JP4650991B2 - SiO2を主成分とする酸化物皮膜 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、金属、ガラス等の種々の材質の基材の表面に形成されるSiO2を主成分とする酸化物皮膜に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
金属アルコキシドの加水分解およびその後の縮合重合により得られるゾルを基材に塗布し、ついで乾燥させることにより得られたゲル膜を焼成して酸化物皮膜を形成するゾル−ゲル法によって、表面が平滑で内部が緻密な皮膜や表面に凹凸を持った薄膜が作製できることが知られている。
【0003】
表面が平滑で内部が緻密な皮膜の場合、基材の腐食や、基材への液体の浸透という問題が生じることは少ないが、皮膜表面にさらにフッ化炭素鎖を持つシランカップリング剤等をコーティングしても超はっ水性を得ることはできず、しかも平滑な皮膜表面に樹脂などの塗装を施す場合、良好な塗膜の密着性が得られないという問題がある。一方、既存のゾル−ゲル法により作製した凹凸を持った薄膜の場合、基材の腐食や、基材への液体の浸透の防止には十分な効果が得られず、また、この皮膜上に表面の凹凸を損なわないように薄くはっ水コーティングを施した場合、比較的耐久性に優れたはっ水膜が得られるものの、超はっ水性が得られるほどの膜表面の凹凸による形状効果はないという問題がある。
【0004】
この発明の目的は、上記問題を解決し、緻密な皮膜と凹凸を持った皮膜との長所を合わせ持った酸化物皮膜を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
この発明による酸化物皮膜は、SiO2を主成分とするとともに、ゾル−ゲル法により形成されており、緻密層上に凹凸層が一体に形成され、凹凸層の表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化されているものである。
【0006】
この発明の酸化物皮膜によれば、SiO2を主成分とするとともに、ゾル−ゲル法により形成されており、緻密層上に凹凸層が一体に形成され、凹凸層の表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化されているので、緻密層の働きにより、この酸化物皮膜が形成された基材の腐食や基材への液体の浸透を防止することができる。また、凹凸層の働きにより、皮膜表面に凹凸層の形状を損なわないように薄くはっ水コートすることによって超はっ水性を得ることができ、しかも凹凸皮膜表面に塗膜を施す場合、塗膜の密着性が優れたものとなる。
【0007】
上記酸化物皮膜において、膜厚が0.1〜10μmであることが好ましい。
【0008】
また、上記酸化物皮膜において、凹凸層の表面粗さが最大高さRmaxで0.03〜3μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔が0.03〜10μmとなされていることが好ましい。また、上記凹凸層の表面に、微細な凹凸に加え、さらに相当直径0.03〜10μm、深さ0.03〜3μmの孔が形成され、この孔の周面および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面および底面の表面粗さが最大高さRmaxで0.01〜1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔が0.01〜1μmとなされていることが好ましい。ここで、相当直径とは、孔の横断面積と等しい面積を有する円の直径を意味する。
【0009】
この発明による酸化物皮膜の製造方法は、R1nSi(OR2)4−n(但し式中R1はアルキル基、フェニル基等の疎水基、あるいはアルキル基等のC−H結合の一部がC−F結合に置換されたものであり、R2はアルキル基であり、n=1、2である。)と、溶媒と、水と、酸触媒とよりなる液組成物に、酸化物粒子を混ぜ合わせたものを攪拌することにより得たゾルを基材に塗布して乾燥させることによりゲル膜を作製し、その後焼成することを特徴とするものである。
【0010】
上記において、アルキル基等のC−H結合の一部がC−F結合に置換されたものの具体例としては、たとえばCF3(CF2)nCH2CH2Si(OCH3)3、CF3(CF2)nCH2CH2Si(CH3)(OCH3)2(但し両式中n=0、1、2、3、4…である。)等のフルオロアルキルアルコキシシランが挙げられる。
【0011】
上記において、溶媒としては、イソプロパノール、エタノール、メタノール等の低級アルコールが単独でもしくは混合して用いられ、またはこれらにブタノールや、ブタノールより炭素数の多いアルコールを適量添加して用いられる。あるいは、これらにエーテル、ケトン、アミド等の有機溶媒が添加される場合もある。
【0012】
上記において、酸化物粒子としては、SiO2、TiO2等の表面に−OH基を有するもの、あるいはカップリング剤で表面修飾したものが用いられ、その粒径は5nm〜2μmであることが好ましい。酸化物粒子は、R1nSi(OR2)4−nが加水分解し、縮合重合した生成物と結合し、表面が疎水基で覆われる。
【0013】
上記において、液組成物には、さらに微量のSi(OR2)4やR3nSi(OR2)4−n(但し式中R2はアルキル基であり、R3は末端に親水基を有するH2N(CH2)3等の置換基であり、n=1、2である。)を添加しておいてもよい。その添加量は適宜変更されるが、Si(OR2)4がテトラエトキシシランの場合、R1nSi(OR2)4−nがメチルトリエトキシシランであれば、テトラエトキシシランのメチルトリエトキシシランに対する混合比は、モル比でx:(1−x)(但し0<x≦0.3)である。
【0014】
この発明の酸化物皮膜の製造方法によれば、固体として残る成分、すなわちR1nSi(OR2)4−nが加水分解し、縮合重合した生成物および表面がR1nSi(OR2)4−nからの疎水基を持つ生成物で覆われた酸化物粒子と水とが膜乾燥時にはじき合うことにより、SiO2を主成分とするとともに、緻密層上に凹凸層が一体に形成されている酸化物皮膜が1回の工程で形成される。
【0015】
上記方法において、R1nSi(OR2)4−nと、溶媒と、水と、酸触媒との混合比は、好ましくはモル比で1:1〜20:1〜20:0.00001〜0.3である。
【0016】
また、上記方法において、原料全体中の酸化物粒子の量は40wt%以下が好ましい。40wt%を越えると、酸化物粒子を液組成物中に分散できなくなるおそれがある。
【0017】
さらに、上記方法において、酸化物粒子がSiO2からなることが好ましい。この場合、製造される酸化物皮膜が無色透明となり、この皮膜上に表面の凹凸を損なわないようにさらにフッ化炭素鎖を持つシランカップリング剤等ではっ水コートすることにより、たとえば自動車のフロントガラスに適用した場合、充分な視界を確保した上で、超はっ水性を得ることができ、極めて好都合である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0019】
図1はこの発明による酸化物皮膜の1実施形態を示す。図1において、酸化物皮膜(1)は、SiO2を主成分とするとともに、ゾル−ゲル法により形成されており、緻密層(2)上に凹凸層(3)が一体に形成されているものである。凹凸層(3)の表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化されている。
【0020】
酸化物皮膜(1)の膜厚(T)は、0.1〜10μmである。凹凸層(3)の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜3μmであり、凹部(4)から最近接の凹部(4)あるいは凸部(5)から最近接の凸部(5)までの間隔(W)が0.03〜10μmとなされている。
【0021】
図2はこの発明による酸化物皮膜の他の実施形態を示す。図2において、酸化物皮膜(10)は、図1と同様な酸化物皮膜(1)における凹凸層(3)の表面に、微細な凹凸に加え、さらに相当直径(D)0.03〜10μm、深さ(S)0.03〜3μmの孔(11)が形成されたものである。この孔(11)の周面および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔(11)の周面および底面の表面粗さは最大高さRmaxで0.01〜1μmであり、凹部(12)から最近接の凹部(12)あるいは凸部(13)から最近接の凸部(13)までの間隔(W1)が0.01〜1μmとなされている。
【0022】
図1および図2に見られる酸化物皮膜(1)(10)の製造方法は、R1nSi(OR2)4−n(但し式中R1はアルキル基、フェニル基等の疎水基、あるいはアルキル基等のC−H結合の一部がC−F結合に置換されたものであり、R2はアルキル基であり、n=1、2である。)と、溶媒と、水と、酸触媒とよりなる液組成物に、酸化物粒子を混ぜ合わせたものを攪拌することにより得たゾルを基材に塗布する工程と、基材に塗布したゾルを乾燥させゲル膜を形成する工程と、ゲル膜を焼成する工程とを含む。
【0023】
ここで、液組成物におけるR1nSi(OR2)4−nと、溶媒と、水と、酸触媒との混合比は、モル比で1:1〜20:1〜20:0.00001〜0.3であることが好ましく、原料全体中の酸化物微粒子の量は40wt%であることが好ましい。
【0024】
ゾルの基材への塗布は、ディッピング、スプレーコティング、スピン等により行う。スピンとは、基材表面にゾルを滴下した後、遠心力により塗布する方法である。
【0025】
ゲル膜の焼成は70〜800℃で30秒〜10分間加熱することにより行う。
【0026】
なお、製造された酸化物皮膜に化学的、機械的耐久性を持たせるために、180℃以上で熱処理することが好ましい。
【0027】
【実施例と比較例】
以下、この発明の具体的実施例を比較例とともに説明する。
【0028】
実施例1
メチルトリエトキシシランと、溶媒であるエタノールおよび2−プロパノールと、水と、塩酸と、2−プロパノールに分散させた粒径0.01〜0.02μmのSiO2粒子を原料として用意した。なお、SiO2粒子を分散させている2−プロパノールは溶媒の一部として用いた。メチルトリエトキシシラン、溶媒(エタノール、2−プロパノールのモル比が1:1)、水、塩酸のモル比が1:5:4:0.005、粒子濃度が10wt%となるように原料を混合し、メチルトリエトキシシランを加水分解、縮合重合させることによりゾルを得た。ついで、このゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬し、2mm/秒の引き上げ速度で引き上げ、乾燥させた後、400℃で5分間焼成し、アルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜を形成した。
【0029】
アルミニウム板の表面に形成された酸化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は0.8μmであり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さらに、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.05〜0.1μm、深さ0.05〜0.1μmの孔が5×109個/cm2以上形成されていた。この孔の周面および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面および底面の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.05μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.05μmであった。
【0030】
また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定したところ、90〜92%であった。なお、用いたガラス板自体の透過率は測定波長域400〜700nmで90〜91%である。
【0031】
実施例2
ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上げ速度を20mm/秒とした他は、上記実施例1と同様にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜を形成した。
【0032】
アルミニウム板の表面に形成された酸化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は2.6μmであり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さらに、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.2〜0.5μm、深さ0.2〜0.5μmの孔が3.8×107個/cm2、相当直径0.05〜0.1μm、深さ0.05〜0.1μmの孔が5×109個/cm2以上形成されていた。これらの孔の周面および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面および底面の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。
【0033】
また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定したところ、83〜91%であった。
【0034】
実施例3
液組成物中の溶媒として、2−プロパノールを単独で用いた他は、上記実施例1と同様にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜を形成した。
【0035】
アルミニウム板の表面に形成された酸化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は0.6μmであり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さらに、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.05〜0.1μm、深さ0.05〜0.1μmの孔が5×109個/cm2以上形成されており、この孔の周面および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面および底面の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.05μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.05μmであった。
【0036】
また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定したところ、91〜93%であった。
【0037】
実施例4
ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上げ速度を5mm/秒とした他は、上記実施例3と同様にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜を製造した。
【0038】
アルミニウム板の表面に形成された酸化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は1.3μmであり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さらに、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.1〜0.2μm、深さ0.1〜0.2μmの孔が1.8×108個/cm2、相当直径0.05〜0.1μm、深さ0.05〜0.1μmの孔が5×109個/cm2以上形成されていた。これら孔の周面および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面および底面の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.07μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.07μmであった。
【0039】
また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定したところ、92〜93%であった。
【0040】
実施例5
ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上げ速度を20mm/秒とした他は、上記実施例3と同様にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜を形成した。
【0041】
アルミニウム板の表面に形成された酸化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は2.8μmであり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。さらに、凹凸層の表面に、微細な凹凸に加えて相当直径0.2〜0.5μm、深さ0.2〜0.5μmの孔が1.1×108個/cm2、相当直径0.05〜0.1μm、深さ0.05〜0.1μmの孔が5×109個/cm2以上形成されていた。これら孔の周面および底面全体にも微細な凹凸が形成されて粗面化されており、孔の周面および底面の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。
【0042】
また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定したところ、86〜91%であった。
【0043】
実施例6
液組成物中の溶媒として、1−ブタノールと2−プロパノールとをモル比で48:52となるように混合したものを用いた他は、上記実施例1と同様にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜を製造した。
【0044】
アルミニウム板の表面に形成された金属酸化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は0.8μmであり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。
【0045】
また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定したところ、90〜93%であった。
【0046】
実施例7
ゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬した後、アルミニウム板およびガラス板を引き上げるさいの引上げ速度を20mm/秒とした他は、上記実施例6と同様にしてアルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜を製造した。
【0047】
アルミニウム板の表面に形成された金属酸化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は2.4μmであり、緻密層上に、表面全体に微細な凹凸が形成されて粗面化された凹凸層が一体に形成されていた。凹凸層の表面粗さは最大高さRmaxで0.03〜0.1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔は0.03〜0.1μmであった。
【0048】
また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定したところ、92〜93%であった。
【0049】
比較例1
メチルトリエトキシシランと、テトラエトキシシランと、2−プロパノールと、水と、塩酸と、2−プロパノールに分散させた粒径0.01〜0.02μmのSiO2粒子を原料として用意した。なお、SiO2粒子を分散させている2−プロパノールは溶媒の一部として用いた。メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、2−プロパノール、水、塩酸のモル比が0.5:0.5:5:4:0.005、粒子濃度が10wt%となるように原料を混合し、メチルトリエトキシシランおよびテトラエトキシシランを加水分解、縮合重合させることによりゾルを得た。ついで、このゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬し、5mm/秒の引き上げ速度で引き上げ、乾燥させた後、400℃で5分間焼成し、アルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜を形成した。
【0050】
アルミニウム板の表面に形成された酸化物皮膜をSEMにより観察したところ、膜厚は1.5μmであった。皮膜表面には相当直径0.05〜0.15μm、深さ0.05〜0.15μmの孔が2.8×107個/cm2形成されていたが、実施例1〜7に見られるような微細な凹凸は存在しなかった。
【0051】
また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定したところ、91〜93%であった。
【0052】
比較例2
メチルトリエトキシシランと、2−プロパノールと、水と、塩酸とよりなり、かつ各成分の量がモル比で1:5:4:0.005である液組成物を用意した。そして、この液組成物を混合し、メチルトリエトキシシランの加水分解、縮合重合によりゾルを得た。ついで、このゾル中にアルミニウム板およびガラス板を浸漬し、5mm/秒の引き上げ速度で引き上げ、乾燥させた後、400℃で5分間焼成し、アルミニウム板およびガラス板の表面に酸化物皮膜を形成した。
【0053】
アルミニウム板の表面に形成された酸化物皮膜を観察したところ、膜厚は0.7μmであった。また、皮膜全体が緻密であって、表面は全体に平滑であった。
【0054】
また、表面に酸化物皮膜が形成されたガラス板の透過率を、測定波長域400〜700nmで測定したところ、91〜93%であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による酸化物皮膜の1実施形態を示す一部切欠き拡大斜視図である。
【図2】 この発明による酸化物皮膜の他の実施形態を示す一部切欠き拡大斜視図である。
【符号の説明】
(1)(10):酸化物皮膜
(2):緻密層
(3):凹凸層
Claims (3)
- SiO2を主成分とするとともに、R 1 n Si(OR 2 ) 4-n (式中、R 1 はアルキル基、フェニル基または前記アルキル基のC−H結合の一部がC−F結合に置換されてなる疎水基であり、R 2 はアルキル基であり、nは1または2である。)を含む組成物と酸化物粒子を用いたゾル−ゲル法により形成されており、緻密な膜体の表面全体に微細な凹凸が一体に形成されて粗面化されていて、前記凹凸の表面粗さが最大高さRmaxで0.03〜3μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔が0.03〜10μmである酸化物皮膜。
- SiO 2 を主成分とするとともに、R 1 n Si(OR 2 ) 4-n (式中、R 1 はアルキル基、フェニル基または前記アルキル基のC−H結合の一部がC−F結合に置換されてなる疎水基であり、R 2 はアルキル基であり、nは1または2である。)を含む組成物と酸化物粒子を用いたゾル−ゲル法により形成されてなる酸化物皮膜であって、表面に直径0.03〜10μm、深さ0.03〜3μmの孔を有する緻密な膜体の表面全体に微細な凹凸が一体に形成されて粗面化されていて、前記凹凸のうち孔の周面および底面における凹凸の表面粗さが最大高さRmaxで0.01〜1μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔が0.01〜1μmであり、それ以外の凹凸の表面粗さが最大高さRmaxで0.03〜3μmであり、凹部から最近接の凹部あるいは凸部から最近接の凸部までの間隔が0.03〜10μmである酸化物皮膜。
- 膜厚が0.1〜10μmである請求項1または2記載の酸化物皮膜。
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