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JP4591403B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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JP4591403B2
JP4591403B2 JP2006125483A JP2006125483A JP4591403B2 JP 4591403 B2 JP4591403 B2 JP 4591403B2 JP 2006125483 A JP2006125483 A JP 2006125483A JP 2006125483 A JP2006125483 A JP 2006125483A JP 4591403 B2 JP4591403 B2 JP 4591403B2
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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
自動車などに搭載される内燃機関、特にディーゼルエンジン(圧縮着火内燃機関)に対し、スモークなどに代表される微粒子(PM:Particulate Matter)や窒素酸化物(NOx)の大気中への放出を一層抑制することが要求されている。このような要求に応えるため、例えば、PMを捕集するDPF(Diesel Particulate Filter)や、吸蔵還元型あるいは選択還元型のNOx触媒、PMとNOxを同時に低減するDPNR(Diesel Particulate-NOx-Reduction system)などの排気浄化装置(後処理装置)を利用することが行われている。
DPFやDPNRでは、PMが蓄積するとエンジンの背圧が上昇してしまうため、蓄積したPMを定期的に燃焼させて除去する必要がある。この処理をPM再生という。PM再生を行う際には、DPF、DPNR等を例えば600℃程度の高温にする必要がある。
また、NOx触媒やDPNRには、排気ガス中に含まれるSOx(硫黄酸化物)が吸着される。そのような硫黄分が蓄積すると、NOx触媒やDPNRが被毒して浄化能力が低下するので、吸着された硫黄分を定期的に離脱させる必要がある。この処理をS被毒再生という。S被毒再生を行うには、NOx触媒やDPNRを例えば650〜700℃程度の高温にする必要がある。
このように、排気浄化装置のPM再生やS被毒再生などを行う場合には、排気浄化装置を高温にする必要がある。ところが、軽負荷域や中負荷域においては、排気温度が低いため、排気浄化装置が再生に必要な温度になっていないのが普通である。このため、軽中負荷域でPM再生やS被毒再生を行う際には、排気通路にHC(未燃燃料)と酸素とを流通させ、HCを排気浄化装置で燃焼させることで、排気浄化装置の温度を上げる必要がある。
排気通路にHCを流通させる方法としては、筒内での燃焼が終了した後にインジェクタから燃料を追加的に噴射する方法(ポスト噴射)や、排気通路に設けた燃料添加弁から排気ガス中に燃料を噴射する方法がある。しかしながら、ポスト噴射の場合には、エンジンオイルが希釈し易いという問題があり、燃料添加弁を用いる場合には、構造が複雑化してコストが高くなり易いという問題がある。
ところで、ディーゼルエンジンにおいて、EGR率を高めることで空燃比を低下(リッチ化)させていくと、スモークは、当初は増加していくが、その後急激に減少することが知られている。これは、大量EGR(Exhaust Gas Recirculation)により、スモークが生成されないような温度まで燃焼温度が下がるためであると考えられている。このように、大量EGRを行うことで、スモークを排出することなく、理論空燃比に近い空燃比、あるいは理論空燃比よりもリッチな空燃比でディーゼルエンジンを運転することができる。このような技術を以下「リッチ燃焼」という。
リッチ燃焼を行っているときには、通常のリーン燃焼を行っている場合とは異なり、ディーゼルエンジンの排気ガス中に多量のHCが含まれている。そこで、排気通路にHCと酸素とを流通させる方法として、このリッチ燃焼を利用する方法が考えられる。つまり、一部の気筒でリッチ燃焼を行い、他の気筒で通常のリーン燃焼を行えば、リッチ燃焼を行う気筒からの排出ガスにはHCが多量に含まれ、リーン燃焼を行う気筒からの排出ガスには酸素が多量に含まれることとなる。よって、リッチ燃焼とリーン燃焼とを混在させる運転を行えば、ポスト噴射や、排気ガス中への燃料添加弁を利用することなく、排気通路にHCと酸素とを流通させることができ、有用である。
特開2001−152842号公報には、4気筒の火花点火内燃機関において、第1〜第3気筒をリーン空燃比のリーン気筒とし、第4気筒をリッチ空燃比のリッチ気筒とした上で、リーン気筒のみ、あるいはリッチ気筒のみに外部EGR通路を設け、リーン気筒とリッチ気筒との発生トルクが等しくなるように、リーン気筒のみ、あるいはリッチ気筒のみに還流させる外部EGRの量を制御するシステムが開示されている。
特開2001−152842号公報 特開2000−54900号公報 特開2001−329872号公報 特開平9−126004号公報
上記公報に開示されたシステムは、火花点火内燃機関を対象とするものである。これに対し、例えばディーゼルエンジンにおいて、リッチ燃焼とリーン燃焼とを混在させて運転する場合には、火花点火内燃機関の場合とは異なる事情が存在する。本発明者らの知見によれば、この場合、次のような問題が生ずると考えられる。
ディーゼルエンジンにおいては、リッチ燃焼を行う気筒だけでなく、通常のリーン燃焼を行う気筒にも、NOx排出量低減等の目的で、EGRを行うことが必要である。そして、リッチ燃焼とリーン燃焼とを混在させて運転している状態では、排気ガス中のHC濃度が周期的に変動する。つまり、リッチ燃焼気筒の排気行程時にはHC濃度が高くなり、リーン燃焼気筒の排気行程時にはHC濃度が低くなる。この状態で、外部EGR通路を通して一部の排気ガス(外部EGRガス)を吸気通路に戻すと、排気ガス中のHC濃度の変動に伴って、吸気中のHC濃度も変動することとなる。
吸気中のHC濃度が変動すると、ディーゼルエンジンの発生するトルクも、それに伴って変動するので、トルク変動が大きくなり易い。特に、リーン燃焼気筒とリッチ燃焼気筒とでは、吸気中のHC濃度が高くなった場合のトルクの変化が反対向きに現れる。すなわち、吸気中のHC濃度が高くなった場合、酸素の豊富なリーン燃焼気筒においては、燃焼する燃料量が増加することになるので、トルクが増大するのに対し、酸素の少ないリッチ燃焼気筒においては、失火し易くなるため、トルクが減少する。このため、HC濃度が高くなったときの外部EGRガスが、リーン燃焼気筒に入るかリッチ燃焼気筒に入るかによって、エンジン全体のトルクが大きく変化することになる。
そして、外部EGRガスは、外部EGR通路を通過するのに要する時間だけ遅れて吸気に混合するが、その遅れはエンジン回転数や負荷によって異なる。このため、リッチ燃焼気筒から排出されたHC濃度の高い外部EGRガスは、リーン燃焼気筒とリッチ燃焼気筒とにランダムに還流することになる。その結果、エンジン全体のトルクがランダムに大きく変動し易くなる。また、HC濃度の高い外部EGRガスがどの気筒に還流するかを予測することは極めて困難であるため、このようなトルク変動は、燃料噴射量の補正等によって抑制することも事実上不可能である。
また、外部EGR通路を気筒毎に独立して設けることとすれば、上記のような問題を回避することは可能であるが、吸排気系の構造が複雑化・大型化するため、実際上はそのような構成を採用することは困難である。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、内燃機関においてリッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとを混在させるリッチリーン制御の実行時に、トルク変動を抑制することのできる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続する外部EGR通路と、
前記外部EGR通路を通って還流する外部EGRの量を可変とする外部EGR量可変手段と、
前記外部EGR通路を通らずに前記内燃機関の内部において生ずる内部EGRの量を可変とする内部EGR量可変手段と、
空燃比を理論空燃比よりリーンにするリーン燃焼サイクルと、EGR率および燃料噴射量を前記リーン燃焼サイクルと異ならせることで空燃比を前記リーン燃焼サイクルに比して相対的にリッチにするリッチ燃焼サイクルとを、同一気筒において周期的に切り替えるか、あるいは、それぞれ別々の気筒において継続させるリッチリーン制御を行うリッチリーン制御手段と、
を備え、
前記リッチリーン制御手段は、前記リッチリーン制御実行時の外部EGR率を所定の上限値以下に制限し、前記リーン燃焼サイクルおよび前記リッチ燃焼サイクルの各々に必要なEGR量の残りを内部EGRで賄うように前記外部EGR量可変手段および前記内部EGR量可変手段の状態を制御するEGR制御手段を含むことを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記所定の上限値は、前記リッチ燃焼サイクルの排気が外部EGRにより還流して吸気に混合することで吸気中のHC濃度が高くなった場合に、前記リッチ燃焼サイクルと前記リーン燃焼サイクルとのトルク差が許容範囲内となるように定められた値であることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1の発明において、
前記EGR制御手段は、前記リッチリーン制御実行時の外部EGR率をほぼゼロとすることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明の何れかにおいて、
前記内部EGR量可変手段は、吸気弁と排気弁との正または負のバルブオーバーラップの大きさを気筒毎、気筒群毎、またはサイクル毎に可変とする可変動弁機構で構成されることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1乃至第4の発明の何れかにおいて、
前記内燃機関の排気通路に配置された排気浄化装置を更に備え、
前記リッチリーン制御手段は、前記排気浄化装置の再生が要求されている場合に、前記リッチリーン制御を実行することを特徴とする。
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明の何れかにおいて、
前記リッチリーン制御手段は、前記内燃機関の負荷に応じて、低負荷側の領域では、前記リッチ燃焼サイクルのトルクと前記リーン燃焼サイクルのトルクとが等しくなるように各々のEGR率および燃料噴射量を制御し、高負荷側の領域では、前記リーン燃焼サイクルのトルクが前記リッチ燃焼サイクルのトルクより大きくなるように各々のEGR率および燃料噴射量を制御するトルク制御手段を含むことを特徴とする。
また、第7の発明は、第1乃至第6の発明の何れかにおいて、
前記リッチリーン制御手段は、前記内燃機関の負荷あるいは排気ガス温度に応じて、高負荷側あるいは高排気ガス温度側の領域においては、前記リーン燃焼サイクルと前記リッチ燃焼サイクルとをそれぞれ別々の気筒において継続させるモードとし、低負荷側あるいは低排気ガス温度側の領域においては、前記リーン燃焼サイクルと前記リッチ燃焼サイクルとを同一気筒において周期的に切り替えるモードとするモード切替手段を含むことを特徴とする。
また、第8の発明は、第1乃至第7の発明の何れかにおいて、
吸気弁の閉時期を可変とする可変動弁機構と、
前記リッチリーン制御実行時に、前記リッチ燃焼サイクルでの吸気弁閉時期を前記リーン燃焼サイクルでの吸気弁閉時期に比して遅くするリッチ燃焼サイクル吸気弁遅閉じ手段と、
を更に備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、内燃機関において、空燃比を理論空燃比よりリーンにするリーン燃焼サイクルと、EGR率および燃料噴射量をリーン燃焼サイクルと異ならせることで空燃比を相対的にリッチにするリッチ燃焼サイクルとを、同一気筒において周期的に切り替えるか、あるいは、それぞれ別々の気筒において継続させるリッチリーン制御を行うことができる。そして、リッチリーン制御実行時には、外部EGR率を所定の上限値以下に制限し、リーン燃焼サイクルおよびリッチ燃焼サイクルの各々に必要なEGR量の残りを内部EGRで賄うように外部EGR量可変手段および内部EGR量可変手段の状態を制御することができる。リッチリーン制御実行時には、外部EGRガス中のHC濃度の周期的に変動する。そして、HC濃度の高い外部EGRガスがリーン燃焼サイクルに流入するとトルクが増大するのに対し、HC濃度の高い外部EGRガスがリッチ燃焼サイクルに流入するとトルクが減少するという特性がある。このため、リッチリーン制御実行時の外部EGR率が高いと、トルク変動が大きくなり易いという問題がある。第1の発明によれば、リッチリーン制御実行時の外部EGR率を制限することで、内燃機関のトルク変動が過大になることを確実に防止することができる。
第2の発明によれば、リッチリーン制御実行時の外部EGR率の上限値を、リッチ燃焼サイクルの排気が外部EGRにより還流して吸気に混合することで吸気中のHC濃度が高くなった場合に、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとのトルク差が許容範囲内となるように定めることができる。これにより、リッチリーン制御実行時の内燃機関のトルク変動を許容値以下により確実に抑えることができる。
第3の発明によれば、リッチリーン制御実行時の外部EGR率をほぼゼロとすることができる。これにより、リッチリーン制御実行時の外部EGRに起因する内燃機関のトルク変動を完全に排除することができるので、トルク変動を特に小さくすることができる。
第4の発明によれば、内部EGR量可変手段は、吸気弁と排気弁との正または負のバルブオーバーラップの大きさを気筒毎、気筒群毎、またはサイクル毎に可変とする可変動弁機構で構成することができる。これにより、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとの各々において、内部EGR量を精度良く制御することができる。
第5の発明によれば、内燃機関の排気通路に配置された排気浄化装置の再生が要求されている場合に、リッチリーン制御を実行することができる。リッチリーン制御によれば、ポスト噴射や、排気ガス中への燃料添加等の方法をとることなく、広い運転領域で、排気浄化装置の再生を行うことができる。
第6の発明によれば、リッチリーン制御実行時、低負荷側の領域では、リッチ燃焼サイクルのトルクとリーン燃焼サイクルのトルクとが等しくなるように各々のEGR率および燃料噴射量を制御し、高負荷側の領域では、リーン燃焼サイクルのトルクがリッチ燃焼サイクルのトルクより大きくなるように各々のEGR率および燃料噴射量を制御することができる。これにより、低負荷側の領域では、内燃機関のトルク変動を更に小さくすることができるとともに、高負荷側の領域においてもリッチ燃焼を実行可能とすることができる。
第7の発明によれば、高負荷側あるいは高排気ガス温度側の領域においては、リーン燃焼サイクルとリッチ燃焼サイクルとをそれぞれ別々の気筒において継続させ、低負荷側あるいは低排気ガス温度側の領域においては、リーン燃焼サイクルとリッチ燃焼サイクルとを同一気筒において周期的に切り替えることができる。これにより、高負荷側あるいは高排気ガス温度側の領域において、リッチ燃焼サイクルの筒内温度が高くなり過ぎることを確実に回避することができ、スモークの排出を確実に防止することができる。また、低負荷側あるいは低排気ガス温度側の領域において、リッチ燃焼サイクルの筒内温度が低くなり過ぎることを確実に回避することができ、失火の発生を抑制して、燃焼を安定化させることができる。
第8の発明によれば、リッチリーン制御実行時に、リッチ燃焼サイクルでの吸気弁閉時期をリーン燃焼サイクルでの吸気弁閉時期に比して遅くすることができる。これにより、リッチ燃焼サイクルの筒内温度が高くなり過ぎることを確実に回避することができ、スモークの排出を確実に防止することができる。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態1.
[システム構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。図1に示すシステムは、4サイクルのディーゼルエンジン(圧縮着火内燃機関)10を備えている。ディーゼルエンジン10は、車両に搭載され、その動力源とされているものとする。本実施形態のディーゼルエンジン10は、#1〜#4の4つの気筒を有する直列4気筒型であるものとするが、本発明におけるディーゼルエンジンの気筒数および気筒配置はこれに限定されるものではない。
ディーゼルエンジン10の各気筒には、燃料を筒内に直接噴射するインジェクタ12が設置されている。各気筒のインジェクタ12は、共通のコモンレール14に接続されている。図示しない燃料タンク内の燃料は、サプライポンプ16によって所定の燃圧まで加圧されて、コモンレール14内に蓄えられ、コモンレール14から各インジェクタ12に供給される。
ディーゼルエンジン10の排気通路18は、排気マニホールド20により枝分かれして、各気筒の排気ポート22(図2参照)に接続されている。本実施形態のディーゼルエンジン10は、ターボ過給機24を備えている。排気通路18は、ターボ過給機24の排気タービンに接続されている。
排気通路18の、ターボ過給機24より下流側には、排気ガスを浄化する排気浄化装置26が設けられている。排気浄化装置26としては、例えば、酸化触媒、吸蔵還元型または選択還元型のNOx触媒、DPF(Diesel Particulate Filter)、DPNR(Diesel Particulate-NOx-Reduction system)のうちの一つ、またはこれらの組み合わせなどを用いることができる。
ディーゼルエンジン10の吸気通路28の入口付近には、エアクリーナ30が設けられている。エアクリーナ30を通って吸入された空気は、ターボ過給機24の吸気圧縮機で圧縮された後、インタークーラ32で冷却される。インタークーラ32を通過した吸入空気は、吸気マニホールド34により、各気筒の吸気ポート35(図2参照)に分配される。
吸気通路28の、インタークーラ32と吸気マニホールド34との間には、吸気絞り弁36が設置されている。また、吸気通路28の、エアクリーナ30の下流近傍には、吸入空気量を検出するエアフローメータ38が設置されている。
吸気通路28の吸気マニホールド34の近傍には、外部EGR通路40の一端が接続されている。外部EGR通路40の他端は、排気通路18の排気マニホールド20近傍に接続されている。本システムでは、この外部EGR通路40を通して、排気ガス(既燃ガス)の一部を吸気通路28に還流させること、つまり外部EGR(Exhaust Gas Recirculation)を行うことができる。以下、外部EGR通路40を通って還流する排気ガスのことを「外部EGRガス」と称する。
外部EGR通路40の途中には、外部EGRガスを冷却するためのEGRクーラ42が設けられている。外部EGR通路40におけるEGRクーラ42の下流には、EGR弁44が設けられている。このEGR弁44の開度を変えることにより、外部EGR通路40を通る排気ガス量、すなわち外部EGR量を調整することができる。
吸気通路28の、吸気絞り弁36の下流側には、吸気圧を検出する吸気圧センサ46が設置されている。また、排気通路18には、排気ガスの温度を検出する排気温センサ47が設置されている。更に、本システムは、アクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ48を備えている。
そして、本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50には、上述した各種のセンサおよびアクチュエータが接続されている。ECU50は、各センサの出力に基づき、所定のプログラムに従って各アクチュエータを駆動させることにより、ディーゼルエンジン10の運転状態を制御する。
図2は、図1に示すシステムにおけるディーゼルエンジン10の一つの気筒の断面を示す図である。以下、ディーゼルエンジン10について更に説明する。図2に示すように、ディーゼルエンジン10のクランク軸60の近傍には、クランク軸60の回転角度(クランク角)を検出するクランク角センサ62が取り付けられている。このクランク角センサ62は、ECU50に接続されている。
また、ディーゼルエンジン10には、吸気弁52を駆動する吸気可変動弁機構54と、排気弁56を駆動する排気可変動弁機構58とが備えられている。これら吸気可変動弁機構54および排気可変動弁機構58は、ECU50に接続されている。吸気可変動弁機構54および排気可変動弁機構58の具体的構成は、特に限定されないが、例えば、任意のタイミングで開閉可能な電磁駆動弁や油圧駆動弁などを用いることができる。あるいは、吸気弁52や排気弁56を駆動するカム(図示せず)の位相を連続的に可変とする機構などの、機械的な機構を用いるものであってもよい。
[実施の形態1の特徴]
(バルブオーバーラップによる内部EGR)
本実施形態のディーゼルエンジン10では、吸気可変動弁機構54および排気可変動弁機構58により、吸気弁52と排気弁56との負のバルブオーバーラップの大きさを連続的に変化させることができる。図3は、負のバルブオーバーラップを説明するための図である。図3に示すように、負のバルブオーバーラップとは、排気弁56が閉じた後、吸気弁52が開くまでの間、吸気弁52および排気弁56が共に閉じている状態のことである。
図3中の細い曲線は、負のバルブオーバーラップを設けない場合の吸気弁52および排気弁56のバルブリフト線図である。この状態から、排気弁56の閉時期を早くするとともに、吸気弁52の開時期を遅くすることにより、負のバルブオーバーラップを生じさせることができる。図3中の太い曲線は負のバルブオーバーラップを生じさせた場合の吸気弁52および排気弁56のバルブリフト線図である。排気弁56の閉時期や吸気弁52の開時期を変える度合いによって、負のバルブオーバーラップの大きさ(期間)を変えることができる。
負のバルブオーバーラップを生じさせると、筒内の既燃ガスが排気ポート22に流出しきらないうちに排気弁56が閉じられる。排気ポート22に排出されなかった既燃ガスは、そのまま筒内に残存するか、あるいは、吸気弁52の開弁に伴って一旦吸気ポート35に出た後、ピストン64の下降によって新気と共に筒内に吸入される。負のバルブオーバーラップを生じさせた場合には、このようにして内部EGRを行うことができる。そして、負のバルブオーバーラップを大きくするほど、内部EGR量を多くすることができる。以下では、この内部EGRによって還流する排気ガスのことを「内部EGRガス」と称する。
なお、図3に示すように、本実施形態では、負のバルブオーバーラップの大きさを変えるのに伴って排気弁56の開時期および吸気弁52の閉時期も変化するようにしているが、排気弁56の開時期や吸気弁52の閉時期を変えずに負のバルブオーバーラップの大きさを変更するようにしてもよい。また、本実施形態では、排気弁56の閉時期と吸気弁52の開時期との双方を変えることで負のバルブオーバーラップの大きさを変更するようにしているが、排気弁56の閉時期と吸気弁52の開時期との何れか一方の変更で負のバルブオーバーラップの大きさを変更するようにしてもよい。この場合には、ディーゼルエンジン10は、吸気可変動弁機構54と排気可変動弁機構58との何れか一方のみを備えるものであってもよい。更に、本発明では、吸気弁52および排気弁56が共に開いた状態となる通常のバルブオーバーラップ(正のバルブオーバーラップ)を生じさせることで内部EGRを行い、その正のバルブオーバーラップの大きさを変更することで内部EGR量を調節するようにしてもよい。
上述したように、本実施形態のディーゼルエンジン10では、外部EGRおよび内部EGRを行うことが可能である。EGRを行うことで、燃焼温度を下げることができるので、NOxの排出を抑えることができる。
(リッチ燃焼)
このようなディーゼルエンジン10において、筒内に流入するガスのうち、外部EGRガスと内部EGRガスとを合わせたEGRガスの占める割合、つまりEGR率を高めていくと、筒内の空燃比A/Fは、低下(リッチ化)していく。この場合、空燃比A/Fは、筒内に流入した新気の量と、筒内に流入したEGRガス中に残存する空気量(未消費の酸素量に対応する空気量)とを合わせた総空気量と、インジェクタ12からの燃料噴射量とで定まることとなる。
ディーゼルエンジン10では、EGR率を高めて大量EGRを行うことで、スモークが生成されないような温度にまで筒内温度を下げた燃焼を行うことができるようになっている。このような燃焼を本明細書では「リッチ燃焼」と称する。リッチ燃焼における空燃比A/Fは、ディーゼルエンジンの通常の燃焼(リーン燃焼)に比して、大幅に低下(リッチ化)している。
本発明において、リッチ燃焼時の空燃比A/Fは、理論空燃比以下の値、つまり理論空燃比またはそれよりリッチな値になっていてもよいが、理論空燃比よりは大きい値、つまり理論空燃比よりはリーンな値(例えば15〜17程度)になっていてもよい。つまり、「リッチ燃焼」における「リッチ」とは、「理論空燃比よりリッチ」という意味ではなく、後述するリーン燃焼に比して「相対的にリッチ」という意味である。
(リッチリーン制御)
上記リッチ燃焼よりEGR率を低くして、筒内の空気量を多くすると、空燃比A/Fが大きく(リーンに)なる。本明細書では、空燃比A/Fが、リッチ燃焼の空燃比A/Fより大きく、かつ、理論空燃比よりも大きい燃焼のことを「リーン燃焼」と称する。そして、本実施形態のシステムでは、リッチ燃焼を行うリッチ燃焼サイクルと、リーン燃焼を行うリーン燃焼サイクルとを混在させてディーゼルエンジン10を運転可能になっている。以下、リッチ燃焼サイクルと、リーン燃焼サイクルとを混在させる制御を「リッチリーン制御」と称する。
図4は、空燃比A/Fと、その空燃比A/Fでの燃焼によって排出される排気ガス中に含まれるHCの濃度との関係を示す図である。同図に示すように、空燃比A/Fが低くなるほど、排気ガス中のHC濃度は高くなる。このため、リッチ燃焼の排気ガス中には、多量のHCが含まれている。一方、リーン燃焼の排気ガス中には、酸素が豊富に含まれている。このため、リッチリーン制御を行うことにより、排気通路18に、HCと酸素とを豊富に含んだ排気ガスを流通させることができる。
図5は、リッチリーン制御を行う場合の各気筒の燃焼モードの例を説明するための図である。本実施形態では、リッチリーン制御を行うとき、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとを、同一気筒において周期的に切り替えるようにしてもよいし、あるいは、それぞれ別々の気筒において継続させるようにしてもよい。
図5中のパターン1は、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとをそれぞれ別々の気筒において継続させる場合の例であり、ディーゼルエンジン10の4つの気筒のうち、#1および#4気筒ではリッチ燃焼サイクルを連続して行い、#2および#3気筒ではリーン燃焼サイクルを連続して行うようにしている。
この場合、リッチ燃焼サイクルを継続する気筒の数と、リーン燃焼サイクルを継続する気筒の数とは、同じでなくてもよい。例えば、図5中のパターン2のように、#1でリッチ燃焼サイクルを連続して行い、#2、#3および#4気筒でリーン燃焼サイクルを連続して行うようにしてもよい。
これらの場合においては、リッチ燃焼サイクルを継続する気筒の内部EGR量を、リーン燃焼サイクルを継続する気筒の内部EGR量より多くすることで、前者の気筒のEGR率を後者の気筒のEGR率より高くするようにすればよい。よって、この場合には、吸気可変動弁機構54および排気可変動弁機構58は、リッチ燃焼サイクルを継続する気筒または気筒群と、リーン燃焼サイクルを継続する気筒または気筒群とで、負のバルブオーバーラップの大きさを別々に変えられるようになっていればよい。
一方、図5中のパターン3は、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとを、同一気筒において周期的に切り替える場合の例であり、#1および#4気筒において、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとを交互に(つまり1サイクル毎に切り替えて)行うようにしている。そして、#2および#3気筒ではリーン燃焼サイクルを連続して行うようにしている。
この場合、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとの切り替えは、1サイクル毎でなく、複数サイクル毎であってもよい。また、図5中のパターン4のように、全気筒においてリッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとを周期的に切り替えるようにしてもよい。
同一気筒においてリッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとをサイクル毎に切り替える場合には、内部EGR量をサイクル毎に変えることで、EGR率をサイクル毎に変えるようにすればよい。すなわち、この場合には、吸気可変動弁機構54および排気可変動弁機構58は、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとをサイクル毎に切り替える気筒の負のバルブオーバーラップの大きさをサイクル毎に変えられるようになっていればよい。
ところで、リッチリーン制御を行う場合、ディーゼルエンジン10のトルク変動を可能な限り小さくするためには、リッチ燃焼サイクルのトルクとリーン燃焼サイクルのトルクとが等しくなるようにするのが好ましい。その一方で、リッチ燃焼を成立させるには、大量EGRが必要であるので、筒内に吸入できる空気量がその分だけ少なくなる。よって、リッチ燃焼サイクルでは、リーン燃焼サイクル(通常のサイクル)と比べて、筒内で燃焼させることのできる燃料量の上限が低くなるため、発生可能なトルクの上限も低くなる。
そこで、本実施形態では、リッチリーン制御を行う場合、ディーゼルエンジン10に要求されるトルクが、リッチ燃焼サイクルの上限トルクに全気筒数を乗じた値以下である場合には、リッチ燃焼サイクルのトルクとリーン燃焼サイクルのトルクとが等しくなるように、各々のEGR率および燃料噴射量を制御するようにした。
なお、リッチ燃焼サイクルのトルクとリーン燃焼サイクルのトルクとを等しくするには、リッチ燃焼サイクルの燃料噴射量をリーン燃焼サイクルの燃料噴射量より多くすることが必要である。これは、リッチ燃焼サイクルでは、燃焼が緩慢になるために熱効率が低下するからである。
一方、リッチリーン制御を行う場合に、ディーゼルエンジン10に要求されるトルクが、リッチ燃焼サイクルの上限トルクに全気筒数を乗じた値を超える場合には、リッチ燃焼サイクルではその上限トルクを発生させるとともに、リーン燃焼サイクルではリッチ燃焼サイクルの上限トルクを超えるトルクを発生させるように、各々のEGR率および燃料噴射量を制御するようにした。このようにすることで、ディーゼルエンジン10に要求されるトルクが、リッチ燃焼サイクルの上限トルクに全気筒数を乗じた値を超えるような領域、つまり中高負荷の領域であっても、リッチ燃焼を行うことができる。
上述したようなリッチリーン制御によれば、次のような利点がある。第1の利点としては、軽中負荷域において排気浄化装置26の温度を上昇させることができる。排気浄化装置26に蓄積されたPM(Particulate Matter)を燃焼させて除去するPM再生を行う場合や、排気浄化装置26に吸着された硫黄分を離脱させるS被毒再生を行う場合には、排気浄化装置26を高温の状態にする必要があるが、排気温度の低い軽中負荷域においては、排気浄化装置26がそのような高温状態になっていないのが普通である。本発明では、このような場合にリッチリーン制御を行うことにより、排気浄化装置26に多量のHCと酸素とを供給し、そのHCを排気浄化装置26で燃焼させることで、排気浄化装置26の温度をPM再生やS被毒再生可能な温度に上昇させることができる。
上記のように、排気浄化装置26の昇温を目的としてリッチリーン制御を行う場合には、リッチ燃焼サイクルの空燃比A/Fは、理論空燃比よりリッチでもよいし、理論空燃比よりリーンでもよい。
なお、リッチ燃焼サイクルの空燃比A/Fが理論空燃比よりリーンである場合には、リッチ燃焼サイクル自身の排気ガス中にも酸素が含まれているので、仮に全気筒でリッチ燃焼サイクルを継続したとしても、酸素と多量のHCとが排気浄化装置26に供給される。このため、この場合でも、単純に考えると、排気浄化装置26を昇温することができるようにも思える。しかしながら、この場合には、全体としての酸素濃度が低いため、排気浄化装置26でHCを効率良く燃焼させることができず、その結果、排気浄化装置26の温度を十分に上昇させることはできない。これに対し、リッチリーン制御を行った場合には、リーン燃焼サイクルを混在させることによって排気浄化装置26に多量の酸素を供給することができるので、HCを高い効率で燃焼させることができ、排気浄化装置26の温度を十分に上昇させることができる。
リッチリーン制御の第2の利点としては、中高負荷域でのS被毒再生が可能となる。S被毒再生を行う際には、排気浄化装置26内に理論空燃比以下のリッチな排気ガスを供給することが要求されるが、全気筒でリッチ燃焼サイクルを継続することとすると、前述したように、ディーゼルエンジン10の発生可能トルクが、リッチ燃焼サイクルの上限トルクに全気筒数を乗じた値に制限されてしまう。このため、中高負荷域では、全気筒リッチ燃焼継続運転でS被毒再生を行うことができない場合が多い。これに対し、リッチリーン制御によれば、リーン燃焼サイクルで大トルクを稼ぎつつ、リッチ燃焼サイクルによってリッチな排気ガスを供給することができるので、中高負荷域でのS被毒再生が可能となる。なお、S被毒再生時には、リッチ燃焼サイクルの空燃比A/Fを、理論空燃比よりもリッチな値にするものとする。
このように、リッチリーン制御によれば、排気浄化装置26のPM再生やS被毒再生を実行可能な運転領域を拡大することができる。更に、ポスト噴射や、排気ガス中への燃料添加等の方法でPM再生やS被毒再生を行う場合のような弊害もない。すなわち、ポスト噴射によるエンジンオイルの希釈化や、排気通路への燃料添加弁設置によるコスト上昇などの問題が生ずることがないという利点もある。
(リッチリーン制御時の外部EGRにより生ずる現象)
以上説明したようなリッチリーン制御の実行時に、内部EGRと並行して外部EGRを行ったとした場合には、次のような問題が生ずる。図4に示すように、リッチ燃焼サイクルの排気ガス中のHC濃度は高く、リーン燃焼サイクルの排気ガス中のHC濃度は低い。このため、リッチリーン制御時は、排気ガス中のHC濃度が周期的に変動する。つまり、リッチ燃焼サイクルの排気行程時にはHC濃度が高くなり、リーン燃焼サイクルの排気行程時にはHC濃度が低くなる。この状態で、外部EGR通路を通して一部の排気ガス(外部EGRガス)を吸気通路28に戻すと、排気ガス中のHC濃度の変動に伴って、吸気中のHC濃度も変動することとなる。
図6は、インジェクタ12からの燃料噴射量を一定として、吸気中のHC濃度を変化させた場合の、発生トルクの変化を表す図である。同図に示すように、吸気中のHC濃度が高くなった場合に、空燃比A/Fの大きいリーン燃焼サイクルと、空燃比A/Fの小さいリッチ燃焼サイクルとでは、トルクの変化が反対向きに現れる。すなわち、筒内に酸素が豊富なリーン燃焼サイクルにおいては、吸気中のHC濃度が高くなるほど、燃焼する燃料量が増加することになるので、トルクが増大する。これに対し、筒内の酸素が乏しいリッチ燃焼サイクルにおいては、吸気中のHC濃度が高くなるほど、失火し易くなるため、トルクが減少する。このようなことから、HC濃度が高くなったときの外部EGRガスが、リーン燃焼サイクルを行う気筒に入るかリッチ燃焼サイクルを行う気筒に入るかによって、ディーゼルエンジン10のトルクが大きく変化することになる。
外部EGRガスは、外部EGR通路40を通過するのに要する時間だけ遅れて吸気に混合するが、その遅れはエンジン回転数や負荷によって異なる。このため、リッチ燃焼サイクルを行った気筒から排出されたHC濃度の高い外部EGRガスは、リーン燃焼サイクルを行う気筒とリッチ燃焼サイクルを行う気筒とにランダムに還流することになる。その結果、ディーゼルエンジン10のトルクがランダムに大きく変動し易いという問題が生ずる。
そして、外部EGRの場合には、HC濃度の高い外部EGRガスがどの気筒に還流するかを予測することは極めて困難であるため、上記のようなランダムなトルク変動を、燃料噴射量の補正等によって抑制することは事実上不可能である。
そこで、本実施形態では、上記のようなトルク変動の問題を解決するため、リッチリーン制御の実行時には、外部EGRを停止して、各気筒で要求されるEGR量(EGR率)のすべてを、気筒毎の内部EGRで賄うこととした。
内部EGRの場合には、筒内に流入する内部EGRガスは、その気筒で行われた一つ前のサイクルの排気ガスである。つまり、内部EGRの場合には、外部EGRのような時間遅れの問題や、何れの気筒に流入するか予測不能という問題は存在しない。このため、内部EGRの場合には、筒内に流入する内部EGRガス中のHC濃度を予測可能である。
すなわち、リッチリーン制御実行時のEGRを内部EGRで賄うこととすれば、EGR率と、その気筒の空燃比A/Fに応じて定まる内部EGRガス中のHC濃度とから、吸気中のHC濃度を定めることができる。吸気中のHC濃度が定まれば、そのサイクルのトルクが目標トルクに一致するような燃料噴射量を設定することが可能である。よって、本実施形態によれば、リッチリーン制御の実行時に、各気筒(各サイクル)のトルクを目標トルクに精度良く一致させることができ、大きなトルク変動がランダムに発生することを回避することが可能となる。
[実施の形態1における具体的処理]
図7は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。なお、本ルーチンは、所定時間毎に繰り返し実行されるものとする。
図7に示すルーチンによれば、まず、リッチリーン制御の要求があるか否かが判別される(ステップ100)。本実施形態では、軽中負荷域でPM再生あるいはS被毒再生を行う場合や、中高負荷域でS被毒再生を行う場合に、リッチリーン制御要求が出される。上記ステップ100で、リッチリーン制御要求が出されていないと判別された場合には、そのまま今回の処理サイクルを終了する。
一方、リッチリーン制御要求が出されていると判別された場合には、次に、エンジン回転数、アクセル開度、吸入空気量、吸気圧等の、ディーゼルエンジン10の運転状態が、前述した各種センサの信号に基づいて検出される(ステップ102)。
次いで、上記ステップ102で検出された運転状態に基づいて、リッチリーン制御時のリッチ燃焼サイクルにおける負のバルブオーバーラップの大きさ、燃料噴射量、および燃料噴射タイミングの目標値が取得される(ステップ104)。ECU50は、リッチ燃焼サイクルにおける負のバルブオーバーラップの大きさ、燃料噴射量、および燃料噴射タイミングの目標値と、ディーゼルエンジン10の運転状態との関係を定めたマップ(以下、「リッチ燃焼マップ」と称する)を記憶している。上記ステップ104では、そのリッチ燃焼マップを参照することにより、現在の運転状態に対応する、リッチ燃焼サイクルの負のバルブオーバーラップの大きさ、燃料噴射量、および燃料噴射タイミングの目標値が取得される。
続いて、上記ステップ102で検出された運転状態に基づいて、リッチリーン制御時のリーン燃焼サイクルにおける負のバルブオーバーラップの大きさ、燃料噴射量、および燃料噴射タイミングの目標値が取得される(ステップ106)。ECU50は、リーン燃焼サイクルにおける負のバルブオーバーラップの大きさ、燃料噴射量、および燃料噴射タイミングの目標値と、ディーゼルエンジン10の運転状態との関係を定めたマップ(以下、「リーン燃焼マップ」と称する)を記憶している。上記ステップ106では、そのリーン燃焼マップを参照することにより、現在の運転状態に対応する、リーン燃焼サイクルの負のバルブオーバーラップの大きさ、燃料噴射量、および燃料噴射タイミングの目標値が取得される。
上記リッチ燃焼マップおよびリーン燃焼マップは、それぞれ、以下の規則(1)〜(3)に従うように設定されている。
(1)負のバルブオーバーラップの大きさは、リッチ燃焼サイクル、リーン燃焼サイクルの各々の目標空燃比に応じて、その目標空燃比を実現するのに必要なEGR率が得られるような大きさに設定されている。すなわち、リッチ燃焼サイクルの負のバルブオーバーラップは、リーン燃焼サイクルの負のバルブオーバーラップより大きくなるように設定されている。
(2)燃料噴射量は、リッチ燃焼サイクル、リーン燃焼サイクルの各々について、EGR率と、そのサイクルの空燃比A/Fに応じて定まる内部EGRガス中のHC濃度とから定まる吸気中のHC濃度がトルクに及ぼす影響を考慮した上で、後述するようにして定められるサイクル毎の目標トルクが得られるような噴射量に設定されている。すなわち、図6に示すような関係を考慮して、吸気中のHC濃度が高くなる条件であるほど、吸気中のHCの影響がキャンセルされるように、燃料噴射量が少なく設定される。
(3)上記目標トルクについては、ディーゼルエンジン10への要求トルクが、リッチ燃焼サイクルの上限トルクに全気筒数を乗じた値以下となるような、低負荷側の運転領域である場合には、リッチ燃焼サイクルの目標トルクと、リーン燃焼サイクルの目標トルクとが等しい値に設定される。一方、ディーゼルエンジン10への要求トルクが、リッチ燃焼サイクルの上限トルクに全気筒数を乗じた値を超えるような、高負荷側の運転領域である場合には、リッチ燃焼サイクルの目標トルクは、その上限トルクに設定され、リーン燃焼サイクルの目標トルクは、リッチ燃焼サイクルの上限トルクを超えるトルクであって、ディーゼルエンジン10の平均トルクが上記要求トルクに一致するようなトルクに設定される。
より具体的には、上記(1)および(2)の規則は、次のような事情を考慮した上で設定されている。
リッチ燃焼サイクルを連続して行う気筒、あるいはリーン燃焼サイクルを連続して行う気筒では、運転状態が変化しない限り、サイクル毎の空燃比A/Fが一定であるので、内部EGRガス中のHC濃度も一定となる。更に、EGR率も一定であるので吸気中のHC濃度も一定となる。
これに対し、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとを交互に行う気筒では、空燃比A/FおよびEGR率がサイクル毎に規則的に変動するため、内部EGRガス中のHC濃度や吸気中のHC濃度もサイクル毎に規則的に変動する。そして、リッチ燃焼サイクルには、その一つ前に行われたリーン燃焼サイクルの排気ガスが内部EGRガスとして還流する。このため、リッチ燃焼サイクルに還流する内部EGRガス中には、未消費の空気(酸素)が多量に含まれている。よって、リーン燃焼サイクルの後のリッチ燃焼サイクルでは、リッチ燃焼サイクルを連続して行う場合と比べて、同じ目標空燃比を達成するためには、筒内に流入する空気(新気)をより少なくする必要がある。つまり、負のバルブオーバーラップをより大きくしてEGR率を更に高くする必要がある。
上述したステップ104および106の処理により、リッチ燃焼サイクルおよびリーン燃焼サイクルの各々について、負のバルブオーバーラップの大きさ、燃料噴射量、および燃料噴射タイミングの目標値が取得されたら、次に、それらの目標値を用いて、リッチリーン制御が実行される(ステップ108)。すなわち、前述した図5に例示されるような所定の運転モードを実現するべく、各気筒のインジェクタ12、吸気可変動弁機構54および排気可変動弁機構58の作動が制御され、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとを混在させてディーゼルエンジン10が運転される。そして、このステップ108では、リッチリーン制御の実行に伴い、EGR弁44が全閉とされ、外部EGRが停止される。
以上説明した図7に示すルーチンの処理によれば、リッチリーン制御実行時に外部EGR率を停止し、リッチ燃焼サイクル、リーン燃焼サイクルで要求されるEGRのすべてを内部EGRで賄うようにすることができる。このため、HC濃度が周期的に変動する外部EGRガスが各気筒にランダムに流入することによって大きなトルク変動が生ずるという事態が起こるおそれがない。よって、リッチリーン制御実行時のディーゼルエンジン10のトルク変動を有効に抑制することができる。
なお、上述した実施の形態1では、リッチリーン制御実行時に外部EGRを停止する、つまり外部EGR率をゼロとするものとして説明したが、本発明では、ディーゼルエンジン10のトルク変動が許容値以下に収まるような外部EGR率であれば、リッチリーン制御実行時に外部EGRを行うようにしてもよい。リッチリーン制御実行時に許容できる外部EGR率は、次のようにして定めることができる。
まず、ディーゼルエンジン10のトルク変動の許容値から、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとのトルク差の許容値を算出する。ここでは、この許容トルク差が図6中に示すような大きさであるものとし、両サイクルのトルク差が許容トルク差に一致するときの吸気中のHC濃度の値をaとする。この場合、吸気中のHC濃度が常にa以下に収まれば、ディーゼルエンジン10のトルク変動が常に許容値以下に収まることになる。吸気中のHC濃度が最も高くなるのは、リッチ燃焼サイクルの排気ガスが外部EGRガスとして吸気に混合した場合である。よって、リッチ燃焼サイクルの排気ガス中のHC濃度の値をbとし(図4参照)、リッチリーン制御実行時の許容外部EGR率の値をc[%]とすると、許容外部EGR率の値cは下記式で表すことができる。
c=a/b×100
このように、本発明では、リッチリーン制御実行時に外部EGRを完全に停止しなくてもよく、リッチリーン制御実行時の外部EGR率が上記許容外部EGR率以下となるようにEGR弁44の開度を制御することで、外部EGRを制限するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1においては、EGR弁44が前記第1の発明における「外部EGR量可変手段」に、吸気可変動弁機構54および排気可変動弁機構58が前記第1の発明における「内部EGR量可変手段」および前記第4の発明における「可変動弁機構」に、上記「許容外部EGR率」が前記第2の発明における「所定の上限値」に、それぞれ相当している。また、ECU50が、図7に示すルーチンの処理を実行することにより前記第1の発明における「リッチリーン制御手段」が、上記ステップ108の処理を実行することにより前記第1および第3の発明における「EGR制御手段」が、上記ステップ104および106の処理を実行することにより前記第6の発明における「トルク制御手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、図8等を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略または簡略する。本実施形態は、図1および図2に示すハードウェア構成を用いて、ECU50に、前述した図7に示すルーチンに代えて、後述する図8に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
[実施の形態2の特徴]
リッチ燃焼では、前述したように、大量EGRによって筒内温度を大幅に低下させることで、スモークの生成を抑制するようにしている。このため、リッチ燃焼において、スモークを排出しないようにするためには、スモークが生成されるような温度にまで筒内温度が上昇しないようにすることが重要である。
EGRを行うと、通常は燃焼温度が低下するが、排気温度の高い高負荷域では、EGR率(内部EGR率)が高くなると、高温のEGRガスが筒内に占める割合が高くなるので、筒内温度が高くなり易い。このため、リッチ燃焼において、EGR率が高くなり過ぎると、筒内温度が高くなり過ぎる可能性がある。
また、リッチ燃焼では、筒内温度が低くなり過ぎることも好ましくない。筒内温度が低くなり過ぎると、燃焼が不安定化し、失火し易くなるからである。燃料噴射量が少ない低負荷域では、リッチ燃焼の筒内温度が低くなり過ぎる可能性がある。
実施の形態1で述べたように、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとを交互に行う気筒のリッチ燃焼サイクルでは、リーン燃焼サイクルの排気ガスが内部EGRガスとして還流するため、内部EGRガス中に未消費の空気(酸素)が多量に含まれている。このため、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとを交互に行う気筒のリッチ燃焼サイクルでは、リッチ燃焼サイクルを同一気筒で連続して行う場合と比べ、目標空燃比が同じであっても、EGR率をより高くして、筒内に流入する空気を更に少なくする必要がある。
逆に言えば、リッチ燃焼サイクルを同一気筒で連続して行う場合には、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとを同一気筒で交互に行う場合と比べて、リッチ燃焼サイクルのEGR率を低くすることができる。
そこで、本実施形態では、リッチ燃焼の筒内温度が高くなり過ぎる可能性のある高負荷側の領域では、リッチリーン制御の実行時、リッチ燃焼サイクルを同一気筒で連続して行うこととした。つまり、前述した図5中のパターン1やパターン2に例示されるような運転モードでディーゼルエンジン10を運転することとした。これにより、リッチ燃焼のEGR率を比較的低くすることができるので、リッチ燃焼時の筒内温度が高くなり過ぎることを確実に回避することができ、スモークの排出を確実に防止することができる。
一方、本実施形態では、リッチ燃焼の筒内温度が低くなり過ぎる可能性のある低負荷側の領域では、リッチリーン制御の実行時、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルを同一気筒で交互に切り替えて行うこととした。つまり、前述した図5中のパターン3やパターン4に例示されるような運転モードでディーゼルエンジン10を運転することとした。これにより、リッチ燃焼のEGR率を比較的高くすることができるので、リッチ燃焼時の筒内温度が低くなり過ぎることを確実に回避することができ、失火の発生を抑制して燃焼を安定化させることができる。
[実施の形態2における具体的処理]
図8は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。なお、図8において、図7に示すステップと同一のステップには、同一の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図8に示すルーチンによれば、まず、実施の形態1と同様にして、リッチリーン制御の要求があるか否かが判別され(ステップ100)、リッチリーン制御要求が出されていると判別された場合には、ディーゼルエンジン10の運転状態が検出される(ステップ102)。
続いて、上記ステップ102で検出された運転状態に基づいて、高負荷側の領域であるか低負荷側の領域であるかが判別される(ステップ110)。ここでは、リッチ燃焼サイクルの筒内温度が高くなり過ぎたり低くなり過ぎたりする可能性のない、ある負荷の値を境として、負荷がそれを超える場合には高負荷側の領域と判別され、負荷がそれ以下である場合には低負荷側の領域と判別される。
上記ステップ110において高負荷側の領域と判別された場合には、リッチ燃焼サイクルおよびリーン燃焼サイクルをそれぞれ別々の気筒で継続するモード、つまり図5中のパターン1やパターン2に例示されるようなモードが選択される(ステップ112)。これに対し、上記ステップ110において低負荷側の領域と判別された場合には、リッチ燃焼サイクルとリーン燃焼サイクルとを同一気筒で交互に切り替えるモード、つまり図5中のパターン3やパターン4に例示されるようなモードが選択される(ステップ114)。
上記ステップ112あるいは114の処理に続いて、リッチ燃焼サイクルにおける負のバルブオーバーラップの大きさ、燃料噴射量、および燃料噴射タイミングの目標値が前述したリッチ燃焼マップに従って取得される(ステップ116)。更に、リーン燃焼サイクルにおける負のバルブオーバーラップの大きさ、燃料噴射量、および燃料噴射タイミングの目標値が前述したリーン燃焼マップに従って取得される(ステップ118)。
上述したステップ116および118の処理により、リッチ燃焼サイクルおよびリーン燃焼サイクルの各々について、負のバルブオーバーラップの大きさ、燃料噴射量、および燃料噴射タイミングの目標値が取得されたら、次に、それらの目標値を用いて、かつ、上記ステップ112または114で選択された運転モードで、リッチリーン制御が実行される(ステップ120)。
以上説明した図8に示すルーチンの処理によれば、実施の形態1と同様の効果が得られる。更に、図8に示すルーチンの処理によれば、リッチリーン制御の実行時、リッチ燃焼サイクルの筒内温度が高くなり過ぎたり低くなり過ぎたりすることを確実に回避することができる。よって、スモークの排出を確実に防止することができるとともに、失火の発生を抑制して燃焼を安定化させることができる。
なお、上記ステップ110においては、リッチ燃焼継続モードを選択するか、リッチ/リーン切替モードを選択するかを、負荷に応じて決定しているが、この決定は排気温度に基づいて行うようにしてもよい。すなわち、排気温度の判定値を設定しておき、排気温センサ47で検出された排気温度がその判定値を超える場合にはリッチ燃焼継続モードを選択し、検出された排気温度がその判定値以下である場合にはリッチ/リーン切替モードを選択するようにしてもよい。また、この場合に、排気温センサ47が設けられていないシステムでは、排気温度を運転状態などから推定するようにしてもよい。
上述した実施の形態2においては、ECU50が上記ステップ110〜114の処理を実行することにより前記第7の発明における「モード切替手段」が実現されている。
実施の形態3.
次に、図9を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態1および2との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略または簡略する。
[実施の形態3の特徴]
図9は、実施の形態3におけるリッチリーン制御時のバルブタイミングの一例を示す図である。実施の形態2で述べたように、リッチ燃焼では、スモークの排出を防止するため、筒内温度が高くなり過ぎないようにすることが重要である。本実施形態では、リッチリーン制御実行時、リッチ燃焼サイクルの筒内温度が高くなり過ぎることを確実に回避するべく、図9に示すように、リッチ燃焼サイクルでの吸気弁閉時期(IVC)を、リーン燃焼サイクルでの吸気弁閉時期と比べて、遅くすることとした。
吸気弁閉時期を遅くするほど、下死点を過ぎて、ピストン64が上昇した位置で吸気弁52が閉じられることになる。このため、吸気弁閉時期を遅くするほど、筒内に一旦吸入されたガスが吸気ポート35に戻されることになるため、最終的に筒内に吸入されるガスの量を少なくすることができる。このため、EGR量が同じであっても、吸気弁閉時期が遅いほど、筒内の空気量(新気量)が少なくなる。よって、吸気弁閉時期が遅いほど、筒内の空燃比A/Fを目標空燃比にするために必要なEGR量(EGR率)を小さくすることができる。
前述したように、リッチ燃焼サイクルの筒内温度は、EGR量(EGR率)が大きいほど、高くなり易い。本実施形態によれば、リッチ燃焼サイクルの吸気弁閉時期を遅くすることにより、必要なEGR量(EGR率)を小さくすることができるので、リッチ燃焼サイクルにおける筒内温度が高くなり過ぎることを有効に抑制することができる。
また、吸気弁閉時期を遅くするほど、最終的に筒内に吸入されるガスの量が少なくなるので、実質的な圧縮比(以下、「実圧縮比」と称する)が小さくなる。実圧縮比が小さくなると、圧縮端温度、すなわち燃焼開始時の筒内温度が低くなる。その結果、燃焼温度も低下する。
このように、リッチ燃焼サイクルの吸気弁閉時期を遅くすると、必要なEGR量(EGR率)が小さくなることの効果と、燃焼温度が低下することの効果とが相まって、筒内温度の上昇を抑制することができる。このため、本実施形態によれば、リッチ燃焼サイクルの筒内温度が高くなり過ぎることを確実に回避することができ、スモークの排出を確実に防止することができる。
なお、本実施の形態3は、上述した点以外は、実施の形態1あるいは実施の形態2と同様であるので、ここではこれ以上の説明を省略する。
上述した実施の形態3においては、吸気可変動弁機構54が前記第8の発明における「可変動弁機構」に相当している。また、ECU50がリッチリーン制御実行時にリッチ燃焼サイクルの吸気弁閉時期がリーン燃焼サイクルの吸気弁閉時期より遅くなるように吸気可変動弁機構54を制御することにより前記第8の発明における「リッチ燃焼サイクル吸気弁遅閉じ手段」が実現されている。
本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。 図1に示すシステムにおけるディーゼルエンジンの一つの気筒の断面を示す図である。 負のバルブオーバーラップを説明するための図である。 空燃比A/Fと、その空燃比A/Fでの燃焼によって排出される排気ガス中に含まれるHCの濃度との関係を示す図である。 リッチリーン制御を行う場合の各気筒の燃焼モードの例を説明するための図である。 インジェクタからの燃料噴射量を一定として、吸気中のHC濃度を変化させた場合の、発生トルクの変化を表す図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3におけるリッチリーン制御時のバルブタイミングの一例を示す図である。
符号の説明
10 ディーゼルエンジン
12 インジェクタ
14 コモンレール
18 排気通路
20 排気マニホールド
22 排気ポート
24 ターボ過給機
26 排気浄化装置
28 吸気通路
34 吸気マニホールド
36 吸気絞り弁
38 エアフローメータ
40 外部EGR通路
44 EGR弁
46 吸気圧センサ
47 排気温センサ
48 アクセル開度センサ
50 ECU
52 吸気弁
54 吸気可変動弁機構
56 排気弁
58 排気可変動弁機構
62 クランク角センサ
64 ピストン

Claims (8)

  1. 圧縮着火式の内燃機関の排気通路と吸気通路とを接続する外部EGR通路と、
    前記外部EGR通路を通って還流する外部EGRの量を可変とする外部EGR量可変手段と、
    前記外部EGR通路を通らずに前記内燃機関の内部において生ずる内部EGRの量を可変とする内部EGR量可変手段と、
    空燃比を理論空燃比よりリーンにするリーン燃焼サイクルと、EGR率および燃料噴射量を前記リーン燃焼サイクルと異ならせることで空燃比を前記リーン燃焼サイクルに比して相対的にリッチにするリッチ燃焼サイクルとを、同一気筒においてサイクル毎に切り替えるか、あるいは、それぞれ別々の気筒において継続させるリッチリーン制御を行うリッチリーン制御手段と、
    を備え、
    前記リッチリーン制御手段は、前記リッチリーン制御実行時の外部EGR率を所定の上限値以下に制限し、前記リーン燃焼サイクルおよび前記リッチ燃焼サイクルの各々に必要なEGR量の残りを内部EGRで賄うように前記外部EGR量可変手段および前記内部EGR量可変手段の状態を制御するEGR制御手段を含み、
    前記リッチ燃焼サイクルは、EGR率を高めることで、スモークが生成されないような温度にまで筒内温度を下げた燃焼を行うサイクルであることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記所定の上限値は、前記リッチ燃焼サイクルの排気が外部EGRにより還流して吸気に混合することで吸気中のHC濃度が高くなった場合に、前記リッチ燃焼サイクルと前記リーン燃焼サイクルとのトルク差が許容範囲内となるように定められた値であることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記EGR制御手段は、前記リッチリーン制御実行時の外部EGR率をほぼゼロとすることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記内部EGR量可変手段は、吸気弁と排気弁との正または負のバルブオーバーラップの大きさを気筒毎、気筒群毎、またはサイクル毎に可変とする可変動弁機構で構成されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記内燃機関の排気通路に配置された排気浄化装置を更に備え、
    前記リッチリーン制御手段は、前記排気浄化装置の再生が要求されている場合に、前記リッチリーン制御を実行することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
  6. 前記リッチリーン制御手段は、前記内燃機関の負荷に応じて、低負荷側の領域では、前記リッチ燃焼サイクルのトルクと前記リーン燃焼サイクルのトルクとが等しくなるように各々のEGR率および燃料噴射量を制御し、高負荷側の領域では、前記リーン燃焼サイクルのトルクが前記リッチ燃焼サイクルのトルクより大きくなるように各々のEGR率および燃料噴射量を制御するトルク制御手段を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
  7. 前記リッチリーン制御手段は、前記内燃機関の負荷あるいは排気ガス温度に応じて、高負荷側あるいは高排気ガス温度側の領域においては、前記リーン燃焼サイクルと前記リッチ燃焼サイクルとをそれぞれ別々の気筒において継続させるモードとし、低負荷側あるいは低排気ガス温度側の領域においては、前記リーン燃焼サイクルと前記リッチ燃焼サイクルとを同一気筒において周期的に切り替えるモードとするモード切替手段を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
  8. 吸気弁の閉時期を可変とする可変動弁機構と、
    前記リッチリーン制御実行時に、前記リッチ燃焼サイクルでの吸気弁閉時期を前記リーン燃焼サイクルでの吸気弁閉時期に比して遅くすることにより前記リッチ燃焼サイクルでの筒内空気量を減少させるリッチ燃焼サイクル吸気弁遅閉じ手段と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の内燃機関の制御装置。
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