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JP4620990B2 - 金属酸化物のナノ結晶体、及びその製造方法 - Google Patents

金属酸化物のナノ結晶体、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、三次元構造が制御された金属酸化物の微結晶体、およびその製造方法に関し、特に三次元構造が制御された二酸化チタンの微結晶体、およびその製造方法に関する。
近年、物質をナノスケールにすることによってマクロサイズの物性とは異なる物性が発現することを利用したナノテクノロジーが注目を集めている。この分野では、炭素ナノチューブ等のほか、金属酸化物の微結晶体の物性の応用が種々検討されている。
例えば、二酸化チタンは、従来から優れた紫外線吸収性、隠蔽性および吸着性等の特性を有することから、顔料、塗料、化粧料および触媒担体等に利用されていたが、最近では、二酸化チタンそのものが持つ光触媒活性に大きな関心が寄せられている。また、ナノサイズの二酸化チタンを用いた太陽電池や光電素子も注目を集めている。
ナノサイズの材料の電子的、磁気的、光学的、あるいは触媒的性質はその形状や大きさに強く依存するため、特に二酸化チタンの場合は、高い光触媒活性を示すアナターゼ相の微結晶体の構造を制御する方法を確立することが重要であると考えられる。
高い光触媒活性等、新たな機能を有する二酸化チタンを製造するために、たとえば、二酸化チタンをナノスケールの薄片状、チューブ状の微結晶体、あるいは多孔質の微結晶体とする方法の検討等、多くの試みがなされている。
二酸化チタンのナノオーダーでの構造を制御する技術の一例として、特許文献1には、斜方晶の層状構造を有するチタン酸セシウムを酸性水溶液と接触させて層状チタン酸粉末を生成させ、次にこの粉末をアミン水溶液等と混合して撹拌し、結晶をナノメーターレベルの厚さまで剥離分散させ、得られたチタニアゾルを乾燥させた後、さらに加熱して薄片状の形態を有する酸化チタンを製造する方法が示されている。この方法によって、厚さは1nm以下で、幅は1μm前後の二酸化チタンアナターゼ相の結晶体が得られている。
また特許文献2には、ガラス等の基板を、濃度が5wt%以下でpHが5以上の二酸化チタン薄片粒子が懸濁したゾル溶液と、カチオン性ポリマー溶液とに交互に浸漬する操作を繰り返すことにより、基板上に前記薄片粒子とポリマーをそれぞれサブnm〜nmレベルの厚さに吸着させ、該成分が交互に積層した多層膜を累積することを特徴とする紫外光吸収用多層チタニア超薄膜の製造方法が示されている。
この技術によれば、二酸化チタンの厚みは1nm前後と極めて薄い一方、横サイズはμmオーダーとなり、非常に高い2次元異方性を有するアナターゼ相の二酸化チタン膜が得られる。
特許第3232306号(段落0004〜0008、図1) 特許第3513589号(段落0006〜0012、図1)
しかしながら、特許文献1、特許文献2では、二酸化チタン膜の厚みをナノスケールで制御できるものの、得られる二酸化チタン結晶体の構造はシート状に限られ、ロッド状あるいはチューブ状等の結晶体を得ることはできない。すなわち、金属酸化物の結晶体の三次元構造を制御することはできないという課題がある。
二酸化チタンを含む金属酸化物について、ナノスケールで結晶の三次元構造を制御することが可能になれば、極めて広範囲の技術へ応用することが可能になる。しかしながら、ほとんどの金属酸化物について、ナノスケールで結晶体の三次元構造を任意に制御可能な技術は知られていなかった。
そこで、本発明では、前記した問題を解決し、三次元構造が制御された金属酸化物微結晶体、および三次元構造を制御可能な金属酸化物微結晶体の製造方法を提供することを目的とし、特に三次元構造が制御された二酸化チタンの微結晶体、および三次元構造を制御可能な二酸化チタンの微結晶体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、両末端に窒素を有する界面活性剤がアルカリ性領域ではラメラ構造をとり、pHを低下させるに従いラメラ構造が消失していくことを利用し、前記界面活性剤に金属アルコキシドを配位させた後、水熱反応条件下で金属アルコキシドの加水分解反応および縮重合反応を行なうと、前記界面活性剤のラメラ構造に応じて三次元構造の異なる金属酸化物の結晶体が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明に係るチタン酸化物の微結晶体の製造方法は、チタンアルコキシドと、前記チタンアルコキシドの加水分解を抑制する安定剤としての、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびアセチルアセトンから選ばれる少なくとも1種との混合物を調製する工程と、前記混合物と、水と、両末端にアミノ基を有する脂肪族ジアミンからなる界面活性剤とを混合し混合液を調製する工程と、前記混合液を水熱反応条件下で加水分解反応および縮重合反応を行う工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、チタンアルコキシドは安定剤と複合化して加水分解が抑制されているため、100℃未満の温度では水性溶媒中でもチタンアルコキシドの加水分解反応は殆ど生じない。
一方、両末端にアミノ基を有する脂肪族ジアミンからなる界面活性剤(以下、これを両末端に窒素を有する界面活性剤または単に界面活性剤と記す)の荷電状態は、水溶液のpHにより変化し、強アルカリ性領域では両末端の窒素が無荷電の疎水性状態、弱アルカリ性領域では片方の窒素が荷電した両親媒性状態、中性ないし酸性領域では両方の窒素が荷電した親水性状態となる。
これに対応して、強アルカリ性領域での界面活性剤の溶存状態は、界面活性剤の中央部の疎水性基が水との接触面積が最小となるように疎水性相互作用によって集合し、かつ両末端の親水性部分が水と接触するラメラ構造となる。このラメラ構造はシート形状をしており、また両末端の窒素が無荷電のため界面活性剤の分子間の静電反発力はなく、強固なラメラ構造となっている。
pHを中性に近づけるに従い片方の窒素が荷電して、界面活性剤の分子間に静電反発力が生じるため、界面活性剤の溶存状態は弱いラメラ構造となる。さらに両方の窒素が荷電する中性ないし酸性領域では静電反発力が疎水性相互作用を上回り、ラメラは形成されず、界面活性剤がランダムに溶存している状態へと変化する。換言すれば、pHにより界面活性剤の集合体の構造を制御することができる。
界面活性剤の両末端の窒素は不対電子対を有する電子供与体であり、親水性基であるため、チタンアルコキシドと複合体を形成することができる。
従って、安定剤で加水分解が抑制されたチタンアルコキシドと、両末端に窒素を有する界面活性剤とを混合して水溶液のpHを所定の値に調整することにより、構造が制御された界面活性剤の集合体にチタンアルコキシドを配位させることができる。
この水溶液を100℃以上の水熱反応条件下に置くことで、チタンアルコキシドの加水分解および縮重合反応が開始され、チタン酸化物の結晶体が生成する。
このとき、界面活性剤の集合体の構造がpHによって制御されているため、界面活性剤に配位するチタンアルコキシドの配置も制御される結果、生成するチタン酸化物の結晶体の三次元構造も制御されることとなり、ナノオーダーで三次元構造が制御されたチタン酸化物の微結晶体を製造することが可能となる。
本発明のチタン酸化物の微結晶体の製造方法では、所定のpH値にした混合液を熟成する工程を含むことができる。面活性剤と、安定化されたチタンアルコキシドとの混合物を所定の時間熟成することにより、界面活性剤にラメラ構造を形成させ、またチタンアルコキシドを拡散させて三次元構造が制御された界面活性剤に配位する時間を確保することができる。
本発明では、両末端にアミノ基を有する脂肪族ジアミンは、pHに応じて強固なラメラ構造からラメラを形成しない状態へと変化し得るため、良好にチタン酸化物の結晶体の三次元構造を制御することができる。
本発明では、炭素数1〜6のトリまたはテトラアルコキシル基を有するチタンアルコキシドを用いることができる。
このようなチタンアルコキシドは水熱反応に適しており、三次元構造が制御されたチタン酸化物の微結晶体を製造することができる。
本発明では、前記したように、水溶液中におけるチタンアルコキシドの加水分解を抑制して安定化させるための安定剤として、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびアセチルアセトンからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。
これらの化合物でチタンアルコキシドの加水分解を抑制することにより、水熱反応の前にチタンアルコキシドの加水分解反応が開始することを防止できる。
本発明では、混合液のpHを7以上に調整することができる。pH7以上では界面活性剤は強固なラメラ構造ないし弱いラメラ構造となっているため、ラメラ表面に平面的に配位したチタンアルコキシドを水熱反応条件下で加水分解および縮重合反応することにより、シート状、またはシートが巻かれたチューブ状、ロッド状若しくは花弁状のチタン酸化物の微結晶体を製造することができる。
本発明ではまた、混合液のpHを7未満に調整することができる。pH7未満では界面活性剤はラメラ構造をとらないため、粒子状のチタン酸化物の微結晶体を製造することができる。
本発明のチタン酸化物の微結晶体の製造方法においては、水溶液のpHを調整することにより、シート状、チューブ状、ロッド状、花弁状または粒子状の二酸化チタンの微結晶体を製造することができる。
本発明によれば、三次元構造が制御された金属酸化物微結晶体、および三次元構造を制御可能な金属酸化物微結晶体の製造方法を提供することができる。また、三次元構造が制御された二酸化チタンの微結晶体、および三次元構造を制御可能な二酸化チタンの微結晶体の製造方法を提供することができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、まず金属アルコキシドと金属アルコキシドの加水分解を抑制する安定剤との混合物を調製して、次にこの混合物に、水と両末端に窒素を有する界面活性剤とを添加して混合液を調製した後、この混合液のpHを所定の値に調整して所定時間熟成して、さらに水熱反応条件下で金属アルコキシドの加水分解反応および縮重合反応を生じさせることにより、三次元構造が制御された金属酸化物微結晶体を製造する。
金属酸化物の微結晶体の出発材料である金属アルコキシドの金属は、典型元素に属する金属であっても、遷移金属であってもよい。これらの金属は、価数が3または4のものを好適に用いることができる。価数が3または4の金属を用いることによって、三次元構造が制御された、シート状、チューブ状、ロッド状、花弁状または粒子状の金属酸化物微結晶体を得ることができる。
また、価数が3または4の金属の他に、価数が2の金属を有する金属アルコキシドを併せて用いることもできる。価数が4の金属としてSi、Ge,Sn、Ti,Zr,V,Nb、価数が3の金属としてGa,Id、Fe、価数が2の金属としてZn,Sr,Ba等を例示することができる。
金属の価数が3または4の金属を有する金属アルコキシドとして、トリまたはテトラアルコキシル基を有する金属アルコキシドを、単独または混合して用いることができる。
金属アルコキシドには、アルコキシド基のアルキル鎖の炭素数が1〜6のものを用いることができる。アルキル鎖は直鎖でもよいし、分岐鎖があってもよい。
金属アルコキシドが複数のアルコキシル基を有する場合、各アルコキシル基の炭素数、構造は同一であってもよいし異なっていてもよい。
アルキル鎖の炭素数が大きいと、水熱反応時の加水分解反応の速度が低下し過ぎて金属酸化物の微結晶体の収率が悪化する。一方、アルキル鎖の炭素数が小さいと金属アルコキシドの加水分解反応の速度が大きくなりすぎて、反応が不均一になる場合がある。
このため、アルキル鎖の炭素数が炭素数1〜6の金属アルコキシドを用いることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等を有する金属アルコキシドを用いることが好ましい。金属アルコキシドの加水分解の反応速度は、金属の種類と水熱反応の温度にも依存するため、これらを考慮して金属アルコキシドの最適の炭素数を選択して金属酸化物の微結晶体を製造することができる。
金属アルコキシドの加水分解を抑制する安定剤には、金属アルコキシド中の金属と複合体を形成して前記金属を安定化する有機配位子化合物を用いることができる。特にジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アセチルアセトンを用いることが好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
金属アルコキシドと安定剤のモル比は、金属アルコキシド:安定剤が1:1から1:5の範囲で適宜選択することができる。
金属アルコキシドと安定剤のモル比を調整することによって、水熱反応の前に金属アルコキシドの加水分解反応が開始することを確実に防止できると共に、後の水熱反応条件下での加水分解反応を調整することが可能になる。
本実施形態では、両末端に窒素を有する界面活性剤を用いて金属酸化物の結晶体の三次元構造を制御する。
両末端に窒素を有する界面活性剤としては、両末端にアミノ基またはピペリジン環、ピペラジン環、若しくはピリジン環を有する界面活性剤を使用することができる。
特に、直鎖アルキルジアミンは、両末端に嵩の高い置換基がなく、また中間部のアルキル鎖には分岐が無い構造であるため、界面活性剤が集合体を形成するときの立体障害が小さく、シート状のラメラ構造を良好に形成するので、本実施形態において金属酸化物の結晶の三次元構造を制御するために好適に用いることができる。
直鎖アルキルジアミンには、炭素数10〜22のものを用いることが好ましい。
炭素数10未満の直鎖アルキルジアミンは親水性が強過ぎてシート状のラメラ構造または球状のミセルを形成し難く、一方、炭素数が22を超えると疎水性が強くなり過ぎ、水熱反応条件のような高温でも酸性の水にしか溶解しないため、アルカリ性にして界面活性剤のラメラ構造を形成させることが困難になる。
なお、界面活性剤は、予め水溶液にしておくことができる。この水溶液中の界面活性剤の濃度は、金属アルコキシドとの混合、pHの調整等の希釈操作をした後の混合液中の界面活性剤濃度が、ラメラを形成する臨界濃度以上となるよう調製する。通常は0.01〜10mol/Lの範囲となるが、これに限定されるものではない。
次に、前記した安定剤で安定化された金属アルコキシドと、界面活性剤と、水との混合液を調製する。
界面活性剤と金属アルコキシドのモル比は、界面活性剤が1に対して金属アルコキシドは0.1から10の範囲で選択して混合液を調整することが好ましい。
界面活性剤と金属アルコキシドのモル比を1:0.1〜1:1とすると、pH7以上の条件下でシート状の金属酸化物の微結晶体を容易に生成させることができる。さらに、金属アルコキシドのモル比を1より大きくするに従い、ロッド状、チューブ状、または花弁状の金属酸化物の微結晶体が生成しやすくなる。
界面活性剤に対する金属アルコキシドのモル比を0.1未満にすると、断片的なシート状の金属酸化物の微結晶体しか形成されない。
なお、水は金属アルコキシドに対して大過剰に存在させることができる。
次に、水と、安定剤で安定化された金属アルコキシドと、界面活性剤との混合液のpHを所定の値に調整する。
pHの調整は、酸性にする場合にはHClを用いることができ、アルカリ性にする場合にはNaOHを用いることができる。また、これらに限らず、酸性にする場合にはH2SO4、HNO3、アルカリ性にする場合にはKOH、LiOH、NH4OH等、一般的に使用されている酸又は塩基を用いることができる。
なお、金属アルコキシドに先ず安定剤を混合して加水分解を抑制しなければならない点を除き、界面活性剤と、pH調整用の酸または塩基と、水との混合順序は任意である。
安定剤で加水分解が抑制された金属アルコキシドの混合水溶液に、界面活性剤を水で希釈せずに添加・混合し、この混合液を所定濃度まで水で希釈した後pHを調整しても良い。また、pHが予め調整されている加水分解が抑制された金属アルコキシドの混合水溶液と、pHが予め調整されている界面活性剤水溶液を混合することもできる。
水熱反応を行なう前に、前記のpHが調整された混合液を、所定の温度及び時間の下に静置することによって熟成することが好ましい。
熟成することによって、界面活性剤にラメラ構造を形成させることができると共に、安定剤で加水分解が抑制された金属アルコキシドを拡散させてラメラ構造の表面、すなわち親水性部分に配位させることができる。
熟成温度は、金属アルコキシドの加水分解が生じない温度範囲であればよく、50〜100℃の温度範囲が好ましい。熟成時間についても、金属アルコキシドの加水分解が顕著に生じない範囲の時間であればよい。通常は6〜48時間で十分であり、6〜12時間であっても三次元構造が制御された金属酸化物の微結晶体を得ることができる。
本発明では、水熱反応を水の沸点から臨界点の範囲、すなわち373〜647Kの範囲で行なうことができる。
このような温度範囲で水熱反応を行なうことで、金属アルコキシドの加水分解および縮重合反応を良好に行なうことができる。使用するジアミン等の化合物の熱分解を抑制しつつ加水分解および縮重合反応を促進するためには413〜453Kの温度範囲で水熱反応を行なうことが好ましい。
水熱反応を行なうとき、反応圧力は水熱反応温度における水の飽和水蒸気圧で行なう。従って、水熱反応は耐圧容器の中で行なう。耐圧容器としては、オートクレーブや耐圧ガラス容器等、公知の耐圧容器を用いることができる。
次いで、得られた反応生成物を遠心分離・ろ過等により回収し、洗浄して残留イオンや反応副生物等の不純物を除去し、乾燥して最終生成物を得ることができる。
乾燥条件は目的とする最終生成物に応じて最適の条件を選ぶことができる。
金属酸化物の微結晶体の場合、最終生成物を有用な結晶相にすることが重要であり、例えばTiO2であれば、より有用なアナターゼ相で回収することが望ましい。本発明の金属酸化物の微結晶体の製造方法によれば、後述するようにTiO2はアナターゼ相で得られる。このため、回収された反応生成物を100℃以下の温度で乾燥して最終生成物を得ることができ、アナターゼ相のTiO2を得るために高温で焼成・乾燥する必要は無い。
また、本発明では金属酸化物の微結晶体の粒子径をコントロールできるため、最終生成物をボールミル等により粉砕する必要はない。
次に、金属酸化物の微結晶体の三次元構造がpHにより制御される過程を、概念図を参照しながら説明する。
図1はpH7以上の条件下で、三次元構造が制御された金属酸化物の微結晶体の形成過程を模式的に表した概念図である。
図1(a)に示すように、pH7以上のアルカリ側では、界面活性剤2は疎水性のアルキル基が疎水性相互作用により内側に集合し、無荷電で親水性の窒素が外側に向いて水と接するシート状のラメラ構造となっている。
金属アルコキシドは、前記のラメラ構造表面の窒素に配位して平面的に配置され、水熱反応条件下で加水分解および縮重合反応を開始する。
金属アルコキシドは加水分解の過程においてアルコキシル基の一部が水酸基となり、この水酸基が界面活性剤2の窒素に対して配位する。一方、隣接した金属アルコキシド間では縮重合反応が生じる結果、図1(a)に示すようにラメラ表面に微細な金属酸化物の結晶体で構成されるプレート(以下ナノプレートと記す)を形成し、さらにこのナノプレート3は自己成長してゆく。
このように、ラメラ構造の界面活性剤2はナノプレート3を形成するテンプレートまたはマイクロリアクタの機能を果たす。
図1(a)では界面活性剤2のラメラ構造は1層のみ図示してあるが、水熱反応の進行に従い、上下にも同様の界面活性剤2とナノプレート3の複合体が形成されて図1(b)に模式的に示す界面活性剤2とナノプレート3との多層構造となる。なお、図1(b)には、界面活性剤層は図示していない。
さらに水熱反応が進行すると、反応溶液中の金属アルコキシドの加水分解により生じるアルコール濃度が上昇する。
アルコールは疎水性のアルキル鎖等を有しており、界面活性剤2のラメラ構造の疎水性の部分との親和性が高いため、界面活性剤2とナノプレート3との多層構造から界面活性剤層を徐々に溶出させて、ナノプレート3層を剥離させる。
このナノプレート3の相剥離は、多層構造の最外層の外縁部から始まり、図1(c)、(d)のように最外層のナノプレート3が外縁部から中央に向けて巻回して、ロッド状ないしチューブ状となる。
この結果、pHが10〜11未満のときは図3(b)、(c)の写真に示すようにロッド状酸化金属の微結晶体が形成される。また、pH11以上に上昇させると、図3(d)のような花弁状となり、pH12.5以上pH13.5以下では図4に示すチューブ状の酸化金属の微結晶体が得られる。
なお、図3(b)はpH10.1、図3(c)はpH10.7、図3(d)はpH12.0でテトライソプロピルオルトチタネート(TIPT)を水熱反応させて得た二酸化チタンの走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図4は、pH13.0でテトライソプロピルオルトチタネート(TIPT)を水熱反応させて得た二酸化チタンの透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
このようなpHによる金属酸化物の形態の変化は、界面活性剤2の末端窒素とナノプレート3表面のOH基との間の結合力と、ナノプレート3表面のTiO-に基づくナノプレート3内部の静電反発とのバランスにより説明することができる。
界面活性剤2の末端窒素とナノプレート3表面のOH基との間の結合は、無荷電の窒素と水素の間に生じるため、その結合力は界面活性剤2の両末端の窒素の荷電の有無に依存する。
pH10〜11未満では一部の界面活性剤2の片側の窒素がH+が配位して荷電した状態である。このため荷電した界面活性剤2の窒素はナノプレート3のOH基と結合できず、ナノプレート3全体と、ラメラ構造の界面活性剤層との結合力は比較的弱い。
pH11以上では両末端の窒素は全く無荷電となる。このため、ナノプレート3全体と界面活性剤層の結合力は強固なものとなる。
一方、ナノプレート3の表面には前記のようにTi−OHのOH基がイオン化したTiO-が存在している。このTiO-により、ナノプレート3表面にはマイナスの電荷が分布している。高pHにすると、TiO-の表面濃度が増大し、TiO-間の静電反発が増大する。このため高pHになるほどナノプレート3内部の静電反発は強くなると考えられる。
従って、pH10〜11未満では界面活性剤2の窒素の片側が荷電しており、界面活性剤層とナノプレート3との結合力が比較的弱く、一方ナノプレート3内部での静電反発は弱いため、界面活性剤層が溶出したときナノプレート3は多層構造の積層体から剥離しやすく、外縁部から中央に向けて巻回する。
このとき静電反発が弱いため、比較的強く巻かれる結果、巻回したナノプレート3の中央部の空隙が無いロッド状の酸化金属の微結晶体が形成されやすい。
pH11以上では、界面活性剤層とナノプレート3との結合力が強い。このため、最外層の界面活性剤層のみが溶出可能であり、先ずナノプレート3の最外層の外縁部からの相剥離と巻回が進行し、ナノプレート3の中央部は界面活性剤層と結合している状態が生じる。最外層の巻回がさらに進行すると、第2層の界面活性剤が溶出しはじめて巻回も開始する。このような繰り返しにより、図3(d)のような花弁状の構造が形成されると考えられる。
また、pH12.5以上では、ナノプレート3内部での静電反発が強いため、ナノプレート3の巻回は比較的緩く、図4に示すような空隙部が認められるチューブ状の酸化金属の微結晶体になりやすい。
このように、pH7以上の領域ではロッド状、チューブ状、シート状または花弁状の酸化金属の微結晶体を製造することができる。
なお、pHが高すぎると金属アルコキシドのOH基は消滅して、TiO-のみになるため縮重合反応は生じず、金属微結晶体は生成されない。
また、pH8以上では、界面活性剤2と金属アルコキシドのモル比が1:1のとき分子状シートと呼ばれる二酸化チタンの単分子膜から構成されたシート状になりやすい。これは、界面活性剤2のラメラ構造の表面に、金属アルコキシドが単分子膜状に配位しやすいためと考えられる。
また、金属アルコキシドのモル比を1より大きくするに従い、二酸化チタンが多層に積層した構造をとり易くなる。
次に、pH7未満の酸性領域での金属酸化物の微結晶体の製造および三次元構造について、図2を参照しながら説明する。
酸性領域において、界面活性剤2は、両末端の窒素にはH+が配位しているためラメラ構造を形成せず、水溶液中に均一に溶解している。また金属アルコキシド1はプラス荷電を有する界面活性剤2に配位しにくいため、界面活性剤2と同様に水溶液中に均一に溶解している。
水熱反応が開始されると、図2(a)のように金属アルコキシド1の加水分解および縮重合反応が開始され、金属酸化物の微結晶体が生成し始める。
このとき、界面活性剤2はラメラ構造を形成していないため、pH7以上のときのように2つの金属アルコキシド1がラメラ構造の表面に配位されて近接することは無い。このため、隣接する2つの金属アルコキシド1の距離は相対的に大きくなる結果、金属アルコキシド1は自由に加水分解および縮重合反応し、図3(a)のような粒子状の酸化金属の微結晶体が形成される。
このように、pH7未満とすることによって粒子状の酸化金属の微結晶体を製造することができる。
なお、図3(a)はpH5.6でテトライソプロピルオルトチタネート(TIPT)を水熱反応させて得た二酸化チタンの微結晶体のSEM写真である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態には限定されない。例えば、水熱反応時に所定のpHを維持するために緩衝液を用いてもよい。また、本発明の製造方法で得られた混合液中の酸化金属の微結晶体を固体として回収するとき、所定の相転移温度で焼成して、所望の結晶相とすることもできる。
また、前記した界面活性剤2とナノプレート3との多層構造の層剥離を促進するため、界面活性剤2と相溶性が高く、金属アルコキシドの加水分解を促進しない化合物を予め混合液に添加しておくこともできる。このような化合物として、アセチルアセトン等のジケトン類やイソプロパノールやブタノール等のアルコール類、テトラエチルアンモニウム等を例示することができる。
あるいは、4級アンモニウム塩を予め混合液に添加しておき、前記相剥離を促進させることもできる。また、pH10〜13.5未満の領域で、これらの化合物を用いてナノプレート3の多層構造の積層体からの剥離を促進すれば、図9に示したように、巻回する前のナノプレート3をシート状の酸化金属の微結晶体として取出すこともできる。図9はpH12.8でTIPTを水熱反応させて生成させたナノプレートを、4級トリエチルアンモニウム塩で剥離を促進することにより得た、シート状二酸化チタンの微結晶体である。
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
本実施例では、同一組成の金属アルコキシドと界面活性剤との混合液のpHを変化させ、得られる酸化金属の微結晶体の三次元構造がどのように変化するか確認した。
金属アルコキシドにテトライソプロピルオルトチタネート(TIPT)を用い、安定剤としてトリエタノールアミン(TEOA)、界面活性剤にドデカンジアミン(DDD)をもちいた。
以下に、本実施例で用いた製造方法を説明する。
<製造方法>
全ての試薬は試薬グレードを用い、精製することなく使用した。TIPTとTEOAを、モル比TIPT:TEOA=1:2で混合し、室温での加水分解を抑制した。次いで、この混合物に蒸留水を加えて濃度0.5Mの4価Ti水溶液を調製した(溶液1)。
さらに、DDAに蒸留水を加えて濃度0.1MのDDA水溶液を調製した(溶液2)。
25mLの溶液1と、25mLの溶液2を混合し、この混合溶液のpHを調整した。pHの調整はHClまたはNaOH水溶液を、前記混合溶液に所定量添加して行なった。
次いで、pH調整後の前記混合溶液をオートクレーブに入れ、100℃で24時間エージングし、その後温度を140℃に昇温して核生成させチタニア粒子を成長させた。
次に、得られた白色固形物を遠心分離して回収し、蒸留水、エタノールの順で洗浄して残留イオンを除き、空気中で80℃で乾燥し、最終生成物を得た。
なお、pHは5.6、10.7、12.0の3条件とした。
以下、各pHにおいて得られた二酸化チタン微結晶体の三次元構造について説明する。
<pH5.6での三次元構造>
pHを5.6の条件で得られた二酸化チタン微結晶体のSEM写真を図5に示す。図5(a)〜(c)はそれぞれ反応開始後5時間、30時間、72時間経過後に得られた二酸化チタン微結晶体のSEM写真である。
図5(a)〜(c)の比較から、pH5.6では、反応時間が経過しても粒子状の二酸化チタン微結晶体しか生成しないことがわかる。また、二酸化チタン微結晶体のサイズは粒子径が約30nm、粒子長が約140nmでほぼ均一であることがわかる。
<pH10.7での三次元構造>
図6(a)〜(c)はそれぞれpH10.7の条件で、反応開始後5時間、22時間、72時間経過後に得られた二酸化チタン微結晶体のSEM写真である。
反応開始5時間後(図6(a))に、前記したナノプレートの相剥離が一部開始していることが観察され、22時間後(図6(b))にはナノプレート外縁部から中央に向けての巻回が明瞭に認められた。72時間経過後には、さらにナノプレートの巻回が進行してロッド状になっている事が認められた。(図6(c))
このようにロッド状の二酸化チタン微結晶体が得られたのは、pH10.7ではTIPTの縮重合反応で形成されたナノプレート表面のTiO-が少なく、ナノプレート内部での静電反発が弱いためと考えられる。
なお、この条件で得られたロッド状の二酸化チタン微結晶体の径は約100〜200nmで、長さは500〜600nmであった。
<pH12での三次元構造>
図7(a)〜(c)はそれぞれpH12.0の条件で、反応開始後22時間、30時間、72時間経過後に得られた二酸化チタン微結晶体のSEM写真である。また、図7(d)は、図7(c)の二酸化チタン微結晶体のラウエパターンである。
pH12.0では、反応開始22時間(図7(a))が経過しても、前記したナノプレートの層剥離は観察されず、30時間経過後に、図7(b)の矢印で示した部分に層剥離して巻回した部分が現れた。
そして72時間経過後(図7(c))には、花弁状の二酸化チタン微結晶体が明瞭に認められた。また、この花弁状の二酸化チタン微結晶体は、巻回したナノプレートが集合したものであること、径は1μm以上であるが厚みは径に比して薄い扁平な形状であることが観察された。
また、図7(d)のラウエパターンから、花弁状の二酸化チタン微結晶体は極めて結晶性が高いことが認められる。
さらに、二酸化チタン微結晶体の結晶構造をX線回折(XRD)により確認した。
図8にpH10.7とpH12.0の条件で得られた二酸化チタン微結晶体のXRD測定結果を示す。なお、図8の横軸から上方に伸びる直線は、アナターゼ相二酸化チタンに固有の格子定数を示すものである。
図8から、pH10.7とpH12.0の条件で得られた二酸化チタン微結晶体はアナターゼ相二酸化チタンに固有の格子定数と同じ位置に強いピークが認められる。
すなわち、本発明の酸化金属の微結晶体の製造方法によれば、焼成処理を行なうことなく、水熱反応によって結晶性の高いアナターゼ相二酸化チタンが得られることを示している。
なお、pH5.6の条件で製造した二酸化チタン微結晶体も、アナターゼ相二酸化チタンであることがXRDによって確認された。
比表面積の大きなアナターゼ相二酸化チタンは、光触媒活性が大きいことから有害ガスの分解等に用いることができることが知られており、また、色素増感性と電子伝達能力が高いことから太陽電池の電極に用いることができる。
本発明の製造方法において、pH7未満の条件で得られる二酸化チタン微結晶体は、粒子径が約30nmで粒子長が約140nmのアナターゼ相であることから、かかる用途に用いることができる。
また、金属アルコキシドとして錫のアルコキシドを用いた場合には、金属酸化物として酸化錫(SnO2)が得られる。酸化錫は、最近になって湿式太陽光発電の電極材料である二酸化チタン膜に変わる効率的な膜形成材料として注目されてきており、この出願の発明により提供されるチューブ状の酸化錫はその膜構成材料として最適な形状を有するものとして利用が期待できる。
上記の二酸化チタン、二酸化スズ等は半導体特性を示すことから、たとえば電子伝達特性に優れたチューブ状の酸化金属の微結晶体を製造し、異種の2本のチューブ状の酸化金属の微結晶体の接点をpn接合として機能させることで、トランジスタのように整流特性を有する材料が実現される。
さらに、金属アルコキシドとしてセシウムアルコキシドを用いた場合には、セリア(CeO2)の金属酸化物微結晶体が得られる。セリアは、NOX等の自動車排ガス処理における高効率触媒、一般的な酸化・還元触媒、さらには次世代エネルギーとして注目されている燃料電池のメタンから水素を取り出す触媒等としての利用が期待される材料である。加えて、銅、イットリウム等の元素をドープすることでより優れた酸化還元触媒が実現される。
さらに、ナノスケールの材料を規則正しく配列すると光の波長変換がおこることから、この出願の発明のチューブ形状の金属酸化物の微結晶体を非線形光学材料として利用することもできる。また、この金属酸化物自身の持つ光学特性による色材としての利用など、各種光学材料としての利用も可能である。このように、本発明の粒子状、チューブ状、ロッド状あるいは花弁形状の金属酸化物の微結晶体によって、電子伝導性、磁性、光学特性、化学触媒特性等の各種の特性に基づいた種々の応用が期待される。
以上のように詳しく例示したもの以外にも、この出願の発明により製造されるナノチューブ形状を有する金属酸化物は、たとえば、その毛管凝縮作用を利用することで気相中の微量の成分を吸着除去する機能を備え持つことになり、防臭剤等として応用することができる。また、その内壁を修飾することにより水素吸蔵能力を付与する等といった応用も期待される。
また、本発明の粒子状、チューブ状、ロッド状あるいは花弁形状の金属酸化物の微結晶体を紫外線遮蔽材や触媒の担体等の既存の分野に応用できることはいうまでも無い。既存の分野でも、例えば花弁状の金属酸化物の微結晶体により、紫外線遮蔽効果と隠蔽性が共に優れた化粧クリームあるいは塗料が得られるなど、優れた効果が期待される。
pH7以上のときの金属酸化物の微結晶体の形成過程を表した概念図である。 pH7未満のときの金属酸化物の微結晶体の形成過程を表した概念図である。 異なるpHでTIPTを水熱反応させて得た微結晶体のSEM写真である。 pH13.0でTIPTを水熱反応させて得た微結晶体のTEM写真である。 pH5.6で得られた二酸化チタン微結晶体のSEM写真である。 pH10.7で得られた二酸化チタン微結晶体のSEM写真である。 pH12.0で得られた二酸化チタン微結晶体のSEM写真と電子線回折像である。 pH10.7とpH12.0得られた二酸化チタン微結晶体のXRD測定結果である。 ナノプレートの剥離を促進して得たシート状二酸化チタンの微結晶体である。
符号の説明
1 金属アルコキシド
2 界面活性剤
3 ナノプレート

Claims (7)

  1. チタンアルコキシドと、前記チタンアルコキシドの加水分解を抑制する安定剤としての、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびアセチルアセトンから選ばれる少なくとも1種との混合物を調製する工程と、
    前記混合物と、水と、両末端にアミノ基を有する脂肪族ジアミンからなる界面活性剤とを混合し混合液を調製する工程と、
    前記混合液を水熱反応条件下で加水分解反応および縮重合反応を行う工程と、
    を含むことを特徴とするチタン酸化物の微結晶体の製造方法。
  2. 前記加水分解反応および前記縮重合反応を行う工程の前に、前記混合液を熟成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のチタン酸化物の微結晶体の製造方法。
  3. 前記チタンアルコキシドのアルコキシル基は、炭素数1〜6のトリまたはテトラアルコキシル基であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチタン酸化物の微結晶体の製造方法。
  4. 前記加水分解反応および前記縮重合反応を行う工程の前に、前記混合液のpHを、7以上に調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のチタン酸化物の微結晶体の製造方法。
  5. 前記加水分解反応および前記縮重合反応を行う工程の前に、前記混合液のpHを、7未満に調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のチタン酸化物の微結晶体の製造方法。
  6. チタンアルコキシドおよび前記チタンアルコキシドの加水分解を抑制する安定剤としての、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびアセチルアセトンから選ばれる少なくとも1種の混合物と、水と、両末端にアミノ基を有する脂肪族ジアミンからなる界面活性剤との混合液を水熱反応条件下で加水分解反応および縮重合反応を行って得られることを特徴とするチタン酸化物のチューブ状、プレート状、ロッド状、または粒子状微結晶体。
  7. チタンアルコキシドおよび前記チタンアルコキシドの加水分解を抑制する安定剤としての、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびアセチルアセトンから選ばれる少なくとも1種の混合物と、水と、両末端にアミノ基を有する脂肪族ジアミンからなる界面活性剤とを混合してpHを7以上にした混合液を水熱反応条件下で加水分解反応および縮重合反応を行って得られることを特徴とするチタン酸化物の花弁状微結晶体。
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