JP4566440B2 - 電子機器用入力装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器用入力装置に関し、特に、携帯電話やゲーム遊戯装置など、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、ON/OFF状態を示すスイッチ入力および所定方向への操作量を示す操作入力を行うための入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話やゲーム遊戯装置などの電子機器では、利用者による所定の操作入力を受け付け、この操作入力に基づいてプログラムが進行する。通常、この種の操作入力は、ディスプレイ画面上に表示されるカーソルやその他の指標を見ながら行うことが多く、上下左右の4方向あるいは斜めも含めた8方向の方向を示す入力が求められるのが一般的である。このような方向性をもった入力を行うために、いわゆるジョイスティックと呼ばれているタイプの装置が利用されている。この種の装置は、通常、二次元力センサを内蔵しており、加えられた力のX軸方向成分およびY軸方向成分をそれぞれ別個に検出することにより、加えられた操作入力の方向と操作量とを検出することになる。たとえば、X軸方向成分が+5であるような操作入力は、右方向に5という操作量を示し、Y軸方向成分が−8であるような操作入力は、下方向に8という操作量を示すことになる。もちろん、X軸方向成分とY軸方向成分とを合成する演算を行うことにより、斜め方向に加えられた操作入力の検出も可能である。
【0003】
また、携帯電話やゲーム遊戯装置などの電子機器では、上述したような方向性をもった操作入力とともに、スイッチ入力が要求される。このスイッチ入力は、ON/OFFの二値状態を示す入力であり、通常はOFF状態を示しているが、操作者が所定の押圧力を加えるとON状態を示すような入力になる。このようなスイッチ入力は、いわゆるクリック操作として行われ、操作者に対してクリック操作を行ったという感触(いわゆるクリック感)を与えることが重要になる。そのためには、ある程度のストロークを確保するとともに指先から加えられる押圧力に対する反力を作用させる必要がある。このようなクリック感をもったON/OFF入力を行うのに適したスイッチとして、ゴムや金属などの弾性材料の弾力性を利用したスイッチが一般的に用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、携帯電話やゲーム遊戯装置などの電子機器では、所定方向への操作量を示す操作入力とともに、スイッチ入力が必要になる。従来から、このような2系統の入力を取り扱うための装置として、種々のタイプのものが利用されてきている。そして、スイッチ入力に関しては、上述したように、クリック感を与えるための工夫がなされている。しかしながら、所定方向への操作量を示す操作入力に対しては、このようなクリック感を与えるための工夫はなされていない。このため、操作者の立場からは、有意な操作入力を与えることができたのか否かが不明確であった。
【0005】
そこで本発明は、スイッチ入力と所定方向への操作量を示す操作入力と、の2系統の入力のいずれについても、有意な入力を与えることができたか否かを操作者に認識させることが可能な電子機器用入力装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、ON/OFF状態を示すスイッチ入力および所定方向への操作量を示す操作入力を行うための入力装置において、
板状の基板と、
基板上面の中心付近に伏せるように配置され、頂点付近に対して所定の大きさ以上の下方への押圧力を加えると、頂点付近が弾性変形して下に凸となるように形状反転を起こす性質を有し、かつ、少なくとも頂点付近の下面が導電性接触面を構成している中央部ドーム状構造体と、
基板上面の周囲付近に伏せるように配置され、頂点付近に対して所定の大きさ以上の下方への押圧力を加えると、頂点付近が弾性変形して下に凸となるように形状反転を起こす性質を有し、かつ、少なくとも頂点付近の上面および下面が互いに導通した導電性材料により構成されている周囲部ドーム状構造体と、
基板上面に対して中央部ドーム状構造体および周囲部ドーム状構造体を挟んでほぼ平行になるように配置された膜状部と、この膜状部の周囲を基板上面に固定するための側壁部と、を有し、少なくとも膜状部の一部が弾性材料によって構成されている弾性変形体と、
操作入力またはスイッチ入力を受けて弾性変形体に弾性変形を起こさせることができるように弾性変形体の上面に配置された操作盤と、
基板上面の「中央部ドーム状構造体が形状反転を起こした際に導電性接触面に接触可能な位置」に配置された内側電極と、
基板上面の「周囲部ドーム状構造体が形状反転を起こした際に反転部分に接触可能な位置」に配置された外側電極と、
基板上面の「内側電極と外側電極とのほぼ中間に位置する中間領域部」の所定箇所に配置された中間電極と、
弾性変形体の下面の「中間電極に対向した領域」および「外側電極に対向した領域」に形成され、各部が電気的に同電位となるように構成された変位導電層と、
中間電極と変位導電層との電気的接触を阻むための絶縁層と、
を設け、
操作盤に対して下方へのスイッチ入力が加えられた場合に、中央部ドーム状構造体が形状反転を起こすことにより導電性接触面と内側電極とが接触し、この接触状態を電気的に検出することによりON/OFF状態の検出が行えるように構成し、
操作盤に対して所定方向への操作量を示す操作入力が加えられた場合に、周囲部ドーム状構造体に下方への押圧力が作用し、加えられた操作入力の大きさが所定のしきい値を超えたときに、周囲部ドーム状構造体が形状反転を起こして反転部分が外側電極に接触し、周囲部ドーム状構造体を介して、変位導電層と外側電極とが電気的に導通した状態となるように構成し、かつ、加えられた操作入力の大きさに応じて、中間電極と変位導電層の対向部分とによって構成される容量素子の電極間隔が変化するように構成し、外側電極と中間電極との間の電気的特性に基づいて容量素子の静電容量値を求めることにより、加えられた操作量の検出が行えるように構成したものである。
【0007】
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る電子機器用入力装置において、
操作盤に対して垂直下方への力を徐々に増加させていった場合に、中央部ドーム状構造体の形状反転が、周囲部ドーム状構造体の形状反転よりも先行して生じるように、各部の寸法設定を行うようにしたものである。
【0008】
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係る電子機器用入力装置において、
弾性変形体の一部として、その膜状部下面に、中央部ドーム状構造体もしくは周囲部ドーム状構造体またはその双方の頂点付近を押圧するための柱状突起を設けるようにしたものである。
【0009】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第1〜第3の態様に係る電子機器用入力装置において、
弾性変形体の一部として、その膜状部上面に、操作盤の外周部分に接触し、弾性材料からなる隆起部を形成するようにしたものである。
【0010】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係る電子機器用入力装置において、
操作盤を円盤状とし、隆起部を円環状隆起部としたものである。
【0011】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第5の態様に係る電子機器用入力装置において、
円環状隆起部の内径が操作盤の外径よりも小さくなり、円環状隆起部の外径が操作盤の外径よりも大きくなるように設定したものである。
【0012】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1〜第6の態様に係る電子機器用入力装置において、
複数組の周囲部ドーム状構造体を、基板上面の「操作盤の外周部分に対向する外周対向部」の所定箇所に配置するようにしたものである。
【0013】
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第7の態様に係る電子機器用入力装置において、
基板の上面中心位置に原点をとり、基板上面がXY平面に含まれるようにXYZ三次元座標系を定義したときに、X軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、Y軸負の領域にそれぞれ周囲部ドーム状構造体を配置するようにしたものである。
【0014】
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第8の態様に係る電子機器用入力装置において、
X軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、Y軸負の領域にそれぞれ配置された4枚の電極によって中間電極を構成し、
X軸正の領域に配置された中間電極とこれに対向する変位導電層の一部とによって第1の容量素子が形成され、X軸負の領域に配置された中間電極とこれに対向する変位導電層の一部とによって第2の容量素子が形成され、Y軸正の領域に配置された中間電極とこれに対向する変位導電層の一部とによって第3の容量素子が形成され、Y軸負の領域に配置された中間電極とこれに対向する変位導電層の一部とによって第4の容量素子が形成されるようにし、
第1の容量素子の静電容量値と第2の容量素子の静電容量値との差に基づいてX軸正または負方向への操作量の検出を行い、第3の容量素子の静電容量値と第4の容量素子の静電容量値との差に基づいてY軸正または負方向への操作量の検出を行うことができるようにしたものである。
【0015】
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第1〜第9の態様に係る電子機器用入力装置において、
弾性変形体を、一体成型されたゴムによって構成するようにしたものである。
【0016】
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第10の態様に係る電子機器用入力装置において、
変位導電層を、一体成型されたゴムの表面に塗布した導電性塗料からなる層によって構成するようにしたものである。
【0017】
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第1〜第11の態様に係る電子機器用入力装置において、
操作盤を剛性材料により構成するようにしたものである。
【0018】
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第12の態様に係る電子機器用入力装置において、
操作盤の下面中心部に、中央部ドーム状構造体の頂点付近に押圧力を加えるための押圧棒を設けるようにしたものである。
【0019】
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第13の態様に係る電子機器用入力装置において、
弾性変形体の膜状部の上面中心付近に、押圧棒と嵌合する嵌合孔を設け、押圧棒を嵌合孔に嵌合させ、嵌合孔の内面と押圧棒の外面との摩擦力によって、弾性変形体と操作盤との接続状態が維持されるようにしたものである。
【0020】
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第1〜第14の態様に係る電子機器用入力装置において、
操作盤の底面外周から外方へと突き出す鍔部を設け、この鍔部に当接することにより操作盤の変位を制限するひさし部を基板上に固定するようにしたものである。
【0021】
(16) 本発明の第16の態様は、上述の第1〜第15の態様に係る電子機器用入力装置において、
内側電極を基板上面の中心付近に形成された電極層によって構成し、内側電極と中間電極との間に、内側電極の周囲を取り囲むように配置された仲介電極を設け、
少なくとも表面部分が導電性材料からなる中央部ドーム状構造体を、その底周面が仲介電極に接触するように配置し、仲介電極と内側電極との間の導通状態を電気的に検出することにより、ON/OFF状態の検出を行うことができるようにしたものである。
【0022】
(17) 本発明の第17の態様は、上述の第1〜第15の態様に係る電子機器用入力装置において、
内側電極を、物理的に分離された一対の電極から構成し、中央部ドーム状構造体の下面に形成された導電性接触面が、一対の内側電極の双方に同時に接触することにより、一対の内側電極が導通状態となるように構成し、一対の内側電極間の導通状態を電気的に検出することにより、ON/OFF状態の検出を行うことができるようにしたものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0024】
§1.本発明に係る電子機器用入力装置の基本構造
はじめに、本発明の基本的な実施形態に係る電子機器用入力装置の基本構造を説明する。図1は、この電子機器用入力装置を分解して各構成要素を示した分解側断面図である。図示のとおり、この電子機器用入力装置は、操作盤10、弾性変形体20、ドーム状構造体30、基板40を用いて構成される。実際には、この入力装置は、基板40の上にドーム状構造体30を5組配置し(配置場所については後述)、その上を弾性変形体20によって覆い、更にその上に操作盤10を取り付けることにより構成されることになる。この入力装置は、携帯電話やゲーム遊戯装置など、所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器用の入力装置として利用するのに適しており、ON/OFF状態を示すスイッチ入力および所定方向への操作量を示す操作入力を行うことができる。
【0025】
操作盤10は、弾性変形体20の上面に配置され、操作者の動作に基づいて加えられた力を弾性変形体20へと伝達し、弾性変形体20に弾性変形を起こさせる機能を有している。図2は、この操作盤10の上面図、図3は、この操作盤10の下面図である。図示のとおり、操作盤10は全体として円盤状をしており、この実施形態の場合、プラスチックなどの樹脂で構成されている。上述したように、操作盤10は、弾性変形体20に対して力を伝達させる機能を果たすことができれば、どのような形状のものでもかまわないが、種々の方向に関する操作量を入力するには、円盤状のものが適している。また、操作者の操作を確実に弾性変形体20に伝達するためには、樹脂や金属などの剛性材料によって構成するのが好ましい。図示の実施形態の場合、操作盤10は、図2に示すように、操作部分11、土手部分12、外周部分13の3つの部分から構成されており、その下面には、図3に示すように円柱状の押圧棒14が突き出している。操作部分11は、操作者の指にフィットするように、土手部分12の内側に形成された滑らかな窪み部分であり、外周部分13は、土手部分12の外側に形成されたテーパ部である。また、押圧棒14は、後述するように、ON/OFF状態を示すスイッチ入力を効果的に行うためのものであり、ドーム状構造体30の頂点付近に対して、操作者からの垂直下方に向けた力を効果的に伝達させる機能を果たす。
【0026】
弾性変形体20は、この実施形態の場合、一体成型されたシリコンゴムによって構成されている。図4は、この弾性変形体20の上面図、図5は、この弾性変形体20の下面図である。図示のとおり、この弾性変形体20は平面的にはほぼ正方形状をしている。その基本構成要素は、図1の側断面図に示されているように、内側膜状部21、円環状隆起部22、外側膜状部23、側壁部24、固定脚部25、柱状突起P1,P2である。図4に示すように、内側膜状部21と外側膜状部23とは、この弾性変形体20の正方形状の上面全体を形成する膜状の構造体であるが、ここでは、説明の便宜上、円環状隆起部22の内側部分を内側膜状部21と呼び、外側部分を外側膜状部23と呼ぶことにする。この膜状部21,23は、後述するように、基板40の上面に対して、5組のドーム状構造体30を挟んでほぼ平行になるように配置されることになる。円環状隆起部22は、この膜状部の上面に形成された円環状の隆起部分であり、内側膜状部21の上面部分は、周囲をこの円環状隆起部22によって囲まれた状態になる。この実施形態では、円環状隆起部22は、断面が矩形のいわばワッシャ状の構造体となっているが、これは、その上面に配置される操作盤10からの力を効率よく受けることができるようにするための配慮である。
【0027】
一方、側壁部24は、外側膜状部23の周囲を、基板40の上面に固定する機能を果たしている。正方形状をした膜状部21,23は、その四辺を側壁部24によって支持され、基板40の上面に対してほぼ平行な状態を保つことになる。図5の下面図に示されているとおり、弾性変形体20の下面の4隅には、それぞれ円柱状の固定脚部25が下方へと伸びている。この4本の固定脚部25は、基板40の上面の4か所に形成された固定孔部41(図1参照)に挿入される。かくして、弾性変形体20は、基板40上の所定位置に固定される。
【0028】
また、図5に示されているように、膜状部21,23の下面には、下方へと伸びる円柱状の柱状突起P1,P2が形成されている。中央に形成された中央部柱状突起P1は、基板40の中央部に配置されるドーム状構造体30の頂点付近を押圧するためのものであり、周囲の4か所に形成された周囲部柱状突起P2は、基板40の周囲部に配置される4組のドーム状構造体30の頂点付近を押圧するためのものである。各柱状突起P1,P2の側面形状は、図1の側断面図に明瞭に示されている。この図1の側断面図に示されているとおり、周囲部柱状突起P2は、円環状隆起部22の真下の位置に形成されている。
【0029】
この弾性変形体20に付随する重要な構成要素は、膜状部下面の所定領域に形成された変位導電層26である。図6は、この変位導電層26の形成領域を示すための弾性変形体20の下面図である。図においてハッチングを施して示した領域に、変位導電層26が形成されている。上述したように、弾性変形体20の下面には、柱状突起P1,P2が形成されているが、中央部柱状突起P1の底面および側面には、変位導電層26が形成されておらず、4か所に設けられた周囲部柱状突起P2の底面および側面には、変位導電層26が形成されている。別言すれば、変位導電層26は、中央部柱状突起P1の直径を内径とし、弾性変形体20の中心点から周囲部柱状突起P2の最遠点に至るまでの距離を外半径とする、ドーナツ状の領域(図6にハッチングを施した領域)に単一の導電層として形成されていることになる。したがって、中央部柱状突起P1の表面はシリコンゴムがそのまま露出しており、導電層は形成されていないが、4組の周囲部柱状突起P2の表面(底面および側面)は、導電層によって覆われている。
【0030】
具体的には、この変位導電層26は、弾性変形体20の下面の所定領域に塗布した導電性材料からなる層によって構成することができる。上述したように、この実施形態では、弾性変形体20は一体成型されたシリコンゴムによって構成されているので、周囲部柱状突起P1,P2を含めた図示のような構造体をシリコンゴムによって一体成型した後、その下面の一部の領域(図6にハッチングを施した領域)に、導電性塗料を塗布して乾燥させれば、変位導電層26を形成することができる。なお、この変位導電層26の厚みは、弾性変形体20の各部の厚みに比較して小さいため、側断面図においては、変位導電層26は示されていない。
【0031】
一方、ドーム状構造体30は、図1の側断面図にも示されているとおり、伏せたカップの形状をした構造体であり、合計5組が、基板40の上面の所定位置に伏せるように配置される。図7は、このドーム状構造体30の上面図である。ドーム状構造体30の形状は特に限定されるものではないが、一般的には、図示のように平面形状が円形であるドーム状構造体30を用いるのが好ましい。このドーム状構造体30は、頂点付近に対して所定の大きさ以上の下方への押圧力を加えると、その頂点付近が弾性変形して下に凸となるように形状反転を起こす性質を有している。図8は、このような形状反転の状態を示す側断面図である。図8(a) は、何ら外力が加わっていない状態を示し、図8(b) は、頂点付近に対して下方への押圧力Fが加わり、頂点付近が弾性変形して下に凸となるような形状反転を起こした状態を示す。もちろん、この形状反転は弾性変形であるから、押圧力Fがなくなれば、ドーム状構造体30は元通り、図8(a) に示す状態に戻ることになる。
【0032】
このドーム状構造体30の形状反転は、操作者によるスイッチ入力および所定方向への操作入力に利用される。このため、ドーム状構造体30の少なくとも頂点付近の下面部分は、導電性接触面31を構成している必要がある。すなわち、図8(b) に示すように、頂点付近が形状反転を起こしたときに、導電性接触面31が基板40側に設けられた電極と接触したことを電気的に検出できるようにしておく必要がある。なお、基板40の中央部に配置される中央部ドーム状構造体30については、このように、少なくとも頂点付近の下面に導電性接触面31が形成されていれば足りるが、基板40の周囲部に配置される4組の周囲部ドーム状構造体30については、上面にも、前述した変位導電層26と接触するための導電性接触面が形成されている必要があり、かつ、下面の導電性接触面31と上面の導電性接触面とが電気的に導通している必要がある。要するに、4組の周囲部ドーム状構造体は、少なくとも、頂点付近の上面および下面が、それぞれ導電性材料から構成されており、これらが互いに導通している必要がある。このような条件を満たすためには、全体が導電性材料で構成されたドーム状構造体30を用いるのが最も簡単である。本実施形態では、金属製のドームをドーム状構造体30として用いている。一般に、金属材料によりドーム状の構造体を構成すれば、上述したような形状反転が生じ、しかも全表面が導電性接触面として機能するドームを実現することができる。もっとも、ドーム状構造体30は必ずしも金属製にする必要はない。たとえば、樹脂などによってドーム状構造体を作成し、その表面の必要な箇所に導電性材料膜を付着させることにより、導電性接触面を形成するようにしてもかまわない。
【0033】
続いて、基板40の構成を説明する。基板40の基本的な機能は、前述した各構成要素を載せてこれを支持する機能と、各電極を形成するための基準面を提供する機能である。図9に、基板40の上面図を示す。図に示されている4つの固定孔部41は、前述したように、弾性変形体20の固定脚部25を挿入するために、基板40の上面に掘られた穴である。基板40の上面には、図示のように、電極E11〜E16,E21〜E24が形成されている。ここでは、これら各電極を、その配置位置あるいはその機能に基づいて、中間電極E11〜E14、内側電極E15、仲介電極E16、外側電極E21〜E24と呼ぶことにする。
【0034】
最も外側に形成された4組の外側電極E21〜E24は、いずれも円形をした電極であり、操作盤10の外周部分に対向する外周対向部(操作盤10の外側輪郭線を基板40上に投影した基板上面の部分)の所定箇所に形成されている。すなわち、図9に示す基板40の上面中心位置に原点O、図の右方向にX軸、図の上方向にY軸をそれぞれとり、基板上面がXY平面に含まれるようにXYZ三次元座標系を定義した場合、X軸正の領域に外側電極E21、X軸負の領域に外側電極E22、Y軸正の領域に外側電極E23、Y軸負の領域に外側電極E24が形成されていることになる。この実施形態の場合、操作盤10は円盤状をしているので、その外周円に対向する外周対向部も円形部分となり、図示のとおり、4組の外側電極E21〜E24は、操作盤10の外周円を基板40上に投影した円周上に配置されている。別言すれば、4組の外側電極E21〜E24は、4組の周囲部柱状突起P2の真下に配置されていることになる。この外側電極E21〜E24の役割は、操作者から操作盤10に対して所定方向に関する操作入力が加えられ、弾性変形体20が変形を生じ、周囲部柱状突起P2によって周囲部に配置されたいずれかのドーム状構造体30が形状反転を生じた際に、この形状反転を生じたドーム状構造体30の導電性接触面31と接触することにより、加えられた操作入力が所定の大きさ以上であることを検知することにある。
【0035】
各外側電極E21〜E24の内側には、それぞれ中間電極E11〜E14が配置されている。これら中間電極E11〜E14は、内側電極E15と外側電極E21〜E24とのほぼ中間に位置する中間領域部の所定箇所に配置された電極であり、操作者から加えられた方向性をもった操作入力を検出するのに適した位置に配置されている。すなわち、操作者から、X軸正方向、X軸負方向、Y軸正方向、Y軸負方向を示す操作入力が加えられた場合に、これらの検出を効率的に行うことができるように、X軸正の領域に中間電極E11、X軸負の領域に中間電極E12、Y軸正の領域に中間電極E13、Y軸負の領域に中間電極E14が形成されている。これら各中間電極E11〜E14の役割は、その上方に位置する変位導電層26と組み合わせることによって、容量素子を形成することにある。すなわち、図6にハッチングを施して示すように、弾性変形体20の膜状部の下面には、変位導電層26が形成されており、各中間電極E11〜E14と、これに対向する変位導電層26の各部分と、によって、合計4組の容量素子が形成されることになる。具体的には、X軸正の領域に配置された中間電極E11とこれに対向する変位導電層26の一部とによって第1の容量素子が形成され、X軸負の領域に配置された中間電極E12とこれに対向する変位導電層26の一部とによって第2の容量素子が形成され、Y軸正の領域に配置された中間電極E13とこれに対向する変位導電層26の一部とによって第3の容量素子が形成され、Y軸負の領域に配置された中間電極E14とこれに対向する変位導電層26の一部とによって第4の容量素子が形成される。
【0036】
図9において、これら中間電極E11〜E14の更に内側、すなわち、基板40の中心近傍には、内側電極E15と仲介電極E16とが形成されている。内側電極E15は、基板40の中心に配置された円形の電極であり、仲介電極E16は、その周囲を取り囲むように配置された円環状(ワッシャ状)の電極である。仲介電極E16の外径は、ドーム状構造体30の外径とほぼ等しくなるように設定されており、後述するように、この仲介電極E16の上に、中央部ドーム状構造体30が配置される。この実施形態では、金属製のドーム状構造体30が用いられているため、仲介電極E16とその上に配置された中央部ドーム状構造体30とは電気的に接触し等電位になる。この内側電極E15と仲介電極E16とが果たす役割は、操作者が操作盤10に対して加えたスイッチ入力、すなわち、垂直下方への押圧力を検出することにある。図8(b) に示すように、ドーム状構造体30の頂点付近に対して垂直下方への押圧力Fが加わると、ドーム状構造体30は形状反転することになり、ドーム状構造体30の下面の導電性接触面31が内側電極E15に接触する。したがって、内側電極E15と仲介電極E16との間の電気的導通状態を検出することにより、スイッチ入力のON/OFF状態を検出することができる。
【0037】
図10は、図9に示す基板40の上面の所定箇所に、図7に示すドーム状構造体30を5組配置した状態を示す上面図である。実際には、各ドーム状構造体30は、基板40の上面に接着剤や接着テープなどを利用して固定される。図示のとおり、合計5組のドーム状構造体30のうち、1組は基板40の中央部に配置され、残りの4組は基板40の周囲部に配置される。本実施形態では、5組のドーム状構造体30として、全く同一の構造体を用いているが、ここでは便宜上、図示のとおり、基板40の中央部に配置されたものを中央部ドーム状構造体30−0、周囲部のX軸正領域に配置されたものを周囲部ドーム状構造体30−1、周囲部のX軸負領域に配置されたものを周囲部ドーム状構造体30−2、周囲部のY軸正領域に配置されたものを周囲部ドーム状構造体30−3、周囲部のY軸負領域に配置されたものを周囲部ドーム状構造体30−4と呼ぶことにする。中心部ドーム状構造体30−0は、Z軸が中心軸となるように、仲介電極E16の上に配置される。一方、4組の周囲部ドーム状構造体30−1〜30−4は、それぞれ外側電極E21〜E24を中心とする位置に配置される。
【0038】
このように、基板40の上面には、内側電極E15および仲介電極E16、中間電極E11〜E14、外側電極E21〜E24の3通りの電極が形成されているが、各電極はそれぞれの機能を考慮して、次のような位置に配置されていることになる。まず、内側電極E15は、基板40の上面の「中央部ドーム状構造体30−0が形状反転を起こした際に、その頂点付近の下面に形成された導電性接触面31に接触可能な位置」に配置されていることになる。また、仲介電極E16は、この内側電極E15を取り囲むように配置され、その上に、中央部ドーム状構造体30−0が載せられる。ここで、中央部ドーム状構造体30−0として、少なくとも表面部分が導電性材料からなる構造体を用いれば、その底周面が仲介電極E16と電気的に導通した状態になるので、上述したように、内側電極E15と仲介電極E16との間の導通状態を電気的に検出することにより、スイッチ入力のON/OFF状態を検出することができるようになる。一方、外側電極E21〜E24は、基板40の上面の「周囲部ドーム状構造体30−1〜30−4が形状反転を起こした際に、その頂点付近の下面に形成された導電性接触面31に接触可能な位置」に配置されていることになる。また、中間電極E11〜E14は、基板40の上面の「内側電極E15と外側電極E21〜E24とのほぼ中間に位置する中間領域部」の所定箇所に配置されていることになる。
【0039】
本実施形態では、基板40を電子回路実装用のプリント基板によって構成し、各電極を、このプリント基板上に形成した銅などのプリントパターンによって構成している。このように、基板40を回路用プリント基板で構成すれば、プリントパターンによって基板40上に種々の配線を施すことができるので、実用上は便利である。
【0040】
以上、図1に示す各構成要素の構造の詳細を述べたが、実際の電子機器用入力装置は、これら各構成要素を積み重ねることにより構成される。すなわち、基板40の所定箇所に5組のドーム状構造体30−0〜30−4を載置し、これを覆うように弾性変形体20を載せ(固定脚部25を固定孔部41に挿入して固定する)、その上に操作盤10を接着することにより、図11の側断面図に示すような電子機器用入力装置が形成される。
【0041】
この側断面図には示されていないが、弾性変形体20の下面には、図6にハッチングを施して示したように、変位導電層26が形成されている。この変位導電層26は、上述した基板40上の各電極と協働して、次の2つの機能を果たす。まず、第1の機能は、変位導電層26のうちの周囲部柱状突起P2の下面に形成された部分により、変位導電層26を基板40上の外側電極E21〜E24と同電位にする機能である。たとえば、図11において、操作盤10の左側部分を押下するような操作量が加わると、図の左側の周囲部柱状突起P2によって、図の左側の周囲部ドーム状構造体30−2の頂点部分に押圧力が加わる。この押圧力が所定の大きさを超えると、周囲部ドーム状構造体30−2に形状反転が生じ、反転部分が外側電極E22と接触する。このとき、周囲部柱状突起P2の下面に形成された変位導電層26の一部分は、周囲部ドーム状構造体30−2の上面に接触した状態となっているので、この周囲部ドーム状構造体30−2を介して、外側電極E22と導通状態になる。かくして、変位導電層26は、外側電極E22と同電位になる。そして、第2の機能は、変位導電層26のうちの各中間電極E11〜E14に対向した部分によって、各中間電極E11〜E14とともに容量素子を構成する機能である。変位導電層26が果たすこの2つの機能を用いた検出動作については、§2において詳述する。
【0042】
結局、原理的には、弾性変形体20の下面の「外側電極E21〜E24に対向した領域」に形成された第1の導電層と、弾性変形体20の下面の「中間電極E11〜E14に対向した領域」に形成された第2の導電層と、によって変位導電層を構成し、この第1の導電層と第2の導電層とが電気的に同電位となるような配線を施しておけばよい。ただ、実用上は、図6にハッチングを施したドーナツ状の領域に形成された物理的に単一の導電層によって変位導電層26を構成すれば、単純な導電パターンによって変位導電層26を実現することができるので好ましい。
【0043】
なお、図には示されていないが、各中間電極E11〜E14は、絶縁層によって覆われており、その上面に弾性変形体20側の変位導電層26の一部が接触したとしても、各中間電極E11〜E14と変位導電層26とが電気的に導通することはない。これは、各中間電極E11〜E14を接触電極として機能させるのではなく、容量素子を構成する一方の電極として機能させるための配慮である。これに対して、内側電極E15,仲介電極E16,外側電極E21〜E24は、ドーム状構造体30と電気的に接触することができるように導電面が露出している。
【0044】
§2.本発明に係る電子機器用入力装置の基本動作
続いて、図11に示す電子機器用入力装置の基本動作を説明する。ここでは便宜上、図9あるいは図10に示すように、基板40の上面中心位置に原点O、図の右方向にX軸、図の上方向にY軸をそれぞれとり、基板上面がXY平面に含まれるようにXYZ三次元座標系を定義して、以下の説明を行うことにする。図11は、この装置をXZ平面で切断した側断面図であり、図の右方向にX軸、図の上方向にZ軸、図の紙面に垂直方向にY軸が定義される。
【0045】
既に述べたように、本発明に係る入力装置は、任意の電子機器に対して、ON/OFF状態を示すスイッチ入力(いわゆるクリック入力)と、所定方向への操作量を示す操作入力と、を行うための装置である。ここで、操作者は、これらの入力を操作盤10に対して行うことになるが、基本的には、スイッチ入力を行う場合には、操作盤10の中央部分に指を当てて下方(Z軸負方向)へと押し込む動作を行い、所定方向への操作入力を行う場合には、操作盤10を斜め下方へと押し込む動作を行うことになる。
【0046】
図12は、操作者がスイッチ入力を行ったときの各部の変形状態を示す側断面図である。操作盤10に対して図の下方への押圧力(Z軸負方向への力という意味でFz−と呼ぶ)が加わると、この押圧力Fz−によって、押圧棒14が下方へと変位し、内側膜状部21ごしに中央部ドーム状構造体30−0の頂点部分に下方への力が加わることになる。ドーム状構造体30は、頂点付近に対して所定の大きさ以上の下方への押圧力が加わると、頂点付近が弾性変形して下に凸となるように形状反転を起こす性質を有しているので、押圧力Fz−の大きさが所定の臨界値を超えると、図示のとおり、中央部ドーム状構造体30−0の頂点付近が形状反転を起こすことになる。すなわち、操作者が下方への押圧力Fz−を徐々に強めてゆくと、中央部ドーム状構造体30−0が急に潰れて図示の状態になり、操作者の指先にはクリック感が伝わる。このとき、弾性材料から構成されている各柱状突起P1,P2や円環状隆起部22も、弾性変形して縦方向に若干潰れることになる。
【0047】
こうして、中央部ドーム状構造体30−0が形状反転を起こすと、図12に示されているように、この中央部ドーム状構造体30−0の導電性接触面31が内側電極E15に接触することになるため、内側電極E15と仲介電極E16とが電気的に導通状態になる。操作者が、押圧動作を中止すると、中央部ドーム状構造体30−0がもとの状態に復帰し、装置は図11の状態に戻ることになる。この状態では、内側電極E15と仲介電極E16とは絶縁されている。結局、内側電極E15と仲介電極E16との間の電気的な接続状態を検出することにより、ON/OFF状態を示すスイッチ入力の検出が可能になり、いわゆるクリック入力の検出が可能になる。
【0048】
続いて、操作者が所定方向への操作量を示す操作入力を行った場合を考えてみる。このような操作入力は、通常、上下左右の4方向あるいは斜めも含めた8方向への操作量を示す入力として与えられる。ここに示す実施形態では、図9に示す4枚の中間電極E11〜E14(上面は絶縁層で覆われている)と、これに対向する変位導電層26とによって、合計4組の容量素子が形成されており、これら4組の容量素子の静電容量値に基づいて、各方向への操作量を検出することができる。
【0049】
たとえば、操作者が、操作盤10に対して、X軸負方向への力を含む斜め下方への力を加える操作を行ったとしよう。ここでは、このような操作により加えられる力をFx−と呼ぶことにする。図13は、操作者がこのような操作力Fx−(必ずしも操作盤10の中心位置に加える必要はなく、実際には図示のようにやや左へ変位した部分に加えられることが多い)を加えたときの各部の変形状態を示す側断面図である。操作力Fx−は、斜め下方への力成分であるため、図の下方への力成分(Z軸負方向成分)も含んでいることになるが、この下方への力成分は、中央部ドーム状構造体30−0に対してよりも、操作入力が示す方向(X軸負方向)に配置された周囲部ドーム状構造体30−2に対してより大きく作用する。このため、操作力Fx−がある程度以上の大きさで加わると、まず、周囲部ドーム状構造体30−2に対して形状反転を生じさせるような押圧力が作用し、中央部ドーム状構造体30−0は形状反転には至らない。したがって、操作盤10は、図13に示すように、左側が下がり右側が上がるように傾斜する。このとき、弾性材料から構成されている図の左側の周囲部柱状突起P2や円環状隆起部22の図の左側部分も、弾性変形して縦方向に若干潰れることになる。なお、図13に示す斜め下方への操作力Fx−の代わりに、操作盤10の図の左側近傍位置に垂直下方への操作力FFx−を加えた場合にも同じような現象が起こる。本発明において、「X軸負方向への操作量を示す操作入力」と言った場合、操作力Fx−のように斜め下方への操作入力だけでなく、操作力FFx−のように、X軸負方向に変位した位置を垂直下方に押し込むような操作入力も含んでおり、操作力FFx−は操作力Fx−と等価な操作入力である。
【0050】
もちろん、図13に示すように、周囲部ドーム状構造体30−2に対して形状反転を生じさせるためには、操作者は、所定の臨界値を超える大きさをもった操作力Fx−(またはFFx−、以下同様)を操作盤10に対して加える必要がある。別言すれば、操作者がX軸負方向への操作力Fx−を徐々に増加させてゆき、その大きさが所定の臨界値を超えた時点で、図示のとおり、周囲部ドーム状構造体30−2が形状反転を起こして潰れることになる。このとき、操作者の指先にはクリック感が伝わることになる。このように、操作者の指先にクリック感が伝わったときには、既に、周囲部ドーム状構造体30−2が形状反転を起こして潰れており、外側電極E22と周囲部ドーム状構造体30−2とが導通状態となっている。もちろん、このとき、周囲部ドーム状構造体30−2の反転した上面には、周囲部柱状突起P2の底面(変位導電層26が形成されている)が押しつけられており、変位導電層26と周囲部ドーム状構造体30−2とも導通状態となっている。
【0051】
結局、ある程度以上の大きさの操作力Fx−が加わると、図13に示すように、図の左端にある周囲部柱状突起P2の下端面(変位導電層)が、周囲部ドーム状構造体30−2を介して外側電極E22に電気的に接続され、変位導電層26全体が外側電極E22と同電位になる。この状態から、更に操作力Fx−を強くしてゆけば、図14に示すように、図の左側の周囲部柱状突起P2や円環状隆起部22の図の左側部分は、更に潰れるように弾性変形し、周囲部ドーム状構造体30−2も全体形状がより平坦になるように潰れた状態になる。そして、最後には、図15に示すように、図の左側の周囲部柱状突起P2や円環状隆起部22の図の左側部分は、完全に潰れた状態になり、周囲部ドーム状構造体30−2も完全に潰れた状態になる。なお、既に述べたように、中間電極E11〜E14は、いずれも表面が絶縁層によって覆われているため、この図15に示すような状態において、内側膜状部21の下面に形成された変位導電層26が中間電極E12側に接触したとしても、両電極間には絶縁層が介在するため、変位導電層26と中間電極E12とは、依然として容量素子として機能する。
【0052】
ここで、図11に示す状態から、図13、図14、図15に示す状態へと変遷する際に、各中間電極E11〜E14と、これに対向する変位導電層26とによって構成される容量素子の静電容量値がどのように変化するかを検討すると、図の左側に示された中間電極E12とこれに対向する変位導電層26とによって構成される第2の容量素子では、電極間隔が徐々に減少してゆくため、静電容量値が徐々に増加することになるのに対し、図の右側に示された中間電極E11とこれに対向する変位導電層26とによって構成される第1の容量素子では、電極間隔が徐々に増加してゆくため、静電容量値が徐々に減少することがわかる。したがって、X軸上に配置された第1の容量素子の静電容量値と第2の容量素子の静電容量値との差を求めれば、この差は操作力Fx−の大きさを示すことになる。逆に、X軸正方向への操作力Fx+が加わった場合は、操作盤10は右側へと傾斜することになるので、電極間隔の増減の関係が逆転することになり、やはり第1の容量素子の静電容量値と第2の容量素子の静電容量値との差により、操作力Fx+の大きさが示されることになる。要するに、X軸上に配置された第1の容量素子の静電容量値と第2の容量素子の静電容量値との差の絶対値は、X軸方向の操作力Fx−,Fx+として加えられた操作量の大きさを示し、その符号は、加えられた操作量の向き(X軸正方向か負方向か)を示すことになる。
【0053】
全く同様の原理により、Y軸上に配置された第3の容量素子の静電容量値と第4の容量素子の静電容量値との差を求めれば、この差の絶対値は、Y軸方向の操作力Fy−,Fy+として加えられた操作量の大きさを示し、その符号は、加えられた操作量の向き(Y軸正方向か負方向か)を示すことになる。
【0054】
なお、X軸方向に関する操作力のみが加えられた場合、操作盤10はX軸方向に関してのみ傾斜し、Y軸方向に関しては傾斜しない。したがって、Y軸上に配置された第3の容量素子(中間電極E13と変位導電層26とによって構成される容量素子)および第4の容量素子(中間電極E14と変位導電層26とによって構成される容量素子)の電極間隔は、一部分は増加し、一部分は減少することになり、容量素子全体についての静電容量値は変化しない。同様に、Y軸方向に関する操作力のみが加えられた場合、操作盤10はY軸方向に関してのみ傾斜し、X軸方向に関しては傾斜しない。したがって、X軸上に配置された第1の容量素子(中間電極E11と変位導電層26とによって構成される容量素子)および第2の容量素子(中間電極E12と変位導電層26とによって構成される容量素子)の電極間隔は、一部分は増加し、一部分は減少することになり、容量素子全体についての静電容量値は変化しない。結局、第1の容量素子および第2の容量素子によって、X軸方向に関する操作量のみを検出することができ、第3の容量素子および第4の容量素子によって、Y軸方向に関する操作量のみを検出することができ、各軸方向の操作量成分をそれぞれ別個独立して検出することができる。
【0055】
このようなX軸方向あるいはY軸方向に関する操作量は、操作者が操作盤10を上下左右の4方向に傾斜させることにより入力可能な操作量であるが、所定の演算処理を行うことにより、より多数の方向に関する操作量検出も可能である。たとえば、斜め45°方向も含めた合計8方向に関する操作量は、X軸方向の操作量とY軸方向の操作量との合成成分として求めることができる。具体的には、たとえば、X軸方向の操作量xと、Y軸方向の操作量yとが求まった場合、ルート(x2+y2)なる大きさをもった操作量が、斜め45°方向(いずれの方向かは、操作量x,yの符号の組み合わせによって判断できる)に作用したものとして取り扱うことができる。
【0056】
このように、4組の容量素子の静電容量値を測定することにより、原理的には、任意方向について入力された操作量の検出が可能になるが、本発明では、このような操作量の検出値が不用意に出力されないような工夫が施されている。弾性変形体20を利用した入力装置の場合、操作盤10にわずかな力が加わっても、弾性変形体20に弾性変形が生じ、各容量素子の静電容量値に変化が生じることになる。たとえば、図12には、操作者がクリック操作を行うために、図の下方に向けて押圧力Fz−を作用させた状態が示されている。このように正確に下方に向けた押圧力Fz−だけが作用した場合、4組の容量素子の静電容量値は等しく変化するため、上述したような差分検出を行えば、所定方向への操作量の検出値は0になる。しかしながら、実際には、操作盤10を操作するのは人間であり、下方へのクリック操作のつもりで力を加えたとしても、加えられた押圧力には、Z軸負方向成分だけではなく、X軸あるいはY軸方向成分も含まれていることになる。したがって、4組の容量素子を用いた差分検出を行った場合、操作者がクリック操作を行っただけでも、いずれかの方向に関する操作量が検出されてしまうことになる。
【0057】
一般に、電子機器用入力装置としては、ON/OFF状態を示すスイッチ入力(クリック入力)と、所定方向への操作量を示す操作入力と、がそれぞれ別個独立して検出でき、相互の干渉がないことが好ましい。別言すれば、操作者がクリック操作を行うつもりで操作盤10を垂直下方へと押し込んだ場合には、OFF状態からON状態へと遷移するスイッチ入力だけが検出され、所定方向への操作量を示す操作入力は一切検出されないようにし、逆に、操作者が所定方向への操作量を示す操作入力を行うつもりで操作盤10を斜め下方へと押し込んだ場合には、スイッチ入力は一切検出されず、操作量のみが検出されるようにするのが好ましい。本発明に係る電子機器用入力装置では、このような2系統の入力をそれぞれ別個独立して検出することが可能であり、両者の干渉は極力避けられることになる。
【0058】
まず、スイッチ入力に関しては、中央部ドーム状構造体30−0の頂点付近を形状反転させるのに十分な垂直下方への押圧力Fz−が加わったときにのみON状態の検出が行われるため、操作者が、所定方向への操作量を示す操作入力を与えようとしたのに、誤ってスイッチ入力のON状態が検出されてしまうような事態を避けることができる。たとえば、図13〜図15に示すような斜め下方への操作入力が加えられた場合、周囲部ドーム状構造体30−2に対しては形状反転を起こすために十分な押圧力が加わるが、中央部ドーム状構造体30−0に対しては形状反転を起こすために十分な押圧力は加わらないため、スイッチ入力に関してON状態の検出が行われることはない(もちろん、操作者が意図的にクリック操作と所定方向への操作入力とを兼ねるような押圧操作、たとえば、操作盤10を垂直下方に強い力で押し込みながら、X軸負方向へも押し込むような押圧操作を行った場合は、2系統の入力がともに検出される)。
【0059】
一方、所定方向への操作量を示す操作入力に関しては、上述したように、4組の容量素子の静電容量値自身は変動するものの、この静電容量値の変動がそのまま検出値としては出力されないような工夫が施されている。この工夫を利用して検出値の出力を得るためには、各容量素子の静電容量値の測定を、外側電極E21〜E24を利用して行うようにすればよい。たとえば、第2の容量素子の静電容量値は、本来であれば、中間電極E12と変位導電層26との間の静電容量値を電気的な方法で測定することになるが、その代わりに、中間電極E12と外側電極E22との間の静電容量値を電気的な方法で測定するのである。要するに、図9に示す各電極について、中間電極E11と外側電極E21との間の静電容量測定値を第1の容量素子の静電容量値の検出値として利用し、中間電極E12と外側電極E22との間の静電容量測定値を第2の容量素子の静電容量値の検出値として利用し、中間電極E13と外側電極E23との間の静電容量測定値を第3の容量素子の静電容量値の検出値として利用し、中間電極E14と外側電極E24との間の静電容量測定値を第4の容量素子の静電容量値の検出値として利用すればよい。
【0060】
このような検出方法を採れば、各容量素子の実際の静電容量の検出値は、変位導電層26が4組の外側電極E21〜E24のいずれかと電気的に接触していることを条件として出力されることになる。たとえば、図11に示す状態や、図12に示す状態では、変位導電層26は外側電極E21〜E24のいずれとも接触していないため、前述した外側電極を利用した検出方法を採れば、一対の容量素子の差分検出値は0を維持したままになる。したがって、操作者がスイッチ入力操作を行った場合に、所定方向への操作量が誤検出されることはない。前述した外側電極を利用した一対の容量素子の差分検出により、所定方向への操作量が検出値として出力されるのは、たとえば、図13に示すように、ある程度の大きさの操作量が加わり、周囲部ドーム状構造体30−2が形状反転し、周囲部柱状突起P2の下面に形成された変位導電層26の一部が外側電極E22に導通状態になってからであり、両者が導通するに至るまでは、いわば不感帯となり、出力される差分検出値は0を維持したままである。
【0061】
もっとも、図12に示すように、操作者がスイッチ入力を行った場合に、所定方向への操作量を示す操作入力が誤って検出されないようにするためには、各部の寸法設定に配慮する必要がある。すなわち、ここに示す実施形態の場合、図11に示すように、中央部柱状突起P1と周囲部柱状突起P2との縦方向の長さはほぼ等しく設定されているが、中央部ドーム状構造体30−0が仲介電極E16の上に載置されているのに対し、周囲部ドーム状構造体30−1〜30−4は基板40の上に直接載置されているため、中央部ドーム状構造体30−0の頂点位置は、周囲部ドーム状構造体30−1〜30−4の頂点位置に比べて、仲介電極E16の厚み分だけ高くなっている。このため、何ら入力が作用していない図11に示す状態において、中央部柱状突起P1の下面は中央部ドーム状構造体30−0の頂点に接した状態となっているが、各周囲部柱状突起P2の下面と各周囲部ドーム状構造体30−1〜30−4の頂点との間には隙間が形成されている。また、図12に示すように、操作者がスイッチ入力を行った場合、下方への押圧力は、操作盤10の周囲部よりも中央部の押圧棒14に集中する。このような理由から、操作盤10に対して垂直下方への力を徐々に増加させていった場合、中央部ドーム状構造体30−0の形状反転が、周囲部ドーム状構造体30−1〜30−4の形状反転よりも先行して生じることになる。スイッチ入力が行われた場合に、所定方向への操作量を示す操作入力が誤検出されないようにするためには、このように、操作盤10に対して垂直下方への力を徐々に増加させていった場合、中央部ドーム状構造体30−0の形状反転が、周囲部ドーム状構造体30−1〜30−4の形状反転よりも先行して生じるようにしておかねばならない。したがって、たとえば、仲介電極E16の厚みが小さいために、全5組のドーム状構造体の頂点位置にほとんど差が生じないような場合には、必要に応じて、中央部柱状突起P1の縦方向の長さを周囲部柱状突起P2の縦方向の長さよりも長くするなど、各部の寸法設定を行うようにする。
【0062】
ここに示す実施形態の場合、図10に示すように、X軸およびY軸上に合計4組の周囲部ドーム状構造体30−1〜30−4が設けられており、その下にそれぞれ外側電極E21〜E24が形成されている。したがって、弾性変形体20の下面に形成された変位導電層26が、4組のいずれかの周囲部ドーム状構造体を利用して、4組のいずれかの外側電極と電気的に導通した状態になれば、有意な差分検出値の出力が行われることになる。なお、実用上は、4組の外側電極E21〜E24に対しては、互いに導通させるような配線を施しておき、回路上では、たとえばこれらを接地電位に固定しておくようにするとよい。このようにすれば、4組の外側電極E21〜E24はいずれも接地電極として機能し、この接地電極と、各中間電極E11〜E14との間の静電容量値を測定することにより、各方向への操作量を検出することができる。
【0063】
以上、述べたように、本発明に係る電子機器用入力装置では、操作盤10、弾性変形体20、ドーム状構造体30、基板40という基本要素を用いた比較的単純な構造により、ON/OFF状態を示すスイッチ入力(いわゆるクリック入力)と、所定方向への操作量を示す操作入力と、の双方の入力機能が実現できる。特に、弾性変形体20をシリコンゴムなどの弾性材料を一体成型することにより構成し、その下面の変位導電層26を、導電性塗料の塗布層により構成し、基板40を回路実装用プリント基板により構成し、その上面の各電極をプリントパターン層により構成し、電極を覆う絶縁層をレジスト層により構成すれば、量産化に適した電子機器用入力装置を実現することができる。
【0064】
結局、本発明に係る電子機器用入力装置では、操作盤10に対して下方へのスイッチ入力が加えられた場合には、中央部ドーム状構造体30−0が形状反転を起こすことにより、導電性接触面31と内側電極E15とが接触し、この接触状態を電気的に検出することによりON/OFF状態の検出が行われることになり、操作盤10に対して所定方向への操作量を示す操作入力が加えられた場合には、各外側電極E21〜E24と各中間電極E11〜E14との間の電気的特性に基づいて、各容量素子の静電容量値を求めることにより、加えられた操作量の検出が行われることになる。
【0065】
このような検出動作において重要な機能を果たしている構成要素が、中央部ドーム状構造体30−0および周囲部ドーム状構造体30−1〜30−4である。上述したように、これらのドーム状構造体30は、所定の臨界値を超えた押圧力が加わると形状反転する性質を有し、形状反転することにより、基板40側の電極との接触状態に変化が生じ、有意な検出値が得られることになる。そして、この形状反転時には、操作者に対してクリック感が伝わるため、操作者は、このクリック感の有無に基づいて、有意な入力を与えることができたか否かを認識することが可能になる。
【0066】
また、ここに述べる実施形態では、弾性変形体20の一部として、弾性材料からなる円環状隆起部22が形成されているが、この円環状隆起部22は、操作盤10の外周部分に直接接触して、操作盤10に加えられた力を直接受ける部分として機能する。しかも、この円環状隆起部22の直下に、やはり弾性変形体20の一部として、弾性材料からなる周囲部柱状突起P2が形成されている。したがって、操作盤10に加えられた所定方向の操作入力は、操作盤10の外周部分から円環状隆起部22へと伝達され、更に、周囲部柱状突起P2へと伝達されることになる。このため、たとえば図13に示す状態から、更に操作量(操作者の指の力)を増加させてゆくと、円環状隆起部22および周囲部柱状突起P2が弾性変形を起こして徐々に潰れてゆき、図14に示す状態を経て図15に示す状態となる。別言すれば、図13に示す状態から図15に示す状態に至るまでには、円環状隆起部22の上面から周囲部柱状突起P2の下面に至るまでの厚みをもったゴムが徐々に潰れてゆく過程が必要になり、操作者が加える指の力に応じて、弾性変形体20の変形が徐々に進行することになる。結局、円環状隆起部22および周囲部柱状突起P2は、本発明を実施する上で必ずしも必須の構成要素ではないが、操作量の検出値をできるだけ線形出力に近付ける働きをすることになる。
【0067】
このように、「操作量の検出値を線形出力に近付ける」という目的を果たすためには、膜状部の上面および下面に、弾性材料からなる何らかの凸状部を設けるようにして、全体の厚みが厚くなるようにすればよい。ここに示す実施形態において、膜状部の上面に形成された円環状隆起部22や、膜状部の下面に形成された周囲部柱状突起P2は、いずれもゴム部分の厚みを厚くするための機能を果たしていることになる。このような機能だけに着目すれば、もちろん、膜状部の上面に、円環状隆起部22の代わりに複数の柱状突起を設けることも可能である。同様に、膜状部の下面に、柱状突起の代わりに円環状の隆起部を設けることも可能である。
【0068】
ただ、この実施形態において、膜状部の上面に、ワッシャ状の円環状隆起部22を設けているのは、操作盤10との隙間からのゴミや埃の侵入を防ぐ意味をもっている。すなわち、弾性変形体20の上面に複数の柱状突起を設けた場合、この柱状突起の隙間部分から、ゴミや埃が侵入しやすくなる。図示の実施形態のように、円環状隆起部22を設けるようにすれば、このようなゴミや埃の侵入を防ぐことができる。逆に、膜状部の下面に、周囲部柱状突起P2を設けているのは、4か所に配置された周囲部ドーム状構造体30−1〜30−4の頂点付近に押圧力を集中して伝達させることができるようにするための配慮である。
【0069】
なお、この実施形態では、操作盤10を円盤状の剛性材料により構成し、円環状隆起部22の内径が操作盤10の外径よりも小さくなり、円環状隆起部22の外径が操作盤10の外径よりも大きくなるように設定してあるが、このような設定は、上述した「操作量の検出値を線形出力に近付ける」という目的を果たすために有効である。すなわち、このような設定にしておけば、円環状隆起部22の外側部分が操作盤10の外周部分よりも更に外側へと食み出すようになり、操作盤10に対して斜め下方への操作入力が加えられた場合、図13〜図15に示すように、円環状隆起部22の上層部分が断面U字型に変形することになる。その結果、ゴムの層に対して、厚み方向に潰すような変形とともに、断面U字型へ曲げるような変形が加わることになり、操作量の検出値をより線形出力に近付けることが可能になる。
【0070】
§3.種々の変形例
次に、本発明に係る電子機器用入力装置のいくつかの変形例を述べる。
【0071】
(1) 過大な力に対する保護機構
本発明に係る入力装置における弾性変形体20は、シリコンゴムなどのゴムから構成するのが最も実用的である。ただ、このようなゴムからなる構造体は、過度の力の作用に対して破損や亀裂が生じる欠点がある。特に、装置全体の薄型化を図るために、弾性変形体20の各部の厚みを薄くした場合、破損や亀裂が生じやすい。ここで述べる変形例は、このような過度の力に対する保護機構を設けた例である。
【0072】
この変形例では、図1に示す操作盤10および弾性変形体20の代わりに、図16の側断面図に示すような操作盤10Aおよび弾性変形体20Aを用いる。ドーム状構造体30および基板40は、図1に示すものと同じものを利用すればよい。
【0073】
図16に示す操作盤10Aは、図1に示す操作盤10と同様に、操作部分11A、土手部分12A、外周部分13Aを有し、下面中心部には、中央部ドーム状構造体30−0の頂点付近に押圧力を加えるための押圧棒14Aが設けられている。ただ、この押圧棒14Aの周囲には円形の溝部15Aが掘られており、その結果、押圧棒14Aが若干長くなっている。また、操作盤10Aの底面外周から外方へと突き出す鍔部16Aが更に設けられている。この鍔部16Aは、外周部分13Aの更に外側に設けられたフランジ部を構成することになる。
【0074】
一方、図16に示す弾性変形体20Aは、図1に示す弾性変形体20と同様に、内側膜状部21A,円環状隆起部22A,外側膜状部23A,側壁部24A,固定脚部25Aを有しており、下面には、中央部柱状突起P1および周囲部柱状突起P2が形成されている。また、その下面には、変位導電層26(図には示されていない)が形成されている。ただ、内側膜状部21Aの上面中心付近には、円柱状の中央隆起部27Aが形成され、その中心位置には、押圧棒14Aと嵌合するための嵌合孔28Aが形成されている。図17に、この弾性変形体20Aの上面図を示す。中央隆起部27Aは、操作盤10A側の溝部15Aに嵌合する形状を有している。結局、押圧棒14Aを嵌合孔28Aに嵌合させれば、中央隆起部27Aが溝部15Aに嵌合した状態になり、嵌合孔28Aの内面と押圧棒14Aの外面との摩擦力によって、弾性変形体20Aと操作盤10Aとの接続状態が維持されるような構造となっている。したがって、実際にこの装置を組み立てるに当たって、操作盤10Aと弾性変形体20Aとは、押圧棒14Aと嵌合孔28Aとの物理的な嵌合によって接続され、両者間を接着剤などで固定する必要はない。
【0075】
図18は、図1に示す操作盤10および弾性変形体20の代わりに、図16に示す操作盤10Aおよび弾性変形体20Aを用いて組み立てた電子機器用入力装置の側断面図である。この装置の更なる特徴は、基板40の上に、新たな構成要素である制御部材50が取り付けられている点である。この制御部材50の上面には、操作盤10Aを操作するのに適した円形の開口窓Wが形成されており、この開口窓Wの周囲部分は、ひさし部51を構成している。開口窓Wの大きさは、鍔部16Aの外周部分よりも若干小さく設定されている。
【0076】
このような構造をもった入力装置の基本的な動作は、これまで述べてきた基本的な実施形態に係る装置の動作と全く同じである。ただ、この図18に示す装置には、過度の力に対する保護機構が付加されている。この保護機構は、操作盤10Aを傾斜させるような過度の力、操作盤10Aを水平方向(XY平面に沿った方向)に移動させるような過度の力、操作盤10Aを押圧棒14Aを中心軸として回転させるような過度の力、について有効である。
【0077】
まず、操作盤10Aを傾斜させるような過度の力については、ひさし部51が鍔部16Aに当接することにより、操作盤10Aの変位が制限を受けるため、弾性変形体20が破損するほどの過度の変位が生じることを防ぐことができる。たとえば、操作盤10Aに対して、X軸負方向への操作力Fx−が加わると、操作盤10A全体は左へ傾斜することになる。したがって、操作盤10Aの図の左端の鍔部16Aは下がり、右端の鍔部16Aは上がる状態になるが、やがて左端の鍔部16Aが基板40上の構成要素に当接し、右端の鍔部16Aがひさし部51の先端部分に当接した状態になり、操作盤10Aを、それ以上傾斜させるような変位は制限される。このため、弾性変形体20Aに過度の力が加わることを防ぐことができ、破損や亀裂から保護することができる。
【0078】
また、操作盤10Aを水平方向に移動させるような過度の力については、外周部分13Aがひさし部51に当接することにより、操作盤10Aの変位が制限を受けることになる。たとえば、操作盤10A全体を図の右方向(X軸正方向)に平行移動させるような力が加わっても、やがて操作盤10Aの右側の外周部分13Aがひさし部51の端面(開口窓Wの構成部分)に当接した状態になり、操作盤10Aを、それ以上右方向に移動させるような変位は制限される。このため、やはり弾性変形体20Aに過度の力が加わることを防ぐことができ、破損や亀裂から保護することができる。
【0079】
更に、操作盤10A全体を回転させるような過度の力については、押圧棒14Aと嵌合孔28Aとの間にスリップが生じることにより、弾性変形体20Aが破損するほどの過度の変位が生じることを防ぐことができる。前述のように、操作盤10Aと弾性変形体20Aとの間は、接着剤などを用いることなしに、嵌合孔28Aの内面と押圧棒14Aの外面との摩擦力によって接続状態が維持されるような構造となっている。したがって、操作盤10Aに対して回転力が加えられると、この回転力は捩じれ力となって弾性変形体20A側へと伝達されることになるが、上記摩擦力を超える過度の回転力が加えられると、押圧棒14Aと嵌合孔28Aとがスリップし、押圧棒14Aが空転を生じるようになり、過度の捩じれ力が弾性変形体20Aへと伝達されるのを防ぐことができる。
【0080】
(2) 内側電極の変形例
前述した実施形態では、スイッチ入力に関するON/OFF状態の検出は、図9に示されているように、内側電極E15と仲介電極E16との間の導通状態を電気的に検出することにより行っていた。すなわち、少なくとも表面部分が導電性材料からなるドーム状構造体30を用意し、これを中央部ドーム状構造体30−0として、その底周面が仲介電極E16に接触するように配置しておけば、この中央部ドーム状構造体30−0が形状反転を生じて内側電極E15と接触したことを、内側電極E15と仲介電極E16とが導通することにより検出することが可能になる。
【0081】
これに対して、図19に上面図を示す基板40Aでは、2枚の内側電極E17,E18が形成されている。このような一対の内側電極E17,E18を用いても、操作者が操作盤10に対して加えたスイッチ入力、すなわち、垂直下方への押圧力を検出することが可能である。いま、この一対の内側電極E17,E18の外形円よりも大きな内径をもち、少なくとも頂点付近の下面が導電性接触面31を形成しているようなドーム状構造体30を用意し、これを中央部ドーム状構造体30−0として配置したとする。この場合、中央部ドーム状構造体30−0は、内側電極E17,E18の外側に配置されることになるので、何ら入力が作用していない状態において、内側電極E17と、内側電極E18と、中央部ドーム状構造体30−0とは、互いに物理的に非接触状態にあり、電気的にも絶縁された状態にある。ところが、図8(b) に示すように、この中央部ドーム状構造体30−0の頂点付近に対して垂直下方への押圧力Fが加わって形状反転すると、その下面に形成されていた導電性接触面31が、内側電極E17,E18の双方に同時に接触することになる。図示の実施形態の場合、内側電極E17,E18は、いずれも所定の円領域内に収まる外形を有し、かつ、「E」字型の形状をしているが、これは、このような中央部ドーム状構造体30−0の形状反転に基づいて、両電極間が電気的に接触状態となるのに適した形状とするためである。このように、内側電極E17,E18は、物理的に分離された一対の電極から構成されているが、導電性接触面31が両者に同時に接触することにより互いに導通状態になる。結局、これら一対の内側電極E17,E18間の導通状態を電気的に検出することにより、操作者のスイッチ入力に関するON/OFF状態を検出できる。
【0082】
(3) その他の変形例
以上、本発明をいくつかの実施形態について述べたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の態様で実施可能である。たとえば、前述の実施形態に係る電子機器用入力装置は、X軸上に配置された2組の容量素子と、Y軸上に配置された2組の容量素子と、の合計4組の容量素子を用いて、XY二次元平面上での所定方向に関する操作入力を検出する二次元力センサを構成しているが、本発明を実施する上では、必ずしも4組の容量素子を用いる必要はない。たとえば、X軸の正方向および負方向という一次元方向に関する操作入力のみを行うことができれば十分な用途に利用するのであれば、X軸上に配置された2組の容量素子のみを用いればよい。
【0083】
また、上述の実施形態では、基板40上の4か所に周囲部ドーム状構造体30−1〜30−4を配置し、中央部ドーム状構造体30−0を含めて合計5組のドーム状構造体30を用いているが、一次元方向に関する操作入力のみを行うことができれば十分な用途に利用するのであれば、X軸上に配置された2組のドーム状構造体30−1,30−2のみを用いればよい。逆に、8組のドーム状構造体30を周囲部ドーム状構造体として利用し、基板40の周囲部に相当する円周上に円周角45°おきに配置するようにしてもよい。このように、本発明を実施する上で、周囲部ドーム状構造体の数は4組に限定されるものではなく、用途に応じて任意の数を配置すればよい。
【0084】
上述の実施形態では、弾性変形体20を、シリコンゴムなどの弾性材料を一体成型した構造体によって構成したが、弾性変形体20は、必ずしも各部のすべてを弾性材料で構成する必要はない。すなわち、弾性変形体20のうち、少なくとも膜状部の一部および柱状突起が弾性材料によって構成されていれば、前述した検出原理に基づく動作が可能になるので、たとえば、側壁部24を金属や樹脂などの剛性材料によって構成することも可能である。もっとも、構造を単純化し、製造コストを低減させる上では、これまで述べた実施形態のように、弾性変形体20の全体を弾性材料の一体成型品として構成するのが好ましい。
【0085】
この弾性変形体20の下面に形成される変位導電層26も、導電性の層が形成できるのであれば、どのような方法で形成してもかまわない。また、変位導電層26は、外側電極E21〜E24に対する接触用電極としての機能と、中間電極E11〜E14に対向する対向電極(容量素子を形成するための電極)としての機能とを果たすことを目的として形成される導電層であるので、これらの機能を果たすために必要最低限の領域に形成すれば足りる。ただ、実用上は、これまで述べた実施形態のように、弾性変形体20の膜状部下面の所定領域(たとえば、図6にハッチングを施した領域)に、導電性塗料を塗布することにより、弾性変形体20を形成するのが好ましい。また、上述の実施形態では、容量素子を形成する一対の電極間の絶縁層を中間電極E11〜E14の上面に形成しているが、変位導電層26の下面に形成してもかまわない。
【0086】
また、これまで述べた実施形態では、基板40上に形成された各電極に対する配線についての説明は省略したが、本発明に係る入力装置を具体的な電子機器に組み込む場合には、基板40上の各電極と、電子機器側の情報処理装置と、の間に所定の配線を行う必要がある。基板40として、回路実装用のプリント基板を利用すれば、このような配線も、基板40上のプリントパターンとして形成することができる。
【0087】
【発明の効果】
以上のとおり本発明に係る電子機器用入力装置によれば、スイッチ入力と所定方向への操作量を示す操作入力と、の2系統の入力のいずれについても、有意な入力を与えることができたか否かを操作者に認識させることが可能な電子機器用入力装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な実施形態に係る電子機器用入力装置の分解側断面図である。
【図2】図1に示す操作盤10の上面図である。この操作盤10を中心で切断した側断面が図1に示されている。
【図3】図1に示す操作盤10の下面図である。この操作盤10を中心で切断した側断面が図1に示されている。
【図4】図1に示す弾性変形体20の上面図である。この弾性変形体20を中心で切断した側断面が図1に示されている。
【図5】図1に示す弾性変形体20の下面図である。この操作盤10を中心で切断した側断面が図1に示されている。
【図6】図5に示す弾性変形体20の下面に形成されている変位導電層26を示す下面図である。
【図7】図1に示すドーム状構造体30の上面図である。このドーム状構造体30を中心で切断した側断面が図1に示されている。
【図8】図1に示すドーム状構造体30の形状反転動作を説明する側断面図である。
【図9】図1に示す基板40の上面図である。このドーム状構造体30を中心(XZ平面)で切断した側断面が図1に示されている。
【図10】図9に示す基板40の上に、5組のドーム状構造体30を配置した状態を示す上面図である。
【図11】図1に示す各構成要素を組み立てることにより構成された電子機器用入力装置の側断面図である。
【図12】図11に示す電子機器用入力装置においてスイッチ入力(クリック入力)が行われたときの状態を示す側断面図である。
【図13】図11に示す電子機器用入力装置においてX軸負方向への操作入力が行われたときの第1の状態を示す側断面図である。
【図14】図11に示す電子機器用入力装置においてX軸負方向への操作入力が行われたときの第2の状態を示す側断面図である。
【図15】図11に示す電子機器用入力装置においてX軸負方向への操作入力が行われたときの第3の状態を示す側断面図である。
【図16】過大な力に対する保護機構を付加した変形例に用いる操作盤10Aおよび弾性変形体20Aの側断面図である。
【図17】図16に示す弾性変形体20Aの上面図である。
【図18】図16に示す操作盤10Aおよび弾性変形体20Aを用いて構成した、過大な力に対する保護機構を付加した変形例の側断面図である。
【図19】内側電極の構成を変えた変形例に用いる基板40Aの上面図である。
【符号の説明】
10,10A…操作盤
11,11A…操作部分
12,12A…土手部分
13,13A…外周部分
14,14A…押圧棒
15A…溝部
16A…鍔部
20,20A…弾性変形体
21,21A…内側膜状部
22,22A…円環状隆起部
23,23A…外側膜状部
24,24A…側壁部
25,25A…固定脚部
26…変位導電層
27A…中央隆起部
28A…嵌合孔
30…ドーム状構造体
30−0…中央部ドーム状構造体
30−1〜30−4…周囲部ドーム状構造体
31…導電性接触面
40…基板
41…固定孔部
50…制御部材
51…ひさし部
E11〜E14…中間電極
E15…内側電極
E16…仲介電極
E17,E18…内側電極
E21〜E24…外側電極
F…押圧力
Fx−,FFx−…X軸負方向成分を含む操作力
Fz−…Z軸負方向への押圧力
P1…中央部柱状突起
P2…周囲部柱状突起
W…開口窓
Claims (17)
- 所定のプログラムに基づいて所定の処理を実行する電子機器に対して、ON/OFF状態を示すスイッチ入力および所定方向への操作量を示す操作入力を行うための入力装置であって、
板状の基板と、
前記基板上面の中心付近に伏せるように配置され、頂点付近に対して所定の大きさ以上の下方への押圧力を加えると、前記頂点付近が弾性変形して下に凸となるように形状反転を起こす性質を有し、かつ、少なくとも前記頂点付近の下面が導電性接触面を構成している中央部ドーム状構造体と、
前記基板上面の周囲付近に伏せるように配置され、頂点付近に対して所定の大きさ以上の下方への押圧力を加えると、前記頂点付近が弾性変形して下に凸となるように形状反転を起こす性質を有し、かつ、少なくとも前記頂点付近の上面および下面が互いに導通した導電性材料により構成されている周囲部ドーム状構造体と、
前記基板上面に対して前記中央部ドーム状構造体および前記周囲部ドーム状構造体を挟んでほぼ平行になるように配置された膜状部と、この膜状部の周囲を前記基板上面に固定するための側壁部と、を有し、少なくとも前記膜状部の一部が弾性材料によって構成されている弾性変形体と、
操作入力またはスイッチ入力を受けて前記弾性変形体に弾性変形を起こさせることができるように前記弾性変形体の上面に配置された操作盤と、
前記基板上面の「前記中央部ドーム状構造体が形状反転を起こした際に前記導電性接触面に接触可能な位置」に配置された内側電極と、
前記基板上面の「前記周囲部ドーム状構造体が形状反転を起こした際に反転部分に接触可能な位置」に配置された外側電極と、
前記基板上面の「前記内側電極と前記外側電極とのほぼ中間に位置する中間領域部」の所定箇所に配置された中間電極と、
前記弾性変形体の下面の「前記中間電極に対向した領域」および「前記外側電極に対向した領域」に形成され、各部が電気的に同電位となるように構成された変位導電層と、
前記中間電極と前記変位導電層との電気的接触を阻むための絶縁層と、
を備え、
前記操作盤に対して下方へのスイッチ入力が加えられた場合に、前記中央部ドーム状構造体が形状反転を起こすことにより前記導電性接触面と前記内側電極とが接触し、この接触状態を電気的に検出することによりON/OFF状態の検出が行えるように構成し、
前記操作盤に対して所定方向への操作量を示す操作入力が加えられた場合に、前記周囲部ドーム状構造体に下方への押圧力が作用し、加えられた操作入力の大きさが所定のしきい値を超えたときに、前記周囲部ドーム状構造体が形状反転を起こして反転部分が前記外側電極に接触し、前記周囲部ドーム状構造体を介して、前記変位導電層と前記外側電極とが電気的に導通した状態となるように構成し、かつ、加えられた操作入力の大きさに応じて、前記中間電極と前記変位導電層の対向部分とによって構成される容量素子の電極間隔が変化するように構成し、前記外側電極と前記中間電極との間の電気的特性に基づいて前記容量素子の静電容量値を求めることにより、加えられた操作量の検出が行えるように構成したことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項1に記載の電子機器用入力装置において、
操作盤に対して垂直下方への力を徐々に増加させていった場合に、中央部ドーム状構造体の形状反転が、周囲部ドーム状構造体の形状反転よりも先行して生じるように、各部の寸法設定がなされていることを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項1または2に記載の電子機器用入力装置において、
弾性変形体の一部として、その膜状部下面に、中央部ドーム状構造体もしくは周囲部ドーム状構造体またはその双方の頂点付近を押圧するための柱状突起を設けたことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
弾性変形体の一部として、その膜状部上面に、操作盤の外周部分に接触し、弾性材料からなる隆起部を形成したことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項4に記載の電子機器用入力装置において、
操作盤を円盤状とし、隆起部を円環状隆起部としたことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項5に記載の電子機器用入力装置において、
円環状隆起部の内径が操作盤の外径よりも小さくなり、円環状隆起部の外径が操作盤の外径よりも大きくなるように設定したことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
複数組の周囲部ドーム状構造体を、基板上面の「操作盤の外周部分に対向する外周対向部」の所定箇所に配置したことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項7に記載の電子機器用入力装置において、
基板の上面中心位置に原点をとり、基板上面がXY平面に含まれるようにXYZ三次元座標系を定義したときに、X軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、Y軸負の領域にそれぞれ周囲部ドーム状構造体を配置したことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項8に記載の電子機器用入力装置において、
X軸正の領域、X軸負の領域、Y軸正の領域、Y軸負の領域にそれぞれ配置された4枚の電極によって中間電極を構成し、
X軸正の領域に配置された中間電極とこれに対向する変位導電層の一部とによって第1の容量素子が形成され、X軸負の領域に配置された中間電極とこれに対向する変位導電層の一部とによって第2の容量素子が形成され、Y軸正の領域に配置された中間電極とこれに対向する変位導電層の一部とによって第3の容量素子が形成され、Y軸負の領域に配置された中間電極とこれに対向する変位導電層の一部とによって第4の容量素子が形成されるようにし、
前記第1の容量素子の静電容量値と前記第2の容量素子の静電容量値との差に基づいてX軸正または負方向への操作量の検出を行い、前記第3の容量素子の静電容量値と前記第4の容量素子の静電容量値との差に基づいてY軸正または負方向への操作量の検出を行うことができるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項1〜9のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
弾性変形体を、一体成型されたゴムによって構成したことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項10に記載の電子機器用入力装置において、
変位導電層を、一体成型されたゴムの表面に塗布した導電性塗料からなる層によって構成したことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項1〜11のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
操作盤を剛性材料により構成したことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項12に記載の電子機器用入力装置において、
操作盤の下面中心部に、中央部ドーム状構造体の頂点付近に押圧力を加えるための押圧棒を設けたことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項13に記載の電子機器用入力装置において、
弾性変形体の膜状部の上面中心付近に、押圧棒と嵌合する嵌合孔を設け、前記押圧棒を前記嵌合孔に嵌合させ、前記嵌合孔の内面と前記押圧棒の外面との摩擦力によって、弾性変形体と操作盤との接続状態が維持されるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項1〜14のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
操作盤の底面外周から外方へと突き出す鍔部を設け、前記鍔部に当接することにより前記操作盤の変位を制限するひさし部を基板上に固定したことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項1〜15のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
内側電極を基板上面の中心付近に形成された電極層によって構成し、前記内側電極と中間電極との間に、前記内側電極の周囲を取り囲むように配置された仲介電極を設け、
少なくとも表面部分が導電性材料からなる中央部ドーム状構造体を、その底周面が前記仲介電極に接触するように配置し、前記仲介電極と前記内側電極との間の導通状態を電気的に検出することにより、ON/OFF状態の検出を行うことができるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。 - 請求項1〜15のいずれかに記載の電子機器用入力装置において、
内側電極を、物理的に分離された一対の電極から構成し、中央部ドーム状構造体の下面に形成された導電性接触面が、前記一対の内側電極の双方に同時に接触することにより、前記一対の内側電極が導通状態となるように構成し、前記一対の内側電極間の導通状態を電気的に検出することにより、ON/OFF状態の検出を行うことができるようにしたことを特徴とする電子機器用入力装置。
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