光通信の技術分野において、直接検波(IM-DD: Intensity Modulation-Direct Detection)方式に加えて、平衡検波(Balanced detection)方式が検討されている(例えば、非特許文献1参照)。
IM-DD方式とは、受信側において、フォトダイオードを用いて、受信信号の光搬送波の包絡線強度を検出することによって検波を行う方式であり、ASK(Amplitude Shift Keying)方式によってコーディングされた光パルス信号による光通信が代表例である。強度変調は、一般に、ASKまたは、OOK(On Off Keying)と表記されるが、以下の記載においてはASKと表記する。
また平衡検波方式とは、平衡検波器を用いて、IM-DD方式の2倍の大きさの振幅を有する電気信号を検出して検波を行う方式であり、DPSK方式によってコーディングされた光パルス信号による光通信が代表例である。
IM-DD方式は、簡易な装置によって送受信が可能であり、光増幅器が組み込まれている強度再生装置に適用することもできるという利点を有するため、広く利用されている。一方、DPSK方式は、0とπとの2変数で光パルス列の変調を行って送信信号を生成して送信し、受信側において、受信信号を第1及び第2受信信号に2分割して、第1受信信号を光パルス1つ分(1ビット分)が時間軸上で占める時間だけ時間遅延を与え、この時間遅延が与えられた第1受信信号と、第2受信信号とを合波して、この合波されて得られた受信信号に対して平衡検波を行う方式である。以後、nを正の整数として、光パルス1つ分が時間軸上で占める時間の1/nを、1/nビットに相当する時間ということもある。また、0とπとの2変数で光パルス列の変調を行って生成された送信信号(光パルス信号)を、DPSK方式でコーディングされた送信信号、あるいはDPSK方式でコーディングされた光パルス信号ということもある。
ここで、光パルス及び光パルスの位相について説明する。光強度の変化として観測される光パルスは、光搬送波の電場ベクトルの振幅の2乗値の波形の包絡線として表される。従って、以後の説明において、光パルスの時間波形という場合は、光パルスの電場ベクトルの振幅の2乗値の包絡線の時間波形を表す。
光パルスの光搬送波としての位相とは、光パルスの電場ベクトルの包絡線のピークに対する光搬送波のピークの相対的な位相を意味し、光搬送波位相あるいは絶対位相と呼ばれる。また、光搬送波位相あるいは絶対位相は、より厳密には、光搬送波包絡位相(carrier-envelope phase: CEPと略称されることが多い。)と呼ばれることもある。以後、光パルスの光搬送波としての位相を、光搬送波位相というものとする。光パルス1つ分の電場ベクトルの包絡線は、非常に多くの光搬送波のピークが含まれる。
例えば、光搬送波の波長が1.5μmである場合、これを周波数に変換すると2×1014 Hz程度となる。一方、光パルスの繰り返し周波数は、40 GHzとすると、4×1010 Hzである。従って、この場合、1つ分の光パルスの電場ベクトルの包絡線、すなわち時間波形で光パルス1つ分には、5000(=(2×1014)/(4×1010)=5×103)個の光搬送波のピークが含まれる。
上述した、光パルスを0とπとの2変数で変調するとは、光パルスを形成する光搬送波の電場ベクトルの位相(光搬送波としての位相)を、光搬送波の包絡線に対してそのままとするか、π位相シフトさせることを意味する。すなわち、光パルスを0とπとの2変数で変調するとは、光パルスの電波ベクトルの包絡線に対して、光搬送波位相をそのままとするか、π位相シフトさせることを意味する。
DPSK方式に適用される平衡検波方式によれば、ASK方式に適用される直接検波方式と比較して3 dB以上の受信感度の向上が図られることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
非特許文献1に開示されているDPSK方式のOTDM通信システムでは、40 Gbit/sのDPSK信号を生成してこのDPSK信号を4分割し、第1系統の信号(1チャンネル分の信号)を除いて、第2〜第4の3系統の信号(3チャンネル分の信号)にそれぞれ1/4、2/4、3/4ビットに相当する時間遅延を与えて、時間遅延を与えていない第1系統の信号を含めて、第1〜第4系統の信号を多重することによって、OTDM信号を生成している。すなわち、4系統の信号のうち、第1系統の信号は実際の信号であるが、残りの第2〜第4の3系統の信号は第1系統の信号のコピー信号であるとみなせる。実用的な生成装置においては、第1〜第4系統の信号のそれぞれに別々の信号を乗せる必要があるので、非特許文献1に開示されているDPSK方式のOTDM通信システムをそのまま利用したのでは、実用的なOTDM-DPSK信号を生成する装置を実現することができない。
実用的な複数チャンネル分の、DPSK方式でコーディングされた光パルス信号をOTDMして光時分割多重差動位相変調信号を生成する装置(以後、OTDM-DPSK信号生成装置ということもある。)として、非特許文献1に開示されているDPSK方式のOTDM通信システムを基にして構成された一例を、図1を参照して説明する。図1は、OTDM-DPSK信号生成装置の概略的ブロック構成図である。
OTDM-DPSK信号生成装置10は、光分岐器12、第1位相変調器14、第2位相変調器16、1/2ビット遅延器18及び光カプラ20を具えて構成される。OTDM-DPSK信号生成装置10に対して、第1変調器ドライバ22及び第2変調器ドライバ24から送信信号が供給される。
時間軸上で等間隔に光パルスが並ぶ光パルス列11が、OTDM-DPSK信号生成装置10に入力される。光パルス列11は、光分岐器12で2分割されて、第1光パルス列13-1及び第2光パルス列13-2として生成される。第1光パルス列13-1及び第2光パルス列13-2は、それぞれ第1位相変調器14及び第2位相変調器16に入力される。
第1位相変調器14及び第2位相変調器16において、第1光パルス列13-1及び第2光パルス列13-2がそれぞれ、第1変調器ドライバ22及び第2変調器ドライバ24から供給される送信信号23及び25によってDPSK方式でコーディングされて、第1差動位相変調信号15及び第2差動位相変調信号17として生成されて出力される。
第2差動位相変調信号17は、1/2ビット遅延器18に入力されて、1/2ビットに相当する時間遅延が与えられて、遅延第2差動位相変調信号19として生成されて出力される。第1差動位相変調信号15と遅延第2差動位相変調信号19とは、光カプラ20で多重されて、OTDM-DPSK信号21として生成されて出力される。すなわち、OTDM-DPSK信号生成装置10は、光パルス列11を基にして、第1変調器ドライバ22及び第2変調器ドライバ24から供給される2チャンネル分の送信信号をDPSK信号に変換して、これら2チャンネル分のDPSK信号をOTDMして出力する機能を有する。
図1は、2チャンネルのOTDMを実現する例を示しているが、チャンネル数は、2N(Nは1以上の整数)で与えられる個数であれば、いくつであっても同様である。例えば、4チャンネル分のOTDMを実現するには、第1〜第4チャンネルのDPSK方式でコーディングされた光パルス信号に、それぞれ0、1/4、2/4、3/4ビットに相当する時間遅延を与えて多重すればよい。
OTDM-DPSK信号生成装置10が、OTDM-DPSK信号を生成する装置として作動するためには、光分岐器12によって分割された第1光パルス列13-1及び第2光パルス列13-2が、それぞれ第1位相変調器14、第2位相変調器16及び1/2ビット遅延器18によって与えられる位相変調以外の位相変調を受けないことが必要である。すなわち、光合波器20において、第1差動位相変調信号15を構成する光パルス間の光搬送波位相差、及び遅延第2差動位相変調信号19を構成する光パルス間の光搬送波位相差は、0あるいはπ以外の値をとってはならない。
しかしながら、第1光パルス列13-1及び第2光パルス列13-2が伝播する伝送路、第1差動位相変調信号15及び第2差動位相変調信号17が伝播する伝送路、遅延第2差動位相変調信号19が伝播する伝送路のそれぞれにおいて、温度変動等に起因して、光路長のゆらぎが発生する。この光路長のゆらぎの大きさを、光搬送波位相に換算して0あるいはπに比較して無視できる程度の大きさ以下に抑えることは、技術的に極めて難しい。従って、何らかの方法で、光パルス信号を構成する光パルス間の光搬送波位相差を検出して、制御する必要がある。
光搬送波位相差を検出して制御する方法が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。特許文献1に開示された光搬送波位相差を検出する方法は、ASK方式でコーディングされた光パルス信号の一部を分岐して、この分岐された光パルス信号を干渉計に導いて、この干渉計から出力される干渉光の強度を観測する方法である。この干渉光の強度値が制御信号として利用される。特許文献2に開示された光搬送波位相差を検出する方法は、ASK方式でコーディングされた光パルス信号が時分割多重されて生成されたASK時分割多重信号を干渉計に導いて、この干渉計から出力される信号を電気信号に変換し、この電気信号の時間平均値を電気回路によって観測する方法である。この時間平均値が光搬送波位相差として検出されて、制御信号として利用される。
また、上述のASK方式でコーディングされた光パルス信号を時分割多重したASK時分割多重信号に対する光搬送波位相差検出方法の他に、DPSK方式でコーディングされた光パルス信号が光時分割多重されて生成されたOTDM-DPSK信号に対する、光搬送波位相差検出方法も知られている(特許文献3参照)。この光搬送波位相差検出方法においては、OTDM-DPSK信号を入力して特別に工夫された光干渉計によって光パルス間の光搬送波位相差に応じた強度変調がされた干渉信号光を電気信号に変換して、この電気信号の時間平均値を電気回路によって観測する方法である。この時間平均値が光搬送波位相差として検出されて、制御信号として利用される。
ここで、光搬送波位相差検出によって検出される光パルス間の光搬送波位相差の位相ゆらぎについて、光搬送波抑圧RZ(Carrier-suppressed-RZ: CS-RZ)フォーマットの光パルス信号を例にして説明する。CS-RZフォーマットの光パルス信号とは、隣接する光パルスが、互いの光搬送波位相がπだけの位相差で並ぶ光パルス列(以後、CS光パルス列ということもある。)を、ASK方式でコーディングされて生成される光パルス信号である。
CS-RZフォーマットの光パルス信号の一部を強度分割して、光搬送波位相差を検出するために、光搬送波位相差検出装置に導入する。光搬送波位相差検出装置に入力したCS-RZフォーマットの光パルス信号は2分割して、一方に1ビット遅延を与え、再び両者を干渉させる。このようにして干渉信号を光搬送波位相差検出装置から出力させると、隣接する光パルス間の光搬送波位相差が、π以外の値をとらない、理想的なCS-RZフォーマットの光パルス信号の場合には、出力光の強度は0となる。
なぜならば、CS-RZフォーマットは1ビットごとに、0、πで位相が反転する光パルスから生成されており、光パルス列を2分割して、一方に1ビット遅延を与えて干渉させれば、互いに光搬送波位相差がπである光パルス同士が干渉することになるためである。
一方、CS-RZフォーマットの光パルス信号の隣接する光パルス間の光搬送波位相差が0あるいはπ以外の値をとる場合には、光搬送波位相差検出装置からは、強度が0より大きな値の干渉信号が出力される。すなわち、光パルス間の光搬送波位相差が0あるいはπからφ(0≦φ≦π)だけずれている場合を考えると、光搬送波位相差検出装置から出力される干渉信号の強度は、φの値が0に近づくにつれて大きくなり、φ=0となった場合に最大強度の干渉信号が出力される。従って、光搬送波位相差検出装置から出力される干渉信号の強度の時間平均値をモニターすることによって、φの値を知ることができる。また、光搬送波位相差検出装置から出力される干渉信号の強度の時間平均値が、常に最小になるようにフィードバック制御を行なうことによって、隣接する光パルス間の光搬送波位相差がπ以外の値をとらない、理想的なCS-RZフォーマットの光パルス信号を生成することが可能となる。以後、φを位相ゆらぎの大きさということもある。
以下、図3から図8を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、図3から図5は、この発明に係る一構成例を図示するものであり、この発明が理解できる程度に各構成要素の配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の条件等を用いることがあるが、これらの条件等は好適例の一つに過ぎず、従って、何らこれらに限定されない。図3から図5に示すブロック構成図おいて、光ファイバ等の光信号の経路を太線で示し電気信号の経路を細線で示してあり、信号の伝送路に沿った矢印で、その伝送路中を伝播する信号を識別する識別番号あるいは識別符号を付してある。
また、上述した図1を含め図3から図5において同様の構成要素については、同一の番号を付して示し、その重複する説明を省略することもある。
<実施の形態>
図3〜図8を参照して、この発明の実施の形態のOTDM-DPSK信号生成装置の構成及びその動作について説明する。
[構成]
図3を参照して、この発明の実施の形態のOTDM-DPSK信号生成装置の基本構成について説明する。図3は、この発明の実施の形態のOTDM-DPSK信号生成装置の概略的ブロック構成図である。
この発明の実施の形態のOTDM-DPSK信号生成装置は、OTDM-DPSK信号生成部28と光搬送波位相差検出部30とを具えている。
OTDM-DPSK信号生成部28は、光分岐器12と、第1位相変調器14と、第2位相変調器16と、1/2ビット遅延器18と、光カプラ20と、モニター信号分岐器26とを具えている。
光分岐器12は、光パルス列11を、第1光パルス列13-1と第2光パルス列13-2とに2分割する。第1位相変調器14は、第1光パルス列13-1を入力して、第1光パルス列13-1からDPSK方式でコーディングされた第1チャンネルの差動位相変調信号(以後、第1DPSK信号ということもある。)15を生成して出力する。第2位相変調器16は、第2光パルス列13-2を入力して、第2光パルス列13-2からDPSK方式でコーディングされた第2チャンネルの差動位相変調信号(以後、第2DPSK信号ということもある。)17を生成して出力する。
第1チャンネルの2値デジタル信号は、第1位相変調器14が動作可能である水準まで第1変調器ドライバ22で増幅されて、第1チャンネルの電気信号23として第1位相変調器14に供給される。また、同様に第2チャンネルの2値デジタル信号は、第2位相変調器16が動作可能である水準まで第2変調器ドライバ24で増幅されて、第2チャンネルの電気信号25として第2位相変調器16に供給される。
第1DPSK信号15は、第1位相変調器14によって第1光パルス列13-1がDPSK方式でコーディングされて生成された信号であり、光カプラ20に入力される。一方、第2DPSK信号17は、第2位相変調器16によって第2光パルス列13-2がDPSK方式でコーディングされて生成された信号であり、1/2ビット遅延器18に入力される。1/2ビット遅延器18は、入力された第2DPSK信号17を構成する光パルス1つ分が時間軸上で占める時間の1/2に相当する時間遅延(以後、「1/2ビット時間遅延」ということもある。)をDPSK信号17に与え、DPSK信号19として生成して出力する。DPSK信号19は、光カプラ20に入力される。
1/2ビット遅延器18は、BK7ガラス等の基板によって構成することができる。ガラス基板を1/2ビット遅延器18として使用するには、このガラス基板を透過するDPSK信号17に対して、1/2ビット時間遅延を与えるために必要な厚みのガラス基板を選択して、第2位相変調器16と光カプラ20との間の光路に挿入すればよい。
光カプラ20は、第1DPSK信号15と、1/2ビット時間遅延されて生成されたDPSK信号19とをビットインターリーブによってOTDMして、OTDM-DPSK信号21を生成して出力する。OTDM-DPSK信号21は、モニター信号分岐器26に入力される。
モニター信号分岐器26は、OTDM-DPSK信号21からモニター信号27-2を分岐して取り出すとともに、OTDM-DPSK信号27-1を、OTDM-DPSK信号生成部28の出力信号として出力する。モニター信号27-2は、光搬送波位相差検出部30に入力される。
光搬送波位相差検出部30は、光搬送波干渉計(optical carrier interferometer: IF)32と干渉信号検出部34とを具えており、モニター信号27-2を構成する光パルス間の光搬送波位相差の関数として与えられる光搬送波位相差検出信号41を生成して出力する。
光搬送波位相差検出部30に入力されるモニター信号27-2は、まず光搬送波位相差検出部30を構成する光搬送波干渉計32に入力される。
モニター信号27-2が光搬送波干渉計32に入力されて光搬送波干渉計32から干渉モニター信号33が生成されて出力されるメカニズムを、図4を参照して説明する。図4は、光搬送波干渉計32の概略的ブロック構成図である。
光搬送波干渉計32は、光分岐器42と、光合波器44とを具えている。光分岐器42は、モニター信号27-2を第1分割モニター信号42-1と第2分割モニター信号42-2とに強度分割して出力し、それぞれ第1アーム導波路46と第2アーム導波路48とに入力する。第1アーム導波路46の光路は光分岐器42から光合波器44に至るまでの光路であり、第2アーム導波路48の光路も光分岐器42から光合波器44に至るまでの光路であるが、第2アーム導波路48の光路長が第1アーム導波路46の光路長に対して、モニター信号27-2の1ビット分に相当する長さだけ長く設定されている。
すなわち、第1アーム導波路46及び第2アーム導波路48の光路長は、第1分割モニター信号42-1と第2分割モニター信号42-2との間で、光パルス1つ分が時間軸上で占める時間に相当する時間遅延差を有するように設定されている。そのため、第2分割モニター信号42-2は、光合波器44に到達した時点で、第1分割モニター信号42-1に対して1ビット分に相当する時間遅延が与えられており、遅延第2分割モニター信号となっている。
光合波器44において、第1分割モニター信号42-1と遅延第2分割モニター信号42-2とが合波されて干渉することによって、干渉モニター信号33が生成されて、光搬送波干渉計32から出力される。
ここで、第2分割モニター信号と遅延第2分割モニター信号を同一の番号42-2を付してあるが、光合波器44に到達した時点で第1分割モニター信号に対する位相が1ビット分に相当する位相遅れが生じていることが重要な点であって、第2アーム導波路48を伝播中は両者の区別はできないのでこのような表記を行った。従って、光合波器44に到達した時点で第1分割モニター信号に対する位相との関係で第2分割モニター信号を取り上げる際は、特に遅延第2分割モニター信号42-2と表記するものとする。
干渉信号検出部34は、光電変換器(Photo Detector: PD)36と、ピーク検出部(Peak Detection Circuit: PDC)40とを具えて構成されている。干渉信号検出部34には、干渉モニター信号33が入力されて、干渉モニター信号33から抽出される当該干渉モニター信号の交流成分の時間平均強度に比例する電圧信号である光搬送波位相差検出信号41が生成されて出力される。
光電変換器36は、干渉モニター信号33を光電変換して電気干渉モニター信号37を生成して出力する。ピーク検出部40は、電気干渉モニター信号37の交流成分の時間平均強度に比例する電圧信号である光搬送波位相差検出信号41を生成して出力する。
図5を参照してピーク検出部40の構成について説明する。図5は、ピーク検出部40の概略的ブロック構成図である。
ピーク検出部40は、電気分岐器50と、第1高周波検波器52と、第1ローパスフィルタ56と、第2高周波検波器58と、第2ローパスフィルタ62と、直流差動増幅器64を具えて構成されている。
第1高周波検波器52は、電気抵抗54及びコンデンサー66を含むダイオード68を具えて構成される。また、第2高周波検波器58は、電気抵抗60及びコンデンサー70を含むダイオード72を具えて構成される。
電気分岐器50は、電気干渉モニター信号37を、第1電気干渉モニター信号50-1と第2電気干渉モニター信号50-2とに分岐して出力する。第1高周波検波器52は、第1電気干渉モニター信号50-1から、第1高周波検波信号55を生成して出力する。第1ローパスフィルタ56は、第1高周波検波信号55から、第1低周波信号57を生成して出力する。第2高周波検波器58は、第2電気干渉モニター信号50-2から、第2高周波検波信号61を生成して出力する。第2ローパスフィルタ62は、第2高周波検波信号61から、第2低周波信号63を生成して出力する。直流差動増幅器64は、第1低周波信号57及び第2低周波信号63の両信号から、光搬送波位相差検出信号41を生成して出力する。
[動作]
この発明の実施の形態のOTDM-DPSK信号生成装置の動作を説明するにあたり、第1DPSK信号15及び第2DPSK信号17のビットレートを、いずれも40 Gbit/sであるものとする。従って、第1DPSK信号15及び第2DPSK信号17をOTDMして生成されるOTDM-DPSK信号21のビットレートは、80 Gbit/sとなる。このように、第1及び第2チャンネルのDPSK信号を特定のビットレートと仮定して説明しても、以下の説明は一般性を失わない。
周波数が40 GHzの光パルス列11は、OTDM-DPSK信号生成部28に入力される(図3参照)。光パルス列11は、光分岐器12で2分割されて、第1光パルス列13-1及び第2光パルス列13-2として生成される。第1光パルス列13-1及び第2光パルス列13-2は、それぞれ第1位相変調器14及び第2位相変調器16に入力される。
第1位相変調器14及び第2位相変調器16において、第1光パルス列13-1及び第2光パルス列13-2がそれぞれ、第1変調器ドライバ22及び第2変調器ドライバ24から供給される送信信号によってDPSK方式でコーディングされて、第1DPSK信号15及び第2DPSK信号17として生成されて出力される。
第2DPSK信号17は、1/2ビット遅延器18に入力されて、1/2ビットに相当する時間遅延1.25×10-7秒(=1/(2×40×109))が与えられて、遅延第2DPSK信号19として生成されて出力される。第1DPSK信号15と遅延第2DPSK信号19とは、光カプラ20で多重されて、OTDM-DPSK信号21として生成されて出力される。すなわち、OTDM-DPSK信号生成部28において、光パルス列11を基にして、第1変調器ドライバ22及び第2変調器ドライバ24から供給される2チャンネル分の送信信号がDPSK信号に変換されて、これら2チャンネル分のDPSK信号がOTDMされて、OTDM-DPSK信号21が生成される。
OTDM-DPSK信号21を生成して出力するのが、OTDM-DPSK信号生成部28の本来の機能であるが、OTDM-DPSK信号生成部28は、OTDM-DPSK信号21を構成する光パルス間の光搬送波位相差を検出するために、OTDM-DPSK信号21からモニター信号27-2を分岐するための、モニター信号分岐器26を具えている。モニター信号分岐器26によって分岐されて取り出されたモニター信号27-2は、光搬送波位相差検出部30に入力される。
OTDM-DPSK信号21は、光カプラ20において第1DPSK信号15と遅延第2DPSK信号19とが多重されて生成される際に、第1DPSK信号15と遅延第2DPSK信号19との位相の関係が一定の関係に規定されて多重されるための手段が設けられていないため、OTDM-DPSK信号21を構成する光パルス間の位相差は、0、φ、π、及びφ+πの何れかの関係で、ランダムに分布する。
DPSK方式でコーディングされたDPSK信号は、DPSK信号を構成する光パルス間の位相差を、0であるかπであるかの何れかとすることによって、2値デジタル信号として構成されている。従って、OTDM-DPSK信号21を構成する光パルス間の位相差は、0であるかπであるかの何れかの関係で分布することが理想である。すなわち、OTDM-DPSK信号21を構成する光パルス間の位相差の関係は、常にφ=0となるように規定されるのが理想である。
そこで、まず、常にφ=0となるように規定されたOTDM-DPSK信号21を生成するには、φの値を知ることが必要である。このφの値を計測する為の手段が、光搬送波位相差検出部30であり、光搬送波位相差検出部30からは、OTDM-DPSK信号21を構成する光パルス間の光搬送波位相差の関数として与えられる光搬送波位相差検出信号41が生成されて出力される。
次に、光搬送波位相差検出部30の各所における光信号の時間波形を示す図6- 1及び図6-2を参照し、光搬送波位相差検出部30において、モニター信号27-2が入力されて、光搬送波位相差検出信号41が生成されるまでの動作について説明する。
図6-1(A)〜図6-1(G)は、この発明の実施の形態のOTDM-DPSK信号生成装置内の各所における光信号の時間波形を示し、図6-1(A)は光パルス列11、図6-1(B)は第1DPSK信号15、図6-1(C)は遅延第2DPSK信号19、図6-1(D)はOTDM-DPSK信号21、図6-1(E-1)は第1分割モニター信号42-1、図6-1(E-2)は第2分割モニター信号42-2、図6-1(F)はφ=0、π/4、π/2、3π/4及びπのときのそれぞれの干渉モニター信号33、図6-1(G)はφ=0、π/4及びπ/2のときのそれぞれの電気干渉モニター信号37の時間波形を示す図である。
図6-2(H)〜図6-2(K)は、この発明の実施の形態のOTDM-DPSK信号生成装置内のピーク検出部40における信号の時間波形を示し、図6-2(H)はφ=0、π/4及びπ/2のときの第1高周波検波信号55、図6-2(I1)はφ=0、π/4及びπ/2のときのそれぞれの第1高周波検波信号55、図6-2(I2)はφ=0、π/4及びπ/2のときのそれぞれの第2高周波検波信号61、図6-2(J1)はφ=0、π/4及びπ/2のときのそれぞれの第1低周波信号57、図6-2(J2)はφ=0、π/4及びπ/2のときのそれぞれの第2低周波信号63、図6-2(K)はφ=0、π/4及びπ/2のときのそれぞれの光搬送波位相差検出信号41の時間波形を示す図である。
図6-1及び図6-2において、横軸は時間軸であり任意スケールで目盛って示してある。縦軸は信号強度を任意スケールで目盛って示してある。図6-1及び図6-2に示す時間波形は、見やすいように、この発明の実施の形態のOTDM-DPSK信号生成装置の動作原理の説明に必要な範囲で信号のもつ性質を保持しつつ模式化して示してあり、実際の時間波形とは異なる。
光パルス列11の時間波形は図6-1(A)に示すとおり、光パルスの時間軸上での繰り返し周波数が40 GHzの光パルス列である。各光パルスの光搬送波包絡位相、すなわち光搬送波位相は全て揃っている。DPSK信号においては、光搬送波位相は隣接する光パルスの光搬送波位相との差異が問題となりその絶対値は問題とされない。そして、光パルス列11を構成する光パルスの光搬送波位相が全て揃っているため、図6-1(A)ではその光搬送波位相の位相値は示していない。
図6-1(B)に示す第1差動位相変調信号15、及び図6-1(C)示す第2差動位相変調信号17は、それぞれ(π,0,π,0,π,...)及び(0,0,π,π,0,π...)で与えられる2値デジタル差動位相変調信号である。これは、第1チャンネルの電気信号23及び第2チャンネルの電気信号25が、それぞれ(1,0,1,0,1,...)及び(0,0,1,1,0,0...)で与えられる2値デジタル信号であることが反映されている。
図6-1(D)に示すOTDM-DPSK信号21の時間波形は、第1差動位相変調信号15と遅延第2差動位相変調信号19とが、それぞれの信号を構成する光パルスの光搬送波位相が、0とφ、φとπ、0と(π+φ)及びπと(π+φ)である位相差で干渉することで生成された信号の時間波形である。理想的な状態でOTDM-DPSK信号21として生成される場合とは、位相ゆらぎの大きさφの値が0の状態で生成される場合である。しかしながら、図6-1(D)に示すように、OTDM-DPSK信号21を構成する光パルスの光搬送波位相が、ランダムな位相ゆらぎφを伴っている。すなわち、図6-1(D)は、OTDM-DPSK信号生成装置の光信号が伝播する光伝送路のそれぞれにおいて光路長のゆらぎが発生するため何らかの制御をしない限り、φ=0という状態を常に保つことはできないことを示している。
また、OTDM-DPSK信号21は、40 Gbit/sの信号が時分割多重されて生成された信号であるからそのビットレートは80 Gbit/sとなっている。
図6-1(E-1)及び図6-1(E-2)にそれぞれ示す、第1分割モニター信号42-1と第2分割モニター信号42-2とは、上述したように、互いに1ビット分(ここでは、12.5ピコ秒分)の位相ずれを有している。
図6-1(F)はφ=0、π/4、π/2、3π/4及びπのときのそれぞれの干渉モニター信号33の時間波形を示す図である。
図6-1(F)において、φ=0である場合として示すように、第1分割モニター信号42-1と第2分割モニター信号42-2のそれぞれの光パルスは同位相で重なり合う場合は、光パルスの強度は4倍となる。また、φ=π/2である場合は、全てのタイムスロットにおいて等しい光パルスが生成される。φの値が0とπ/2との間の大きさである場合、及びφの値がπ/2とπとの間の大きさである場合は、強度の大きな光パルスと強度の小さな光パルスの2種類が1対1の割合で時間軸上に現れる。このことから、干渉モニター信号33のピーク強度を知ることができれば、位相ゆらぎの大きさφの値を知ることができる。
そこで、干渉モニター信号33のピーク強度を知るための手法について以下に説明する。
干渉モニター信号33が光電変換器36に入力されると、光電変換器36では干渉モニター信号33が電気信号に変換されるとともに、信号の時間波形が光電変換器36の有する固有の時間応答速度によって、いわゆる帯域制限がなされる。そのため出力される光パルスの時間波形の半値幅は、入力される光パルスの時間波形の半値幅よりも広くなる。光電変換器36としては、例えば、U2T社製のXPRV22021を適宜利用することが可能である。
光電変換器36から出力される電気干渉モニター信号37の時間波形を図6-1(G)に示す。図6-1(G)はφ=0、π/4及びπ/2のときのそれぞれの電気干渉モニター信号37の時間波形を示す図である。図6-1(G)において、φ=3π/4及びπのときを省いてあるのは、それぞれπ/4、及び0のときと同一であるためである。
図6-1(F)と図6-1(G)とに示された時間波形の図を比較すれば明らかなように、電気干渉モニター信号37の光パルスの時間波形の半値幅は、干渉モニター信号33の光パルスの時間波形の半値幅よりも広がっていることが分かる。
光電変換器36から出力される電気干渉モニター信号37は、電位0を中心として正負の信号成分の、それぞれの絶対値の平均が等しくなっており、電気干渉モニター信号37の光パルスのデューティー比に、電気干渉モニター信号37の極大値と極小値とのそれぞれの絶対値の比が依存する。このため、ピーク検出部40は、電気干渉モニター信号37の極大値と極小値とのそれぞれの絶対値が検出できるように、第1高周波検波器52及び第2高周波検波器58が具えられている。
光パルスのデューティー比とは、光パルスが1つ収まるタイムスロットの幅に対する、この光パルスの時間波形の半値幅の割合を言う。
図6-2(H)は、第1高周波検波器52によって生成される第1高周波検波信号55の時間波形を示す図である。図6-2(H)は、φ=0、π/4及びπ/2のそれぞれの場合の第1高周波検波信号55を示してある。第1高周波検波器52は、ダイオード68とコンデンサー66を含んで構成され、電気抵抗54にかかる電圧値である点Pの電位の変化として、第1高周波検波信号55を出力する。
図6-2(H)では、第1電気干渉モニター信号50-1の時間波形を破線で示し、第1高周波検波信号55及び第2高周波検波信号61の時間波形を実線で示してある。図6-2(H)に示すように、第1高周波検波信号55の時間波形には、第1電気干渉モニター信号50-1の時間波形のピーク値が保持されていることが分かる。
一方、第2高周波検波器58は、ダイオード72とコンデンサー70を含んで構成され、電気抵抗60にかかる電圧値である点Qの電位の変化として、第2高周波検波信号61を出力する。点P(図5参照)の電位の変化である第1高周波検波信号55と、点Q(図5参照)の電位の変化である第2高周波検波信号61とは、その絶対値が等しく符号が反対である信号である。
図6-2(I1)及び図6-2(I2)には、説明の便宜上図6-2(H)において実線で示した第1高周波検波信号55及び第2高周波検波信号61の時間波形をそれぞれ再度示してある。図6-2(I1)及び図6-2(I2)において、破線で示す電位は0レベル(接地レベル)を示している。図6-2(I1)に示す第1高周波検波信号55の信号レベルが正の値であるのに対し、図6-2(I2)に示す第2高周波検波信号61の信号レベルは負の値になっていることが読み取れる。
図6-2(J1)及び図6-2(J2)に示された一点鎖線は、それぞれ第1低周波信号57及び第2低周波信号63の時間波形を示している。第1低周波信号57及び第2低周波信号63は、それぞれ実線で示した第1高周波検波信号55及び第2高周波検波信号61が第1ローパルスフィルタ56及び第2ローパスフィルタ62を通過することによって時間平均されて生成された信号である。
φ=0である場合は第1低周波信号57の直流レベルは+V1であり、第2低周波信号63の直流レベルは-V1’である。φ=π/4である場合は第1低周波信号57の直流レベルは+V2であり、第2低周波信号63の直流レベルは-V2’である。φ=π/2である場合は第1低周波信号57の直流レベルは+V3であり、第2低周波信号63の直流レベルは-V3’である。
位相ゆらぎの大きさφの値が0からπ/2に増大するにつれて第1低周波信号57及び第2低周波信号63の絶対値の値が減少する。すなわち、第1低周波信号57及び第2低周波信号63の絶対値の値を知ることができれば、位相ゆらぎの大きさφの値を知ることができることを意味する。
第1低周波信号57及び第2低周波信号63は直流差動増幅器64に入力されて光搬送波位相差検出信号41が生成されて、直流差動増幅器64から出力される。図6-2(K)に、光搬送波位相差検出信号41の時間波形を示す。第2低周波信号63は、直流差動増幅器64に入力されると、その極性が反転され(負の電位が正の電位に変換され)て第1低周波信号57と加算され、その加算値が増幅されて出力される。直流差動増幅器64から出力されるこの出力が、光搬送波位相差検出信号41である。
従って、第1低周波信号57の電位がVであって、第2低周波信号63の電位が-V’である場合、第2低周波信号63の電位が反転されてV’となり、この値に第1低周波信号57の電位Vが加算されてV+V’となる。直流差動増幅器64では、加算されて得られた2Vが増幅されて出力される。直流差動増幅器64の増幅率は、光搬送波位相差検出信号41が利用される状況によって異なり設計的な事項に属する。従って、ここでは簡単のため、直流差動増幅器64の増幅率は1である、すなわち直流差動増幅器64の増幅率では増幅も減衰もされないで、第1低周波信号57との加算値そのものが直流差動増幅器64から光搬送波位相差検出信号41として出力されるとする。
図6-2(K)に示すように、光搬送波位相差検出信号41の直流レベルはφ=0である場合はV1+V1’であり、φ=π/4である場合はV2+V2’であり、φ=π/2である場合はV3+V3’である。光搬送波位相差検出信号41は、リップル成分がなく直流信号であるので、位相ゆらぎの大きさφを正の帰還回路等を利用して制御する場合の制御信号として利用する場合好適なパラメータとなる。
直流差動増幅器64は、例えば、アンリツ社製70KC50等を適宜利用することが可能である。
図8を参照して位相ゆらぎの大きさφと光搬送波位相差検出信号41の直流レベルの大きさとの関係を見やすく整理して説明する。図8は、位相ゆらぎの大きさφの値と光搬送波位相差検出信号の強度との関係を示す図である。横軸に位相ゆらぎの大きさφをラジアン単位で目盛って示してあり、縦軸は光搬送波位相差検出信号41の強度(直流レベル)を任意スケールで目盛って示してある。
実線で示す曲線は、上述した、第1チャンネルのDPSK信号である第1差動位相変調信号15及び第2チャンネルのDPSK信号である第2差動位相変調信号17のビットレートを、いずれも40 Gbit/sであるものとした場合の光搬送波位相差検出信号41の直流レベルの大きさを示している。この場合は、第1差動位相変調信号15と第2差動位相変調信号17とがOTDMされて生成されるOTDM-DPSK信号21のビットレートは80 Gbit/sとなる。従って、図8では、実線で示す曲線によって、ビットレートが80 Gbit/sであるOTDM-DPSK信号21の光パルスの位相ゆらぎの大きさφを示してある。
OTDM-DPSK信号のビットレートが160 Gbit/sである場合についても、同様に破線で光搬送波位相差検出信号の直流レベルの強度を示してある。
いずれの場合も、光搬送波位相差検出信号の直流レベルの大きさは、φ=0からπ/2に増大するにつれて単調に減少する。また、φ=π/2からπに増大する場合は、φ=π/2から0に減少する場合に対応する。すなわち、φ=0とφ=πとは実質的に同じ状態を示す。図8に示すように、φの値を小さく保つ、すなわちφ=0あるいはφ=πに近い値に保つには、光搬送波位相差検出信号の直流レベルの強度が大きくなるように制御すれば良いことが分かる。
上述したように、光搬送波位相差検出信号の直流レベルの強度が大きくなるように制御すればφの値を小さく保つことが可能であるので、例えば、第1変調器ドライバ22及び第2変調器ドライバ24から供給される送信信号23及び25にバイアス電圧成分を付加しておいて、このバイアス電圧成分の大きさを光搬送波位相差検出信号の直流レベルの強度が大きくなるように正の帰還することができる。このようにすれば、常にφの値を極小に保つことを自律的に実現できるOTDM-DPSK信号生成装置を実現することが可能である。
光搬送波位相差検出信号の直流レベルの強度が大きさをパラメータとする正の帰還手段を構築することは、局所探索法、最急勾配法、最大制御法等の周知のアルゴリズムを採用することによって実現可能である。
ここで、図6-1及び図6-2で示した実際の信号の時間波形の例として、干渉モニター信号33の実際の時間波形をとりあげ、図7を参照して説明する。上述したように干渉モニター信号33に限らず、図6-1及び図6-2で示した信号の時間波形は実際の時間波形とは異なるが、上述の発明の動作原理の説明においては、各信号の厳密な実際の時間波形の細部までを知る必要はない。
図7は、光搬送波干渉計32から出力される干渉モニター信号33の、位相ゆらぎの大きさφの値が0、π/4、π/2及びπである場合の実際の時間波形を示す図であり、図7(A)はモニター信号のビットレートが80 Gbit/sである場合、図7(B)はモニター信号のビットレートが160 Gbit/sである場合をそれぞれ示す図である。
図7において横軸は時間をns単位で目盛って示してあり、縦軸は干渉モニター信号33の強度を任意スケールで目盛って示してある。図7(A)に示すように、ビットレートが80 Gbit/sである場合において、φ=0又はπのときの干渉モニター信号33の時間波形は実線で示してありその極大値と極小値との差はV1であり、φ=π/4のときの干渉モニター信号33の時間波形は間隔の荒い破線で示してありその極大値と極小値との差はV2であり、φ=π/2のときの干渉モニター信号33の時間波形は間隔の細かい破線で示してありその極大値と極小値との差はV3である。位相ゆらぎの大きさφの値がφ=π/2に近いほど極大値と極小値との差が大きいこと、φ=0又はπに近い程極大値と極小値との差が小さいことが読み取れる。
一方、図7(B)に示すように、ビットレートが160 Gbit/sである場合においても同様に、φ=0又はπのときの干渉モニター信号33の時間波形は実線で示してありその極大値と極小値との差はV1であり、φ=π/4のときの干渉モニター信号33の時間波形は間隔の荒い破線で示してありその極大値と極小値との差はV2であり、φ=π/2のときの干渉モニター信号33の時間波形は間隔の細かい破線で示してありその極大値と極小値との差はV3である。位相ゆらぎの大きさφの値がφ=π/2に近いほど極大値と極小値との差が大きいこと、φ=0又はπに近い程極大値と極小値との差が小さいことが読み取れる。
図7(A)に示すビットレートが80 Gbit/sである場合の干渉モニター信号と、図7(B)に示すビットレートが160 Gbit/sである場合の干渉モニター信号とを比較すると、図7(B)に示す干渉モニター信号は、そのビットレートが2倍になっているので、その周期が半分になっている。
<2Nチャンネル多重のOTDM-DPSK信号生成装置>
ここで、Nを2以上の整数として2Nチャンネル多重のOTDM-DPSK信号生成装置を、この発明の2多重のOTDM-DPSK信号生成装置を利用して構築することが可能であることを説明する。この場合、OTDM-DPSK信号生成部と、光搬送波位相差検出部とを以下の通りに構成する。
OTDM-DPSK信号生成部は、光分岐器と、第1〜第2N位相変調器と、(2N-1)個の光カプラと、(2N-k)個(ここで、kは、1からNまでの全ての整数である。)のk次モニター信号分岐器と、を具える。光分岐器は、光パルス列を、1〜2N光パルス列に2N分割する。第1〜第2N位相変調器は、第1〜第2N光パルス列をそれぞれ入力して、DPSK方式でコーディングされた第1〜第2NチャンネルのDPSK信号をそれぞれ生成して出力する。(2N-1)個の光カプラは、第1〜第2NチャンネルのDPSK信号をOTDMして、2N多重のOTDM-DPSK信号を生成して出力する。(2N-1)個の1次モニター信号分岐器は、隣接する第iチャンネルと第(i+1)チャンネルのDPSK信号(iは1から2N-1までの全ての整数である。)をOTDMして生成される(2N-1)個の1次OTDM-DPSK信号から1次モニター信号をそれぞれ分岐して取り出す。順次、(2N-k)個(ここで、kは、2からNまでの全ての整数である。)のk次モニター信号分岐器は、(2N-k)個のk次光時分割多重差動位相変調信号からk次モニター信号をそれぞれ分岐して取り出す。
光搬送波位相差検出部は、1〜k次モニター信号を入力して、これらの1〜k次モニター信号をそれぞれ構成する光パルス間の光搬送波位相差の関数としてそれぞれ与えられる(2N-1)個の光搬送波位相差検出信号を生成して出力する。
ここで、光搬送波位相差検出信号の総数が(2N-1)個となる理由を説明する。上述したように、光搬送波位相差検出信号のそれぞれは、1〜k次モニター信号をそれぞれ構成する光パルス間の光搬送波位相差の関数としてそれぞれ与えられるので、光搬送波位相差検出信号の総数は、1〜k次モニター信号の総数に等しい。1次のモニター信号の個数は(2N-1)個であり、2次のモニター信号の個数は(2N-2)個であり、一般にk次のモニター信号の個数は(2N-k)個であるから、1〜k次モニター信号の総数は、2N-1+2N-2・・・+20=2N-1(個)となる。
以上示したように、1〜k次モニター信号をそれぞれ、ビットレートが異なるだけで、基本的にこの発明の2多重のOTDM-DPSK信号生成装置の構成が使われていることが分かる。すなわち、k次モニター信号のビットレートは1次のモニター信号のビットレートの2k倍となっている。1〜k次モニター信号をそれぞれ個々に見ると、k次モニター信号は1次のモニター信号の2k倍のビットレートであるOTDM-DPSK信号から分岐された信号であり、(k-1)次モニター信号を分岐される1次のモニター信号の2k-1倍のビットレートであるOTDM-DPSK信号を2多重するOTDM-DPSK信号生成装置によって生成された信号と見ることが可能である。
分かりやすいようにN=2の場合について、すなわち4チャンネル(22チャンネル)である場合について説明する。この場合は、OTDM-DPSK信号生成部は、光分岐器と、第1〜第4位相変調器と、3個の光カプラと、2個の1次モニター信号分岐器と1個の2次モニター信号分岐器を具える。
光分岐器は、光パルス列を、第1〜第4光パルス列に4分割する。第1〜第4位相変調器は、第1〜第4光パルス列をそれぞれ入力して、DPSK方式でコーディングされた第1〜第4チャンネルのDPSK信号をそれぞれ生成して出力する。
3個の光カプラは、第1〜第4チャンネルのDPSK信号をOTDMして、4多重のOTDM-DPSK信号を生成して出力する。2個の1次モニター信号分岐器は、隣接する第1チャンネルと第2チャンネル、第2チャンネルと第3チャンネル、及び第3チャンネルと第4チャンネルの、それぞれの2多重のDPSK信号をOTDMして生成される2個の1次OTDM-DPSK信号から1次モニター信号をそれぞれ分岐して取り出す。順次、2個の1次モニター信号分岐器から1次モニター信号を取り出し、1個の2次モニター信号分岐器から2次モニター信号をそれぞれ分岐して取り出す。
光搬送波位相差検出部には、1個の2次モニター信号と2個の1次モニター信号とを入力して、これらの1次及び2次モニター信号をそれぞれ構成する光パルス間の光搬送波位相差の関数としてそれぞれ与えられる3個の光搬送波位相差検出信号を生成して出力する。
4チャンネル多重のOTDM-DPSK信号生成装置にあっても、φの値を小さく保つ、すなわちφ=0あるいはφ=πに近い値に保つには、1個の2次モニター信号と2個の1次モニター信号に対する全ての光搬送波位相差検出信号について、光搬送波位相差検出信号の直流レベルの強度が大きくなるように制御すれば良い。一般に、φの値を小さく保つには、2N-1(個)の1〜k次モニター信号に対する全ての光搬送波位相差検出信号の直流レベルの強度が大きくなるように制御すれば良い。