JP4666327B2 - 缶蓋 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、缶容器の端板部として缶胴の開口端部に二重巻締めで固着される缶蓋に関し、特に、缶内圧が高い正内圧缶(陽圧缶)に使用される缶蓋であって、缶内圧が異常に上昇した時のバックリングに伴う巻締部の耐破壊性に優れた缶蓋の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭酸飲料やビール等の発泡性飲料を内容物とする飲料缶、或いは、内容物の充填時に液体窒素を滴下した飲料缶のような缶内圧の高い正内圧缶(陽圧缶)では、缶容器の板厚をある程度まで薄くしても缶内圧により缶容器の形状を維持できるため、製缶の際の経済性や省資源の観点から、缶容器の板厚をできるだけ薄くして使用材料を減らすような努力が従来から図られており、缶容器の端板部となる缶蓋の部分についても同様な使用材料の削減が図られている。
【0003】
そのように缶蓋の使用材料を削減する場合、金属板の板厚を薄くすればその分だけ缶蓋の耐圧強度が低下するのに対して、そのような耐圧強度の低下を補うために、使用する金属板を高強度化する以外に、例えば、缶蓋のパネル部外周に形成される強化用の環状溝(缶内側に窪んだ環状溝)を深くすることでカウンターシンクデプス(フランジカール部上端から環状溝の溝底までの深さ)やパネルハイト(環状溝の溝底からパネル部までの高さ)をそれぞれ大きくしたり、また、強化用の環状溝の底壁部の曲率半径を小さくしたりする等、缶蓋の形状について耐圧性能を高くするための様々な工夫が従来から行われている(例えば、特開昭60−183353号公報,特開平2−192837号公報,実開平2−131931号公報,特開平3−275443号公報,特表平3−503140号公報等参照)。
【0004】
一方、缶蓋の主材料として使用する金属板については、従来、強度,耐食性,成形性の面からの観点から、AL−Mg系のJIS−5052,5082,5182等のアルミニウム合金板が一般的に用いられており、特にビールや炭酸飲料等を内容物とする内圧の高い飲料缶の缶蓋では、耐圧強度の観点から高強度のJIS−5182材が多く用いられているが、そのような缶蓋用のアルミニウム合金板は、圧延されていることで強度の異方性が大きくなっており、金属板の圧延方向(圧延方向に対して0°方向)やそれと直交する方向(圧延方向に対して90°方向)の強度に比べて、45°方向(圧延方向に対して45°方向)の強度が小さくなっている。これに対して、そのような缶蓋用のアルミニウム合金板を製造する段階で、強度の異方性をできるだけ少なくするような工夫が従来から行われている(例えば、特開平5−5149号公報,特開平9−256097号公報等参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ビールや炭酸飲料等を内容物とする内圧の高い飲料缶では、高い缶内圧により缶蓋の周辺部分が反転してパネル部が缶外方に膨出する所謂バックリングという現象が起きることがあり、JIS−5182材のような耐圧強度の高いアルミニウム合金板を使用して耐圧性の高い形状に缶蓋を成形しても、何らかの原因(例えば、夏場の自動車内のダッシュボードで飲料缶が異常な高温に曝される等)によって缶内圧が異常に高くなるとバックリングが起きることがあって、そのようなバックリングが起きる際には、金属板の強度異方性を少なくしている場合であっても、金属板の圧延方向に対して45°方向からバックリングが発生し易い傾向のあることには変わりはない。
【0006】
すなわち、異常に高くなった缶内圧が缶蓋に内側から作用すると、環状溝の溝底を突き上げるようにチャックウォール部が上方に反転してパネル部が缶外方に膨出するようにバックリングするが、そのようなバックリングの発生時に、缶蓋の周辺部分(チャックウォール部や環状溝やパネル部の外周部分)に起きる変形が、強度が小さく変形し易いライン、即ち、金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心を通る仮想線の部分に集中して、図5(A)および図6(A)に示すように、強度が小さく変形し易いラインを山折りの屈曲線として缶外方に突出した角出し部10が缶蓋1の周辺部分で瞬間的に形成されることとなる。
【0007】
そのように缶蓋の中心を通って圧延方向と45°の方向に延びる仮想線の部分に変形が集中して、該仮想線に沿って缶蓋の周辺部分に鋭く角出し部が形成されることにより、この角出し部によって引っ張られる状態で、チャックウォール部に続く巻締部の缶蓋側(カバーフック)と缶胴側(ボディフック)の係合状態が引き延ばされ、遂には、図6(B)に示すように、巻締部が破壊されて缶蓋が缶胴から外れることで内容物が周囲に飛び散る所謂ブローオフと呼ばれる現象が起きることがあって、特に、材料合理化のために金属板を薄肉化した上に巻締部の幅(高さ)を通常よりも小さくした所謂ミディシームやミニシームと呼ばれる巻締部の場合にはブローオフ現象が起こり易いという問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、缶内圧の高い正内圧缶用の缶蓋について、缶蓋の金属組成や巻締部の仕様を特に変更するようなことなく、缶内圧が異常に上昇してバックリングが発生しても、巻締部が破壊されて内容物を周囲に飛散させるようなブローオフ現象が起きることのないようにすることを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、略円板状のパネル部の外周に補強用の環状溝が形成され、下方に窪んだ環状溝の外縁に続いてチャックウォール部が外方に傾斜して立ち上がり、チャックウォール部の上端がフランジカール部の内縁曲壁部分に連なるように、圧延された金属板からプレス成形により一体成形されて、底蓋として使用される缶蓋において、プレス成形により金属板から缶蓋を一体成形する段階で、金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心を通る仮想線に対して、この仮想線の近傍で仮想線から外れた位置にバックリング誘発部を形成しておくことを特徴とするものである。
【0010】
上記のような構成の缶蓋によれば、缶内圧が異常に上昇してバックリングが発生する際に、バックリング誘発部で積極的に缶蓋を変形させることにより、強度が小さく変形し易いライン(金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心を通る仮想線)の部分に応力を集中させないようにすることができ、その結果、バックリングの発生時に形成される角出し部の折れ曲がりを比較的丸く緩慢なものとすることができて、角出し部の形成に伴って巻締部に作用する引張応力を分散させることができ、該引張応力による巻締部の瞬間的な破壊を抑制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の缶蓋の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の一実施形態に係る缶蓋について、図1は、缶蓋の上面形状を示し、図2(A),(B)は、缶蓋のバックリング誘発部が無い部分と有る部分のそれぞれの断面形状を示し、図3(A),(B)および図4(C)(D)は、缶蓋のプレス成形工程における各段階を示し、図5(A),(B)は、缶蓋のバックリング状態をそれぞれ示すものである。また、図6(A),(B)は、缶蓋のバックリングとブローオフの状態をそれぞれ示し、図7は、本発明の缶蓋の各実施例と比較例とついて、圧力テスターにより加圧した場合の時間と缶内圧の関係をグラフで示すものである。
【0012】
本実施形態の缶蓋は、炭酸飲料やビール等を内容物とする正内圧缶(陽圧缶)に底蓋として使用されるもので、図1および図2(A)に示すように、缶蓋1の中央部分である略円板状のパネル部2の外周には、下方(缶内側)に窪むように補強用の環状溝4が形成され、環状溝4と僅かに間隔を置いたパネル部2の周辺部分には補強用の環状ビード3が形成され、環状溝4の外縁に続いてチャックウォール部5が外方に傾斜して立ち上がり、チャックウォール部5の上端はフランジカール部6の内縁曲壁部分6aに連なっていて、外縁部が曲壁部分6bとして下方内側にカールされたフランジカール部6は、図示していないが、その裏面側に有機高分子製のシール剤が塗布されてから、缶本体(缶胴)のフランジ部の上に載置されて、缶本体のフランジ部と二重巻締めされることとなる。
【0013】
上記のような缶蓋1は、従来から知られた成形金型によるプレス成形によって缶蓋用の金属板材から一体成形されるものであり、缶蓋素材として使用される金属板材は、5052材や5182材のようなアルミニウム合金の圧延金属板を主材として、その少なくとも一方の面(缶内面側)に、樹脂塗料の塗装や熱可塑性樹脂フィルムのラミネートによる保護被膜を施したような、製缶分野で従来から一般的に使用されている缶蓋用のアルミニウム系金属板材である。
【0014】
そのようなアルミニウム合金の圧延金属板を主材料とする缶蓋1において、本実施形態では、図1に示すように、金属板の圧延方向(圧延方向に対して0°方向)で缶蓋の中心Oを通る仮想線Yと、金属板の圧延方向と直交する方向(圧延方向に対して90°方向)で缶蓋の中心Oを通る仮想線Xとによって区分される缶蓋1の4つの領域のそれぞれにおいて、金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心Oを通る各仮想線Lに対して、この仮想線Lの近傍で仮想線Lから外れた位置にバックリング誘発部7がそれぞれ形成されている。
【0015】
すなわち、本実施形態の缶蓋1では、4箇所のバックリング誘発部7が、仮想線Yを挟んで対称形となり、且つ、仮想線Xを挟んで対称形となるように、そして、何れも圧延方向に対して45°方向の仮想線Lの近傍で仮想線Lから外れるように、環状ビード3と環状溝4の間の部分にそれぞれ形成されていて、それぞれのバックリング誘発部7は、何れも、図2(B)に示すように、環状溝4の内側上端縁の角部を部分的に切り欠くような溝状の凹部として形成されている。
【0016】
なお、溝状の凹部によるバックリング誘発部7を環状溝4の内側上端縁に形成するための方法については、図3(A),(B)および図4(C),(D)に示すように、従来から知られた成形金型により缶蓋1をプレス成形するに際して、金型の一つであるパンチコア20の角部に対して、該角部を部分的に切り欠くような溝状の凹部20aを形成しておく(例えば、曲率半径が0.5mmの角部に対して、幅が2.4mmで溝底の曲率半径が0.7mmの切欠部を形成しておく)ことにより、図4(C)に示すように、パンチコア20とパネルフォームリング21により環状溝4を成形する時に、環状溝4と環状ビード3の間の部分を、図4(D)に示すように、パンチコア20の凹部20a内に引き込まれるように変形させることで、溝状の凹部によるバックリング誘発部7が環状溝4の内側上縁部に形成されることとなる。
【0017】
そのような方法によりバックリング誘発部(溝状の凹部)7を形成することにより、補強用の環状ビード3や環状溝4を成形するための金型部品であるパンチコア20に対して、その角部の所望位置に凹部(溝部)20aを形成しておくだけで、専用の工具や工程を必要とすることなくバックリング誘発部7を形成することができ、また、パンチコア20の凹部(溝部)20aへの金属材料の引き込みによりバックリング誘発部7を成形していることで、缶蓋の内外面に損傷を与えることなくバックリング誘発部7を形成することができる。
【0018】
ところで、上記のような方法により環状ビード3と環状溝4の間の4箇所に溝状の凹部によるバックリング誘発部7を形成した本実施形態の缶蓋1について、これを缶容器の端板部(底蓋)に使用した場合、缶内圧が異常に上昇してバックリングが発生する際に、金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心Oを通る仮想線L(強度が最も小さく変形し易いライン)から外れた位置に形成されているバックリング誘発部7の箇所で積極的にバックリングが起きることとなる。
【0019】
この点について、厳密に言えば、缶内圧の異常上昇によりバックリングが始まる(1回目のバックリングが起きる)際に、バックリング誘発部7からバックリングが始まるのではなく、金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心Oを通る仮想線Lの部分に応力が集中してこの部分が変形してから、その後で直ちにバックリング誘発部7が変形領域となるのである。
【0020】
そのようにバックリングの発生時(1回目のバックリング時)にバックリング誘発部7の部分で缶蓋が変形することにより、図5(A)および図6(A)に示すようなバックリングの発生時に形成される角出し部10が、その折れ曲がりが比較的丸く緩慢なものとなって、巻締部が破壊されて内容物が飛散するようなブローオフ現象が起きることは殆どなくなる。
【0021】
そのようにブローオフ現象が減少する要因について明確には究明されていないが、およそ次の要因によるものであると推論できる。すなわち、バックリング誘発部7が積極的に変形することで、缶蓋のうちで強度が最も小さく変形し易い仮想線Lの部分への応力の集中を防ぐことができ、バックリング発生時に形成される角出し部10が鋭くならないことで、瞬間的な角出し部10の形成に伴って巻締部に作用する引張応力を分散させることができて、該引張応力の分散による軽減で巻締部の瞬間的な破壊を抑制することができるものと考えられる。
【0022】
これに対して、バックリング誘発部7を全く設けない場合には、既に述べたように、バックリングの際の変形(環状溝4やチャックウォール部5が上方に反転してパネル部2が上方に膨出する)が、仮想線Lに沿って一方向にだけ局部的に起きることで、変形により山折りに突出する角出し部10が鋭角的なものとなり、その結果、角出し部10が形成されるのに伴ってカバーフック(巻締部の缶蓋側フランジ部)が上方に引き延ばされ、巻締部を構成しているボディフック(巻締部の缶胴側フランジ部)との係合が破壊してしまうこととなる。
【0023】
なお、バックリング発生時にバックリング誘発部7を積極的に変形させるためには、バックリング誘発部7の位置を、金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心Oを通る仮想線Lから外れてはいるが、該仮想線Lから離れ過ぎないようにする必要であって、その離れ具合については、圧延方向に対して45°方向の仮想線Lから5°程度(缶蓋の中心Oを基点として)離れた位置、即ち、缶蓋の中心Oを基点とした圧延方向(仮想線Y)とバックリング誘発部7の角度θが略40°又は略50°程度となるようにするのが好ましく、仮想線Lからそれ以上離すと、バックリング誘発部7の効果が低くなって、結局は、仮想線Lの部分に応力が集中してしまうこととなる。
【0024】
バックリング誘発部7の数については、1箇所以上あれば良いことになるが、缶蓋のどの領域においても圧延方向に対して45°方向の仮想線Lから外れた位置で変形が起きるようにしておくためには、本実施形態に示したように、4つに区分した領域のそれぞれ(合計で4箇所)にバックリング誘発部7を設けるのが好ましく、バックリング誘発部7を缶蓋の4つの区分のそれぞれに設けることで、隣り合う何れかのバックリング誘発部7との距離を近づけておくことにより、バックリングが発生した(1回目のバックリングが起きた)後で未だ缶内圧が異常に高い時には、距離的に近い方の隣り合うバックリング誘発部7から2回目のバックリングを誘発させ易くすることができる。
【0025】
上記のようにバックリング誘発部7を設けた本実施形態の缶蓋1によれば、缶内圧が異常に上昇してバックリングが発生する際に、バックリング誘発部7の部分で積極的に缶蓋を変形させることにより、強度が小さく変形し易い仮想線L(金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心Oを通る仮想線)の部分に応力が集中するのを防止することができ、その結果、バックリングの発生時に形成される角出し部10の折れ曲がりを比較的丸く緩慢なものとして、角出し部10の形成に伴って巻締部に作用する引張応力を分散させることで、巻締部が瞬間的に破壊されて内容物を周囲に飛散させるようなブローオフ現象が起きるのを防止することができる。
【0026】
また、本実施形態では、複数の箇所にバックリング誘発部7を形成していることで、即ち、仮想線Xと仮想線Yとによって区分される缶蓋の4つの領域のそれぞれにバックリング誘発部7を形成していることで、1回目のバックリングが起きた後、未だ缶内圧が異常に高くても、巻締部が破壊される前に、2回目以降のバックリングを容易に誘発させる(本実施形態では缶蓋の全周で順次にバックリングを起こさせることができる)ことで、缶内のヘッドスペースの容積拡大を図ることができ、パネル部2の保証耐圧を維持しつつ、しかも、ブローオフ現象の発生を防止するができる。
【0027】
さらに、本実施形態では、バックリング誘発部7を、環状溝4の内側上端縁の角部を部分的に切り欠くような溝状の凹部として形成していることで、バックリングの発生時に、角出し部10の先端部分において、少ないながら溝状の凹部にも反転が起きることとなり、それによって、角出しの瞬間的な形成を僅かに抑制することができ、また、角出し部10の先端部分が鋭くなるのを抑えられるため、急激な引張応力が巻締部に作用するのを一層効果的に防止することができる。
【0028】
なお、上記のような本実施形態の缶蓋について、5182−H39材で、板厚が0.31mm、カール外径(巻締前の缶蓋の直径)が68.3mm、カウンターシンクデプス(フランジカール部上端から環状溝の溝底までの深さ)が6.9mm、パネルハイト(フランジカール部上端から環状溝の溝底までの深さ)が2.3mm、チャックウォール部の傾斜角が13°0′、環状ビードの高さが0.5mm、環状溝の内側上縁部の角部の内側Rが0.35mmであり、巻締部の幅が2.75mmとなる缶蓋を使用して、以下に述べるような各実施例と比較例についてブローオフ試験と耐圧試験をそれぞれ行い、その結果を比較検討した。
【0029】
すなわち、上記のような仕様の缶蓋に対して、その環状溝の内側上縁部の角部に、内側Rが0.7mmである溝状の凹部によるバックリング誘発部を、円周方向で間隔を置いて4箇所に形成した缶蓋を実施例として、そのような実施例のうち、圧延方向に対して50°の角度で缶蓋の中心Oを通る線上にバックリング誘発部を形成した缶蓋を〔実施例1〕とし、圧延方向に対して40°の角度で缶蓋の中心Oを通る線上にバックリング誘発部を形成した缶蓋を〔実施例2〕とした。また、バックリング誘発部を全く形成していない缶蓋を〔比較例〕とした。
【0030】
ブローオフ試験
450mlボトル型缶の缶胴の開口端部に缶蓋を載せて巻締幅が2.75mmとなるように巻締めを行い、内容物としてコーラをガスボリューム4.0,ヘッドスペース17.0mmで充墳してキャッピングし、60℃の恒温室で6時間かけて缶内圧が880kPa(計算値)となるように調整して、缶蓋およびその巻締部の外れ状況を目視で観察し評価した。なお、各実施例と比較例のサンプルは何れも10個ずつ(No1〜10)である。内圧は、触圧内圧計で測定しガス圧測定器との差圧を換算している(kPa)。
また、判定基準については以下の通りである。
A 角出し部が1箇所に発生、巻締部の外れが有る(ブローオフ有り)。
B 角出し部が1箇所に発生、缶蓋の破れが有る(ブローオフ有り)。
C 角出し部は1箇所に発生(ブローオフ無し)。
D 角出し部は2箇所に発生(ブローオフ無し)。
E 角出し部が全周(4箇所)に発生(ブローオフ無し)。
【0031】
その結果、以下の表1に示すように、実施例1および実施例2の缶蓋では、何れも、比較例の缶蓋と比べて、ブローオフ現象がかなり少なくなっていることが判った。
【0032】
【表1】
【0033】
耐圧試験
空缶に缶蓋を巻締めた後、その口部側を切り落とし、圧力テスターにテスト缶をクランプセットし、バックリングするまでエアーで加圧し、1回目のバックリング(角出し)が発生するときの時間と圧力の関係を調べた。なお、各実施例と比較例についてサンプル10個ずつの平均値を取った。
【0034】
その結果、図7に示すように、実施例(1,2)の缶蓋では、何れも、保証耐圧617kPaを越えた圧力(764〜784kPa)で1回目のバックリングがバックリング誘発部の角部に発生するが、比較例で起こるようなブローオフ現象は起きず、へッドスペースの容積を拡大させていることが判った。
【0035】
以上、本発明の缶蓋の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば、缶蓋のパネル部に上方に突出して形成した補強ビードについては、下方に突出して形成しても或いは省略しても良く、また、バックリング誘発部については、2箇所や3箇所に設けても良いし、環状溝の内側上縁部の角部に形成する溝状の凹部のような構造に限らず、薄肉コイニング部として形成したり、複数条のスコア線として形成したり、或いは、内面側から張り出し加工やコイニング加工することで形成しても良い等、適宜設計変更可能なものであることは言うまでもない。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の缶蓋によれば、缶内圧が異常に上昇してバックリングが発生しても、金属板の圧延方向に対して45°方向の強度が小さい部分に応力を集中させることなく、巻締部に作用する引張応力を分散させて局部的に瞬間的な破壊力が巻締部に作用するのを防止することができ、その結果、缶蓋の材料や巻締部の仕様を特に変更しなくても、巻締部の破壊により内容物を周囲に飛散させるようなブローオフ現象が起きるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の缶蓋の一実施形態を示す上面図。
【図2】図1に示した缶蓋について、(A)バックリング誘発部の無い部分と(B)バックリング誘発部の有る部分とをそれぞれ示す縦断面図。
【図3】図1に示した缶蓋のプレス成形工程の各段階(A),(B)をそれぞれ示す縦断面図。
【図4】図1に示した缶蓋のプレス成形工程の各段階(C),(D)をそれぞれ示す縦断面図。
【図5】図1に示した缶蓋について、(A)1箇所の角出しでバックリングした状態と(B)全周でバックリングした状態をそれぞれ示す斜視図。
【図6】缶蓋がバックリングしてからブローオフする状態について、(A)バックリングした状態を示す縦断面図、および(B)ブローオフした状態を示す側面図。
【図7】本発明の缶蓋の各実施例と比較例とついて、圧力テスターにより加圧した場合の時間と缶内圧の関係をグラフ。
【符号の説明】
1 缶蓋
2 パネル部
3 環状ビード
4 環状溝
5 チャックウォール部
6 フランジカール部
6a 内縁曲壁部分
7 バックリング誘発部(溝状の凹部)
L 金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心を通る仮想線
O 缶蓋の中心
X 金属板の圧延方向と直交する方向で缶蓋の中心を通る仮想線
Y 金属板の圧延方向で缶蓋の中心を通る仮想線
Claims (3)
- 略円板状のパネル部の外周に補強用の環状溝が形成され、下方に窪んだ環状溝の外縁に続いてチャックウォール部が外方に傾斜して立ち上がり、チャックウォール部の上端がフランジカール部の内縁曲壁部分に連なるように、圧延された金属板からプレス成形により一体成形されて、底蓋として使用される缶蓋において、プレス成形により金属板から缶蓋が一体成形される段階で、金属板の圧延方向と45°の角度で缶蓋の中心を通る仮想線に対して、この仮想線の近傍で仮想線から外れた位置にバックリング誘発部が形成されていることを特徴とする缶蓋。
- 金属板の圧延方向で缶蓋の中心を通る仮想線と、金属板の圧延方向と直交する方向で缶蓋の中心を通る仮想線とによって区分される缶蓋の4つの領域に、バックリング誘発部がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の缶蓋。
- 補強用の環状溝と僅かに間隔を置いて、パネル部の周辺部分に補強用の環状ビードが形成され、この環状ビードと環状溝の間で、バックリング誘発部が、環状溝の内側上端縁の角部を部分的に切り欠くような溝状の凹部として形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の缶蓋。
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