JP4508473B2 - カムシャフトの高周波焼入方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の構成部品であるカムシャフトの高周波焼入方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
第7図は、内燃機関の構成部品であるカムシャフト1を示すものであって、このカムシャフト1は、同一の軸線αを有する互いに同軸状の複数のジャーナル部2と、互いに隣り合うジャーナル部2の間に配設された複数のカム部3とをそれぞれ備えている。上述のジャーナル部2は、第8図に示すように前記軸線α(ジャーナル部2の中心軸)に直交する面上における断面形状は円形であるが、カム部3の断面形状は円形ではなく、図9(a)及び(b)に示すように一方側に偏倚して突出する部分M,Nを有する形状であるのが一般的である。なお、Mは線対称の突出部分、Nは非線対称の突出部分である。
【0003】
ところで、上述のジャーナル部2及びカム部3については、通常、耐摩耗性の向上等の目的のために焼入処理を施すようにしている。従来においては、カム部3の高周波焼入(カム部輪郭焼入)を次のようにして行っている。まず、図10(a)及び(b)に示すように、高周波電源(高周波発振器)4に接続された断面円形の高周波誘導加熱コイル5の中空部P内に焼入対象であるカム部3を挿入して、高周波誘導加熱コイル5の軸線βと、カムシャフト1の軸線αとを互いに一致させた状態でカム部3を図外のワーク保持治具にて保持する。次いで、このような状態の下で、カムシャフト1を図外の回転駆動機構により軸線αを中心に回転させながら、高周波誘導加熱コイル5にてカム部3を所要時間にわたり所要の加熱温度に高周波誘導加熱する。そして、誘導加熱が終了された直後に、或いは、誘導加熱終了時点から所定の時間が経過した後に、中空パイプから成る高周波誘導加熱コイル5の内周面に形成された多数の焼入冷却液噴射孔6(図10(b)参照)から焼入冷却液をカム部3の外周表面に所要時間にわたり噴射してカム部3の外周表面を急速冷却することにより焼入(カム部輪郭焼入)するようにしている。
【0004】
また、ジャーナル部2の高周波焼入に関しても、上述の如きカム部3の高周波焼入方法と同様の高周波焼入方法を施行している。
【0005】
しかし、従来のように断面円形の高周波誘導加熱コイル5の軸線βとカムシャフト1の軸線αとを互いに一致させた状態でカムシャフト1に回転を与えて焼入を行うと、カム部3の外周表面(輪郭面)3aのうちのカムヒール側部分3bと高周波誘導加熱コイル5の内周面5aとの間の距離L1 と、カム部3の外周表面3aのうちのカムトップ側部分3cと高周波誘導加熱コイル5の内周面5aとの間の距離L2 との関係が、L1 <L2 となるため、カム部3の外周表面3aに形成される焼入硬化層Sの深さは、図11(a)及び(b)に示す如くカムヒール側部分3bに比べてカムトップ側部分3cの方がより深くなる傾向となり、これに起因して焼き割れが発生し易くなる。
【0006】
そこで、従来では、カム部3の外周表面3aに沿って均一な焼入硬化層を形成させるために、図12(a)及び(b)に示すようにカム部3の外周表面(カム形状面)3cに対向する内周面5aを前記外周表面3aに相似する形状にして成る高周波誘導加熱コイル5’を用いるようにしている。かくして、カム部3の外周表面3aと高周波誘導加熱コイル5’の内径面5a’との間の間隔を前記外周表面3aの全周において均一となるように設定し、カムシャフト1を回転させることなく静止状態の下で、所要時間にわたり高周波誘導加熱を行って、加熱終了直後に、或いは、加熱終了時点から所定時間を経過した後に、カム部3の外周表面3aに焼入冷却液噴射孔6’から焼入冷却液を所定時間にわたり噴射してカム部3の外周表面3aを急速冷却することにより焼入処理を施すようにしているのが実状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カム部の外周表面3aに相似する形状の内周面5a’を有する高周波誘導加熱コイル5’を製作するのは非常に面倒であり、制作費が高価になってしまうという問題点がある。
【0008】
また、図10(a)に示すような断面円形の高周波誘導加熱コイル5或いは図12(a)に示すような高周波誘導加熱コイル5’を用いてカム部3の高周波誘導加熱を行う場合、高周波誘導加熱コイル5又5’をジャーナル部2を通過させてカム部3に対応する位置に移動させるためには、高周波誘導加熱コイル5又は5’を分割開閉可能な構成(いわゆる割型コイルの構成)にしなければならない。すなわち、図13に明示するように、カムシャフト1のジャーナル部2の半径Rは、カムシャフト1の軸線αからカムトップまでの距離Lよりも大きいため、この高周波誘導加熱コイル5’の中空部内をジャーナル部2が通過し得るように、高周波誘導加熱コイル5’を図14に示す如く半コイル部分10a,10bに2分割してその一方のコイル部分10aを軸11を中心として回動可能に構成する必要がある。しかし、分割開閉可能な高周波誘導加熱コイル5’は、構造が複雑となり、その製作費が高くなってしまう問題点がある。
【0009】
さらに、分割開閉可能な高周波誘導加熱コイル5’を備える高周波焼入装置(図示せず)には、高周波誘導加熱コイル5’を分割開閉するための機構、並びに、高周波誘導加熱コイル5’を分割開閉させる際に電気接点部分12a,12bを接続・分離するための機構が必要となることから、焼入装置の構造が複雑になるという欠点がある。また、ジャーナル部2を焼入するためには、カム部焼入専用の高周波誘導加熱コイル5’とは別のジャーナル部焼入専用の高周波誘導加熱コイルが必要となるため、カムシャフト1の高周波焼入に必要な高周波誘導加熱コイルの数が増えてしまうという不具合がある。
【0010】
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、同一の断面円形の高周波誘導加熱コイルを用いてカムシャフトのカム部の外周表面の焼入(カム部輪郭焼入)、並びに、ジャーナル部の外周表面の均一焼入を行うことができるような高周波焼入方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決する手段】
上述の目的を達成するために、本発明では、カムシャフトのカム部の外周表面を高周波誘導加熱コイルにて高周波誘導加熱して冷却することにより、前記カム部の外周表面に沿った領域に焼入硬化層を形成するようにしたカムシャフトの高周波焼入方法において、断面円形の高周波誘導加熱コイルを用い、前記断面円形の高周波誘導加熱コイルの軸線を前記カムシャフトの軸線に対してオフセットした位置に配置して前記カム部の外周表面の各部と前記断面円形の高周波誘導加熱コイルの内周面との間の間隔を所要の距離に保持し、この状態の下で、前記カムシャフトを回転させることなく静止状態のまま前記カム部の外周表面を高周波誘導加熱して冷却を行うようにしている。
また、本発明は、前記カムシャフトのジャーナル部の外周表面を、前記カム部の外周表面を高周波誘導加熱する前記断面円形の高周波誘導加熱コイルと同一のもので高周波誘導加熱して冷却を行うことにより、高周波焼入するようにしている。
また、本発明では、前記ジャーナル部における焼入幅が前記カム部の幅よりも広い場合には、前記断面円形の高周波誘導加熱コイルを前記カムシャフトの軸線に沿って平行に前記ジャーナル部の焼入対象領域の一端位置と他端位置との間を所要回数にわたり移動させることにより、前記ジャーナル部の焼入対象領域の全体を高周波誘導加熱して冷却を行うようにしている。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、カムシャフトのカム部輪郭焼入及びジャーナル部の焼入を連続する工程において順次に施工する高周波焼入方法において、カムシャフトのジャーナル部の外周表面より所要の距離をもって巻回され、かつ、カム部の幅に所要の幅の断面円形の高周波誘導加熱コイルを用いてカム部を輪郭焼入する場合、カムシャフトの軸線と断面円形の高周波誘導加熱コイルの軸線(中心軸)を互いに一致させた状態で高周波誘導加熱コイルをカム部に対応配置し、続いて、断面円形の高周波誘導加熱コイルの軸線をカムシャフトの軸線より所要距離だけオフセットさせることにより、カムシャフトの外周表面の各部と断面円形の高周波誘導加熱コイルの内周面との間の間隔(隙間)を所定距離に保持しておいて、その状態の下で、カムシャフトを回転することなく高周波誘導加熱を行う。
【0013】
高周波誘導加熱の終了後に、カム部の外周表面に焼入冷却液を噴射して冷却することによりカム部を輪郭焼入を完了する。この際の冷却は、カムシャフトの軸線に対して断面円形の高周波誘導加熱コイルがオフセットされた状態での位置関係を保ったまま、カムシャフトを回転させることなく、高周波誘導加熱コイルに設けられた焼入冷却液噴射孔より焼入冷却液をカム部の外周表面に噴射してもよいし、或いは、カムシャフトの軸線と高周波誘導加熱コイルの軸線とを互いに一致させた状態の下で、カムシャフトを回転させながら、冷却するようにしてもよい。
【0014】
ジャーナル部を焼入する場合は、カムシャフトの軸線と断面円形の高周波誘導加熱コイルの軸線とを互いに一致させ、カムシャフトに回転を与えて加熱し、加熱終了後上記カム部の焼入時と同様な冷却手段をもってジャーナル部表面に焼入することができる。また、加熱時の高周波電流の周波数を30KHz以下の範囲として上記カム部並びにジャーナル部を誘導加熱するようにしている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。なお、第1図〜図6において、図7〜図14と同様の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0016】
まず、図1及び図2を参照して本発明の一実施形態に係るカムシャフトの高周波焼入方法について述べる。なお、本実施形態では、カムシャフト1のカム部3の外周表面(カム面)3aを焼入対象としており、この外周表面3aの輪郭は非線対称の形状を有するカム部3を輪郭焼入するようにしている。
【0017】
本実施形態においては、カムシャフト1のカム部3を焼入処理すべくカム部3の外周表面3aを高周波誘導加熱する手段として、ジャーナル部2の径R1 (カム部3の最大直径R2 よりも大きい)よりも僅かに大きな直径R3 の内周面5aを有する断面円形の高周波誘導加熱コイル5を用いるようにしている(図1(a),(b)参照)。
【0018】
カム部3の外周表面3aを高周波焼入(輪郭焼入)するに当たっては、まず、断面円形の高周波誘導加熱コイル5の中空部P内に被焼入体であるカムシャフト1を挿入配置して、高周波誘導加熱コイル5の軸線βとカムシャフト1の軸線αとを互いに一致させた状態でカムシャフト1の両端を図外の支持機構にて支持する。そして、図外のコイル移動機構により高周波誘導加熱コイル5を軸線α方向に沿って移動させることにより、高周波誘導加熱コイル5を焼入対象のカム部3に対応する位置に対応配置する。なお、この場合、高周波誘導加熱コイル5の幅W0 はカム部3の幅W1 よりも僅かに広く設定されているため、カム部3は高周波誘導加熱コイル5により完全に取り囲まれた状態となる(図1(b)参照)。
【0019】
このようなセッティングを行った後に、図外のコイル移動機構により周波誘導加熱コイル5を軸線α方向に対して直交する水平方向に距離Xだけ移動させると共に、軸線方向に対して直交する垂直方向に距離Yだけ移動させる(図2(a)参照)。これにより、断面円形の高周波誘導加熱コイル5の軸線αをカムシャフト1の軸線βに対して所定距離だけオフセットした位置(偏倚位置若しくは偏心位置)に配置し、カム部3の外周表面3aの各部と高周波誘導加熱コイル5の内周面5aとの間の間隔を所要の距離に保持する。
【0020】
次いで、上述のような相対的位置関係を保った状態の下で、高周波誘導加熱コイル5に高周波電源4から高周波電流を供給し、カムシャフト1を回転させることなく静止状態のままカム部3の外周表面3aを所要時間にわたり高周波誘導加熱する。そして、その直後に高周波誘導加熱コイル5を非通電状態にすると共に、高周波誘導加熱が終了した直後に、或いは、加熱終了後の所要時間経過後に、図外の冷却液供給手段により焼入冷却液を高周波誘導加熱コイル5に設けられた多数の焼入冷却液噴射孔6からカム部3の外周表面3aに向けて噴射して冷却(急冷)する。なお、冷却時においては、高周波誘導加熱コイル5とカムシャフト1との相対的な位置関係を図1に示す位置関係に戻してカムシャフト1を回転させながら冷却するようにしてもよい。
【0021】
以上のような一連の操作にて、カム部3aの外周表面3aに焼入硬化層が形成され、カム部3の輪郭焼入が完了する。
【0022】
上述のような高周波焼入方法を施行することによってカム部3aの外周表面3aに得られる焼入硬化層パターンは、図3及び図4に示す如く、カムトップ側部分3cにおける焼入硬化層の深さとカムヒール側部分3bにおける焼入硬化層の深さとがほぼ均等であって、しかもカム部3の全周にわたって均一な焼入硬化層パターンS1 ,S2 となる。
【0023】
次に、図1及び図2に示す断面円形の高周波誘導加熱コイル5を用いてカムシャフト1のカム部3を高周波焼入した後に、後続の工程において、同一の断面円形の高周波誘導加熱コイル5を用いてカムシャフト1のジャーナル部2を高周波焼入する場合の高周波焼入方法について図5及び図6を参照して説明する。
【0024】
まず、ジャーナル部2の幅W2 がカム部3の幅W1 に等しい場合(図5(b)参照)には、カムシャフト1の軸線αと高周波誘導加熱コイル5の軸線βを互いに一致させた状態にして、高周波誘導加熱コイル5をカム部3からジャーナル部2に軸線α,βに沿って移動させ、高周波誘導加熱コイル5の中空部内にジャーナル部2を配置する。次いで、カムシャフト1を軸線αを中心に回転させながらジャーナル部2の外周表面2aを高周波誘導加熱コイル5にて所要時間にわたって高周波誘導加熱を行い、加熱終了直後、或いは、加熱終了時から所要時間の経過後に、高周波誘導加熱コイル5を非通電状態にすると共に、図外の冷却液供給手段により焼入冷却液を高周波誘導加熱コイル5の焼入冷却液噴射孔12からジャーナル部2の外周表面2aに向けて噴射して冷却を行う。これにより、ジャーナル部2の高周波焼入を完了する。
【0025】
また、図6に示すように、ジャーナル部2の幅W3 がカム部3の幅W1 よりも大きい場合には、次のようにしてジャーナル部2を高周波焼入する。まず、図6(a)に示すように、高周波誘導加熱コイル5をジャーナル部2の一端側の所定の位置に配置し、カムシャフト1を図外の回転機構によって回転させながら高周波誘導加熱を開始する。そして、ジャーナル部2の外周表面を高周波誘導加熱しながら高周波誘導加熱コイル5を軸線αに沿ってジャーナル部2の他端に向かって移動させ、高周波誘導加熱コイル5がジャーナル部2の他端側の所定の位置に達したら(図6(b)参照)、高周波誘導加熱を開始した端部の側に向かって高周波誘導加熱コイル5を移動(戻り移動)させつつ誘導加熱誘導加熱を継続し、図6(a)〜(d)に示す操作を順次に所要回数だけ繰り返し施行する。このような操作を必要回数だけ行ってジャーナル部2の外周表面2aを往復加熱した後に、高周波誘導加熱コイル5を非通電状態にすると共に、高周波誘導加熱コイル5の往復移動を継続させながら高周波誘導加熱コイル5の焼入冷却液噴射孔6より焼入冷却液を加熱状態のジャーナル部2の外周表面2aに噴射してジャーナル部2の外周表面2aの全域を冷却(急冷)する。これにより、カム部焼入用の高周波誘導加熱コイル5を使用してカム部3よりも幅広なジャーナル部2を高周波焼入する。
【0026】
次に、本発明の高周波焼入方法の実施例について具体的に述べると、次の如くである。
実施例
(1) 焼入対象(被焼入部)の寸法
(A) カム部
(a) べース円の直径 : 150mm
(b) カムリフト量 : 40mm
(c) カム幅 : 70mm
(B) ジャーナル部
(a) 直径 : 190mm
(b) ジャーナル幅 : 150mm
(2) 高周波焼入条件
(A) カム部
(a) 周波数 : 3.8KHz
(b) 出力 : 160KW
(c) 加熱時間 : 13sec
(d) 空冷時間 : 1sec
(e) 冷却時間 : 30sec
(f) 焼入冷却液 : ユーコンクエンチャントIn(10%水溶液)
(g) 焼入冷却液の流量 : 180L/min
(h) 焼入冷却液の液温 : 30℃
(B) ジャーナル部
(a) 周波数 : 4.0KHz
(b) 出力 : 180KW
(c) 加熱時間 : 20sec
(d) 空冷時間 : 1sec
(e) 冷却時間 : 140sec
(f) 焼入冷却液 : ユーコンクエンチャントIn(10%水溶液)
(g) 焼入冷却液の流量 : 200L/min
(h) 焼入冷却液の液温 : 30℃
【0027】
以上、本発明の実施形態につき述べたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。例えば、既述の実施形態においては断面形状が非対称なカム部3を高周波焼入する場合の例を示したが、線対称なカム部についても本発明の高周波焼入方法を適用して高周波焼入することが可能である。
【0028】
また、以上においては、高周波焼入についての説明のみを行ったが、本発明の高周波焼入方法は、カム部3やジャーナル部2の高周波焼戻にも適用し得る。従って、本明細書において、「高周波焼入」の概念の中に「高周波焼戻」の概念も含まれるものとする。
【0029】
そして、複数のカム部3を有するカムシャフト1に対しても複数の同一形状の円形コイルを使用して、同位相のカム部3に対しては複数の円形コイルを同一方向にオフセット(偏倚)させ、位相が異なるカム部であれば複数の断面円形の高周波誘導加熱コイル5を各々のカム部3の位相に合わせてオフセットさせることにより、高周波焼入(高周波焼戻を含む)を行うことが可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1に記載の本発明は、断面円形の高周波誘導加熱コイルを用い、断面円形の高周波誘導加熱コイルの軸線をカムシャフトの軸線に対してオフセットした位置に配置してカム部の外周表面の各部と断面円形の高周波誘導加熱コイルの内周面との間の間隔を所要の距離に保持し、この状態の下で、カムシャフトを回転させることなく静止状態のままカム部の外周表面を高周波誘導加熱して冷却を行うようにしたものであるから、高周波誘導加熱コイルの軸線とカムシャフトの軸線とのオフセット量(オフセット距離)を適宜に設定することによって、カム部の外周表面の全域にわたって均一な焼入硬化層パターン、すなわち、カムヒール側部分に形成される焼入硬化層の深さとカムトップ側部分に形成される焼入硬化層の深さがほぼ均等な焼入硬化層パターンを得ることができる。また、カム部を高周波焼入(輪郭焼入)するために単純な構造の断面円形の高周波誘導加熱コイルを使用しているので、分割開閉構造を備える割型コイルを使用する場合に比べて、高周波誘導加熱コイルを安価なもので済ませることができる。さらに、割型コイルの場合とは異なり高周波誘導加熱コイルの分割開閉機構及び電気接触部の押圧機構が不要となるため、本発明の高周波焼入方法を施行するための高周波焼入装置も安価なものとなるという利点がある。
【0031】
また、請求項2に記載の本発明は、カムシャフトのジャーナル部の外周表面を、カム部の外周表面を高周波誘導加熱する断面円形の高周波誘導加熱コイルと同一のもので高周波誘導加熱して冷却を行うことにより、高周波焼入するようにしたものであるから、同一の高周波誘導加熱コイルにてカム部並びにジャーナル部の両方を高周波焼入することが可能となるため、高周波誘導加熱コイルの台数を大幅に減らすことができる。
【0032】
また、請求項3に記載の本発明は、ジャーナル部における焼入幅がカム部の幅よりも広い場合には、断面円形の高周波誘導加熱コイルをカムシャフトの軸線に沿って平行にジャーナル部の焼入対象領域の一端位置と他端位置との間を所要回数にわたり移動させることにより、ジャーナル部の焼入対象領域の全体を高周波誘導加熱して冷却を行うようにしたものであるから、ジャーナル部における焼入幅がカム部の幅よりも広くても同一の高周波誘導加熱コイルを用いてカム部及びジャーナル部を高周波誘導加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高周波焼入方法を説明するための図面であって、図1(a)はカムシャフトのカム部を断面円形の高周波誘導加熱コイル内に軸線を互いに一致させて配置した状態を示す側面図、図1(b)は同上の断面図である。
【図2】本発明の高周波焼入方法を説明するための図面であって、図2(a)はカムシャフトのカム部を断面円形の高周波誘導加熱コイル内においてオフセットした位置に配置した状態を示す側面図、図2(b)は同上の断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の高周波焼入方法によりカム部の外周表面に得られる焼入硬化層パターンを示す縦断面図、図3(b)は同上の横断面図である。
【図4】図4(a)は本発明の高周波焼入方法によりカム部の外周表面に得られる焼入硬化層パターンを示す縦断面図、図4(b)は同上の横断面図である。
【図5】ジャーナル部の焼入幅がカム部の幅と同じ場合に、本発明の高周波焼入方法を施行する際の状況を説明するためのものであって、図5(a)は図1(a)と同様の側面図、図5(b)は図1(b)と同様の断面図である。
【図6】ジャーナル部の焼入幅がカム部の幅よりも大きい場合に、本発明の高周波焼入方法を施行する際の状況を説明するためのものであって、図6(a)〜(d)はジャール部を高周波誘導加熱する際の高周波誘導加熱コイルの移動状況を示すための断面図である。
【図7】カムシャフトの正面図である。
【図8】カムシャフトのジャーナル部の側面図である。
【図9】図9(a)及び(b)はカムシャフトのカム部の側面図である。
【図10】カムシャフトの外周表面を輪郭焼入するための従来の高周波焼入方法を説明するための図面であって、図10(a)は図1と同様の側面図、図10(b)は図1(b)と同様の断面図である。
【図11】図11(a)は従来の高周波焼入方法によりカム部の外周表面に得られる焼入硬化層パターンを示す縦断面図、図11(b)は同上の横断面図である。
【図12】カム部の外周表面の形状に相似する形状の内周面を有する高周波誘導加熱コイルにてカム部を高周波の外周表面を高周波誘導加熱するようにした従来の高周波誘導加熱方法を示すものであって、図12(a)は高周波誘導加熱コイルの側面図、図12(b)は同上の断面図である。
【図13】カムシャフトのジャーナル部及びカム部の寸法の違いを示すカムシャフトの正面図である。
【図14】図14(a)は、従来の高周波誘導加熱方法を施行するために用いられる分割開閉型の高周波誘導加熱コイルを示す側面図、図14(b)は同上の断面図である。
【符号の説明】
1 カムシャフト
2 ジャーナル部
2a 外周表面
3 カム部
3a カムヒール側部分
3b カムトップ側部分
3c 外周表面
4 高周波電源(高周波発振器)
5 断面円形の高周波誘導加熱コイル
5a 内周面
6 焼入冷却液噴射孔
α カムシャフトの軸線
β 高周波誘導加熱コイルの軸線
X,Y オフセット距離
Claims (3)
- カムシャフトのカム部の外周表面を高周波誘導加熱コイルにて高周波誘導加熱して冷却することにより、前記カム部の外周表面に沿った領域に焼入硬化層を形成するようにしたカムシャフトの高周波焼入方法において、断面円形の高周波誘導加熱コイルを用い、前記断面円形の高周波誘導加熱コイルの軸線を前記カムシャフトの軸線に対してオフセットした位置に配置して前記カム部の外周表面の各部と前記断面円形の高周波誘導加熱コイルの内周面との間の間隔を所要の距離に保持し、この状態の下で、前記カムシャフトを回転させることなく静止状態のまま前記カム部の外周表面を高周波誘導加熱して冷却を行うようにしたことを特徴とするカムシャフトの高周波焼入方法。
- 前記カムシャフトのジャーナル部の外周表面を、前記カム部の外周表面を高周波誘導加熱する前記断面円形の高周波誘導加熱コイルと同一のもので高周波誘導加熱して冷却を行うことにより、高周波焼入するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入方法。
- 前記ジャーナル部における焼入幅が前記カム部の幅よりも広い場合には、前記断面円形の高周波誘導加熱コイルを前記カムシャフトの軸線に沿って平行に前記ジャーナル部の焼入対象領域の一端位置と他端位置との間を所要回数にわたり移動させることにより、前記ジャーナル部の焼入対象領域の全体を高周波誘導加熱して冷却を行うようにしたことを特徴とする請求項2に記載のカムシャフトの高周波焼入方法。
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