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JP4518046B2 - 炭素繊維前駆体用油剤および炭素繊維前駆体 - Google Patents

炭素繊維前駆体用油剤および炭素繊維前駆体 Download PDF

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Description

本発明は、高性能な炭素繊維を高い操業性で製造することができる炭素繊維前駆体およびそれに用いる炭素繊維前駆体用油剤に関するものである。
炭素繊維は、他の繊維に比べて高い比強度および比弾性率を有するため、複合材料用補強繊維として、従来からのスポーツや航空・宇宙用途に加え、自動車や土木・建築、圧力容器、風車ブレードなどの一般産業用途にも幅広く展開されつつあるが、特にスポーツや航空・宇宙用途においては、更なる高強度化や高弾性率化の要請が高い。
炭素繊維の中で、最も広く利用されているポリアクリロニトリル系炭素繊維は、前駆体となるポリアクリロニトリル系重合体を湿式紡糸または乾湿式紡糸して前駆体繊維を得た後、それを200〜400℃の酸化性雰囲気下で加熱して耐炎化繊維へ転換し、少なくとも1000℃の不活性雰囲気下で加熱して炭素化することによって、工業的に製造されている。
高性能な炭素繊維を得るためには、先述の各製造工程において、張力を高く、あるいは高い延伸倍率に設定することがよく行われるが、その際、単繊維同士の融着が発生して品位・品質が低下しやすいため、安定的に生産するためには妥協的な延伸倍率で操業せざるを得ないという問題がある。
この問題に対し、耐熱性の高いシリコーン油剤をポリアクリロニトリル系前駆体繊維に付与する技術が多数提案され、工業的に広く適用されている。例えば、特定のアミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アルキレンオキサイド変性シリコーンを混合した油剤は、空気中及び窒素中での加熱時の減量が少なく、融着防止効果が高いことが開示されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、ここで用いられるシリコーン油剤は、耐炎化工程において単繊維間に介在して耐炎化反応に必須となる酸素の供給を妨げ、その結果、耐炎化反応の進行度むら、いわゆる焼成むらの発生が誘起され、更にはこれが原因となって、続く炭化工程において糸切れや毛羽発生などの問題を引き起こしやすく、生産性向上の大きな障害となることが多いという問題を有していた。この問題に対し、シリコーン油剤の硬化挙動を特定することにより改善する技術(例えば、特許文献2)が開示されているが、この技術では、シリコーンが単繊維同士を拘束することで接着剤のようにはたらき、焼成むらを起こすことがあったため、高い延伸倍率で焼成するについては限界があった。また、有機化合物やシリコーン化合物からなる粒子を用いることで単繊維間に隙間を設けて単繊維間融着を抑制する技術(例えば、特許文献3)が開示されているが、微粒子が脱落して製造工程を汚染し、その汚染物と繊維の擦過による毛羽発生や微粒子が繊維に強く押しつけられることによる傷の生成があり、高い延伸倍率で焼成するについては限界があった。
特公平3−40152号公報(全体) 特開2001−172880号公報(全体) 特開平9−41226号公報(全体)
本発明は、上記問題点を解決し、高糸条密度、高張力の条件下においても、単繊維間融着を防ぎ、かつ、耐炎化工程での酸素の供給を円滑に行うことができる、優れた性能を有する炭素繊維を製造するための炭素繊維前駆体用油剤、それを用いた炭素繊維前駆体、および炭素繊維の製造方法を提供するものである。
本発明の炭素繊維前駆体用油剤は、前記課題を解決するために、次の構成を有する。すなわち、150℃における動粘度が15000cSt以上である第1のシリコーンを必須成分とし、流体力学的平均粒径が0.05〜5μmである第1の液状微粒子と、25℃における動粘度が10000cSt以下である第2のシリコーンを含み、流体力学的平均粒径が0.001〜5μmである第2の液状微粒子を含み、第2のシリコーンと第1の液状微粒子との重量比が990/10〜500/500である炭素繊維前駆体用油剤である。
また、本発明の炭素繊維前駆体は、前記課題を解決するために、次の構成を有する。すなわち、前記炭素繊維前駆体用油剤が付与されてなる炭素繊維用前駆体である。
さらに、本発明の炭素繊維の製造方法は、前記課題を解決するために、次の構成を有する。すなわち、前記炭素繊維前駆体を耐炎化処理して後、炭素化処理せしめる炭素繊維の製造方法である。
本発明によれば、150℃における動粘度が15000cSt以上である第1のシリコーンを必須成分とし、流体力学的平均粒径が0.05〜5μmである第1の液状微粒子と、25℃における動粘度が10000cSt以下である第2のシリコーンを含み、流体力学的平均粒径が0.001〜5μmである第2の液状微粒子を含み、第2のシリコーンと第1の液状微粒子との重量比が990/10〜500/500である炭素繊維前駆体用油剤とすることにより、炭素繊維前駆体の製造工程において単繊維間融着を抑制するとともに、それに続く耐炎化工程において炭素繊維前駆体を傷つけることなく単繊維一本一本にばらけさせることが可能となるために単繊維間に酸素が均一に供給され、焼成むらを高効率で抑制させることができ、従来よりも高い糸条密度、高張力、高速の焼成条件であっても、毛羽や糸切れのない安定した品位で、高性能な炭素繊維を製造することができる。
本発明の炭素繊維前駆体用油剤は、150℃における動粘度が15000cSt以上である第1のシリコーンを必須成分とし、流体力学的平均粒径が0.05〜5μmである第1の液状微粒子と、25℃における動粘度が10000cSt以下である第2のシリコーンを含み、流体力学的平均粒径が0.001〜5μmである第2の液状微粒子を含み、第2のシリコーンと第1の液状微粒子との重量比が990/10〜500/500であることを特徴とするものである。上記の第1のシリコーンを必須成分とする液状微粒子を炭素繊維前駆体に適用することにより、耐炎化での焼成むらを抑制することができる理由は、必ずしも明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、耐炎化処理における焼成むらは、糸束内への酸素の透過が阻害され十分供給されない部分が生じることが原因であり、単繊維同士が直接融着することや、融着を抑制するために用いられた油剤が単繊維間に存在して単繊維同士を拘束することが酸素透過阻害要因となっているものと考えられる。後者の場合は、すなわち、油剤が単繊維間に入り込み、接着剤のように作用して単繊維同士を拘束するのである。糸束内への酸素の透過を考えた場合、融着した単繊維間や単繊維間で硬化した油剤が存在すると、そこの中を通って酸素が拡散することになり、単繊維間が拘束されていない空間への酸素の透過に比べ、酸素の透過量が落ち、均一に酸素が供給されないため焼成むらとなるものと考えられる。一般に、油剤は、製糸工程における乾燥工程直前で付与され、熱処理を受ける。この乾燥熱処理時に油剤の一つの液滴が単繊維間に存在し、それが両方の単繊維に拡展し、そのまま硬化すると油剤が接着剤のように作用する可能性が高く、結果として焼成むらが発生すると考えられる。また、単繊維上に存在する液滴が隣の単繊維上の液滴と、硬化する前に合一しても同様に、接着剤のように作用することが考えられる。一方、本発明では、特定の液状微粒子が存在することによって、製糸工程の間、動粘度の高い液滴があたかも固体スペーサーのように作用し、単繊維間に隙間を作ることで、融着を抑制しつつ、酸素の供給路が確保され酸素が糸束内に均一に供給されるために均一な焼成が可能になるものと考えられる。ただし、本発明における第1のシリコーンを必須成分とする微粒子は固体とは違い、液体であるため、それ自身が変形することにより、炭素繊維前駆体を傷つけることはなく、また、ローラーなどの製造工程への脱落も少ないという利点がある。製糸工程において、油滴が単繊維間で変形し、単繊維間の隙間を減らすことを抑制するために、液状微粒子に含まれる液体は、その動粘度が高いほど好ましく、そのため、製糸の乾燥工程温度に近い150℃における動粘度が、15000cSt以上、好ましくは20000cSt以上、より好ましくは80000cSt以上、更に好ましくは150000cSt以上のものを用いる。動粘度の上限は特に限定されない。動粘度が高すぎると微粒化が困難になることがあるので、微粒化のためには、動粘度は15000000cSt以下とするのが好ましいが、乳化重合により微粒化が可能な場合は、それより高粘度でもかまわない。ただし、液状微粒子としての特性を発揮するために、液体は、150℃において変形できることが好ましい。ここで、150℃において変形できるとは、液体を、150℃に保持した熱板に付与し、該熱板を垂直に立てて、1時間後に観察したときに形状が変化していることを指す。なお、油剤中の液体を測定する際は、下記のように遠心分離等を用いて液体を分離してから測定すればよい。
液体の動粘度は、次の方法で求めることができる。オストワルド型粘度計(毛管粘度計)に所定の温度に保たれた液体を10mlセットし、測定液の上面が一定の距離を通過する時間t(sec)を測定する。基準液体の粘度をη0(cP)、密度をρ0(g/cm3)、流下時間をt0(sec)とすると、動粘度は、
動粘度(cSt)=(η0/ρ0)×(t/t0
により算出される。
なお、油剤中の液体の動粘度の測定については、遠心分離により液状微粒子を分離し、分離された液状微粒子からpH調整により乳化剤を分離し、液体を抽出した後、動粘度の測定を行う。
本発明で用いる150℃における動粘度が15000cSt以上である第1のシリコーンとしては、上記範囲を満足すれば、特に限定されないが、シリコーンオイルなどのオイルが好ましく用いられ、中でも、シリコーンオイルは、粘度温度係数が小さいことや離型性が高いことから特に好ましく用いられる。
シリコーンオイルとしては、基本的に直鎖状のシロキサン骨格を有するものであることが好ましい。若干の分岐や架橋構造を有していてもよいが、分子全体が直鎖状の構造からなるものが好ましい。分子中のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、へキシルなどのアルキル基;シクロヘキシルなどのシクロアルキル基;ビニル、アリルなどのアルケニル基;フェニル、トリルなどのアリール基、グリシジル基、脂環式エポキシ基、アミノ基などが例示される。かかる有機基が反応性であると、耐炎化工程までに架橋反応が起こり、固体スペーサーのようになることがあるため、非反応性であることが好ましく、特に、メチル基や脂環式エポキシ基が好ましく、メチル基が最も好ましい。該有機基の一部に反応性基を含む場合は、ゲル化を抑制する観点から、該反応性基の当量が4000g/mol以上が好ましく、10000g/mol以上がより好ましく、50000g/mol以上がさらに好ましい。ケイ素原子に結合するその他の基として、アルコキシ基、水酸基、水素原子などを部分的に含んでいてもよい。なお、分子鎖の末端基としては、トリオルガノシリル基、またはその有機基の一部が水酸基で置換された基が例示される。特に、反応性の低いトリメチルシリル基であることが好ましい。このようなシリコーンは、1種を単独で使用しても、2種以上を混合して用いてもよい。
シリコーンオイルの場合、150℃における動粘度は、25℃における動粘度を用い下記式においてT=150℃として計算により求めることもできる。ただし、この計算値と前記した実測値が異なる場合には実測値を用いる。
logη={763.1/(273+T)}―2.559+logη25
T:150(℃)、logη:T℃における動粘度(cSt)、logη25:25℃における動粘度(cSt)。
本発明の油剤に用いられる液状微粒子は、作製の方法は問わないが、例えば、分散媒を用いて、上述したシリコーンオイルなどの高動粘度の液体を乳化する方法や、シリコーンオイルなどを乳化重合により得る方法などが挙げられる。分散媒としては、有機溶媒でもよいが、前駆体繊維への均一付与性、付与簡便性の観点から、水を用いるのが好ましい。
水を分散媒とする際には、通常、界面活性剤を併用する。界面活性剤としては、特に種類は問わず、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性のいずれもが用いられ、アニオン性とカチオン性の組み合わせ以外は、組み合わせて用いても構わないが、中でも、カチオン性が好ましく、アミノ基などがもたらす弱カチオン性はなお好ましく、ノニオン性は特に好ましく用いられる。ノニオン性の界面活性剤としては、例えばポリエチレングリコールのアルキルエーテルやアルキルフェニルエーテル、アルキルアミンエーテルなどを挙げることができる。乳化・分散した場合の流体力学的平均粒径は、0.05〜5μmであり、0.1〜1μmがより好ましく、0.2〜0.7μmがさらに好ましい。流体力学的平均粒径が小さすぎると、効果が飽和する傾向にあるにも関わらず、乳化・分散が困難となりやすく、大きすぎると、繊維束の中心付近まで微粒子が届かず、不均一付着を起こす場合がある。かかる流体力学的平均粒径は、光散乱などを原理とする粒度分布計を用いてキュムラント法により求めることができる。界面活性剤を用いる場合、その添加量は、乳化性能や保存安定性などの観点から、上述した高動粘度の液体100重量部に対して5〜30重量部とするのが好ましく、10〜20重量部とするのがより好ましい。なお、界面活性剤の種類を複数にして用いることは、乳化・分散が安定するため、好ましい手法である。
本発明の油剤に用いられる液状微粒子のイオン特性は、繊維への親和性の点からノニオン性かカチオン性が好ましく、特にカチオン性が好ましい。イオン特性は、高動粘度の液体や界面活性剤のイオン特性により制御することができる。かかるイオン特性は、粒子の電気泳動を顕微鏡観察する方式で測定することができ、かかる方式の測定装置としては、例えば、マイクロテック・ニチオン社製ZEECOM(登録商標)などが挙げられる。
また、本発明における液状微粒子は、単繊維間融着だけでなく、その液状微粒子が硬化して単繊維同士を接着することも抑制するように、製糸工程でできるだけ硬化しないものであることが好ましい。かかる観点から、本発明における液状微粒子は、剛体振り子の自由減衰振動法により測定される30℃と200℃の振り子の振動周期差を、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下とする。剛体振り子の自由減衰振動法とは、一般的なレオメーターと異なり、開放系、薄膜の状態で粘弾性挙動を測定できる。かかる測定方法により測定される振動周期は、かかる液状微粒子の架橋度に対応し、小さいほど架橋度が高いことを示す。従って、振動周期差は、加熱時の硬化挙動に対応し、大きくなるほど硬化しやすい、すなわち架橋しやすいことを示している。30℃と200℃の振り子の振動周期差を上記範囲とした液状微粒子を用いることにより、製糸工程における液状微粒子の硬化度を低く抑えられるため、単繊維同士の接着剤としてはたらくことは少なくなる。そのため、硬化度は低いほど好ましく、30℃と200℃の振り子の振動周期差も小さいほど好ましい。さらに、この液状微粒子が、引き続く耐炎化工程においても単繊維間の接着を誘起しないようにする観点からは、30℃と300℃の振り子の振動周期差が、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下である液状微粒子を用いるのが良い。
本発明では、前記液状微粒子が、炭素繊維前駆体(以下、前駆体繊維と称する)に付着しているが、前駆体繊維への液状微粒子の付着量は、繊維の乾燥重量に対して0.01〜5重量%であることが好ましく、0.05〜2重量%であることがより好ましく、0.1〜0.5重量%であることがさらに好ましい。かかる付着量が少なすぎると、単繊維同士の融着が生じ、得られる炭素繊維の引張強度が低下することがあり、多すぎると、液状微粒子が単繊維間を覆い、耐炎化工程での酸素の透過が悪くなることがある。
かかる液状微粒子は、単独で用いても単繊維間融着防止効果はあるが、動粘度が高いため、繊維を完全に被覆するためには大量に用いるか、長時間かけて拡展させることが必要になることがあり、もし完全に被覆されていない場合には、耐炎化工程や予備炭化工程において融着する可能性がある。そのため、さらに単繊維間融着防止効果を高めるために、融着防止剤を、必要に応じて乳化液あるいは溶液となして油剤に添加することも好ましい。背景技術でも説明したように、シリコーンは、一般に高い融着防止効果が認められるため、好ましく使用されてきたが、シリコーンが接着剤として作用してしまうことがあった。そこで、スペーサーとして用いられる液状微粒子と、融着防止剤としての動粘度の低いシリコーンを併用することによって、スペーサーとして用いられる液状微粒子が単繊維間に隙間を作り、動粘度の低いシリコーンの硬化皮膜同士が合一することを防ぎ、かつ、動粘度の低いシリコーンの優れた拡展性で均一皮膜を形成し、単繊維融着を抑制するため、その効果をより一層際だたせることができる。かかるシリコーン(第2のシリコーン)としては、表面平滑な均一皮膜を素早く形成するために、25℃における動粘度が、10000cSt以下、好ましくは10〜10000cSt、より好ましくは100〜2000cSt、さらに好ましくは300〜1000cStであるものを用いる。動粘度の低いシリコーンには、分子中のケイ素原子に結合する有機基として、前記したアルキル基などの他に、アミノ基、脂環式エポキシ基、アルキレンオキサイド基などが含まれていることが好ましく、さらに繊維と親和性の高いアミノ基が含まれていることが特に好ましい。そのアミノ基はモノアミンタイプでもポリアミンタイプでもよいが、とりわけ、次の一般式に示す変性基が好ましく用いられる。
−Q−(NH−Q’)−NH
ここで、QおよびQ’は同種または、異種の炭素数1〜10の2価の炭化水素基、Pは0〜5の整数である。
アミノ基が少なすぎると繊維との親和性が低下し、多すぎると耐熱性が低下するため、その変性量は、末端アミノ基量を−NHの重量に換算して、0.05〜10重量%とするのが好ましく、0.1〜5重量%とするのがより好ましい。アミノ変性シリコーンは、動粘度の低いシリコーンの中に、20〜100重量%含まれていることが好ましく、30〜90重量%含まれていることがより好ましく、40〜80重量%含まれていることがさらに好ましい。
また、動粘度の低いシリコーンに加えて、耐熱性の高いケイ素非含有有機化合物を用いて単繊維間融着防止効果を高めることも好ましいものである。上述のように、シリコーンは、高い単繊維間融着防止効果を有する一方で、焼成炉内で窒化ケイ素や酸化ケイ素を形成して操業性を低下させる可能性がある。そのような懸念を軽減するため、ケイ素を含有しない有機化合物を用いるのは好ましいことである。このようなケイ素非含有有機化合物としては、特に芳香族系有機化合物が好ましく用いられる。例えば、付加モル数1以上のスチレン化フェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、ナフタレンのホルムアルデヒド縮合物、タンニンなどのポリフェノール類、N−イソプロピルアクリルアミド系共重合体などが挙げられる。また、この中でも、ケイ素非含有有機化合物が実質的に水溶性または水中自己乳化性を有する液体であることが単繊維への均一付着の点で好ましい。例えば、前記した各種の芳香族系有機化合物に親水基、例えばエチレンオキサイド鎖や水酸基などが付加されているような化合物が挙げられる。
かかる融着防止剤は、動粘度の低いシリコーンと、耐熱性の高いケイ素非含有有機化合物との混合物であっても構わないが、240℃で2時間、空気中で熱処理した時に、その残存率が10%以上になるような耐熱性を有するものが好ましく、30%以上がより好ましく、50%以上がさらに好ましい。
融着防止剤の付着量は、繊維の乾燥重量に対して0.01〜5重量%が好ましく、0.1〜3重量%がより好ましく、0.5〜1.5重量%がさらに好ましい。かかる付着量が少なすぎると、単繊維同士の融着が生じ、得られる炭素繊維の引張強度が低下することがあり、多すぎると、油剤成分が単繊維間を覆い、耐炎化工程での酸素の透過が悪くなることがある。かかる第2のシリコーンと上述の第1の液状微粒子との重量比は、990/10〜500/500とするものであり、950/50〜850/150が好ましい。
また、かかる融着防止剤は、上述の液状微粒子の形成に分散媒を用いる場合には、それに溶解するもの、または自己乳化するものであれば特に問題ないが、溶解または自己乳化しない場合は、分散媒に乳化・分散するために、乳化剤や分散剤などの界面活性剤を併用するのが一般的である。界面活性剤としては、前記したものを用いることができるが、油剤成分の中にイオン性物質が用いられる場合、凝集などによって不均一な付着や製造工程での脱落を起こさないようにするため、それら成分とは異符号のイオン性でないことが好ましい。このことは上述の界面活性剤にも当てはまり、アミノ変性シリコーンを油剤成分として用いた場合には、カチオン性かノニオン性の界面活性剤を用いるのが好ましい。乳化・分散した場合の融着防止剤の流体力学的平均粒径は、0.001〜1μmであり、0.01〜0.5μmが好ましく、0.05〜0.2μmがなかんずく好ましい。その流体力学的平均粒径が小さすぎると、効果が飽和する傾向にあるにも関わらず、乳化・分散が困難となりやすく、大きすぎると、表面平滑な均一皮膜を形成するのに時間がかかり、不均一付着を起こす場合がある。さらに、前記液状微粒子のスペーサー効果を高める観点から、融着防止剤の流体力学的平均粒径は、前記液状微粒子の流体力学的平均粒径より小さいことが好ましい。かかる流体力学的平均粒径は光散乱などを原理とする粒度分布計を用いて求めることができる。融着防止剤に対する界面活性剤の添加量は、上記の流体力学的平均粒径を達成し、かつ融着防止剤100重量部に対して0〜60重量部、好ましくは0〜35重量部となるような界面活性剤の種類を選ぶべきである。
本発明の油剤には、上記した成分以外にも、平滑剤、吸湿剤、粘度調整剤、離型剤、展着剤、酸化防止剤、抗菌剤、防腐剤、防錆剤およびpH調整剤などの成分を本発明の効果を阻害しない範囲で含んでもよい。
本発明の前駆体繊維は、上述した油剤が付与されてなる。油剤は、前駆体繊維の製糸工程におけるいずれの段階で付与してもよいが、単繊維同士の接着や融着を効果的に防止するためには、油剤なしでは前駆体繊維の単繊維同士が融着する程の熱が加わる工程の前に付与するのが好ましい。炭素繊維の前駆体としては、ポリアクリロニトリル系繊維やピッチ系繊維、セルロース系繊維などが知られており、どの場合にも本発明の油剤は前記のような熱が加わる工程、例えば耐炎化や不融化と呼ばれる工程の前に好ましく付与できるが、特に高性能炭素繊維の前駆体としてよく用いられるポリアクリロニトリル系繊維に用いる場合を例にとって、以下、より好ましい実施の形態を説明する。
すなわち、アクリル系重合体を含む紡糸原液を所定の紡糸方法で紡糸した後、水洗して得られる水膨潤状態の糸条に上述した油剤を付与した後、130〜200℃で熱処理することにより前駆体繊維を製造する。アクリル系重合体の成分としては、少なくとも95モル%以上、より好ましくは98モル%以上のアクリロニトリルと、5モル%以下、より好ましくは2モル%以下の、耐炎化を促進し、かつ、アクリロニトリルと共重合性のある、耐炎化促進成分を共重合したものを好適に使用することができる。かかる耐炎化促進成分としては、ビニル基含有化合物が好適に使用される。ビニル基含有化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸など使用することができるが、これらに限定されるものではない。また、一部または全量をアンモニア中和したアクリル酸、メタクリル酸、またはイタコン酸のアンモニウム塩は、耐炎化促進成分としてより好適に使用される。
紡糸原液は、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などを採用して得ることができる。紡糸原液に使用される溶媒としては、有機、無機の溶媒が使用することができるが、特に有機溶媒を使用するのが好ましく、具体的には、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが使用され、特にジメチルスルホキシドが好ましく使用される。
紡糸方法は、乾湿式紡糸法や湿式紡糸法が好ましく採用されるが、より表面が平滑な前駆体繊維を、生産性よく製造することができることから、前者がより好ましく使用される。
口金から直接または間接に凝固浴中に紡糸原液を吐出し、凝固糸を得る。凝固浴液は、紡糸原液に使用する溶媒と凝固促進成分とから構成するのが、簡便性の点から好ましく、凝固促進成分として水を用いるのがさらに好ましい。凝固浴中の紡糸溶媒と凝固促進成分の割合、および凝固浴液温度は、得られる凝固糸の緻密性、表面平滑性および可紡性などを考慮して適宜選択して使用される。
得られた凝固糸は、20〜98℃に温調された単数または複数の水浴中で水洗、延伸するのがよい。延伸倍率は、糸切れや単繊維間の接着が生じない範囲で、適宜設定することができるが、より表面が平滑な前駆体繊維を得るためには、5倍以下が好ましく、4倍以下がより好ましく、3倍以下がさらに好ましい。また、得られる前駆体繊維の緻密性を向上させる観点から、延伸浴の最高温度は、50℃以上とするのが好ましく、70℃以上とするのがより好ましい。
水洗、延伸された後の水膨潤状態の糸条に、上述した油剤を付与するのが好ましい。付与手段としては、糸条内部まで均一に付与できることを勘案し、適宜選択して使用すればよいが、具体的には、水等の分散媒を用いて、油剤成分の濃度が0.01〜10重量%となるよう調製し、浸漬法、噴霧法、タッチロール法、あるいはガイド給油法などで水膨潤繊維に付与する手段が採用される。油剤成分の濃度が低すぎる場合には、前駆体繊維に対して単繊維間融着などの効果を十分に付与することができず、高すぎる場合には、油剤の粘度が大きくなりすぎて流動性が悪くなり、前駆体繊維を束内まで均一に処理することが困難になる。
かかる油剤の付着量は、前駆体繊維の乾燥重量に対する分散媒を除く油剤成分の割合が、好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.3〜3重量%、さらに好ましくは0.5〜2重量%となるように調整する。油剤の付着量が少なすぎると、単繊維同士の融着が生じ、得られる炭素繊維の引張強度が低下することがあり、多すぎると、油剤が単繊維間を覆い、耐炎化工程での酸素の透過が悪くなることがある。
油剤を付与された糸条は、速やかに乾燥するのがよい。乾燥の手段は、特に限定されないが、加熱された複数のローラーに直接接触させる手段が好ましく用いられる。乾燥温度は、高いほど生産性の観点からも好ましいので、単繊維間の融着が生じない範囲で高く設定するのが良い。具体的には、130℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましい。通常、乾燥温度の上限は200℃程度である。乾燥時間は、膨潤糸条が乾燥するのに十分な時間とするのがよい。具体的には、15〜60秒である。また、糸条への加熱状態が均一になるよう、糸条をできるだけ拡幅した状態でローラーに接触させるのがよい。
乾燥された糸条を、さらに加圧スチーム中または乾熱下で後延伸するのが、得られる前駆体繊維の緻密性や生産性を向上する観点から好ましい。後延伸時のスチーム圧力または温度や後延伸倍率は、糸切れ、毛羽発生のない範囲で適宜選択して使用するのがよい。
前駆体繊維の単繊維繊度は、好ましくは0.1〜2.0dTex、より好ましくは0.3〜1.5dTex、さらに好ましくは0.5〜1.2dTexとする。単繊維繊度は小さいほど、得られる炭素繊維の引張強度や弾性率を向上する点で有利であるが、生産性は低下することが多いため、性能とコストのバランスを勘案し選択するのがよい。
また、前駆体繊維の糸条を構成する単繊維数は、好ましくは、1000〜96000本、より好ましくは、12000〜48000本、さらに好ましくは、24000本〜48000本とする。ここで、前駆体繊維の糸条を構成する単繊維数とは、耐炎化処理される直前の単繊維数をいい、生産性の観点から多いほど好ましい。単繊維の数が少なすぎると、生産性が悪化することが多く、また、多すぎると耐炎化の際に焼成むらを発生しやすくなることが多い。
上述したような方法により、前駆体繊維が製造され、さらに以下に述べるような方法で、その前駆体繊維を耐炎化処理して後、炭素化処理することにより、高性能な炭素繊維を製造することができる。
耐炎化処理は、通常、酸素含有気体雰囲気下、好ましくは空気雰囲気下、温度を200〜300℃として行う。糸条が反応熱の蓄熱によって糸切れを生じる温度よりも、10〜20℃低い温度で耐炎化するのがコスト削減および得られる炭素繊維の性能を高める観点から好ましい。耐炎化処理の時間は、生産性および得られる炭素繊維の性能を高める観点から、10〜100分間が好ましく、30〜60分間がより好ましい。この耐炎化処理の時間とは、糸条が耐炎化炉内に滞留している全時間をいう。この時間が少なすぎると、各単繊維の酸化された外周部分と酸化不足の内側部分の構造差が全体的に顕著となり、本発明の効果が得にくくなることがある。耐炎化処理の工程における糸条の延伸比は、好ましくは0.85〜1.10、より好ましくは0.88〜1.06、さらに好ましくは0.92〜1.02とする。かかる延伸比を高めることで、同じ熱処理量で炭素繊維の弾性率を向上させることができる。
耐炎化処理の工程に続いて、炭素化処理の工程に移るが、その前に300〜800℃の不活性雰囲気下、好ましくは窒素またはアルゴン雰囲気下で行う予備炭素化処理の工程を設けるのも好ましい。この予備炭素化処理の工程における延伸比を、好ましくは0.90〜1.25、より好ましくは1.00〜1.20、さらに好ましくは1.05〜1.15と設定するのが、得られる炭素繊維の性能を高める観点からよい。
炭素化処理は、通常、不活性雰囲気下、温度を1000〜2000℃として行う。その最高温度は、所望する炭素繊維の要求特性に応じて適宜選択して決定されるが、低すぎると、得られる炭素繊維の引張強度、弾性率が低下することがある。炭素化処理の工程における延伸比は、好ましくは0.95〜1.05、より好ましくは0.97〜1.02、さらに好ましくは0.98〜1.01とするのが、得られる炭素繊維の性能を高める観点からよい。
より弾性率が高い炭素繊維を所望する場合には、炭素化処理に引き続いて、黒鉛化処理を行うこともできる。黒鉛化処理は、通常、不活性雰囲気下、温度を2000〜3000℃として行う。その最高温度は、所望する炭素繊維の要求特性に応じて適宜選択して決定される。黒鉛化処理の工程における延伸比は、所望する炭素繊維の要求特性に応じて、毛羽発生など品位低下の生じない範囲で適宜選択するのがよい。
得られた炭素繊維に対しては、表面処理を行うことにより、複合材料としたときのマトリックスとの接着強度をより高めることができる。表面処理方法としては、気相、液相処理を採用できるが、生産性、品質ばらつきを考慮すると、液相処理の中でも電解処理(陽極酸化処理)が好ましく適用される。
電解処理に用いられる電解液としては、硫酸、硝酸、塩酸といった酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドといったアルカリあるいはそれらの塩を含む水溶液を用いることができるが、特に好ましくはアンモニウムイオンを含む水溶液が好ましく、例えば、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、燐酸2水素アンモニウム、燐酸水素2アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、あるいは、それらの混合物を含む水溶液を用いることができる。
電解処理において炭素繊維に与える電気量は、使用する炭素繊維により異なり、例えば、炭素化度の高い炭素繊維ほど、高い通電電気量が必要となるが、一般には、X線光電子分光法(ESCA)により測定される炭素繊維の表面酸素濃度O/Cおよび表面窒素濃度N/Cが、それぞれ0.05以上0.40以下、および、0.02以上0.30以下の範囲になるように電気量を設定することが、接着特性向上の上から好ましい。これらの条件を満足することにより、複合材料とした際の炭素繊維とマトリックスとの接着が、適正なレベルとなり、したがって炭素繊維とマトリックスとの接着が強すぎて非常に脆性的な破壊となって複合材料の縦方向の引張強度が低下してしまうという欠点も、あるいは、複合材料の縦方向の引張強度は強いものの、炭素繊維とマトリックスとの接着力が低すぎて、複合材料の非縦方向の機械的特性が発現しないといった欠点も防止することができ、縦および非縦方向にバランスのとれた複合材料特性が発現される。
得られた炭素繊維は、さらに、必要に応じて、サイジング処理がなされる。サイジング剤には、マトリックスとの相溶性のよいサイジング剤が好ましく、マトリックスに併せて選択して使用される。
このようにして得られた炭素繊維は、プリプレグ化したのち複合材料に成形することもできるし、織物などのプリフォームとした後、ハンドレイアップ法、プルトルージョン法およびレジントランスファーモールディング法などにより複合材料に成形することもできる。また、フィラメントワインディング法や、チョップドファイバーやミルドファイバー化した後、射出成形することにより複合材料に成形することができる。
本発明で得られた炭素繊維を用いた複合材料は、ゴルフシャフトや釣り竿などのスポーツ用途、航空宇宙用途、フードおよびプロペラシャフトなどの自動車構造部材用途、フライホイールおよびCNGタンクなどのエネルギー関連用途などに好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、本実施例では、各特性を次のような方法により測定した。
<剛体振り子の自由減衰振動法による振動周期差>
剛体振り子の自由減衰振動法に基づき、株式会社エーアンドディ社製剛体振り子型物性試験機RPT−3000を用いて振動周期を測定する。測定に供する液状微粒子は、分散媒と混合されていない状態であればそのまま用いてかまわないが、分散媒と混合されて乳化液を形成している場合は、直径が約60mm、高さが約20mmのアルミ製の容器に乳化液を約1g採取し、40℃で10時間乾燥する。次に、長さ5cm、幅2cm、厚み0.5mmの亜鉛メッキ鋼板製塗布基板(株式会社エーアンドディ社製 STP−012)の上に、液状微粒子を厚みが20〜30μmとなるように基板幅方向全面に塗布する。塗布後速やかに、試験機にセットし測定を開始する。試験機は予め30℃に温調しておき、塗布板および振り子をセットした後、10℃/分の速度で300℃まで昇温する。測定の間、7秒間隔で連続的に周期の測定を行い、30℃、200℃、300℃のときの周期をそれぞれ用いる。測定は7回ずつ行い、振動周期差の最大値と最小値を除いて、5回の平均値を値とした。なお、振り子は、下記のものを使用する。
使用エッジ:ナイフ形状エッジ(株式会社エーアンドディ社製RBEー160)
振り子重量/慣性能率:15g/640g・cm(株式会社エーアンドディ社製FRBー100).
<流体力学的平均粒径>
動的光散乱法に基づき、大塚電子(株)製FPAR−1000を用いて平均粒径を測定する。測定温度は25℃とし、プローブは希薄系用プローブを用いる。試料は、高動粘度の液体が0.01重量%となるように試料と同様の分散媒で希釈して測定に用いる。解析には、キュムラント法を用いて、キュムラント平均粒径を値とする。
<分散媒を除く融着防止剤の加熱残存率測定>
底直径が70mm、深さ15mmの底が平坦なアルミニウム皿に、乾燥純分換算で約2gになるように試料を入れ、120℃の温度の熱風循環式オーブン中で2時間加熱し乾燥し、冷却後試料を精秤しW1(g)とする。次いで、240℃の温度の熱風循環式オーブン中で2時間加熱し、冷却後試料を精秤しW2(g)として、次の式で加熱残存率を計算する。熱風循環式オーブン中で加熱するとき、アルミ皿を水平に保持するようにして、試料の偏りがないように注意する。
加熱残存率(重量%)=(W2÷W1)×100
また、炭素繊維の引張強度および引張弾性率は、次のようにして測定する。炭素繊維束に次の組成のエポキシ樹脂組成物を含浸させて130℃の温度で35分間硬化させ、ストランドとした。6本のストランドについてそれぞれJIS R7601(1986年)に基づいて引張試験を行い、各試験で得られた強度および弾性率をそれぞれ平均して、炭素繊維の引張強度および引張弾性率とする。
*樹脂組成(かっこ内は実施例で用いたもののメーカーなどを示す)
・3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート(ERL−4221、ユニオンカーバイド社製) 100重量部
・3−フッ化ホウ素モノエチルアミン(ステラケミファ(株)製) 3重量部
・アセトン(和光純薬工業(株)製) 4重量部
[実施例1]
下記処方の炭素繊維前駆体用油剤を調製した。
アミノ変性シリコーン 66重量部
脂環式エポキシ変性シリコーン 28重量部
ポリエーテル変性シリコーン 5重量部
ノニオン性界面活性剤 30重量部
水 4000重量部
アミノ変性シリコーンは、アミノ当量2000mol/g、その25℃における動粘度が1000cStのものを用いた。脂環式エポキシ変性シリコーンは、エポキシ当量6000mol/g、その25℃における動粘度が6000cStのものを用いた。ポリエーテル変性シリコーンは、ポリエーテル部が全重量に占める割合が50重量%、その25℃における動粘度が300cStのものを用いた。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを用いた。上記3種類のシリコーン、界面活性剤および水を加え、ホモミキサー、ホモジナイザーを用いて乳化液を調製した。この乳化液に、ジメチルシリコーン10重量部(150℃における動粘度が0.9kSt)、ノニオン性界面活性剤1.2重量部、水8.8重量部からなる乳化液KM902(信越化学工業(株)製)を添加し、攪拌して油剤を得た。KM902の流体力学的平均粒径は、粒度分布計で測定した結果、0.6μmであった。また、KM902は、剛体振り子の自由減衰振動法により測定される30℃と200℃の振り子の振動周期差が0.02、同30℃と300℃の振り子の振動周期差が0.02であり、イオン特性がノニオン性であった。
アクリロニトリル99.5モル%とイタコン酸0.5モル%からなる共重合体をジメチルスルホキシドを溶媒とする溶液重合法により重合し、濃度22重量%の紡糸原液を得た。重合後、アンモニアガスをpH8.5になるまで吹き込み、イタコン酸を中和して、アンモニウム基をポリマー成分に導入することにより、紡糸原液の親水性を向上させた。得られた紡糸原液を40℃として、直径0.15mm、孔数4000の紡糸口金を用いて、一旦空気中に吐出し、約4mmの距離の空間を通過させた後、3℃にコントロールした35重量%ジメチルスルホキシド水溶液からなる凝固浴に導入する乾湿式紡糸により凝固させた。得られた凝固糸を水洗したのち70℃の温水中で3倍に延伸し、さらに油剤浴中を通過させることにより、調製した油剤をディップーニップ法で付着させた。さらに180℃の加熱ローラーを用いて、接触時間40秒の乾燥処理を行った。得られた乾燥糸を、0.4MPaの加圧スチーム中で延伸することにより、製糸全延伸倍率を14倍とし、単糸繊度0.7dTex、単繊維本数4000本の前駆体繊維を得た。なお、得られた前駆体繊維の油剤付着量は純分で1.0重量%であった。
得られた前駆体繊維を6本合糸して単繊維本数24000本とした後、240〜280℃の空気中で加熱して耐炎化繊維に転換した。耐炎化処理の時間は40分、耐炎化処理の工程における延伸比は1.00とした。
さらに、この耐炎化繊維を、300〜800℃の窒素雰囲気中で加熱して予備炭素化処理した後、最高温度1500℃の窒素雰囲気中で加熱して炭素化処理した。予備炭素化処理の工程における延伸比は1.10、炭素化処理の工程における延伸比は、0.97とした。さらに、炭素化処理して得られた繊維を硫酸水溶液中で、10クーロン/g−CFの電気量で陽極酸化処理を行って炭素繊維を得た。これらの間、炭素繊維には、操業性に影響を及ぼすような顕著な毛羽や切断は発生しなかった。得られた良好な品位の炭素繊維の引張強度は6.7GPa、引張弾性率は320GPaであった。
[比較例1]
実施例1で使用したKM902を用いない以外は、実施例1と同様に操作を行って炭素繊維を得た。その結果、予備炭化工程で毛羽が大量に発生した。得られた炭素繊維の引張強度は6.1GPa、引張弾性率は320GPaであった。
[実施例2]
実施例1で使用した炭素繊維前駆体用油剤に代えて、下記処方の油剤を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行って炭素繊維を得た。
アミノ変性シリコーン 100重量部
ノニオン性界面活性剤 30重量部
水 4000重量部
アミノ変性シリコーンは、アミノ当量2000mol/g、その25℃における動粘度が3500cStのものを用いた。上記シリコーン、界面活性剤および水を加え、ホモミキサー、ホモジナイザーを用いて乳化液を調製した。この乳化液にKM902(信越化学工業(株)製)を添加し、攪拌して油剤を得た。
炭素繊維の製造において、操業性に影響を及ぼすような顕著な毛羽や切断は発生しなかった。得られた良好な品位の炭素繊維の引張強度は6.4GPa、引張弾性率は320GPaであった。
[比較例2]
実施例2で使用したKM902を用いない以外は、実施例2と同様に操作を行って炭素繊維を得た。その結果、予備炭化工程で毛羽が大量に発生し、品位の良好な炭素繊維を得ることはできなかった。
[実施例3]
下記処方の炭素繊維前駆体用油剤を調製した。
ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の両末端高級脂肪酸エステル化物
60重量部
ポリエチレンオキサイド−ラウリルエーテル 40重量部
N−イソプロピルアクリルアミド系共重合体 5重量部
水 4000重量部
これら成分を水に添加し、溶解するまで25℃で攪拌し、この溶液に、ジメチルシリコーン15重量部(150℃における動粘度が2kSt)、ノニオン性界面活性剤1.7重量部、水39重量部からなる乳化液SM8701EX(東レダウコーニング(株)製)を添加し、攪拌して油剤を得た。SE8701EXの平均粒子径は、粒度分布計で測定した結果、0.2μmであった。また、SM8701EXは、剛体振り子の自由減衰振動法により測定される30℃と200℃の振り子の振動周期差が0.00、同30℃と300℃の振り子の振動周期差が0.05であり、イオン特性がノニオン性であった。融着防止剤として用いたビスフェノールAのエチレンオキシド付加物の両末端高級脂肪酸エステル化物の加熱残存率は、90重量%であった。
この油剤を25℃にて、実施例1と同様ポリアクリロニトリル系繊維にディップーニップ法で付着させた。さらに150℃の加熱ローラーを用いて、接触時間60秒の乾燥処理を行った。得られた乾燥糸を、0.4MPaの加圧スチーム中で延伸することにより、製糸全延伸倍率を14倍とし、単繊維繊度1.0dTex、単繊維本数4000本の前駆体繊維を得た。なお、得られた前駆体繊維の油剤付着量は純分で1.0重量%であった。
得られた前駆体繊維を3本合糸して単繊維本数12000本とした後、240〜280℃の空気中で加熱して耐炎化繊維に転換した。耐炎化処理の時間は40分、耐炎化処理の工程における延伸比は0.86とした。
さらに、この耐炎化繊維を、300〜800℃の窒素雰囲気中で加熱して予備炭素化処理した後、最高温度1350℃の窒素雰囲気中で加熱して炭素化処理した。予備炭素化処理の工程における延伸比は0.95、炭素化処理の工程における延伸比は、0.95とした。さらに、炭素化処理して得られた繊維を硫酸水溶液中で、10クーロン/g−CFの電気量で陽極酸化処理を行って炭素繊維を得た。これらの間、炭素繊維には、操業性に影響を及ぼすような顕著な毛羽や切断は発生しなかった。得られた良好な品位の炭素繊維の引張強度は5.5GPa、引張弾性率は240GPaであった。
[比較例3]
実施例3で使用したSM8701EXを用いない以外は、実施例3と同様の操作を行って炭素繊維を得た。得られた炭素繊維の引張強度は4.8GPa、引張弾性率は240GPaであった。
[実施例4]
実施例3で使用した炭素繊維前駆体用油剤に代えて、下記処方の油剤を用いた以外は、実施例3と同様の操作を行って炭素繊維を得た。
トリスチレン化フェノールEO付加物(HLB12) 100重量部
水 4000重量部
これら成分を水に添加し、溶解するまで25℃で攪拌し、この溶液に、ジメチルシリコーン20重量部(150℃における動粘度が0.2kSt)、ノニオン性界面活性剤2.4重量部、水36重量部からなる乳化液SM490EX(東レダウコーニング(株)製)を添加し、攪拌して油剤を得た。SM490EXの平均粒子径は、粒度分布計で測定した結果、0.2μmであった。また、SM490EXは、剛体振り子の自由減衰振動法により測定される30℃と200℃の振り子の振動周期差が0.00、同30℃と300℃の振り子の振動周期差が0.02であり、イオン特性がノニオン性であった。融着防止剤として用いたトリスチレン化フェノールEO付加物の加熱残存率は44重量%であった。
炭素繊維の製造において、操業性に影響を及ぼすような顕著な毛羽や切断は発生しなかった。得られた良好な品位の炭素繊維の引張強度は4.8GPa、引張弾性率は240GPaであった。
[比較例4]
実施例4で使用したSM490EXを用いない以外は、実施例4と同様の操作を行って炭素繊維を得ようとしたが、製糸乾燥工程で単糸間融着が多く発生し、スチーム延伸の工程において、毛羽が頻発し、炭素繊維を得ることはできなかった。
[実施例5]
実施例1で使用したKM902に代えて、下記処方で調製した液状微粒子を用いた。
ジメチルシリコーン(100万cSt) 8.6重量部
アミノ変性シリコーン(7万cSt、アミノ当量40000g/mol)1.4重量部
ノニオン性乳化剤 2.0重量部
カチオン性乳化剤 1.0重量部
水 37.0重量部
これら成分を混合し、ホモミキサー、ホモジナイザーを用いて乳化液を調製した。2種混合のシリコーンの150℃における動粘度が0.9kStであった。この乳化液の流体力学的平均粒径は、粒度分布計で測定した結果、0.6μmであった。また、この乳化液は、剛体振り子の自由減衰振動法により測定される30℃と200℃の振り子の振動周期差が0.02、同30℃と300℃の振り子の振動周期差が0.09であり、イオン特性がカチオン性であった。液状微粒子を代えた以外は、実施例1と同様に操作を行って炭素繊維を得た。炭素繊維の製造工程では毛羽の発生が著しく少なく、得られた良好な品位の炭素繊維の引張強度は7.0GPa、引張弾性率は320GPaであった。
本発明によれば、炭素繊維前駆体用油剤の成分として、高動粘度液体の液状微粒子が存在することにより、製糸工程および耐炎化工程において、単繊維同士の融着および油剤を介した単繊維同士の接着を抑制させることができ、従来よりも高い糸条密度、高張力、高速の焼成条件であっても、毛羽や糸切れのない安定した品位で、高性能な炭素繊維を製造することができる。かかる炭素繊維は、プリプレグ化したのち複合材料に成形することもでき、本発明で得られた炭素繊維を用いた複合材料は、ゴルフシャフトや釣り竿などのスポーツ用途、航空宇宙用途、フードおよびプロペラシャフトなどの自動車構造部材用途、フライホイールおよびCNGタンクなどのエネルギー関連用途などに好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 150℃における動粘度が15000cSt以上である第1のシリコーンを必須成分とし、流体力学的平均粒径が0.05〜5μmである第1の液状微粒子と、25℃における動粘度が10000cSt以下である第2のシリコーンを含み、流体力学的平均粒径が0.001〜5μmである第2の液状微粒子を含み、第2のシリコーンと第1の液状微粒子との重量比が990/10〜500/500である炭素繊維前駆体用油剤。
  2. 前記液状微粒子は、剛体振り子の自由減衰振動法により測定される、30℃と200℃の振り子の振動周期差が0.1以下である請求項1に記載の炭素繊維前駆体用油剤。
  3. 前記液状微粒子は、剛体振り子の自由減衰振動法により測定される、30℃と300℃の振り子の振動周期差が0.1以下である請求項1または2に記載の炭素繊維前駆体用油剤。
  4. 25℃における動粘度が10000cSt以下であるシリコーンがアミノ変性シリコーンである請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維前駆体用油剤。
  5. さらに、空気中240℃で2時間加熱後の残存率が10重量%以上であるケイ素非含有有機化合物を含む請求項1〜のいずれかに記載の炭素繊維前駆体用油剤。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の炭素繊維前駆体用油剤が付与されてなる炭素繊維前駆体。
  7. 請求項に記載の炭素繊維前駆体を耐炎化処理して後、炭素化処理せしめる炭素繊維の製造方法。
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