以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明を適用した通信システムの構成例を示す図である。
本発明を適用した通信システムは、例えば、モバイルアクセスポイント1、パーソナルコンピュータ2、ISP(Internet Service Provider)3、インターネット4、サーバ5および6から構成される。インターネット4には、ISP3、サーバ5および6が接続されており、このうちのISP3はISP事業者が管理する装置である(以下、ISP3を管理するISP事業者をISP事業者#1という)。ISP3は、キャリアにより提供されるPHS(Personal Handyphone System)(登録商標)または携帯電話システムを実現する公衆回線網(図示せず)にも接続されている。
モバイルアクセスポイント1は、携帯型の端末であり、PHSサービスまたは携帯電話サービスを利用した無線通信機能を有する。また、モバイルアクセスポイント1は、自らがアクセスポイントとなり、近傍に存在する端末との間で、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/gなどの規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)による無線通信機能も有する。
すなわち、モバイルアクセスポイント1は、WAN(Wide Area Network)側の無線通信機能と、LAN側の無線通信機能とを有する。
このような2つの無線通信機能を有するモバイルアクセスポイント1は、例えば、無線LAN機能を有するパーソナルコンピュータ2のユーザにより携帯される。パーソナルコンピュータ2も、携帯可能なノートブック型のコンピュータである。
従って、パーソナルコンピュータ2のユーザは、外出先に公衆無線LANサービスを提供する固定のアクセスポイントが設置されていない場合であっても、モバイルアクセスポイント1を用いて、パーソナルコンピュータ2をインターネット4に接続させることができる。
例えば、ユーザによりモバイルアクセスポイント1とパーソナルコンピュータ2の双方に対して、またはいずれか一方に対して所定の操作が行われたとき、モバイルアクセスポイント1とパーソナルコンピュータ2との間で無線LAN通信が確立されるとともに、PHS通信機能により、モバイルアクセスポイント1が公衆回線網を介してISP3にPPP(Point-to-Point Protocol)接続される。パーソナルコンピュータ2は、モバイルアクセスポイント1、ISP3を介してインターネット4に接続され、サーバ5または6から所定のデータをダウンロードしたりすることが可能になる。
パーソナルコンピュータ2以外の端末のユーザがモバイルアクセスポイント1と同じ他のモバイルアクセスポイントを携帯しておくことにより、それぞれのユーザは、それぞれが有するモバイルアクセスポイントを利用することによって、固定のアクセスポイントが設置されていない場所からでもインターネット4に接続することが可能になる。
固定のアクセスポイントを設置する公衆無線LANサービスの提供事業者(例えば、ISP事業者#1)としても、公衆無線LANサービスの利用可能エリアを拡大させるにあたって、アクセスポイントを設置するための場所の確保に要するコスト、アクセスポイントを稼動させるための電気代、メンテナンスに要するコストなどの各種のコストの削減を図ることができる。
また、ISP事業者#1が、自分自身の提供するサービスに加入するユーザにモバイルアクセスポイントを有償または無償で配布することにより、加入者のユーザによる外出先からの接続の回数、通信量を増やすことができる。当然、有償である場合、モバイルアクセスポイントの販売による売り上げも得られる。
図2は、1つのモバイルアクセスポイント1に複数のパーソナルコンピュータが接続している様子を示す図である。
図2の例においては、図1のパーソナルコンピュータ2の他に、パーソナルコンピュータ11および12がそれぞれの無線LAN通信機能によりモバイルアクセスポイント1に接続されている。
このように、モバイルアクセスポイント1の所有者は、自らが携帯するモバイルアクセスポイント1を他のユーザにも開放し、インターネット4への接続を許可することができる。モバイルアクセスポイント1の所有者は、自分のパーソナルコンピュータ2をインターネット4に接続させるためだけにモバイルアクセスポイント1を携帯するのではなく、他のユーザのためにも携帯することになる。
ここで、他のユーザには、所有者と面識のある特定のユーザに限らず、不特定多数のユーザが含まれる。従って、所有者のユーザがモバイルアクセスポイント1を携帯することにより、ISP事業者#1により提供される公衆無線LANサービスの利用可能なエリアが、その携帯先に実現されることになる。
例えば、他のユーザにモバイルアクセスポイント1を使用させた所有者に対しては、ISP事業者#1から特典が提供されるようにすることにより、モバイルアクセスポイント1を携帯し、他のユーザのために積極的に開放することのインセンティブをモバイルアクセスポイント1の所有者に与えることができる。
公衆無線LANサービスを提供するISP事業者#1としても、複数のモバイルアクセスポイントを配布し、それぞれのユーザにモバイルアクセスポイントを携帯させ、他のユーザにもそれぞれのモバイルアクセスポイントを開放させることによって、固定のアクセスポイントの設置場所を確保するためのコストなどの問題を解消しつつ、公衆無線LANサービスの利用可能エリアを容易に拡大させることができる。
当然、図3に示すように、ISP事業者#1は、モバイルアクセスポイント1が他のユーザに開放されているとしても、モバイルアクセスポイント1の所有者と同じISP事業者#1自身が提供するサービスの加入者のユーザに対してのみ、モバイルアクセスポイント1の利用が可能になるようにしてもよい。
図3の例においては、パーソナルコンピュータ11は、モバイルアクセスポイント1(パーソナルコンピュータ2)の所有者と同じISP事業者#1のサービスに加入するユーザの端末である。これらのパーソナルコンピュータ2および11に対してはモバイルアクセスポイント1への接続が許可されている。
一方、パーソナルコンピュータ12は、ISP事業者#1と異なるISP事業者#2と契約しているユーザの端末であり、モバイルアクセスポイント1への接続が許可されていない。
モバイルアクセスポイント1に接続する端末のユーザがISP事業者#1のサービスに加入しているか否かの認証は、例えば、PPPoE(PPP over Ethernet(登録商標))により、その接続する端末とISP事業者#1のサーバ(ISP3)との間で行われる。
これにより、ISP事業者#1は、モバイルアクセスポイントを配布しているため、公衆無線LANサービスを利用できること、および、その利用可能エリアが広いことをメリットとして、自分自身が提供するサービスへの加入を喚起することができる。
なお、モバイルアクセスポイント1をISP事業者#1以外の他のISP事業者のサービスに加入するユーザに対しても開放する場合、開放した回数、時間、通信量などに応じて、ISP事業者#1から、その、他のISP事業者に対して料金が請求されるようにしてもよい。すなわち、図3の例においては、パーソナルコンピュータ12のユーザに対してもモバイルアクセスポイント1の利用を許可した場合、インターネット4への接続時間、通信量などに応じて、ISP事業者#1からISP事業者#2に対して料金が請求されることになる。
このように、モバイルアクセスポイントを中心とした様々なビジネスモデルの実現が可能になる。
以上のような、例えば、加入するISP事業者に応じて接続可能な端末を制限する処理についてはフローチャートを参照して後述する。
図4は、モバイルアクセスポイント1のハードウエア構成の例を示すブロック図である。
モバイルアクセスポイント1は、CPU(Central Processing Unit)31、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、GPS(Global Positioning System)モジュール34、無線LANモジュール35、PHSモジュール37、および電源供給部39からなる。図4の例においては、WAN側の無線通信機能はPHSにより実現される。
CPU31は、EEPROM32に記憶されているプログラムをRAM33に展開し、モバイルアクセスポイント1の全体の動作を制御する。EEPROM32には、CPU31により実行されるプログラムの他、無線LAN通信を行っている端末に関する情報も記憶される。
GPSモジュール34は、捕捉した衛星からの情報に基づいて測位を行い、その測位結果をCPU31に出力する。後述するように、GPSモジュール34による測位結果に応じて、インターネット4への接続を許可するか否かの判定等が行われる。
無線LANモジュール35は、アンテナ36を介して、IEEE802.11a/b/gなどの規格に準拠した無線LAN通信を外部の端末との間で行う。
PHSモジュール37は、近傍にあるPHS基地局とアンテナ38を介して通信を行い、ISP3に接続する。このPHSモジュール37と無線LANモジュール35は、モバイルアクセスポイント1に形成されるスロットに着脱可能な例えばコンパクトフラッシュ(登録商標)型のモジュールであってもよい。
電源供給部39は、モバイルアクセスポイント1の各部に対する電源の供給を管理する。例えば、無線LAN通信をどの端末とも行っていない時間が所定の時間続いたとき、電源供給部39は電源の供給を遮断し、モバイルアクセスポイント1のバッテリ(図示せず)の浪費を防止する。
図5は、モバイルアクセスポイント1のソフトウエア構成の例を示す図である。
モバイルアクセスポイント1のハードウエア51(無線LANモジュール35、PHSモジュール37等)の上層には、モバイルアクセスポイント1のソフトウエアとしてOS(Operating System)52とアプリケーション53が用意される。
OS52には、無線LANモジュール35、PHSモジュール37、バスなどのハードウエア類のドライバ61と、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、PPP、PPPoE、NAT(Network Address Translation)(または、IPアドレスの変換だけでなく、ポートの識別も可能なIP(Internet Protocol)マスカレード)、DHCPd(Dynamic Host Configuration Protocol Deamon)またはDHCPc(Dynamic Host Configuration Protocol Client)、QoS(Quality of Service)などの機能を実現するミドルウエア62が含まれる。
例えば、ミドルウエア62により実現されるNAT、IPマスカーレード機能により、モバイルアクセスポイント1と無線LAN通信を行っているそれぞれの端末に対してプライベートなIPアドレスが適宜割り当てられ、モバイルアクセスポイント1に割り当てられたグローバルなIPアドレスとの変換が行われる。
アプリケーション53は、GPSモジュール34による測位結果に応じた処理を行うアプリケーションや、モバイルアクセスポイント1に接続する端末の接続時間や通信量を計測するアプリケーションなどよりなる。
図6は、モバイルアクセスポイント1の機能構成例を示すブロック図である。
図6に示す構成の少なくとも一部は、CPU31により図5のソフトウエアが実行されることにより実現される。
PHS通信制御部71は、PHSモジュール37によるPHS通信を制御する。例えば、PHS通信制御部71は、インターネット4、およびISP3を介してサーバ5から受信したデータを、通信管理部74を介して無線LAN通信制御部73に供給する。また、PHS通信制御部71は、所定のデータが無線LAN通信制御部73から通信管理部74を介して供給されてきたとき、それをインターネット4に接続される送信先の他の端末に送信する。
認証部72は、無線LAN通信を開始した端末の認証を行い、モバイルアクセスポイント1の利用、すなわちインターネット4に接続することの許可/不許可を判定する。
例えば、ISP事業者#1のサービスに加入するユーザの端末に対してのみ、インターネット4への接続が許可される場合、認証部72は、ユーザにより入力されたID、パスワードをPHS通信制御部71を介してISP3に送信し、そのユーザがISP事業者#1のサービスに加入するユーザであるか否かの認証を行う。認証の結果、無線LAN通信により接続してきた端末のユーザがISP事業者#1のサービスに加入するユーザであると判定した場合、認証部72は、そのユーザに対してインターネット4への接続を許可する。
無線LAN通信制御部73は、無線LANモジュール35による無線LAN通信を制御する。例えば、無線LAN通信制御部73は、無線LAN通信を行っている端末から送信されてきたデータを受信し、それを通信管理部74を介してPHS通信制御部71に供給させる。また、無線LAN通信制御部73は、所定のデータがPHS通信制御部71から通信管理部74を介して供給されてきたとき、それを、無線LAN通信を行っている端末に送信する。
通信管理部74は、PHS通信制御部71と無線LAN通信制御部73の間で行われるデータの送受信を監視し、インターネット4に接続しているそれぞれの端末の接続回数、接続時間、通信量を管理する。
例えば、モバイルアクセスポイント1を他のユーザに開放することに応じて、ISP事業者#1から特典が提供される場合、通信管理部74は、管理する接続回数等の情報に基づいて、ISP3から特典(何かしらのサービスで使えるポイント等)を取得する処理なども行う。なお、インターネット4に接続している端末の接続回数、接続時間、通信量等の情報がISP3により管理される場合、通信管理部74は不要となる。
図7は、図6の無線LAN通信制御部73の詳細な構成例を示すブロック図である。
無線LAN通信制御部73は、MAC(Media Access Control Address)アドレス管理部81、WEP(Wired Equivalent Privacy)キー管理部82、QoS(Quality of Service)管理部83、タイマ管理部84、および測位制御部85から構成される。
MACアドレス管理部81は、無線LAN通信を行う端末を、それぞれの端末に設定されているMACアドレスに基づいて識別する。
WEPキー管理部82は、所定のビット数のWEPキーの生成、または、生成したWEPキーを用いて無線LAN通信の暗号化/復号を行う。
例えば、WEPキー管理部82は、タイマ管理部84からの出力に基づいて、生成したWEPキーの有効時間を管理したり、または、測位制御部85からの出力に基づいて、生成したWEPキーの有効な場所を管理したりする。後述するように、インターネット4への接続は、接続を開始してからの時間(WEPキーを生成してからの時間)や場所によっても適宜制限される。
QoS管理部83は、無線LAN通信のQoS管理を行う。例えば、モバイルアクセスポイント1の所有者の端末(パーソナルコンピュータ2)と同時に他のユーザの端末との間でも無線LAN通信を行っている場合、QoS管理部83は、所有者の端末との通信に他のユーザの端末との通信よりも広い帯域幅を割り当てることによって、所有者のユーザに、より高品質な通信を提供する。
タイマ管理部84はタイマを管理し、WEPキー管理部82により設定された時間が経過したとき、そのことを表す信号をWEPキー管理部82に出力する。
測位制御部85は、GPSモジュール34を制御して所定のタイミングで測位を行い、測位結果をWEPキー管理部82に出力する。
図8は、図1のパーソナルコンピュータ2の構成例を示すブロック図である。図2のパーソナルコンピュータ11および12も同様の構成を有する。
CPU101は、ROM102に記憶されているプログラム、または、記憶部108からRAM103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなどが適宜記憶される。
CPU101、ROM102、およびRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インタフェース105も接続されている。
入出力インタフェース105には、キーボード、マウスなどよりなる入力部106、LCD(Liquid Crystal Display)などよりなる出力部107、ハードディスクなどより構成される記憶部108、無線LANモジュール109が接続されている。無線LANモジュール109は、モバイルアクセスポイント1の無線LANモジュール35と同じ規格のモジュールである。
入出力インタフェース105にはまた、必要に応じてドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア111が適宜装着され、それから読み出されたコンピュータプログラムが必要に応じて記憶部108にインストールされる。
次に、以上のような構成を有するモバイルアクセスポイント1の動作について説明する。
始めに、図9のフローチャートを参照して、モバイルアクセスポイント1の接続管理処理について説明する。この処理においては、ユーザが加入するISP事業者に関わらず、どの端末にもインターネット4への接続が許可される。
ステップS1において、無線LAN通信制御部73は、近傍に存在する端末からインターネット4への接続の要求があったか否かを判定し、要求があったと判定するまで待機する。
無線LAN通信制御部73は、ステップS1において、接続の要求があったと判定した場合、ステップS2に進み、その接続の要求がモバイルアクセスポイント1の所有者のユーザによる要求であるか否かを判定する。
ここでの判定は、例えば、モバイルアクセスポイント1に予め登録されているパーソナルコンピュータ2のMACアドレスに基づいてMACアドレス管理部81により行われる。すなわち、接続を要求してきた端末のMACアドレスが、所有者の端末のMACアドレスとして予め登録されているものである場合、行われた要求が所有者のユーザからの要求であると判定され、一方、登録されてないものである場合、所有者のユーザ以外のユーザからの要求であると判定される。
なお、接続を要求してきた端末のユーザに対してIDやパスワードの入力が要求され、入力されたIDやパスワードが所有者のものとして予め登録されているものであるか否かに基づいて、所有者のユーザからの要求であるか否かが判定されるようにしてもよい。
ステップS2において、無線LAN通信制御部73は、インターネット4への接続の要求が所有者のユーザによる要求であると判定した場合、ステップS3に進み、インターネット4への接続を許可する。
これにより、無線LANモジュール35、CPU31(無線LAN通信制御部73、通信管理部74、PHS通信制御部71)、PHSモジュール37、およびISP3を介してパーソナルコンピュータ2がインターネット4に接続される。例えば、サーバ5などからダウンロードされたデータはPHS通信制御部71により受信され、通信管理部74を介して無線LAN通信制御部73に供給された後、無線LAN通信制御部73により、無線LAN通信を介してパーソナルコンピュータ2に送信される。
ステップS4において、インターネット4への接続を終了するか否かが判定され、終了すると判定されるまで、ステップS3以降の処理が繰り返し行われる。ステップS4において、接続を終了すると判定された場合、処理は終了される。
一方、ステップS2において、無線LAN通信制御部73は、インターネット4への接続の要求がモバイルアクセスポイント1の所有者のユーザ以外のユーザからの要求であると判定した場合、ステップS5に進む。
図9の例においてはどのユーザに対しても接続が許可されるため、無線LAN通信制御部73は、ステップS5において、所有者のユーザ以外のユーザの端末に対してもインターネット4への接続を許可する。
ステップS6において、通信管理部74は、インターネット4に接続している端末の通信量を算出し、ステップS7に進み、接続を終了するか否かを判定する。
通信管理部74は、ステップS7において、接続を終了しないと判定した場合、ステップS5に戻り、それ以降の処理を繰り返し実行し、接続を終了すると判定した場合、ステップS8に進む。
ステップS8において、通信管理部74は、他のユーザにインターネット4への接続を開放したことに対して発行される特典を、算出した累計の通信量に基づいてISP3から取得する。この例においては、通信量に応じて特典が提供される。その後、処理は終了される。
以上の処理により、モバイルアクセスポイント1(無線LANモジュール35)の電波の到達範囲内にいるユーザは、自分が加入するISP事業者の制限を受けることなく、自分の端末をインターネット4に接続させることが可能になる。公衆無線LANサービスの利用可能エリアを拡大させ、利用者を増やすという観点からは、このように、何の制限もなく、インターネット4への接続が許可されることが好ましい。
図9の例においては、インターネット4に接続している端末の通信量がモバイルアクセスポイント1(通信管理部74)により管理されるとしたが、ISP3により管理される場合、ステップS6,S8の処理は行われない。また、ISP事業者#1からの特典の発行は、インターネット4への接続が終了される毎ではなく、例えば、1ヶ月毎などの所定の期間毎に、所定のタイミングで行われるようにしてもよい。
次に、図10のフローチャートを参照して、モバイルアクセスポイント1の他の接続管理処理について説明する。この例においては、モバイルアクセスポイント1の所有者が契約するISP事業者と同じISP事業者のサービスに加入するユーザに対してのみ、インターネット4への接続が許可される。
ステップS21乃至S24の処理は、図9のステップS1乃至S4の処理と同様である。すなわち、ステップS21において、インターネット4への接続の要求があったと判定された場合、ステップS22に進み、その接続の要求がモバイルアクセスポイント1の所有者による要求であるか否かが判定される。
ステップS22において、所有者による要求であると判定された場合、ステップS23に進み、インターネット4への接続が許可される。ステップS24において、インターネット4への接続を終了すると判定されるまでステップS23以降の処理が繰り返し行われ、接続を終了すると判定された場合、処理は終了される。
一方、ステップS22において、無線LAN通信制御部73は、接続の要求がモバイルアクセスポイント1の所有者のユーザ以外のユーザによる要求であると判定した場合、ステップS25に進む。
ステップS25において、認証部72は、接続を要求するユーザが加入するISP事業者の認証を行う。例えば、認証部72は、接続を要求するユーザに対してISP事業者のIDとパスワードの入力を要求し、要求に応じて入力されたIDとパスワードに基づいて認証を行う。例えば、ユーザにより入力され、認証部72により取得されたIDとパスワードがPHS通信制御部71によりISP3に送信され、認証が行われる。
ステップS26において、認証部72は、PHS通信制御部71を介して供給されてくるISP3の認証結果に基づいて、インターネット4への接続を要求するユーザが加入するISP事業者が、所有者のユーザが加入するISP事業者と同じISP事業者(ISP事業者#1)であるか否かを判定し、同じISP事業者ではないと判定した場合、処理を終了させる。この場合、インターネット4への接続が許可されないことになる。
一方、認証部72は、ステップS26において、接続を要求するユーザが加入するISP事業者が、所有者のユーザが加入するISP事業者と同じISP事業者であると判定した場合、ステップS27に進む。
ステップS27乃至S30の処理は、図9のステップS5乃至S8の処理と同様である。すなわち、ステップS27において、所有者のユーザ以外のユーザの端末に対してもインターネット4への接続が許可され、ステップS28において、通信量が算出される。
ステップS29において接続を終了すると判定された場合、ステップS30に進み、特典が取得され、その後、処理は終了される。
以上の処理により、例えば、図3を参照して説明したように、モバイルアクセスポイント1の所有者であるパーソナルコンピュータ2のユーザと同様、ISP事業者#1のサービスに加入するパーソナルコンピュータ11のユーザに対しては、インターネット4への接続が許可されることになる。
図9または図10に示す処理が、モバイルアクセスポイント1の携帯先でインターネット4への接続の要求がある毎に行われる。従って、場合によっては、複数の端末が、1つのモバイルアクセスポイント1を介してインターネット4に接続している状態になる。
次に、図11のフローチャートを参照して、少なくとも1つの端末がインターネット4に接続しているときに繰り返し行われる、モバイルアクセスポイント1のQoS管理処理について説明する。
ステップS41において、無線LAN通信制御部73のQoS管理部83は、所有者のユーザの端末がインターネット4に接続しているか否かを判定する。例えば、所有者のユーザが現在接続しているか否かの問い合わせがMACアドレス管理部81に対して行われ、問い合わせの結果に基づいて判定が行われる。
QoS管理部83は、ステップS41において、所有者のユーザの端末が接続していないと判定した場合、処理を終了させる。この場合、モバイルアクセスポイント1を介してインターネット4に接続している端末(他のユーザの端末)が複数ある場合、それぞれ同じ質の通信が提供される。
一方、QoS管理部83は、ステップS41において、所有者のユーザが接続していると判定した場合、ステップS42に進み、次に、所有者以外のユーザも接続しているか否かを判定する。
ステップS42において、QoS管理部83は、所有者以外のユーザが接続していないと判定した場合、処理を終了させる。この状態は、インターネット4に接続している端末が所有者の端末だけの状態であり、所有者の端末に高品質の通信が提供される。
一方、QoS管理部83は、ステップS42において、所有者以外のユーザも接続していると判定した場合、ステップS43に進み、所有者の端末に対して、所有者以外のユーザの端末に割り当てる帯域幅よりも広い帯域幅を、または、所有者以外のユーザの端末との通信で用いられていない帯域を割り割り当てる。すなわち、所有者のユーザに対して、所有者以外のユーザよりも高品質の通信が提供される。この質の制限は、例えば、帯域を管理するためのプロトコルであるRSVP(Resource Reservation Protocol)により実現される。
このように、通信の質を変えることによって、所有者のユーザに対しては、常に、高い質の通信が提供されることになる。仮に、他のユーザにモバイルアクセスポイント1を開放したことにより所有者自身が行っている通信の質が落ちるとした場合、その所有者は他のユーザにモバイルアクセスポイント1を開放することを避けるようになるおそれがあることから、所有者に対しては常に高い質の通信が提供されるようにすることにより、そのようなおそれを解消することができる。
次に、インターネット4への接続を制限する具体的な処理について説明する。なお、以下の接続の制限は、他のユーザにも広くモバイルアクセスポイント1を開放する場合など、必要に応じて行われないようにすることが可能である。
始めに、図12のフローチャートを参照して、MACアドレスによって接続を制限する処理について説明する。
図の右側はユーザの操作を示し、左側はモバイルアクセスポイント1の処理を示す。ここでは、ユーザが使用する端末がパーソナルコンピュータ2である場合について説明する。後述する、図14、図16、図17、および図19についても同様である。
ステップS101において、ユーザは、所定の操作を行うことによってパーソナルコンピュータ2の無線LANモジュール109を有効なものとし、ステップS102に進み、モバイルアクセスポイント1のモードをMACアドレスの登録モードに遷移させる。
この登録モードの間にモバイルアクセスポイント1に登録されたMACアドレスを有する端末のみが、モバイルアクセスポイント1との間で無線LAN通信を行うことが可能になる。例えば、ユーザは、モバイルアクセスポイント1の筐体に設けられている所定のボタンを操作することでモバイルアクセスポイント1のモードを登録モードに遷移させる。
ステップS111において、MACアドレス管理部81は、モバイルアクセスポイント1のモードをMACアドレスの登録モードに遷移させる。
ステップS112において、MACアドレス管理部81は、無線LAN機能を有する端末の探索を行い、探索により発見された端末のMACアドレスを表示する。
図13は、MACアドレスの表示の例を示す図である。
モバイルアクセスポイント1の筐体表面にはLCDなどよりなる表示部121が設けられている。例えば、「使用する端末のMACアドレスを選択」のメッセージが表示され、このメッセージの下に、探索により発見された端末のMACアドレスが一覧表示される。
図13の例においては、上から、「00−07−50−1c−aa−bb」、「00−07−50−1c−cc−dd」、「00−11−22−33−ee−ff」の3つのMACアドレスが表示されており、それぞれのMACアドレスの左側に表示されるチェックボックスにチェックをつけることで、モバイルアクセスポイント1に接続する端末を選択することができるようになされている。
ユーザは、パーソナルコンピュータ2のMACアドレスを確認し、ステップS103において、表示部121に表示されているMACアドレスの中からパーソナルコンピュータ2のMACアドレスを選択する(チェックをつける)。これにより、ユーザは、以後、パーソナルコンピュータ2とモバイルアクセスポイント1の間で無線LAN通信を行わせることが可能になる。
ステップS113において、モバイルアクセスポイント1のMACアドレス管理部81は、ユーザにより選択されたMACアドレスを保存し、ステップS114に進み、保存したMACアドレスが設定されている端末からの接続を許可する。その後、処理は終了される。
以上のように、ユーザは、一覧表示されるものの中から選択するだけの簡単な操作で、無線LAN通信を行う端末のMACアドレスを登録することができる。
次に、図14のフローチャートを参照して、時間によって接続を制限する処理の前処理であるWEPキーの設定、タイマのリセットを行う処理について説明する。なお、MACアドレスの登録は、図12に示す処理により既に行われているものとする。
パーソナルコンピュータ2をインターネット4に接続させるとき、ステップS121において、ユーザは、例えば、モバイルアクセスポイント1の筐体表面に設けられている新規接続ボタンを押す。
ステップS131において、モバイルアクセスポイント1のWEPキー管理部82は、所定のビット数のWEPキーを生成し、ステップS132においてそれを表示する。
また、WEPキー管理部82は、タイマ管理部84により管理されるタイマをリセットし、生成したWEPキーの有効時間(インターネット4への接続を制限する制限時間)の計測を開始する。
図15は、WEPキーと有効時間の表示の例を示す図である。図13と同じ部分には同じ符号を付してある。
表示部121の下には、新規に接続を行うときに操作される新規接続ボタン131、制限時間を延長するときに操作される延長ボタン132が設けられている。
図15の例においては、40ビットのWEPキーを表す「abcde」が表示されている。この表示を確認したユーザは、「abcde」のWEPキーをパーソナルコンピュータ2にも設定することにより、モバイルアクセスポイント1とパーソナルコンピュータ2の間で行われる無線LAN通信が他のユーザに傍受されたりするのを防止することができる。WEPキーはWEPキー管理部82により保存され、それ以降のパーソナルコンピュータ2との通信に用いられる。
また、図15の例においては、「4H有効です」のメッセージも表示部121が表示されており、そのメッセージの上に表示されているWEPキーが4時間だけ有効であるとされている。
以上においては、WEPキーを設定する処理について説明したが、必要に応じてSSID(Service Set ID)の設定も行われる。なお、WEPキーの設定等が、Zero Configuration Networking(いわゆるZeroconf)に基づく設定技術により自動的に行われるようにしてもよい。
次に、図16のフローチャートを参照して、図14の処理に続く処理について説明する。
ステップS141において、WEPキー管理部82は、例えば、図14の処理で計測を開始した時間が制限時間を経過したか否かを判定し、経過したと判定した場合、ユーザに時間切れを通知する。この通知は、モバイルアクセスポイント1からパーソナルコンピュータ2に所定のメッセージが送信され、パーソナルコンピュータ2の画面(出力部107)にメッセージが表示されることにより行われるようにしてもよいし、モバイルアクセスポイント1の表示部121にメッセージが表示されることにより行われるようにしてもよい。
なお、計測を開始してからの時間が制限時間を経過していないと判定された場合、インターネット4への接続は継続される。
ユーザに時間切れを通知した後、ステップS142において、WEPキー管理部82は猶予時間をタイマ管理部84に設定し、猶予時間の計測を開始させる。
ステップS143において、WEPキー管理部82は、タイマ管理部84からの出力に基づいて猶予時間が経過したか否かを判定し、経過したと判定した場合、パーソナルコンピュータ2との間で行われていた無線LAN通信を切断する。これにより、パーソナルコンピュータ2によるインターネット4への接続は終了される。
一方、WEPキー管理部82は、ステップS143において、計測を開始してからの時間が猶予時間を経過していないと判定した場合、延長ボタン132が操作されたか否かを判定する。この例においては、最初に設定される制限時間の経過後に設定される猶予時間内であれば、ユーザは、制限時間を延長することができるようになされている。
ステップS151において延長ボタン132が押されたとき、ステップS144において、WEPキー管理部82は、タイマをリセットさせ、制限時間を延長させるとともに、インターネット4への接続を継続させる。
次に、図17のフローチャートを参照して、場所によって接続を制限する処理の前処理である現在位置の取得、WEPキーの設定を行う処理について説明する。
この例においては、WEPキーの設定が図14に示すような処理により既に行われている場合、生成されたWEPキーが、その生成したときの現在位置の情報(GPSモジュール34により取得される現在位置の情報)に対応付けてWEPキー管理部82によりEEPROM32などに記憶されているものとする。また、WEPキーの使用回数にも制限が設けられているものとする。
ステップS161においてユーザにより新規接続ボタン131が押されたとき、ステップS171において、測位制御部85は、GPSモジュール34を制御し、現在位置を表す位置情報(緯度経度情報)を取得する。測位制御部85により取得された位置情報はWEPキー管理部82に出力される。
ステップS172において、WEPキー管理部82は、測位制御部85から供給されてきた位置情報に対応付けて管理しているWEPキーと、そのWEPキーに設定されている残りの使用可能回数を例えばEEPROM32から読み出す。
ステップS173において、WEPキー管理部82は、WEPキーが存在し(WEPキーが既に設定されており)、かつ、使用可能回数が残っているか否かを判定し、WEPキーが存在し、かつ、使用可能回数が残っていると判定した場合、その読み出したWEPキーを、今回の無線LAN通信で使用するWEPキーとする。
一方、WEPキー管理部82は、WEPキーが存在しない、または、使用可能回数が残っていないと判定した場合、ステップS174において、WEPキーを新規に生成し、ステップS175に進み、生成したWEPキーと場所を表示する。生成されたWEPキーは、現在位置に対応付けて使用可能回数とともに記憶され、現在位置を含む所定の範囲内にモバイルアクセスポイント1がある場合にのみ有効なものとされる。
図18は、WEPキーと場所の表示の例を示す図である。
WEPキーの表示は図15の表示と同様である。図18の例においては、WEPキーの表示の下には、現在位置の緯度経度が表示され、この緯度経度で特定される位置を含む所定の範囲でのみモバイルアクセスポイント1を用いてインターネット4に接続することが可能とされる。図18の例においては、現在位置が「N35°41’49.3” E139°38’21.2”」とされている。
次に、図19のフローチャートを参照して、図17の処理に続く処理について説明する。
ステップS181において、WEPキー管理部82は、直前の測位により得られた現在位置から移動したか否かを判定する。すなわち、測位制御部85による測位は、所定の周期で行われ、その測位結果がWEPキー管理部82に繰り返し出力されている。
GPSによる測位の誤差を約20mとする場合、直前の測位により得られた位置からその誤差の範囲を超えて移動したことが検出されたとき、または、その誤差の数倍の範囲(例えば、40m乃至100mの範囲)を超えて移動したとき、場所が移動したものと判定される。
WEPキー管理部82は、ステップS181において、場所が移動したと判定した場合、その移動後の現在位置に対応付けて管理しているWEPキーとWEPキーの使用可能回数を読み出す。
ステップS182において、WEPキー管理部82は、WEPキーが存在し、使用可能回数が残っているか否かを判定し、WEPキーが存在し、かつ使用可能回数が残っていると判定した場合、読み出したWEPキーを、無線LAN通信で用いるキーとして設定する。すなわち、移動後の場所においてもWEPキーを登録しているユーザのみが、場所の移動があった場合でもインターネット4に接続することが可能になる。
一方、ステップS183において、WEPキーを読み出すことができない、または、使用可能回数が残っていないと判定した場合、WEPキー管理部82は、無線LAN通信を切断する。これにより、例えば、パーソナルコンピュータ2によるインターネット4への接続は終了される。
このように、ユーザが加入するISP事業者だけではなく、時間や場所などの様々な条件によってインターネット4への接続を制限するようにすることができる。
また、モバイルアクセスポイント1がISP事業者により定められた所定の位置(所定のエリア内)に携帯されているときにのみ、モバイルアクセスポイント1を介してインターネット4に接続することが可能になるようにしてもよい。例えば、そのようなエリアを、固定のアクセスポイントでカバーできていないエリアに設定することにより、ISP事業者は、設置済みの固定のアクセスポイントでカバーできるエリア以外の任意のエリアに公衆無線LANサービスの利用可能エリアをモバイルアクセスポイントで設定することができることになる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば、汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
この記録媒体は、図8に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(登録商標)(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア111により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM102や、記憶部108に含まれるハードディスクなどで構成される。
なお、本明細書において、各ステップは、記載された順序に従って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表わすものである。
1 モバイルアクセスポイント, 2 パーソナルコンピュータ, 3 ISP, 4 インターネット, 34 GPSモジュール, 35 無線LANモジュール, 37 PHSモジュール, 71 PHS通信制御部, 72 認証部, 73 無線LAN通信制御部, 74 通信管理部, 81 MACアドレス管理部, 82 WEPキー管理部, 83 QoS管理部, 84 タイマ管理部, 85 測位制御部