以下、この発明の実施形態である処理未了の記録媒体検知装置について説明する。
図1は、この実施形態にかかる記録媒体検知装置を設置した駅の改札システムを示す概略図である。この実施形態の記録媒体検知装置には、固定的に設置される設置型記録媒体検知装置1Aと、駅係員が所持して持ち運ぶ可搬型記録媒体検知装置1Bとがある。図1に示す改札システムには、この発明の実施形態である設置型記録媒体検知装置1A、可搬型記録媒体検知装置1Bと、駅の改札口に設置された複数の自動改札機2と、キップ等の乗車券を発券する複数の券売機3と、乗り越し等にかかる精算を行う複数の精算機4と、駅を管理する駅サーバ6と、センタに設置され各駅の管理情報を一括して管理するセンタ7と、を備えている。図1では、自動改札機2よりも上方が駅構内であり、自動改札機2よりも下方が駅構外である。
設置型記録媒体検知装置1Aは、図1に示すように駅構内や駅構外の適当な場所に設置されている。自動改札機2は、駅の改札口に設置され、駅構内に入場、または駅構外へ出場する利用者が通行する通路を形成している。自動改札機2は、通路を通行する利用者が所持している非接触式ICカード5(この発明で言う記録媒体)から乗車券情報を読み取り、読み取った乗車券情報を用いて通路における利用者の通行可否を判定し、その判定結果に基づいて通路に設けた扉を開閉する。券売機3は駅構外で自動改札機2が設置されている改札口近くに設置されている。乗車券を所持していない利用者が、券売機3でキップ等の乗車券を購入し、自動改札機2の通路を通って駅に入場する。精算機4は、駅構内で自動改札機2が設置されている改札口近くに設置されている。乗り越し等で適正な乗車券を所持していない利用者が、精算機4で所持している乗車券を用いて料金を精算し、このときに発券された精算券で自動改札機2の通路を通って駅から出場する。
設置型記録媒体検知装置1A、可搬型記録媒体検知装置1B、自動改札機2、券売機3、および精算機4は、駅サーバ6にデータ通信可能に接続されている。設置型記録媒体検知装置1A、可搬型記録媒体検知装置1B、自動改札機2、券売機3、および精算機4は、処理データを駅サーバ6に送信する。駅サーバ6は、各機器から送信されてきた処理データを管理することで、その駅における業務管理を行う。駅サーバ6は、公衆回線網8を介してセンタ7とデータ通信が行える。各駅の駅サーバ6は公衆回線網8を介して駅の業務管理かかる管理情報をセンタ7に送信する。センタ7は、各駅の駅サーバ6から送られてきた管理情報を一括して管理する。
自動改札機2には、無線通信機能を有する非接触式ICカード5との間で無線通信が行える構成が設けられている。自動改札機2は、非接触式ICカード5が記憶しているカード情報の読出や、非接触式ICカード5に対するカード情報の記録や更新にかかる処理を非接触式ICカード5との無線通信で行う。自動改札機2は、上面にアンテナを備えており、このアンテナから数cm(1〜2cm)の範囲が無線通信エリアである。非接触式ICカード5は、この無線通信エリア内に位置されたときに、自動改札機2のアンテナから送出されている電力搬送波との電磁結合で動作電源を得て動作する構成である。非接触式ICカード5には、このカードを識別する識別情報と、定期区間、有効期間、プリペイド金額等を示す乗車券情報と、前回の利用が駅への入場であったのか、出場であったのかを示す入出場情報と、がカード情報として記録されている。自動改札機2は、無線通信エリア内に位置し、動作電源を得て動作している非接触式ICカード5との間で無線通信を行い、非接触式ICカード5が記憶しているカード情報の読み取りや、非接触式ICカード5に対するカード情報の更新記録を行う。
駅構内に入場、または駅構内から出場する利用者は、自分が所有している非接触式ICカード5を自動改札機2のアンテナに近づけ、自動改札機2の無線通信エリア内に位置させる。自動改札機2は、無線通信エリア内に位置された非接触式ICカード5との無線通信で、この非接触式ICカード5が記録しているカード情報を読み取り、通路における利用者の通行可否を判定する。自動改札機2は、この判定で通路における利用者の通行を許可しないと判定すると、通路に設けた扉を閉し、通路における利用者の通行を制限する。反対に、通路における利用者の通行を許可すると判定すると、今回の利用にともなって更新が必要なカード情報の更新を非接触式ICカード5に指示する。例えば駅構内に入場したことを示す入場情報(または駅構内から出場したことを示す出場情報、)、プリペイド金額の更新にかかる情報、を必要に応じて無線で送信する。非接触式ICカード5は、自動改札機2から無線で送信されてきた情報に基づいて、記録しているカード情報を更新する。また、自動改札機2は通路に設けた扉を開し、通路における利用者の通行を許可する。
次に、この発明の実施形態である設置型記録媒体検知装置1Aについて説明する。この発明の実施形態である設置型記録媒体検知装置1Aは、図1に示すように、駅構内に設置してもよいし、駅構外に設置してもよい。図2は、この発明の実施形態である設置型記録媒体検知装置の構成を示す図であり、図3はこの設置型記録媒体検知装置の概略の外観図である。設置型記録媒体検知装置1Aは、本体の動作を制御する制御部11と、非接触式ICカード5と無線で通信する無線通信部12と、処理結果等を表示する表示部13と、処理結果等を音声で出力する音声出力部14と、本体に対して入力操作を行う操作部15と、ネットワークを介して駅サーバ6とのデータ通信を実行する通信部16と、設定データ等を記憶する記憶部17と、を備えている。装置本体正面のタッチゾーン12aには、非接触式ICカード5との無線通信に用いるアンテナが設けられている。無線通信部12は、このアンテナから数m(1〜2m)の範囲を無線通信エリアとする第1の無線通信モードと、このアンテナから数cm(1〜2cm)の範囲を無線通信エリアとする第2の無線通信モードの2つのモードで動作する。無線通信部12は、通常時第1の無線通信モードで動作し、装置本体正面に設けられている処理完了確認ボタン15bが押下されたときに第2の無線通信モードで動作する。第1の無線通信モードでは、タッチゾーン12aに設けたアンテナから送出される電力搬送波の強度を、このアンテナから数m(1〜2m)離れた場所に位置する非接触式ICカード5が電磁結合で動作電源を得られる大きさにしている。また、第2の無線通信モードでは、タッチゾーン12aに設けたアンテナから送出される電力搬送波の強度を、このアンテナから数cm(1〜2cm)離れた場所に位置する非接触式ICカード5のみが電磁結合で動作電源を得られる大きさにしている。無線通信部12は、アンテナから送出する電力搬送波の強度を切り替えることで、第1の無線通信モードと、第2の無線通信モードとの切り替えを行う。
表示部13は、装置本体正面に設けられている2つの表示画面13a、13bにおける表示を制御する。この実施形態では、装置本体正面に2つの表示画面13a、13bを設けているが、1つの表示画面で構成してもよい。音声出力部14は、図示していないスピーカを有し、音声による報知を行う。設置型記録媒体検知装置1Aは、処理未了の非接触式ICカード5を検知していないとき、図3に示すように、表示画面13a、13bに特別な表示を行わない。また、音声出力部14も音声による報知を行わない。操作部15は、装置本体正面に設けられた表示消去ボタン15a、や処理完了確認ボタン15bを有している。表示部13は、表示消去ボタン15aが押下されると、その時点で表示画面13a、13bに表示している文字等の表示を消去する。また、音声出力部14も表示消去ボタン15aが押下されると、その時点でスピーカから報知している音声を停止する。また、設置型記録媒体検知装置1Aは、処理完了確認ボタンが押下されると、無線通信部12を第1の無線通信モードから第2の無線通信モードに切り替える。通信部16は、ネットワークを介して駅サーバ6と通信する。駅サーバ6には、その駅に設置されている各機器から利用の内容を示す利用情報等が送信されてくる。駅サーバ6は、各機器から送信されてくる利用情報を管理することで、駅の業務管理を行う。さらに、各駅の駅サーバ6は、公衆回線網8を介してセンタ7に管理している利用情報を送信する。センタ7は、各駅の駅サーバ6から送信されてきた利用情報を管理することで、利用者の利用状況を一括管理する。センタ7は、発行済の非接触式ICカード5毎に、その識別情報、定期区間、有効期間、所有者の氏名、所有者の連絡先電話番号、携帯電話のメールアドレス等を対応づけて記憶している。
さらに、設置型記録媒体検知装置1Aの記憶部17は、装置本体が設置されている場所が駅構内であるか、駅構外であるかを示す設置場所情報や、処理未了であることを検知した非接触式ICカード5の識別情報等を記憶する。記憶部17には、処理未了であることを検知した非接触式ICカード5の識別情報を一定時間、例えば1〜2時間、記憶しておくための記憶領域が設けられている。制御部11は、この記憶部17に記憶している装置本体の設置場所にかかる設置場所情報から、装置本体が駅構内に設置されているのか、駅構外に設置されているのかを認識する。設置場所情報は、例えばフラグであり、このフラグを設置場所が駅構内であれば1、駅構外であれば0にしている。
次に、この発明の実施形態である設置型記録媒体検知装置1Aの動作について説明する。図4は、この発明の実施形態である設置型記録媒体検知装置の動作を示すフローチャートである。この実施形態の設置型記録媒体検知装置1Aは、利用者が駅に入場するとき、または駅から退場するときに、自動改札機2が入場情報や出場情報等、非接触式ICカード5に記録する乗車券情報を無線で送信しているときに、利用者が非接触式ICカード5を自動改札機2との無線通信エリア外に移動させ、乗車券情報の記録に失敗した処理未了の非接触式ICカード5を検知する装置である。
この実施形態の設置型記録媒体検知装置1Aは、上述したように通常時、第1の無線通信モードで動作している。この実施形態の設置型記録媒体検知装置1Aは、無線通信部12において一定時間間隔で、例えば数秒(4〜5秒)間隔で、タッチゾーン12aに設けられているアンテナから周辺に位置する非接触式ICカード5に対して応答を要求するポーリングを行いながら、装置正面に設けられている処理完了確認ボタン15bが押下されるのを待っている(S1〜S4)。S1では、上述したように第1の無線通信モードで動作しており、無線通信部12がタッチゾーン12aに設けられているアンテナから数m(1〜2m)の範囲に位置する非接触式ICカード5が電磁結合で動作電源を得られる強度の電力搬送波を送出している。タッチゾーン12aに設けたアンテナから数m離れた範囲に位置している非接触式ICカード5が、設置型記録媒体検知装置1AがS1で行ったポーリングに対して応答できる。
設置型記録媒体検知装置1Aは、S1で行ったポーリングに対して、S2で非接触式ICカード5からの応答を受信すると、装置本体の設置場所が駅構内であるか、駅構外であるかを認識する(S5)。非接触式ICカード5は、S1のポーリングに対して、識別情報、乗車券情報(定期区間、定期有効期間、プリペイドプリペイド金額)、入出場情報等、記録しているカード情報を設置型記録媒体検知装置1Aに送信する。設置型記録媒体検知装置1Aは、S5で記憶部17に記憶している設置場所を示す情報、例えばフラグ、を読み出し、設置場所が駅構内であるか、駅構外であるかを認識する。設置記録媒体検知装置1Aは、装置本体の設置場所を認識すると、今回カード情報を受信した非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを判定する(S6)。S6では、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報と、S5で認識した装置本体の設置場所とに基づいて判定する。具体的には、S5で認識した設置場所が駅構内で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が出場であれば、処理未了の非接触式ICカード5であると判定する。また、S5で認識した設置場所が駅構外で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が入場であれば、処理未了の非接触式ICカード5であると判定する。反対に、S5で認識した設置場所が駅構内で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が入場であれば、処理未了の非接触式ICカード5でないと判定する。また、S5で認識した設置場所が駅構外で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が出場であれば、処理未了の非接触式ICカード5でないと判定する。設置型記録媒体検知装置1Aは、S6で処理未了でないと判定すると、S1に戻り上記処理を繰り返す。
設置型記録媒体検知装置1Aは、S6で処理未了の非接触式ICカード5であると判定すると、この非接触式ICカード5から今回送信されてきたカード情報に含まれている識別情報を記憶部17に記憶しているかどうかを判定する(S7)。S7で記憶部17に記憶している識別情報であると判定すると、詳細については後述するが、処理未了であることがすでに検出された非接触式ICカード5であるので、S1に戻り上記処理を繰り返す。
設置型記録媒体検知装置1Aは、S7で記憶部17に記憶していない識別情報であると判定すると、今回送信されてきたカード情報に含まれている識別情報と、現在時刻とを対応づけて記憶部17に記憶する(S8)。設置型記録媒体検知装置1Aは、記憶部17に記憶している識別情報については対応づけられている時刻が一定時間前(例えば1〜2時間前)の時刻になると、削除する。言い換えれば、記憶部17は、S8で記憶した識別情報を一定時間だけ記憶する。したがって、S7で記憶部17に記憶していると判定された識別情報の非接触式ICカード5は、すでに一定時間前に処理未了であることが検知されている。
設置型記録媒体検知装置1Aは、S8で識別情報を記憶部17に記憶すると、表示部13において処理未了である非接触式ICカード5を検知した旨の表示を開始するとともに、音声出力部14において処理未了である非接触式ICカード5を検知した旨の報知を開始する(S9、S10)。S9では、例えば図5に示すように、表示画面13aに処理未了であることを検知した非接触式ICカード5の乗車券情報(定期区間、有効期限、プリペイド金額)、や識別情報を表示する。このとき、この非接触式ICカード5を所持している利用者個人を特定することができる、利用者の氏名、年齢等の個人情報については表示画面13aに表示しない。また、表示画面13bには、処理未了である非接触式ICカード5が検知されたことを通知するメッセージが表示される。また、S10では、音声出力部14から報知音や、「処理未了である非接触式ICカード5が検知されました」等のメッセージの音声出力が開始される。この音声出力においても、今回処理未了であることが検知された非接触式ICカード5を所持している利用者個人を特定することができる個人情報については出力しない。
このように、設置型記録媒体検知装置1Aは、処理未了である非接触式ICカード5を検知したとき、その非接触式ICカード5を所持している利用者を特定することができる個人情報を表示や音声で出力しないので、今回処理未了であることが検知された非接触式ICカード5を所持している利用者の個人情報が、その時に設置型記録媒体検知装置1Aの周辺にいる他の利用者に漏れることがなく、利用者のプライバシーを確保できる。また、今回処理未了であることが検知された非接触式ICカード5を所持している利用者は、S9、S10にかかる処理が実行されたとき、設置型記録媒体検知装置1Aの無線通信部12の無線通信エリア内、すなわち設置型記録媒体検知装置1Aの周辺にいる。したがって、処理未了である非接触式ICカード5を所持している利用者の多くは、S9、S10にかかる処理の表示や音声出力に気がつき、表示された定期区間定期区間、有効期限、プリペイド金額等の乗車券情報から、自分が所持している非接触式ICカード5が処理未了であることを認識できる。
また、設置型記録媒体検知装置1Aは、駅サーバ6を介してセンタ7へ今回処理未了であることが検知された非接触式ICカード5を所持している利用者にその旨を電子メールで通知することを要求する(S11)。このとき、記録媒体検知装置1は、今回処理未了であることを検知した非接触式ICカード5の識別情報をセンタ7に送信している。この実施形態の設置型記録媒体検知装置1Aは、当該利用者の携帯電話への電子メールの送信要求をセンタ7に対して行うものとして説明するが、当該利用者の携帯電話等の連絡先に電話を掛けて音声による通知を行う要求としてもよいし、その他の方法で当該利用者に通知する要求としてもよい。センタ7は、設置型記録媒体検知装置1Aからの要求に応じて、当該利用者に対して非接触式ICカード5が処理未了であることを通知する電子メールを送信する。
なお、センタ7は、上述したように利用者の携帯電話のメールアドレスや、携帯電話等の連絡先の電話番号を非接触式ICカード5の識別情報に対応づけて記憶している。したがって、この記憶している情報を利用することで、今回処理未了であることが検知された非接触式ICカード5を所持している利用者に対して、電子メールや、電話でその旨を伝えることができる。
このように、設置型記録媒体検知装置1Aにおいて処理未了であることが検知された非接触式ICカード5を所持している利用者には、非接触式ICカード5が処理未了であることを通知する電子メールが携帯電話に送信されてくる。これにより、設置型記録媒体検知装置1Aが処理未了であることを検知した非接触式ICカード5を所持している利用者に対して、非接触式ICカード5が処理未了であることを略確実に認識させることができる。したがって、利用者は、処理未了である非接触式ICカード5を利用して駅構内に入場したり、駅構外へ出場するよりも前に、駅係員の所に行って、処理未了となっている非接触式ICカード5に対する再処理を行うので、自動改札機2において処理未了にともなうサイクルエラーで通路の通行が制限される利用者の発生頻度が抑えられ、改札効率の低下を十分に防止することができる。
また、設置型記録媒体検知装置1Aは、S11で処置未了である利用者に対して電子メールの送信要求をセンタ7に対して行った後、S9、S10にかかる表示や音声出力の開始から一定時間、例えば30秒、経過するか、装置本体正面に設けられている表示消去ボタン15aが押下されるのを待つ(S12、S13)。記録媒体検知装置1は、S12で一定時間経過した、またはS13で表示消去ボタン15aが押下されたと判定すると、表示部13による表示画面13a、13bの表示を停止するとともに、音声出力部14による報知を停止し(S14、S15)、S1に戻る。
したがって、処理未了であることが検知された非接触式ICカード5を所持している利用者は、S9、S10にかかる処理の表示や音声出力で、自分が所持している非接触式ICカード5が処理未了であることを認識したときに、表示消去ボタン15aを押下することで、表示部13による表示画面13a、13bにおける表示の停止や、音声出力部14による報知の停止が行える。また、利用者が設置型記録媒体検知装置1Aにおいて表示や音声出力されていることに気がつかなくても、一定時間(例えば30秒)経過すると、表示部13による表示画面13a、13bの表示停止や、音声出力部14による報知停止が実行されるので、処理未了である非接触式ICカード5の情報がいつまでも表示されつづけるということもない。
また、利用者は自分が所持している非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを自主的に確認することもできる。利用者は、非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを自主的に確認する場合、設置型記録媒体検知装置1Aの正面に設けられている処理完了確認ボタン15bを押下する。設置型記録媒体検知装置装置1Aは、S3で処理完了確認ボタン15bが押下されたことを検知すると、図6に示すように表示画面13aに非接触式ICカード5を本体正面のタッチゾーン12aに近づけることを指示する表示を行うとともに、表示画面13bに処理完了確認中であることを表示する(S16)。また、無線通信部12における通信モードを第1の無線通信モードから第2の無線通信モードに切り替える(S17)。これにより、設置型記録媒体検知装置1Aは、タッチゾーン12aに近接している非接触式ICカード5とのみ無線通信が行える。
処理完了確認ボタン15bを押下した利用者は、表示画面13aの表示にしたがって、所持している非接触式ICカード5をタッチゾーン12aに近接させる。設置型記録媒体検知装置1Aは、無線通信部12において非接触式ICカード5に対してポーリングを行い(S18)、その応答を待つ(S19)。利用者がタッチゾーン12aに近接させた非接触式ICカード5は、タッチゾーン12aに設けられたアンテナから送出されている電力搬送波による電磁結合で動作電源を取得し、動作を開始する。非接触式ICカード5は、識別情報、乗車券情報(定期区間、定期有効期間、プリペイドプリペイド金額)、入出場情報等、記録しているカード情報を設置型記録媒体検知装置1Aに送信する。
設置型記録媒体検知装置1Aは、非接触式ICカード5から送信されてきたカード情報を受信すると、装置本体の設置場所が駅構内であるか、駅構外であるかを認識する(S20)。このs20にかかる処理は、上述したS5にかかる処理と同じである。設置型記録媒体検知装置1Aは、S20で装置本体の設置場所を認識すると、今回カード情報を受信した非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを判定する(S21)。S21における判定も、上述したS6と同様であり、S20で認識した設置場所が駅構内で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が出場であれば、処理未了の非接触式ICカード5であると判定する。また、S20で認識した設置場所が駅構外で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が入場であれば、処理未了の非接触式ICカード5であると判定する。反対に、S20で認識した設置場所が駅構内で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が入場であれば、処理未了の非接触式ICカード5でないと判定する。また、S20で認識した設置場所が駅構外で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が出場であれば、処理未了の非接触式ICカード5でないと判定する。
設置型記録媒体検知装置1Aは、S21で処理未了であるかどうかを判定すると、表示画面13aに判定結果を表示する(S22)。例えば、S21で処理未了でない非接触式ICカード5であると判定すると、表示画面13aに図7(A)に示す表示を行い、反対にS21で処理未了である非接触式ICカード5であると判定すると、表示画面13aに図7(B)に示す表示を行う。この表示により、利用者は自分が所持している非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを簡単に確認することができる。
また、設置型記録媒体検知装置1AはS21で処理未了の非接触式ICカード5であると判定しても、音声出力部14において音声による報知を行わない。この場合には、利用者が自主的に所持している非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを確認しているので、音声による報知を行わなくても特に問題が生じることはない。また、音声による報知で周囲にいる他人が振り向くこともなく、自主的に非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを確認している利用者のプライバシーを十分に確保することができる。
設置型記録媒体検知装置1Aは、S22で判定結果の表示を開始から一定時間、例えば30秒、経過するか、装置本体正面に設けられている表示消去ボタン15aが押下されるのを待つ(S23、S24)。設置型記録媒体検知装置1Aは、S23で一定時間経過した、またはS24で表示消去ボタン15aが押下されたと判定すると、表示部13による表示画面13a、13bの表示を停止する(S25)。また、無線通信部12における通信モードを第2の無線通信モードから第1の無線通信モードに切り替え(S26)、S1に戻る。
このように、この実施形態の設置型記録媒体検知装置1Aは、利用者が必要に応じて所持している非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを確認することもできる。これにより、多くの利用者に対して、所持している非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを認識させ、非接触式ICカード5の次回の利用前に再処理を行わせることができる。したがって、自動改札機2が処理未了により通路の通行を制限する利用者の発生頻度を十分に抑えることができ、自動改札機2における改札効率の低下を防止することができる。
次に、この発明の別の実施形態である可搬型記録媒体検知装置1Bについて説明する。この実施形態の可搬型記録媒体検知装置1Bは、上記実施形態の装置と異なり、駅係員が所持して持ち運ぶことができる。図8は、この別の実施形態である可搬型記録媒体検知装置の構成を示す図である。図8では、図2と同じ構成については同じ符号を付している。また、図9は、この実施形態の可搬型記録媒体検知装置の外観を示す図である。この実施形態の可搬型記録媒体検知装置1Bも、上記実施形態と同様に本体の動作を制御する制御部11と、非接触式ICカード5と無線で通信する無線通信部12と、処理結果等の表示を行う表示部13と、本体に対して入力操作を行う操作部15と、設定データ等を記憶する記憶部17と、を備えている。さらに、この実施形態の可搬型記録媒体検知装置1Bは、本体を振動させるアラーム部20、自装置の位置を測位するGPS部21と、駅サーバ6と接続する接続インタフェース22と、を備えている。
無線通信部12は、上記実施形態と同様に、非接触式ICカード5との無線通信に用いるアンテナ(不図示)から数m(1〜2m)の範囲を無線通信エリアとする第1の無線通信モードと、このアンテナから数cm(1〜2cm)の範囲を無線通信エリアとする第2の無線通信モードの2つのモードで動作する。表示部13は、処理未了であることを検知した非接触式ICカード5の乗車券情報の表示等を行う表示画面13aと、処理未了であることを検知した非接触式ICカード5と本体との推定距離を表示する距離表示器13cにおける表示制御を行う。距離表示器13cには、処理未了であることを検知した非接触式ICカード5と本体との推定距離が数10cm(0〜50cm)であるときに点灯する近ランプ、推定距離が数10cm〜1m(50cm〜1m)であるときに点灯する中ランプ、推定距離が1mを超えるときに点灯する遠ランプが設けられている。音声出力部14は、上記実施形態の装置と同様に処理未了である非接触式ICカード5を検知したときに、その旨を音声で報知する。
また、この実施形態の可搬型記録媒体検知装置1Bは、非接触式ICカード5に対して処理未了となっている入場処理、出場処理にかかる再処理や、乗車料金の精算にかかる精算処理、プリペイド金額の入金にかかる入金処理が行える。操作部15には、これらの処理を行うときに操作するボタン等が装置本体正面に設けられている。また、上記実施形態と同様にその時点で表示画面13aに表示されている文字等の表示を消去するときに操作する表示消去ボタンや、特定の非接触式ICカード5に対して処理未了であるかどうかを確認するときに操作する処理完了確認ボタンも本体正面に設けられている。この実施形態の可搬型記録媒体検知装置1Bは、駅係員が所持して持ち運ぶことができる可搬型であるので、上記実施形態の装置と異なり、記憶部17に装置本体が設置されている場所が駅構内であるか、駅構外であるかを示す設置場所情報を記憶していない。但し、記憶部17は処理未了であることを検知した非接触式ICカード5の識別情報と、処理未了であることを検知した時刻と、を対応づけて記憶する記憶エリアを有している。アラーム部20は、入場処理、または出場処理が未了である非接触式ICカード5を検知したときに本体を振動させることで、所持している駅係員に処理未了である非接触式ICカード5を所持している利用者が近くにいることを認識させる。GPS部21は、Global Positioning Systemにより現在地の緯度・経度を計算する。GPSについては、公知であるのでここでは説明を省略する。接続インタフェース22は、無線または有線で駅サーバ6に接続する通信機能を有している。
次に、この実施形態にかかる可搬型記録媒体検知装置1Bの動作について説明する。図10、11は、この別の実施形態にかかる可搬型記録媒体検知装置の動作を示すフローチャートである。この可搬型記録媒体検知装置1Bも、上記実施形態の設置型記録媒体検知装置1Aと同様に、無線通信部12において一定時間、例えば数秒(4〜5秒)、間隔で周辺に位置する非接触式ICカード5に対して応答を要求するポーリングを行いながら、操作部15のボタンが押下されるのを待っている(S31〜S34)。このとき、可搬型記録媒体検知装置1Bは、第1の無線通信モードで動作している。S31では、上述したように第1の無線通信モードで動作しており、無線通信部12が本体に設けられているアンテナから数m(1〜2m)の範囲に位置する非接触式ICカード5が電磁結合で動作電源を得られる強度の電力搬送波を送出している。言い換えれば、本体から数m離れた範囲に位置している非接触式ICカード5が、可搬型記録媒体検知装置1BがS31で行ったポーリングに対して応答できる。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、S1で行ったポーリングに対して、S2で非接触式ICカード5からの応答を受信すると、GPS部21で装置本体の現在の位置を測位する(S35)。可搬型記録媒体検知装置1Bは、S35で装置本体の現在位置を測位すると、今回測位した位置が駅構内であるか、駅構外であるかを認識する(S36)。非接触式ICカード5は、上記実施形態と同様に、S31のポーリングに対して、識別情報、乗車券情報(定期区間、定期有効期間、プリペイドプリペイド金額)、入出場情報等、記録しているカード情報を記録媒体検知装置1に送信している。可搬型記録媒体検知装置1Bは、S36で装置本体の現在位置が駅構内であるか、または駅構外であるかを認識すると、今回カード情報を受信した非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを判定する(S37)。S37では、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報と、S36で認識した装置本体の現在位置(駅構内、または駅構外)とに基づいて判定する。具体的には、S36で認識した設置場所が駅構内で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が出場であれば、処理未了の非接触式ICカード5であると判定する。また、S36で認識した設置場所が駅構外で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が入場であれば、処理未了の非接触式ICカード5であると判定する。反対に、S36で認識した設置場所が駅構内で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が入場であれば、処理未了の非接触式ICカード5でないと判定する。また、S36で認識した設置場所が駅構外で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が出場であれば、処理未了の非接触式ICカード5でないと判定する。可搬型記録媒体検知装置1Bは、S37で処理未了でないと判定すると、S31に戻り上記処理を繰り返す。
ここでは、可搬型記録媒体検知装置1Bは、GPS部21で装置本体の現在位置を測位する構成としたが、装置を所持している駅係員が、予め使用される場所が駅構内であるか、駅構外であるかを切り替えスイッチ等で設定する構成としてもよい。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、S37で処理未了の非接触式ICカード5であると判定すると、この非接触式ICカード5から今回送信されてきたカード情報に含まれている識別情報を記憶部17に記憶しているかどうかを判定する(S38)。S38で記憶部17に記憶している識別情報であると判定すると、上記実施形態の装置と同様に、処理未了であることがすでに検出された非接触式ICカード5であるので、S31に戻り上記処理を繰り返す。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、S38で記憶部17に記憶していない識別情報であると判定すると、今回送信されてきたカード情報に含まれている識別情報と、現在時刻とを対応づけて記憶部17に記憶する(S39)。可搬型記録媒体検知装置1Bは、記憶部17に記憶している識別情報については対応づけられている時刻が一定時間前(例えば1〜2時間前)の時刻になると、削除する。記憶部17は、S39で記憶した識別情報を一定時間だけ記憶する。したがって、S38で記憶部17に記憶していると判定された識別情報の非接触式ICカード5は、一定時間前にすでに処理未了であることが検知されている。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、S39で識別情報を記憶部17に記憶すると、今回処理未了であることを検知した非接触式ICカード5と本体との距離を推測する(S40)。S40では、今回非接触式ICカード5からカード情報を受信したときの電波の強度から非接触式ICカード5と本体との距離を推測する。表示部13において処理未了である非接触式ICカード5を検知した旨の表示を開始する(S41)。また、音声出力部14において処理未了である非接触式ICカード5を検知した旨の報知を開始するとともに、アラーム部20が本体の振動を開始する(S42)。S41では、例えば図12に示すように、表示画面13aに処理未了であることを検知した非接触式ICカード5の乗車券情報(定期区間、有効期限、プリペイド金額)、や識別情報を表示する。また、距離表示器13cにおいて、S40で推測した非接触式ICカード5と本体との距離に相当するランプを点灯する。ここでは、処理未了であることが検知された非接触式ICカード5を所持している利用者個人を特定することができる、利用者の氏名、年齢等の個人情報については上記実施形態の設置型記録媒体検知装置1Aと同様に表示画面13aに表示しない構成としているが、この実施形態の可搬型記録媒体検知装置1Bは駅係員が所持することから、利用者の個人情報についても表示画面13aに表示する構成としてもよい。表示画面13aに利用者の個人情報を表示しても、この利用者のプライバシーについては確保できる。また、駅係員等は、この実施形態の記録媒体検知装置1をポケット等に入れていても、S42にかかる音や振動による報知で処理未了である非接触式ICカード5が検知されたことを認識できる。
駅係員は、可搬型記録媒体検知装置1Bにおいて処理未了である非接触式ICカード5が検知されたことを認識した後、距離表示器13cの点灯しているランプを確認することで、今回検知された処理未了の非接触式ICカード5を所持する利用者の居場所を推定することができ、その周辺にいる利用者に声を掛け、その利用者が今回検知された処理未了の非接触式ICカード5を所持している利用者であるかどうかを確認することができる。今回検知された処理未了の非接触式ICカード5を所持している利用者であることを確認した場合、その利用者が所持している非接触式ICカード5に対して後述する再処理を行う。これにより、この利用者が所持している処理未了の非接触式ICカード5を利用して駅構内に入場したり、駅構内から退場するよりも前に、この非接触式ICカード5に対する再処理を行うことができる。したがって、自動改札機2において処理未了にともなうサイクルエラーで通路の通行が制限される利用者の発生頻度を抑え、改札効率の低下を十分に防止することができる。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、S41、S42にかかる処理を開始してから一定時間、例えば30秒、経過するか、装置本体正面に設けられている表示消去ボタンが押下されるのを待つ(S43、S44)。可搬型記録媒体検知装置1Bは、S43で一定時間経過した、またはS44で表示消去ボタンが押下されたと判定すると、表示部13における表示を停止するとともに、音声出力部14による報知、アラーム部20による装置本体の振動を停止し(S45、S46)、S1に戻る。
駅係員は、可搬型記録媒体検知装置1Bにより今回検知された処理未了の非接触式ICカード5を所持している利用者を確認した場合、表示消去ボタンを押下し、その後その利用者が所持する非接触式ICカード5に対する再処理を行う。具体的には、入場処理が処理未了であった非接触式ICカード5であれば入場処理ボタンを押下し、出場処理が処理未了であった非接触式ICカード5であれば出場処理ボタンを押下する。また、駅係員は必要に応じて、利用者の非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを確認するときに処理完了確認ボタンを押下し、利用者の非接触式ICカード5に対して入金処理を行うときに入金処理ボタンを押下し、さらには利用者の非接触式ICカード5に対して精算処理を行うときに精算処理ボタンを押下する。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、S33で操作部15のボタンが押下されたと判定すると、今回押下されたボタンが処理完了確認ボタンであれば、図13に示すように表示画面13aに非接触式ICカード5を本体のアンテナに近づけることを指示する表示を行う(S47、S48)。また、無線通信部12における通信モードを第1の無線通信モードから第2の無線通信モードに切り替える(S49)。これにより、可搬型記録媒体検知装置1Bは、無線通信部12のアンテナに近接している非接触式ICカード5とのみ無線通信が行える。駅係員は、処理完了確認ボタンを押下した後、利用者から非接触式ICカード5を預かり、この非接触式ICカード5を無線通信部12のアンテナに近接させる。可搬型記録媒体検知装置1Bは、無線通信部12において非接触式ICカード5に対してポーリングを行い(S50)、その応答を待つ(S51)。駅係員が無線通信部12のアンテナに近接させた非接触式ICカード5は、アンテナから送出されている電力搬送波による電磁結合で動作電源を取得し、動作を開始する。非接触式ICカード5は、識別情報、乗車券情報(定期区間、定期有効期間、プリペイドプリペイド金額)、入出場情報等、記録しているカード情報を可搬型記録媒体検知装置1Bに送信する。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、非接触式ICカード5から送信されてきたカード情報を受信すると、GPS部21で装置本体の現在の位置を測位する(S52)。可搬型記録媒体検知装置1Bは、S52で装置本体の現在位置を測位すると、今回測位した位置が駅構内であるか、駅構外であるかを認識する(S53)。非接触式ICカード5は、上記実施形態と同様に、S50のポーリングに対して、識別情報、乗車券情報(定期区間、定期有効期間、プリペイドプリペイド金額)、入出場情報等、記録しているカード情報を可搬型記録媒体検知装置1Bに送信している。可搬型記録媒体検知装置1Bは、S53で装置本体の現在位置が駅構内であるか、または駅構外であるかを認識すると、今回カード情報を受信した非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを判定する(S54)。S54における判定は、上述したS37と同様であり、S53で認識した設置場所が駅構内で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が出場であれば、処理未了の非接触式ICカード5であると判定する。また、S53で認識した設置場所が駅構外で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が入場であれば、処理未了の非接触式ICカード5であると判定する。反対に、S53で認識した設置場所が駅構内で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が入場であれば、処理未了の非接触式ICカード5でないと判定する。また、S53で認識した設置場所が駅構外で、今回受信したカード情報に含まれている入出場情報が出場であれば、処理未了の非接触式ICカード5でないと判定する。
ここでは、可搬型記録媒体検知装置1Bは、GPS部21で装置本体の現在位置を測位する構成としたが、装置を所持している駅係員が、予め使用される場所が駅構内であるか、駅構外であるかを切り替えスイッチ等で設定する構成としてもよい。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、S54で処理未了であるかどうかを判定すると、表示画面13aに判定結果を表示する(S55)。例えば、可搬型記録媒体検知装置1Bの現在位置が駅構内であれば、S54で処理未了でない非接触式ICカード5であると判定すると、表示画面13aに図14(A)に示す表示を行い、反対にS54で処理未了である非接触式ICカード5であると判定すると、表示画面13aに図14(B)に示す表示を行う。この表示により、駅係員は利用者から預かった非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかの確認が行える。
また、可搬型記録媒体検知装置1BはS54で処理未了の非接触式ICカード5であると判定しても、音声出力部14において音声による報知や、アラーム部20による本体の振動を行わない。この場合には、駅係員が利用者から預かった非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかを意識的に確認しているので、音声や振動による報知を行わなくても特に問題が生じることはない。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、S55で判定結果の表示を開始から一定時間、例えば30秒、経過するか、装置本体正面に設けられている表示消去ボタンが押下されるのを待つ(S56、S57)。可搬型記録媒体検知装置1Bは、S56で一定時間経過した、またはS57で表示消去ボタンが押下されたと判定すると、表示部13による表示画面13aの表示を停止する(S58)。また、無線通信部12における通信モードを第2の無線通信モードから第1の無線通信モードに切り替え(S59)、S31に戻る。
このように、この実施形態の可搬型記録媒体検知装置1Bでは、必要に応じて利用者が所持している非接触式ICカード5が処理未了であるかどうかの確認が行える。
また、駅係員は、前回の入場処理に失敗している処理未了の非接触式ICカード5であることを上記の処理等で確認すると、この非接触式ICカード5に対して失敗している入場処理の再処理を行う。駅係員は、所持している可搬型記録媒体検知装置1Bに設けられている入場処理ボタンを押下する。可搬型記録媒体検知装置1Bは、この操作に対して、S33で押下されたボタンが入場処理ボタンであると判定すると、図15に示すように表示画面13aに失敗している入場処理についての再処理を実行すること、および非接触式ICカード5を本体のアンテナに近づけることを指示する表示を行う(S60、S61)。また、無線通信部12における通信モードを第1の無線通信モードから第2の無線通信モードに切り替える(S62)。これにより、可搬型記録媒体検知装置1Bは、無線通信部12のアンテナに近接している非接触式ICカード5とのみ無線通信が行える。
駅係員は、入場処理ボタンを押下した後、利用者から預かっている非接触式ICカード5を無線通信部12のアンテナに近接させる。このとき、可搬型記録媒体検知装置1Bは接続インタフェース22で駅サーバ6を介してセンタ7に接続されている。可搬型記録媒体検知装置1Bは、無線通信部12において非接触式ICカード5に対してポーリングを行い(S63)、その応答を待つ(S64)。駅係員が無線通信部12のアンテナに近接させた非接触式ICカード5は、アンテナから送出されている電力搬送波による電磁結合で動作電源を取得し、動作を開始する。非接触式ICカード5は、識別情報、乗車券情報(定期区間、定期有効期間、プリペイド金額)、入出場情報等、記録しているカード情報を可搬型記録媒体検知装置1Bに送信する。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、非接触式ICカード5から送信されてきたカード情報を受信すると、駅サーバ6を介して接続インタフェース22に接続されているセンタ7に対して、S64で非接触式ICカード5から送信されてきたカード情報に含まれている識別情報とともに、この識別情報で識別される非接触式ICカード5に対して失敗した入場処理にかかるデータを要求する(S65)。センタ7には、各駅の駅サーバ6から自動改札機2の利用にかかる情報が送信されてきており、識別情報に対応づけてその非接触式ICカード5の利用履歴が管理されている。センタ7は、可搬型記録媒体検知装置1Bからの要求に応じて、該当する入場処理にかかるデータを送信する。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、駅サーバ6から送信されてきた入場処理にかかるデータに基づいて、非接触式ICカード5に対して処理未了となっている入場処理にかかる再処理を行う(S66)。可搬型記録媒体検知装置1は、処理未了となっている入場処理にかかる再処理を完了すると、表示画面13aに再処理が完了した旨のメッセージを表示し(図16参照)(S67)、無線通信部12を第2の無線通信モードから第1の無線通信モードに切り替え(S68)、S31に戻る。S67で表示画面13aに表示されたメッセージは、一定時間経過すると、消去される。駅係員は、処理未了となっていた入場処理が完了した非接触式ICカード5を利用者に返却する。
また、駅係員は、前回の出場処理に失敗している処理未了の非接触式ICカード5であることを上記の処理等で確認すると、この非接触式ICカード5に対して失敗している出場処理の再処理を行う。駅係員は、所持している可搬型記録媒体検知装置1Bに設けられている出場処理ボタンを押下する。可搬型記録媒体検知装置1Bは、この操作に対して、S33で押下されたボタンが出場処理ボタンであると判定すると、図17に示すように表示画面13aに失敗している出場処理についての再処理を実行すること、および非接触式ICカード5を本体のアンテナに近づけることを指示する表示を行う(S69、S70)。また、無線通信部12における通信モードを第1の無線通信モードから第2の無線通信モードに切り替える(S71)。これにより、可搬型記録媒体検知装置1Bは、無線通信部12のアンテナに近接している非接触式ICカード5とのみ無線通信が行える。
駅係員は、出場処理ボタンを押下した後、利用者から預かっている非接触式ICカード5を無線通信部12のアンテナに近接させる。このとき、可搬型記録媒体検知装置1Bは駅サーバ6を介して接続インタフェース22でセンタ7に接続されている。可搬型記録媒体検知装置1Bは、無線通信部12において非接触式ICカード5に対してポーリングを行い(S72)、その応答を待つ(S73)。駅係員が無線通信部12のアンテナに近接させた非接触式ICカード5は、アンテナから送出されている電力搬送波による電磁結合で動作電源を取得し、動作を開始する。非接触式ICカード5は、識別情報、乗車券情報(定期区間、定期有効期間、プリペイド金額)、入出場情報等、記録しているカード情報を可搬型記録媒体検知装置1Bに送信する。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、非接触式ICカード5から送信されてきたカード情報を受信すると、接続インタフェース22に接続されているセンタ7に対して、S73で非接触式ICカード5から送信されてきたカード情報に含まれている識別情報とともに、この識別情報で識別される非接触式ICカード5に対して失敗した出場処理にかかるデータを要求する(S74)。センタ7には、上述したように、各駅の駅サーバ6から自動改札機2の利用にかかる情報が送信されてきており、識別情報に対応づけてその非接触式ICカード5の利用履歴が管理されている。センタ7は、可搬型記録媒体検知装置1Bからの要求に応じて、該当する出場処理にかかるデータを送信する。
可搬型記録媒体検知装置1Bは、駅サーバ6から送信されてきた出場処理にかかるデータに基づいて、非接触式ICカード5に対して処理未了となっている出場処理の再処理を行う(S75)。可搬型記録媒体検知装置1Bは、処理未了となっている出場処理の再処理を完了すると、表示画面13aに再処理が完了した旨のメッセージを表示し(図18参照)(S76)、無線通信部12を第2の無線通信モードから第1の無線通信モードに切り替え(S77)、S31に戻る。S77で表示画面13aに表示されたメッセージは、一定時間経過すると、消去される。駅係員は、処理未了となっていた入場処理が完了した非接触式ICカード5を利用者に返却する。
このように、可搬型記録媒体検知装置1Bを所持している駅係員は、前回の入場処理、または出場処理に失敗している処理未了の非接触式ICカード5を所持している利用者を確認すると、その場で、この利用者が所持している非接触式ICカード5に対して失敗している入場処理、または出場処理の再処理を行うことができる。したがって、前回の入場処理、または出場処理に失敗した非接触式ICカード5を利用して自動改札機2の通路を通行する利用者の発生頻度を抑え、自動改札機2における改札効率の低下を防止することができる。また、利処理未了となっている入場処理や出場処理にかかる再処理が行えるので、利用者に対するサービスの向上も図れる。
また、この実施形態の記録媒体検知装置1は、S33で押下されたボタンが精算処理ボタンであると判定すると、非接触式ICカード5に対する精算処理を行う(S78、S79)。さらに、S33で押下されたボタンが入金処理ボタンであると判定すると、非接触式ICカード5に対する入金処理を行う(S80、S81)。また、操作部15に設けられている上記以外のボタンが押下されると、押下されたボタンに応じた処理(その他の処理)を実行する(S82)。
このように、精算処理や入金処理も行えるので、利用者に対するサービスの一層の向上が図れる。