JP4528015B2

JP4528015B2 - 低鉄損内転型電動機

Info

Publication number: JP4528015B2
Application number: JP2004112412A
Authority: JP
Inventors: 毅河内; 規之鈴木; 栄一竹内; 憲人阿部; 隆平山; 政男藪本; 尚茂木
Original assignee: Nippon Steel Corp
Current assignee: Nippon Steel Corp
Priority date: 2004-04-06
Filing date: 2004-04-06
Publication date: 2010-08-18
Anticipated expiration: 2024-04-06
Also published as: JP2005304106A

Description

本発明は、電動機の鉄芯の固定技術に係り、特に打抜かれた電磁鋼板を積層し一体化し製造される電動機用鉄芯の鉄損低減技術に関する。

近年、省エネルギーの観点から各種電気機器の効率向上が求められている。電機機器の効率は各種要因に影響されるが、電動機の鉄芯で発生する損失である鉄損は比較的大きな比重を占めており、従って、最近ではより鉄損の少ない電磁鋼板が使用される場合が増加している。このような電磁鋼板を用いて、内転型電動機の積層固定子および積層回転子を製造する方法としては、鋼板を打抜き、所定枚数を単位鉄芯として積層し、ボルト締め、カシメ、溶接を用いて固着するのが一般的である。

さらに、積層固定子は、巻線コイルの組立て工程を経て、固定子を囲うケースに固定される。固定子をケースに固定する方法は、積層方向にボルト通過用に開けた穴にボルトを通し、ボルトをケースへ固定するボルト締付型、および、固定子外径とほぼ同じ大きさの内径を持つケースに焼嵌める焼嵌め型等が一般的である。しかし、焼嵌め型では、固定子全体に高い圧縮応力が生じてしまい、この圧縮応力は電動機における鉄損を増大させてしまう。また、ボルト固定においても、局所的に高い圧縮応力が生じてしまい、やはり電動機における鉄損を増大させてしまう｛例えば、電気学会回転機研究資料ＲＭ−９５−２７（１９９５年１月）（非特許文献１）｝。

前述したように、電動機の固定子の鉄損を増加させる原因の一つに、固定子内に生じる圧縮応力がある。図１に示すように、磁束方向に圧縮応力が生じると鉄損が増加することが一般に知られている（非特許文献１）。従来の電動機の場合、固定子のケースへの固定方法は、焼嵌めやボルトによる固定がある。焼嵌めでは固定子のヨーク部ほぼ全域に周方向の高い圧縮応力が生じてしまう。この圧縮応力により、電動機の鉄損は大幅に増大する。また、ボルトでケースに固定した場合においても、ボルトの締め付けにより、固定子のボルト接触位置近傍においては、局所的に高い圧縮応力が生じてしまう。この様に、部分的にでも高い圧縮応力領域が磁路内に存在すると、その部位において磁束の流れが妨げられ、鉄損が増大してしまう。

固定子の圧縮応力による悪影響を減らす技術として、特開２００２−１３６０１３号公報（特許文献１）がある。この技術は、固定子の一部に穴を空け、応力を緩和するものであるが、これでは、十分に応力を緩和できず、また、磁路に磁気抵抗が大きい空隙を有することにもなり、逆に電動機の効率を低下させるおそれがある。

電気学会回転機研究資料ＲＭ−９５−２７（１９９５年１月）特開２００２−１３６０１３号公報

いかなる固定方法でも固定子内部には圧縮応力が生じ、鉄損を増加させるが、均一に積層方向に圧縮固定することにより、固定子内部に生じる圧縮応力は全体に生じるが、その大きさは小さくなり、電動機の鉄損はわずかに増加するのみとなる。
本発明は、電動機用固定子内部において生じる圧縮応力を低いレベルで均一に分散させ、鉄損の増加を防ぐ内転型電動機を提供することを目的とする。

上記の課題を解決するため、本発明の要旨とするところは、
鋼板を所定の形状に打抜き、複数枚積層し、一体化した固定子及び回転子を有し、前記回転子を内側に、前記固定子を外側に配置した電動機において、前記固定子を環状の固定用平板とケースの間に配置し、前記平板を前記固定子の外側で前記ケースに、６本以上で周方向に等配に配置されたボルトによって固定するとともに、前記固定用平板とケースとの間に皿バネを挟んだことを特徴とする低鉄損内転型電動機である。

本発明により、ボルトによって固定子を直接ケースに固定する従来の電動機に比べ、鉄損が５％以上低減する効果が得られる。

本発明者らは、固定によって生じる不可避的な圧縮応力を低いレベルで均一に分散させることで、無害化または影響を少なくすることができると考え、以下に述べる電動機を発明した。図２に示される垂直断面図および図３に示される水平断面図のように、内側に配置された回転子５、外側に配置された固定子６、ケース７および固定用平板８からなる電動機９において、回転軸１７が挿入された回転子５は軸受け１０を介してケースに固定（ただし、回転可能）されている。また、巻線１６が巻かれた固定子６の下面１１はケースと接し、上面１２は固定用平板８に接するように、固定子６は固定用平板８とケース７の間に配置されている。

固定用平板８は、固定子６の外側でケース７に固定できるように、固定子６の外周より大きい円環状であり、外周部には複数個のボルト穴１３を有する。固定用平板８は、ケース７との間に円環状皿バネ１４を挟み、ボルト１５は、固定用平板８のボルト穴１３と皿バネ１４を通り、ケース７に締結される。固定子上面１２は固定用平板８によって均一に押しつけられるので、低い圧力でも押しつけ力の総和は十分確保でき、低い圧力のため、固定子６の内部に生じる圧縮応力も低いレベルに抑えることができ、鉄損の増加も抑えることができる。

固定用平板は、ボルトなどでケースに固定しても良いし、固定用平板外周と固定用平板外周に接するケース内周にネジ山を切り、固定用平板本体をネジとしてケースに固定しても良いが、生産設備コストの増加を抑えるため、従来の生産方法と共通するボルトによる固定が望ましい。また、そのボルトの本数は、固定用平板を水平にするため３本以上が望ましく、力をより均一にするためには、６本以上で周方向に等配に配置するのが望ましい。

さらに、上記平板は水平断面図である図４に示すように、一枚である必要はなく、それぞれに独立した複数枚の固定用平板３４から構成されても良い。しかし、より均一に固定子をケースへ固定するために、図２および３で示したように、固定用平板は一体で、固定子の外周は円形をなす事が一般であることから、環状であることが望ましい。

本発明例として、上記実施の形態の図２で示した電動機を作成し、固定用平板は環状で、円周上に等配置された６本のボルトによって固定した。本発明例の電動機は、ボルトによって固定子が直接ケースに固定される従来の電動機に比べ、鉄損が５％低減した。

鉄損の残留応力依存性を示す図である。本発明例の電動機の垂直断面図である。本発明例の電動機の水平断面図である。本発明例の電動機の水平断面図である。

符号の説明

１磁束密度０．７Ｔにおける鉄損の残留応力依存性
２磁束密度１．０Ｔにおける鉄損の残留応力依存性
３磁束密度１．３Ｔにおける鉄損の残留応力依存性
４磁束密度１．５Ｔにおける鉄損の残留応力依存性
５回転子
６固定子
７ケース
８固定子固定用平板
９本発明例の電動機
１０軸受け
１１固定子の下面
１２固定子の上面
１３ボルト穴
１４皿バネ
１５ボルト
１６巻線
１７回転軸

特許出願人新日本製鐵株式会社
代理人弁理士椎名彊他１

Claims

鋼板を所定の形状に打抜き、複数枚積層し、一体化した固定子及び回転子を有し、前記回転子を内側に、前記固定子を外側に配置した電動機において、前記固定子を環状の固定用平板とケースの間に配置し、前記平板を前記固定子の外側で前記ケースに、６本以上で周方向に等配に配置されたボルトによって固定するとともに、前記固定用平板とケースとの間に皿バネを挟んだことを特徴とする低鉄損内転型電動機。