JP4628612B2 - 可変抵抗要素を用いた力検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変抵抗要素を用いた力検出装置に関し、特に、携帯電話やゲーム遊戯装置など、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、所定の操作量を示す操作入力を行うための入力装置などへの利用に適した力検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話やゲーム遊戯装置などの電子機器では、利用者による所定の操作入力を受け付け、この操作入力に基づいてプログラムが進行する。通常、この種の操作入力は、ディスプレイ画面上に表示されるカーソルやその他の指標を見ながら行うことが多く、上下左右の4方向あるいは斜めも含めた8方向の方向を示す入力が求められるのが一般的である。このような方向性をもった入力を行うために、いわゆるジョイスティックと呼ばれているタイプの装置が利用されている。この種の装置は、通常、二次元力検出装置を内蔵しており、加えられた力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ別個に検出することにより、加えられた操作入力の方向と操作量とを検出することになる。たとえば、X軸方向成分が+5であるような操作入力は、右方向に5という操作量を示し、Y軸方向成分が−8であるような操作入力は、下方向に8という操作量を示すことになる。もちろん、X軸方向成分とY軸方向成分とを合成する演算を行うことにより、斜め方向に加えられた操作入力の検出も可能である。
【0003】
また、携帯電話やゲーム遊戯装置などの電子機器では、上述したような方向性をもった操作入力とともに、クリック入力が要求される。このクリック入力は、基本的には、ON/OFFの二値状態を示す入力であるが、操作者に対してクリック操作を行ったという感触(いわゆるクリック感)を与えることが重要であり、ある程度のストロークを確保するとともに指先から加えられる押圧力に対する反力を作用させる必要がある。このようなクリック感をもったON/OFF入力を行うのに適したスイッチとして、ゴムや金属などの弾性材料の弾力性を利用したスイッチが一般的に用いられており、クリック入力とともに所定方向への操作入力を行う機能をもった力検出装置が実用されている。
【0004】
携帯電話やゲーム遊戯装置など、比較的安価な電子機器用の入力装置には、できるだけ単純な構造をもった安価な力検出装置を利用するのが望ましい。このような力検出装置として、特願2000−132012号明細書には、可変抵抗要素を用いた力検出装置が開示されている。この装置では、加えられた圧力に応じて抵抗値が変化する可変抵抗要素が利用されており、この可変抵抗要素の抵抗値の変化を検出することにより、加えられた外力の検出を行うことができる。可変抵抗要素は、たとえば、平板状の抵抗体と、これに接触可能な接触用導電体と、によって構成することができる。加えられる外力の大きさにより、接触用導電体の抵抗体に対する接触面積が変化するような構成にしておけば、この接触面積の大小により、抵抗体の所定の2点間の電気抵抗が変化することになる。したがって、この電気抵抗の変化に基づいて、作用した外力の大きさを検出することが可能になる。抵抗体も接触用導電体も極めて単純な電気回路要素であるため、このような原理に基づく力検出装置では、構成が非常に単純になり、製造コストを低減できるというメリットが得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した可変抵抗要素を用いた力検出装置では、作用した力の検出値を得るために、抵抗体の電気抵抗を測定することが不可欠である。しかしながら、抵抗体の電気抵抗を測定するためには、当該抵抗体に電流を流す必要があるため、測定時には、ある程度の電力消費は避けられない。このため、上述した可変抵抗要素を用いた力検出装置を種々の電子機器に組み込むと、全体的に電力消費が増大するという問題が生じていた。特に、内蔵電池で動作する携帯電話やゲーム遊戯装置などの電子機器では、電池の消耗をできるかぎり抑えるような設計が望まれており、上述した可変抵抗要素を用いた力検出装置は、コストの点では大きなメリットがあるものの、消費電力の点では大きなデメリットを抱えていた。
【0006】
もちろん、電力消費の大きな電気抵抗の測定回路を、間欠的に動作させることにより、全体的な消費電力を低減させるという手法を採ることは可能である。たとえば、20msecだけ回路を動作させたら、次の180msecは回路を停止させる、という200msec周期の間欠動作を行えば、1秒間に5回の測定が可能になり、かつ、消費電力を1/5程度に減少させることができる。しかしながら、このような手法を採っても、電力の無駄な消費を完全に抑制することはできない。実際の携帯電話などの利用形態を考慮すると、カーソル移動などのための入力操作が行われている時間はごく限られており、操作者が全く操作入力を行っていない間に、消費電力の大きな回路を動作させることは効率的ではない。
【0007】
そこで本発明は、電力消費を効率的に抑制させることが可能な可変抵抗要素を用いた力検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、作用した外力の大きさを検出する機能をもった可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
板状の基板と、
この基板に対向する位置に配置され、少なくとも一部分が弾性変形を生じる材料からなり、外力の作用に基づく弾性変形により基板に対して変位する構造をなす弾性変形体と、
基板と弾性変形体との間に配置され、弾性変形体の変位によって加わる圧力に応じて所定の二点間の抵抗値が変化する性質をもつ可変抵抗要素と、
一対の接触用電極を有し、通常は一対の接触用電極間が電気的に絶縁状態を維持し、弾性変形体に所定の大きさ以上の外力が作用したときには、弾性変形体の変形により一対の接触用電極間が電気的に導通状態となるような切替機能を果たす切替要素と、
可変抵抗要素の二点間の抵抗値を電気信号として検出する検出回路と、
を設け、
検出回路を、二点間の抵抗値を電気信号として出力する検出機能を果たすことができる検出モードと、検出機能を果たすことはできないが検出モードよりも少ない消費電力で、検出モードへ移行するための待機状態を維持することができる待機モードと、の2つのモードを選択できるように構成し、一対の接触用電極間の電気的な状態が、絶縁状態である場合には待機モードが選択され、導通状態である場合には検出モードが選択されるように構成し、
可変抵抗要素が、基板上に配置された4つの抵抗体と、弾性変形体の4つの抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された4つの接触用導電体と、を有し、基板の上面の中心位置に原点OをとったXY座標系を定義した場合に、第1の抵抗体はX軸正の領域に配置され、第2の抵抗体はX軸負の領域に配置され、第3の抵抗体はY軸正の領域に配置され、第4の抵抗体はY軸負の領域に配置されており、弾性変形体の変形により各接触用導電体の対向する各抵抗体に対する接触状態が変化するようにし、
接触用導電体が、弾性変形する材料によって構成され、少なくとも抵抗体に対する接触面は導電性を有しており、かつ、弾性変形体の変位によって加わる圧力に応じて抵抗体に対する接触面の面積が変化する形状を有しており、接触面の面積の変化に応じて、抵抗体上の「接触用導電体の接触位置」を挟む二点間の抵抗値が変化するように構成されており、
切替要素が、基板上に形成された一対の接触用電極と、一対の接触用電極の双方に同時に接触することにより一対の接触用電極間を導通させることができる仲介電極と、によって構成され、
一対の接触用電極が、XY座標系におけるX軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、Y軸負の領域のすべてに配置され、かつ、原点Oを中心として各抵抗体の外側位置に配置されており、
仲介電極が、弾性変形体の変位が生じる位置に形成され、通常は一対の接触用電極のいずれにも接触していないか、または、いずれか一方にのみ接触している状態を維持し、弾性変形体に所定の大きさ以上の外力が作用したときには、この弾性変形体の変形により、X軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、もしくはY軸負の領域において、一対の接触用電極の双方に同時に接触した状態となるように配置されており、
検出回路が、検出モードにおいて、各抵抗体の二点間の抵抗値に基づいて、弾性変形体に加わった外力のX軸方向成分およびY軸方向成分を検出するようにしたものである。
【0009】
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
接触用導電体を、導電性ゴムによって構成したものである。
【0010】
(3) 本発明の第3の態様は、作用した外力の大きさを検出する機能をもった可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
板状の基板と、
この基板に対向する位置に配置され、少なくとも一部分が弾性変形を生じる材料からなり、外力の作用に基づく弾性変形により基板に対して変位する構造をなす弾性変形体と、
基板と弾性変形体との間に配置され、弾性変形体の変位によって加わる圧力に応じて所定の二点間の抵抗値が変化する性質をもつ可変抵抗要素と、
一対の接触用電極を有し、通常は一対の接触用電極間が電気的に絶縁状態を維持し、弾性変形体に所定の大きさ以上の外力が作用したときには、弾性変形体の変形により一対の接触用電極間が電気的に導通状態となるような切替機能を果たす切替要素と、
可変抵抗要素の二点間の抵抗値を電気信号として検出する検出回路と、
を設け、
検出回路を、二点間の抵抗値を電気信号として出力する検出機能を果たすことができる検出モードと、検出機能を果たすことはできないが検出モードよりも少ない消費電力で、検出モードへ移行するための待機状態を維持することができる待機モードと、の2つのモードを選択できるように構成し、一対の接触用電極間の電気的な状態が、絶縁状態である場合には待機モードが選択され、導通状態である場合には検出モードが選択されるように構成し、
可変抵抗要素が、基板上に配置された4つの下方抵抗体と、弾性変形体の4つの下方抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された4つの上方抵抗体と、を有し、基板の上面の中心位置に原点OをとったXY座標系を定義した場合に、第1の下方抵抗体はX軸正の領域に配置され、第2の下方抵抗体はX軸負の領域に配置され、第3の下方抵抗体はY軸正の領域に配置され、第4の下方抵抗体はY軸負の領域に配置されており、弾性変形体の変形により各上方抵抗体の対向する各下方抵抗体に対する接触状態が変化するようにし、
下方抵抗体および上方抵抗体の少なくとも一方の他方に対向する表面部分が、弾性変形を生じる凹凸構造をなし、検出対象となる外力の作用によって加わる圧力に応じて下方抵抗体と上方抵抗体との接触面の面積が変化するように構成され、接触面の面積の変化に応じて、下方抵抗体側に接続された所定点と上方抵抗体側に接続された所定点との間の抵抗値が変化するように構成されており、
切替要素が、基板上に形成された一対の接触用電極と、一対の接触用電極の双方に同時に接触することにより一対の接触用電極間を導通させることができる仲介電極と、によって構成され、
一対の接触用電極が、XY座標系におけるX軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、Y軸負の領域のすべてに配置され、かつ、原点Oを中心として各抵抗体の外側位置に配置されており、
仲介電極が、弾性変形体の変位が生じる位置に形成され、通常は一対の接触用電極のいずれにも接触していないか、または、いずれか一方にのみ接触している状態を維持し、弾性変形体に所定の大きさ以上の外力が作用したときには、この弾性変形体の変形により、X軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、もしくはY軸負の領域において、一対の接触用電極の双方に同時に接触した状態となるように配置されており、
検出回路が、検出モードにおいて、各抵抗体の二点間の抵抗値に基づいて、弾性変形体に加わった外力のX軸方向成分およびY軸方向成分を検出するようにしたものである。
【0011】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
下方抵抗体および上方抵抗体を、感圧導電性インクによって構成したものである。
【0012】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1〜第4の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
一対の接触用電極を、環状の第1電極と、この第1電極の外側に隣接配置された環状の第2電極と、によって構成し、
仲介電極を、第1電極と第2電極との双方に、いずれかの箇所で同時に接触可能な位置に形成したものである。
【0013】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1〜第4の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
基板上に第1グループに所属する複数N個の電極と第2グループに所属する複数のN個の電極とを配置し、第1グループに所属する第i番目(1≦i≦N)の電極と第2グループに所属する第i番目の電極とがそれぞれ隣接するようにし、互いに隣接して配置された第1グループに所属する電極と第2グループに所属する電極とによって一対の接触用電極が構成されるようにし、合計N組からなる一対の接触用電極を形成したものである。
【0014】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第6の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
基板上に定義された円周に沿って、第1グループに所属する電極と第2グループに所属する電極とを交互に配置し、
仲介電極を、弾性変形体側の「上記円周に対向する円周」に沿って形成するようにしたものである。
【0015】
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1〜第7の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
検出回路内に、抵抗体の二点間に電圧を印加することにより当該二点間の抵抗値を検出する回路を用意し、検出モードにおいては電圧を印加し、待機モードにおいては電圧を印加しない制御が行われるようにしたものである。
【0016】
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第8の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
切替要素を構成する一対の接触用電極の導通/絶縁状態をON/OFFスイッチとして利用し、抵抗体の二点間への電圧印加が行われるようにしたものである。
【0017】
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第1〜第9の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
剛性材料からなる操作盤を弾性変形体に取り付け、この操作盤に加えられた操作入力に基づいて弾性変形体に変位が生じるようにしたものである。
【0018】
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第1〜第10の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
弾性変形体を、基板上面に対してほぼ平行になるように配置された膜状部と、この膜状部の周囲を基板上面に固定するための側壁部と、膜状部の下面の所定の複数箇所から下方に伸びた柱状突起と、によって構成し、少なくとも膜状部の一部および柱状突起を弾性材料によって構成するようにしたものである。
【0019】
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第11の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
弾性変形体を、一体成型されたゴムによって構成したものである。
【0020】
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第1〜第12の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
基板と弾性変形体との間に挿入され、基板上面の中心付近に伏せるように配置されたドーム状構造体を更に設けたものである。
【0021】
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第13の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置において、
ドーム状構造体が、頂点付近に対して所定の大きさ以上の下方への押圧力を加えると、頂点付近が弾性変形して下に凸となるように形状反転を起こす性質を有し、かつ、少なくとも下面から底周面にかけた部分が導電性接触面を構成しており、
基板上面の、ドーム状構造体が形状反転を起こした際に頂点付近の下面に接触可能な位置に配置された第1のクリック用電極と、
基板上面の、ドーム状構造体の底周面に接触する位置に配置された第2のクリック用電極と、
を更に設け、
検出回路が、第1のクリック用電極と第2のクリック用電極との導通状態を電気的に検出することによりクリック入力の検出が行えるように構成したものである。
【0026】
(15) 本発明の第15の態様は、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、所定方向への操作量を示す操作入力を行うための電子機器用入力装置において、上述の第1〜第14の態様に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置を組み込み、この力検出装置によって検出された外力を操作量として取り扱うことができるようにしたものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0028】
§1.可変抵抗要素を用いた力検出装置の基本構造
本発明は、可変抵抗要素を用いた力検出装置において、電力消費を効率的に抑制させる新規な手法を提供するものである。そこで、ここでは、本発明の適用対象となる可変抵抗要素を用いた力検出装置の基本構造を、一例を提示しながら説明しておくことにする。ここで述べる例は、前掲の特願2000−132012号明細書に基本的な実施形態として開示された力検出装置である。
【0029】
図1は、この可変抵抗要素を用いた力検出装置の構造を示す側断面図である。
この力検出装置は、XYZ三次元座標系において作用した外力のX軸方向,Y軸方向,Z軸方向の各成分をそれぞれ独立して検出する機能を有しており、主たる構成要素は、図示のとおり、基板110、弾性変形体120、固定部材130である。ここでは、説明の便宜上、基板110の上面のほぼ中心位置に、XYZ三次元座標系の原点Oを定義し、基板110の上面がXY平面に沿って配置されているものとする。図1に示す座標系では、図の右方向にX軸、図の上方向にZ軸、紙面に垂直下方にY軸が定義されている。
【0030】
基板110は、上述のとおり、XY平面に沿った上面を有する平板状の剛体からなる基板であり、この力検出装置では、ガラスエポキシ基板が用いられている。もちろん、基板110の材質は特に限定されるものではなく、後述する力の作用を受けても変形しないだけの十分な剛性を有する基板であれば、どのようなものを用いてもかまわない。ただし、上面には互いに電気的に独立した複数の抵抗体を形成する必要があるため、少なくとも抵抗体の形成面には絶縁性をもたせておく必要がある。したがって、実用上は、絶縁性材料からなるガラスエポキシ基板、ポリイミド基板、ガラス基板などを用いるのが好ましい。もちろん、金属板を基板110として用いることも可能であるが、この場合、少なくとも上面の抵抗体形成部分には、絶縁膜を形成する必要がある。
【0031】
図2は、この基板110の上面図であり、一点鎖線の矩形は、この上に配置される弾性変形体120の位置を示している。図1に示されている基板110の断面は、図2に示す基板110をX軸に沿って切断した断面である。基板110の上面は、XYZ三次元座標系のXY平面に含まれ、その中心に原点Oが定義されている。図示の通り、この基板110の上面には、6つの抵抗体R1〜R6が形成されている。これらの抵抗体R1〜R6は、この力検出装置の場合、いずれも平板状のカーボンからなる抵抗体である。本発明に用いる抵抗体は、後述する測定に適した抵抗値を有する材質であれば、どのような材質のものを用いてもよく、また、どのような形状のものを用いてもよいが、実用上は、カーボンなどの材料を用いて、基板110の上面に印刷により形成することができる平板状の抵抗体を用いるのが好ましい。
【0032】
ここで、重要な点は、これら抵抗体R1〜R6の配置である。図示のとおり、第1の抵抗体R1は基板110の上面のX軸正領域に配置されており、第2の抵抗体R2は基板110の上面のX軸負領域に配置されており、第3の抵抗体R3は基板110の上面のY軸正領域に配置されており、第4の抵抗体R4は基板110の上面のY軸負領域に配置されている。これら4枚の抵抗体R1〜R4は、いずれも同一の大きさをもった長方形状をしており、X軸もしくはY軸に関して線対称となるように配置されている。また、原点Oと各抵抗体R1〜R4との距離も同一となるように配置されている。後述するように、第1の抵抗体R1および第2の抵抗体R2は、作用した外力のX軸方向成分の検出に用いられ、第3の抵抗体R3および第4の抵抗体R4は、作用した外力のY軸方向成分の検出に用いられる。
【0033】
一方、第5の抵抗体R5および第6の抵抗体R6は、互いに同一の大きさをもった正方形状をした平板状抵抗体である。ここで、第5の抵抗体R5は、その中心点が原点Oの位置にくるように配置されているのに対して、第6の抵抗体R6は、これら抵抗体群の右下あたりに配置されている。後述するように、第5の抵抗体R5および第6の抵抗体R6は、作用した外力のZ軸方向成分の検出に用いられる。ただし、Z軸方向成分の本来の検出値は第5の抵抗体R5から得られ、第6の抵抗体R6は、標準となる抵抗値の参照用として用いられるにすぎない。したがって、ここでは、第5の抵抗体R5を「Z軸用抵抗体」と呼び、第6の抵抗体R6を「参照用抵抗体」と呼ぶことにする。Z軸用抵抗体R5は、原理的には、基板110の上面のどの位置に配置してもかまわないが、検出感度を高める上では、原点Oの位置(Z軸に交差する位置)に配置するのが好ましい。これは、この力検出装置に係る弾性変形体120の構造上、その中心部分(Z軸に交差する部分)における変位が最も大きくなるためである。これに対して、参照用抵抗体R6は、単に抵抗値を参照するために利用される抵抗体であるので、基板110上の任意の位置に配置してかまわない。
【0034】
一方、弾性変形体120は、この基板110の上面に配置される部材である。この弾性変形体120の上面図を図3に、下面図を図4にそれぞれ示す。図3および図4に示す弾性変形体120をX軸に沿って切断した断面が、図1に示されていることになる。図1に示されているように、弾性変形体120は、内側に位置する円盤状の作用部121と、その周囲の可撓部122と、外側の固定部123と、を有し、更に、作用部121の上面中央部には、Z軸を中心軸とした円柱状の操作桿125が形成されている。図1の側断面図に示されているように、弾性変形体120の上面には、作用部121、可撓部122、固定部123による段差構造が形成されており、下面には、空洞部Vが形成されている。弾性変形体120の上面は必ずしもこのような段差構造にする必要はないが、図示の例の場合、作用部121と可撓部122との間の段差構造は、可撓部122の肉厚を薄くするために貢献している。すなわち、作用部121の肉厚に対して、可撓部122の肉厚を薄く設定することにより、可撓部122に可撓性をもたせている。また、可撓部122と固定部123との間の段差構造は、固定部123を固定部材130によって固定するための便宜である。
【0035】
この力検出装置における弾性変形体120には、このように、作用部121、可撓部122、固定部123の3つの部分が設けられている。ここで、作用部121は、基板110の上方に配置され、外力の作用により変位を生じるような構造をもっていれば、基本的にはどのような形態のものでもかまわないが、後述するように、その下面には複数の接触用導電体を所定位置(各抵抗体に対向する位置)に取り付ける必要があるので、この接触用導電体の取り付けに適した下面を有する盤状形態とするのが好ましい。作用部121は完全な剛体である必要はないが、可撓部122に比べれば、ある程度の剛性を有するのが好ましく、この力検出装置では、可撓部122の肉厚に比べて、作用部121の肉厚を厚くすることによりある程度の剛性をもたせるようにしている。
【0036】
固定部123は、弾性変形体120を基板110に固定するための部分であり、図示の例では、固定部123の下面が基板110の上面に直接接触した状態となっている。固定部材130は、固定部123を基板110に固定する機能を果たす部材であり、基板110および弾性変形体120をその外周部分から取り巻く構造を有し、固定部123の上面と基板110の下面とを挟持した状態を保つ。なお、固定部123は、必ずしも基板110に直接固定する必要はなく、固定部123と基板110との間に、何らかの中間部材を介して間接的に固定するようにしてもかまわない。
【0037】
可撓部122は、作用部121と固定部123との間に形成され、可撓性をもった部分である。この可撓部122が可撓性を有しているため、作用部121に外力が作用すると、可撓部122に撓みが生じ、作用部121が基板110に対して変位を生じることになる。外力は、実際には操作桿125に対して与えられる。たとえば、この力検出装置をコンピュータゲーム用のジョイスティックの部品として利用するのであれば、操作者が操作桿125を操作することにより与えられる外力は、操作桿125から作用部121を介して可撓部122へと伝達され、可撓部122がこの外力に応じた撓みを生じ、作用部121が変位することになる。可撓部122の可撓性の程度は、操作者の加える力の大きさと作用部121に生じる変位の大きさとの関係を定めるパラメータとなる。なお、図示の例では、空洞部Vの外形を矩形にしているが、空洞部Vの外形を円形にしてもよい。この場合、可撓部122は円環状(ドーナツ状)になる。
【0038】
この力検出装置では、絶縁性シリコンゴムを一体成型することにより、弾性変形体120の全体を構成しており、作用部121、可撓部122、固定部123、操作桿125はいずれも絶縁性シリコンゴムから構成されている。もちろん、この力検出装置における弾性変形体120は、少なくとも可撓部122が可撓性をもっていればよいので、弾性変形体120の各部をそれぞれ異なる材質で構成することも可能である。ただし、製造コストを低減する上では、弾性変形体120の全体を絶縁性シリコンゴムなどの同一材料による一体成型品で構成するのが好ましい。
【0039】
図3の上面図に破線で示す部分は、弾性変形体120の下面に形成された空洞部Vである。図4の下面図に示すように、この空洞部Vの内側には、5つの接触用導電体C1〜C5が収容されている。接触用導電体C1〜C5は、いずれも椀状(より正確に言えば、接触用導電体C1〜C4は半球状、接触用導電体C5は半楕円体状)をしており、弾性変形する導電性材料によって構成されている。ここでは、弾性変形する導電性材料として、導電性シリコンゴムを用いており、接触用導電体C1〜C5は、いずれも導電性シリコンゴムを椀状に成型し、弾性変形体120の下面に接着したものである。ここで、これら接触用導電体C1〜C5の配置は重要である。すなわち、接触用導電体C1〜C5は、それぞれ抵抗体R1〜R5に対向する位置に配置されている。また、各接触用導電体C1〜C5は、弾性変形する材料から構成され、少なくとも抵抗体R1〜R5に対する接触面が導電性を有しており、かつ、弾性変形体120の変位によって加わる圧力に応じて、抵抗体R1〜R5に対する接触面の面積が変化する形状を有している必要がある。図1の側断面図には、接触用導電体C1,C2,C5が、それぞれ抵抗体R1,R2,R5に対向する位置に配置されている様子が明瞭に示されている。この力検出装置では、何ら外力が作用しない状態において、各接触用導電体C1〜C5がその下端点において、各抵抗体R1〜R5の上面にほぼ点接触するような状態となるように、両者の距離が設定されている。なお、参照用抵抗体R6に対向する位置には、何ら接触用導電体は設けられていない。これは、前述したように、参照用抵抗体R6が抵抗値を参照するために利用される抵抗体であるためである。
【0040】
上述したように、操作桿125に外力が作用すると、可撓部122に撓みが生じ、作用部121の下面が基板110の上面に対して変位を生じることになる。このような変位が生じると、各接触用導電体の各抵抗体に対する接触状態が変化する。より具体的には、各接触用導電体の各抵抗体に対する接触面の面積が変化することになる。本発明に係る力検出装置の基本原理は、このような接触面の面積を抵抗体の抵抗値の変化として検出し、作用した外力の大きさを求めようとする点にある。以下、作用した外力の各座標軸方向成分を検出する基本原理を述べる。
【0041】
§2.可変抵抗要素を用いた力検出装置の動作原理
いま、図5(a) の側断面図に示されているように、基板110の上面に1枚の抵抗体Rが形成され、作用部121の下面に半球状の接触用導電体Cが形成されているものとしよう。このとき、接触用導電体Cは、その下端点において、抵抗体Rの中心にほぼ点接触している状態であるとする。図5(b) は、このときの抵抗体Rの上面図であり、中心位置に示す黒丸Sは、接触用導電体Cの接触面を示している。このように、接触用導電体Cの下端点が抵抗体Rの表面にほぼ点接触している状態では、接触面Sは点に近い微小円となる。
【0042】
さて、ここで、図5(b) に示すように、抵抗体Rの左右両端から配線を引き出し、これらの配線の端部に端子T1,T2を接続し、この両端子T1,T2間の抵抗値を測定してみたとする。別言すれば、抵抗体R上の「接触用導電体Cの接触位置(接触面S)」を挟む2点間の抵抗値が測定されることになる。この場合、接触面Sは点に近い微小円であるため、測定される抵抗値に、接触用導電体Cはほとんど影響を及ぼすことはなく、測定により得られる抵抗値は、抵抗体Rがもっている本来の抵抗値に近い値ということになる。図5(c) は、このような測定系の等価回路である。接触用導電体Cから下方に伸びた矢印は抵抗体Rの中央の点に接触しているだけであり、両端子T1,T2間には、抵抗体Rの本来の抵抗値が現れるだけである。
【0043】
これに対して、図6(a) の側断面図に示されているように、作用部121に対して、図の下方への力−Fz(−Z軸方向への力)が加わった場合を考えてみる。この場合、作用部121の下面が下方へ変位することになり、接触用導電体Cに対して、−Z軸方向の押圧力が加わる。接触用導電体Cは、弾性変形する導電性材質(この例の場合、導電性シリコンゴム)から構成されているため、この押圧力により図のように押し潰された状態となり、抵抗体Rに対する接触状態が変化する。接触用導電体Cの形状は、このような接触状態の変化に基づいて接触面の面積が変化する形状(この例では、半球状)となっているため、図示のように、接触用導電体Cが上下方向に潰れた状態になると、接触面の面積が増加する。図6(b) は、このときの抵抗体Rの上面図であり、円Sは、接触用導電体Cの接触面を示している。なお、この円Sの内部に描かれている同心円は、抵抗体Rの表面に加わる圧力分布を示す等圧線である。すなわち、接触圧は円Sの中心ほど大きくなる。
【0044】
このように接触用導電体Cの接触面が大きくなると、両端子T1,T2間の抵抗値に変化が生じることになる。すなわち、接触用導電体Cは導電体であり、抵抗体Rよりもはるかに電流を流しやすい性質をもっているため、両端子T1,T2間を流れる電流は、円Sで示される接触面の部分においては、抵抗体R内を通らずに、接触用導電体C内を迂回してしまうことになる。図6(c) は、このような測定系の等価回路である。接触用導電体Cから下方に伸びた2本の矢印は抵抗体Rの2か所に接触しており、この2か所において電流は接触用導電体C側へと迂回することになる。2本の矢印の間隔は、接触用導電体Cの接触面の大きさに応じて広くなる。結局、接触用導電体Cの抵抗体Rに対する接触面の面積が大きくなればなるほど、両端子T1,T2間の抵抗値は減少することになる。
【0045】
このようにして、作用部121に作用した外力−Fzが大きくなればなるほど、接触用導電体Cの接触面の面積は大きくなり、両端子T1,T2間の抵抗値は小さくなる。作用した外力と両端子間の抵抗値との間には、必ずしも線形関係は成り立たないが、両者間には一価の関数関係が成り立ち、両端子間の抵抗値を測定することができれば、作用した外力の大きさを求めることができる。これが、可変抵抗要素を用いた力検出装置における力検出の基本原理である。
【0046】
続いて、§1で述べた力検出装置により、作用した外力のX軸,Y軸,Z軸の各方向成分を検出できる理由を説明する。まず、図1に示す力検出装置における操作桿125に対して、斜め右下方向への外力Fが作用した場合を考える。この力検出装置がジョイスティックとして用いられている場合、操作者が操作桿125を斜め右方向に傾ける操作を行うと、このような外力Fが作用することになる。図7の側断面図は、このような外力Fが作用したときの作用部121の変位状態を示している。外力Fが加わると、可撓性をもった可撓部122が撓みを生じることになるが、外力Fが斜め右下方向への力であるため、図示のように、円盤状の作用部121は右下方向に傾斜するように変位する。外力Fを各座標軸方向の力成分に分解すると、図の下方への力−Fz(−Z軸方向の力)と図の右方への力+Fx(+X軸方向の力)とに分けることができる。ここでは、これらの各成分のうち、+X軸方向の成分+Fxを検出する原理を述べることにする。
【0047】
なお、外力Fを座標系の原点Oに作用する力としてとらえると、実際には、+X軸方向の力成分+Fxは、Y軸まわりのモーメントということになるが、操作者が操作桿125に与える力としてとらえれば、+X軸方向の力成分+Fxは、あくまでも+X軸方向を向いた力である。このように、力とモーメントとは、実質的には同じ物理量を示すものであり、本明細書では、以下、力というとらえ方に統一した説明を行うことにする。
【0048】
さて、+X軸方向の成分+Fxを含む外力Fが加わると、図7に示されているように、円盤状の作用部121は右下方向に傾斜するように変位する。したがって、X軸上に配置された接触用導電体C1とC2とについての潰れ具合を比較すると、C2に比べてC1の方の潰れ具合の方が大きくなる。このため、C1のR1に対する接触面積は、C2のR2に対する接触面積よりも大きくなる。そこで、たとえば、図7における抵抗体R1,R2のそれぞれ両端位置の抵抗値を測定したとすれば、抵抗体R1についての抵抗値の方が抵抗体R2についての抵抗値よりも小さくなる。両抵抗値の差が大きければ大きいほど、作用した外力のX軸方向成分は大きいことになる。
【0049】
上述の例とは逆に、操作者が操作桿125を斜め左下方向に傾ける操作を行うと、図の下方への力−Fz(−Z軸方向の力)と図の左方への力−Fx(−X軸方向の力)とを合成した外力Fが作用することになり、円盤状の作用部121は左下方向に傾斜するように変位する。このため、C2のR2に対する接触面積が、C1のR1に対する接触面積よりも大きくなる。その結果、抵抗体R2についての抵抗値の方が抵抗体R1についての抵抗値よりも小さくなる。結局、X軸正領域に配置された第1の抵抗体R1についての「第1の接触用導電体C1の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、X軸負領域に配置された第2の抵抗体R2についての「第2の接触用導電体C2の接触位置」を挟む2点間の抵抗値と、を比較することにより、作用した外力のX軸方向成分を検出することが可能になる。すなわち、両抵抗値の大小関係により、力の向き(+X軸方向か、−X軸方向か)を認識することができ、両抵抗値の差により、力の大きさを認識することができる。
【0050】
作用した外力のY軸方向成分の検出原理は、上述したX軸方向成分の検出原理と全く同じである。基板110上には、図2に示すように、6つの抵抗体R1〜R6が配置されている。X軸方向成分の検出には、上述したように、X軸正領域に配置された第1の抵抗体R1とX軸負領域に配置された第2の抵抗体R2と、これらに対向する位置に配置された第1の接触用導電体C1および第2の接触用導電体C2とを用いた。これに対して、Y軸方向成分の検出には、Y軸正領域に配置された第3の抵抗体R3とY軸負領域に配置された第4の抵抗体R4と、これらに対向する位置に配置された第3の接触用導電体C3および第4の接触用導電体C4とを用いればよい。
【0051】
一方、作用した外力のZ軸方向成分の検出原理は、上述したX軸方向成分やY軸方向成分の検出原理とは若干異なる。X軸方向やY軸方向についての検出を行うには、原点Oの両側に配置された一対の抵抗体についての抵抗値を比較する必要があったのに対し、Z軸方向についての検出は、単一の抵抗体についての抵抗値を測定するだけでも行うことが可能である。また、Z軸方向の検出に用いる抵抗体の配置も、特定の位置に限定されるものではなく、基板110の上面の任意の位置に配置された抵抗体によって、作用した力のZ軸方向成分を検出することができる。たとえば、図7では、外力FのX軸方向成分+Fxを検出する原理を説明したが、この外力Fには、Z軸方向成分−Fzも含まれており、接触用導電体C1を上下方向に潰す力は、このZ軸方向成分−Fzの作用に他ならない。別言すれば、抵抗体C1についての抵抗値が減少した直接的な理由は、Z軸方向成分−Fzが作用したためであり、この抵抗体C1についての抵抗値の減少量は、第一義的には、抵抗体C1に作用したZ軸方向成分の力の大きさを示していることになる。前述の原理でX軸方向成分+Fxを検出することができたのは、図の左右に配置された接触用導電体C1,C2に加わるZ軸方向の力が、左右でアンバランスになることを利用したためである。
【0052】
してみると、抵抗体R1についての抵抗値に基づいてZ軸方向の力成分を検出することも可能である。同様に、抵抗体R2,R3,R4のいずれを用いても、Z軸方向の力成分を検出することが可能である。ただ、実用上は、最も効率良い検出を行うことができる位置に、Z軸方向の力成分を検出するための専用の抵抗体を配置するのが好ましい。そこで、この力検出装置では、図2の上面図に示されているように、原点O上に配置された第5の抵抗体R5を、Z軸用抵抗体として用いるようにし、その上方にZ軸用接触用導電体C5を配置するようにしている。すなわち、Z軸用抵抗体R5およびZ軸用接触用導電体C5は、いずれもZ軸上に配置されることになる。図1において、操作桿125に−Z軸方向の力−Fzが加えられると、Z軸用抵抗体R5に点接触するように配置されていたZ軸用接触用導電体C5は押し潰され、接触状態に変化が生じる。すなわち、図6(a) に示すように、接触面積が増加することになる。ここで、Z軸用抵抗体R5上の「Z軸用接触用導電体C5の接触位置」を挟む2点間の抵抗値を測定すれば、測定される抵抗値は、Z軸用接触用導電体C5の接触面積が増加すると減少する関係になるので、測定された抵抗値に基づいて、作用した−Z軸方向の力−Fzを求めることができる。
【0053】
なお、この力検出装置をジョイスティックなどに利用する場合、操作者が操作桿125に加える操作により発生するZ軸方向の力は、通常、−Z軸方向の力−Fz(図1における下方向への力)となるため、+Z軸方向の力+Fz(図1における上方向への力)を測定する必要はない。ただ、操作桿125を上方へ引っ張り上げるような力が加わるような環境でこの力検出子を利用する場合は、+Z軸方向の力+Fzを測定できる構成にしておく必要がある。実は、図1に示す構成では、+Z軸方向の力+Fzを測定することはできない。既に§1で述べたように、図1に示す力検出装置では、何ら外力が作用しない状態において、各接触用導電体C1〜C5がその下端点において、各抵抗体R1〜R5の上面にほぼ点接触するような状態となるように、両者の距離が設定されている。このような構成において、操作桿125を上方へ引っ張り上げるような力が加わると、各接触用導電体C1〜C5は各抵抗体R1〜R5の上面から浮き上がり、非接触の状態となってしまう。したがって、+Z軸方向の力+Fzが作用しても、各抵抗体R1〜R5についての抵抗値には何ら変化は生じないことになる。
【0054】
+Z軸方向の力+Fzが作用した場合にも、これを検出することができるような構成にするためには、何ら外力が作用しない状態においても、各接触用導電体C1〜C5がある程度の押圧力をもって各抵抗体R1〜R5の上面に面接触するような状態となるようにしておけばよい。このような構成にしておけば、+Z軸方向の力+Fzが作用すると、抵抗体に対する接触面積の減少が生じることになり、抵抗体についての抵抗値の増加という形で作用した力を検出することができるようになる。
【0055】
このように、Z軸方向成分の検出は、単一のZ軸用抵抗体R5のみを用いても行うことができるが、実用上は、参照用抵抗体R6を利用した検出を行うのが好ましい。その理由は、一般的な抵抗体は、種々の環境要素によって、それ自身の抵抗値が変化する性質をもっているためである。たとえば、経年変化により化学的な組成に変化が生じれば、抵抗値が変化することになる。実用上、最も大きな影響を与える環境要素は温度である。一般的な抵抗体の抵抗値は、温度に依存して変化する。したがって、Z軸用抵抗体R5についての抵抗値のみに基づいて、作用した力のZ軸方向成分の検出を行うと、検出値は温度の影響を多分に受けることになり、正確な検出結果を得ることができなくなる。前述したX軸方向成分やY軸方向成分の場合、一対の抵抗体についての抵抗値の差分に基づく検出が行われるため、このような温度による影響は相殺される。そこで、Z軸方向成分の検出を行う際にも、参照用抵抗体R6の抵抗値を参照した検出を行うようにすれば、温度による影響を相殺することができる。
【0056】
図2に示す例の場合、Z軸用抵抗体R5と参照用抵抗体R6とは、幾何学的に合同な形状をもった抵抗体であり、温度などの環境による抵抗値の変化は同等になる。両者の相違点は、外力の作用により抵抗値が変化するか否かという点だけである。すなわち、Z軸用抵抗体R5は、所定の2点(Z軸用接触用導電体C5の接触位置を挟む2点)間の抵抗値が、外力の作用によって変化する抵抗体であるのに対し、参照用抵抗体R6は、所定の2点間の抵抗値は、外力の影響を受けずに一定(これは、外力の影響に関しては抵抗値が変化ないという意味であり、温度等の影響に関しては、当然、抵抗値は変化する。)となる抵抗体である。したがって、両者の抵抗値の差を検出するようにすれば、この差には、外力の作用に基づく因子のみが含まれることになり、温度などの環境因子を除外することができる。
【0057】
以上、図1に示す力検出装置について、操作桿125に作用した外力FのX軸,Y軸,Z軸の各方向成分を検出する原理を説明した。このように、図1に示す力検出装置は、三次元の各座標軸方向成分の力を検出することができる三次元力検出装置である。この三次元力検出装置では、図2に示す各抵抗体R1〜R6および図4に示す各接触用導電体C1〜C5が、それぞれ特定の座標軸方向成分の力検出を分担して受け持っている。すなわち、抵抗体R1,R2および接触用導電体C1,C2はX軸方向成分の検出を受け持ち、抵抗体R3,R4および接触用導電体C3,C4はY軸方向成分の検出を受け持ち、Z軸用抵抗体R5,参照用抵抗体R6,Z軸用接触用導電体C5は、Z軸方向成分の検出を受け持っている。
【0058】
したがって、二次元の各座標軸方向成分の力を検出することができる二次元力検出装置や、一次元の座標軸方向成分の力を検出することができる一次元力検出装置を構成するのであれば、上述した抵抗体や接触用導電体のうち、検出に必要なもののみを用いればよいことになる。たとえば、X軸方向成分の力を検出する一次元力検出装置を実現するには、抵抗体R1,R2と接触用導電体C1,C2とを用いれば十分である。また、X軸方向成分とY軸方向成分とを検出する二次元力検出装置を実現するには、抵抗体R1,R2,R3,R4と接触用導電体C1,C2,C3,C4とを用意すれば十分であり、X軸方向成分とZ軸方向成分とを検出する二次元力検出装置を実現するには、抵抗体R1,R2,R5,R6と接触用導電体C1,C2,C5とを用意すれば十分である。
【0059】
§3.力検出装置として用いるための検出回路
これまで、可変抵抗要素を用いた力検出装置の基本形態の構成および動作原理を述べた。このような力検出装置によって、実際に加えられた外力を電気信号として取り出すためには、所定の検出回路が必要になる。ここでは、このような検出回路の実用に適した例を述べることにする。図8(a) ,(b) ,(c) は、このような検出回路の一例を示す回路図である。
【0060】
まず、図8(a) に示す回路は、抵抗体R1,R2を用いて力のX軸方向成分の検出値を出力端子Txに出力する検出回路である。この検出回路では、第1の抵抗体R1と第2の抵抗体R2とを、X軸検出用接続点Jxにおいて直列接続することによりX軸検出用抵抗体が形成されている。第1の抵抗体R1あるいは第2の抵抗体R2の両端点としては、図5(b) に示すように、長方形状をした抵抗体の左右の両短辺上の中央点をとっており、電流が図の左右方向に流れるようにしている。もちろん、各抵抗体Rの両端点としては、接触用導電体Cの接触位置を挟むような2点であれば、どのような端点をとってもかまわないので、たとえば、図5(b) において、長方形状をした抵抗体の上下の両長辺上の中央点をとり、電流が図の上下方向に流れるようにしてもよい。
【0061】
図8(a) の回路では、第1の抵抗体R1と第2の抵抗体R2との直列接続によって構成されるX軸検出用抵抗体は、上端が電源Vccに接続され、下端が接地されており、両端に一定の電源電圧Vccが印加された状態となっている。ここで、出力端子Txに出力される電圧は、X軸検出用接続点Jxにおける電圧であり、電源電圧Vccを、第1の抵抗体R1についての抵抗値と第2の抵抗体R2についての抵抗値とで按分した値に相当する。§2で述べたように、+X軸方向の力+Fxが加わると、第2の抵抗体R2についての抵抗値に比べて、第1の抵抗体R1についての抵抗値が減少する。したがって、出力端子Txに出力される電圧は上昇することになる。逆に、−X軸方向の力−Fxが加わると、出力端子Txに出力される電圧は下降することになる。結局、何ら外力が作用していない状態で出力端子Txに出力される電圧値(理論的には、Vcc/2になる)を基準として、この電圧値が上昇した場合には、この上昇幅に相当する大きさをもった+X軸方向の力+Fxが作用したことになり、この電圧値が下降した場合には、この下降幅に相当する大きさをもった−X軸方向の力−Fxが作用したことになる。このように、図8(a) の検出回路を用いれば、出力端子Txの出力電圧に基づいて、作用した外力のX軸方向成分の検出が可能になる。
【0062】
次に、図8(b) に示す回路は、抵抗体R3,R4を用いて力のY軸方向成分の検出値を出力端子Tyに出力する検出回路である。この検出回路では、第3の抵抗体R3と第4の抵抗体R4とを、Y軸検出用接続点Jyにおいて直列接続することによりY軸検出用抵抗体が形成されている。第1の抵抗体R1あるいは第2の抵抗体R2の両端点としては、接触用導電体Cの接触位置を挟むような2点であれば、どのような端点をとってもかまわない。この図8(b) の回路においても、第3の抵抗体R3と第4の抵抗体R4との直列接続によって構成されるY軸検出用抵抗体は、上端が電源Vccに接続され、下端が接地されており、両端に一定の電源電圧Vccが印加された状態となっている。この検出回路における出力端子Tyの出力電圧に基づいて、作用した外力のY軸方向成分の検出が可能になる原理は、図8(a) の検出回路によるX軸方向成分の検出原理と同様である。
【0063】
一方、図8(c) に示す回路は、抵抗体R5,R6を用いて力のZ軸方向成分の検出値を出力端子Tzに出力する検出回路である。この検出回路では、Z軸用抵抗体R5と参照用抵抗体R6とを、Z軸検出用接続点Jzにおいて直列接続することによりZ軸検出用抵抗体が形成されている。Z軸用抵抗体R5の両端点としては、Z軸用接触用導電体C5の接触位置を挟むような2点であれば、どのような端点をとってもかまわない。また、参照用抵抗体R6の両端点としては、Z軸用抵抗体R5の両端点と同等の位置をとればよい。
【0064】
この図8(c) の回路においても、Z軸用抵抗体R5と参照用抵抗体R6との直列接続によって構成されるZ軸検出用抵抗体は、上端が電源Vccに接続され、下端が接地されており、両端に一定の電源電圧Vccが印加された状態となっている。ここで、出力端子Tzに出力される電圧は、Z軸検出用接続点Jzにおける電圧であり、電源電圧Vccを、Z軸用抵抗体R5についての抵抗値と参照用抵抗体R6についての抵抗値とで按分した値に相当する。§2で述べたように、Z軸用抵抗体R5についての抵抗値は、Z軸方向の力の作用により増減する。これに対して、参照用抵抗体R6についての抵抗値は、力の作用とは無関係に一定である(もちろん、温度などの影響で変化するが、この変化はZ軸用抵抗体R5についても同様であり相殺される)。たとえば、−Z軸方向の力−Fzが加わると、Z軸用接触用導電体C5の接触面積が増加し、Z軸用抵抗体R5についての抵抗値は減少することになる。その結果、出力端子Tzの出力電圧は上昇する。また、+Z軸方向の力+Fzについても検出可能な構成をもった力検出子を利用すれば、+Z軸方向の力+Fzが加わると、Z軸用接触用導電体C5の接触面積が減少し、Z軸用抵抗体R5についての抵抗値は増加することになる。その結果、出力端子Tzの出力電圧は下降する。このように、図8(c) の検出回路を用いれば、出力端子Tzの出力電圧に基づいて、作用した外力のZ軸方向成分の検出が可能になる。
【0065】
このように、§1で述べた三次元力検出装置に、図8(a) ,(b) ,(c) に示す検出回路を付加すれば、XYZ三次元座標系において作用した外力FのX軸,Y軸,Z軸の各方向成分を独立して検出する機能をもった三次元力センサを構成することができる。もちろん、一次元力センサあるいは二次元力センサを構成する場合には、図8に示す3つの検出回路の中から、検出成分に応じて必要な検出回路だけを用いればよい。
【0066】
いずれにしても、上述した可変抵抗要素を用いた力検出装置では、作用した力の検出値を得るために、抵抗体の電気抵抗を測定することが不可欠である。しかしながら、抵抗体の電気抵抗を測定するためには、図8の検出回路に示されているとおり、当該抵抗体に電流を流す必要があり、測定時には、ある程度の電力消費は避けられない。実際、図8に示す回路を用いて、三次元の力を検出するためには、6つの抵抗体R1〜R6のすべてに電流を流す必要が生じる。このため、上述した可変抵抗要素を用いた力検出装置を種々の電子機器に組み込むと、全体的に電力消費が増大するという問題が生じることは既に述べたとおりである。これは、特に、内蔵電池で動作する携帯電話やゲーム遊戯装置などの電子機器に用いる場合には、大きなデメリットとなる。
【0067】
本発明の目的は、上述した可変抵抗要素を用いた力検出装置の電力消費を効率的に抑制させることにある。その基本原理は、抵抗体の電気抵抗を測定する必要が生じたときにだけ、当該抵抗体に電流を流して測定を行うようにする、というものである。たとえば、図1の側断面図は、この力検出装置に、何ら外力が作用していないときの状態を示している。このような状態では、検出対象となる外力が存在していないので、実際に検出のための動作を行う必要はない。したがって、力検出装置が図1に示すような状態にあるときには、図8に示す検出回路において電源電圧Vccを供給しないようにして、電力消費を抑えるようにすればよい。一方、図7の側断面図は、この力検出装置に、検出対象となる外力が作用したときの状態を示している。このような状態になれば、実際に検出のための動作を行う必要が生じるので、図8に示す検出回路において電源電圧Vccを供給して、抵抗値の測定を行うことができるようにすればよい。
【0068】
実際には、検出回路に、抵抗体の所定の二点間の抵抗値を電気信号として出力する検出機能を果たすことができる検出モードと、このような検出機能を果たすことはできないが検出モードよりも少ない消費電力で、検出モードへ移行するための待機状態を維持することができる待機モードと、の2つのモードを選択できるように構成しておき、図1に示すように検出対象となる外力が加わっていない場合には待機モードが選択され、図7に示すように検出対象となる外力が加わった場合には検出モードが選択されるようにすればよい。本発明では、このようなモード切替を行うために、切替要素を付加している。この切替要素は、一対の接触用電極を有し、通常は、この一対の接触用電極間が電気的に絶縁状態を維持し、弾性変形体120に所定の大きさ以上の外力が作用したときには、この弾性変形体120の変形により、この一対の接触用電極間が電気的に導通状態となるような切替機能を果たす構成要素である(詳細な構成は、§4以降で説明する)。
そして、この切替要素を利用して、この切替要素を構成する一対の接触用電極間の電気的な状態が、絶縁状態である場合には待機モードが選択され、導通状態である場合には検出モードが選択されるように構成すればよい。
【0069】
§4.本発明に係る力検出装置の基本的実施形態
図9は、本発明に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置の基本的な実施形態を示す側断面図である。この図9に示す実施形態は、図1に示す力検出装置に若干の変更を加えることにより実現することができる。
【0070】
まず、第1の変更点は、図1における弾性変形体120の代わりに、図9に示す装置では、弾性変形体120Aを用いている点である。弾性変形体120Aは、基板110の上面に配置される部材であり、内側に位置する円盤状の作用部121と、その周囲の可撓部122と、外側の固定部123Aと、円柱状の操作桿125と、によって形成された部材であり、図1の弾性変形体120と同等の機能を果たす部材である。また、材質も、弾性変形体120と同様に絶縁性シリコンゴムの一体成型によって構成されている。ただ、台座として機能する固定部123Aの部分が、図1に示す固定部123よりも若干だけ高くなっている。このため、固定部材130Aの形状も、図1に示す固定部材130とは若干異なっている。
【0071】
このように、台座として機能する固定部123Aの高さを高くしたのは、空洞部VVをより高くとることにより、通常の状態(外力が作用していない状態)において、接触用導電体C1〜C5と抵抗体RR1〜RR5とが非接触の状態となるようにするためである。すなわち、図1に示す力検出装置では、外力が作用していない状態においても、接触用導電体C1〜C5の下端部が抵抗体R1〜R5に点接触した状態になっていたが、図9に示す力検出装置では、接触用導電体C1〜C5と抵抗体RR1〜RR5との間には、間隙が形成され、非接触の状態となっている。
【0072】
そして、第2の変更点は、図1の装置における抵抗体R1〜R6(図2に示す基板110の上面図参照)の代わりに、図9の装置では、抵抗体RR1〜RR6が用いられている点である。この抵抗体RR1〜RR6の構造は、図10に明瞭に示されている。この図10は、図9に示す装置の基板110の上面図であり、一点鎖線の矩形は、この上に配置される弾性変形体120Aの位置を示している。図9に示されている基板110の断面は、図10に示す基板110をX軸に沿って切断した断面である。ここでも、基板110の上面にXY平面をとり、XYZ三次元座標系を定義してある。図10に示す抵抗体RR6は、図2に示す抵抗体R6と全く同一の構成要素であり、基板110上の配置位置も全く同一である(ここでは、説明の便宜上、異なる符号を用いている)。一方、図10に示す抵抗体RR1〜RR5も、図2に示す抵抗体R1〜R5に近似した構成要素である。具体的には、図10に示す抵抗体RR1〜RR5の外側輪郭線は、図2に示す抵抗体R1〜R5の外側輪郭線と全く同じ矩形であり、全体的な形状も平板状をしており、基板110上の配置位置も全く同じである。ただ、抵抗体RR1〜RR5の中央部には、それぞれ円形の空隙領域が形成され、この円形の空隙領域には、半円形をした一対の接触用電極が配置されている。
【0073】
図11(a) は、抵抗体RR1〜RR5の構造をより明確に示すための拡大上面図である(ハッチングは、平板状の構造物が存在する部分を示すためのものであり、断面を示すためのものではない)。この図11(a) に示す抵抗体RRは、抵抗体RR1〜RR4を代表する1つの抵抗体を示している。また、抵抗体RR5は、外形が正方形状となっているものの、基本構造は図11(a) に示す抵抗体RRと同様である。図示のとおり、抵抗体RRは、中央部に円形の空隙領域を有する矩形状の平板抵抗体であり、この実施形態では、カーボンを材料として、基板110上に印刷の手法により形成されている。そして、この抵抗体RRの中央に形成された円形の空隙領域内に、半円形をした一対の接触用電極S1,S2が配置されている。一対の接触用電極S1,S2は、抵抗体RRと同じ高さをもった平板状の電極であり、この実施形態では、銅などの金属を材料として、基板110上に印刷の手法により形成されている。
【0074】
図11(a) では同一のハッチングを施して示してあるが、抵抗体RRは電気抵抗をもった材料(この例ではカーボン)からなる構成要素であるのに対し、一対の接触用電極S1,S2は導電材料(この例では銅)からなる構成要素であり、それぞれ物理的に離れた位置に配置されており、電気的にはそれぞれが隔絶された状態となっている。なお、図10では、配線パターンの図示は省略されているが、実際には、抵抗体RRおよび接触用電極S1,S2に対しては、それぞれ配線が施されている。図11(a) に示す端子T1〜T4は、この配線によって各部に電気的に接続された端子である。抵抗体RRの電気抵抗が、端子T1,T2間の電気抵抗として測定されることは、既に述べたとおりである。なお、図11(a) に示す配線は、実際の配線路を示すものではない。実際の配線路は、基板110の上面、もしくは必要に応じて基板110に形成されたスルーホールを介して、基板110の下面を利用して形成される。たとえば、接触用電極S1,S2は、その周囲を抵抗体RRによって完全に包囲されてしまっているため、端子T3,T4との間の配線路は、基板110に形成されたスルーホールを利用して形成する必要がある。
【0075】
図11(b) は、基板110上に形成された抵抗体RRの近傍の側断面図である(配線に関する図示は省略)。図11(b) に示されている抵抗体RRの側断面は、図11(a) に示す抵抗体RRを端子T1,T2を結ぶ線で切断した断面に相当する。上述したように、図9に示す力検出装置では、台座として機能する固定部123Aの高さを高くしたため、外力が作用していない通常の状態では、作用部121の下面に形成された接触用導電体Cは、図11(b) に示すように、抵抗体RRや接触用電極S1,S2に対して物理的に非接触の状態を維持している。ところが、Z軸負方向の力成分−Fzを含む外力(たとえば、図7に示す斜め方向の力F)が作用すると、図12の側断面図に示すように、作用部121が下方へと変位し、接触用導電体Cの下端が接触用電極S1,S2に接触するようになる。外力の大きさが更に大きくなると、図13に示すように、弾性変形する材料から構成された接触用導電体Cは、作用部121の下方への変位によって加わる圧力によって変形し、抵抗体RRに対しても接触するようになる。
【0076】
抵抗体RRに対する接触用導電体Cの接触面の面積が、作用部121の変位によって加わる圧力、すなわち、加えられた外力の大きさに応じて変化することは、既に述べたとおりである。抵抗体RRは、中央部に円形の空隙領域を有しているため、加える外力を徐々に大きくしていった場合、接触用導電体Cの接触面の面積変化は、図1に示す装置で用いられている矩形状の抵抗体についての面積変化とは、若干異なることになる。しかしながら、外力が大きくなればなるほど接触用導電体Cの接触面も増大する、という基本的な性質に変わりはなく、抵抗体RRの二点間の抵抗値は、外力の大きさに依存して定まる量になる。したがって、図9に示す力検出装置は、図1に示す力検出装置と全く同様の原理により、XYZ三次元の力検出を行う機能を果たすことができる。しかも、図9に示す力検出装置には、切替要素として利用可能な一対の接触用電極S1,S2が設けられており、この接触用電極S1,S2の導通状態を検出することにより、検出回路の2つのモード、すなわち、検出モードと待機モードとの切替処理を行うことが可能になる。
【0077】
いま、接触用電極S1,S2によって、ON/OFFスイッチSWを構成した場合を考えてみる。この場合、図11(a) に示す抵抗体RRおよび一対の接触用電極S1,S2の等価回路は、図14に示すようになる。この図14の各回路図における端子T1〜T4は、図11(a) に示す端子T1〜T4に対応するものであり、スイッチSWは、接触用電極S1,S2が非接触の場合にOFF、接触した場合にONとなるスイッチである。また、図14(a) は、図11(b) の側断面図に示されているように、接触用導電体Cが抵抗体RRおよび接触用電極S1,S2のいずれにも接触していない状態の等価回路であり、図14(b) は、図12の側断面図に示されているように、接触用導電体Cが接触用電極S1,S2に接触した状態の等価回路であり、図14(c) は、図13の側断面図に示されているように、接触用導電体Cが抵抗体RRおよび接触用電極S1,S2の双方に接触した状態の等価回路である。
【0078】
スイッチSWは、接触用導電体Cが接触用電極S1,S2に接触した時点からONになるため、図14(a) の等価回路ではOFF状態であるが、図14(b) ,(c) の等価回路ではON状態になる。また、図14(a) ,(b) の等価回路では、接触用導電体Cが抵抗体RRには接触していないため、両端子T1,T2間の抵抗値に変化は生じていないが、図14(c) の等価回路では、接触用導電体Cが抵抗体RRに接触しているため、両端子T1,T2間の抵抗値は、接触面積に応じて(すなわち、作用した外力の大きさに応じて)変化することになる。結局、図11(b) に示す構成では、接触用導電体Cは、抵抗体RRの抵抗値を変化させる導電体としての機能を果たすとともに、一対の接触用電極S1,S2の双方に同時に接触することにより、これらを導通させることができる仲介電極としての機能も果たすことになる。このような接触用導電体Cの仲介電極としての機能に着目すれば、基板110上に形成された一対の接触用電極S1,S2と、仲介電極として機能する接触用導電体Cとによって、切替要素が構成されていることになる。この切替要素は、通常(検出対象となる外力が作用していない状態)では、一対の接触用電極S1,S2間が電気的に絶縁状態を維持し、弾性変形体120に所定の大きさ以上の外力が作用したときには、この弾性変形体120の変形により、一対の接触用電極S1,S2間が電気的導通状態となるような切替機能を果たす要素ということができる。
【0079】
このような切替要素を構成する一対の接触用電極S1,S2をON/OFFスイッチとして利用し、抵抗体RRの二点間への電圧印加を制御するようにすれば、電力消費を効率的に抑制させることが可能になる。すなわち、一対の接触用電極S1,S2の導通/絶縁状態によりON/OFFするスイッチSWを構成し、スイッチSWがOFFのときには、検出回路を待機モードとして抵抗体RRの二点間には電圧を印加しないようにし、スイッチSWがONのときには、検出回路を検出モードとして抵抗体RRの二点間に電圧を印加するような制御を行うのである。このような制御を行えば、図14(a) の等価回路では、スイッチSWがOFF状態となっているため、検出回路は待機モードになり、端子T1,T2間には電圧は印加されず、抵抗体RRには電流が流れないため、電力消費を抑えることができる。ところが、図14(b) ,(c) の等価回路では、スイッチSWがON状態となり、検出回路は検出モードになる。したがって、端子T1,T2間に電圧が印加され、抵抗体RRに電流を流すことにより、端子T1,T2間の抵抗値が測定されることになる。別言すれば、図11(b) のように、検出対象となる外力が作用していない状態では、抵抗体RRには電流は流れずに無駄な消費電力が抑えられ、図12,図13のように、ある程度の大きさの外力が作用すると、抵抗体RRに電流が流れ、作用した外力の検出が可能になる。このように、検出に必要なときにだけ、抵抗体RRに電流を供給するようにすれば、全体的に大幅な電力節減を行うことができる。
【0080】
なお、図9に示す実施形態では、外力が作用していない通常の状態において、すべての接触用導電体C1〜C5(仲介電極)が、各接触用電極S1,S2と物理的に非接触の状態にあるが、外力が作用していない通常の状態において、仲介電極は、一対の接触用電極のいずれか一方にのみ接触している状態となっていてもかまわない。たとえば、図11(b) において、接触用導電体Cが接触用電極S1のみ(あるいは接触用電極S2のみ)に接触した状態となっていても、一対の接触用電極S1,S2間は絶縁状態が維持されることになる。したがって、たとえば、図11(b) における抵抗体RRおよび一対の接触用電極S1,S2の位置を若干右へずらし、接触用導電体Cの中心部の直下に接触用電極S1が位置するようにしておき、外力が作用していない通常の状態において、接触用導電体Cの中心部が接触用電極S1にのみ点接触した状態になるようにしてもかまわない。要するに、仲介電極(接触用導電体C)は、通常は(検出対象となる外力が作用していないときは)、一対の接触用電極S1,S2のいずれにも接触していないか、または、いずれか一方にのみ接触している状態を維持し、所定の大きさ以上の外力が作用したときには、一対の接触用電極S1,S2の双方に同時に接触した状態となる機能を果たすことができればよい。
【0081】
§5.本発明に係る力検出装置の具体的な検出回路
ここでは、図9に示す力検出装置に用いる具体的な検出回路をいくつか例示する。図15は、このような検出回路の第1の例を示す回路図であり、前述した図8に示す検出回路とほぼ同等の機能を果たす。すなわち、RR1〜RR6は、それぞれ図10に示された抵抗体であり、所定の二点間を両端とする抵抗素子として機能する。抵抗体RR1〜RR5には、それぞれ接触用導電体C1〜C5が接触し、その接触面積によって抵抗値が変化することになるので、図15の回路図では、抵抗体RR1〜RR5は可変抵抗素子として描かれている。一方、抵抗体RR6は、参照用抵抗素子として機能するため、図15の回路図では、定抵抗素子として描かれている。5つのスイッチSW1〜SW5は、それぞれ抵抗体RR1〜RR5の中央部に形成された空隙領域内の一対の接触用電極S1,S2によって構成されるスイッチであり、接触用電極S1,S2が絶縁状態であればOFF、導通状態であればONとなる。
【0082】
結局、この図15に示す検出回路は、図8に示す検出回路における電源電圧Vccの供給路に、並列接続された5つのスイッチSW1〜SW5を挿入したものに他ならない。したがって、5つのスイッチSW1〜SW5のすべてがOFF状態であれば、各抵抗体RR1〜RR6には一切電流は流れないが、いずれか1つのスイッチがON状態になれば、各抵抗体RR1〜RR6に、抵抗値検出用の電流が流されることになる。外力の各座標軸方向成分ごとの検出原理は、図8に示す検出回路における検出原理と全く同様である。
【0083】
図16は、図9に示す力検出装置に用いることができる検出回路の第2の例を示す回路図である。図15に示す検出回路との相違点は、X軸方向に関する外力検出を行う回路(図16(a) )、Y軸方向に関する外力検出を行う回路(図16(b) )、Z軸方向に関する外力検出を行う回路(図16(c) )に対する電流供給の制御をそれぞれ別個に行うようにした点である。この検出回路では、X軸方向成分を含む外力が加わり、スイッチSW1(抵抗体RR1の空隙領域内に形成された一対の接触用電極S1,S2からなるスイッチ)あるいはスイッチSW2(抵抗体RR2の空隙領域内に形成された一対の接触用電極S1,S2からなるスイッチ)のいずれかがONになった場合には、X軸方向成分の外力検出に必要な抵抗体RR1,RR2に電流が流される。また、Y軸方向成分を含む外力が加わり、スイッチSW3(抵抗体RR3の空隙領域内に形成された一対の接触用電極S1,S2からなるスイッチ)あるいはスイッチSW4(抵抗体RR4の空隙領域内に形成された一対の接触用電極S1,S2からなるスイッチ)のいずれかがONになった場合には、Y軸方向成分の外力検出に必要な抵抗体RR3,RR4に電流が流される。更に、Z軸方向成分を含む外力が加わり、スイッチSW5(抵抗体RR5の空隙領域内に形成された一対の接触用電極S1,S2からなるスイッチ)がONになった場合には、Z軸方向成分の外力検出に必要な抵抗体RR5,RR6に電流が流される。このように、図16に示す検出回路では、作用した外力の方向までも考慮したきめの細かな制御が可能になる。
【0084】
図17は、図9に示す力検出装置に用いることができる検出回路の第3の例を示す回路図である。この検出回路は、アナログ信号用の入力端子を備えた信号処理回路により構成されており、入力したアナログ信号はデジタル信号に変換され、内部でデジタル信号に対する所定の演算が行われ、デジタル信号としての出力が得られる。図17に示す信号処理回路は、1チップの集積回路として構成されており、図の右側に示されたアナログ入力端子T11〜T15には、それぞれ抵抗体RR1〜RR5の抵抗値に相当するアナログ電圧値が入力される。各抵抗体RR1〜RR5の一端(図の下端)は接地されており、もう一端(図の上端)は、各アナログ入力端子T11〜T15に接続されるとともに、それぞれスイッチSW11〜SW15および参照用抵抗体RR61〜RR65を介して電源Vccに接続されている。ここで、RR61〜RR65は、図10に示すRR6と同様に参照用抵抗体であり、この回路では、基板110上に、RR6に代えてRR61〜RR65という5組の参照用抵抗体を形成して用いるようにしている。
【0085】
各スイッチSW11〜SW15がON状態になると、電源Vccから、各抵抗体RR1〜RR5に電圧が印加され、アナログ入力端子T11〜T15には、各抵抗体RR1〜RR5の抵抗値に応じた分圧が加わることになる。たとえば、アナログ入力端子T11には、電源Vccの電圧を、抵抗体RR1(作用した外力の大きさに応じて抵抗値が変化する可変抵抗素子)の抵抗値と参照用抵抗体RR61(定抵抗素子)の抵抗値とによって按分した分圧が加わることになる。このアナログ分圧値は、信号処理回路の内部でデジタル信号に変換され、抵抗体RR1の抵抗値に応じたデジタル値が得られる。同様に、抵抗体RR2〜RR5についての分圧がアナログ入力端子T12〜T15に加わり、信号処理回路の内部でデジタル化され、それぞれの抵抗値に応じたデジタル値が得られる。これらのデジタル値に基づいて、作用した外力の各座標軸方向成分が得られることは、既に述べたとおりである。すなわち、X軸方向成分は、抵抗体RR1の抵抗値と抵抗体RR2の抵抗値との差として求めることができ、Y軸方向成分は、抵抗体RR3の抵抗値と抵抗体RR4の抵抗値との差として求めることができ、Z軸方向成分は、抵抗体RR5の抵抗値として求めることができる。この図17に示す信号処理回路を用いれば、作用した外力の各座標軸方向成分をデジタル信号として出力することができるので、携帯電話用入力装置やゲーム用入力装置などの電子機器に利用する場合には好都合である。
【0086】
スイッチSW11〜SW15は、各抵抗体への電圧供給を制御するためのスイッチである。すなわち、スイッチSW11〜SW15のいずれもがOFF状態を維持していると、電源Vccの電圧が各抵抗体へ印加されず、各抵抗体には電流は流れない。したがって、抵抗体による電力消費は生じないことになるが、当然、アナログ入力端子T11〜T15には測定すべき分圧が加わらず、各抵抗体の抵抗値を検出することはできない。これは、信号処理回路が待機モード状態にあることを示している。一方、スイッチSW11〜SW15のいずれかがON状態になると、電源Vccの電圧がON状態になったスイッチに接続された抵抗体へ印加され、当該抵抗体に電流が流れる。したがって、当該抵抗体による電力消費が生じることになり、前述したように、当該抵抗体の抵抗値に対応するデジタル値が検出されることになる。これは、信号処理回路が検出モード状態にあることを示している。
【0087】
スイッチSW11〜SW15のON/OFF制御は、制御端子T21〜T25から出力される制御信号S21〜S25によって行われる。実際には、スイッチSW11〜SW15は、論理素子などの半導体スイッチによって構成されており、制御信号S21〜S25は、デジタル論理信号となる。信号処理回路はCPUおよびこれを動作させるためのプログラムを内蔵しており、このCPUの論理演算により、制御信号S21〜S25の論理値が決定される。
【0088】
図17の左側に示された入力端子T01〜T03には、スイッチSW1〜SW5のON/OFF状態により、電源電圧Vccもしくは接地電圧が加えられる。すなわち、各スイッチSW1〜SW5がOFF状態の場合、各入力端子T01〜T03には、抵抗素子R01〜R03を介して電源電圧Vccが加えられた状態になるが、スイッチSW1およびSW2の少なくとも一方がON状態になると、入力端子T01は接地電位となり、スイッチSW3およびSW4の少なくとも一方がON状態になると、入力端子T02は接地電位となり、スイッチSW5がON状態になると、入力端子T03は接地電位となる。したがって、信号処理回路は、入力端子T01〜T03の電位に基づいて、各スイッチSW1〜SW5のON/OFF状態を把握することができる。
【0089】
このスイッチSW1〜SW5は、図15の回路図および図16の回路図に示されているスイッチSW1〜SW5と同一のスイッチであり、それぞれ抵抗体RR1〜RR5の中央部に形成された空隙領域内の一対の接触用電極S1,S2によって構成されるスイッチである。したがって、図9に示す力検出装置に対して、X軸方向成分を含む所定の大きさの外力が加えられると、スイッチSW1またはSW2がON状態となり、Y軸方向成分を含む所定の大きさの外力が加えられると、スイッチSW3またはSW4がON状態となり、Z軸方向成分を含む所定の大きさの外力が加えられると、スイッチSW5がON状態となる。
【0090】
そこで、この図17に示す信号処理回路では、入力端子T01の電位が電源電圧Vccの場合(スイッチSW1およびSW2がOFF状態の場合)には、制御端子T21,T22からは、スイッチSW11,SW12をOFF状態とする制御信号S21,S22を出力し、入力端子T01の電位が接地電位の場合(スイッチSW1およびSW2の少なくとも一方がON状態の場合)には、制御端子T21,T22からは、スイッチSW11,SW12をON状態とする制御信号S21,S22を出力するような制御が行われるようにしている。これにより、X軸方向成分を含む所定の大きさの外力が加えられたときにのみ、抵抗体RR1,RR2に電流が流れ、外力のX軸方向成分の検出が可能になる。同様に、入力端子T02の電位が電源電圧Vccの場合(スイッチSW3およびSW4がOFF状態の場合)には、制御端子T23,T24からは、スイッチSW13,SW14をOFF状態とする制御信号S23,S24を出力し、入力端子T02の電位が接地電位の場合(スイッチSW3およびSW4の少なくとも一方がON状態の場合)には、制御端子T23,T24からは、スイッチSW13,SW14をON状態とする制御信号S23,S24を出力するような制御が行われるようにしている。これにより、Y軸方向成分を含む所定の大きさの外力が加えられたときにのみ、抵抗体RR3,RR4に電流が流れ、外力のY軸方向成分の検出が可能になる。また、入力端子T03の電位が電源電圧Vccの場合(スイッチSW5がOFF状態の場合)には、制御端子T25からは、スイッチSW15をOFF状態とする制御信号S25を出力し、入力端子T03の電位が接地電位の場合(スイッチSW5がON状態の場合)には、制御端子T25からは、スイッチSW15をON状態とする制御信号S25を出力するような制御が行われるようにしている。これにより、Z軸方向成分を含む所定の大きさの外力が加えられたときにのみ、抵抗体RR5に電流が流れ、外力のZ軸方向成分の検出が可能になる。
【0091】
もちろん、信号処理回路により、更に細かな制御を行うことも可能である。たとえば、5つのスイッチSW1〜SW5のON/OFF状態をそれぞれ別個独立して検出するようにし、スイッチSW1がON状態のときにはスイッチSW11のみをONとし、スイッチSW2がON状態のときにはスイッチSW12のみをONとし、スイッチSW3がON状態のときにはスイッチSW13のみをONとし、…、というように、5系統をそれぞれ独立させた制御も可能である。逆に、より大まかな制御を行うことも可能である。たとえば、5つのスイッチSW1〜SW5をすべて並列接続し、いずれか1つのスイッチがONになった場合に、5つのスイッチSW11〜SW15のすべてをONにする、というような包括的な制御を行ってもよい。
【0092】
以上、図9に示す力検出装置に利用可能な検出回路をいくつか示したが、いずれも、結局、スイッチSW1〜SW5のいずれかがON状態になるまでは、検出回路は本来の検出機能を果たすことができない待機モードを維持することになり、電力消費が抑制されることになる。別言すれば、スイッチSW1〜SW5のいずれかをON状態とする程度の大きさの外力が加わらない限り、検出回路からは外力の検出出力が得られないことになり、検出感度に不感帯領域が設けられたことになる。そして、スイッチSW1〜SW5のいずれかがON状態となる程度の大きさの外力が加わった場合に、検出回路は検出モードへと移行し、本来の検出機能を果たすことになる。
【0093】
以上、図9に示す力検出装置に用いる具体的な検出回路を3つの例について述べた。これらの検出回路の各回路図では、スイッチSW1〜SW5と、抵抗体RR1〜RR5とは、全く別個の回路要素として描かれており、回路図を見る限り、両者間には何ら干渉が生じないように見える。しかしながら、図9に示す力検出装置の場合、接触用導電体C1〜C5が、抵抗体RR1〜RR5に接触して抵抗値を変化させる機能と、一対の接触用電極S1,S2に接触する仲介電極としての機能と、の双方の機能を果たす構成要素となっているため、スイッチSW1〜SW5の動作は、抵抗体RR1〜RR5の抵抗値に影響を与えることになる。
【0094】
たとえば、図18のような回路を考えてみる。この回路は、抵抗体RRと、その中央部の空隙領域に形成された一対の接触用電極S1,S2に対して、所定の配線を施した状態を示すものである。接触用電極S1は端子T3を介して接地され、接触用電極S2は端子T4および抵抗素子R01を介して電源Vccに接続されている。このような構成にすれば、接触用導電体Cが非接触状態(スイッチSWがOFF状態)では、端子T4の電位は電源電圧Vccとなるが、接触用導電体Cが一対の接触用電極S1,S2の双方に同時に接触した状態(スイッチSWがON状態)になると、電極S1,S2間が導通し、端子T4の電位は接地電位となる。したがって、たとえば、端子T4を図17に示す信号処理回路の入力端子T01に接続すれば、信号処理回路内のCPUは、スイッチSWのON/OFF状態の認識が可能になる。
【0095】
ところが、図13の側断面図に示されているように、接触用導電体Cが抵抗体RRにも接触した状態になった場合を考えると、抵抗体RRおよび電極S1,S2に対する接触用導電体Cの全体的な接触面は、図18に破線で示すような接触面Sになる。すなわち、接触用導電体Cは、電極S1,S2の双方に接触するとともに、抵抗体RRの中央部の円形空隙領域の周囲部分にも接触した状態になる。このような状態では、電極S1,S2とともに、接触用導電体Cも接地電位となるため、抵抗体RRの接触面S内の部分も接地電位となる。したがって、このときの抵抗体RRに関する等価回路は図19に示すようになる。すなわち、抵抗体RRを抵抗素子と考えた場合、その中央部分が接地されてしまうことになる。このため、端子T1,T2間に所定電圧を印加して抵抗体RRの抵抗値を測定する際に、原理的には測定可能であるが、測定感度の低下を招くことになる。
【0096】
このように、切替要素を構成する一対の接触用電極S1,S2の導通状態を検出する回路が、抵抗体RRの二点間の抵抗値を検出する回路に干渉することを防ぐためには、抵抗体RRの二点間の抵抗値に比べて十分大きな抵抗値をもった抵抗素子を用意し、この抵抗素子を用いて、両回路を隔絶するのが好ましい。図20は、図18に示す回路における接触用電極S1,S2の導通状態を検出する回路と、抵抗体RRの二点間の抵抗値を検出する回路とを、大きな抵抗値をもった抵抗素子で隔絶した例を示す回路図である。この例は、接触用導電体Cが接触していない状態における抵抗体RRの左右の二点間の抵抗値(すなわち、端子T1,T2間の抵抗値)が10kΩである場合の回路構成例である。図示のとおり、接触用電極S2に接続された端子T4は、10MΩの抵抗素子R01を介して電源電圧Vccに接続されており、接触用電極S1に接続された端子T3は、1MΩの抵抗素子R04を介して接地されている。したがって、スイッチSWを構成する接触用電極S1,S2は、電源系統に対して、10MΩの抵抗素子R01および1MΩの抵抗素子R04(いずれも抵抗体RRの二点間の抵抗値10kΩに比べて十分に大きな抵抗値をもった抵抗素子)によって隔絶された状態となっている。このため、抵抗体RRの抵抗値を測定するために同じ電源系統から電流を供給しても、スイッチSWのON/OFF動作による抵抗体RRの抵抗値への干渉はかなり抑制されることになる。
【0097】
図21は、図20に示す回路において、スイッチSWがON状態となったときの等価回路である。抵抗体RRを抵抗素子と考えた場合、その中央部分は接触用導電体Cに接触した状態になるが、この接触用導電体Cの電位は、図21の回路図におけるノードTTの電位に相当する。ノードTTは、電源ラインVccに対しては10MΩの抵抗素子R01により隔絶されており、接地ラインGndに対しては1MΩの抵抗素子R04によって隔絶されているため、ノードTTが抵抗体RRの中心付近に接続された状態になったとしても、たかだか10kΩ程度の抵抗値しかもたない抵抗体RRの抵抗値測定には大きな影響を及ぼすことはない。なお、抵抗素子R01を10MΩ、抵抗素子R04を1MΩとして、両抵抗素子の抵抗値を10倍程度に設定しているのは、スイッチSWのON/OFF状態を明確に検出するための配慮である。すなわち、図20において、接触用電極S1,S2が絶縁状態(スイッチSWがOFF状態)にあれば、端子T4は電源電圧Vccとなり、接触用電極S1,S2が導通状態(スイッチSWがON状態)にあれば、端子T4はほぼ接地電圧(Vcc×1/11)となるので、端子T4の電位をデジタル値としてそのまま取り込むことにより、スイッチSWのON/OFF状態の検出が可能になる。
【0098】
§6.本発明に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置の別な実施形態
本発明は、板状の基板と、この基板に対向して配置された弾性変形体と、この基板と弾性変形体との間に配置され、加わる圧力に応じて所定の二点間の抵抗値が変化する可変抵抗要素と、この可変抵抗要素の抵抗値を電気信号として検出する検出回路と、を有する力検出装置に広く適用可能であり、その適用対象は、§1で述べた力検出装置に限定されるものではない。そこで、ここでは、§1で述べた力検出装置とは別な力検出装置について、本発明を適用した実施形態を述べることにする。
【0099】
図22は、この別な実施形態に係る力検出装置を分解して各構成要素を示した分解側断面図である。図示のとおり、この力検出装置は、操作盤210、弾性変形体220、ドーム状構造体230、基板240によって構成されている。実際には、この力検出装置は、基板240の上にドーム状構造体230を配置し、その上を弾性変形体220によって覆い、更にその上に操作盤210を取り付けることにより構成されることになる。この力検出装置は、携帯電話やゲーム遊戯装置など、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器用の入力装置として利用するのに適しており、所定方向への操作量を示す操作入力に加えて、ON/OFF状態を示すスイッチ入力を行うことができる。ここでは、この力検出装置を、このような電子機器用の入力装置として利用することを前提として説明を行うことにする。
【0100】
操作盤210は、弾性変形体220の上面に配置され、操作者の動作に基づいて加えられた力を弾性変形体220へと伝達し、弾性変形体220に弾性変形を起こさせる機能を有している。ここで、操作者の操作盤210への操作入力は、この力検出装置の検出対象となる外力に相当する。したがって、操作盤210は、この外力の作用に基づき、弾性変形体220に弾性変形を起こさせ、弾性変形体220の一部を基板240に対して変位させる機能を果たすことになる。
【0101】
図23は、この操作盤210の上面図、図24は、この操作盤210の下面図である。図示のとおり、操作盤210は全体として円盤状をしており、この実施形態の場合、プラスチックなどの樹脂で構成されている。上述したように、操作盤210は、弾性変形体220に対して力を伝達させる機能を果たすことができれば、どのような形状のものでもかまわないが、種々の方向に関する操作量を入力するには、円盤状のものが適している。また、操作者の操作を確実に弾性変形体220に伝達するためには、樹脂や金属などの剛性材料によって構成するのが好ましい。図示の実施形態の場合、操作盤210は、図23に示すように、操作部分211、土手部分212、外周部分213の3つの部分から構成されており、その下面には、図24に示すように円柱状の押圧棒214が突き出している。操作部分211は、操作者の指にフィットするように、土手部分212の内側に形成された滑らかな窪み部分であり、外周部分213は、土手部分212の外側に形成されたテーパ部である。また、押圧棒214は、後述するように、ON/OFF状態を示すスイッチ入力を効果的に行うためのものであり、ドーム状構造体230の頂点付近に対して、操作者からの垂直下方に向けた力を効果的に伝達させる機能を果たす。
【0102】
弾性変形体220は、この実施形態の場合、一体成型されたシリコンゴムによって構成されている。図25は、この弾性変形体220の上面図、図26は、この弾性変形体220の下面図である。図示のとおり、この弾性変形体220は平面的にはほぼ正方形状をしている。その基本構成要素は、図22の側断面図に示されているように、内側膜状部221、円環状隆起部222、外側膜状部223、側壁部224、固定脚部225、柱状突起P1〜P3である。図25に示すように、内側膜状部221と外側膜状部223とは、この弾性変形体220の正方形状の上面全体を形成する膜状の構造体であるが、ここでは、説明の便宜上、円環状隆起部222の内側部分を内側膜状部221と呼び、外側部分を外側膜状部223と呼ぶことにする。この膜状部221,223は、基板240の上面に対して、ドーム状構造体230を挟んでほぼ平行になるように配置されることになる。円環状隆起部222は、この膜状部の上面に形成された円環状の隆起部分であり、内側膜状部221の上面部分は、周囲をこの円環状隆起部222によって囲まれた状態になる。この実施形態では、円環状隆起部222は、断面が矩形のいわばワッシャ状の構造体となっているが、これは、その上面に配置される操作盤210からの力を効率よく受けることができるようにするための配慮である。
【0103】
一方、側壁部224は、外側膜状部223の周囲を、基板240の上面に固定する機能を果たしている。正方形状をした膜状部221,223は、その四辺を側壁部224によって支持され、基板240の上面に対してほぼ平行な状態を保つことになる。図26の下面図に示されているとおり、弾性変形体220の下面の4隅には、それぞれ円柱状の固定脚部225が下方へと伸びている。この4本の固定脚部225は、基板240の上面の4か所に形成された固定孔部241(図22参照)に挿入される。かくして、弾性変形体220は、基板240上の所定位置に固定される。
【0104】
また、図26に示されているように、膜状部221,223の下面には、下方へと伸びる多数の柱状突起P1〜P3が形成されている。図27は、これら柱状突起P1〜P3の位置を明確にするために、図26の下面図に一点鎖線による同心円を描き加えたものである。図示のとおり、弾性変形体220の中心点の周囲に、3通りの同心円K1,K2,K3を定義すれば、各柱状突起P1〜P3は、いずれかの同心円の円周上に配置されていることがわかる。すなわち、柱状突起P1は内側同心円K1の円周上に円周角90°おきに合計4個配置されており、柱状突起P2は基準同心円K2の円周上に円周角22.5°おきに合計16個配置されており、柱状突起P3は外側同心円K3の円周上に円周角45°おきに合計8個配置されている。
【0105】
各柱状突起P1〜P3の側面形状は、図22の側断面図に明瞭に示されている。なお、図22の側断面図では、図が繁雑になるのを避けるため、各柱状突起P1〜P3については、切断面に位置するものだけを描いているが、実際には図26,図27の下面図に示されているとおり、より多数の柱状突起が膜状部の下面から下方に伸びていることになる。ここで、図22に示されている柱状突起P1,P2,P3の長さや形状を比べると、それぞれが固有の長さや形状を有しているが、これは、各柱状突起P1,P2,P3ごとに、それぞれその主たる機能が異なるためである。
【0106】
すなわち、柱状突起P1の主たる機能は、§1で述べた力検出装置における接触用導電体Cとしての機能であり、基板240上に形成された抵抗体の表面に接触することにより、この抵抗体の抵抗値を変化させる働きをする。したがって、柱状突起P1は、このような接触用導電体としての機能を果たすのに適した長さおよび形状を有している。そこで、ここでは、この柱状突起P1を、必要に応じて「柱状突起」と呼んだり、「接触用導電体」と呼んだりすることにする。
【0107】
一方、柱状突起P3の主たる機能は、操作盤210に対して、操作者からの入力が何ら作用していない状態において、内側膜状部221および外側膜状部223を、基板240上面に対して支持する機能であり、この柱状突起P3の長さは、このような支持機能を果たすのに適した長さに設定されている。そこで、ここでは、この柱状突起P3を「支持用柱状突起」と呼ぶことにする。
【0108】
これに対して、柱状突起P2の主たる機能は、後述するように、基板240の上面側に形成された電極に接触することにより、電気的な導電状態に変化を生じさせる機能である。そこで、ここでは、柱状突起P2を「電極用柱状突起」と呼ぶことにする。電極用柱状突起P2の長さを、支持用柱状突起P1や接触用導電体P3の長さよりも短く設定したのは、操作盤210に対して、操作者からの入力が何ら作用していない状態において、電極用柱状突起P2の下端が宙吊り状態となるようにし、基板240の上面に形成されている電極と物理的に接触しない状態に維持するためである。
【0109】
また、接触用導電体P1や支持用柱状突起P3と、電極用柱状突起P2とでは、長さだけでなく、その側面形状も異なっている。具体的には、接触用導電体P1や支持用柱状突起P3は、下端部が若干丸くなっているのに対し、電極用柱状突起P2は、下端が平面をなす円盤状の突起となっている。このような形状の相違も、上述した機能の相違に基づくものである。すなわち、接触用導電体P1や支持用柱状突起P3の下端部は基板240の上面に接触して、接触面を変化させたり、膜状部を支持したりするのに適した形状となっており、電極用柱状突起P2の下端部は基板240の上面に形成された電極に接触して、電気的な導通状態を確保するのに適した形状となっている。
【0110】
ここに示す実施形態のように、操作盤210を円盤状の剛性部材によって構成した場合、操作者から加えられる力は、操作盤210の中心軸を中心とした同心円に沿って伝達すると考えられるので、図26,図27に示すように、各柱状突起P1〜P3もそれぞれ所定の円周に沿って配置するのが好ましい。特に、図示の実施形態の場合、操作盤210に対して所定方向を示す操作入力が加えられた場合、加えられた力は、操作盤210の周囲部分から、円環状隆起部222へと伝達される。そこで、ここでは、図27に示す基準同心円K2を、ちょうど円環状隆起部222の中心位置に相当する円とし、電極用柱状突起P2が、円環状隆起部222の真下の所定位置(16か所)に配置されるようにし、更に、基準同心円K2の内側に内側同心円K1を定義してその円周上に接触用導電体P1を配置し、基準同心円K2の外側に外側同心円K3を定義してその円周上に支持用柱状突起P3を配置している。
【0111】
この弾性変形体220の構成要素として、もうひとつ重要な構成要素は、膜状部下面の所定領域に形成された変位導電層226である。図28は、この変位導電層226の形成領域を示すための弾性変形体220の下面図である。図においてハッチングを施して示した円内の領域に、変位導電層226が形成されている(図28におけるハッチングは、断面を示すものではなく、領域を示すためのものである)。上述したように、弾性変形体220の下面には、多数の柱状突起が形成されているが、この変位導電層226は、これら柱状突起の表面も含めた弾性変形体220の下面に形成されている。したがって、図28にハッチングで施した領域に位置する柱状突起(接触用導電体)P1および電極用柱状突起P2の表面部分にも、変位導電層226が形成されていることになる。柱状突起P1は、抵抗体に対する接触用導電体として機能するため、少なくとも抵抗体に対する接触面の部分は導電性を有している必要がある。柱状突起P1の表面に形成された変位導電層226は、このような接触用導電体としての機能を果たすために必要なものになる。また、電極用柱状突起P2は、後述するように、基板240上に形成された一対の接触用電極に接触する仲介電極として機能するため、少なくともこの接触面となる部分は導電性を有している必要がある。電極用柱状突起P2の表面に形成された変位導電層226は、このような仲介電極としての機能を果たすために必要なものになる。一方、支持用柱状突起P3は、物理的な支持機能を果たすことができればよく、電気的な機能は要求されていないため、ここに示す実施形態では、その表面には変位導電層226は形成していない。
【0112】
なお、変位導電層226は、具体的には、弾性変形体220の下面に塗布した導電性材料からなる層によって構成することができる。上述したように、この実施形態では、弾性変形体220は一体成型されたシリコンゴムによって構成されているので、柱状突起を含めた図示のような構造体をシリコンゴムによって一体成型した後、その下面の一部の領域(図28にハッチングを施した円内の領域)に、導電性塗料を塗布して乾燥させれば、変位導電層226を形成することができる。なお、この変位導電層226の厚みは、弾性変形体220の各部の厚みに比較して小さいため、側断面図においては、変位導電層226は示されていない。
【0113】
一方、ドーム状構造体230は、図22の側断面図にも示されているとおり、伏せたカップの形状をした構造体であり、基板240の上面の中心付近に伏せるように配置される。図29は、このドーム状構造体230の上面図である。ドーム状構造体230の形状は特に限定されるものではないが、図示のように平面形状が円形であるドーム状構造体230を用いるようにすれば、各方向への操作入力をスムースに行うことができるので好ましい。また、このドーム状構造体230は、頂点付近に対して所定の大きさ以上の下方への押圧力を加えると、その頂点付近が弾性変形して下に凸となるように形状反転を起こす性質を有している。
図30は、このような形状反転の状態を示す側断面図である。図30(a) は、何ら外力が加わっていない状態を示し、図30(b) は、頂点付近に対して下方への押圧力Fが加わり、頂点付近が弾性変形して下に凸となるような形状反転を起こした状態を示す。もちろん、この形状反転は弾性変形であるから、押圧力Fがなくなれば、ドーム状構造体230は元通り、図30(a) に示す状態に戻ることになる。
【0114】
このドーム状構造体230の形状反転は、操作者によるスイッチ入力に利用される。このため、ドーム状構造体230の少なくとも頂点付近の下面部分は、導電性接触面231を構成している必要がある。すなわち、図30(b) に示すように、頂点付近が形状反転を起こしたときに、導電性接触面231が基板240側に設けられた電極と接触することにより、スイッチ入力の検出が行われるようになる。本実施形態では、金属製のドームをドーム状構造体230として用いている。一般に、金属材料によりドーム状の構造体を構成すれば、上述したような形状反転が生じ、導電性接触面231を有するドームを実現することができるが、ドーム状構造体230は必ずしも金属製にする必要はない。たとえば、樹脂などによってドーム状構造体を作成し、その下面の中央付近に導電性材料膜を形成することにより、導電性接触面231を実現するようにしてもかまわない。
【0115】
続いて、基板240の構成を説明する。基板240の基本的な機能は、前述した各構成要素を載せてこれを支持する機能と、各抵抗体および各電極を形成するための基準面を提供する機能である。図31に、基板240の上面図を示す。図に示されている4つの固定孔部241は、前述したように、弾性変形体220の固定脚部225を挿入するために、基板240の上面に掘られた穴である。
【0116】
基板240の上面には、図示のように、扇形をした4枚の抵抗体R11〜R14と、円もしくは円環状の4枚の電極E15〜E18が形成されている。ここでは、各電極が配置された位置に基づいて、4枚の抵抗体R11〜R14の外側に配置された2本の円環状の電極E15,E16を外側電極と呼び、内側に配置された円形電極E17および円環状電極E18を内側電極と呼ぶことにする。図31では、各抵抗体および各電極の形状を明瞭に示すために、個々の抵抗体および電極にハッチングを施して示すことにした。したがって、図31におけるハッチングは、断面を示すものではない。また、図では、2通りのハッチングパターンを用いているが、これは抵抗体と電極とを区別して示すためである。この実施形態の場合、抵抗体R11〜R14は平板状のカーボンから構成され、電極E15〜E18は銅などの金属から構成されている。いずれも、基板240上に所定パターンの印刷を行うことによって形成されている。
【0117】
最も外側に形成された円環状の外側電極E15は、操作盤210の外周部分に対向する外周対向部(操作盤210の外側輪郭線を基板240上に投影した基板上面の部分)に形成されている。この実施形態の場合、操作盤210は円盤状をしているので、その外周円に対向する外周対向部も円形部分となり、図示のとおり、外側電極E15は、操作盤210の外周円に対向する位置に配置された円環状(ワッシャ状)の電極となっている。また、外側電極E16は、外側電極E15の若干内側に配置された円環状(ワッシャ状)の電極となっている。より正確な位置について言及すれば、外側電極E15と外側電極E16との間の境界部分は、図27に示す基準同心円K2に対向する円周上に位置することになり、外側電極E15の外側輪郭と外側電極E16の内側輪郭との間の距離は、電極用柱状突起P2の直径にほぼ等しくなるように設計されている。したがって、2本の外側電極E15,E16は、各電極用柱状突起P2の真下に配置されていることになる。
【0118】
この外側電極E15,E16の役割は、操作者から操作盤210に対して所定方向に関する操作入力が加えられ、弾性変形体220が変形を生じたときに、電極用柱状突起P2の下面に形成された変位導電層226と接触することにより、加えられた操作入力が所定の大きさ以上であることを検知することにある。すなわち、操作者の操作入力により、弾性変形体220が変形を生じ、いずれか1つの電極用柱状突起P2の下面に形成された変位導電層226が、外側電極E15,E16の双方に同時に接触した状態になると、接触した変位導電層226を仲介して、外側電極E15とE16とが導通状態になる。したがって、外側電極E15,E16間の導通状態を電気的に検出すれば、所定の大きさ以上の操作入力が加えられたか否かを認識することができる。結局、外側電極E15,E16は一対の接触用電極として機能し、各電極用柱状突起P2の下面に形成された変位導電層226は仲介電極として機能することになり、両者によって切替要素が構成されていることになる。この切替要素を構成する一対の接触用電極E15,E16は、通常は(操作盤210に所定の大きさ以上の操作入力が加わらないうちは)、電気的に絶縁状態を維持しているが、操作盤210に所定の大きさ以上の操作入力が加わったときには、弾性変形体220の変形により仲介電極が同時に接触することになり、電気的に導通状態となる。
【0119】
扇形をした4枚の抵抗体R11〜R14は、§1で述べた力検出装置における抵抗体R1〜R4と同等の機能を果たし、操作者から加えられた方向性をもった操作入力を検出するのに適した位置に配置されている。§1で述べた力検出装置は、外力のXYZ三軸方向成分を検出する機能を有していたため、基板上に5枚の抵抗体R1〜R5(他に参照用抵抗体R6)を形成していたが、ここに示す力検出装置は、操作量としてはXY二軸方向成分のみを検出する機能を有しているだけであるので、4枚の抵抗体R11〜R14を形成するだけで十分である(Z軸方向の外力は、後述するように、スイッチ入力として、ON/OFFの二値状態のみが検出される)。
【0120】
ここで、図31に示す基板240の上面中心位置に原点O(図示省略)、図の右方向にX軸、図の上方向にY軸をそれぞれとり、基板上面がXY平面に含まれるようにXYZ三次元座標系を定義すれば、X軸正の領域に抵抗体R11、X軸負の領域に抵抗体R12、Y軸正の領域に抵抗体R13、Y軸負の領域に抵抗体R14が形成されていることになる。そして、これら4枚の抵抗体R11〜R14の上方には、それぞれ接触用導電体として機能する柱状突起P1(下面に変位導電層226が形成されている)が配置されている。各抵抗体R11〜R14と、その上方に配置された接触用導電体P1とによって、可変抵抗要素が構成され、操作盤210に所定の大きさの操作入力が加えられると、弾性変形体220の変形により、接触用導電体P1が抵抗体R11〜R14に接触し、このときの接触面積に応じて、抵抗体R11〜R14の所定の二点間の抵抗値に変化が生じる点は、すでに述べたとおりである。したがって、§1で述べた力検出装置における抵抗体R1〜R4を用いた原理と同様の原理により、抵抗体R11〜R14を用いて、加えられた操作入力のX軸方向成分およびY軸方向成分を検出することが可能になる。
【0121】
図31に示すように、抵抗体R11〜R14の内側、すなわち、基板240の中心近傍には、2枚の内側電極E17,E18が形成されている。これら一対の内側電極E17,E18の役割は、操作者が操作盤210に対して加えたスイッチ入力、すなわち、垂直下方への押圧力を検出することにある。内側電極E17は基板の中央に配置された円盤状の電極であり、その直径はドーム状構造体230の底周面(底部の縁の部分)を構成する円に比べて小さく設定されている。一方、内側電極E18は、ワッシャ状の電極であり、その外径は、ドーム状構造体230の底周面を構成する円の直径にほぼ等しく設定されており、ドーム状構造体230は、このワッシャ状の内側電極E18の上に載置される。図32は、図31に示す基板240の上面の中央部に、図29に示すドーム状構造体230を配置した状態を示す上面図である。実際には、ドーム状構造体230は、基板240の上面に接着剤や接着テープなどを利用して固定される。
【0122】
図30(b) に示すように、ドーム状構造体230の頂点付近に対して垂直下方への押圧力Fが加わると、ドーム状構造体230は形状反転することになるが、内側電極E17は、このとき、ドーム状構造体230の下面の導電性接触面231に接触するのに適した形状をしている。この実施形態では、ドーム状構造体230は、全体が金属から構成されているため、図30(a) に示す状態では、ドーム状構造体230は、ワッシャー状の内側電極E18に対してのみ接触した状態になっているが、図30(b) に示す状態では、反転した頂点付近が内側電極E17にも接触するようになり、一対の内側電極E17,E18を互いに導通させる機能を果たす。すなわち、内側電極E17,E18は、物理的に分離された一対の電極から構成されているが、金属製のドーム状構造体230が反転すると、このドーム状構造体230の底周面は内側電極E18に接触し、その頂点付近の下面は内側電極E17に接触した状態になり、導電性材料から構成されたドーム状構造体230が両内側電極E17,E18に同時に接触することにより、両者は互いに導通状態になる。結局、これら一対の内側電極E17,E18間の導通状態を電気的に検出することにより、操作者のスイッチ入力に関するON/OFF状態を検出できる。なお、ドーム状構造体230は、必ずしも全体を導電性材料で構成する必要はなく、少なくとも内側面(伏せて配置した状態における下面)から底周面にかけた部分が導電性接触面を形成していれば、両内側電極E17,E18を電気的に導通状態にさせることができる。
【0123】
以上のとおり、基板240の上面には、一対の外側電極E15、E16(接触用電極)、4枚の抵抗体R11〜R14、一対の内側電極E17,E18(接触用電極)なる平板状の構成要素が形成されているが、各構成要素は、それぞれの機能を考慮して、次のような位置に配置されていることになる。まず、内側電極E18は、前述したように、ドーム状構造体230の底周面に接触する位置に配置されており、内側電極E17は、ドーム状構造体230が形状反転を起こした際に、その頂点付近の下面に相当する導電性接触面231に接触可能な位置に配置されている。また、一対の外側電極E15,E16は、操作盤210の外周部分に対向する基板240上の外周対向部(図27の基準同心円K2に対向する部分)に配置されている。一方、抵抗体R11〜R14は、基板240の上面の「ドーム状構造体230の配置領域より外側、かつ、上記外周対向部より内側に位置する中間領域部」の所定箇所に配置されている。本実施形態では、基板240を電子回路実装用のプリント基板によって構成し、各電極を、このプリント基板上に形成した銅などのプリントパターンによって構成し、各抵抗体を、このプリント基板上に形成したカーボンのプリントパターンによって構成している。このように、基板240を回路用プリント基板で構成すれば、プリントパターンによって基板240上に種々の配線を施すことができるので、実用上は便利である。
【0124】
以上、図22に示す各構成要素の構造の詳細を述べたが、実際の力検出装置は、これら各構成要素を積み重ねることにより構成される。すなわち、基板240の中央部にドーム状構造体230を載置し、これを覆うように弾性変形体220を載せ(固定脚部225を固定孔部241に挿入して固定する)、その上に操作盤210を接着することにより、図33の側断面図(ドーム状構造体230については断面ではなく側面が示されている)に示すような力検出装置が形成される。
【0125】
§7.本発明に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置の別な実施形態の動作
続いて、図33に示す力検出装置の動作を説明する。ここでは便宜上、図31に示す基板240の上面中心位置に原点O、図の右方向にX軸、図の上方向にY軸をそれぞれとり、基板上面がXY平面に含まれるようにXYZ三次元座標系を定義して、以下の説明を行うことにする。図33では、図の右方向にX軸、図の上方向にZ軸、図の紙面に垂直方向にY軸が定義される。
【0126】
既に述べたように、この力検出装置は、任意の電子機器に対して、ON/OFF状態を示すスイッチ入力(いわゆるクリック入力)と、所定方向への操作量を示す操作入力と、を行う機能をもった装置である。ここで、操作者は、これらの入力を操作盤210に対して行うことになるが、基本的には、スイッチ入力を行う場合には、操作盤210の中央部分に指を当てて下方(Z軸負方向)へと押し込む動作を行い、所定方向への操作入力を行う場合には、操作盤210を斜め下方へと押し込む動作を行うことになる。
【0127】
図34は、操作者がスイッチ入力を行ったときの各部の変形状態を示す側断面図(ドーム状構造体230については側面図)である。操作盤210に対して図の下方への押圧力(Z軸負方向への力という意味で−Fzと呼ぶ)が加わると、この押圧力−Fzによって、押圧棒214が下方へと変位し、内側膜状部221ごしにドーム状構造体230の頂点部分に下方への力が加わることになる。ドーム状構造体230は、頂点付近に対して所定の大きさ以上の下方への押圧力が加わると、頂点付近が弾性変形して下に凸となるように形状反転を起こす性質を有しているので、押圧力−Fzの大きさが所定の臨界値を超えると、図示のとおり、ドーム状構造体230の頂点付近が形状反転を起こすことになる。すなわち、操作者が下方への押圧力−Fzを徐々に強めてゆくと、ドーム状構造体230が急に潰れて図示の状態になり、操作者の指先にはクリック感が伝わる。このとき、弾性材料から構成されている柱状突起P1,P3は、弾性変形して縦方向に若干潰れることになる。ただし、電極用柱状突起P2は宙吊りの状態のままである。
【0128】
こうして、ドーム状構造体230が形状反転を起こすと、図31に示されている内側電極E17に、ドーム状構造体230の下面の導電性接触面231が接触した状態になるので、内側電極E17と内側電極E18とが導通状態になる。操作者が、押圧動作を中止すると、ドーム状構造体230がもとの状態に復帰し、装置は図33の状態に戻ることになる。この状態では、内側電極E17と内側電極E18とは絶縁されている。結局、内側電極E17と内側電極E18との間の電気的な接続状態を検出することにより、ON/OFF状態を示すスイッチ入力の検出が可能になり、いわゆるクリック入力の検出が可能になる。
【0129】
続いて、操作者が所定方向への操作量を示す操作入力を行った場合を考えてみる。このような操作入力は、通常、上下左右の4方向あるいは斜めも含めた8方向への操作量を示す入力として与えられる。ここに示す実施形態では、図31に示す4枚の抵抗体R11〜R14と、その上方に配置された接触用導電体(表面が変位導電層226によって覆われた柱状突起P1)と、によって合計4組の可変抵抗要素が形成されており、この4組の可変抵抗要素の抵抗値に基づいて、各方向への操作量を検出することができる。
【0130】
たとえば、操作者が、操作盤210に対して、X軸負方向への力を含む斜め下方への力を加える操作を行ったとしよう。ここでは、このような操作により加えられる力を−Fxと呼ぶことにする。図35は、操作者がこのような操作力−Fx(必ずしも操作盤210の中心位置に加える必要はなく、実際には図示のようにやや左へ変位した部分に加えられることが多い)を加えたときの各部の変形状態を示す側断面図(ドーム状構造体230については側面図)である。操作力−Fxは、斜め下方への力成分であるため、図の下方への力成分(Z軸負方向成分)も含んでいることになるが、この下方への力成分は、前述したクリック操作による押圧力−Fzに比べて小さいため、ドーム状構造体30には形状反転させるだけの十分な力は加わらない。このため、操作盤210は、図35において、左側が下がり右側が上がるように傾斜する。別言すれば、ドーム状構造体230としては、スイッチ入力として加えられた垂直下方への押圧力に対しては形状反転を起こし、所定方向への操作入力として加えられた斜め下方への押圧力に対しては形状反転を起こさないような変形特性を有する構造体を用いるようにすればよい。なお、図35に示す斜め下方への操作力−Fxの代わりに、操作盤210の図の左端近傍位置に垂直下方への操作力−FFxを加えた場合にも同じような現象が起こる。本実施形態において、「X軸負方向への操作量を示す操作入力」と言った場合、操作力−Fxのように、斜め下方への操作入力だけでなく、操作力−FFxのように、X軸負方向に変位した位置を垂直下方に押し込むような操作入力も含んでおり、操作力−FFxは操作力−Fxと等価な操作入力である。
【0131】
さて、図35に示すように、操作盤210を左側へと傾斜させる操作力−Fx(または−FFx、以下同様)が加わると、図の左半分にある柱状突起P1,P3は、弾性変形して縦方向に潰れることになる。一方、図の右半分にある柱状突起P1,P3は、図示のとおり、基板240の上面から浮き上がった状態になる。結局、ある程度以上の大きさの操作力−Fxが加わると、図35に示すように、図の左端にある柱状突起P2の下端面(仲介電極として機能する変位導電層)が外側電極E15,E16の双方に接触した状態になり、外側電極E15,E16が導通するとともに、変位導電層226全体が外側電極E15,E16と同電位になる。この状態から、更に操作力−Fxを強くしてゆけば、図36に示すように、図の左半分にある柱状突起P1,P3は、更に潰れるように弾性変形し、柱状突起P2も若干弾性変形して潰れた状態になる。そして、最後には、図37に示すように、図の左側の柱状突起P1,P2,P3のすべてが完全に潰れた状態になる。
【0132】
ここで、図33に示す状態から、図35、図36、図37に示す状態へと変遷する際に、各抵抗体R11〜R14の所定の二点間の抵抗値がどのように変化するかを検討すると、図の左側に示された抵抗体R12では、その上方に配置された柱状突起P1(接触用導電体)の接触面が徐々に増加してゆくので、抵抗体R12の所定の二点間の抵抗値が徐々に減少してゆくのに対して、図の右側に示された抵抗体R11には、柱状突起P2(接触用導電体)は接触していないため、抵抗値の変化は生じない。逆に、X軸正方向への操作力+Fxが加わった場合は、操作盤210は右側へと傾斜することになるので、上述した場合に比べて、左右の関係が逆転することになり、抵抗体R11の所定の二点間の抵抗値が徐々に減少してゆくことになる。結局、抵抗体R11およびR12の抵抗値を測定することにより、X軸方向の操作力−Fx,+Fxとして加えられた操作量を検出することができる(たとえば、両抵抗値の差を求めればよい)。全く同様の原理により、Y軸上に配置された抵抗体R13およびR14の抵抗値を測定することにより、Y軸方向の操作力−Fy,+Fyとして加えられた操作量を検出することができる。
【0133】
このようなX軸方向あるいはY軸方向に関する操作量は、操作者が操作盤210を上下左右の4方向に傾斜させることにより入力可能な操作量であるが、所定の演算処理を行うことにより、より多数の方向に関する操作量検出も可能である。たとえば、斜め45°方向も含めた合計8方向に関する操作量は、X軸方向の操作量とY軸方向の操作量との合成成分として求めることができる。具体的には、たとえば、X軸方向の操作量xと、Y軸方向の操作量yとが求まった場合、ルート(x2+y2)なる大きさをもった操作量が、斜め45°方向(いずれの方向かは、操作量x,yの符号の組み合わせによって判断できる)に作用したものとして取り扱うことができる。もちろん、任意の方向の力も検出することができ、この場合、操作量の大きさは、ルート(x2+y2)で求められ、方向は、tan−1(y/x)で求められる。
【0134】
ところで、抵抗体R11〜R14の抵抗値を測定するためには、各抵抗体の所定の二点間に電圧を印加して、抵抗体に電流を流す必要がある。本発明の目的は、このような可変抵抗要素を用いた力検出装置において、電力消費を効率的に抑制させることにあり、図33に示す力検出装置にも、電力消費を効率的に抑制させる機能が備わっている。すなわち、操作盤210に加えられる操作入力が所定の大きさ以上になるまでは、検出回路を待機モードとして抵抗体に電流を流さない状態を維持し、所定の大きさ以上の操作入力が加わったときに、検出回路を検出モードとして抵抗体に電流を流して抵抗値を測定する処理が行われるようにすることができる。具体的には、図33に示す力検出装置において、基板240上に形成された外側電極E15,E16(一対の接触用電極)と、その上方に配置された柱状突起P2およびその表面に形成された変位導電層226(仲介電極)と、によって切替要素が構成されており、外側電極E15,E16が電気的に絶縁状態にあるときには待機モードとし、導通状態にあるときには検出モードとする切替を行うことができる。
【0135】
図38は、図33に示す力検出装置に用いることができる検出回路の一例を示す回路図である。この検出回路は、図17に示す検出回路と同様に、アナログ信号用の入力端子を備えた信号処理回路により構成されており、入力したアナログ信号はデジタル信号に変換され、内部でデジタル信号に対する所定の演算が行われ、デジタル信号としての出力が得られる。この図38に示す信号処理回路も、1チップの集積回路として構成されており、図の右側に示されたアナログ入力端子T11〜T14には、それぞれ抵抗体R11〜R14の抵抗値に相当するアナログ電圧値が入力される。各抵抗体R11〜R14の一端(図の下端)は接地されており、もう一端(図の上端)は、各アナログ入力端子T11〜T14に接続されるとともに、それぞれスイッチSW11〜SW14および抵抗素子R05〜R08を介して電源Vccに接続されている。
【0136】
各スイッチSW11〜SW14がON状態になると、電源Vccから、各抵抗体R11〜R14に電圧が印加され、アナログ入力端子T11〜T14には、各抵抗体R11〜R14の抵抗値に応じた分圧が加わり、各抵抗値に応じたデジタル値が得られる点は、図17に示す回路と同様である。加えられたX軸方向の操作量は、抵抗体R11またはR12の抵抗値(あるいは両者の差)に基づいて求めることができ、加えられたY軸方向の操作量は、抵抗体R13またはR14の抵抗値(あるいは両者の差)に基づいて求めることができる。
【0137】
スイッチSW11〜SW14は、各抵抗体への電圧供給を制御するためのスイッチであり、スイッチSW11〜SW14のいずれもがOFF状態を維持していると、電源Vccの電圧が各抵抗体へ印加されず、各抵抗体には電流は流れない。これは、この信号処理回路が待機モード状態にあることを示している。一方、スイッチSW11〜SW14のいずれかがON状態になると、電源Vccの電圧がON状態になったスイッチに接続された抵抗体へ印加され、当該抵抗体に電流が流れる。したがって、前述したように、当該抵抗体の抵抗値に対応するデジタル値が検出されることになる。これは、この信号処理回路が検出モード状態にあることを示している。
【0138】
スイッチSW11〜SW14のON/OFF制御は、制御端子T21〜T24から出力される制御信号S21〜S24によって行われる。実際には、スイッチSW11〜SW14は、論理素子などの半導体スイッチによって構成されており、制御信号S21〜S24は、デジタル論理信号となる。信号処理回路はCPUおよびこれを動作させるためのプログラムを内蔵しており、このCPUの論理演算により、制御信号S21〜S24の論理値が決定される。
【0139】
図38の左側に示された入力端子T01には、スイッチSW1のON/OFF状態により、電源電圧Vccもしくは接地電圧が加えられる。すなわち、スイッチSW1がOFF状態の場合、入力端子T01には、抵抗素子R01を介して電源電圧Vccが加えられた状態になるが、スイッチSW1がON状態になると、入力端子T01は接地電位となる。したがって、信号処理回路は、入力端子T01の電位に基づいて、スイッチSW1のON/OFF状態を把握することができる。
【0140】
このスイッチSW1は、実は、図33に示す力検出装置において、基板240上に形成された外側電極E15,E16(一対の接触用電極)によって構成されるスイッチであり、外側電極E15,E16が絶縁状態にあるときにはOFF、導通状態にあるときにはONになる。したがって、たとえば、図33や図34に示す状態(所定の大きさ以上のX軸方向操作量あるいはY軸方向操作量が加わっていない状態)では、スイッチSW1はOFF状態となるが、図35、図36、図37に示す状態(所定の大きさ以上のX軸方向操作量あるいはY軸方向操作量が加わった状態)では、スイッチSW1はON状態となる。
【0141】
そこで、この図38に示す信号処理回路では、入力端子T01の電位が電源電圧Vccの場合(スイッチSW1がOFF状態の場合)には、制御端子T21〜T24からは、スイッチSW11〜SW14をOFF状態とする制御信号S21〜S24を出力し、入力端子T01の電位が接地電位の場合(スイッチSW1がON状態の場合)には、制御端子T21〜T24からは、スイッチSW11〜SW14をON状態とする制御信号S21〜S24を出力するような制御が行われるようにしている。これにより、X軸もしくはY軸方向成分を含む所定の大きさの操作量が加えられたときにのみ、抵抗体R11〜R14に電流が流れて検出が可能になる。結局、スイッチSW1がON状態になるまでは、検出回路は本来の検出機能を果たすことができない待機モードを維持することになり、電力消費が抑制されることになる。
【0142】
一方、図38の左側に示された入力端子T00には、スイッチSW0のON/OFF状態により、電源電圧Vccもしくは接地電圧が加えられる。すなわち、スイッチSW0がOFF状態の場合、入力端子T00には、抵抗素子R00を介して電源電圧Vccが加えられた状態になるが、スイッチSW0がON状態になると、入力端子T00は接地電位となる。したがって、信号処理回路は、入力端子T00の電位に基づいて、スイッチSW0のON/OFF状態を把握することができる。このスイッチSW0は、実は、図33に示す力検出装置において、基板240上に形成された内側電極E17,E18によって構成されるスイッチであり、内側電極E17,E18が絶縁状態にあるときにはOFF、導通状態にあるときにはONになる。したがって、スイッチSW0のON/OFF状態は、操作者のスイッチ入力(ドーム状構造体230の形状反転によるクリック入力)を示すものとなる。
【0143】
なお、ここに示す実施形態では、図28の下面図に示されているように、弾性変形体220の下面には、単一の変位導電層226(図のハッチング部分)が形成されており、各柱状突起P1(接触用導電体)の下面に形成された導電層(変位導電層226の一部)と、各柱状突起P2の下面に形成された導電層(変位導電層226の別な一部)とは、互いに導通しているので、図38に示す検出回路を用いた場合、スイッチSW1がON状態になると、変位導電層226全体が接地状態となり、抵抗体R11〜R14の抵抗値測定に影響を及ぼすことになる。もちろん、このような影響があっても、抵抗値測定は可能であるが、より効率的な測定を行うためには、抵抗体R11〜R14の抵抗値に比べて十分に大きな抵抗値をもった抵抗素子を用意し、接触用電極E15,E16の導通状態を検出する回路と、抵抗体R11〜R14の抵抗値を検出する回路と、を用意した抵抗素子を用いて隔絶するようにすればよい。具体的には、図38に示す検出回路において、抵抗素子R01を10MΩ程度の大きな抵抗値をもった抵抗素子により構成し、電極E16と接地レベルGndとの間に、1MΩ程度の大きな抵抗値をもった抵抗素子を挿入すればよい。あるいは、変位導電層226を単一の導電層とする代わりに、個々の柱状突起P1の下面および個々の柱状突起P2の下面に、それぞれ電気的に孤立した島状の導電層を形成するようにしてもよい。
【0144】
§8.本発明に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置の変形例
以上、本発明に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置を、いくつかの実施形態について述べたが、ここでは、更にいくつかの変形例を述べる。
【0145】
(1) 接触用電極の形態の変形例
図31に示す実施形態では、一対の円環状の接触用電極(すなわち、外側電極E15,E16)と、電極用柱状突起P2の底面に形成された変位導電層226と、によって切替要素が構成されていたが、切替要素として用いる一対の接触用電極は、必ずしも円環状にする必要はない。たとえば、図39に一部を示す一対の接触用電極E15A,E16Aは、図31に示す外側電極E15,E16とほぼ同じ位置に形成された環状電極であるが、それぞれ歯状の突起部分が形成されており、これらが噛み合うような形態をなす(図39のハッチングは電極の形状を明瞭にするためのものであり、断面を示すものではない)。仲介電極として機能する変位導電層226は、一対の接触用電極の双方に同時に接触する必要があるが、図39に示すような一対の接触用電極E15A,E16Aを用いれば、このような同時接触がより容易になる。
【0146】
また、図40に一部を示す接触用電極群E15B,E16Bは(図40のハッチングは電極の形状を明瞭にするためのものであり、断面を示すものではない)、第1グループに所属する複数N個の電極E15Bと、第2グループに所属する複数N個の電極E16Bとを、基板240上に定義された円周に沿って交互に配置したものである(図31に示す外側電極E15,E16とほぼ同じ位置に配置されている)。これにより、第1グループに所属する電極E15Bと第2グループに所属する電極E16Bとがそれぞれ隣接して配置されることになり、互いに隣接して配置された電極E15Bと電極E16Bとによって一対の接触用電極が構成されており、合計N組からなる一対の接触用電極が形成されている。図31に示す実施形態では、一対の接触用電極E15,E16が1組だけしか設けられていなかったが、図40に示す例は、一対の接触用電極を複数組設けた変形例である。この変形例では、N枚の電極E15BおよびN枚の電極E16Bのそれぞれに対して配線を行う必要があり、実用上は、配線が複雑になる。
【0147】
(2) 一対の接触用電極の変形例
これまで述べた実施形態では、切替要素に含まれる一対の接触用電極を、いずれも基板上に形成し、この一対の接触用電極の双方に仲介電極を同時に接触させることにより、一対の接触用電極を導通させるという手法を採ってきたが、本発明を実施する上で、一対の接触用電極を必ずしも基板側に設ける必要はなく、また、必ずしも仲介電極を用いる必要もない。たとえば、基板上に形成された接触用固定電極と、弾性変形体側に形成された接触用変位電極と、によって一対の接触用電極を構成するようにし、弾性変形体に所定の大きさ以上の外力が作用したときに、この弾性変形体の変形により、基板上に形成された接触用固定電極と、弾性変形体側に形成された接触用変位電極と、が物理的に接触するような構成を採ってもかまわない。
【0148】
しかしながら、このように、基板上に形成された接触用固定電極と、弾性変形体側に形成された接触用変位電極と、が物理的に接触したか否かを電気的に検出するためには、各電極にそれぞれ配線を施す必要がある。そして、実用上、弾性変形体側に配線を施すことは好ましいことではない。したがって、実用上は、これまでに述べてきた実施形態のように、基板上に一対の接触用電極を設け、仲介電極を利用して両電極を導通させる手法を採るのが好ましい。このような手法を採れば、仲介電極側には配線は不要であるため、基板側にだけ配線を行えば、弾性変形体側に配線を施す必要ななくなる。
【0149】
(3) 可変抵抗要素の変形例
これまで述べた実施形態では、基板上に配置された抵抗体と、この抵抗体に対向するように弾性変形体側に設けられた接触用導電体と、によって可変抵抗要素を構成していたが、本発明に用いる可変抵抗要素は、基板と弾性変形体との間に配置され、弾性変形体の変位によって加わる圧力に応じて所定の二点間の抵抗値が変化する性質をもった構成要素であれば、必ずしも抵抗体と接触用導電体との組み合わせによって構成する必要はない。
【0150】
図41は、これまでの実施形態で用いられてきた可変抵抗要素とは異なる形態の可変抵抗要素300の構成を示す側断面図である。ここに示す可変抵抗要素300は、第1のシート310と第2のシート320とを上下対称となるように積層した構造を有する。第1のシート310は、図示のとおり、第1のフィルム311と、その上に形成された第1の導電層312と、その上に形成された第1の抵抗体313と、によって構成されており、第2のシート320は、図示のとおり、第2のフィルム321と、その下に形成された第2の導電層322と、その下に形成された第2の抵抗体323と、によって構成されている。もっとも、ここで、個々の構成要素に第1あるいは第2という修飾句を付して呼んでいるのは、便宜上、両者を区別するためであり、実際の構造物としては、第1のシート310と第2のシート320とは全く同一のシートであり、2枚の同一シートの一方を上下逆にして他方の上に重ねることにより、可変抵抗要素300が得られることになる。実用上は、両シートがずれないように、両シートを何らかの方法で接着するのが好ましい。
【0151】
第1の抵抗体313および第2の抵抗体323は、いずれも弾性変形を生じる材質から構成されており、互いに対向する位置に配置されている。しかも第1の抵抗体313の上面および第2の抵抗体323の下面は、それぞれ断面波状の凹凸構造をなし、図の上下方向に加わる圧力に応じて、第1の抵抗体313と第2の抵抗体323との接触面の面積が変化するように構成されている。すなわち、この可変抵抗要素300に上下方向の圧力が作用していない状態では、図41に示すように、各抵抗体313,323の波形凹凸構造の頂点部分が点接触した状態であり、両者の接触面の面積は極めて小さい状態であるが、この可変抵抗要素300に対して、たとえば図42に示すような下方への外力−Fzが作用すると、図示のとおり、各抵抗体313,323の波形凹凸構造部分が圧力によって変形し、両者の接触面積は増加する。
【0152】
第1の抵抗体313の下面には第1の導電層312が接続されており、第2の抵抗体323の上面には第2の導電層322が接続されているため、第1の導電層312に接続された端子T31と、第2の導電層322に接続された端子T32との間の抵抗値を測定すると、当該抵抗値は、両者の接触面積に応じて変化することになるので、この抵抗値に基づいて、可変抵抗要素300に加えられた上下方向の外力を検出することが可能になる。すなわち、2枚のシート310,320は、加わる圧力に応じて所定の2点間の抵抗値が変化する性質をもつ可変抵抗要素300として機能することになる。実用上、第1のシート310を作成するには、たとえば、次のような方法を採ればよい。まず、FPC(Flexible Print Circuit)フィルムなどからなる第1のフィルム311を用意し、その上面に銅などの層を形成することにより第1の導電層312を形成する。続いて、この第1の導電層312の上面に感圧導電性インクを塗布し、この感圧導電性インクの表面を断面波状の凹凸構造に加工して第1の抵抗体313を作成すればよい。もちろん、第2のシート320も全く同様の方法で作成できる。なお、図示の例では、第1の抵抗体313の上面および第2の抵抗体323の下面のそれぞれに、断面波状の凹凸構造を形成しているが、このような凹凸構造は必ずしも両者にそれぞれ形成する必要はなく、少なくとも一方の表面部分に形成されていれば、可変抵抗要素を構成することができる。要するに、第1の抵抗体313と第2の抵抗体323との少なくとも一方の他方に対向する表面部分が、弾性変形を生じる凹凸構造をなし、両者間に加わる圧力に応じて、両者間の接触面の面積が変化するように構成されていればよい。
【0153】
この図41に示す可変抵抗要素300は、たとえば、図33に示す力検出装置における「抵抗体と接触用導電体」によって構成されている可変抵抗要素に置き換えて用いることができる。この場合、基板240上に形成されている4枚の抵抗体R11〜R14の代わりに、それぞれ上述した可変抵抗要素300を用いるようにすればよい。具体的には、平面形状が図32の抵抗体R11〜R14のような扇形をし、図41に示すような側断面構造を有する4枚の可変抵抗要素300−1〜300−4を用意し、それぞれを基板240上の所定位置、すなわち、図32の抵抗体R11〜R14が配置されている位置に接着するようにすれば(第1のフィルム311の下面を基板240の上面に接着すればよい)、4枚の可変抵抗要素300−1〜300−4は、4枚の抵抗体R11〜R14と同等の機能を果たすことになる。ただし、作用した外力は、各可変抵抗要素300のそれぞれについて、図41に示す端子T31,T32間の抵抗値に基づいて検出されることになる。
【0154】
各可変抵抗要素300は、実際には、非常に薄いシート状の部材として作成することができるので、4枚の抵抗体R11〜R14を4枚の可変抵抗要素300−1〜300−4に置き換えた力検出装置の側断面構造は、図33に示す力検出装置とほぼ同じになる。ただ、図33に示す力検出装置の場合、4枚の抵抗体R11〜R14と、その上方に配置された柱状突起P1およびその下面に形成された導電層(変位導電層226)と、の組み合わせによって可変抵抗要素が構成されていたのに対し、図41に示す可変抵抗要素300は、それ自身単独で可変抵抗要素として機能するため、ここで述べる変形例の装置では、柱状突起P1は圧力を加えるための突起としての働きを行うだけでよく、柱状突起P1の下面に変位導電層226を形成する必要はない。
【0155】
なお、図33に示す柱状突起P1を圧力を加える突起として機能させた場合、図41に示す可変抵抗要素300の上面の中央部付近に圧力が集中することになるため、抵抗体313,323の変形が中央部付近に偏在し、効率的な検出感度を得ることはできなくなる。そこで、図42に示すように、抵抗体313,323の変形を全面に均等に生じさせて、検出感度を向上させるには、図26に示す弾性変形体220の代わりに、図43に下面図を示すような弾性変形体220Aを用いるようにすればよい。この図43に示す弾性変形体220Aは、図26に示す弾性変形体220における4本の柱状突起P1を、4枚の板状突起P4に置き換えたものである。各板状突起P4の平面形状は、いずれも扇形をしており、基板240上に形成された4枚の可変抵抗要素300−1〜300−4と同じ形状をしており、これらの真上の位置に配置されることになる。なお、各板状突起P4の下面には、導電層を形成する必要はない。図44は、図33に示す力検出装置における4枚の抵抗体R11〜R14を、4枚の可変抵抗要素300−1〜300−4に置き換えるとともに、弾性変形体220を図43に示す弾性変形体220Aに置き換えた変形例を示す側断面図である。各可変抵抗要素300−1〜300−4は、いずれも図41に示す可変抵抗要素300と同じ断面構造を有しており、その上方に配置された板状突起P4によって全面にわたって圧力が加わえられる。このため、より効率的な検出感度を得ることができる。
【0156】
なお、図43では、4枚の扇形の板状突起P4を形成した例を示したが、これらを連結した構造とし、全体的にワッシャー状をした1枚の板状突起を形成するようにしてもかまわない。また、各可変抵抗要素300−1〜300−4も、たとえば、フィルム311あるいはフィルム321の部分を連結し、全体的にワッシャー状をした1枚のフィルム上に、それぞれ4組の扇形の導電層および抵抗体を形成した構造にしてもよい。更に、上述の説明では、可変抵抗要素300全体を基板240側に固定しているが、可変抵抗要素300のうち、第1のシート310を基板240側に固定(第1のフィルム311を基板240の上面に接着)し、第2のシート320を板状突起P4側(弾性変形体220A側)に固定(第2のフィルム321を板状突起P4の下面に接着)するようにしてもよい。
【0157】
(4) 一次元力検出装置への利用
前述した図9に示す実施形態に係る力検出装置は、XYZ三次元の力方向成分を検出する機能をもった三次元力検出装置であるが、抵抗体R5,R6および接触用導電体C5を省けば、X軸方向およびY軸方向の力成分を検出する機能をもった二次元力検出装置を構成することができる。また、抵抗体R1,R2および接触用導電体C1,C2だけを配置するようにすれば、X軸方向の力成分のみを検出する機能をもった一次元力検出装置を構成することができる。同様に、図33に示す実施形態に係る力検出装置は、XY二次元の力方向成分(操作量)を検出する機能をもった二次元力検出装置であるが、抵抗体および接触用導電体を追加することにより三次元力検出装置として利用することもできるし、不要な抵抗体および接触用導電体を削除することにより一次元力検出装置として利用することもできる。このように、本発明は、一次元、二次元、三次元のいずれの力検出装置にも利用することが可能である。
【0158】
(5) その他の変形例
上述した実施形態では、いくつかの検出回路の例を回路図を示して述べたが、本発明を実施する上で用いる検出回路は、これらの回路を用いたものに限定されるものではなく、可変抵抗要素の抵抗値を電気信号として出力する機能を有する検出回路であれば、どのような回路を用いてもかまわない。また、本発明に用いる検出回路は、待機モードと検出モードとの2通りのモードで動作することになるが、待機モードは、必ずしも回路が何らかの動作を行っている必要はなく、切替要素の状態遷移に基づいて、検出モードへの移行が可能な状態であれば、回路が完全に停止した状態であってもかまわない。たとえば、検出回路への電源供給を全く停止した状態を待機モードとし、切替要素の状態遷移が生じたときに電源供給を開始して検出モードに移行するような方法を採ってもよい。また、本発明における切替要素は、上述した待機モードから検出モードへの切替あるいは検出モードから待機モードへの切替を行うために、一対の接触用電極間の導通状態を変化させることができる構成要素であれば、どのような構成のものであってもかまわない。
【0159】
なお、本発明に係る力検出装置の用途は、必ずしも電子機器用入力装置に限定されるものではなく、ロボットや産業機械などの制御に用いる検出装置などにも勿論利用可能である。また、弾性変形体に重錘体を取り付け、加速度に基づいて重錘体に作用した力を検出することにより、加速度検出装置として利用することも可能である。この場合、所定の大きさ以上の加速度が加わらない限り、検出回路は待機モードとなるので、消費電力の節約が可能になる。
【0160】
【発明の効果】
以上のとおり本発明によれば、電力消費を効率的に抑制させることが可能な可変抵抗要素を用いた力検出装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象となる可変抵抗要素を用いた力検出装置の構造を示す側断面図である。
【図2】図1に示す力検出装置における基板110の上面図であり、この基板110をX軸に沿って切断した断面が図1に示されている。
【図3】図1に示す力検出装置における弾性変形体120の上面図であり、この弾性変形体120をX軸に沿って切断した断面が図1に示されている。
【図4】図1に示す力検出装置における弾性変形体120の下面図であり、この弾性変形体120をX軸に沿って切断した断面が図1に示されている。
【図5】外力が作用していない状態における抵抗体Rと接触用導電体Cとの接触状態を示す側断面図(a) 、平面図(b) 、等価回路図(c) である。
【図6】外力が作用している状態における抵抗体Rと接触用導電体Cとの接触状態を示す側断面図(a) 、平面図(b) 、等価回路図(c) である。
【図7】図1に示す力検出装置に、右斜め下方向の外力Fが作用したときの状態を示す側断面図である。
【図8】図1に示す力検出装置に用いる検出回路の一例を示す回路図である。
【図9】本発明の基本的な実施形態に係る可変抵抗要素を用いた力検出装置の構造を示す側断面図である。
【図10】図9に示す力検出装置における基板110の上面図であり、この基板110をX軸に沿って切断した断面が図9に示されている。
【図11】図(a) は、図10に示されている抵抗体RR1〜RR4の拡大図およびその配線図である。ハッチングは板状構造体の形状を明瞭にするためのものであり、断面を示すためのものではない。図(b) は、外力が作用していない状態における図(a) に示す抵抗体RRとその上方に配置された接触用導電体Cとの位置関係を示す側断面図である。
【図12】外力−Fzが作用した状態における抵抗体RRとその上方に配置された接触用導電体Cとの接触状態を示す側断面図である。
【図13】より大きな外力−Fzが作用した状態における抵抗体RRとその上方に配置された接触用導電体Cとの接触状態を示す側断面図である。
【図14】図11〜図13に示す抵抗体RRと、その上方に配置された接触用導電体Cと、一対の接触用電極S1,S2によって構成されるスイッチSWと、についての種々の状態における等価回路である。
【図15】図9に示す力検出装置に用いる検出回路の第1の例を示す回路図である。
【図16】図9に示す力検出装置に用いる検出回路の第2の例を示す回路図である。
【図17】図9に示す力検出装置に用いる検出回路の第3の例を示す回路図である。
【図18】抵抗体RRの中央部空隙領域内に形成された一対の接触用電極S1,S2から構成されるスイッチのON/OFF状態を検出するための回路を示す配線図である。
【図19】図18に示す配線についての等価回路図である。
【図20】図18に示す配線に、更に、抵抗素子を加えることにより、効率的な抵抗値測定を可能にするための配線図である。
【図21】図20に示す配線についての等価回路図である。
【図22】本発明の別な実施形態に係る力検出装置の分解側断面図である。
【図23】図22に示す操作盤210の上面図である。この操作盤210を中心で切断した側断面が図22に示されている。
【図24】図22に示す操作盤210の下面図である。この操作盤210を中心で切断した側断面が図22に示されている。
【図25】図22に示す弾性変形体220の上面図である。この弾性変形体220を中心で切断した側断面が図22に示されている。
【図26】図22に示す弾性変形体220の下面図である。この弾性変形体220を中心で切断した側断面が図22に示されている。
【図27】図26に示す弾性変形体220の下面に形成されている各柱状突起の配置を説明するための下面図である。
【図28】図26に示す弾性変形体220の下面に形成されている変位導電層226を示す下面図である(ハッチングは、断面を示すものではない)。
【図29】図22に示すドーム状構造体230の上面図である。このドーム状構造体230を中心で切断した側断面が図22に示されている。
【図30】図22に示すドーム状構造体230の形状反転動作を説明する側断面図である。
【図31】図22に示す基板240の上面図である。この基板240を中心(XZ平面)で切断した側断面が図22に示されている(ハッチングは、断面を示すものではない)。
【図32】図31に示す基板240の上に、ドーム状構造体230を配置した状態を示す上面図である。
【図33】図22に示す各構成要素を組み立てることにより構成された力検出装置の側断面図である。ただし、ドーム状構造体230の部分は、断面ではなく側面が示されている。また、各柱状突起P1〜P3は、断面部分のみが描かれており、奥に位置する各柱状突起は図示が省略されている。
【図34】図33に示す力検出装置においてスイッチ入力(クリック入力)が行われたときの状態を示す側断面図である。ただし、ドーム状構造体230の部分は、断面ではなく側面が示されている。また、各柱状突起P1〜P3は、断面部分のみが描かれており、奥に位置する各柱状突起は図示が省略されている。
【図35】図33に示す電子機器用入力装置においてX軸負方向への操作入力が行われたときの第1の状態を示す側断面図である。ただし、ドーム状構造体230の部分は、断面ではなく側面が示されている。また、各柱状突起P1〜P3は、断面部分のみが描かれており、奥に位置する各柱状突起は図示が省略されている。
【図36】図33に示す電子機器用入力装置においてX軸負方向への操作入力が行われたときの第2の状態を示す側断面図である。ただし、ドーム状構造体230の部分は、断面ではなく側面が示されている。また、各柱状突起P1〜P3は、断面部分のみが描かれており、奥に位置する各柱状突起は図示が省略されている。
【図37】図33に示す電子機器用入力装置においてX軸負方向への操作入力が行われたときの第3の状態を示す側断面図である。ただし、ドーム状構造体230の部分は、断面ではなく側面が示されている。また、各柱状突起P1〜P3は、断面部分のみが描かれており、奥に位置する各柱状突起は図示が省略されている。
【図38】図33に示す力検出装置に利用される検出回路の一例を示す回路図である。
【図39】図31に示す一対の接触用電極の変形例を示す上面図である。
【図40】図31に示す一対の接触用電極の別な変形例を示す上面図である。
【図41】表面に波状凹凸構造を有する一対の抵抗体313,323を利用して可変抵抗要素300を構成した例を示す側断面図である。
【図42】図41に示す可変抵抗要素300に圧力−Fzが作用したときの変形状態を示す側断面図である。
【図43】図41に示す可変抵抗要素300を用いる場合に適した弾性変形体220Aの下面図である。
【図44】図41に示す可変抵抗要素300および図43に示す弾性変形体220Aを用いて構成された力検出装置の側断面図である。
【符号の説明】
110…基板
120,120A…弾性変形体
121…作用部
122…可撓部
123,123A…固定部
125…操作桿
130,130A…固定部材
210…操作盤
211…操作部分
212…土手部分
213…外周部分
214…押圧棒
220,220A…弾性変形体
221…内側膜状部
222…円環状隆起部
223…外側膜状部
224…側壁部
225…固定脚部
226…変位導電層
230…ドーム状構造体
231…導電性接触面
240…基板
241…固定孔部
300…可変抵抗要素
310…第1のシート
311…第1のフィルム
312…第1の導電層
313…第1の抵抗体
320…第2のシート
321…第2のフィルム
322…第2の導電層
323…第2の抵抗体
C,C1〜C5…接触用導電体
E15〜E18…電極
E15A,E15B,E16A,E16B…電極
F…外力
+Fx…外力の+X軸方向成分
−Fx,−FFx…外力の−X軸方向成分
−Fz…外力の−Z軸方向成分
Gnd…接地点
Jx,Jy,Jz…接続点
K1…内側同心円
K2…基準同心円
K3…外側同心円
O…座標系の原点
P1〜P3…柱状突起
P4…板状突起
R,R1〜R6,RR,RR1〜RR6,R11〜R14…抵抗体
R100,R200…抵抗体
R00〜R08…抵抗素子
S…接触面
S1,S2…接触用電極
S21〜S25…制御信号
SW,SW0〜SW5…一対の接触用電極からなるスイッチ
SW11〜SW15…半導体スイッチ
T1〜T4,T00〜T03,T11〜T15,T21〜T25,T31,T32…端子
TT…ノード
Tx,Ty,Tz…検出値の出力端子
V,VV…空洞部
Vcc…電源電圧
X,Y,Z…三次元座標系の各座標軸
Claims (15)
- 可変抵抗要素を利用して、作用した外力の大きさを検出する機能をもった力検出装置であって、
板状の基板と、
この基板に対向する位置に配置され、少なくとも一部分が弾性変形を生じる材料からなり、外力の作用に基づく弾性変形により前記基板に対して変位する構造をなす弾性変形体と、
前記基板と前記弾性変形体との間に配置され、前記弾性変形体の変位によって加わる圧力に応じて所定の二点間の抵抗値が変化する性質をもつ可変抵抗要素と、
一対の接触用電極を有し、通常は前記一対の接触用電極間が電気的に絶縁状態を維持し、前記弾性変形体に所定の大きさ以上の外力が作用したときには、前記弾性変形体の変形により前記一対の接触用電極間が電気的に導通状態となるような切替機能を果たす切替要素と、
前記可変抵抗要素の前記二点間の抵抗値を電気信号として検出する検出回路と、
を備え、
前記検出回路が、前記二点間の抵抗値を電気信号として出力する検出機能を果たすことができる検出モードと、前記検出機能を果たすことはできないが前記検出モードよりも少ない消費電力で、前記検出モードへ移行するための待機状態を維持することができる待機モードと、の2つのモードを選択できるように構成され、前記一対の接触用電極間の電気的な状態が、絶縁状態である場合には前記待機モードが選択され、導通状態である場合には前記検出モードが選択されるように構成されており、
前記可変抵抗要素は、前記基板上に配置された4つの抵抗体と、前記弾性変形体の前記4つの抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された4つの接触用導電体と、を有し、前記基板の上面の中心位置に原点OをとったXY座標系を定義した場合に、第1の抵抗体はX軸正の領域に配置され、第2の抵抗体はX軸負の領域に配置され、第3の抵抗体はY軸正の領域に配置され、第4の抵抗体はY軸負の領域に配置されており、前記弾性変形体の変形により各接触用導電体の対向する各抵抗体に対する接触状態が変化し、
前記接触用導電体は、弾性変形する材料から構成され、少なくとも前記抵抗体に対する接触面は導電性を有しており、かつ、前記弾性変形体の変位によって加わる圧力に応じて前記抵抗体に対する接触面の面積が変化する形状を有しており、前記接触面の面積の変化に応じて、前記抵抗体上の「前記接触用導電体の接触位置」を挟む二点間の抵抗値が変化するように構成されており、
前記切替要素が、前記基板上に形成された一対の接触用電極と、前記一対の接触用電極の双方に同時に接触することにより前記一対の接触用電極間を導通させることができる仲介電極と、によって構成され、
前記一対の接触用電極は、前記XY座標系におけるX軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、Y軸負の領域のすべてに配置され、かつ、前記原点Oを中心として前記各抵抗体の外側位置に配置されており、
前記仲介電極は、前記弾性変形体の変位が生じる位置に形成され、通常は前記一対の接触用電極のいずれにも接触していないか、または、いずれか一方にのみ接触している状態を維持し、弾性変形体に所定の大きさ以上の外力が作用したときには、この弾性変形体の変形により、X軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、もしくはY軸負の領域において、前記一対の接触用電極の双方に同時に接触した状態となるように配置されており、
前記検出回路は、前記検出モードにおいて、前記各抵抗体の二点間の抵抗値に基づいて、前記弾性変形体に加わった外力のX軸方向成分およびY軸方向成分を検出することを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項1に記載の力検出装置において、
接触用導電体を、導電性ゴムによって構成したことを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 可変抵抗要素を利用して、作用した外力の大きさを検出する機能をもった力検出装置であって、
板状の基板と、
この基板に対向する位置に配置され、少なくとも一部分が弾性変形を生じる材料からなり、外力の作用に基づく弾性変形により前記基板に対して変位する構造をなす弾性変形体と、
前記基板と前記弾性変形体との間に配置され、前記弾性変形体の変位によって加わる圧力に応じて所定の二点間の抵抗値が変化する性質をもつ可変抵抗要素と、
一対の接触用電極を有し、通常は前記一対の接触用電極間が電気的に絶縁状態を維持し、前記弾性変形体に所定の大きさ以上の外力が作用したときには、前記弾性変形体の変形により前記一対の接触用電極間が電気的に導通状態となるような切替機能を果たす切替要素と、
前記可変抵抗要素の前記二点間の抵抗値を電気信号として検出する検出回路と、
を備え、
前記検出回路が、前記二点間の抵抗値を電気信号として出力する検出機能を果たすことができる検出モードと、前記検出機能を果たすことはできないが前記検出モードよりも少ない消費電力で、前記検出モードへ移行するための待機状態を維持することができる待機モードと、の2つのモードを選択できるように構成され、前記一対の接触用電極間の電気的な状態が、絶縁状態である場合には前記待機モードが選択され、導通状態である場合には前記検出モードが選択されるように構成されており、
前記可変抵抗要素は、前記基板上に配置された4つの下方抵抗体と、前記弾性変形体の前記4つの下方抵抗体にそれぞれ対向する位置に配置された4つの上方抵抗体と、を有し、前記基板の上面の中心位置に原点OをとったXY座標系を定義した場合に、第1の下方抵抗体はX軸正の領域に配置され、第2の下方抵抗体はX軸負の領域に配置され、第3の下方抵抗体はY軸正の領域に配置され、第4の下方抵抗体はY軸負の領域に配置されており、前記弾性変形体の変形により各上方抵抗体の対向する各下方抵抗体に対する接触状態が変化し、
前記下方抵抗体および前記上方抵抗体の少なくとも一方の他方に対向する表面部分が、弾性変形を生じる凹凸構造をなし、検出対象となる外力の作用によって加わる圧力に応じて前記下方抵抗体と前記上方抵抗体との接触面の面積が変化するように構成され、前記接触面の面積の変化に応じて、前記下方抵抗体側に接続された所定点と前記上方抵抗体側に接続された所定点との間の抵抗値が変化するように構成されており、
前記切替要素が、前記基板上に形成された一対の接触用電極と、前記一対の接触用電極の双方に同時に接触することにより前記一対の接触用電極間を導通させることができる仲介電極と、によって構成され、
前記一対の接触用電極は、前記XY座標系におけるX軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、Y軸負の領域のすべてに配置され、かつ、前記原点Oを中心として前記各下方抵抗体の外側位置に配置されており、
前記仲介電極は、前記弾性変形体の変位が生じる位置に形成され、通常は前記一対の接触用電極のいずれにも接触していないか、または、いずれか一方にのみ接触している状態を維持し、弾性変形体に所定の大きさ以上の外力が作用したときには、この弾性変形体の変形により、X軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、もしくはY軸負の領域において、前記一対の接触用電極の双方に同時に接触した状態となるように配置されており、
前記検出回路は、前記検出モードにおいて、4組の抵抗体対の所定点間の抵抗値に基づいて、前記弾性変形体に加わった外力のX軸方向成分およびY軸方向成分を検出することを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項3に記載の力検出装置において、
下方抵抗体および上方抵抗体を、感圧導電性インクによって構成したことを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の力検出装置において、
一対の接触用電極を、環状の第1電極と、この第1電極の外側に隣接配置された環状の第2電極と、によって構成し、
仲介電極を、前記第1電極と前記第2電極との双方に、いずれかの箇所で同時に接触可能な位置に形成したことを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の力検出装置において、
基板上に第1グループに所属する複数N個の電極と第2グループに所属する複数のN個の電極とを配置し、前記第1グループに所属する第i番目(1≦i≦N)の電極と前記第2グループに所属する第i番目の電極とがそれぞれ隣接するようにし、互いに隣接して配置された前記第1グループに所属する電極と前記第2グループに所属する電極とによって一対の接触用電極が構成されるようにし、合計N組からなる一対の接触用電極を形成したことを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項6に記載の力検出装置において、
基板上に定義された円周に沿って、第1グループに所属する電極と第2グループに所属する電極とを交互に配置し、
仲介電極を、弾性変形体側の「前記円周に対向する円周」に沿って形成したことを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の力検出装置において、
検出回路が、抵抗体の二点間に電圧を印加することにより当該二点間の抵抗値を検出する回路を有し、検出モードにおいては前記電圧を印加し、待機モードにおいては前記電圧を印加しない制御が行われることを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項8に記載の力検出装置において、
切替要素を構成する一対の接触用電極の導通/絶縁状態をON/OFFスイッチとして利用し、抵抗体の二点間への電圧印加が行われるように構成したことを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の力検出装置において、
剛性材料からなる操作盤を弾性変形体に取り付け、この操作盤に加えられた操作入力に基づいて弾性変形体に変位が生じるようにしたことを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項1〜10のいずれかに記載の力検出装置において、
弾性変形体が、基板上面に対してほぼ平行になるように配置された膜状部と、この膜状部の周囲を前記基板上面に固定するための側壁部と、前記膜状部の下面の所定の複数箇所から下方に伸びた柱状突起と、を有し、少なくとも前記膜状部の一部および前記柱状突起が弾性材料によって構成されていることを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項11に記載の力検出装置において、
弾性変形体を、一体成型されたゴムによって構成したことを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の力検出装置において、
基板と弾性変形体との間に挿入され、基板上面の中心付近に伏せるように配置されたドーム状構造体を更に有することを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 請求項13に記載の力検出装置において、
ドーム状構造体が、頂点付近に対して所定の大きさ以上の下方への押圧力を加えると、前記頂点付近が弾性変形して下に凸となるように形状反転を起こす性質を有し、かつ、少なくとも下面から底周面にかけた部分が導電性接触面を構成しており、
基板上面の、前記ドーム状構造体が形状反転を起こした際に頂点付近の下面に接触可能な位置に配置された第1のクリック用電極と、
基板上面の、前記ドーム状構造体の底周面に接触する位置に配置された第2のクリック用電極と、
を更に備え、
検出回路が、前記第1のクリック用電極と前記第2のクリック用電極との導通状態を電気的に検出することによりクリック入力の検出が行えるように構成したことを特徴とする可変抵抗要素を用いた力検出装置。 - 所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、所定方向への操作量を示す操作入力を行うための電子機器用入力装置であって、請求項1〜14のいずれかに記載の力検出装置を含み、この力検出装置によって検出された外力を操作量として取り扱うことを特徴とする電子機器用入力装置。
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