JP4618970B2 - 肛門圧低下外用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、細菌を有効成分とする肛門圧低下外用剤、肛門の疼痛を伴う疾患の予防又は治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
便秘症、ヒルシュスプルング病、クローン病、過敏性大腸症候群、肛門拳筋症候群等の症状では、肛門括約筋痙縮し、その結果肛門圧が高い状態となる。
【0003】
ヒルシュスプルング病は、腸管壁において先天的にマイスネルとアウエルバッハの自律神経叢が欠損しているために起こるもので、通常は結腸遠位部に限定されている。病変部の蠕動はないか、もしくは異常であり、それにより平滑筋の持続的な痙縮や、腸内容物の蓄積による部分的または完全な閉塞、より近位部で正常の神経支配を受ける腸の拡張が起こる。閉塞は肛門部で最も多いが、結腸近位の様々な部位に広がることもあり、結腸全体や、まれに回腸末端や消化管全体に及ぶこともある。患者は便秘や腹部膨満を呈す。治療法としては、神経節細胞欠損が肛門に限局している乳幼児では、神経節細胞欠損域より近位部の人工肛門造設が多い。
【0004】
クローン病は、右下腹痛と圧痛が特徴的な炎症で、腸の狭窄によって生じる反復する部分的閉塞で、激しい疝痛、腹部膨満、下痢、嘔吐を起こし、炎症と閉塞が起こり、栄養不足と衰弱をもたらすびまん性空回腸炎、また通常後期の出来事で、しばしば発熱、有痛性の腹部腫瘤などの症状が見られる。平滑筋の痙縮による肛門部の疼痛も見られる。この疾患に対して抗コリン剤とジフェノキシラート、ロペラミド、阿片チンキ、コデインなどが対症療法的に使用されている。また、スルファザラジンやステロイド剤も使用されている。免疫抑制剤としてアザチオプリンや6−メルカプトプリンなどの代謝拮抗物質、メトトレキサートも効果が認められている。これらの薬剤はいずれも一定の効果が認められているが、生活の質(QOL)を高めるためには肛門圧を下げて疼痛緩解を行う薬剤を投与することも望ましい。
【0005】
過敏性大腸症候群は、単一の疾患ではなく、下痢または下痢と便秘の交代とこれに伴う腹部症状の訴えがあるが、それらの症状を説明する器質的な病変が腸管および関連臓器に証明されないものを総称してこのように呼ばれている。本疾患に特異的な症状はないが、右下腹部の鈍痛や疝痛が多く見られ、下痢と便秘を繰り返す。肛門圧を下げ下腹部の疼痛を緩解させることはQOLを高めるためにも重要な治療となる。
【0006】
肛門拳筋症候群とは、肛門に痔核や切れ痔がないにもかかわらず突然肛門の奥のほうが痛くなる疾患で原因不明である。痛みは突然起こり、しめつけられるような激しい痛みとなる。いろいろ原因があるが、最も多いのは肛門括約筋の過剰な収縮により痛みが生じている。この痛みを和らげるために肛門圧を下げるのは非常に有効な治療となる。
【0007】
これらの疾患の予防又は治療薬で肛門圧を低下させることによりQOL改善を目指した薬剤はなかった。
【0008】
一方、1980年代後半、生体内の無機ラジカルである一酸化窒素(NO)は、血管内皮細胞より産生され血管平滑筋弛緩因子の本体であることが明らかとされた。この発見から生体内NOの研究が急速に進み、現在ではNOは内因性の血管弛緩因子としてだけでなく、神経情報伝達の調節や炎症反応、さらに感染防御の制御にも関与していることが指摘されている。
【0009】
生体内NOはL−アルギニンからNO合成酵素(NOS)により、L−シトルリンととも生成される。NOSには3つの異なる遺伝子によって支配された3つのアイソザイムが明らかとなっており、このうち二つが構成型NOSで残るひとつが誘導型(iNOS)と呼ばれている。iNOSは細菌や各種炎症性のサイトカインにより誘導されるがヒトにおいてどのようなメカニズムでiNOSが誘導され、NOが発生しているか正確には解明されていないし、その役割の解明も充分ではない。しかしながら、生体内でNOが肛門括約筋を弛緩させることが知られており、NOを発生させるニトログリセリン軟膏が肛門括約筋を弛緩させる。このため、ニトログリセリン軟膏による、肛門圧が高くなっている裂肛を適用とした治験が進められていた。しかし、頭痛と肛門部灼熱感などの副作用が高い頻度で出現し実用化するに至っていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、細菌を有効成分とする外用剤を粘膜又は外傷部位から投与することにより生体の免疫力を高め様々なサイトカインを発生させ、その結果肛門括約筋が弛緩し肛門圧を低下させることによる肛門圧低下外用剤、肛門圧低下方法、肛門の疼痛を伴う疾患の予防又は治療剤を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、細菌を含む製剤が肛門圧を低下させることを見出し、本発明を完成させた。
【0012】
すなわち、本発明は、以下の肛門圧低下外用剤、肛門圧低下方法、肛門の疼痛を伴う疾患の予防又は治療剤を提供するものである。
【0013】
項1.細菌を有効成分とし、粘膜又は外傷部位に適用するための肛門圧低下外用剤。
【0014】
項2.細菌が大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌及びレンサ球菌からなる群から選択される1種又は2種以上の菌であることを特徴とする項1に記載の肛門圧低下外用剤。
【0015】
項3.細菌が大腸菌であることを特徴とする項1又は2のいずれかに記載の肛門圧低下外用剤。
【0016】
項4.細菌が死菌であることを特徴とする項1〜3のいずれかに記載の肛門圧低下外用剤。
【0017】
項5.項1〜4のいずれかに記載の肛門圧低下外用剤を肛門粘膜又は外傷部位に塗布する肛門圧の低下方法。
【0018】
項6.細菌を有効成分とする便秘症の予防又は治療剤。
【0019】
項7.細菌を有効成分とするヒルシュスプルング病の予防又は治療剤。
【0020】
項8.細菌を有効成分とするクローン病の予防又は治療剤。
【0021】
項9.細菌を有効成分とする過敏性大腸症候群の予防又は治療剤。
【0022】
項10.細菌を有効成分とする肛門括約筋障害の予防又は治療剤。
【0023】
項11.細菌を有効成分とする巨大結腸症の予防又は治療剤。
【0024】
項12.細菌を有効成分とする肛門拳筋症候群の予防又は治療剤。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の肛門圧低下外用剤、肛門圧低下方法、肛門の疼痛を伴う疾患の予防又は治療剤は、細菌を有効成分とし肛門粘膜または外傷部位へ適用することを特徴とする。
【0026】
肛門の疼痛を伴う疾患としては、便秘症、ヒルシュスプルング病、クローン病、過敏性大腸症候群、肛門括約筋障害、肛門拳筋症候群(突発性肛門痛)、巨大結腸症等が例示される。本発明の肛門圧低下外用剤は、その中に含まれる細菌が肛門圧低下作用を有するためこれらの疾患の予防又は治療に有用である。
【0027】
器質的な病変のないいわゆる特発的便秘症は、大腸における輸送能が低下するために起こるslow-transit constipationと、直腸まで輸送された便が肛門から排出できないoutlet obstructionに概念的に分類できる。その治療には、内肛門括約筋切除術が行われることがある。内肛門括約筋を切除し、肛門内圧を低下させ、排便をしやすくする目的である。この手術の成績は、術後早期では良好であり、慢性便秘の患者にこの手術を施行した場合、術後4ヶ月目には約60%の患者が週3回以上の自然排便を認めるようになる。(Yoshioka K、 Keighley MRB: Anorectal myectomy for outlet obstruction。 Br J Surg 74:373-376、1987;「実地医家のための肛門疾患診療プラクティス」岩垂純一 編著、永井書店、p156、2000年)
また、ヒルシュスプルング病には、ボツリヌス菌毒素が有効であることが知られているが、これは内肛門圧の低下作用によるものである(Langer JC, Birnbaum EE, Schmidt RE.: Histrology and Function of the internal anal sphincter after injection of botulinum toxin. J Surg Res 73:113-116 1997)。また緩下剤投与や食事指導による便通調節、排便指導が行われるが、これによって改善しない場合には、内括約筋切開が行われる。(実地医家に役立つ肛門疾患の知識,宇都宮譲二編集,永井書店,p203,1995年)
また、過敏性大腸症候群による疼痛は肛門内圧の上昇によることが知られている(Krag E.: Irritable bowel syndrome: current concepts and future trends. Scand J Gastroenterol Suppl 109:107-115 1985)。
【0028】
また、肛門括約筋障害では、肛門括約筋、とりわけ肛門拳筋が異常に亢進していることが知られている(実地医家に役立つ肛門疾患の知識:宇都宮 譲二 編集,永井書店,p211,1995年)。
【0029】
また、巨大結腸症は、筋緊張性ジストロフィによる肛門括約筋の筋緊張により発症することが知られ、肛門括約筋内圧測定では、平滑筋からなる内肛門括約筋と骨格筋からなる外肛門括約筋の両方に筋緊張反応が認められている。また、下剤の乱用、大腸の偽性閉塞症、肛門周囲の疼痛性疾患による肛門括約筋の持続的攣縮などにより巨大結腸症になることも知られている(別冊 日本臨床 消化管症候群(下))上銘外喜夫 編集,日本臨床,p160,1994年)。
【0030】
前述の疾患は、いずれも肛門圧の上昇が見られ、肛門圧の低下により疾患が改善される。したがって、肛門圧低下作用を有する本発明の肛門圧低下剤はこれらの疾患に有用である。
【0031】
有効成分の細菌としては、グラム陽性菌、グラム陰性菌、これらの菌の混合物のいずれでもかまわない。細菌としては、大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌、レンサ球菌等が例示されるが、これらに限定されない。好ましい細菌は、大腸菌、ブドウ球菌、緑膿菌、レンサ球菌である。より好ましい細菌は大腸菌である。細菌は、生菌、死菌のいずれも使用可能であるが、死菌を使用するほうが保存等の点および生菌の場合は増殖の可能性があり予期せぬ悪影響も考えられることから死菌が好ましい。
【0032】
また、本発明の肛門圧低下外用剤、肛門の疼痛を伴う疾患の予防又は治療剤の製剤形態は、肛門に適用可能な形態であれば特に限定されるものではない。例えば、軟膏剤、座剤、クリーム剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、乳剤、粉剤、懸濁剤、エアゾール剤などや、基剤を支持体上に支持させた硬膏剤、パップ剤、テープ剤、プラスター剤などが挙げられる。好ましくは、前記剤型例示のうち、軟膏剤、座剤、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、乳剤であり、さらに好ましくは、軟膏剤である。
【0033】
また、本発明の肛門圧低下外用剤、肛門の疼痛を伴う疾患の予防又は治療剤中の、有効成分である細菌の菌数は、肛門圧低下作用が認められる限り特に限定されず、剤型、患者の症状等に応じて適宜選択可能であるが、通常105〜1010個/製剤1g、好ましくは、107〜109個/製剤1gである。
【0034】
基剤としては、薬学的に許容しうるものであればよく、従来公知のものを適宜使用することができる。例えば、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、マンナン、アガロース、デキストリン、カルボキシメチルデンプン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、メトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のポリマー類;ミツロウ、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、ダイズ油、ツバキ油、ラッカセイ油、牛油、豚油、鶏油、ラノリン等の油脂類;白色ワセリン、黄色ワセリン、パラフィン、流動パラフィン、セレシンワックス、スクワラン、軽質流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;ゲル化炭化水素(例えば、商品名プラスチベース、ブリストルマイヤーズスクイブ社製);ステアリン酸等の高級脂肪酸;セタノール、オクチルドデカノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール400、マクロゴール4000等);プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;モノオレイン酸エステル、ステアリン酸グリセリド、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ハードファット等の脂肪酸エステル類;水、生理食塩水、リン酸緩衝液などが挙げられる。
【0035】
例えば、軟膏剤の場合、炭化水素類、脂肪酸エステル類、ゲル化炭化水素、ミツロウ、ポリエチレングリコール等が使用される。また、クリーム剤の場合、炭化水素類、界面活性剤、水、グリセリン、セタノール、ステアリルアルコール等が使用される。また、 ローション剤の場合、炭化水素類、水、カルボキシビニルポリマー、グリセリン、セタノール、プロピレングリコール等が使用される。
さらに、ゲル剤には、水、界面活性剤、カルボキシビニルポリマー、低級アルコール類等が使用される。
【0036】
界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、レシチン誘導体、自己乳化型プロピレングリコールモノステアレート等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩、カルボキシメチルスターチナトリウム、疎水性軟質無水ケイ酸、高分子乳化剤などが挙げられる。これらに限定されるものではないが、剤型にかかわらず、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等がよく使用される。
【0037】
さらに必要に応じて、ポリビニルピロリドン等の溶解補助剤;カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機充填剤;老化防止剤;トリエタノールアミン等のpH調節剤;グリセリン、プロピレングリコール等の保湿剤;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸類、ホウ酸、ホウ砂、カンフル等の防腐剤;キサンタンガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、流動パラフィン、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の粘凋剤又は粘凋化剤などを添加してもよい。
【0038】
また上記テープ剤の基剤としては、薬学的に許容しうるものであればよく、従来公知のものを用いることができ、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられ、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤が好適に用いられる。また上記支持体上に展延する際の粘着剤の性状としては、溶剤系、エマルジョン系、ホットメルト系等の任意のものを用いることができる。
【0039】
上記アクリル系粘着剤としては、アルキル(メタ)アクリレートを共重合して得られるポリアルキル(メタ)アクリレートを主体とする粘着剤が挙げられ、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な多官能性モノマーやその他のビニルモノマーとの共重合体でもよい。
【0040】
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。上記多官能性モノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられ、上記その他のビニルモノマーとしては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、酢酸ビニルなどが挙げられる。
【0041】
上記ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−オレフィン−スチレンブロック共重合体などを主体とする粘着剤が挙げられ、一般に、ロジン、水添ロジン、ロジンエステル、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油系樹脂、クマロン樹脂、クマロン−インデン樹脂などの粘着付与剤が添加されてなる。
【0042】
上記支持体としては、その剤型(例えば、パップ剤、テープ剤等)に応じて適宜選択されるが、薬物が不透過又は難透過性で柔軟なものが好ましく、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの樹脂フィルム;アルミニウムシート、織布、不織布など、及びこれらの積層シートなどが挙げられる。
【0043】
本発明の肛門圧低下外用剤、肛門の疼痛を伴う疾患の予防又は治療剤の投与量は、疾患の種類や症状の程度などによって異なるが、3.3×108個/製剤1gの菌数を含む製剤の場合、1日当たり1g〜24g、好ましくは2g〜8gであり、これを1回又は適当な回数に分けて患部に適用する。
【0044】
本発明の肛門圧低下外用剤、肛門の疼痛を伴う疾患の予防又は治療剤は、その剤型に応じ、従来公知の方法で製造される。例えば、油脂性軟膏剤を製造する場合、原料基剤を加温して融解し、混和し、半ば冷却した後、細菌を基剤に加えて、練り合わせて製造する。クリーム剤、乳剤を製造する場合、固形の基剤は水浴上で溶かした後、約75℃に保ち、これに、水溶性の基剤を水に溶かして同温度又は若干高い温度に加温したものを加え、細菌をこれに加えて練り合わせて製造する。また、ゲル剤を製造する場合、例えば、ポリマーを水に加え、加温して膨潤させる。これに、水溶性の基剤及び細菌を溶媒に加温して溶かしたものを加え、混合・溶解させた後、冷却して製造する。さらに、ローション剤を製造する場合、例えば、ポリマーを水に加え、加温して膨潤させる。これに、水溶性の基剤を溶媒に加温して溶かしたものを加え、更に細菌をこれに加えて混合・分散させた後、冷却して製造する。混合・溶解の方法としては、乳鉢、乳棒による方法、練合機を用いる方法、乳化機を用いる方法などがあるが、基剤の性状、調製量などにより適宜選択される。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、細菌の作用により肛門圧を低下させることが可能である。また、細菌を有効成分とした製剤は、肛門圧低下作用を有するため、肛門の疼痛を伴う疾患、即ち便秘症、ヒルシュスプルング病、クローン病、過敏性大腸症候群、肛門括約筋障害、肛門拳筋症候群、巨大結腸症、肛門括約筋障害等の予防又は治療に有用である。
【0046】
本発明による肛門圧低下作用は、細菌を粘膜あるいは外傷から投与することにより本来生体が持つ免疫力を高め、複雑な免疫系に作用し様々なサイトカインを産生させ肛門括約筋を弛緩させ肛門圧が低下することにより発揮されると考えられる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0048】
実施例1:大腸菌含有軟膏の肛門圧に対する影響
大腸菌含有軟膏は、精製ラノリン、白色ワセリン、フェノールを基剤とし、軟膏1gあたり大腸菌死菌浮遊液0.163mL(菌数は約3.3億個)含有する。
【0049】
また、プラセボとして、フェノール0.174g、精製水16.3mL、精製ラノリン16.6g及び全量が100gとなる量の白色ワセリンの混合物を使用した。
【0050】
これらの軟膏、プラセボを以下の試験方法に従ってラットに投与し、肛門圧収縮数及び肛門圧面積を測定し、その変化率を図1及び2に示した。
【0051】
図1及び2に示されるように、大腸菌含有軟膏は肛門圧収縮数、肛門圧面積を大きく減少させ、肛門圧低下に効果があることが確認された。
【0052】
試験方法
1)差圧トランスデュサー、キャリアアンプ、記録計の接続及び水負加圧によるキヤリブレーション
キャリアアンプ(11-G4113-01,グールド)に記録計(ユニコーダー,U-228,日本電子科学)及び差圧トランスデューサー(DP45,バリダイン)を接続した。
水負加圧によるキャリブレーション後,差圧トランスデューサーには肛門内圧測定用バルーン装着カテーテルを接続し、肛門内圧測定を開始した。
【0053】
2)肛門内圧の測定方法
(1)測定手順
肛門内圧は、動物(Slc:SD系雄性ラット,日本エスエルシー株式会社)を無麻酔で実験台上に腹位に置き、軽く保定しながら、Vinograd らのバルーン2個を用いる方法(Vinograd I et al.: Animal model for the study of internal anal sphincter activity. Eur Surg Res 17:259-263, 1985)に準じて測定した。すなわち、カテーテル(フレンチサイズ;5Fr,外径1.7mm)の先端にバルーン(MB-5,外径3mm,長さ15mm,スターメディカル製)1個を手術用糸(No.3)で装着したものを2本繋ぎ、バルーン2個付き肛門内圧測定用カテーテル(2個バルーン全長約2.5cm)を作製した。肛門側バルーンのカテーテルに差圧トランスデューサー(DP45,バリダイン)を接続し、先端バルーンを直腸側に、後方バルーンを肛門側に位置するように挿入し、一定位置に静止させた状態で約10分間肛門内圧を測定した。なお、肛門内圧測定用カテーテルおよびバルーンには水を満たして測定した(尚,バルーンには水約0.15〜0.2mL,注入し,軽く膨脹させた)。肛門内圧測定終了約1分前に直腸側バルーンを全量約0.7〜0.8mLの水で一過性に膨らませて、直腸肛門反射の有無を確認した。
(2)肛門内圧測定用動物の選択
肛門内圧として数回繰り返される収縮波形を示す個体を選び、さらに約1時間毎に数回肛門内圧を測定し、ほぼ同様な肛門圧波形を測定できた個体を肛門内圧測定用動物として選択した。
(3)肛門内圧の評価
肛門内圧は、各肛門内圧測定記録の測定開始1〜8分後までの7分間の肛門内圧曲線下面積(以下、肛門圧面積)及び20mmH2O以上の収縮数(以下、肛門圧収縮数)で評価した。肛門圧面積は、肛門内圧曲線をMacintosh用「Adobe Photoshop ver.3.0」ソフト内のレイヤー機能のパスでトレースし、肛門内圧曲線下を黒く反転させ、反転させた黒色の面積をMacintosh用「NIH Image 1.62」で算出した。肛門圧収縮数は20mmH2O以上のものを計測した。さらに、各評価毎に、前値(0時間)に対する各測定時間の値の変化率(%)を算出した。
3)大腸菌含有軟膏塗布による検討
(1)塗布及び肛門内圧測定手順
肛門内圧は塗布前に2回測定し、平均値を前値(0時間)とした。前値測定後、プラセボあるいは大腸菌含有軟膏を体重1kg当たり40、80、160mgとなる量で耳かき大の薬さじを用いて肛門部局所塗布した。塗布後1時間毎に6時間後まで肛門内圧を測定した。8〜9週齢ラット6匹を用いて,初日プラセボ40mg/kgから始め、順次プラセボ80、160mg/kg、大腸菌含有軟膏40、80、160mg/kgで一日毎に繰り返し肛門内圧を測定した。
(2)群構成
1.プラセボ(40mg/kg)(6匹)
(体重:299.54〜322.47g,塗布実質重量:12.5〜13.4mg)
2.プラセボ(80mg/kg)(6匹)
(体重:301.51〜342.42g,塗布実質重量:24.6〜28.2mg)
3.プラセボ(160mg/kg)(6匹)
(体重:299.21〜340.25g,塗布実質重量:47.7〜54.9mg)
4.大腸菌含有軟膏(40mg/kg)(6匹)
(体重:302.84〜353.47g,塗布実質重量:12.3〜14.9mg)
5.大腸菌含有軟膏(80mg/kg)(6匹)
(体重:315.63〜361.84g,塗布実質重量:25.1〜29.1mg)
6.大腸菌含有軟膏(160mg/kg)(6匹)
(体重:314.17〜384.61g,塗布実質重量:50.4〜61.1mg)
【図面の簡単な説明】
【図1】大腸菌含有軟膏及びプラセボによる肛門収縮数の変化を示すグラフである。●は大腸菌含有軟膏(n=6)を示し、○はプラセボ(n=6)を示す。
【図2】大腸菌含有軟膏及びプラセボによる肛門圧面積の変化を示すグラフである。●は大腸菌含有軟膏(n=6)を示し、○はプラセボ(n=6)を示す。
Claims (2)
- 大腸菌の死菌を有効成分とし、肛門粘膜又は外傷部位に適用するための肛門圧低下外用剤。
- 大腸菌の死菌を有効成分とし、肛門粘膜又は外傷部位に適用するための便秘症の予防又は治療剤。
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