以下、本願発明の一実施形態たる健康状態判定装置を図面を参照しつつ説明する。
図1は、健康状態判定装置1の未使用時の外観図である。健康状態判定装置は、主に、本体部2と体重測定部4とにより構成されている。体重測定部4には本体部2を収納するための本体収納部が形成されており、ここに本体部2の脱着部2aを嵌め込むことができるようになっている。体重測定部4の本体収納部に、本体部2の脱着部2aを嵌め込むと、健康状態判定装置1は図1に示すような状態となる。本体部2は、体重測定部4から自在に脱着できる。
図2は、体重測定部4から本体部2を離脱させたときの状態を示す、健康状態判定装置1の外観図である。健康状態判定装置1を使用するときは、このように体重測定部4から本体部2を離脱させ、本体部2を両手で保持する。
図3は本体部2の正面図である。
図4は、健康状態判定装置1の電気的信号処理に関するブロック図である。
図1、図2、図3、図4を参照しつつ、健康状態判定装置1の概略構成を説明する。
前述したように、健康状態判定装置1は、主に、本体部2と体重測定部4とにより構成されている。本体部2と体重測定部4とは信号ケ−ブル3によって接続されている。信号ケーブル3は多芯のケーブルである。本体部2が有する部材と体重測定部4が有する部材との間で必要となる電気信号の送受信や電流の送受は、すべて信号ケーブル3を介してなされる。
図4に示されるように、健康状態判定装置1は、電気的には、主に、電極E1〜E8、インピーダンス測定回路8、操作部6、表示部5、ロードセル10、計時手段14、I/Oポート12、演算処理部13により構成されている。演算処理部13は、主に、CPUによって構成される中央処理部15と、半導体メモリによって構成される記憶部16とを有している。
電極E5、E6、E7、E8 及び ロードセル10は、体重測定部4に設けられた部材である。電極E1、E2、E3、E4、インピーダンス測定回路8、操作部6、表示部5、計時手段14、I/Oポート12、演算処理部13は、本体部2に設けられた部材である。電極E5、E6、E7、E8とインピーダンス測定回路8との間、および、ロードセル10とI/Oポート12との間は、信号ケーブル3によって接続されている。また、インピーダンス測定回路8、操作部6、表示部5、ロードセル10 及び 計時手段14と、演算処理部13との間の電気信号やデータの伝送は、すべてI/Oポート12を介して行われる。また、図示してはいないが、各種信号やデ−タは、必要に応じてA/D変換器(図示せず)でディジタル化されて伝送される。演算処理部13での演算処理が、ディジタル処理だからである。
インピ−ダンス測定回路8は、電極切換スイッチ部、電流源、電圧測定部等を備えている。インピ−ダンス測定回路8の電流源は、電極切換スイッチ部を介して電極E1、E4、E5、E8のうちの任意の二の電極に接続される。
例えば、電極E1及びE5または電極E4及びE8を介して各々、人体の左手と左足または右手と右足を末端とする電流路を形成することができる。
この電流源は交流周波数の電流を発生させるものである。電流源は、複数の所定の周波数のうちの選択された一の周波数の交流電流を発生させることができる。
また、インピ−ダンス測定回路8の電圧測定部は、電極切換スイッチ部を介して四つの電極E2,E3,E6,E7のうちの任意の二の電極に接続される。電流源が接続される電極 及び 電圧測定部が接続される電極を、電極切換スイッチ部によって順次切替えてゆくことにより、身体の種々の部位の間の電位差(電圧)を検出することができる。電圧測定部が検出した電圧のデータは、I/Oポートを介して演算処理部13に伝送される。
演算処理部13は電流源によって発生させる電流値を予め知っているので、電圧測定部からの電圧データを得ることによりインピーダンスを算出することができる。なお、インピーダンス算出のための演算は、演算処理部13の中央処理部15によってなされる。
再度、図2、図3を参照すると理解されるように、本体部2は、比較的薄型の形状をなす。
本体部2は携帯可能である。つまり、被検者(使用者)は本体部2を手で持つことができる。より詳細に説明すると、本体部2には、その左右端に左突出部7aと右突出部7bとが形成されている。両突出部7a,7bは、左右方向に突出した板状の部分である。比被検者は左手で左突出部7aを、右手で右突出部7bを把持することによって、本体部2を保持することができる。左突出部7aの上端面には第一の電極E1が配設されている。左突出部7aの下端面には第二の電極E2が配設されている。右突出部7bの上端面には第四の電極E4が配設されている。右突出部7bの下端面には第三の電極E3が配設されている。
被検者は本体部2の両突出部7a、7bを次のように把持する。つまり、被検者は、左手の人指し指が電極E1に接触するように、かつ、左手の親指が電極E2に接触するようにして、左手で左突出部7aを把持する。また、右手の人指し指が電極E4に接触するように、かつ、右手の親指が電極E3に接触するようにして、右手で右突出部7bを把持する。
図2を参照すると、体重測定部4の上面は測定面9として構成されており、そこ(測定面9)には電極E5、E6、E7、E8が配設されている。
体重測定部4にはロードセル10が内蔵されていることを上述した。ロ−ドセル10は被検者の体重を測定するための体重値測定手段を構成する。よって被検者は自らの体重を測定するために、体重測定部4の測定面9上に乗る。被検者が測定面9上に乗ると、被検者の体重値がロ−ドセル10によって検出される。ロ−ドセル10によって検出された被検者の体重デ−タは、検出精度を保持するべく特に図示されないアンプによって増幅された後にA/D変換され、ディジタル信号としてI/Oポート12を介して演算処理部13に入力され、記憶部16に記憶される。
また測定面9上に被検者が乗ると、被検者の足の裏が各電極E5、E6、E7、E8に接触する。より詳細に説明すると、体重測定部4に被検者が乗ると、被検者の左足の裏の土踏まずより前方部分(この部分を以下、「左足母指丘部分」とも呼ぶ)が電極E5に接触する。また、左足の裏の踵部分が電極E6に接触する。また、右足の裏の土踏まずより前方部分(この部分を以下、「右足母指丘部分」とも呼ぶ)が電極E8に接触する。また、右足の裏の踵部分が電極E7に接触する。
本体部2や体重測定部4に配設された電極E1〜E8は後述するインピ−ダンス測定回路8とともに、被検者の身体の各部の生体インピ−ダンス値を測定するための、インピ−ダンス測定手段を構成する。
これら電極E1〜E8のうちの、電極E1、E4、E5、E8は、被検者の身体に電流路を形成するための電流路形成用電極である。
一方、電極E2、E3、E6、E7は、被検者の身体に生ずる電圧分布に応じて2極間の電圧を測定するための電圧測定用電極である。
四の電流路形成用電極E1、E4、E5、E8の内の二の電極間で所定周波数の微弱な交流電流を流すと、この電流によって被検者の身体に電圧分布が生ずる。このような状態において、四の電圧測定用電極E2、E3、E6、E7の内の二の電極間の電圧を測定する。そして、被検者の身体を流れる電流の電流値と、測定された電圧値とから、生体インピーダンス値を算出することができる。この生体インピーダンス値の算出は、演算処理部13においてなされる。なお当然ながら、電極E1,E2,E3,E4、E5、E6、E7、E8は、インピ−ダンス測定回路8に電気的に接続されている。
図5は、人体におけるインピーダンス構成を模式的に示す図である。この図を参照しつつ、電極E1〜E8にる被検者の身体各部の生体インピーダンス値の測定例を、以下に簡単に説明する。
図中のインピーダンスZ1は左腕の生体インピーダンスに相当し、
インピーダンスZ2は右腕の生体インピーダンスに相当し、
インピーダンスZ3は体幹部の生体インピーダンスに相当し、
インピーダンスZ4は左脚の生体インピーダンスに相当し、
インピーダンスZ5は右脚の生体インピーダンスに相当する。
この図を参酌しつつ、被検者のある部位の生体インピーダンス値がどのようにして測定されるかを例示する。例えば、電極E1と電極E5との間に電流が流されると、左手の指と左足の裏を末端とした電流路が人体に形成される。このときの電流路は、図中のインピーダンスZ1、Z3およびZ4によって形成される。このような電流路が形成されているときに、電極E3と電極E7との間の電圧を測定すると、インピーダンスZ3、すなわち体幹部の生体インピーダンス値を求めることができる。
また例えば、電極E1と電極E5との間に電流を流し、電極E2と電極E3との間の電圧を測定すると、インピーダンスZ1、すなわち左腕の生体インピーダンス値を求めることができる。
これらの例から理解されるように、電流路形成用電極と、電圧測定用電極とを選択することにより、左腕の生体インピーダンス値、右腕の生体インピーダンス値、体幹部の生体インピーダンス値、左脚の生体インピーダンス値、右脚の生体インピーダンス値を各々測定することができる。
このようにして、左腕、右腕、体幹部、左脚 及び 右脚の各部位毎の生体インピ−ダンス値を測定することができる。
また、種々の周波数の交流電流による生体インピーダンス値の測定により、被検者の身体の細胞外液及び細胞内液の比率を求めることもできる。
以上、電極E1〜E8にる被検者の身体各部の生体インピーダンス値の測定例を説明した。
図3を参照すると、本体部2の外表面には、表示部5や操作部6が表れている。表示部5は、本体部2の正面の左側に配設されており、操作部6は、本体部2の正面の右側に配設されている。
図3を参照しつつ、まず、操作部6について説明する。
操作部6には、電源ON/OFFキ−6a、各種モード切替キー6b、各種個人デ−タの設定画面切り替えキー6c、前記個人デ−タ等及び測定データの登録キー6d、被検者の健康状態の判定を行う判定キー6e、前記個人デ−タの入力のためのテンキ−6f、被検者の体重や被検者の各部の生体インピーダンス値の測定を開始するための測定キー6gなどが含まれている。
上記各種個人データとは、被検者の性別、年令、身長、体重別等に関するデータのことであり、「身体特定情報」に相当する。
被検者は、操作部6を使って、自らの性別、年令、身長 及び 体重等の各種デ−タを健康状態判定装置1に入力することができる。
健康状態判定装置1の操作はすべて操作部6を介して行われる。例えば、電源キ−6aを操作にすることで、健康状態判定装置1が待機状態になり、続いてモード切替キー6bにより複数の測定モ−ドから一の測定モードを選択できる。また、被検者が体重測定部4に載った状態で測定キ−6gを操作すると、被検者の体重値が測定され、その測定値が安定したか否かの判定が行われ、測定が安定したと判定されるとそのときの測定値が被検者の体重値として、記憶部16に記憶される。
なお被検者の体重値は、体重測定部4の体重値測定手段(ロードセル10)により測定することもできるので、あえて登録キー6dやテンキー6fを使って体重データを入力する必要はない。しかし、被検者の体重が既知である場合に、登録キー6dやテンキー6fを使って体重データを入力することができるように、健康状態判定装置1は構成されている。
以上、操作部6について簡単に説明した。
次に表示部5について説明する。
表示部5には、操作部6から入力された被検者の身体特定情報、つまり、被検者の身長、体重、年令、性別等が表示される。
また表示部5には、体重測定部4のロ−ドセル10により検出された被検者の体重値も表示される。
また表示部5には、演算処理部13による演算結果、判定結果等も表示される。具体的には、演算処理部13により演算された被検者の身体の各部の生体インピーダンス値、生体インピーダンス値の日内変化率、体重値の日内変化率、健康状態指数(健康状態判定結果)などが表示される。
また表示部5には、過去の体重測定値や過去の生体インピーダンス測定値を表示することもできる。これらの過去の測定値は、演算処理部13の記憶部16に記憶されている。よって、演算処理部13が記憶部16からこれらのデータを読み出して表示部5に表示することができるのである。
また、表示部5には、健康状態指数を表示することができる。健康状態指数とは、演算処理部13が、現在の体重値や現在の生体インピーダンス値を基準値と比較することにより算出する健康状態の判定結果である。例えば、食べ過ぎ度、飲み過ぎ度、肥満傾向度、減量傾向度、脱水度、むくみ度、疲労度等が健康状態指数として表示部5に表示される。なお基準値は、過去に測定された体重値や生体インピーダンス値に基づき演算処理部13によって算出され、記憶部16に記憶されている。基準値の詳細については、後述する。
次に演算処理部13(図4参照)について説明する。
健康状態判定装置1における各種デ−タの演算処理は、演算処理部13によって行われる。演算処理部13は、中央処理部15と記憶部16とを備えている。
中央処理部15は、記憶部16に記憶されているデ−タや各種のプログラムル−チンに基づいて、演算及び判定処理等を行う。例えば、中央処理部15では、測定された現在の体重値や生体インピーダンス値を、基準値と比較することにより、各種健康状態指数(食べ過ぎ度、飲み過ぎ度、肥満傾向度、減量傾向度、脱水度、むくみ度、疲労度等)を求める。
また中央処理部15は基準値の算出も行う。基準値は、過去に測定された体重値 及び/又は 過去に測定された生体インピーダンス値に基づいて算出される。
記憶部16には、操作部6の入力キ−6a〜6gの操作を介して入力された、身体特定情報の各々や、電極E1〜E8を介して測定された被検者の身体各部位の生体インピーダンス値、即ち左腕の生体インピーダンス値Z1、右腕の生体インピーダンス値Z2、体幹部の生体インピーダンス値Z3、左脚の生体インピーダンス値Z4、右脚の生体インピーダンス値Z5等を記憶することができる。
さらに、測定された体重値や及び生体インピーダンス値を計時手段14から得られる時間情報(測定の日時に関する情報)と共に記憶することができる。また、前記各種健康状態(食べ過ぎ度、飲み過ぎ度、肥満傾向度、減量傾向度、脱水度、むくみ度、疲労度等)の判定のために必要となる基準値をそれぞれ記憶することができる。
さらに記憶部16には、生体インピーダンス値を算出するための計算式や、各種の基準値を演算するための演算式や、健康状態判定装置1の各動作モードに対応した動作ルーチンプログラム、各種判定のための動作ルーチンプログラムなどが記憶されている。
健康状態判定装置1の有する主な動作モ−ドは、初期設定モ−ド、測定モ−ド、登録モ−ド、判定モード等である。これらの動作モードのうちのいずれの動作モードで健康状態判定装置1を動作させるかは、各種モード切替キー6bを操作することによって決定することができる。
初期設定モ−ドは、現在時刻の設定及び変更を行うモ−ドである。
測定モ−ドは、被検者の体重値及び身体各部位の生体インピーダンス値の測定を行うための動作モ−ドである。
登録モ−ドは、身体特定情報(身長、体重、年齢、性別等)及び各種測定データの記憶部16への登録を行うためのモ−ドである。
判定モードは、被検者の生体インピーダンス値や体重値に関する現在値を、過去の測定値から求めた基準値と比較することにより、被検者の健康状態を判定する動作モードである。
健康状態判定装置1においては、電源キ−6aを操作すると電源OFFの状態から電源ONの状態になる。すると、健康状態判定装置1は、待機状態になる。健康状態判定装置1が待機状態にあるときに、モード切替キー6bを操作することによって、動作モ−ドを選択することができる。
健康状態判定装置1は、新品の状態では、初期設定は全くなされていない。よって新品の健康状態判定装置1を購入した場合は、まず、初期設定を行う必要がある。初期設定は初期設定モードにおいて行うことができる。
健康状態判定装置1を初期設定モードに設定すると、操作部6のテンキ−6fや設定画面切り替えキ−6cなどを使って、その時の年、月、日、時刻のデ−タを、順次、入力することができる。これら入力されたデータは計時手段が出力する日時情報の基礎になる。
健康状態判定装置1が初期設定されている場合は、健康状態判定装置1を測定モ−ドに設定することによって、被検者の体重値及び身体の部位別の生体インピ−ダンス値を測定することができる。また、これらの測定値を、計時手段14から得た日時情報と共に記憶部16に記憶することができる。
なお、前述したように、被検者の体重値を測定するには、被検者が体重測定部4に乗る必要がある。
また、被検者の生体インピーダンス値を測定するには、被検者が体重測定部4に乗り、かつ、本体部2を両手で把持する必要がある。正確な生体インピーダンス値の測定のためには、体重測定部4の測定面9上に載せた足の状態がつぎのような状態でなければならない。つまり、左足母子丘部分が電極E5(図2参照)に接触しており、左足の裏の踵部分が電極E6に接触しており、右足母子丘部分が電極E8に接触しており、右足の裏の踵部分が電極E7に接触しており、左手の人指し指が電極E1に接触しており、左手の親指が電極E2に接触しており、右手の人指し指が電極E4に接触しており、右手の親指が電極E3に接触していなければならない。
各電極への接触が上記のように適正になされている状態で、測定キ−6g(図3参照)をON状態に操作すると、身体各部位の生体インピ−ダンス値の測定が開始される。
この測定中に、電圧用電極から検出される電圧がまだ安定していないと判断されると、表示部に「測定中」と表示される。電圧用電極から検出される電圧が安定したと判断されると、このときの測定電圧に基づき、身体各部位の生体インピーダンス値が算出される。この算出は、演算処理部13が行う。
次に、登録モ−ドについて説明する。
健康状態判定装置1を登録モードに設定すると、身体特定情報を記憶部16に登録することができる。より具体的に説明すると、健康状態判定装置1が登録モードに設定されている状態において、設定画面切り替えキー6cを操作すると、健常状態判定装置1は、身長入力モード、年齢入力モード、性別選択モード等に順次切り換えられる。これら各入力モード(選択モード)において、テンキー6fからデータを入力するとこのデータが記憶部16に登録(記憶)される。
健康状態判定装置1は、過去に測定した体重値や過去に測定した生体インピーダンス値に基づいて基準値を設定し、この基準値と現在の測定値とを比較することによって、被検者の前記各種健康状態(食べ過ぎ度、飲み過ぎ度、肥満傾向度、減量傾向度、脱水度、むくみ度、疲労度等)を判定する。
健康状態判定装置1が新品の状態では、体重値や生体インピーダンス値の過去の測定値が記憶部16に記憶されていない。しかし、健康状態判定装置1によって被検者の体重値測定や生体インピーダンス値測定が複数回行われると、これらの測定によって得られた測定値が測定日時データとともに、過去の測定値として記憶部16に蓄積されてゆく。そうすると、基準値の設定が可能となり、被検者の前記各種健康状態(食べ過ぎ度、飲み過ぎ度、肥満傾向度、減量傾向度、脱水度、むくみ度、疲労度等)を判定することができるようになる。
次に、健康状態判定装置1によって、過去に複数回の体重値や生体インピーダンス値が測定されており、これら測定値が測定日時データと共に記憶部に記憶されていることを前提として、被検者の各種健康状態が具体的にどのように判定されるのかを説明する。これら判定は、健康状態判定装置1を判定モードにすることにより行なわれる。
なお、被検者の各種健康状態判定項目のうちのいずれを判定するかは、操作部6を操作することにより選択することができる。
まず一例として、被検者の健康状態判定項目の一つであるである、脱水状態の有無がどのように判定されるのかを、図6、7、8、9、10を参照しつつ説明する。
前述したとおり、現時点における被検者の健康状態を判定するには、過去に測定された体重値や生体インピーダンス値に基づいて基準値を設定する必要がある。
図6は、過去に測定された生体インピーダンス値に基づいて、生体インピーダンス値の基準値を求めるためのフローチャートである。図6のフローチャートは、過去の測定値の中から、現時点の測定の測定時刻と同時刻に測定されたものを抽出し、これら抽出された測定値から基準値を設定する工程を示している。過去の複数の日において測定がされていたとしても、毎回、同時刻に測定がされていることはまれである。通常は、測定時刻は測定日によってまちまちである。一日の内でも時刻によって生体インピーダンス値が変化することは前述したとおりである。よって、測定時刻を考慮することなく、単純に過去の測定値を平均化して基準値を設定するよりも、現時点の測定時刻と同時刻での測定による測定値のみを用いて基準値を設定した方が、より適正な判定ができるのである。例えば、現時点の時刻(現時点における測定の測定時刻)が午後3時であるとすれば、過去の複数日における測定から得られた複数の測定値の中から、午後3時又はそれに近い時刻での測定によって得られた測定値のみを用いて、基準値を設定するのである。基準値の設定の方法は、特に限定する必要はないが、例えば最頻値を基準値としてもよいし、中央値を基準値として設定してもよいし、平均値を基準値としてもよい。
このフローチャートに示される工程を実行するためのフログラムは記憶部16に格納されており、このプログラムを中央処理部15が実行する。
図6のフローチャートに従って説明すると、まず、脱水異常を判定しようとする現時点における時刻を計時手段14から読み込む(ステップ1)。
次に、記憶部16に記憶されている、過去の測定による生体インピーダンス値の測定値のなかから、現在の測定の測定時刻と略同時刻の測定によって得られた測定値のみを抽出する(ステップ2)。
次に、これらの抽出された測定値の最頻値を基準値とするか否かが被検者に問われる(ステップ3)。被検者は操作部6を操作することにより、最頻値を基準値とするか否かを決定する。
被検者が最頻値を基準値とすることを決定すると、ステップ2で抽出された過去の測定値の最頻値が基準値として演算される(ステップ4)。
ステップ3において、被検者が最頻値を基準値とはしないと決定すると、次に、ステップ2で抽出された測定値の中央値を基準値とするか否かが被検者に問われる(ステップ5)。被検者は操作部6を操作することにより、中央値を基準値とするか否かを決定する。
被検者が中央値を基準値とすることを決定すると、抽出された過去の測定値の中央値が基準値として演算される(ステップ6)。
ステップ5において、被検者が中央値を基準値とはしないと決定すると、次に、ステップ2で抽出された測定値の平均値を基準値とするか否かが被検者に問われる(ステップ7)。被検者は操作部を操作することにより、平均値を基準値とするか否かを決定する。
被検者が平均値を基準値とすることを決定すると、抽出された過去の測定値の平均値が基準値として演算される(ステップ8)。
そしてステップ4、ステップ6 又は ステップ8によって演算された基準値(生体インピーダンス値の基準値)が、記憶部16に記憶される(ステップ9)。
ステップ7において、被検者が平均値を基準値とはしないと決定すると、再度、現時点の時刻の読み込みからやり直す(ステップ1)。
なお、基準値算出のためには、過去の測定値を用いるのであるが、どの程度の長さの期間から、基準値の基礎となる過去の測定値を抽出するのかを選択できるようにすることが望ましい。例えば、週単位で過去1〜12週間のうちから任意の期間(つまり、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間 および 12週間のうちからの任意の一の期間)を選ぶことができるようにしてもよいし、月単位で過去4ヶ月〜6ヶ月のうちから任意の期間(つまり、4ヶ月、5ヶ月 および 6ヶ月のうちからの任意の一の期間)を選ぶことができるようにしてもよいし、3ヶ月を単位として、過去6ケ月〜24ケ月月のうちから任意の期間(つまり、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月、15ヶ月、18ヶ月、21ヶ月 および 24ヶ月のうちからの任意の一の期間)を選ぶことができるようにしてもよい。
以上、図6により、生体インピーダンス値の基準値を設定する工程を示したが、生体インピーダンス値の基準値は、図7のフローチャートに示される工程によって設定してもよい。
図7のフローチャートで示す工程では、過去に測定された体重値と生体インピーダンス値とに基づいて、生体インピーダンス値の基準値が設定される。より具体的に説明すると、まず、過去に測定された体重値の最頻値を求める。次に、該最頻値が測定されたときの、生体インピーダンス値の測定値から生体インピーダンス値の基準値を設定するのである。
これにより仮想的に体重変化のないときの生体インピーダンス値を基準値とすることができる。つまり、体重変化の影響を除去して、適正な健康状態判定を行うことができる。
例えば、健康状態判定装置1により、過去の連続した9日間に渡って体重値と生体インピーダンス値とを測定したとする。下表(表3)は、その測定結果を示す表である。
表3中の「IMP」とは、測定された生体インピーダンス値のことである。表3に示す生体インピーダンス値(単位はオーム)と体重値のデータは、測定日時とともに、全て記憶部16に記憶されている。なお、測定された生体インピーダンス値や体重値は、後に最頻値を選びやすくするように、四捨五入などによる丸め処理をしてから記憶部16に記憶させるようにしてもよい。
表3からも理解されるように、9回の体重測定によって得られた体重値の測定値の最頻値は70kgである。体重値の測定値が70kgとなった日は、1日目と3日目と5日目と6日目と8日目である。1日目における生体インピーダンス値の測定値は675オームであり、3日目における生体インピーダンス値の測定値は685オームであり、5日目における生体インピーダンス値の測定値は660オームであり、6日目における生体インピーダンス値の測定値は680オームであり、8日目における生体インピーダンス値の測定値は685オームである。
このような場合、図7のフローチャートに示す工程によれば、1日目の675オームと、3日目の685オームと、5日目の660オームと、6日目の680オームと、8日目の685オームと基づき、生体インピーダンス値の基準値が設定される。
図7のフローチャートに従って説明すると、まず、記憶部16から過去の測定による体重値の測定値と生体インピーダンス値の測定値とを読み込む(ステップ1)。
次に、ステップ1で読み込んだ体重値の測定値から、最頻値を求める(ステップ2)。
次に、最頻値の体重値が測定されたときに、同時に測定された生体インピーダンス値のみを抽出する(ステップ3)。
次に、ステップ3で抽出された生体インピーダンス値の測定値の最頻値を生体インピーダンス値の基準値とするか否かが被検者に問われる(ステップ4)。被検者は操作部6を操作することにより、この最頻値を基準値とするか否かを決定する。
被検者が最頻値を基準値とすることを決定すると、ステップ3で抽出された生体インピーダンス値の測定値の最頻値が基準値として演算される(ステップ5)。表3に示す測定例において、最頻値は685オームである。
ステップ4において、被検者が、抽出された生体インピーダンス値の最頻値を基準値とはしないと決定すると、次に、ステップ3で抽出された生体インピーダンス値の測定値の中央値を生体インピーダンス値の基準値とするか否かが被検者に問われる(ステップ6)。被検者は操作部6を操作することにより、この中央値を基準値とするか否かを決定する。
被検者が中央値を基準値とすることを決定すると、ステップ3で抽出された生体インピーダンス値の測定値の中央値が基準値として演算される(ステップ7)。表3に示す測定例において、中央値は680オームである。
ステップ6において、被検者が、抽出された生体インピーダンス値の中央値を基準値とはしないと決定すると、次に、ステップ3で抽出された生体インピーダンス値の測定値の平均値を生体インピーダンス値の基準値とするか否かが被検者に問われる(ステップ8)。被検者は操作部6を操作することにより、この平均値を基準値とするか否かを決定する。
被検者が平均値を基準値とすることを決定すると、ステップ3で抽出された生体インピーダンス値の測定値の平均値が基準値として演算される(ステップ9)。表3に示す測定例において、平均値は677オームである。
そして、ステップ5、ステップ7 または ステップ9により演算された基準値が、記憶部16に記憶される(ステップ10)。
なお、ステップ8において、被検者が平均値を基準値とはしないと決定すると、再度、記憶部から過去の測定による体重値の測定値と生体インピーダンス値の測定値とを読み込むことからやり直す(ステップ1)。
以上、図7により、生体インピーダンス値の基準値を設定する工程を示した。
図6や図7のフローチャートに示すような工程により、生体インピーダンス値の基準値が設定されると、次に、この基準値を利用して、被検者が現在、脱水状態にあるか否かを判定する。
図8は、この判定のための工程の一例を示すフローチャートである。
このフローチャートが実行される前提として、現時点での生体インピーダンス値が測定されており、その測定値が記憶部16に記憶されているものとする。
図8に示すフローチャートの工程は、モード切替キー6bにより脱水異常判定モードを選択した上で、判定キー6eを押すことで開始される。
図8のフローチャートに従って説明すると、まず、記憶部16に記憶されている現時点での生体インピーダンス値を、記憶部16から読み込む(ステップ1)。
次に、記憶部16に記憶されている、生体インピーダンス値の基準値を記憶部から読み込む(ステップ2)。
次に、測定された現在の生体インピーダンス値(Z)と基準値(Zs)とを比較する(ステップ3)。
そして、現在の生体インピーダンス値(Z)が基準値(Zs)よりも小さいか、もしくは等しければ、被検者に脱水異常は認められないと判定し、表示部に「正常」との表示がなされる(ステップ4)。
一方、現在の生体インピーダンス値(Z)が基準値(Zs)よりも大きければ、被検者は脱水状態にあると判定し、表示部に「体調注意」との表示がなされる(ステップ5)。
図9は、図8のステップ5に対応した、表示部5の表示状態を示す図である。図9における「測定値」とは、測定された現在の生体インピーダンス値(Z)のことである。図9の表示状態をより詳細に説明する。例えば、両腕のインピーダンス測定値によって脱水状態の判断をする場合には、現時点で両腕のインピーダンス値の測定を行う。そしての測定結果が745オームであり、両腕のインピーダンス値の基準値として695オームが得られたとする。すると、現時点の測定値が基準値よりも大きいこととなる。よって、脱水状態と判断され、判定結果として「体調注意」と表示されているのである。特に複数の周波数の交流電流を使用して測定した場合は、細胞内外の水分変動を把握することが容易であるので、より具体的な表示も可能となる。例えば、測定結果によって「二日酔い注意」と表示することもできる。
なお、図9のような表示よりもさらに詳細に判定結果を表示するようにしてもよい。
図10は、脱水異常をより詳細に判定したときの、表示器5の表示状態を示す図である。図10の表示では、脱水異常の状態を4段階に分類している。そして、図10では、脱水度が「やや多い」との判定結果が示されている。
このように判定結果のランクをより詳細に分類すると、被検者の健康状態を、より詳細に判定することができ、より適正な健康管理を行うことができる。
以上、被検者の健康状態の一つであるである、脱水状態の有無がどのように判定されるのかを、図6、7、8、9、10を参照しつつ説明した。
なお、脱水状態と飲み過ぎ状態(飲酒過多状態)とは、密接に関係するので、図8のフローチャートと同様のフローチャート、又は、図8のフローチャートと類似のフローチャートによって、飲み過ぎ度を判定するようにしてもよい。
次に他の例として、被検者の健康状態判定項目の一つであるである、肥満傾向の有無がどのように判定されるのかを、図11、12、13を参照しつつ説明する。
前述したとおり、被検者の健康状態を判定するには、過去に測定された体重値や生体インピーダンス値に基づいて基準値を設定する必要がある。ここでの肥満傾向の有無の判定においては、過去に測定された体重値に基づいて基準値を設定する。
図6のフローチャートを参照しつつ、過去に測定された生体インピーダンス値に基づいて、生体インピーダンス値の基準値を設定するための工程を説明した。図6のフローチャートに示す工程と同様の工程により、体重値の基準値を設定することができる。体重値の基準値の設定のためには、もちろん、測定対象項目が生体インピ−ダンス値ではなく、体重値でなければならない。
より詳細に説明すると、体重値の基準値の設定のためには、まず、計時手段14から時刻を読み込む。次に、記憶部16から過去の測定による体重値の測定値を、その測定がされた測定時刻とともに読み込み、現在の時刻と略同時刻の測定によって得られた測定値を抽出する。次に、この抽出された測定値の最頻値、中央値、平均値のいずれを基準値とするかを被検者に選択させる。そして、被検者が選択した値を基準値として算出し、この算出結果を基準値として記憶部16に記憶させるのである。
このように、図6に示すフローチャートと同様の工程によって体重値の基準値が設定されると、次に、この基準値を利用して、被検者が現在、肥満傾向の状態にあるか否かを判定する。
図11は、この判定のための工程の一例を示すフローチャートである。
このフローチャートが実行される前提として、現時点での体重値が測定されており、その測定値が記憶部16に記憶されているものとする。
図11に示すフローチャートの工程は、モード切替キー6bにより肥満傾向判定モードを選択した上で、判定キー6eを押すことで開始される。
図11のフローチャートに従って説明すると、まず、記憶部16に記憶されている現時点での体重値(W)を、記憶部16から読み込む(ステップ1)。
次に、記憶部16に記憶(設定)されている、体重値の基準値を記憶部16から読み込む(ステップ2)。
次に、測定された現在の体重値(W)と基準値(Ws)とを比較する(ステップ3)。
そして、現在の体重値(W)が基準値(Ws)よりも小さいか、もしくは等しければ、被検者に肥満傾向は認められないと判定し、表示部5に「正常」との表示がなされる(ステップ4)。
一方、現在の体重値(W)が基準値(Ws)よりも大きければ、被検者は肥満傾向にあると判定し、表示部5に「食べ過ぎ」との表示がなされる(ステップ5)。
図12は、図11のステップ5に対応した、表示部5の表示状態を示す図である。図12における「測定値」とは、測定された現在の体重値(W)のことである。図12の表示状態をより詳細に説明すると、基準値が70kgであるところ、現時点の測定値が72kgであったので、現時点の測定値が基準値よりも大きいことになる。よって、判定結果として「食べ過ぎ」と表示されているのである。
なお、図12のような表示よりもさらに詳細に判定結果を表示するようにしてもよい。
図13は、肥満傾向をより詳細に判定したときの、表示器5の表示状態を示す図である。図13の表示では、肥満傾向の度合いを4段階に分類している。そして、図13では、肥満傾向が「やや多い」との判定結果が示されている。このように判定結果のランクをより詳細に分類すると、被検者の種健康状態を、より詳細に判定することができ、より適正な健康管理を行うことができる。
以上、被検者の健康状態の一つであるである、肥満傾向度がどのように判定されるのかを、図11、12、13を参照しつつ説明した。
次に他の例として、被検者の健康状態判定項目の一つであるである、むくみの有無がどのように判定されるのかを、図14、15、16、17を参照しつつ説明する。
前述したとおり、被検者の健康状態を判定するには、過去に測定された体重値や生体インピーダンス値に基づいて基準値を設定する必要がある。
図14は、過去に測定された生体インピーダンス値に基づいて、生体インピーダンス値の日内変化率の基準値を求めるためのフローチャートである。図14のフローチャートは、過去の測定日に測定された体重値や生体インピーダンス値から日内変化率の基準値を設定する工程を示している。日内変化率とは、一日のうちのより早い時刻における測定値に対する、より遅い時刻における測定値の変化率のことである。例えば、過去の複数の日において、朝(又は起床時)と夕方(又は就寝前)とに体重値と生体インピーダンス値とが測定されているとする。そうすると、過去の各測定日毎に、朝(又は起床時)から夕方(又は就寝前)にかけて、体重値や生体インピーダンス値がどのような割合で変化したかを求めることができる。被検者にむくみが生じている場合は、朝(又は起床時)よりも夕方(又は就寝前)の方が、身体中の水分量が多くなる傾向が強くなる。身体中の水分量が多くなると、生体インピーダンス値は低くなる。よって、過去の日における生体インピーダンス値の日内変化率を基準として、これと現在日における生体インピーダンス値の日内変化率とを比較することにより、被検者にむくみが生じているか否かを判定することができるのである。例えば、過去の複数日において、朝の時間帯(又は起床時)と夕方の時間帯(又は就寝前)において、体重値と生体インピーダンス値とが測定され、これら測定値が記憶部16に記憶されているとする。すると、過去の日内変化率を複数求めることができる。この複数の日内変化率を用いて、日内変化率の基準値を設定するのである。基準値の設定の方法は、特に限定する必要はないが、例えば最頻値を基準値としてもよいし、中央値を基準値としてもよいし、平均値を基準値としてもよい。
図14のフローチャートに示される工程を実行するためのフログラムは記憶部16に格納されており、このプログラムを中央処理部15が実行する。
図14のフローチャートに従って説明すると、まず、記憶部16に記憶されている、過去の測定による生体インピーダンス値の測定値を用いて、複数の過去の日内変化率を求める(ステップ1)。
次に、これら複数の過去の日内変化率の最頻値を基準値とするか否かが被検者に問われる(ステップ2)。被検者は操作部6を操作することにより、最頻値を基準値とするか否かを決定する。
被検者が最頻値を基準値とすることを決定すると、最頻値が基準値として演算される(ステップ3)。
ステップ2において、被検者が最頻値を基準値とはしないと決定すると、次に、中央値を基準値とするか否かが被検者に問われる(ステップ4)。被検者は操作部6を操作することにより、中央値を基準値とするか否かを決定する。
被検者が中央値を基準値とすることを決定すると、中央値が基準値として演算される(ステップ5)。
ステップ4において、被検者が中央値を基準値とはしないと決定すると、次に、平均値を基準値とするか否かが被検者に問われる(ステップ6)。被検者は操作部6を操作することにより、平均値を基準値とするか否かを決定する。
被検者が平均値を基準値とすることを決定すると、平均値が基準値として演算される(ステップ7)。
そして、ステップ3、ステップ5 または ステップ7により演算された基準値が、記憶部16に記憶される(ステップ8)。
なお、ステップ6において、被検者が平均値を基準値とはしないと決定すると、再度、記憶部16からの過去の測定値の読み込みからやり直す(ステップ1)。
以上、図14により、生体インピーダンス値の日内変化率の基準値を設定する工程を示した。
図14のフローチャートに示すような工程により、生体インピーダンス値の日内変化率の基準値が設定されると、次に、この基準値を利用して、被検者が現在、むくみの状態にあるか否かを判定する。
図15は、この判定のための工程の一例を示すフローチャートである。
このフローチャートが実行される前提として、現在日の生体インピーダンス値が、朝の時間帯(又は起床時)と夕方の時間帯(又は就寝前)において測定されており、これら測定値(現在日の朝の時間帯(又は起床時)の生体インピーダンス値の測定値と、現在日の夕方の時間帯(又は就寝前)の生体インピーダンス値の測定値)が記憶部16に記憶されているものとする。
図15に示すフローチャートの工程は、モード切替キー6bによりむくみ判定モードを選択した上で、判定キー6eを押すことで開始される。
図15のフローチャートに従って説明すると、まず、記憶部16に記憶されている現在日の朝の時間帯(又は起床時)の生体インピーダンス値の測定値と、現在日の夕方の時間帯(又は就寝前)の生体インピーダンス値の測定値)とが、記憶部16から読み込まれ、現在日の生体インピーダンス値の日内変化率が算出される(ステップ1)。
次に、記憶部16に記憶されている、生体インピーダンス値の日内変化率の基準値を記憶部16から読み出す(ステップ2)。
次に、現在日の生体インピーダンス値の日内変化率と基準値とを比較する(ステップ3)。
そして、現在日の日内変化率が基準値よりも大きいか、もしくは等しければ、被検者にむくみは認められないと判定し、表示部5に「正常」との表示がなされる(ステップ4)。
一方、現在日の日内変化率が基準値よりも小さければ、被検者はむくみ状態にあると判定し、表示部5に「むくみぎみ」との表示がなされる(ステップ5)。
図16は、図15のステップ5に対応した、表示部5の表示状態を示す図である。図16における「測定値」とは、測定された現在日の生体インピーダンス値の変化率のことである。図16の表示状態をより詳細に説明する。例えば、起床時に右脚のインピーダンス値が測定され、その日の夕方に再度右脚のインピーダンス値が測定されたとする。起床時の測定値が227オームで、夕方の測定値が208オームであったとする。するとその日の日内変化率(夕方のインピーダンス値÷起床時のインピーダンス値)は、91.6%となる。基準値が95%であるので、その日の日内変化率が基準値よりも低いことになり、むくみが生じていると判定され、判定結果として「むくみぎみ」と表示されている。
なお、仮に、起床時の測定値が236オームで、夕方の測定値が233オームであったとすれば、その日の日内変化率(夕方のインピーダンス値÷起床時インピーダンス値)は、98.7%である。基準値が95%であるから、その日の日内変化率が基準値よりも高いことになり、むくみが生じていないと判定され、判定結果としては「正常」と表示される。
なお、図16のような表示よりもさらに詳細に判定結果を表示するようにしてもよい。
図17は、むくみの度合いをより詳細に判定したときの、表示器5の表示状態を示す図である。図17の表示では、むくみの度合いを4段階に分類している。そして、図17では、むくみ度が「やや多い」との判定結果が示されている。
このように判定結果のランクをより詳細に分類すると、被検者の種健康状態を、より詳細に判定することができ、より適正な健康管理を行うことができる。
以上、被検者の健康状態の一つであるである、むくみの有無がどのように判定されるのかを、図14、15、16、17を参照しつつ説明した。
なお、むくみの度合いと疲労度とは、密接に関係するので、図15のフローチャートと同様のフローチャート、又は、図15のフローチャートと類似のフローチャートによって、疲労度を判定するようにしてもよい。
次に他の例として、被検者の健康状態判定項目の一つであるである、減量傾向度がどのように判定されるのかを、図18、19、20を参照しつつ説明する。
前述したとおり、被検者の健康状態を判定するには、過去に測定された体重値や生体インピーダンス値に基づいて基準値を設定する必要がある。ここでの減量傾向度の判定においては、過去に測定された体重値に基づいて基準値を設定する。
図14のフローチャートを参照しつつ、過去に測定された生体インピーダンス値に基づいて、生体インピーダンス値の日内変化率の基準値を設定するための工程を説明した。図14のフローチャートに示す工程と同様の工程により、体重値の日内変化率の基準値を設定することができる。体重値の日内変化率の基準値の設定のためには、もちろん、測定対象項目が生体インピ−ダンス値ではなく、体重値でなければならない。
より詳細に説明すると、体重値の日内変化率の基準値を設定するには、まず、記憶部16から、過去の測定による体重値の測定値を読み込み、読み込んだ測定値から、複数の過去の日内変化率を求める。次に、このようにして求めた複数の過去の日内変化率の最頻値、中央値、平均値のいずれを基準値とするかを被検者に選択させる。そして、被検者が選択した値を基準値として算出し、この算出結果を基準値として記憶部16に記憶させるのである。
このように、図14に示すフローチャートと同様の工程によって体重値の日内変化率の基準値が設定されると、次に、この基準値を利用して、被検者が現在、減量傾向の状態にあるか否かを判定する。
図18は、この判定のための工程の一例を示すフローチャートである。
このフローチャートが実行される前提として、現在日の体重値が、朝の時間帯(又は起床時)と夕方の時間帯(又は就寝前)において測定されており、これら測定値(現在日の朝の時間帯(又は起床時)の体重値の測定値と、現在日の夕方の時間帯(又は就寝前)の体重値の測定値)が記憶部16に記憶されているものとする。
図18に示すフローチャートの工程は、モード切替キー6bにより減量傾向度判定モードを選択した上で、判定キー6eを押すことで開始される。
図18のフローチャートに従って説明すると、まず、記憶部16に記憶されている現在日の朝の時間帯(又は起床時)の体重値の測定値と、現在日の夕方の時間帯(又は就寝前)の体重値の測定値とが、記憶部16から読み込まれ、現在日の体重値の日内変化率が算出される(ステップ1)。
次に、記憶部16に記憶(設定)されている、体重値の日内変化率の基準値を記憶部16から読み出す(ステップ2)。
次に、算出された現在日の体重値の日内変化率(ΔW)と基準値(ΔWs)とを比較する(ステップ3)。
そして、現在日の体重値の日内変化率(ΔW)が基準値(ΔWs)よりも大きいか、もしくは等しければ、被検者に減量傾向は認められないと判定し、表示部5に「変化なし」との表示がなされる(ステップ4)。
一方、現在日の体重値の日内変化率(ΔW)が基準値(ΔWs)よりも小さければ、被検者は減量傾向にあると判定し、表示部5に「減量ぎみ」との表示がなされる(ステップ5)。
図19は、図18のステップ5に対応した、表示部5の表示状態を示す図である。図19における「測定値」とは、現在日の体重値の日内変化率(ΔW)のことである。図19の表示状態をさらに詳細に説明すると、基準値が70%であり、現在日の体重値の日内変化率(ΔW=就寝前の体重値÷起床時の体重値)が69%であり、その結果「減量ぎみ」との判定結果が表示されているのである。
なお、図19のような表示よりもさらに詳細に判定結果を表示するようにしてもよい。
図20は、減量傾向をより詳細に判定したときの、表示器5の表示状態を示す図である。図20の表示では、減量傾向の度合いを4段階に分類している。そして、図20では、減量傾向が「やや多い」との判定結果が示されている。このように判定結果のランクをより詳細に分類すると、被検者の種健康状態を、より詳細に判定することができ、より適正な健康管理を行うことができる。
以上、被検者の健康状態の一つであるである、減量傾向度がどのように判定されるのかを、図18、19、20を参照しつつ説明した。
以上、被検者の生体インピーダンス値 及び/又は 体重値の測定値に基づいて、被検者の健康状態(脱水状態、飲み過ぎ度、肥満傾向(食べ過ぎ度)、むくみ、疲労度、減量傾向度など)を判定する判定装置 及び 判定プログラムの例を説明した。
しかし、健康状態をより的確に判定するために、被検者の生体インピーダンス値や体重値のみならず、被検者の身体特定情報をも、健康状態判定の基礎として用いてもよい。身体特定情報とは、例えば、被検者の性別、身長、年令など、被検者の個人的な身体に関する情報である。この身体特定情報を健康状態判定の基礎とすることにより、被検者の健康状態をより的確に判定することが期待できる。
身体特定情報を被検者の健康状態判定の基礎とするためには、例えば、健康状態判定装置の操作部6を、身体特定情報を入力するための入力手段として利用すればよい。
以上、本願発明の実施例を図面を参照しつつ説明した。