JP4656317B2 - アンテナ装置 - Google Patents

Description

本発明は、アンテナ装置に関し、特に、複数種のアンテナを搭載した複合アンテナ装置に関する。

この技術分野において周知のように、現在、車両には種々のアンテナが搭載される。例えば、そのようなアンテナとしては、ＧＰＳ（全地球測位システム）用アンテナや、ＥＴＣ（自動料金収受システム）用アンテナ、ＶＩＣＳ（道路交通情報通信システム）用アンテナ、電話用アンテナ等がある。

ＧＰＳ（Global Positioning System）は、人工衛星を用いた衛星測位システムである。ＧＰＳは、地球を周回している２４個の人工衛星のうちの４個の人工衛星からの電波（ＧＰＳ信号）を受信し、この受信した電波から移動体と人工衛星との位置関係および時間誤差を測定して三角測量の原理に基づいて、移動体の地図上における位置や高度を高精度で算出することを可能としたものである。

ＧＰＳは、近年では、走行する自動車の位置を検出するカーナビゲーションシステム等に利用され、広く普及している。カーナビゲーション装置は、このＧＰＳ信号を受信するためのＧＰＳ用アンテナと、このＧＰＳ用アンテナが受信したＧＰＳ信号を処理して車両の現在位置を検出する処理装置と、この処理装置で検出された位置を地図上に表示するための表示装置等から構成される。

一方、ＥＴＣ（Electronic toll Collection）は、高速道路等の有料道路の通行料を支払うための料金所における渋滞を緩和するための方策として開発されたシステムである。すなわち、ＥＴＣとは、高速道路料金所において、無線通信を利用して自動的に通行料金の支払いを行うシステムである。ＥＴＣでは、料金所に設置されているゲートに設けられた路側アンテナと、ＥＴＣ用アンテナを有する車載通信機器を搭載した通行車両との間で双方向通信を行い、通行車両の車両情報等を取得し、通行車両を停止させることなく高速道路通行料金の支払い業務を行うことを可能としたものである。

従来、ＧＰＳ用アンテナとＥＴＣ用アンテナとを併設した複合アンテナ装置が知られている。

従来の複合アンテナ装置（以下、第１の従来技術と呼ぶ）において、複数のアンテナ素子はそれぞれ対応する基板上に搭載され、その基板の下側には低雑音増幅回路部品（ＬＮＡ）が取り付けられており、それをシールドケースが覆っていた。

例えば、図４に示されるような複合アンテナ１００（以下の特許文献１を参照）は、取付板上に、ＧＰＳ衛星からの円偏波電波を受信するためのパッチアンテナ１０３と、移動電話用の直線偏波電波を送受信するためのロッド状アンテナ１０４とを並設して、これら両アンテナを共通のレドーム１１２内に収納するという車載用の小型アンテナユニットである。パッチアンテナ１０３はケ−ブル１０５やコネクタ１１３を介して給電されるようになっている。また、パッチアンテナ１０３は、マイクロストリップ構造の放射素子である給電パッチ１０７を誘電体基板１０８の上面に設けて、この誘電体基板１０８を回路基板１０９上に搭載すると共に、シールドケース１１５に覆われた増幅器やバンドパスフィルタ等の低雑音増幅回路部品（ＬＮＡ）１１６を回路基板１０９の下面側に実装して概略構成されている。

この例はパッチアンテナとロッド状アンテナの複合アンテナの場合であるが、上記第１の従来技術は、当該パッチアンテナが複数存在し、それが各々基板に搭載されたようなものを想定してもらえばよい。なお、図４はアンテナ素子周辺の細部の構造を説明するために用いた。

しかしながら、上記第１の従来技術は、シールドケースをアンテナ素子ごとに別々に取り付けていたため装置の小型化、部品点数の削減という点で問題があった。

この問題点を解消するため、第２の従来技術では、各基板の下面に取り付けられている低雑音増幅回路部品（ＬＮＡ）はまとめて１つのシールドケースによって覆われた構造となっている。したがって、部品点数も削減され、同時に装置の小型化も図ることができた。

特開２００３−３０９４１１号公報

しかしながら、上記した第２の従来技術のような構成では、以下のような問題点が生じる。各アンテナ素子がそれぞれ搭載されている基板の下面にそれぞれ低雑音増幅回路部品（ＬＮＡ）が取り付けられており、各ＬＮＡ全体を覆うようにシールドカバーが取り付けられている。このため一方のアンテナ（例えばＧＰＳ用アンテナ）と他方のアンテナ（例えばＳＤＡＲＳ（衛星ラジオ）用アンテナ）の間に両者を遮るものがなく、各アンテナのアース、ＬＮＡのアース干渉が生じていた。

したがって、本発明の課題は、コンパクトで、互いのアンテナへのアース干渉、ＬＮＡへのアース干渉を軽減することが可能な、アンテナ装置を提供することにある。

本発明の一態様によれば、それぞれ、第１および第２の基板（３４，３５）と、該第１および第２の基板の上側に搭載された第１および第２のアンテナ素子（３２，３３）と、前記第１および第２の基板の下側に取り付けられた第１および第２の電子回路とからなる第１および第２のアンテナ部を有してなるアンテナ装置において、前記第１および第２の電子回路を覆うと共に前記各電子回路を遮断する第１および第２のシールド壁（３９ａ，３９ｂ，３９ｃ）からなるシールド部が主面に一体に形成されたベース部（３９）であって、前記第１および第２の基板（３４，３５）に固定されたベース部（３９）を有し、
前記シールド部の一部（３９ｃ）は、前記第１および第２のアンテナ素子の間に位置するように形成されているとともに、前記ベース部（３９）の前記第１および第２のアンテナ素子の間に位置する部分には前記第１および第２の基板（３４，３５）からそれぞれ導出された第１および第２の出力ケーブル（３８）を通す貫通孔が形成されていることを特徴とするアンテナ装置（２０）が得られる。

さらに、上記本発明の第１の態様に係るアンテナ装置は、前記ベース部（３９）が、前記各シールド壁部（３９ａ，３９ｂ，３９ｃ）の上端面がそれぞれ対応する基板の下面に接する状態で当該基板（３４，３５）に固定されていることを特徴とする。

さらに、上記本発明の第１の態様に係るアンテナ装置は、前記ベース部（３９）が前記第１および第２のアンテナ部を収容するトップケース（３０）に嵌合されることを特徴とする。

さらに、上記本発明の第１の態様に係るアンテナ装置は、前記ベース部（３９）の外周を覆い、前記トップケース（３０）に取り付けられるバースパッド（３１）を有していることを特徴とする。

さらに、上記本発明の第１の態様に係るアンテナ装置は、前記ベース部（３９）がダイカスト材料で成型されていることを特徴とする。

尚、上記括弧内の符号は、本発明の理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、これらに限定されないのは勿論である。

本発明によれば、１つのダイカスト材のベースがシールドカバーとボトムケースの両機能を有しているので、シンプルな構造となり部品点数が少なく安価な製造を可能とする。

また、本発明によれば、ダイカスト材のベースを構成するシールド壁の内、中央部側のシールド壁が、第１のアンテナ素子に対応する電子回路（例えばＬＮＡ）と第２のアンテナ素子に対応する電子回路（例えばフィルタ回路）とを遮断すると共に第１のアンテナ素子と第２のアンテナ素子のアースを分離しているため、第１のアンテナ素子と第２のアンテナ素子へのアース干渉、第１のアンテナ素子と第２のアンテナ素子に対応する電子回路（ＬＮＡ，フィルタ回路等）へのアース干渉を軽減することができる。

以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。

図１〜図３を参照して、本発明が適用される複合アンテナ装置２０について説明する。図１は本発明に係る複合アンテナ装置２０のトップケースを取り付けた状態における外観斜視図である。図２は本発明に係る複合アンテナ装置２０のトップケースを取り外した状態における分解斜視図である。図３は本発明に係る複合アンテナ装置の縦断面図である。

複合アンテナ装置２０は、トップケース３０と、第１のアンテナ素子を搭載した基板３４及び第２のアンテナ素子を搭載した基板３５と、基板３４，３５の裏面にそれぞれ搭載された低雑音増幅回路（以下、ＬＮＡ（図示せず）と呼ぶ）及びフィルタ回路（図示せず）をシールドすると共にベースカバーとして機能するベース３９と、ベース３９の側面を覆うためのベースパッド３１で構成されている。ベースパッド３１にはベース３９の外形寸法とほぼ同じ大きさの開口部がある。

第１及び第２のアンテナ素子３２，３３は、トップケース３０及び側面をベースパッド３１によって覆われたベース３９に収容される。基板３４，３５上にはそれぞれ第１及び第２のアンテナ素子３２，３３が搭載される。図示の例では、第１のアンテナ素子３２はＧＰＳ用アンテナであり、第２のアンテナ素子３３はＳＤＡＲＳ（衛星ラジオ）用アンテナである。

第１のアンテナ素子３２が搭載された基板３４の裏面（図示せず）上にはＬＮＡ（図示せず）が搭載されている。第２のアンテナ素子３３が搭載された基板３５の裏面（図示せず）上にはフィルタ回路（図示せず）が搭載されている。図示の例では、第１及び第２のアンテナ素子３２，３３はパッチアンテナで構成されている。

ベース３９は基板３４，３５にネジによって取り付けられると共に、ベースパッド３１の開口部に嵌め込まれ、ベース３９はトップケース３０に取り付けられる。

ベース３９は、図２及び図３に示されるように、基部３９ｄと、基部３９ｄの上面にそれぞれ基板３４，３５の裏面に搭載されたＬＮＡ及びフィルタ回路をシールドするためのシールド部とが一体成型されたものである。シールド部はシールド壁３９ａ，３９ｂ，３９ｃが連続して形成されたもので、全体として略Ｃ字形状になるように形成されている。図３に示すようにシールド壁３９ｃは第１及び第２のアンテナ素子３２，３３の間に位置するように形成されている。また、ベース３９には各基板（３４，３５）から導出された出力ケーブル３８を通す貫通孔が形成されている
第１のアンテナ素子３２に対応するシールド壁はシールド壁３９ａ，３９ｃであり、第２のアンテナ素子３３に対応するシールド壁はシールド壁３９ｂ，３９ｃである。

図３を参照すると、上記した構造により第１のアンテナ素子３２及びそれに対応するＬＮＡと、第２のアンテナ素子３３及びそれに対応するフィルタ回路とは中央側のシールド壁３９ｃで遮られていることがわかる。すなわちシールド壁３９ａ，３９ｂの内、中央部側のシールド壁３９ｃが第１のアンテナ素子３２に対応するＬＮＡと第２のアンテナ素子３３に対応するフィルタ回路を遮断すると共に第１のアンテナ素子３２と第２のアンテナ素子３３のアースが分離されている。このため、第１のアンテナ素子３２と第２のアンテナ素子３３に対するアース干渉、第１のアンテナ素子３２と第２のアンテナ素子３３に対応するＬＮＡ及びフィルタ回路に対するアース干渉を軽減することができる。

また上記した従来技術ではトップケースに対応する開口部なしのボトムケースが必要とされていたが、本発明ではこのベース３９がシールド機能とボトムケースの機能を兼ね備えている。すなわち、ベース３９は上記したアース干渉を軽減する機能とボトムケースの機能の両機能を有している。なお、このベース３９は亜鉛、アルミ等のダイカスト材料で成型される。

ベース３９の下側にはボルポスト部３７が形成されている。このボルポスト部３７は、基板３４，３５から導出されている出力ケーブル３８を束ねる機能を有している。

以上、本発明について好ましい実施の形態によって説明してきたが、本発明は上述した実施の形態に限定しないのは勿論である。

本発明が適用される複合アンテナ装置を、トップケースを取り付けた状態で示す外観斜視図である。 本発明が適用される複合アンテナ装置を、トップケースを取り外した状態で示す分解斜視図である。 本発明が適用される複合アンテナ装置の構造を示した縦断面図である。 従来の複合アンテナ装置の構造を示した縦断面図である。

符号の説明

２０ 複合アンテナ装置
３０ トップケース
３１ ベースパッド
３２ 第１のアンテナ素子
３３ 第２のアンテナ素子
３４，３５ 基板
３７ ボルポスト部
３８ 出力ケーブル
３９ ベース
３９ａ，３９ｂ，３９ｃ シールド壁

Claims (5)

1. それぞれ、第１および第２の基板と、該第１および第２の基板の上側に搭載された第１および第２のアンテナ素子と、前記第１および第２の基板の下側に取り付けられた第１および第２の電子回路とからなる第１および第２のアンテナ部を備えたアンテナ装置において、
   前記第１および第２の基板に固定され、前記第１および第２の電子回路を覆うと共に前記各電子回路を遮断する第１および第２のシールド壁からなるシールド部が主面に一体に形成されたベース部を有し、
   前記シールド部の一部は、前記第１および第２のアンテナ素子の間に位置するように形成されているとともに、前記ベース部の前記第１および第２のアンテナ素子の間に位置する部分には前記第１および第２の基板からそれぞれ導出された第１および第２の出力ケーブルを通す貫通孔が形成されていることを特徴とするアンテナ装置。
2. 前記ベース部は、前記シールド部の上端面が前記第１および第２の基板の下面に接する状態で、当該基板に固定されていることを特徴とする請求項１記載のアンテナ装置。
3. 前記ベース部は前記第１および第２のアンテナ部を収容するトップケースに嵌合されることを特徴とする請求項２記載のアンテナ装置。
4. さらに前記ベース部の外周を覆い、前記トップケースに取り付けられるベースパッドを有していることを特徴とする請求項３記載のアンテナ装置。
5. 前記ベース部はダイカスト材料で成型されていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１つに記載のアンテナ装置。

Images