〔第1の実施形態〕
以下に、本発明の第1の実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係るナビゲーション装置を車両に搭載されるカーナビゲーション装置に適用した場合について説明する。図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。
この図1に示すように、本実施形態に係るナビゲーション装置は、主たる構成として、現在位置検知装置1、情報記憶装置2、演算処理装置3、表示入力装置4、及びリモコン入力装置5を備えている。
現在位置検知装置1は、ここでは、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)受信機6、方位検知センサ7、及び距離検知センサ8を備えて構成されている。GPS受信機6は、人工衛星からの信号を受信する装置であり、信号の発信時刻、GPS受信機6の位置情報、GPS受信機6の移動速度、GPS受信機6の進行方向など様々な情報を得ることができる。方位検知センサ7は、地磁気センサやジャイロセンサ、或いは、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム、車輪部に取り付ける角度センサ等により構成され、車両の進行方向を検知することができる。距離検知センサ8は、車輪の回転数を検知するセンサや車両の加速度を検知するセンサと検知された加速度を2回積分する回路との組み合わせ等により構成され、車両の移動距離を検知することができる。
情報記憶装置2は、例えば、ハードディスクドライブ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等のように、情報を記憶可能な記録媒体とその駆動手段とを有して構成される。そして、この情報記憶装置2には、二次元地図データ9及び三次元地図データ10が格納されている。これらの二次元地図データ9及び三次元地図データ10は、それぞれ地図上の位置に対応する座標情報を備えており、現在位置検知装置1を用いて検出した自車位置の情報と対照させ、及び二次元地図データ9と三次元地図データ10とを互いに対照させることが可能となっている。また、ここでは、三次元地図データ10は、三次元地図データ10が存在する場所における任意の視点から任意の視線方向D(図3においてD0〜D3で示す)を見たときの三次元による景観画像を作成することが可能なデータとなっている。本実施形態においては、三次元地図データ10は全ての場所について備えられているのではなく、例えば、市街地や交差点又は分岐路等のように詳細に経路案内を行うべき場所の周辺を中心とする区域について備えられており、三次元地図データ10が存在しない区域では、ナビゲーション装置は二次元地図データ9に基づいて経路案内を行う構成となっている。そこで、情報記憶装置2には、三次元地図データ10を備える区域を示す三次元表示可能区域データ11が、二次元地図データ9についての座標情報と関連つけられて格納されている。
また、情報記憶装置2には、交差点、分岐点、インターチェンジ等の進路変更が行われる可能性がある地点(以下「進路変更可能地点」という)の基準点の位置情報12も格納されている。この基準点は、目的地までの誘導経路L(図3参照)に従って当該進路変更可能地点で進路変更の案内を行う際には進路変更基準点P(図3参照)となる。なお、基準点は、前記進路変更可能地点の近傍の任意の位置に設定することが可能であるが、本実施形態においては、例えば交差点については各交差点の中央付近に設定している。
更に、情報記憶装置2には、基準点が設けられている各進路変更可能地点について、当該地点に進入する方向及び進路変更後の進行方向毎にそれぞれ設定される目標点M(図3参照)の位置情報13及び基準点からの所定距離I(図3参照)の情報14も格納されている。この目標点Mは、進路変更基準点Pの周辺で三次元表示による進路変更の案内を行う際に、三次元表示データを生成するための視線方向D(図3参照)を決定するのに用いられる点であって、進路変更基準点Pを基準とする進路変更後の誘導経路L(図3参照)上に設定される。この目標点Mを用いて視線方向Dを決定する方法については、後で詳細に説明する。所定距離Iは、例えば、自車の進行方向に対して進路変更基準点Pを基準とする進路変更後の誘導経路Lの進行方向側を視線方向Dとして三次元表示を行う領域を、進路変更基準点Pからの距離により規定するものである。またその他に、情報記憶装置2には、道路のレーン情報、道路標識情報、案内看板情報等、ナビゲーション装置による経路案内に必要な各種データが格納されている。
表示入力装置4は、地図や誘導経路L等の経路案内のための各種情報を表示するための表示部4aと、被案内者である車両の運転者からの入力を受け付ける入力部4bとを有して構成されている。表示部4aには、例えば、液晶表示装置、プラズマ表示装置、CRT(cathode-ray tube)表示装置等を用いることができる。本実施形態においては、この表示入力装置4の表示部4aが「表示手段」に相当する。入力部4bとしては、表示部4aの表示画面上に設けたタッチパネルや表示画面の周囲に配置した各種スイッチ等を用いることができる。また、リモコン入力装置5は、車両の運転者からの入力を受け付けてリモートコントロールにより演算処理装置3側に送信する装置であり、送信された入力情報はリモコン受信機15を介して演算処理装置3に入力される。
演算処理装置3は、所定の動作プログラム、データ、入力情報等に基づいて、地図や誘導経路L等の各種情報の表示処理、目的地の位置や目的地までの誘導経路L等の探索処理、目的地までの経路案内や交通情報の案内等の案内処理等の各種の演算処理及び各部の動作制御を行うものである。この演算処理装置3としては、例えば、各種の演算処理及びナビゲーション装置の各部の動作制御を行うCPUと、このCPUが演算処理を行う際のワーキングメモリとして使用されるRAMと、CPUを動作させるための各種の動作プログラムや制御プログラムが記録されたROM等を備える構成とすることができる。そして、この演算処理装置3に、現在位置検知装置1、情報記憶装置2、表示入力装置4及びリモコン入力装置5が接続されている。
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置の動作制御について説明する。本実施形態では、ナビゲーション装置は、誘導経路L上にある自車位置が進路変更基準点Pから所定距離I内にあるときに、自車位置の近傍に設定された視点から、進路変更基準点Pを基準とする進路変更後の誘導経路L上に設定された目標点Mに向かう方向を視線方向として三次元表示を行う。図2は、本実施形態に係るナビゲーション装置の動作制御のフローチャートである。ここでは、ナビゲーション装置は、出発時に設定された所定の誘導経路Lに従って進路変更や直進等の経路案内を行うものとし、車両はその経路案内に従って進行している状態とする。なお、このフローチャートに示すナビゲーション装置の動作は、演算処理装置3の制御の下に行われる。
この図2に示すように、ナビゲーション装置は、まず、自車位置の検出を行う(ステップ#01)。この自車位置の検出は、演算処理装置3において、現在位置検知装置1を構成するGPS受信機6、方位検知センサ7、及び距離検知センサ8により取得された情報を解析することにより行う。なお、ここで検知される自車位置の情報は、誘導経路L上の自車の位置を示す座標情報である。
そして、演算処理装置3は、検出された自車位置と情報記憶装置2に格納されている三次元表示可能区域データ11とを対照し、自車位置が三次元地図データ10を備える位置にあるか否かについて判断する(ステップ#02)。自車位置が三次元地図データ10を備える位置にない場合には(ステップ#02:NO)、演算処理装置3は、情報記憶装置2に格納されている二次元地図データ9から自車位置を基準とする一定の描画範囲の二次元地図画像を読み出し、自車位置や誘導経路L等の情報を示す画像を重ね合わせて二次元表示データを生成し(ステップ#03)、生成した二次元表示データを表示入力装置4の表示部4aに表示する(ステップ#04)。そして、基準時間T1が経過したときに(ステップ#05:YES)、処理はステップ#01へ戻り、演算処理装置3は、次の自車位置の検出を行う(ステップ#01)。ここで、基準時間T1は、二次元表示データの表示の更新を行う周期及び自車位置の検出を行う周期により定まる時間であり、この時間が短いほど滑らかな画像表示及び正確な自車位置の表示を行うことができるが、通常は、演算処理装置3を中心とするナビゲーション装置の性能に基づいて装置固有の時間として定まっている。
一方、自車位置が三次元地図データ10を備える位置である場合には(ステップ#02:YES)、次に、自車位置が、進路変更の案内を行うための進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲内であるか否かについて判断する(ステップ#06)。ここで、所定距離Iは、全ての進路変更基準点Pについて同じ距離とすることも可能であるが、進路変更基準点Pが位置する進路変更可能地点の種類(交差点、分岐点、インターチェンジ等)や、進路変更前及び進路変更後の道路の広さ、道路の種類(一般道、自動車専用道等)等に応じて進路変更基準点P毎に異なる距離とすることも好適な実施形態である。そこで、本実施形態においては、上記のとおり、基準点が設けられている各進路変更可能地点について、当該地点に進入する方向毎にそれぞれ適切な所定距離Iの情報14を予め決定して情報記憶装置2に格納しておき、必要に応じて情報記憶装置2から読み出して用いることとしている。
そして、自車位置が進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲内にある場合には(ステップ#06:YES)、自車の進行方向である自車位置を接点とする誘導経路Lの接線方向に対して、進路変更基準点Pを基準とする進路変更後の誘導経路Lの進行方向側を視線方向Dとして三次元表示による経路案内を行う。ここでは、図3に示すように、道路が十字に交差する交差点16において左折の案内を行う場合を例として説明する。図4は、自車位置が図3のA1の位置にあるときの三次元表示データを示し、図5は、自車位置が図3のA2の位置にあるときの三次元表示データを示し、図6は、自車位置が図3のA3の位置のように進路変更基準点Pを基準とする進路変更後の位置にあるときの三次元表示データを示す。なお、本実施形態においては、進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲の終点は、誘導経路L上における進路変更基準点Pを基準とする進路変更が完了する位置、すなわち進路変更後の誘導経路Lが直線状となった位置とする。よって、本実施形態では、例えば図3におけるA3の位置のように、進路変更基準点Pを基準とする進路変更後の位置は、この「進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲内」には含まれない。
まず、視点から進路変更基準点Pを基準とする進路変更後の誘導経路L上に設定された目標点Mに向かう方向を視線方向Dとして決定する(ステップ#07)。本実施形態においては、視点は、車両の運転者の目の位置とほぼ一致すると想定される位置に設定することとしている。したがって、図3においては視点の位置は自車位置A0〜A3と一致している。なお、本明細書において「視線方向D」というときは、視線方向Dx(xは任意の整数)を総称するものとする。
また、目標点Mは、進路変更基準点Pを基準とする進路変更後の誘導経路L上の位置、すなわちこの進路変更基準点Pが設けられている交差点16における左折後の誘導経路L上の位置に設定される。この際、目標点Mは、視線方向Dが自車位置A1、A2から進路変更後の誘導経路Lの進行方向を確認する際の運転者による実際の視線の方向に近くなるように設定されると好適である。そこで、本実施形態においては、上記のとおり、基準点が設けられている各進路変更可能地点について、当該地点に進入する方向及び進路変更後の進行方向毎にそれぞれ適切な目標点Mの位置情報13を予め決定して情報記憶装置2に格納しておき、進路変更の案内を行う際に情報記憶装置2から読み出して用いることとしている。
ここでは、例えば、図3において自車位置がA1の位置にある場合には、自車位置A1(視点)から目標点Mに向かう方向が視線方向D1となる。なお、この視線方向Dを決定するための演算は、演算処理装置3において所定の動作プログラムに従って行われる。よって、本実施形態においては、演算処理装置3が「視線方向決定手段17」を構成する。
次に、ステップ#07で決定された視線方向Dに従って三次元表示データを生成する(ステップ#08)。すなわち、演算処理装置3は、情報記憶装置2に格納された三次元地図データ10に基づいて、視点から視線方向Dを見たときの三次元による景観画像を、表示入力装置4の表示部4aに表示可能な大きさで作成し、これを三次元表示データとする。よって、本実施形態においては、演算処理装置3が「表示データ生成手段18」を構成する。
次に、ステップ#08で生成された三次元表示データの描画領域に、自車位置の進行方向側であって自車位置から最も近い位置にある進路変更基準点Pが含まれるか否かについて判断する(ステップ#09)。ここで、図3を参照して、例えば自車位置がA1の位置にある場合には、自車位置A1(視点)から目標点Mに向かう視線方向D1に従って生成した三次元表示データには、図4に示すように、進路変更基準点Pが含まれる。このように、生成された三次元表示データの描画領域に自車位置の進行方向側であって自車位置から最も近い位置にある進路変更基準点Pが含まれる場合には(ステップ#09:YES)、処理はステップ#12へ進み、生成された三次元表示データを表示入力装置4に表示する(ステップ#12)。
一方、図3を参照して、例えば自車位置がA2の位置にある場合には、自車位置A2(視点)から目標点Mに向かう方向D2´が、ステップ#07で決定される最初の視線方向となる。しかし、ここでは図7に示すように、視線方向D2´に従って三次元表示データを生成した場合、その三次元表示データの描画領域E2´に進路変更基準点Pが含まれない。このように、生成された三次元表示データの描画領域に自車位置の進行方向側であって自車位置から最も近い位置にある進路変更基準点Pが含まれない場合には(ステップ#09:NO)、三次元表示データの描画領域に、自車位置の進行方向側であって自車位置から最も近い位置にある進路変更基準点Pが含まれるように視線方向Dを修正する(ステップ#10)。具体的には、自車位置がA2の位置にある場合について説明すると、視線方向を方向D2´に対して進路変更基準点P側に変更し、図3及び図7においてD2で示される方向に修正する。
そして、ステップ#10で修正された視線方向Dに従って再度三次元表示データを生成する(ステップ#11)。この際の三次元表示データを生成する処理は、上記ステップ#08と同様である。図7に示すように、視線方向D2に従って三次元表示データを生成した場合、その三次元表示データの描画領域E2には進路変更基準点Pが含まれる。図5は、この視線方向D2に従って生成した三次元表示データを示している。
その後、生成された三次元表示データを表示入力装置4に表示する(ステップ#12)。そして、基準時間T2が経過したときに(ステップ#13:YES)、処理はステップ#01へ戻り、演算処理装置3は、次の自車位置の検出を行う(ステップ#01)。ここで、基準時間T2は、三次元表示データの表示の更新を行う周期及び自車位置の検出を行う周期により定まる時間であり、この時間が短いほど滑らかな画像表示及び正確な自車位置の表示を行うことができるが、上記基準時間T1と同様に、通常は、演算処理装置3を中心とするナビゲーション装置の性能に基づいて装置固有の時間として定まっている。ここで、基準時間T2は上記基準時間T1と同じ時間とすることができるが、異なる時間とすることも可能である。
一方、ステップ#06の判断の結果、自車位置が進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲内にない場合には(ステップ#06:NO)、視点から誘導経路Lに従った自車の進行方向に向かう方向を視線方向Dとして決定する(ステップ#14)。ここで、図3に示す例では、例えば自車位置がA0の位置にある場合や、自車位置がA3の位置にある場合が、自車位置が進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲内にない場合に該当する。そして、図3を参照して、自車位置がA0の位置にある場合には、視線方向はD0で示される方向となり、自車位置がA3の位置にある場合には、視線方向はD3で示される方向となる。
次に、ステップ#14で決定された視線方向Dに従って再度三次元表示データを生成する(ステップ#15)。この際の三次元表示データを生成する処理は、上記ステップ#08と同様である。このように、本実施形態においては、自車位置が進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲内にない場合には、従来と同様に、誘導経路Lに沿った方向、すなわち自車の進行方向を視線方向Dとして三次元表示データを生成することとしている。その後、生成された三次元表示データを表示入力装置4に表示する(ステップ#12)。そして、基準時間T2が経過したときに(ステップ#13:YES)、処理はステップ#01へ戻り、演算処理装置3は、次の自車位置の検出を行う(ステップ#01)。
また、本実施形態においては、図4〜図6に示すように、上記ステップ#08、ステップ#11、ステップ#15において三次元表示データを生成するのに際して、視点から目標点Mを結ぶ視線上に、ビル等の建物や木や山等の自然物等の障害物19が存在する場合には、この障害物19の少なくとも一部を透明又は半透明にして三次元表示データを生成している。具体的には、ここでは、ビル等の障害物19を、その輪郭がわかる程度に半透明にして三次元表示データを生成している。これにより、交差点等の進路変更可能地点の周辺に障害物19が存在する場合であっても、進路変更後の進路の周辺の景観を三次元表示データとして表示することが可能となる。なお、障害物19を完全に消して透明にすることも可能であるし、障害物19の一部、例えば進路変更後の進路の周辺の景観を表示するために邪魔になる部分のみを透明又は半透明にして三次元表示データを生成することも好適な実施形態の一つである。
更に、本実施形態においては、三次元表示データを生成するのに際して、誘導経路Lに沿った進行方向を示し、目標点M近傍を先端とする矢印を経路案内表示20として重ね合わせて三次元表示データを生成している。この経路案内表示20の情報は、ここでは、基準点が設けられている各進路変更可能地点について、当該地点に進入する方向及び進路変更後の進行方向毎にそれぞれ設定される目標点Mとともに、情報記憶装置2に予め格納されており、進路変更の案内を行う際に情報記憶装置2から読み出して三次元表示データに重ね合わせることとしている。なお、この経路案内表示20は、現在位置検知装置1により検知された自車位置と、情報記憶装置2に格納されている当該進路変更基準点Pに関する目標点Mと、誘導経路Lとに基づいてその都度演算して生成し、三次元表示データに重ね合わせることも好適な実施形態の一つである。また、経路案内表示20の形状は矢印に限定されるものではなく、誘導経路L上に引かれた線状の表示等のように、他の形状とすることも当然に可能である。
また、以上では、図3に示すように進路変更基準点Pが単独で存在する場合を例として説明したが、本実施形態においては、例えば図8に示すように、誘導経路L上において進路変更基準点がP1とP2のように所定距離J以下の間隔で複数存在する場合には、目標点Mは、これら複数の進路変更基準点P1、P2の内の最後の進路変更基準点P2を基準とする進路変更後の誘導経路L上に設定することとする。このようにすることにより、複合交差点等のように進路変更すべき位置が短い間隔で複数して存在する場合において、上記ステップ#07において視線方向Dを決定するのに際して、視線方向Dを最終的に進むべき進路の方に向けることができるので、運転者が進路変更の際に見ようとする方向に近い方向に視線方向Dを設定することができる。なお、所定距離Jは、上記所定距離Iと同じ距離(J=I)、又は所定距離Iより短い距離(J<I)に設定すると、自車の進行方向に対して進路変更基準点P1、P2を基準とする進路変更後の誘導経路Lの進行方向側を視線方向Dとする三次元表示を、適切な領域で行うことができる。
この図8に示す例では、自車位置がB1又はB3の位置にある場合には、自車位置B1又はB3(視点)から目標点Mに向かう方向が視線方向D1又はD3となる(ステップ#07)。一方、自車位置がB2又はB4の位置にある場合には、自車位置B2又はB4(視点)から目標点Mに向かう方向D2´又はD4´が、ステップ#07で決定される最初の視線方向となる。しかし、ここでは、視線方向D2´に従って三次元表示データを生成した場合、その三次元表示データの描画領域に進路変更基準点P1が含まれず、視線方向D4´に従って三次元表示データを生成した場合、その三次元表示データの描画領域に進路変更基準点P2が含まれない。このように、生成された三次元表示データの描画領域に自車位置の進行方向側であって自車位置から最も近い位置にある進路変更基準点P1、P2が含まれない場合には(ステップ#09:NO)、三次元表示データの描画領域に、自車位置の進行方向側であって自車位置から最も近い位置にある進路変更基準点P1、P2が含まれるように視線方向Dを修正する(ステップ#10)。したがって、視線方向D2´は視線方向D2に、視線方向D4´は視線方向D4に、それぞれ修正している。
また、この図8に示す例のように、複数の進路変更基準点P1とP2とが所定距離J以下の間隔で存在する場合には、自車が進路変更基準点P1を基準とする進路変更が完了したときには、自車位置は、次の進路変更基準点P2から所定距離Jの範囲内にあることとなる。よって、進路変更基準点がP1とP2のように所定距離J以下の間隔で複数存在する場合には、誘導経路L上における複数の進路変更基準点P1、P2の内の最後の進路変更基準点P2を基準とする進路変更が完了する位置が、進路変更後の誘導経路Lの進行方向側を視線方向Dとして三次元表示による経路案内を行う領域の終点となる。すなわち、自車位置が最初の進路変更基準点P1から所定距離Iの範囲内に入る点から前記終点までの間では、視点から複数の進路変更基準点P1、P2の内の最後の進路変更基準点P2を基準とする進路変更後の誘導経路L上に設定された目標点Mに向かう方向を視線方向Dとして三次元表示データを生成、表示する処理を行う。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成は、上記第1の実施形態に係る図1と同様のものとすることができるが、情報記憶装置2に格納される情報は若干異なり、基準点からの所定距離Iの情報14に代えて、後述するように処理領域Rの情報が格納されている。なお、本実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成の図示は省略する。本実施形態においては、例えば図9に示すように、進路変更基準点Pの周辺における誘導経路L上に複数の処理領域R1〜R4を設定するとともに、各処理領域R1〜R4に対応させて目標点M1〜M4を設定し、誘導経路L上の自車位置がR1〜R4のいずれかの処理領域Rx内にあるときに、視点から当該処理領域Rxに対応して設定されたM1〜M4のいずれかの目標点Mxに向かう方向を視線方向Dxとして決定し、三次元表示データを生成する処理を行う。
ここで、処理領域Rの情報及び目標点Mの位置情報13は、基準点が設けられている各進路変更可能地点について、当該地点に進入する方向及び進路変更後の進行方向毎にそれぞれ設定されており、情報記憶装置2に格納されている。そして、進路変更の案内を行う際に、演算処理装置3により情報記憶装置2から読み出されて用いられる。なお、本実施形態の説明において、「処理領域R」というときは、処理領域Rx(xは任意の整数)を総称するものとし、「目標点M」というときは、目標点Mx(xは任意の整数)を総称するものとする。
処理領域Rと目標点Mは、自車位置が誘導経路Lに従って進行する際に、自車位置と進路変更基準点Pとの位置関係に応じて、常に進路変更の案内のために適切な三次元表示データを生成できるような位置に設定する。すなわち、三次元表示データを生成する際には、視点(図9においては自車位置と一致)から目標点Mに向かう方向が視線方向Dとして決定され、この視線方向Dに従って三次元地図データ10に基づいて三次元表示データが生成されることから、自車位置と進路変更基準点Pとの位置関係に応じて、常に進路変更の案内のために適切な三次元表示データを生成できる視線方向Dが決定されるように、処理領域Rと目標点Mとの位置を設定する。
図9に示す例では、進路変更基準点Pから最も遠い位置に設定された処理領域R1に対応する目標点M1の位置は、進路変更基準点Pが設定されている交差点16(進路変更可能地点)における進路変更後の進路を少し進んだ誘導経路L上の位置に設定している。そして、処理領域R1よりも進行方向側に設定された処理領域R2に対応する目標点M2の位置は、目標点M1よりも進路変更基準点Pに近い位置(進路変更可能地点の中央寄りの位置)に設定している。また、処理領域R2よりも進行方向側に設定された処理領域R3に対応する目標点M3の位置は、目標点M1よりも進行方向側に設定し、更に処理領域R3よりも進行方向側に設定された処理領域R4に対応する目標点M4の位置は、目標点M3よりも進行方向側に設定している。これにより、ナビゲーション装置は、自車位置が進路変更基準点Pに近づいてきて処理領域R1の範囲内に入ったときに、まず進路変更後の進路の周辺の景観がある程度分かる三次元表示データを生成して表示する。
そして、これにより、運転者に対してこの先の進路変更を行う場所を認識させる。次に、自車位置が進路変更基準点Pまで十分な距離のある処理領域R2の範囲内に入ったときに、進路変更を行う交差点16(進路変更可能地点)を運転者に認識させるために当該進路変更可能地点の景観がよく分かる三次元表示データを生成して表示する。その後、自車位置が進路変更基準点Pに十分に近付いて処理領域R3の範囲内に入ったとき、及び当該進路変更基準点Pを基準として進路変更を行っている途中である処理領域R4の範囲内に入ったときには、進路変更後の進路の周辺の景観がよく分かるように進路変更後の進行方向のより前方を示す三次元表示データを生成して表示する。そして、自車位置が処理領域R4を通過した後は、自車の進行方向を視線方向Dとする三次元表示データを生成して表示する。
図10は、本実施形態に係るナビゲーション装置の動作制御のフローチャートである。ここでは、ナビゲーション装置は、出発時に設定された所定の誘導経路Lに従って進路変更や直進等の経路案内を行うものとし、車両はその経路案内に従って進行している状態とする。なお、このフローチャートに示すナビゲーション装置の動作は、演算処理装置3の制御の下に行われる。
図10に示すフローチャートのステップ#21〜ステップ#25は、上述した図2に示すフローチャートのステップ#01〜ステップ#05と同じであるので、説明は省略する。そして、ステップ#22における判断の結果、自車位置が三次元地図データ10を備える位置にある場合には(ステップ#22:YES)、次に、自車位置が、進路変更基準点Pについて設定されたR1〜R4のいずれかの処理領域Rx内か否かについて判断する(ステップ#26)。そして、自車位置がR1〜R4のいずれかの処理領域Rx内である場合には(ステップ#26:YES)、演算処理装置3は、視点から現在の自車位置が存在する処理領域Rxに対応して設定された目標点Mxに向かう方向を視線方向Dxとして決定する(ステップ#27)。本実施形態においては、上記第1の実施形態と同様に、視点は、車両の運転者の目の位置とほぼ一致すると想定される位置に設定することとしている。
その後、ステップ#27で決定された視線方向Dxに従って三次元表示データを生成し(ステップ#28)、生成された三次元表示データを表示入力装置4に表示する(ステップ#29)。そして、基準時間T2が経過したときに(ステップ#30:YES)、処理はステップ#01へ戻り、演算処理装置3は、次の自車位置の検出を行う(ステップ#01)。
以上のようにして、自車位置が、誘導経路Lに従って処理領域R1からR2、R3、R4と順に進行するのに従って、自車位置が存在する各処理領域R1〜R4のそれぞれに応じて設定されている目標点M1〜M4に向かう視線方向D1〜D4を順に切り替えて三次元表示データを生成し、自車が進路変更基準点Pを基準とする進路変更を完了するまで、自車の進行方向である自車位置を接点とする誘導経路Lの接線方向に対して、進路変更基準点Pを基準とする進路変更後の誘導経路Lの進行方向側を視線方向Dとして三次元表示による経路案内を行う。
ここで、処理領域Rが隣接する次の処理領域Rに切り替わる際に、視線方向Dが急激に切り替わることにより三次元表示データが急激に異なる方向のものに切り替わることを防止するため、視線方向Dの切り替わり時に、視線方向Dを滑らかに移動させながら三次元表示データを生成して表示する処理を行うと好適である。
そして、自車位置が、処理領域R4を通過した後は、自車位置は処理領域R1〜R4内にないので(ステップ#26:NO)、視点から誘導経路Lに従った自車の進行方向に向かう方向を視線方向Dとして決定する(ステップ#14)。また、自車位置が進路変更基準点Pに近づいている途中で、まだ処理領域R1内に入る前の位置にあるときにも、自車位置は処理領域R1〜R4内にないので(ステップ#26:NO)、視点から誘導経路Lに従った自車の進行方向に向かう方向を視線方向Dとして決定する(ステップ#14)。その後、処理はステップ#28へ進み、上記のとおりの処理を行う。
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図11は、本実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。本実施形態においては、上記第1及び第2の実施形態のように視点と視線方向Dとから三次元表示データをその都度生成するのではなく、情報記憶装置2に必要となる全ての三次元表示データ21を予め格納しておき、自車位置に応じて読み出して表示するものとしている。
具体的には、交差点等の各進路変更可能地点であって三次元表示による経路案内を行う地点に設けられている基準点から所定距離Iの範囲内について、誘導経路Lに沿って進行する際に三次元表示による案内を行うために必要となる三次元表示データ21を、当該進路変更可能地点に進入する方向及び進路変更後の進行方向毎にそれぞれ予め作成したものを情報記憶装置2に格納しておく。よって、本実施形態においては、情報記憶装置2が「表示データ格納手段22」を構成する。ここで作成される三次元表示データ21は、視点から、自車の進行方向である自車位置を接点とする誘導経路Lの接線方向に対して進路変更後の誘導経路Lの進行方向側に設定される視線方向Dを見たときの三次元表示データ21とする。このような三次元表示データ21の作成方法は、上記第1の実施形態又は第2の実施形態において説明した方法と同様の方法とすることができる。
本実施形態においては、三次元表示による案内を行うために予め作成された全ての三次元表示データ21が情報記憶装置2に格納されているとともに、この三次元表示データ21を用いて三次元表示による案内を行うことが可能な区域を示す三次元表示可能区域データ11が、二次元地図データ9についての座標情報と関連つけられて格納されている。
図12は、本実施形態に係るナビゲーション装置の動作制御のフローチャートである。ここでは、ナビゲーション装置は、出発時に設定された所定の誘導経路Lに従って進路変更や直進等の経路案内を行うものとし、車両はその経路案内に従って進行している状態とする。なお、このフローチャートに示すナビゲーション装置の動作は、演算処理装置3の制御の下に行われる。
この図12に示すように、ナビゲーション装置は、まず、自車位置の検出を行う(ステップ#41)。この処理は、上記第1の実施形態におけるステップ#01と同様である。次に、演算処理装置3は、検出された自車位置と情報記憶装置2に格納されている三次元表示可能区域データ11とを対照し、自車位置が三次元表示データ21を備える位置にあるか否かについて判断する(ステップ#42)。自車位置が三次元表示データ21を備える位置にない場合には(ステップ#42:NO)、ステップ#43〜ステップ#45により二次元表示データを表示して経路案内を行う。このステップ#43〜ステップ#45は、上記第1の実施形態におけるステップ#03〜ステップ#05と同じであるので、説明は省略する。
そして、ステップ#42における判断の結果、自車位置が三次元表示データ21を備える位置にある場合には(ステップ#42:YES)、次に、演算処理装置3は、自車位置に対応する三次元表示データ21を情報記憶装置2から読み出し(ステップ#46)、三次元表示データ21を表示入力装置4に表示する(ステップ#47)。そして、基準時間T2が経過したときに(ステップ#48:YES)、処理はステップ#01へ戻り、演算処理装置3は、次の自車位置の検出を行う(ステップ#01)。よって、本実施形態においては、演算処理装置3が「表示データ読出手段23」を構成する。
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図13は、本実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成の概略を示すブロック図である。この図に示すように、本実施形態においては、情報記憶装置2には、上記第1の実施形態の目標点Mの位置情報13に代えて経路案内表示情報24を格納している。この経路案内表示情報24は、上記第1の実施形態の図4〜6と同様に、進路変更基準点Pの周辺で三次元表示による進路変更の案内を行う際に三次元表示データに重ね合わせて表示され、誘導経路Lに沿った自車の進行方向を示す矢印状の経路案内表示20を生成するための情報である。この経路案内表示情報24の内容としては、具体的には、基準点が設けられている各進路変更可能地点について、当該地点に進入する方向及び進路変更後の進行方向毎にそれぞれ設定される経路案内表示20の先端位置20aの情報を有している。この経路案内表示20の先端位置20aは、上記第1の実施形態における目標点Mの位置と同様の考え方により決定された位置に設定すると好適である。
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置の動作制御について説明する。本実施形態では、ナビゲーション装置は、自車位置が三次元地図データ10を備える位置にあって三次元表示による経路案内を行うときに、誘導経路Lに沿った進行方向を示し、進路変更基準点Pを基準とする進路変更後の誘導経路L上に先端位置が設定された矢印状の経路案内表示20を生成し、更に自車位置が進路変更基準点Pから所定距離I内にあるときに、自車位置の近傍に設定された視点から、経路案内表示20の先端位置20aに向かう方向を視線方向として三次元表示データを生成し、経路案内表示20を重ね合わせて三次元表示を行う。図14及び図15は、本実施形態に係るナビゲーション装置の動作制御のフローチャートである。ここでは、ナビゲーション装置は、出発時に設定された所定の誘導経路Lに従って進路変更や直進等の経路案内を行うものとし、車両はその経路案内に従って進行している状態とする。なお、このフローチャートに示すナビゲーション装置の動作は、演算処理装置3の制御の下に行われる。
図14及び図15に示すフローチャートのステップ#51〜ステップ#55は、上述した図2に示すフローチャートのステップ#01〜ステップ#05と同じであるので、説明は省略する。そして、ステップ#52における判断の結果、自車位置が三次元地図データ10を備える位置にある場合には(ステップ#52:YES)、次に、情報記憶装置2に格納されている経路案内表示情報24と誘導経路Lとに基づいて、誘導経路Lに沿った進行方向を示し、進路変更基準点Pを基準とする進路変更後の誘導経路L上に先端位置20aが設定された矢印状の経路案内表示20を生成する(ステップ#56)。ここで、経路案内表示20は、三次元地図データ10上の座標情報に対応した状態で生成される。なお、この経路案内表示20を生成するための演算は、演算処理装置3において所定の動作プログラムに従って行われる。よって、本実施形態においては、演算処理装置3が「案内表示生成手段25」を構成する。
次に、自車位置が、進路変更の案内を行うための進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲内であるか否かについて判断する(ステップ#57)。この所定距離Iについては、上記第1の実施形態と同様とすることができる。そして、自車位置が進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲内にある場合には(ステップ#57:YES)、自車位置の近傍に設定された視点から、経路案内表示20の先端位置20aに向かう方向を視線方向Dとして三次元表示による経路案内を行う。ここでは、図16に示すように、道路が十字に交差する交差点16において左折の案内を行う場合を例として説明する。
まず、視点から経路案内表示20の先端位置20aに向かう方向を視線方向Dとして決定する(ステップ#58)。本実施形態においては、上記第1の実施形態と同様に、視点は、車両の運転者の目の位置とほぼ一致すると想定される位置に設定することとしている。ここでは、例えば、図16において自車位置がA1の位置にある場合には、自車位置A1(視点)から経路案内表示20の先端位置20aに向かう方向が視線方向D1となる。なお、この視線方向Dを決定するための演算は、演算処理装置3において所定の動作プログラムに従って行われる。よって、本実施形態においても、演算処理装置3が「視線方向決定手段17」を構成する。
次に、ステップ#58で決定された視線方向Dに従って三次元表示データを生成する(ステップ#59)。すなわち、演算処理装置3は、情報記憶装置2に格納された三次元地図データ10に基づいて、視点から視線方向Dを見たときの三次元による景観画像を、表示入力装置4の表示部4aに表示可能な大きさで作成し、これを三次元表示データとする。よって、本実施形態においては、演算処理装置3が「表示データ生成手段18」を構成する。そして、このステップ#59で生成された三次元表示データに、ステップ#56で生成された経路案内表示20を重ね合わせる。すなわち、演算処理装置3は、三次元表示データにおける誘導経路Lが設定された道路上に、上記先端位置20aが先端となる矢印状の経路案内表示20を合成する。
次に、ステップ#59で生成された三次元表示データの描画領域に、自車位置の進行方向側であって自車位置から最も近い位置にある進路変更基準点Pが含まれるか否かについて判断し(ステップ#61)、それが含まれる場合には(ステップ#61:YES)、処理はステップ#67へ進む。しかし、例えば、図16のA2の位置に自車位置がある場合には、図17に示すように、自車位置A2(視点)から経路案内表示20の先端位置20aに向かう方向D2´を視線方向として三次元表示データを生成した場合、その三次元表示データの描画領域E2´に進路変更基準点Pが含まれない。このように、生成された三次元表示データの描画領域に自車位置の進行方向側であって自車位置から最も近い位置にある進路変更基準点Pが含まれない場合には(ステップ#61:NO)、三次元表示データの描画領域に、自車位置の進行方向側であって自車位置から最も近い位置にある進路変更基準点Pが含まれるように視線方向Dを修正する(ステップ#62)。具体的には、自車位置がA2の位置にある場合について説明すると、視線方向を方向D2´に対して進路変更基準点P側に変更し、図16及び図17においてD2で示される方向に修正する。そして、ステップ#62で修正された視線方向Dに従って再度三次元表示データを生成する(ステップ#63)。図17に示すように、視線方向D2に従って三次元表示データを生成した場合、その三次元表示データの描画領域E2には進路変更基準点Pが含まれる。
次に、ステップ#63で生成された修正後の三次元表示データの描画領域(例えばE2)に、経路案内表示20の先端位置20aが含まれるか否かについて判断する(ステップ#64)。修正後の三次元表示データの描画領域に経路案内表示20の先端位置20aが含まれる場合には(ステップ#64:YES)、処理はステップ#67へ進む。しかし、修正後の三次元表示データの描画領域に経路案内表示20の先端位置20aが含まれない場合には(ステップ#64:NO)、例えば図18に示すように、経路案内表示20の先端位置20aが三次元表示データの描画領域E2内に含まれるように経路案内表示20の長さを修正する(ステップ#65)。そして、ステップ#63で生成された修正後の三次元表示データに、ステップ#65で生成された修正後の経路案内表示20を重ね合わせる(ステップ#66)。これにより、視線方向D2に従って生成した修正後の三次元表示データの描画領域E2内に、進路変更基準点Pと経路案内表示20の先端位置20aとの両方が含まれるようにすることができる。
その後、生成された三次元表示データを表示入力装置4に表示し(ステップ#67)、基準時間T2が経過したときに(ステップ#68:YES)、ステップ#51の処理に戻る点は上記第1の実施形態におけるステップ#12及びステップ#13と同様である。
一方、ステップ#57の判断の結果、自車位置が進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲内にない場合(ステップ#57:NO)のステップ#69及びステップ#70の処理は、上記第1の実施形態におけるステップ#14及びステップ#15と同様である。そして、本実施形態においては、ステップ#70の後、ステップ#70で生成された三次元表示データに、ステップ#56で生成された経路案内表示20を重ね合わせる。ここで、図16に示す例では、例えば自車位置がA0の位置にある場合や、自車位置がA3の位置にある場合が、自車位置が進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲内にない場合に該当する。その後、生成された三次元表示データを表示入力装置4に表示する(ステップ#67)。そして、基準時間T2が経過したときに(ステップ#68:YES)、処理はステップ#51へ戻る。
なお、ステップ#64及びステップ#65を行わず、修正後の三次元表示データの描画領域に経路案内表示20の先端位置20aが含まれない場合にも(ステップ#64:NO)、経路案内表示20の長さを修正しない構成とすることも当然に可能である。その場合、例えば図17に示すように、経路案内表示20の先端位置20aは、三次元表示データの描画領域E2の外に位置することになる。
また、以上では、図16に示すように進路変更基準点Pが単独で存在する場合を例として説明したが、本実施形態においては、例えば図19に示すように、誘導経路L上において進路変更基準点がP1とP2のように所定距離J以下の間隔で複数存在する場合には、経路案内表示20の先端位置20aは、これら複数の進路変更基準点P1、P2の内の最後の進路変更基準点P2を基準とする進路変更後の誘導経路L上に設定することとする。このようにすることにより、複合交差点等のように進路変更すべき位置が短い間隔で複数して存在する場合において、上記ステップ#58において視線方向Dを決定するのに際して、視線方向Dを最終的に進むべき進路の方に向けることができるので、運転者が進路変更の際に見ようとする方向に近い方向に視線方向Dを設定することができる。なお、この点に関しては、目標点Mに代えて経路案内表示20の先端位置20aとなっている以外は上記第1の実施形態に関して図8に基づいて行った説明と同様であるので、詳細な説明は省略する。
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成は、上記第4の実施形態に係る図13と同様のものとすることができるが、情報記憶装置2に格納される情報は若干異なり、基準点から所定距離I内に設定された進路変更基準点優先領域Rpと案内表示先端優先領域Raの情報が更に格納されている。なお、本実施形態に係るナビゲーション装置のハードウェア構成の図示は省略する。そして、本実施形態においては、例えば図20〜23に示すように、進路変更基準点Pを基準とする進路変更を行う際に、自車位置の近傍に設定された視点から経路案内表示20の先端位置20aに向かう方向に決定された視線方向に従って生成される三次元表示データの描画領域(例えばE1〜E4)に、経路案内表示20の先端位置20aと自車位置の進行方向側の最も近い位置にある進路変更基準点Pとの両方が含まれない場合には、進路変更基準点優先領域Rpと案内表示先端優先領域Raとに従い、自車位置が進路変更基準点優先領域Rp内にあるときには進路変更基準点Pが優先的に含まれるように視線方向を決定し、自車位置が案内表示先端優先領域Ra内にあるときには経路案内表示20の先端位置20aが優先的に含まれるように視線方向を決定する処理を行う。
ここで、進路変更基準点優先領域Rp及び案内表示先端優先領域Raは、基準点が設けられている各進路変更可能地点について、当該地点に進入する方向及び進路変更後の進行方向毎にそれぞれ設定されており、その情報は情報記憶装置2に格納されている。そして、進路変更の案内を行う際に、演算処理装置3により情報記憶装置2から読み出されて用いられる。この進路変更基準点優先領域Rp及び案内表示先端優先領域Raは、基準点から所定距離I内において自車位置が誘導経路Lに従って進行する際に、自車位置と進路変更基準点Pとの位置関係に応じて、進路変更の案内のために、三次元表示データがその描画領域に進路変更基準点Pと経路案内表示20の先端位置20aとのいずれを含む方がより適切かという基準に従って設定する。
図20〜23に示す例では、進路変更基準点Pから所定距離I内における進路変更基準点Pから比較的離れた位置に進路変更基準点優先領域Rpを設定し、この進路変更基準点優先領域Rpに隣接し、それよりも進路変更基準点Pに近い位置に案内表示先端優先領域Raを設定している。そこで、進路変更基準点優先領域Rp及び案内表示先端優先領域Raに従った視線方向Dの決定方法について、自車位置がA1〜A4の各位置にある場合を例として図20〜23に基づいて以下に説明する。
図20に示すように自車位置がA1の位置にある場合には、自車位置A1(視点)から経路案内表示20の先端位置20aに向かう方向D1に従って生成された三次元表示データの描画領域E1には進路変更基準点Pと経路案内表示20の先端位置20aの両方が含まれる。したがって、視線方向D1はそのまま修正されない。
一方、図21に示すように自車位置がA2の位置にある場合、自車位置A2(視点)から経路案内表示20の先端位置20aに向かう方向D2´を視線方向として三次元表示データを生成すると、その描画領域E2´に進路変更基準点Pが含まれない。そこで、視線方向を方向D2´に対して進路変更基準点P側のD2で示される方向に修正する。ここでは、視線方向D2に従って生成された三次元表示データの描画領域E2には進路変更基準点Pと経路案内表示20の先端位置20aの両方が含まれる。したがって、この方向D2が修正後の視線方向D2として決定される。なお、このような修正後の視線方向D2従って生成された三次元表示データの描画領域E2に進路変更基準点Pと経路案内表示20の先端位置20aの両方が含まれない場合には、A2位置は進路変更基準点優先領域Rp内にあることから、進路変更基準点Pが優先的に含まれるように視線方向を決定する。
また、図22に示すように、自車位置がA3の位置にある場合、自車位置A3(視点)から経路案内表示20の先端位置20aに向かう方向D3´を視線方向として三次元表示データを生成すると、その描画領域E3´に進路変更基準点Pが含まれない。また、視線方向を方向D3´に対して進路変更基準点P側に修正したとしても、修正後の視線方向に従って生成された三次元表示データの描画領域E3に進路変更基準点Pと経路案内表示20の先端位置20aの両方を含めることができない。そこで、A3位置は案内表示先端優先領域Ra内にあることから、経路案内表示20の先端位置20aが優先的に含まれるように視線方向D3が決定されている。
なお、図23に示すように、自車位置がA4の位置にある場合には、自車位置が進路変更基準点Pから所定距離Iの範囲内にないので、視点から誘導経路Lに従った自車の進行方向に向かう方向を視線方向D4として決定する。この場合の描画領域はE4に示すようになる。
以上のようにすることにより、自車位置が進路変更基準点Pから離れた位置にあるときには、当該進路変更基準点Pがある進路変更を行う交差点16(進路変更可能地点)の全体の景観がよく分かるように進路変更基準点Pが描画領域に必ず含まれる三次元表示データを生成して表示することとなり、運転者に当該進路変更を行う交差点16を容易に認識させることができる。そして、自車位置が進路変更基準点Pに十分に近づいた後は、進路変更後の進路の周辺の景観がよく分かるように経路案内表示20の先端位置20aが描画領域に必ず含まれる、進路変更後の進行方向のより前方を示す三次元表示データを生成して表示することとなり、運転者に進路変更後の進路を容易に認識させることができる。
なお、本実施形態における進路変更基準点優先領域Rp及び案内表示先端優先領域Raの設定は一例であって、運転者に対する進路変更の案内のために適切な三次元表示データとなるように適宜設定を変更することは、当然に可能である。
〔その他の実施形態〕
(1)上記第1の実施形態においては、適切な目標点Mの位置情報を予め決定して情報記憶装置2に格納しておき、進路変更の案内を行う際に情報記憶装置2から読み出して用いることとしているが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、交差点等の進路変更を行う地点における進路変更前及び進路変更後の道路の広さ、進路変更前と進路変更後の進行方向の変更された角度、地点の種類(交差点、分岐点、インターチェンジ等)、道路の種類(一般道、自動車専用道等)等の情報に基づいて、適切な目標点Mの位置をその都度演算して決定することも好適な実施形態の一つである。また、このことは、上記第4の実施形態における経路案内表示20の先端位置20aについても同様である。
(2)上記第1の実施形態においては、適切な所定距離I及び所定距離Jの情報を予め決定して情報記憶装置2に格納しておき、必要に応じて情報記憶装置2から読み出して用いることとしているが、本発明はこのような実施形態に限定されるものではない。例えば、交差点等の進路変更を行う地点の種類(交差点、分岐点、インターチェンジ等)、進路変更前及び進路変更後の道路の広さ、道路の種類(一般道、自動車専用道等)等の情報に基づいて、適切な所定距離Iをその都度演算して決定することも好適な実施形態の一つである。
(3)上記の各実施形態においては、視点を車両の運転者の目の位置とほぼ一致すると想定される位置に設定することとしたが、視点の位置設定はこれに限定されるものではなく、自位置(自車位置)の近傍の任意の位置に設定することが可能である。したがって、例えば、視点を車両の運転者等の被案内者の目の位置よりも高い位置に設定することにより、やや上方から俯瞰した三次元表示を行うことも可能である。また、視点を、自位置に対して進行方向前方の位置に設定し、或いは、視点を、誘導経路L上の位置に対して進路変更後の誘導経路Lの進行方向の反対側に外れた位置に設定することも可能である。このようにすることにより、被案内者が進路変更基準点Pの設定された交差点等の進路変更可能地点において進路変更の際に見ようとする景観を先取りして表示入力装置4に三次元表示することができるので、被案内者に対して、進路変更を行うべき位置や進路変更後の進路等をより分かりやすく案内することが可能となる。
(4)上記の各実施形態においては、本発明に係るナビゲーション装置を車両に搭載されるカーナビゲーション装置に適用する場合について説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、例えば携帯用のナビゲーション装置等に適用することも当然に可能である。