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JP3649585B2 - 撥水性被膜形成用溶液 - Google Patents

撥水性被膜形成用溶液 Download PDF

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JP3649585B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築用、自動車用、船舶用或いは航空機用等の各種窓材、浴室用或いは自動車用等のミラー、さらにはその他産業用など種々の分野の各種透明物品等に利用できるガラス基板等の基材表面に撥水性被膜を形成するための溶液および撥水性被膜の形成方法ならびに該被膜を形成した基材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、より優れた耐久性と撥水性を併せ持ち、優れた撥水性能をより長く持続する透明な撥水性被膜が望まれてきている。
これらのニ−ズに答えるためには、例えば高い耐摩耗性(耐トラバ−ス性)を有する撥水性薄膜を備える撥水性基材とする必要がある。
【0003】
そこで、本出願人が既に出願した特願平7−294106号(特開平9−132433号公報)等に記載している発明は、ガラス表面に高硬度で高機械的強度、かつ耐久性に優れた高い比表面積で制御した特異で微細な凹凸形状表層表面を有するベ−ス膜を形成し、該ベ−ス膜を被覆する撥水膜を形成することで、該撥水膜の付着効率と密着性を高め、さらに耐光性能を向上するようにしたものである。
【0004】
また、本出願人が既に出願した特願平8−131595号(特開平9−309746号公報)等に記載している発明は、ガラス基板の表面に撥水膜を形成する際に、ガラス基板の温度が90〜200℃程度にある状態でガラス基板表面(場合によっては方向性をもつ筋状の疵をつけた微細な凹凸状ガラス基板表面)に撥水膜層を形成することとし、耐候性、耐摩耗性、耐擦傷性ならびに耐久性に格段に優れた撥水性能を発揮するようにしたものである。
【0005】
また、特許第2500178号には、基材表面の撥水撥油処理方法として、フッ化炭素基とクロル基を複数個含むシラン系化合物を用いてガラス基板などの基材表面に化学吸着単分子層を形成する方法が示されており、フルオロアルキル基含有クロロシラン化合物を非水系の溶媒に溶解した溶液に基板を浸漬する工程と、基材を取り出した後、水分を全く含まないかまたは実質的に含まない雰囲気中で乾燥する工程が示されており、基材表面に形成された単分子層は優れた耐摩耗性を発揮することが示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した例えば、特願平7−294106号に記載の撥水性のガラスは、前述したニ−ズに充分に答えうるものであるものの、特異なベ−ス膜と撥水膜の2層構造の膜構成と複雑であり、単純で簡便な下地層を必要としない層であって、より高性能を有する撥水性ガラスも望まれているところである。
【0007】
また、特願平8−131595号等に記載の撥水性ガラスは、製造時における作業性、特にガラス基板温度を90〜200℃に高めた状態に管理する必要があるため、その取り扱いが充分に簡便で高効率であるとは言い難い場合がある。
【0008】
また、特許第2500178号に記載のガラス表面の撥水撥油剤に開示されている方法では、クロロシラン系化合物が極めて水に対して反応性が高いため、多くの工程を水分のない極めて乾燥した環境下で行う必要があるなど、取り扱いが極めて厄介である。
【0009】
すなわち、従来の単分子層を形成させるものや、耐久性能を向上させるために下地膜を形成させるものは、複雑な管理条件と工程を要しコスト高になっており、一方下地膜のないものでは、一般的に撥水剤成分とガラス表面との反応性が不十分であったり、フルオロアルキル基含有クロロシランのような反応性の高い化合物を取り扱う必要があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来のかかる課題に鑑みてなしたものであって、撥水性被膜形成用溶液中のフルオロアルキル基含有シラン化合物の含有量および希釈溶媒の種類を限定することにより、得られた撥水性被膜形成用溶液はフルオロアルキル基含有シラン化合物の加水分解物の単量体のみからなり、この溶液を塗布して得られた撥水性被膜は単分子層が形成され、該膜は高硬度かつ高密着性であって耐久性や耐摩耗性とを併せ持ち、より長期的に優れた撥水性能を有することを見出したものであり、下地層が不要で且つ常温で成膜できるとともに、反応性の高い化合物を取り扱う必要もない、非常に操作の容易な撥水性被膜の形成方法および該被膜を形成した基材である。
【0011】
すなわち本発明は、酸触媒のもとに加水分解させたフルオロアルキル基含有シラン化合物の加水分解物の単量体を基材表面に固定化し、単分子層からなる撥水性被膜を形成した基材に関する。
【0012】
また本発明は、酸触媒のもとに加水分解させたフルオロアルキル基含有シラン化合物の加水分解物の単量体を基材表面に固定化し、単分子層からなる撥水性被膜を形成するための溶液であって、該単量体を含む溶液はフルオロアルキル基含有シラン化合物の濃度を0.1〜15重量%とし、且つ該アルコキシ基含有シラン化合物中のアルコキシ基の種類と等しいアルコールを希釈溶媒とし、酸性水溶液を触媒とした溶液を用いて生成されたものであることを特徴とする撥水性被膜形成用溶液に関する。
【0013】
また、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物は、一般式[1]で表されるフルオロアルキルアルコキシシラン化合物であることが好ましい。
CF3(CF2)m(CH2)nSiR1 x(OR2)3-x [1]
(式中、m=0〜15、n=0〜2、x=0〜2、ただし、m+n=0〜17の各整数、R1、R2=CH3、C25、C35およびC47を表す)
さらに、フルオロアルキル基含有シラン化合物の加水分解物は99.5重量%以上の単量体からなることが好ましい。
【0014】
さらに本発明は、上記撥水性被膜形成用溶液を基材表面に塗布する工程と、次いで該溶液に含まれるフルオロアルキル基を該基材表面に固定化し単分子層の撥水性被膜を形成する硬化工程とからなる撥水性被膜の形成方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の高耐久性撥水性被膜を形成する撥水性被膜形成用溶液は、フルオロアルキル基含有シラン化合物からなる撥水剤と、希釈用の溶媒と、触媒としての酸性水溶液を所定量混合したのち、所定時間撹拌して加水分解反応を終結させることにより得ることができる。
【0016】
上記の出発原料としては、撥水剤としてフルオロアルキルアルコキシシラン系化合物であり、その化合物としては、例えばCF3CH2CH2Si(OR)3、CF3(CF25CH2CH2Si(OR)3、CF3(CF25CH2CH2SiR(OR)2、CF3(CF27CH2CH2Si(OR)3、CF3(CF27CH2CH2SiR(OR)2、等を用いることが出来る。なお、上記化学式におけるRはCH3、C25、C37を示す。
【0017】
また、希釈溶媒としては、上記撥水剤のアルコキシ基含有シラン化合物中のアルコキシ基の種類と等しいアルコールを用い、イソプロピルアルコ−ル(以下、「i−PA」と略す)の他に、メタノ−ル、エタノ−ルなど炭素数が5以下の低級アルコ−ル溶媒が好ましい。
【0018】
また、触媒としての酸性水溶液は、0.01N以上、好ましくは0.1N〜13N程度の濃度の硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸あるいは、酢酸、クエン酸などの有機酸を使用することができる。
なお、撥水剤:希釈溶剤:酸性水溶液は、重量割合で1:12.5〜40:0.09〜1.0の範囲が好ましいが、これらの範囲に限定されるものではない。さらに、撥水性被膜形成用溶液中のフルオロアルキル基含有シラン化合物の加水分解物は99.5重量%以上の単量体からなることが好ましい。
【0019】
次に、フルオロアルキル基含有シラン化合物の加水分解および重縮合反応について説明する。
(1)加水分解反応
フルオロアルキル(Rf)基含有シラン化合物(次式はアルコキシシラン化合物の例)は次式に示すように、酸触媒下で水と反応して比較的容易に加水分解される。なお、加水分解反応については、加水分解反応(攪拌)の終結を得るには約90分程度、好ましくは約120分程度の時間が必要であるが、これに限定されるものではない。
【0020】
【化1】
Figure 0003649585
【0021】
上式により得られたフルオロアルキル基含有シラン化合物(FAS)の加水分解物(単量体)は、ガラス表面のシラノール基(−SiOH)と次式のような脱水縮合反応をし、ガラス基板上へ固定化または高重合体(多分子)化する。
【0022】
▲1▼ガラスとの反応
【0023】
【化2】
Figure 0003649585
【0024】
(2)重縮合反応
▲2▼FAS同士の反応
FAS同士の反応により重合度が増加する。
一般的には、加水分解したFASはFAS同士の重縮合反応により重合度が増加する。そこで、本発明は撥水性被膜形成用溶液中のフルオロアルキル基含有シラン化合物の含有量および希釈溶剤の種類を限定することにより、この反応を抑制するものである。
【0025】
・2量化
【0026】
【化3】
Figure 0003649585
【0027】
・3量化
【0028】
【化4】
Figure 0003649585
【0029】
なお、撥水性被膜形成用溶液中のFAS化合物の濃度は0.1〜15重量%が好ましく、この範囲以外では耐摩耗性の良好な単分子層が得られない。これは、FASの高濃度化により〔化2〕のFAS同士の反応による2量化、さらには3量化が促進されるためである。より好ましくは1.0〜8.0重量%である。
【0030】
基材としては、表面に水酸基(−OH)等の活性水素が含まれているガラス、プラスチック、セラミックス等の材料であれば何でも用いることが出来、また、表面に活性水素を含まない場合に、プラズマ処理あるいはコロナ処理等で基材表面に水酸基を導入したものでも適用できる。
【0031】
代表的基材の一つであるガラス基材としては、建築用窓ガラスや自動車用窓ガラス等に通常使用されているフロ−トガラスあるいはロ−ルアウト法で製造されたガラス等無機質の透明性がある板ガラスが好ましく、無色または着色、ならびにその種類あるいは色調、他の機能性膜との組み合わせ、形状等に特に限定されるものではなく、さらに曲げ板ガラスとしてはもちろん各種強化ガラスや強度アップガラスであり、平板や単板で使用できるとともに、複層ガラスあるいは合せガラスとしても使用できる。
また、被膜はガラス基板の両面に成膜しても構わない。
さらに、撥水性被膜形成用溶液をガラス基板の表面上に塗布する条件は、通常雰囲気湿度が約50%RH以下程度が好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0032】
さらに、ガラス基板の表面状態について、例えばフロートガラスの場合、該ガラスのトップ面とボトム面において明らかに差異があり、フロ−トガラスの火造り面であるトップ面に被膜することが好ましく、同様にロールアウト法で製造されるガラスについても、搬送ロール等と接触していない火造り面に被覆することが好ましいが、場合によっては、ボトム面あるいは非火造り面でも被覆できる。撥水性被膜形成用溶液を塗布するガラス基板の表面を予め研摩処理し、酸処理することにより表面改質すると、被膜の強度等が増し好ましいが、その方法は以下のようにして行う。
【0033】
ガラス基板の表面改質のための研摩処理は、錫の混入が少ないフロ−トガラストップ面、ロ−ルアウトガラス面もしくはこれらの曲げまたは/および強化ガラス面等を、酸化セリウム(セリア)または/および酸化アルミニウム(アルミナ)または/および酸化珪素等の無機金属酸化物を主成分とする微細粉体(平均粒径が約5μm以下、好ましくは約1μm以下)である表面研摩剤を用い、湿式あるいは乾式でブラシ、スポンジまたは布などの研摩面にて、使用する粉体の種類とその粒径、研摩面の材質およびガラス基板との接触圧などを適宜変えることで、前記ガラス基板面の表面疵状態や研摩状態を制御しつつ研摩することが好ましい。
【0034】
次いで、該研磨処理したガラス面を、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸或いは酢酸、ギ酸もしくは蓚酸等の有機酸を、たとえばpH4濃度以下になるように添加調整した水溶液でなる酸処理液を用い、例えば酸処理液の温度が5℃〜70℃以下、処理時間10秒〜10分以下の条件下で酸処理することで、研摩処理したガラス表面のナトリウムイオンの抽出やシロキサン結合の切断によりシラノ−ル基を効率的に生成するようにし、該シラノ−ル基が後工程の撥水処理において撥水性フルオロアルキル基の固定化に寄与するものとすることができる。
なお酸処理は、酸溶液中に浸漬して行うが、他にスプレ−法、フロ−法等、浸漬法と同等あるいは近似した酸処理効果が得られる方法であれば特に限定するものではなく採用できる。
【0035】
またさらに、ガラス基板への膜付け法としては、手塗り(ラビング法)、ノズルフロ−コ−ト法、ディッピング法、スプレー法、リバ−スコ−ト法、フレキソ法、印刷法、フローコート法あるいはスピンコート法、ならびにそれらの併用等既知の塗布手段、さらに本出願人が出願提案した各種塗布法等が適宜採用し得るものである。また、成膜後の熱処理条件としては、例えば80℃以上350℃以下で1分間乃至60分間のキュアリングを行い成膜するのが好ましい。
【0036】
【作用】
本発明は、撥水性被膜形成用溶液の加水分解および重縮合反応を制御することにより、主成分として単量体のみを形成するようした撥水性被膜形成用溶液とし、制御した被覆環境下で基材表面に被覆し薄膜を成膜することにより、撥水剤成分と基材表面との反応性が効率化され、基材表面にフルオロアルキル基の高密度化された単分子層を形成することが可能となる。得られた撥水性膜は、格段に優れた耐摩耗性を有し、高硬度かつ高密着性であって耐久性を併せ持ち、より長期的に優れた撥水性能、例えば接触角が約90°程度以上を維持することができる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明は係る実施例に限定されるものではない。
【0038】
実施例1
撥水性被膜形成用溶液の調合は以下のようにして行った。
撥水性被膜を形成するための撥水性被膜形成用溶液組成の原料として、フルオロアルキルトリイソプロポキシシラン〔CF3(CF27CH2CH2Si(OC373(以下、「FAS−P」と略す);東芝シリコ−ン製XC95-A9715〕と、希釈溶媒に、用いる撥水剤のアルコキシ基の種類と等しいアルコールであるイソプロピルアルコ−ル〔(以下、「i−PA」と略す);キシダ化学製〕と、酸触媒である0.1N−硝酸〔キシダ化学製〕を用い、その配合割合をFAS−P:i−PA:O.1N−HNO3=1:12.5:0.3(単位:g)とし、室温で約2時間攪拌し加水分解反応を行い、撥水性被膜形成用溶液を調製した。
【0039】
この溶液中のFASにおける単量体の存在割合を測定した結果、表1に示すように単量体は99.5重量%、2量体は0.5重量%、3量体は0重量%であった。
なお、重合度の測定は以下の方法により行った。
Figure 0003649585
なお、GPC測定用の撥水性被膜形成用溶液試料は、シラノール基を不活性化し、さらに溶出液との屈折率差をより大きくするために、TMS(トリメチルシリル)化剤の一つである、トリメチルクロロシラン((CH3)3SiCl:TMCS)を用いて、該溶液中のFASの加水分解物および重縮合物をTMS化したのち、孔径0.5μmのフィルターで試料(撥水性被膜形成用溶液)をろ過した。TMS化のための反応条件は、5gの試料(撥水性被膜形成用溶液)に対し、0.57gのTMCSを加えて、室温で1h撹拌した。得られたGPCチャートにおける各ピークから、脱水撥水性被膜形成用溶液中にはFASの単量体(Monomer)、2量体(Dimer)および3量体(Trimer)の保持時間を、32.5、30.8および29.9分と同定できた。
【0040】
また、それぞれの重合体の存在比は、ピーク面積の比により求めた。
(但し、単量体、2量体および3量体のTMS化合物の屈折率は変化しないと仮定した)。
【0041】
続いて、基材表面への撥水性被膜の形成は以下のようにして行った。
200mm×300mm×3.5mmサイズのフロートガラス基板の表面を、研摩液とブラシポリッシャーを用いて研摩後、十分に研摩剤を除去し、35℃の0.1N硫酸水溶液中に1分間浸漬した。その後、市販のガラス洗浄機にて水洗および乾燥して、温度と湿度を23℃,45%RHに保った環境下で、ガラス基板1枚当たり2ml/枚の撥水性被膜形成用溶液を滴下し、綿布(商品名ベンコット)でガラス全面に十分引き伸ばした後、5分間程度風乾した。続いて、マッフル炉内にガラス基板を投入し、該ガラス基板の温度が5分間で140℃に達するような熱処理(以下、キュアリングと呼ぶ)を行ったのち炉内より取出し、ガラス基板表面に白濁して残っている余剰な撥水剤をi−PAを含ませた綿布で拭き上げて透明な撥水性ガラス基板を得た。なお、上記の研摩液は、ミレーク(A+B)(三井金属工業製):水=1:100(重量%)なる懸濁液を用いた。
【0042】
得られた撥水性被膜付きガラスの初期接触角は108°と高い撥水性を示した。
なお、撥水性試験は次の方法により評価した。
【0043】
Figure 0003649585
【0044】
実施例2
実施例1と比較して、撥水剤の濃度を低め、原料の配合割合をFAS−P:i−PA:0.1N−HNO3=1:25:0.3(単位:g)としたものである。なお、その他の条件は、実施例1と同じで行った。
【0045】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は99.9重量%、2量体は0.1重量%、3量体は0であり、ほぼ単量体のみからなる撥水性被膜形成用溶液を得ることができた。
なお、得られた撥水性被膜付きガラスの耐トラバース性を測定した結果、93〜105°と安定して高い値が得られ、良好であった。
なお、耐トラバース性は下記の方法にて評価した。
【0046】
Figure 0003649585
【0047】
実施例3
実施例1と比較して、撥水剤の濃度を低め、原料の配合割合をFAS−P:i−PA:0.1N−HNO3=1:50:0.3(単位:g)としたものである。なお、その他の条件は、実施例1と同じで行った。
【0048】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は99.9重量%、2量体は0.1重量%、3量体は0であり、ほぼ単量体のみからなる撥水性被膜形成用溶液を得ることができた。
【0049】
実施例4
実施例1と比較して、撥水剤の濃度を低め、原料の配合割合をFAS−P:i−PA:0.1N−HNO3=1:75:0.3(単位:g)としたものである。なお、その他の条件は、実施例1と同じで行った。
【0050】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は99.9重量%、2量体は0.1重量%、3量体は0であり、ほぼ単量体のみからなる撥水性被膜形成用溶液を得ることができた。
【0051】
実施例5
実施例1と比較して、撥水剤としてフルオロアルキルトリメトキシシラン〔CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33(以下、「FAS-M」と略す)、信越化学製KBM-7803〕と、希釈溶媒に、用いる撥水剤のアルコキシ基の種類と等しいアルコールであるメタノール〔(以下、「MeOH」と略す);キシダ化学製〕と、酸触媒である0.1N−硝酸〔キシダ化学製〕を用い、その配合割合をFAS−M:MeOH:0.1N−HNO3=1:25:0.3(単位:g)とし、室温で約2時間攪拌し加水分解反応を行った。なお、その他の条件は、実施例1と同じで行った。
【0052】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は99.5重量%、2量体は0.5重量%、3量体は0であり、ほぼ単量体のみからなる撥水性被膜形成用溶液を得ることができた。
【0053】
比較例1
実施例1と比較して、撥水剤の濃度を高め、原料の配合割合をFAS−P:i−PA:0.1N−HNO3=1:5:0.3(単位:g)としたものである。なお、その他の条件は、実施例1と同じで行った。
【0054】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は98.7重量%、2量体は1.3重量%、3量体は0であり、目標の99.5重量%以上の単量体濃度は得られなかった。
【0055】
図1に上記実施例1〜4および比較例1の撥水性被膜形成用溶液をTMS化後に測定したGPCチャートを示す。結果、撥水性被膜形成用溶液中の撥水剤の濃度が15重量%以下である実施例1〜4には2量体のピークが殆ど現れていないのに対して、該濃度が15重量%以上である比較例1は2量体のピークが明らかに現れている。
なお、図中の▲1▼は実施例1、▲2▼は実施例2、▲3▼は実施例3、▲4▼は実施例4および▲5▼は比較例1にそれぞれ対応する曲線を示す。
【0056】
比較例2
実施例2と比較して、希釈溶媒をメタノールとし、原料の配合割合をFAS−P:MeOH:0.1N−HNO3=1:25:0.3(単位:g)としたものである。
【0057】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は99.0重量%、2量体は1.0重量%、3量体は0であり、目標の99.5重量%以上の単量体濃度は得られなかった。
【0058】
比較例3
実施例2と比較して、希釈溶媒をエタノール〔(以下、「EtOH」と略す);キシダ化学製〕とし、原料の配合割合をFAS−P:EtOH:0.1N−HNO3=1:25:0.3(単位:g)としたものである。なお、その他の条件は、実施例2と同じで行った。
【0059】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は99.0重量%、2量体は1.0重量%、3量体は0であり、目標の99.5重量%以上の単量体濃度は得られなかった。
【0060】
比較例4
実施例2と比較して、希釈溶媒をn-ブタノール〔(以下、「BuOH」と略す);キシダ化学製〕とし、原料の配合割合をFAS−P:BuOH:0.1N−HNO3=1:25:0.3(単位:g)としたものである。なお、その他の条件は、実施例2と同じで行った。
【0061】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は99.0重量%、2量体は1.0重量%、3量体は0であり、目標の99.5重量%以上の単量体濃度は得られなかった。
【0062】
図2に実施例2および比較例2〜4の撥水性被膜形成用溶液をTMS化後に測定したGPCチャートを示す。結果、FAS−Pと同一の溶媒(i−PA)を用いた実施例2では2量体のピークは殆ど現れていないが、その他の溶媒を用いた比較例2〜4では2量体のピークが明らかに現れている。
なお、図中の▲1▼は実施例2、▲2▼は比較例2、▲3▼は比較例3および▲4▼は比較例4にそれぞれ対応する曲線を示す。
【0063】
比較例5
実施例5と比較して、希釈溶媒をエタノールとし、原料の配合割合をFAS−M:EtOH:0.1N−HNO3=1:25:0.3(単位:g)としたものである。なお、その他の条件は、実施例5と同じで行った。
【0064】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は98.6重量%、2量体は1.4重量%、3量体は0であり、目標の99.5重量%以上の単量体濃度は得られなかった。
【0065】
比較例6
実施例5と比較して、希釈溶媒をイソプロピルアルコールとし、原料の配合割合をFAS−M:i-PA:0.1N−HNO3=1:25:0.3(単位:g)としたものである。なお、その他の条件は、実施例5と同じで行った。
【0066】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は98.4重量%、2量体は1.4重量%、3量体は0.2であり、目標の99.5重量%以上の単量体濃度は得られなかった。
なお、耐トラバース性を測定した結果、50〜100°と不安定な値を示し、好ましいものではなかった。
【0067】
比較例7
実施例5と比較して、希釈溶媒をブタノールとし、原料の配合割合をFAS−M:BuOH:0.1N−HNO3=1:25:0.3(単位:g)としたものである。なお、その他の条件は、実施例5と同じで行った。
【0068】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は98.5重量%、2量体は1.3重量%、3量体は0.2であり、目標の99.5重量%以上の単量体濃度は得られなかった。
【0069】
比較例8
実施例5と比較して、希釈溶媒をアセトンとし、原料の配合割合をFAS−M:アセトン:0.1N−HNO3=1:25:0.3(単位:g)としたものである。なお、その他の条件は、実施例5と同じで行った。
【0070】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は90.4重量%、2量体は9.1重量%、3量体は0.5であり、目標の99.5重量%以上の単量体濃度は得られなかった。
【0071】
比較例9
実施例5と比較して、酸触媒(0.1N硝酸)を加えない、原料の配合割合をFAS−M:MeOH:0.1N−HNO3=1:25:0(単位:g)としたものである。なお、その他の条件は、実施例5と同じで行った。
【0072】
結果、表1に示すように、単量体の存在割合は99.9重量%以上、2量体および3量体は0であったが、初期接触角は90°と低く、撥水性被膜形成用溶液中では加水分解反応が全く起こっていないものと示唆された。
なお、耐トラバース性を測定した結果、60°以下の値であり、好ましいものではなかった。
【0073】
【表1】
Figure 0003649585
【0074】
【発明の効果】
以上前述したように、本発明によれば、極めて優れた耐摩耗性(耐トラバース性)を示し、量産下で安定かつ確実に優れた撥水性能を維持し耐久性が高いガラス等の撥水性基材が、簡便に効率よく得られ、品質の均質化を向上し、光学特性を損なうことがないので、建築用はもとより自動車用窓材、船舶や航空機の窓材、浴室用あるいは自動車用などのミラ−、産業用ガラス等各種の物品に広く採用できる利用価値の高い、有用な撥水性被膜形成用溶液を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】撥水性被膜形成用溶液のGPCチャート
【図2】撥水性被膜形成用溶液のGPCチャート

Claims (2)

  1. 酸触媒のもとに加水分解させたフルオロアルキル基含有シラン化合物の加水分解物の単量体を基材表面に固定化し、単分子層からなる撥水性被膜を形成するための溶液であって、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物は、一般式[1]で表されるフルオロアルキルアルコキシシラン化合物とし
    CF 3 ( CF 2 ) m ( CH 2 ) n SiR 1 x ( OR 2 ) 3-x [1]
    (式中、m=0〜15、n=0〜2、x=0〜2、ただし、m+n=0〜17の各整数、R 1 、R 2 =CH 3 、C 2 5 、C 3 5 およびC 4 7 を表す)
    前記単量体を含む溶液はフルオロアルキル基含有シラン化合物の濃度を0.1〜15重量%とし、且つ該アルコキシ基含有シラン化合物中のアルコキシ基の種類と等しいアルコールを希釈溶媒とし、酸性水溶液を触媒とした溶液を用いて生成されたものであり、フルオロアルキル基含有シラン化合物の加水分解物は99.5重量%以上の単量体からなることを特徴とする撥水性被膜形成用溶液。
  2. 請求項1記載の撥水性被膜形成用溶液を基材表面に塗布する工程と、次いで該撥水性被膜形成用溶液に含まれるフルオロアルキル基を該基材表面に固定化し単分子層の撥水性被膜を形成する硬化工程とからなることを特徴とする撥水性被膜の形成方法。
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