合体の含有率は2〜50%が好ましく、5〜30%がより好ましく、10〜20%がとくに好ましい。
【0072】
本発明に用いられる(B)成分の粘着性付与樹脂は本発明の特徴となる成分であり、金属やガラスなどの各種基材に対する密着性が良好で、イソブチレン系シーリング材等の各種シーリング材を打設した後、短い養生時間で接着性を発現させる被膜を形成する成分として機能する。
【0073】
この粘着性付与樹脂には特に限定はなく、通常、粘着付与剤として使用されるものを使用できる。具体例としては、ロジンエステル、水添ロジン、重合ロジン、変性ロジン、等のロジン系樹脂;テルペンフェノール、α−ピネン系テルペン樹脂、β−ピネン系テルペン樹脂、ジペンテン系テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、等のテルペン系樹脂;芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、水添炭化水素樹脂、等の石油系炭化水素樹脂;アルキルフェノール、変性フェノール、等のフェノール系樹脂;ケトン樹脂;キシレン樹脂;スチレン系樹脂;ロジンフェノール樹脂;クマロン−インデン樹脂;クマロン樹脂などが挙げられる。これらの中では、テルペン系樹脂、石油系炭化水素樹脂、スチレン系樹脂は、短時間での接着性改善効果が大きく、プライマー溶液の着色が少ないことからより好ましい。本発明では、これら粘着性付与樹脂を単独で用いてもよく、また、複数種を併用してもよい。
【0074】
本発明のプライマー組成物中の粘着性付与樹脂の含有率は1〜50%が好ましく、3〜30%がより好ましく、5〜10%がとくに好ましい。
【0075】
(C)成分であるシリケート化合物は、一般式(6)
(R5O)4-aSiR6 a (6)
(式中、 R5はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基などの炭素数6〜9のアリール基およびアラルキル基、好ましくはベンジル基などの炭素数7〜9のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基である。また、R6はそれぞれ独立に、炭素数1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、アリール基、好ましくはフェニル基などの炭素数6〜9のアリール基およびアラルキル基、好ましくはベンジル基などの炭素数7〜9のアラルキル基から選ばれた1価の炭化水素基である。さらに、aは0または1のいずれかである。)で表わされるオルガノシリケート化合物またはその部分加水分解縮合物であり、各種基材に対する密着性が良好で、プライマーの貯蔵安定性を改善する機能を有する。。
【0076】
前記オルガノシリケート化合物の具体例としては、たとえばテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラn−プロピルシリケート、テトラi−プロピルシリケート、テトラn−ブチルシリケート、テトラi−ブチルシリケート、テトラt−ブチルシリケートなどのテトラアルキルシリケート(テトラアルコキシシラン);メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリsec−オクチルオキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン、メチルトリフェノキシシランなどのアルキルトリアリールオキシシランなどのトリアルコキシシランまたはトリアリールオキシシランなどがあげられる。
【0077】
前記オルガノシリケート化合物の部分加水分解縮合物としては、たとえば通常の方法でテトラアルキルシリケートやトリアルコキシシラン、トリアリールオキシシランなどのオルガノシリケート化合物に水を添加し、部分加水分解させて縮合させたものがあげられる。また、オルガノシリケート化合物の部分加水分解縮合物は、市販のものを用いることができる。このような縮合物としては、例えば、MSI51、ESI28、ESI40(いずれもコルコート(株)製)等が挙げられる。
本発明のプライマー組成物中のシリケート化合物の含有率は0.5〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましく、2〜5重量%がとくに好ましい。上記シリケート化合物は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
【0078】
本発明の(D)成分であるシランカップリング剤は、(a)成分の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体や、(b)成分のシリル基含有ビニル系重合体、および(c)成分の反応性ケイ素基を有するポリブタジエン系重合体との反応等により強靭な被膜を形成するとともに、ガラス・金属・モルタル等の各種基材とイソブチレン系シーリング材や変成シリコーン系シーリング材等の各種シーリング材との接着強度を向上させるものである。シランカップリング剤は、加水分解性基が結合したケイ素原子を含む基(以下加水分解性ケイ素基という)及びそれ以外の官能基を有する化合物である。この加水分解性ケイ素基の例としては、一般式(1)で表される基の内Xが加水分解性基である物を挙げることができる。具体的には、加水分解性基として既に例示した基を挙げることができるが、メトキシ基、エトキシ基等が加水分解速度の点から好ましい。加水分解性基の個数は、2個以上、特に3個以上が好ましい。
【0079】
加水分解性ケイ素基以外の官能基としては、1級、2級、3級のアミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、ビニル基、イソシアネート基、イソシアヌレート、ハロゲン等を例示できる。これらの内、1級、2級、3級のアミノ基、メルカプト基、エポキシ基、イソシアネート基、イソシアヌレート等が好ましく、アミノ基とメルカプト基が特に好ましい。
【0080】
シランカップリング剤の具体例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシラン類;γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類等を挙げることができる。また、これらを変性した誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、ブロックイソシアネートシラン、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として用いることができる。
【0081】
本発明に用いるシランカップリング剤は、(A)成分100部に対し、0.1〜10000部の範囲で使用される。特に、1〜100部の範囲で使用するのが好ましい。上記シランカップリング剤は1種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用しても良い。
【0082】
本発明のプライマー組成物にはシランカップリング剤以外の接着性付与剤も用いることができる。
【0083】
本発明においては、プライマー組成物を硬化させ風乾性を与える機能を有する成分として、シラノール縮合触媒を用いることができる。
【0084】
かかるシラノール縮合触媒としては、例えば、2価および4価のスズ系硬化触媒、アルミニウム系触媒、アミン系触媒、および、有機チタン酸エステル類等が挙げられる。これらの内、2価スズ系硬化触媒、有機チタン酸エステル類がより好ましい。
【0085】
2価のスズ系硬化触媒の具体例としては、オクチル酸スズやステアリン酸スズを挙げることができる。4価のスズ系硬化触媒の具体例としては、錫カルボン酸塩類、ジアルキル錫オキサイド類、および、一般式(7)、
QdSn(OZ)4-d、又は[Q2Sn(OZ)]2O (7)
(式中、Qは炭素数1〜20の1価の炭化水素基を、Zは炭素数1〜20の1価の炭化水素基又は自己内部にSnに対して配位結合を形成し得る官能性基を有する有機基を表す。さらに、dは0、1、2、3のいずれかである。)で示される化合物などが示される。また、ジアルキル錫オキサイドやジアルキル錫ジアセテート等の4価錫化合物と、テトラエトキシシランやメチルトリエトキシシランやジフェニルジメトキシシランやフェニルトリメトキシシランなどの加水分解性ケイ素基を有する低分子ケイ素化合物との反応物もまた、シラノール縮合反応を顕著に加速する硬化触媒として有効である。これらの中でも、一般式(7)で示される化合物、すなわち、ジブチル錫ビスアセチルアセトナートなどのキレート化合物や錫アルコラート類はシラノール縮合触媒としての活性が高く、プライマー組成物の被膜形成速度が速くなるのでより好ましい。
【0086】
前記錫カルボン酸塩類の具体例としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチルマレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジイソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレート、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート等が挙げられる。
【0087】
前記ジアルキル錫オキサイド類の具体例としては、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイドや、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの混合物等が挙げられる。
【0088】
前記キレート化合物を具体的に例示すると、
【0089】
【化7】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、ジブチル錫ビスアセチルアセトナートは、触媒活性が高く、低コストであり、入手が容易であるために最も好ましい。
【0090】
前記錫アルコラート類を具体的に例示すると、
【0091】
【化8】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中ではジアルキル錫ジアルコキサイドが好ましい。特に、ジブチル錫ジメトキサイドは、低コストであり、入手が容易であるためにより好ましい。
【0092】
また、上記のスズ系硬化触媒以外の触媒の具体例として、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等のアルミニウム系硬化触媒;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系硬化触媒、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸等との塩等が例示できる。
【0093】
前記有機チタン酸エステル類としては、有機チタン酸エステル、チタンのキレート化合物、チタンのケイ酸エステルによるキレート化合物、チタネート系カップリング剤、これらの部分加水分解縮合物が挙げられる。有機チタン酸エステル類の具体例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラキス(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラステアリルチタネート、テトラメチルチタネート、ジエトキシビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロピルビス(アセチルアセトナト)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタン、イソプロポキシ(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ(2−エチルヘキソキシ)ビス(2−エチル−1,3−ヘキサンジオラト)チタン、ジ−n−ブトキシビス(トリエタノールアミナト)チタン、テトラアセチルアセトネートチタン、ヒドロキシビス(ラクタト)チタンおよびこれらの加水分解縮合物等を挙げることができる。
【0094】
これらの触媒は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0095】
このシラノール縮合触媒の配合量は、(A)成分100部に対して0.01〜100部程度が好ましく、0.1〜20部が更に好ましい。シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を下回ると被膜形成速度が遅くなることがあり、また被膜が十分に形成し難くなる場合がある。一方、シラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を上回ると、オープンタイムが短くなり過ぎて作業性が悪くなることがあり、また貯蔵安定性の点から好ましくない。
【0096】
本発明においては、プライマー組成物をプライマー塗布作業に適した粘度に調節するために溶剤を用いることができる。溶剤は本発明の(A)成分〜(D)成分を溶解するものであればよく、その種類は特に限定されない。かかる溶剤の具体例としては、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、石油系溶媒等の炭化水素系溶剤、トリクロロエチレン等のハロゲン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等のシリコーン系溶剤が例示される。
これらの溶剤は、単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0097】
この溶剤の配合量は、(A)成分100部に対して100〜10000部程度が好ましく、200〜2000部が更に好ましい。溶剤の配合量がこの範囲を下回るとプライマー組成物の粘度が高くなりすぎるため作業性の点から好ましくない。溶剤の配合量がこの範囲を上回ると十分な接着性が得られないことがある。
【0098】
本発明のプライマー組成物には、各種老化防止剤、耐候接着性改良剤が必要に応じて用いられる。これらの添加剤の具体例は、特開平11−343429号の明細書に記載されている。
【0099】
また、本発明のプライマー組成物には、各種充填材が必要に応じて用いられる。前記充填材の具体例としては、たとえば、木粉、パルブ、木綿チップ、アスベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸マグネシウム、石英、アルミニウム微粉末、フリント粉末、亜鉛末などがあげられる。これら充填材のうちでは沈降性シリカ、ヒュームシリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルクなどが好ましい。これらの充填材は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。充填材を用いる場合の使用量は(A)成分100部に対して1〜500部が好ましく、50〜200部がさらに好ましい。
【0100】
本発明のプライマー組成物には、(A)成分〜(D)成分や先に記載した可塑剤、溶剤、老化防止剤、耐候接着性改良剤および充填材の他に、必要に応じて各種添加剤が添加される。
【0101】
このような添加剤の例としては、たとえば、生成する硬化被膜の引張特性を調整する物性調整剤、貯蔵安定性改良剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止剤、タレ防止剤、滑剤、顔料、発泡剤などがあげられる。
【0102】
このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4−69659号、特公平7−108928号、特許公報第2512468号、特開昭64−22904号の各明細書などに記載されている。
【0103】
本発明におけるプライマー層上に適用するシーリング材としては、変成シリコーン系、シリコーン系、ポリウレタン系、アクリルウレタン系、ポリサルファイド系、変成ポリサルファイド系、ブチルゴム系、アクリル系、SBR系、含フッ素系などのシーリング材、油性コーキング材、シリコーン系マスチック、および、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材などを使用できる。本発明のプライマー組成物は、これらの中でも、反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材に用いた場合に有効であり、特に反応性ケイ素基を有するイソブチレン系重合体を主成分とするシーリング材(例えば特公平4−69659号公報に開示されたイソブチレン系シーリング材)に適用した場合に接着性が良好であるため好ましい。
【0104】
本発明のプライマー組成物は、鉄,ステンレススチール,アルミニウム,ニッケル,亜鉛,銅などの各種金属、アクリル樹脂,フェノール樹脂,エポキシ樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリブチレンテレフタレート樹脂,アルカリ処理されたフッ素樹脂などの合成樹脂材料、ガラス,セラミック,セメント,スレート、大理石や御影石などの石材、モルタル等の無機材料、および、変成シリコーン系,シリコーン系,ポリウレタン系,アクリルウレタン系,ポリサルファイド系,変成ポリサルファイド系,ブチルゴム系,アクリル系,SBR系,含フッ素系,イソブチレン系などの先打ちシーリング材と、各種シーリング材とを強固に接着させることができる。
【0105】
本発明のプライマー組成物は通常採用されているコーティング法、例えば、ハケ塗り法、スプレーコーティング法、ワイヤバー法、ブレード法、ロールコーティング法、ディッピング法などを用いて基材にコーティングできる。本発明のプライマー組成物は通常常温にて被膜形成しうるが、被膜形成速度を調整するために各温度条件下で被膜形成を行っても良い。
【0106】
【実施例】
つぎに実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔製造例1〕
2Lの耐圧ガラス製容器に、三方コックを取り付け、容器内を窒素置換した後、注射器を用いて容器内に、エチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブス3Aとともに1夜間以上放置することにより乾燥したもの)138mlおよびトルエン(モレキュラーシーブス3Aとともに1夜間以上放置することにより乾燥したもの)1012ml、p−DCC(下記化合物)8.14g(35.2mmol)を加えた。
【0107】
【化9】
次にイソブチレンモノマー254ml(2.99mol)が入っているニードルバルブ付耐圧ガラス製液化ガス採取管を、三方コックに接続して、重合容器を−70℃のドライアイス/エタノールバス中につけて冷却した後、真空ポンプを用いて容器内を減圧にした。ニードルバルブを開け、イソブチレンモノマーを液化ガス採取管から重合容器内に導入した後、三方コック内の一方から窒素を導入することにより容器内を常圧に戻した。次に、2−メチルピリジン0.387g(4.15mmol)を加えた。次に、四塩化チタン4.90ml(44.7mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から70分後に、アリルトリメチルシラン9.65g(13.4mmol)を加えてポリマー末端にアリル基の導入反応を行った。アリルトリメチルシランを添加してから120分後に、反応溶液を水200mlで4回洗浄したあと、溶剤を留去することによりアリル末端イソブチレン系重合体を得た。
【0108】
次いで、こうして得られたアリル末端イソブチレンポリマ−120gを90℃まで昇温した後、メチルジメトキシシラン1.5[eq/ビニル基]、白金(ビニルシロキサン)錯体5x10-5[eq/ビニル基]を添加し、ヒドロシリル化反応を行った。FT−IRにより反応追跡を行い、5時間で1640cm-1のオレフィン吸収が消失した。
【0109】
目的とする両末端に反応性ケイ素基を有するイソブチレンポリマ−:A−1(下記化合物)が得られた。
【0110】
【化10】
こうして得られたポリマ−の収量より収率を算出するとともに、Mn及びMw/MnをGPC法により、また末端構造を300MHz1H−NMR分析により各構造に帰属するプロトン(開始剤由来のプロトン:6.5〜7.5ppm、ポリマ−末端由来のケイ素原子に結合したメチルプロトン:0.0〜0.1ppm及びメトキシプロトン:3.4〜3.5)の共鳴信号の強度を測定、比較することにより求めた。1H−NMRは、Varian Gemini300(300MHz)を用い、CDCl3中で測定した。
【0111】
なお、FT−IRは島津製作所製IR−408、GPCは送液システムとしてWaters LC Module1、カラムはShodex K−804を用いて行った。分子量はポリスチレンスタンダードに対する相対分子量で与えられる。ポリマーの分析値は、Mn=5800、Mw/Mn=1.35、Fn(シリル)=1.90であった。(数平均分子量はポリスチレン換算、末端シリル官能基数はイソブチレンポリマー1分子当たりの個数)。
〔製造例2〕
撹拌装置、温度計、チッ素導入管、滴下ロート、冷却管を備えた反応器にトルエン100gを仕込み、110℃に加熱した。そののち、メタクリル酸ステアリル30g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン70g、スチレン100g、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)2.8g、トルエン100gを溶かした溶液を、反応器に3時間かけて連続添加した。モノマー添加終了後、さらに5時間重合を行ない、固形分濃度50重量%で、GPC(ポリスチレン換算)による数平均分子量(Mn)が14,000のシリル基含有ビニル系重合体(A−2)の溶液をえた。
〔製造例3〕
200ml4つ口フラスコに三方コックを取り付け、容器内を窒素置換した後、窒素下にて日本石油化学製:日石ポリブタジエンB−3000(数平均分子量:3000。ブタジエン単位で65%の1,2−ビニル基を有する。)41.8g(0.50molの1,2−ビニル基を含有)をトルエン(モレキュラーシーブス3Aとともに1夜間以上放置することにより乾燥したもの)67.8gに溶解し、白金(ビニルシロキサン)錯体(3wt%キシレン溶液)74.6μl(2x10-5当量/1,2−ビニル基) を添加して、液温を60℃まで昇温した。これにメチルジメトキシシラン27.4g(0.25mol)を滴下管を用いて、反応熱に注意しながら徐々に滴下した。滴下終了後液温を80℃に保ち、3時間反応した後、IRにてSiH基(2150cm-1)の消失を確認した。得られた溶液を200mlのなす型フラスコに移液し、エバポレーターにて溶媒留去を行い、目的とする反応性ケイ素基を有するポリブタジエン系重合体:A−3を得た。Si当量は3.7mmol/gであった。
〔実施例1〜8および比較例1〜2〕
(A)成分として、製造例1で得られた(a)成分の反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体(A−1)、製造例2で得られた(b)成分のシリル基含有ビニル系重合体(50重量%トルエン溶液;A−2)、および製造例3で得られた(c)成分の反応性ケイ素基を有するポリブタジエン系重合体(A−3)と、(B)成分の表1に示す各種粘着性付与樹脂、(C)成分のシリケート化合物であるエチルシリケート40(コルコート(株)製)、(D)成分のシランカップリング剤であるγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名KBE−603)およびγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(日本ユニカー(株)製、商品名A−189)、シラノール縮合触媒であるテトラ−n−ブチルチタネート(和光純薬工業(株))、および、溶剤としてヘキサンとイソプロパノール(和光純薬工業(株))を表1に示す重量比で混合し、プライマー組成物を調製した。
【0112】
【表1】
引張接着性試験は以下の方法により調製した主剤と硬化剤を用いて評価した。
【0113】
反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体(鐘淵化学工業(株)製、商品名エピオンEP505S )150部に対して、エポキシ化ポリブタジエン(旭電化工業(株)製、商品名BF−1000)を5部、水添α−オレフィンオリゴマー(出光石油化学(株)製、商品名PAO5004)60部、膠質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名シーレッツ200)50部、膠質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、商品名MC−5)50部、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、商品名ソフトン3200)40部、光硬化性樹脂(東亜合成(株)製、商品名アロニックスM−309)3部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(日本チバガイギー(株)製、商品名チヌビン327)1部、ヒンダードアミン系光安定剤(三共(株)製、商品名サノールLS−770)1部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(日本チバガイギー(株)製、商品名イルガノックス1010)1部、H2O5部を各計量し、三本ペイントロールでよく混練して主剤とした。
【0114】
また、オクチル酸スズ(日東化成(株)製、商品名U−28)3部、ジステアリルアミン(花王(株)製、商品名ファーミンD86)0.4部、パラフィン系プロセスオイル(出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスPS−32)6.6部、重質炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製、商品名ホワイトンSB)20部を各計量し、ディスポーザルカップ中で手混ぜ混練した後、日本精機製作所(株)製のエクセル・オート・ホモジナイザーを用いて、回転数10000rpmで10分間撹拌する操作を3回行うことにより硬化剤を調製した。
【0115】
引張接着性試験方法は以下の方法により評価した。 JIS A−5758に準拠した陽極酸化アルミ(広苑社製:日本シーリング材工業会指定、寸法:5×5×0.5cm)、電解着色アルミニウム板(広苑社製、寸法:5×5×0.5cm)をメチルエチルケトン(和光純薬工業(株))で洗浄し、表1のプライマーをハケで1回塗布した。23℃で30分以上放置し被膜形成したプライマー層上に、前記の主剤と硬化剤を366/30の重量比で混合したものを約10mmの厚さで打設した。養生条件はいずれも、23℃×24時間である。養生後、接着面をカッターナイフで切り込みながら手剥離試験を行い、基材の表面を観察した。プライマーの配合組成、および、接着性試験の評価結果を表1にまとめて示す。なお、表1中の○は凝集破壊を示し、×は界面破壊を示す。
【0116】
比較例1〜2で示すプライマー組成物は、(B)成分を含有しないプライマーであり、短い養生時間では接着性は十分に発現せず界面破壊を示した。一方、(B)成分を添加した実施例1〜8のプライマー組成物は短い養生時間で接着性が発現し、全て凝集破壊を示している。
【0117】
以上のように、(A)(a)反応性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体、(b)シリル基含有ビニル系重合体、(c)反応性ケイ素基を有するポリブタジエン系重合体、よりなる群から選択された物質の1種もしくは2種以上と、(B)粘着性付与樹脂を含有するプライマー組成物は、短い養生時間での接着性改善に著しい効果を示す。
【0118】
【発明の効果】
本発明のプライマー組成物は、短い養生時間での各種基材に対する接着性を著しく改善することができる。その効果はイソブチレン系シーリング材に適用した場合に特に有用である。
Claims (10)
- (A)(a)ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体、(b)主鎖が実質的にビニル系共重合体鎖からなり、主鎖末端および/または側鎖に、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有するビニル系共重合体、よりなる群から選択された物質の1種もしくは2種以上と、(B)粘着性付与樹脂および(A)成分100重量部に対して100〜10000重量部の溶剤とを含有することを特徴とするプライマー組成物。
- (C)成分として、シリケート化合物をさらに含有する請求項1記載のプライマー組成物。
- (D)成分として、シランカップリング剤をさらに含有する請求項1または2記載のプライマー組成物。
- (a)成分の飽和炭化水素系重合体が、数平均分子量が500〜50000の範囲内にあり、主鎖の末端および/または側鎖の末端に、一般式(1)、
- (a)成分の飽和炭化水素系重合体が、イソブチレンに起因する繰り返し単位を総量で50重量%以上有する重合体である請求項1記載のプライマー組成物。
- (b)成分のビニル系共重合体が、数平均分子量が500〜50000の範囲内にあり、主鎖の末端および/または側鎖の末端に、前記一般式(1)で表される加水分解性シリル基を、1分子あたり、1個以上有することを特徴とする請求項1記載のプライマー組成物。
- (b)成分がポリブタジエン系重合体であって、数平均分子量が500〜50000の範囲内にあり、主鎖の末端および/または側鎖の末端に、前記一般式(1)で表される加水分解性シリル基を、0.2〜7.0mmol/g有することを特徴とする請求項1記載のプライマー組成物。
- (B)成分の粘着性付与樹脂が、テルペン系樹脂、石油系炭化水素樹脂、スチレン系樹脂、よりなる群から選択された1種もしくは2種以上の物質である請求項1記載のプライマー組成物。
- (D)成分のシランカップリング剤が、アミノシランカップリング剤および/またはメルカプトシランカップリング剤である請求項1記載のプライマー組成物。
- 請求項1記載のプライマー組成物を基材上に塗布した後、該塗布面に、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋し得るケイ素含有基を少なくとも1個有する飽和炭化水素系重合体を主成分とするシーリング材を接着させることを特徴とする該シーリング材の基材への接着方法。
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