JP4530675B2 - 自動車用窓ガラス - Google Patents

Description

本発明は、セラミックカラーでなるペーストを塗布した車輌窓ガラスに関する。

従来から、自動車窓ガラス周辺部あるいは中央部ならびにその近傍に、セラミックカラー組成物でなるペースト（以後セラミックカラーペーストと呼ぶ）を、スクリーン印刷でもって被覆層を形成し乾燥後、曲げ加工工程にて焼き付ける、所謂自動車窓ガラス用セラミックカラーペーストが普及している。セラミックカラーペーストは、焼き付けられて、セラミックカラー層を形成する。

該セラミックカラーペーストは、ガラス板状体周辺部等に被覆し焼き付けることにより、セラミックカラー組成物が不透明接着層としてのセラミックカラー層を形成し、例えばウレタンシーラント等接着剤の紫外線による劣化防止、あるいは熱線用端子等が外部から見えないようにする隠蔽機能等を目的として用いられるものである。

したがって、セラミックカラー層は、不透明着色層としての機能を有し、可視光線、特に紫外線を透過させないことが重要である。

本用途のセラミックカラーペーストとしては、大別して非晶質ガラスをベースとしたもの、あるいは結晶化タイプをベースとしたものに、種々の耐熱性着色顔料を混ぜたもの等が知られている。（特許文献１）
また、セラミックカラー層は、可視光線、特に紫外線を透過させないために、通常、黒色もしくはグレー色のセラミックカラー層が用いられている。（特許文献２）

特開平３ー２８５８４４号公報 特開平６−１８３７８４号公報

従来、使用されている黒色もしくはグレー色のセラミックカラー層は、トーンが強く、ガラス色とボディ色との間で、目立ちすぎたり、ガラス色とボディ色を分断し、違和感を生じさせる傾向がある。さらに、内装材を車外から隠すという目的で形成されるので、セラミックカラー層は幅広く形成され、違和感も強く感じられる傾向にあった。
近年は、このような問題に対し、微細なドットパターンによるグラデーション状のセラミックカラー層が広く用いられるが、違和感を無くすには、十分なものではなかった。

本発明の自動車用窓ガラスは、セラミックカラー層が形成されてなる自動車用窓ガラスにおいて、自動車用窓ガラスの全面あるいは一部に、セラミックカラー層が、黒色の顔料と緑色の顔料の合計を１００ｗｔ％として緑色の顔料を３０〜８０ｗｔ％とする、セラミックカラーペーストを用いて形成され、Ｌ^＊ａ^＊ｂ^＊表色系において、ガラスの透過色のａ^＊の値が−１５．０〜０．０であり、セラミックカラー層の車外側からガラスを通して見る反射色が、Ｌ^＊≦３０．０、−１５．０≦ａ^＊≦０、−２≦ｂ^＊≦８であることを特徴とする自動車用窓ガラス。

本発明の自動車用窓ガラスは、ガラスに塗布されたセラミックカラー層の違和感をなくし、見栄えのよい自動車用窓ガラスを提供する。

本発明は、自動車の窓に用いられるガラスに、セラミックカラー層を形成するものである。例えば、図１は、本発明によるセラミックカラー層２が形成された自動車の窓ガラス１を示すものである。

セラミックカラー層２は、低融点ガラスのフリットと顔料とからなるセラミックカラーペーストをガラスにスクリーン印刷法などで所定の形状に印刷し、印刷後、セラミックカラーペーストを焼成して、セラミックカラー層２がガラスに強固に付着した状態で形成される。

セラミックカラー層２は、ガラスを車体に接着するために用いられている接着剤（例えばウレタン系の接着剤）の光による劣化を防ぐために形成される。このため、セラミックカラー層の可視光線透過率は、０．３％以下、紫外線透過率は０．１％以下であることが好ましい。

自動車用の窓ガラスの色とセラミックカラー層の色との調和は、ガラスの透過色と、セラミックカラー層の反射色が問題になる。これは、ガラスを車外から見たとき、ガラスの色は透過色であり、セラミックカラー層の色は、ガラスを透してみる反射色となるためである。

ガラスは、自動車の窓に用いられるものであり、近年、自動車用窓ガラスは、車内空間の快適性を目的として、ＵＶカット（紫外線カット）および赤外線カットの性能を有するガラスが多く用いられる。この、紫外線および赤外線をカットするガラスの色調は緑色である。

Ｌ^＊ａ^＊ｂ^＊表色系において、Ｌ^＊の値は明度を表し、ａ^＊の値は、＋が赤の強さ、−が緑の強さを表し、ｂ^＊の値は＋が黄の強さ、−が青の強さを表す。

紫外線と赤外線とをカットする緑色のガラスは、その透過色のａ^＊の値は−１５．０〜０．０の範囲にある。

このような色調のガラスに対し、セラミックカラーペーストに用いる顔料は、黒色の顔料と緑色の顔料を混合して用いることが好ましい。

黒色の顔料として、酸化クロム、酸化銅、酸化マンガン等が、また、緑色の顔料として酸化クロムを用いることができる。

緑色の顔料と黒色の顔料の混合は、顔料の総量を１００ｗｔ％ととして、緑色の顔料を３０〜８０ｗｔ％とすることが好ましい。

セラミックカラー層の、車外側から見たときの、反射色は、Ｌ^＊ａ^＊ｂ^＊表色系において、Ｌ^＊≦３０．０であることが好ましい。Ｌ^＊が３０を越えると、セラミックカラー層が明るすぎて目立つようになり、好ましくない。

また、セラミックカラー層の、車外側から見たときの、反射色のａ^＊の値は、−１５．０≦ａ^＊≦０の範囲にあることが好ましく、―１０より小さい値では、緑色が強く感じられるようになり、また、０より大きくなると、赤色の色調が感じられるため、−１０．０≦ａ^＊≦０の範囲にない場合は、好ましくない。

さらに、セラミックカラー層の、車外側から見たときの、反射色のｂ^＊の値は、−２≦ｂ^＊≦８の範囲にあることが好ましい。ｂ^＊の値がー２より小さい場合は、青色が強く感じられるようになり、８を越えると黄色が強く感じられるようになり共に好ましい色調ではなくなる。

なお、セラミックカラーペーストに用いる低融点ガラスフリットには、特に限定するものではないが、非晶質、結晶質、無鉛、有鉛等のガラスを用いることができる。

実施例、比較例ともに、図１に示すように、縦約１００ｍｍ、横約１４５０ｍｍ、厚み３，５ｍｍのガラス１に、幅１００ｍｍ前後の帯状のセラミックカラー層２を形成した。

セラミックカラーペーストは、スクリーン印刷にて塗布した後、乾燥炉にて１２０℃、５分感乾燥させた後、焼成炉内で６５０℃にて３分間焼成した。

セラミックカラーペーストは、低融点ガラスフリットと顔料の比率を、低融点ガラスフリット：顔料＝８０：２０で調整し、樹脂分を５ｗｔ％、溶剤１５ｗｔ％を加え１００ｗｔ％としたものを用いた。

実施例および比較例において用いた顔料としては、黒色の顔料に酸化クロム、酸化銅、酸化マンガンの混合顔料を、青色の顔料に酸化コバルトを、緑色の顔料に酸化クロムを、黄色の顔料に酸化クロム、酸化チタン、酸化アンチモンの混合顔料を、赤色の顔料に酸化鉄を使用した。

反射色の測定は、ミノルタ色彩色差計ＣＲ−３００を使用して、ガラス面越しに（図２において車外側から）測定した。また、可視光線透過率、紫外線透過率は、日立分光光度計Ｕ４０００を使用して測定した。

表１に、使用した顔料の色、セラミックカラー層の色調、セラミックカラー層の、Ｌ^＊ａ^＊ｂ^＊表色系における、Ｌ^＊の値、ａ^＊の値およびｂ^＊の値、さらに、可視光線透過率と紫外線透過率の値を示す。なお、表１の顔料の数値は、顔料の量を１００ｗｔ％とした場合の、各顔料の成分比をｗｔ％で示した値である。

表１の実施例に示すように、顔料を１００ｗｔ％として、緑色の顔料を３０〜８０ｗｔ％、残部を黒色の顔料にすると、セラミックカラー層の色調は、深緑色違となり、違和感の生じない、セラミックカラーペースト層が形成できた。

比較例１は、黒色の顔料を用いた従来品のセラミックカラーペースト層であり、色調の黒色が強く、違和感の生じるものであった。

比較例２の黒色と緑色の顔料の他に青色の顔料を用いたものは、青色が感じられ、違和感を生じた。

緑色の顔料のみを用いて形成したセラミックカラー層（比較例３）は、ガラスの色に対し、セラミックカラー層の緑色の色調がきつく、また、赤色セラミックカラー層（比較例６）は、緑色とは補色関係になり、黒色のセラミックカラー層（比較例１）よりも目立つ色調となり、違和感の強いものであった。

青色の顔料のみを用いたセラミックカラー層（比較例４）、黄色の顔料のみを用いたセラミックカラー層（比較例５）は、可視光線透過率の０．３％以下、紫外線透過率の０．１％以下を満足できなかった。

実施例および比較例のセラミックカラー層を形成したガラスの正面概略図である。 図１のａ−ａ′断面図である。

符号の説明

１ ガラス
２ セラミックカラー層

Claims (1)

1. セラミックカラー層が形成されてなる自動車用窓ガラスにおいて、自動車用窓ガラスの全面あるいは一部に、セラミックカラー層が、黒色の顔料と緑色の顔料の合計を１００ｗｔ％として緑色の顔料を３０〜８０ｗｔ％とする、セラミックカラーペーストを用いて形成され、Ｌ^＊ａ^＊ｂ^＊表色系において、ガラスの透過色のａ^＊の値が−１５．０〜０．０であり、セラミックカラー層の車外側からガラスを通して見る反射色が、Ｌ^＊≦３０．０、−１５．０≦ａ^＊≦０、−２≦ｂ^＊≦８であり、該セラミックカラー層は可視光透過率が０．３％以下、紫外線透過率が０．１％以下であることを特徴とする自動車用窓ガラス。