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JP4483822B2 - 燃料噴射制御装置 - Google Patents

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JP4483822B2
JP4483822B2 JP2006103058A JP2006103058A JP4483822B2 JP 4483822 B2 JP4483822 B2 JP 4483822B2 JP 2006103058 A JP2006103058 A JP 2006103058A JP 2006103058 A JP2006103058 A JP 2006103058A JP 4483822 B2 JP4483822 B2 JP 4483822B2
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Description

本発明は、アクチュエータの伸長及び収縮により伝達室内に充填される流体を介してピストンを変位させることで開弁及び閉弁がなされる燃料噴射弁について、前記アクチュエータを伸縮操作することで燃料噴射制御を行う内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
この種の燃料噴射弁としては、例えば下記特許文献1に見られるように、コモンレール式ディーゼル機関に搭載されるピエゾインジェクタも提案されている。このピエゾインジェクタは、ピエゾインジェクタによって押される大径ピストンと、大径ピストンよりも口径の小さい小径ピストンと、ノズルニードルとを備えている。そして、大径ピストン、小径ピストン及び内壁によって区画形成される伝達室内に燃料が充填されている。また、ノズルニードルには、コモンレールから供給される高圧燃料の圧力が、噴射開口部側及びその逆側の双方に加えられており、これにより、ノズルニードルは閉弁状態となる。
そして、アクチュエータとして機能するピエゾ素子が伸長することで、大径ピストン及び伝達室内の流体を介して小径ピストンに動力が伝達され、小径ピストンが噴射開口部側に変位することで、ノズルニードルのうち上記噴射開口部の逆側に圧力を加える燃料が燃料タンク側へと流出する。これにより、噴射開口部側からの高圧燃料の圧力により、ノズルニードルが開弁する。こうした構成によれば、ピエゾ素子の微小な変位量を、大径ピストン、伝達室、小径ピストンにより、大きな変位量に変換することができ、ひいては、ピエゾ素子をアクチュエータとして用いてピエゾインジェクタの開閉を適切に行うことができる。
ただし、上記ピエゾインジェクタでは、ピエゾインジェクタの開弁時間が長くなる状況下等には、開弁指令に対する応答性が低下することが発明者らによって見出されている。
なお、上記ピエゾインジェクタに限らず、アクチュエータの伸長及び収縮により伝達室内に充填される流体を介してピストンを変位させることで開弁及び閉弁がなされる燃料噴射弁にあっては、開弁の応答性が低下するおそれのあるこうした実情も概ね共通したものとなっている。
特開2002−136156号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、アクチュエータの伸長及び収縮により伝達室内に充填される流体を介してピストンを変位させることで開弁及び閉弁がなされる燃料噴射弁を用いる場合であっても、その開弁の応答性を高く維持することのできる燃料噴射弁を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、前記アクチュエータの伸長操作による前記伝達室からの流体の漏れ量が前記アクチュエータの収縮操作による前記伝達室への流体の充填量よりも多くなる条件が成立するか否かを判断する判断手段と、前記条件が成立すると判断されるとき、前記アクチュエータを伸長させるための操作信号の出力タイミングを早める変更手段とを備え、前記判断手段は、前記燃料噴射弁による燃料噴射期間が予め定められた時間以上であるとき、前記条件が成立したと判断することを特徴とすることを特徴とする。
上記構成では、アクチュエータの伸長操作による伝達室内の流体の流出量がアクチュエータの収縮操作による伝達室への流体の充填量よりも多くなると、アクチュエータの伸長にもかかわらず、その動力を流体を介して十分にピストンに伝達することができなくなる。このため、アクチュエータを伸長させるための操作信号を出力してから燃料噴射弁が実際に開弁するまでの遅延量が、上記漏れ量と充填量とが釣り合っているときと比較して長くなるおそれがある。
この点、上記構成では、こうした状況下、操作信号の出力タイミングを早めることで、上記遅延量が長くなることを好適に補償することができ、ひいては開弁の応答性を高く維持することができる。
ここで、上記構成において、燃料噴射期間が長いときには、アクチュエータの伸長期間が長く、結果としてアクチュエータが流体を介してピストンを押す期間が長くなる。そして、アクチュエータの伸長により流体を介してピストンが押されるときには、アクチュエータの収縮期間と比較して、流体の圧力が上昇し、流体が伝達室から漏れやすくなる。このため、アクチュエータの伸長時間が長いほど、伝達室から漏れ出る流体量が増加する。
上記構成では、こうした性質に着目し、燃料噴射期間が予め定められた時間以上であることに基づき、上記条件の成立を適切に判断することができる。
請求項記載の発明は、前記アクチュエータの伸長操作による前記伝達室からの流体の漏れ量が前記アクチュエータの収縮操作による前記伝達室への流体の充填量よりも多くなる条件が成立するか否かを判断する判断手段と、前記条件が成立すると判断されるとき、前記アクチュエータを伸長させるための操作信号の出力タイミングを早める変更手段とを備え、前記判断手段は、前記燃料噴射弁による燃料の噴射周期時間が予め定められた時間以下であるとき、前記条件が成立したと判断することを特徴とする。
上記構成では、アクチュエータの伸長操作による伝達室内の流体の流出量がアクチュエータの収縮操作による伝達室への流体の充填量よりも多くなると、アクチュエータの伸長にもかかわらず、その動力を流体を介して十分にピストンに伝達することができなくなる。このため、アクチュエータを伸長させるための操作信号を出力してから燃料噴射弁が実際に開弁するまでの遅延量が、上記漏れ量と充填量とが釣り合っているときと比較して長くなるおそれがある。
この点、上記構成では、こうした状況下、操作信号の出力タイミングを早めることで、上記遅延量が長くなることを好適に補償することができ、ひいては開弁の応答性を高く維持することができる。
ここで、上記構成において、アクチュエータの収縮状態時には、伝達室の流体の圧力が低いため、流体が伝達室へと流入しやすい。一方、燃料噴射弁による燃料の噴射周期時間が短いほど、アクチュエータが収縮状態である時間が短いことを意味する。このため、噴射周期時間が短いほど、伝達室への流体の充填量が減少することを意味する。上記構成では、こうした性質に着目し、噴射周期時間が予め定められた時間以下であることに基づき、上記条件の成立を適切に判断することができる。
請求項記載の発明は、前記アクチュエータの伸長操作による前記伝達室からの流体の漏れ量が前記アクチュエータの収縮操作による前記伝達室への流体の充填量よりも多くなる条件が成立するか否かを判断する判断手段と、前記条件が成立すると判断されるとき、前記アクチュエータを伸長させるための操作信号の出力タイミングを早める変更手段とを備え、前記判断手段は、前記アクチュエータの収縮時間に対する該アクチュエータの伸長時間の比が閾値以上となるとき、前記条件が成立したと判断することを特徴とする。
上記構成では、アクチュエータの伸長操作による伝達室内の流体の流出量がアクチュエータの収縮操作による伝達室への流体の充填量よりも多くなると、アクチュエータの伸長にもかかわらず、その動力を流体を介して十分にピストンに伝達することができなくなる。このため、アクチュエータを伸長させるための操作信号を出力してから燃料噴射弁が実際に開弁するまでの遅延量が、上記漏れ量と充填量とが釣り合っているときと比較して長くなるおそれがある。
この点、上記構成では、こうした状況下、操作信号の出力タイミングを早めることで、上記遅延量が長くなることを好適に補償することができ、ひいては開弁の応答性を高く維持することができる。
ここで、上記構成において、アクチュエータの伸長期間が長いときには、アクチュエータが流体を介してピストンを押す期間が長くなる。そして、アクチュエータの伸長により流体を介してピストンが押されるときには、アクチュエータの収縮期間と比較して、流体の圧力が上昇し、流体が伝達室から漏れやすくなる。このため、アクチュエータの伸長時間が長いほど、伝達室から漏れ出る流体量が増加する。一方、アクチュエータの収縮状態時には、伝達室の流体の圧力が低いため、流体が伝達室へと流入しやすい。このため、アクチュエータが収縮状態である時間が短いほど、伝達室への流体の充填量が減少することを意味する。
上記構成では、こうした性質に着目し、アクチュエータの収縮時間に対する伸長時間の比が閾値以上であることに基づき、上記条件の成立を適切に判断することができる。
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、前記判断手段は、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が高いほど前記閾値を低下させることを特徴とする。
一般に、燃料噴射弁に供給される燃圧が高いほど、アクチュエータの伸長に伴いピストンが変位する際に大きな力を要する傾向にある。これは、燃圧が高いほど、アクチュエータの伸長によりピストンを変位させる際の流体の圧力が高くなることを意味する。そして、流体の圧力が高いほど、伝達室から流体が漏れやすくなる。この点、上記構成では、燃圧が高いほど閾値を低下させることで、漏れ量が充填量よりも多くなる条件の成立の有無をより適切に判断することができる。
請求項記載の発明は、請求項記載の発明において、前記アクチュエータがピエゾ素子であり、前記判断手段は、前記ピエゾ素子の電圧が高いほど前記閾値を低下させることを特徴とする
ピエゾ素子は、その電圧が高いほど伸長量が大きいため、電圧が高いほど伝達室内の流体に加わる圧力が高いと考えられる。また、ピエゾ素子に加わる力が大きいほどピエゾ素子の電圧が高くなるために、ピエゾ素子の電圧が高いほど、ピエゾ素子に加わる力を定める伝達室内の流体の圧力が高いと考えられる。そして、流体の圧力が高いほど、伝達室から流体が漏れやすくなる。この点、上記構成では、ピエゾ素子の電圧に基づき、上記条件の成立の有無を適切に判断することができる。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記燃料噴射弁には、前記ピストンに前記アクチュエータの伸長方向の弾性力を加える弾性部材が備えられており、前記伝達室には、外部から所定圧の流体が流入可能とされてなることを特徴とする。
上記構成では、ピストンにアクチュエータの伸長方向の弾性力が加わるために、アクチュエータが収縮した状態では、伝達室内の圧力が低下する。このため、アクチュエータが収縮した状態では、伝達室内に流体が流入することで、アクチュエータの伸長時における伝達室からの流体の漏れを補償することが可能となっている。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記燃料噴射弁には、高圧燃料を蓄える蓄圧室からの燃料が供給され、前記燃料噴射弁は、前記ピストンよりも噴射開口部側に設けられるノズルニードルを備え、前記ノズルニードルには、前記噴射開口部側及びその逆側に向かう高圧燃料の圧力が印加され、前記噴射開口部側に向かう圧力を加える高圧燃料は、前記ピストンが前記噴射開口部側に変位することで、前記蓄圧室へ燃料を供給する燃料タンク側に流出するよう構成されてなることを特徴とする。
上記構成では、アクチュエータが伸長することでピストンが噴射開口部側に変位すると、ノズルニードルを噴射開口部側に向けて押す高圧燃料が、燃料タンク側へと流出する。このため、ノズルニードルを噴射開口部の逆側に押す力が優勢となり、ノズルニードルが逆側に向けて変位することで、燃料噴射弁が開弁する。
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる燃料噴射制御装置をディーゼル機関に搭載される燃料噴射制御装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるエンジンシステムの全体構成を示す。図示されるように、燃料タンク2の燃料は、高圧燃料供給ポンプ4によって汲み上げられ、コモンレール6に加圧供給される。コモンレール6で高圧状態で蓄えられた燃料は、高圧燃料通路8を介して、4気筒のディーゼル機関の各々の気筒に設けられるピエゾインジェクタPIに供給される。また、ピエゾインジェクタPIの各々は、高圧燃料通路8を介して供給された燃料を、リーク燃料として燃料タンク2に戻すための低圧燃料通路10に接続されている。なお、低圧燃料通路10には、チェック弁12が設けられており、低圧燃料通路10内の圧力が所定圧以上となることで開弁し、低圧燃料通路10内の燃料が燃料タンク2へと戻される。
上記エンジンシステムは、更に、コモンレール6内の燃圧を検出する燃圧センサ14や、ディーゼル機関のクランク軸の回転角度を検出するクランク角センサ16等、ディーゼル機関の運転状態を検出する各種センサを備えている。また、エンジンシステムは、ユーザによるアクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサ18を備えている。
更に、エンジンシステムは、制御装置20を備えている。制御装置20は、上記各種センサの検出値に基づき、ピエゾインジェクタPI等のディーゼル機関の各種アクチュエータを操作することで、ディーゼル機関の出力を制御する。
ここで、図2に基づき、ピエゾインジェクタPIの構成について説明する。
ピエゾインジェクタPIのボディ30の先端には、噴射開口部32が形成されている。また、ボディ30の先端部には、円柱状のニードル収納部34が設けられている。そして、ニードル収納部34には、その軸方向に変位可能なノズルニードル36が収納されている。ノズルニードル36は、ボディ30の先端部に形成されている環状のニードルシート部38に着座することで、ニードル収納部34を外部(ディーゼル機関の燃焼室)から遮断する一方、ニードルシート部38から離座することで、ニードル収納部34を外部と連通させる。また、ニードル収納部34には、上記高圧燃料通路8へ供給された高圧燃料が供給される。
ノズルニードル36の背面側(ニードルシート部38と対向する側の反対側)は、背圧室40に対向している。背圧室40には、高圧燃料通路8からの燃料がニードル収納部34を介して供給される。また、ノズルニードル36は、スプリング42によって、ニードルシート部38側へ押されている。
背圧室40は、バルブ44を介して上記低圧燃料通路10に連通可能とされている。バルブ44は、その背面側が環状のバルブシート部46に着座することで、低圧燃料通路10と背圧室40とを遮断し、ボディ30の先端側へ変位することで、低圧燃料通路10と背圧室40とを連通させる。なお、バルブ44には、スプリング48によってバルブシート部46側の弾性力が加えられている。
バルブ44のうちバルブシート部46側は、ニードル側ピストン49と対向している。ニードル側ピストン49の後部側は、ニードル側ピストン49よりも径の大きなピエゾ側ピストン52の先端と対向している。そして、ニードル側ピストン49、ピエゾ側ピストン52、及びボディ30の内周面によって伝達室54が区画形成されている。伝達室54には、燃料が充填されている。
一方、ピエゾ側ピストン52は、そのボディ30の後方側がピエゾ素子PEと連結されている。ちなみに、ピエゾ素子PEは、ピエゾ側ピストン52と対向する側の裏面側がボディ30に固定されている。
ピエゾ素子PEは、複数の圧電素子が積層されてなる積層体(ピエゾスタック)を備え、これが逆圧電効果により伸縮することによりアクチュエータとして機能する。具体的には、ピエゾ素子PEは、容量性の負荷であり、充電されることで伸長し、放電されることで収縮する。本実施形態にかかるピエゾ素子PEは、PZT等の圧電材料の圧電素子を利用したものである。
ピエゾ素子PEへ電流が供給されずピエゾ素子PEが収縮状態にあるときには、高圧燃料通路8の高圧燃料により力が及ぼされることから、バルブ44はボディ30の後方に位置することとなる。このとき、バルブ44により背圧室40と低圧燃料通路10とは遮断されている。このため、背圧室40内の燃料の圧力及びニードルスプリング42によって、ノズルニードル36は、ボディ30先端側へと押され、ニードルシート部38に着座した状態(閉弁状態)となる。
一方、ピエゾ素子PEに電流が供給されることでピエゾ素子PEが伸長状態となると、バルブ44は、ボディ30の先端側へ移動する。これにより、背圧室40が低圧燃料通路10と連通される。その結果、背圧室40内の燃料の圧力が低下し、ニードル収納部34内の高圧燃料がノズルニードル36をボディ30の後方へ押す力が、背圧室40内の燃料及びニードルスプリング42がノズルニードル36をボディ30の前方へ押す力よりも所定以上大きくなると、ノズルニードル36は、ニードルシート部38から離座した状態(開弁状態)となる。
図3に、制御装置20の構成を示す。
図示されるように、バッテリBからECU20に供給される電力は、まず昇圧回路であるDC/DCコンバータ21に供給される。DC/DCコンバータ21は、バッテリBの電圧(例えば「12V」)を、ピエゾ素子PEを充電するための高電圧(例えば「200〜300V」)に昇圧する。
DC/DCコンバータ21の昇圧電圧は、コンデンサ22に印加される。コンデンサ22は、その一方の端子がDC/DCコンバータ21側に接続され、また他方の端子が接地されている。そして、DC/DCコンバータ21の昇圧電圧がコンデンサ22に印加されると、コンデンサ22はピエゾ素子PEに供給するための電荷を蓄える。ちなみに、コンデンサ22は、ピエゾ素子PEへの一回の充電処理によってはその電圧がほとんど変化しないような容量(例えば「数100μF」程度)を有するものであることが望ましい。
コンデンサ22のうちの高電位となる端子側、すなわち、DC/DCコンバータ21側は、充電スイッチ23と充放電コイル24との直列接続体を介して、ピエゾ素子PEの高電位となる端子側に接続されている。そして、ピエゾ素子PEの低電位となる端子側は、接地されている。
充電スイッチ23と充放電コイル24との間には、放電スイッチ25の一方の端子が接続されており、放電スイッチ25の他方の端子は、接地されている。
放電スイッチ25には、ダイオード26が並列接続されている。このダイオード26は、そのカソード側がコンデンサ22及び充放電コイル24との間に、またそのアノード側が接地側にそれぞれ接続されている。このダイオード26は、コンデンサ22、充電スイッチ23、充放電コイル24と共に、ピエゾ素子PEを充電するチョッパ回路を構成するものであり、フリーホイーリングダイオードとして機能する。
一方、充電スイッチ23には、ダイオード27が並列接続されている。このダイオード27は、そのカソード側がコンデンサ22側と、またそのアノード側が放電スイッチ25側と接続されている。このダイオード27は、コンデンサ22、充放電コイル24、放電スイッチ25と共に、ピエゾ素子PEの電荷を放電するチョッパ回路を構成するものであり、フリーホイーリングダイオードとして機能する。
上記構成の駆動回路は、マイクロコンピュータ28により駆動される。詳しくは、マイクロコンピュータ28では、ディーゼル機関の運転状態等を検出する各種センサの検出値に基づき、充電スイッチ23や放電スイッチ25を操作する。これら各操作は、図4に示す態様にて行なわれる。
図4(a)に充電スイッチ23の操作態様の推移を示し、図4(b)に放電スイッチ25の操作態様の推移を示し、図4(c)にピエゾ素子PEを介して流れる電流(操作電流)の推移を示し、図4(d)にピエゾ素子PEの操作電圧の推移を示す。
図示されるように、充電スイッチ23のオン・オフ操作によるチョッパ制御により、操作電流を増減させつつピエゾ素子PEの充電がなされる。具体的には、充電スイッチ23がオン操作されることによって、コンデンサ22、充電スイッチ23、充放電コイル24、ピエゾ素子PEからなる閉ループ回路が形成される。これにより、コンデンサ22の電荷がピエゾ素子PEに充電される。このとき、ピエゾ素子PEを介して流れる電流量が増加する。一方、充電スイッチ23のオン操作の後、充電スイッチ23がオフ操作されることで、充放電コイル24、ピエゾ素子PE、ダイオード26からなる閉ループ回路が形成される。これにより、充放電コイル24のフライホイールエネルギが、ピエゾ素子PEに充電される。このとき、ピエゾ素子PEを介して流れる電流量が減少する。
上記態様にて充電スイッチ23が操作される降圧チョッパ制御が行われることで、ピエゾ素子PEが充電され、ピエゾ素子PEの高電位となる端子側の電位が上昇する。これにより、ピエゾ素子PEが伸長し、ピエゾインジェクタPIが開弁する。
一方、放電スイッチ25のオン・オフ操作によるチョッパ制御により、操作電流を増減させつつピエゾ素子PEの放電がなされる。具体的には、放電スイッチ25がオン操作されることで、放電スイッチ25、充放電コイル24、ピエゾ素子PEによって閉ループ回路が形成される。これにより、ピエゾ素子PEが放電される。このとき、ピエゾ素子PEを介して流れる電流量が増加する。更に、放電スイッチ25のオン操作の後、放電スイッチ25がオフ操作されることで、コンデンサ22、ダイオード27、充放電コイル24、ピエゾ素子PEによって閉ループ回路が形成される。これにより、充放電コイル24のフライホイールエネルギがコンデンサ22に回収される。
上記態様にて放電スイッチ25が操作される昇圧チョッパ制御が行われることで、ピエゾ素子PEが放電され、ピエゾ素子PEの高電位となる端子側の電位が低下する。これにより、ピエゾ素子PEが収縮し、ピエゾインジェクタPIが閉弁する。
ところで、ピエゾインジェクタPIによる燃料噴射制御において、ディーゼル機関の運転状態によっては、ピエゾインジェクタPIの開弁の応答性が低下することが発明者らによって見出されている。以下、これについて、図5を用いて詳述する。
図5(a)は、ピエゾインジェクタPIのうち、特にニードル側ピストン49の周辺の断面構造を示し、図5(b)は、噴射期間の指令値(指令噴射期間)を示し、図5(c)及び図5(d)は、噴射率を示している。
図示されるように、燃料噴射開始前には、ピエゾ素子PEが収縮状態となっており、バルブ44がバルブシート部46に着座している。ここで、ピエゾ素子PEが伸長すると、ピエゾ素子PEがピエゾ側ピストン52及び伝達室54の燃料を介してニードル側ピストン49を押すために、バルブ44は、バルブシート部46から離座する。この状態では、伝達室54内の燃料の圧力が高まるため、伝達室54から極微小な量ではあるが燃料が漏れ出ることとなる。
これに対し、ピエゾ素子PEが収縮すると、ニードル側ピストン49がピエゾ素子PE側に変位するため、バルブ44は、バルブシート部46に着座する。ただし、ニードル側ピストン49には、スプリング50によって上記噴射開口部32側の弾性力が加えられているため、伝達室54内の燃料の圧力は上記低圧燃料通路10側よりも低くなり得る。このため、低圧燃料通路10側から伝達室54へ燃料が充填される。
そして、伝達室54内に充填される燃料の圧力による力とスプリング50による弾性力とが釣り合うところで、燃料の充填は終了し、ニードル側ピストン49は定常的に安定した状態となる。ただし、上記燃料の充填が終了してニードル側ピストン49が定常的に安定となる前に再度燃料噴射がなされる場合には、伝達室54内の燃料が減少しているために、ニードル側ピストン49がバルブ44に接していない状態からニードル側ピストン49の変位が開始されることとなる。
このため、図5(c)に示す伝達室54内の燃料の充填量が十分な場合と比較して、図5(c)に示す伝達室54内の燃料の充填量が不足する場合には、実際の噴射開始タイミングが遅れる。また、この場合には、上記ノズルニードル36の最大リフト量が減少するため、実際の燃料噴射の終了タイミングが早まる。図5(c)及び図5(d)に示す場合について、噴射期間とノズルニードル36のリフト量と噴射率との関係を、図6(a)〜図6(c)に示す。図示されるように、リフト量の増加の開始タイミングは、上記伝達室54内の燃料の充填量が十分な場合(図中、実線)と比較して不足する場合(図中、一点鎖線)に遅れが生じる。このため、リフト量の減少開始タイミングであるピエゾ素子PEの放電開始タイミング時のリフト量がこれら2つのケースで相違するため、実際の噴射率がゼロとなるタイミングも相違することとなる。このため、充填量が不十分な場合には、十分な場合と比較して、実際の噴射開始タイミングが遅れ且つ実際の噴射終了タイミングが早まるため、燃料噴射量が減少する。
そこで本実施形態では、ピエゾ素子PEの伸長による伝達室54からの燃料の漏れ量がピエゾ素子PEの収縮による伝達室54への燃料の充電量よりも多くなるとき、図6(a)に破線にて示すように、充電開始タイミングを早める処理を行なう。以下、これについて、図7に基づき詳述する。
図7に、本実施形態にかかる燃料噴射制御の処理手順を示す。この処理は、制御装置20により、例えば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、アクセルセンサ18によって検出されるアクセルペダルの操作量と、クランク角センサ16の検出値に基づくディーゼル機関の出力軸の回転速度とに基づき、アクセルペダルの操作量に応じて要求される出力トルクを生成するための噴射量(要求噴射量)を算出する。
続くステップS12においては、要求噴射量と回転速度とに基づき、燃料噴射の段数を算出する。すなわち、本実施形態では、燃焼サイクルの1サイクル内で、パイロット噴射、メイン噴射、アフタ噴射の中からいくつかを選択して、これら選択した噴射を行なう多段噴射制御を行う。ここで、パイロット噴射は、極微小な燃料が噴射されて着火の直前の燃料と空気との混合を促進させるとともに、メイン噴射後の着火時期の遅れを短縮して窒素酸化物(NOx)の発生を抑制し、燃焼音及び振動を低減する。メイン噴射は、ディーゼル機関の出力トルクの生成に寄与して且つ多段噴射中の最大の噴射量を有する。アフタ噴射は、微粒子物質(PM)を再燃焼させる。ここでは、例えば噴射段数が「2」であるときには、1段のパイロット噴射と、1段のメイン噴射を行い、噴射段数が「4」であるときには、2段のパイロット噴射と1段のメイン噴射と1段のアフタ噴射とを行う。
続くステップS14においては、上記噴射段数によって定められた複数の噴射のそれぞれの噴射開始時期の指令値(指令噴射開始時期)と噴射期間の指令値(指令噴射期間)とを算出する。続くステップS16においては、単一の気筒における1燃料サイクル内の合計の噴射期間(ピエゾ素子PEの伸長時間)と噴射を行わない時間(ピエゾ素子PEの収縮時間)との比ktを算出する。すなわち、図8(a)に噴射段数が4段の場合について例示するように、各指令噴射期間t1〜t4の合計時間を上記合計の噴射期間tonとする。そして、上記比ktを、回転速度NEを用いて、「kt=ton/toff=ton/{(2×60×1000/NE)−ton}」によって算出する。ここでは、回転速度NEが1分間当たりの回転数として定義されていることと、噴射期間tonが1ミリ秒を単位としていることと、出力軸の2回転が1燃焼サイクルと対応することとを考慮している。
この比ktは、上記伝達室54からの燃料の漏れ量が伝達室54への燃料の充填量よりも多くなる条件が成立するか否かを判断するためのパラメータである。すなわち、比ktが大きいほど、伝達室54から燃料が漏れる期間が長くなって且つ伝達室54に燃料が充填される時間が短くなるため、この比ktによって、上記条件の成立の有無を判断することができる。
詳しくは、本実施形態においては、図8(b)に示すように、比ktとコモンレール6内の燃圧NPCとによって、上記伝達室54からの燃料の漏れ量が伝達室54への燃料の充填量よりも多くなる領域を「噴射開始遅れ発生領域」として特定する。ここで、この領域を特定するために燃圧を用いるのは、燃圧が高いほど、ピエゾ素子PEの伸長に際し伝達室54に加わる燃圧が高くなることから、伝達室54から燃料が漏れやすいことによる。
上記性質に鑑み、先の図7の上記ステップS16の処理が完了すると、ステップS18において、比ktが閾値α以上であるか否かを判断する。ここで、閾値αは、伝達室54からの燃料の漏れ量が伝達室54への燃料の充填量よりも多くなる条件が成立するか否かを判断するための値である。この閾値αは、燃圧センサ14によって検出されるコモンレール6内の燃圧に応じて可変設定される。詳しくは、先の図8(b)に示す関係から、燃圧が高いほど閾値αを低下させる。
上記閾値α以上であると判断されると、上記条件が成立しているとして、ステップS20に移行する。ステップS20では、先の図6(a)に破線にて示したように、ピエゾ素子PEに対して充電を開始する時期を進角側に補正する。なお、この際、上記比ktや、燃圧に応じて進角側の補正量を可変設定してもよい。すなわち、例えば比ktが大きいほど、また、燃圧が高いほど、進角側補正量を大きくしてもよい。
上記ステップS18において否定判断されるときや、ステップS20の処理が完了するときには、ステップS22に移行する。ステップS22においては、ピエゾ素子PEの充電処理及び放電処理を行なう。ここでは、上記ステップS20の処理がなされていないときには、上記ステップS14にて算出された指令噴射開始時期にピエゾ素子の充電を開始すればよく、また、上記ステップS14の処理がなされているときには、指令噴射開始時期よりも進角したタイミングでピエゾ素子PEの充電を開始すればよい。また、放電開始時期は、上記ステップS14にて算出される指令噴射開始時期から指令噴射期間が経過したときとすればよい。すなわち、放電開始タイミングは、ステップS20による処理の有無にかかわらず同一とする。
なお、上記ステップS22の処理が完了すると、この一連の処理を一旦終了する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)ピエゾ素子PEの伸長操作による伝達室54からの燃料の漏れ量がピエゾ素子PEの収縮操作による伝達室54への燃料の充填量よりも多くなる条件が成立するとき、ピエゾ素子PEの充電開始を早めた。これにより、ピエゾインジェクタPIの開弁の応答性を高く維持することができる。
(2)ピエゾ素子PEの収縮時間に対する伸長時間の比、換言すれば、単一の気筒における1燃料サイクル内の合計の噴射時間と噴射を行わない時間との比ktが閾値α以上であることに基づき、上記条件の成立の有無を適切に判断することができる。
(3)圧力が高いほど閾値αを低下させることで、漏れ量が充填量よりも多くなる条件の成立の有無を適切に判断することができる。
(4)ピエゾインジェクタPIには、ニードル側ピストン49をピエゾ素子PEの伸長方向に押すスプリング50が備えられており、伝達室54には、外部から所定圧の燃料が流入可能とした。これにより、ピエゾ素子PEが収縮した状態では、伝達室54内に燃料が流入することで、伝達室54から漏れた燃料を補充することが可能となっている。
(5)ピエゾインジェクタPIのノズルニードル36には、噴射開口部32側及びその逆側に向かう高圧燃料の圧力が印加され、噴射開口部32側に向かう圧力を加える高圧燃料は、ニードル側ピストン49が噴射開口部32側に変位することで、コモンレール6へ燃料を供給する燃料タンク2側に流出するよう構成した。これにより、ピエゾ素子PEが伸長することでニードル側ピストン49が噴射開口部32側に変位すると、ノズルニードル36を噴射開口部32側に向けて押す高圧燃料が、燃料タンク2側へと流出する。このため、ノズルニードル36を噴射開口部32の逆側に押す力が優勢となり、ノズルニードル36が逆側に向けて変位することで、ピエゾインジェクタPIが開弁する。
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図9に、本実施形態にかかる燃料噴射制御の処理手順を示す。この処理は、制御装置20により、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図9において、先の図7と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
本実施形態では、ステップS18aにおいて、閾値αを、ピエゾ素子PEの伸長状態時におけるピエゾ素子PEの電圧に応じて可変設定する。詳しくは、ピエゾ素子PEの電圧が高いほど、閾値αを小さくする。ここでは、ピエゾ素子PEの電圧を、伝達室54内の燃圧と相関を有するパラメータとして使用している。
すなわち、ピエゾ素子PEの電圧は、ピエゾ素子PEの伸長量と、ピエゾ素子PEに加わる力とによって定まる。ここで、ピエゾ素子PEの電圧が高いほどピエゾ素子PEの伸長量が長くなる。そして、伸長量が長いほど、伝達室54が圧縮されるため、伝達室54内の燃圧が上昇する。このため、ピエゾ素子PEの電圧が高いほど伝達室54内の燃圧が高くなる。また、ピエゾ素子PEに加わる力が大きいほど圧電効果によってピエゾ素子PEの電圧が高くなる。そして、ピエゾ素子PEに加わる力は、伝達室54内の燃圧によって定まる。このため、ピエゾ素子PEの電圧が高いほど、伝達室54内の燃圧が高いと考えられる。
このため、ピエゾ素子PEの電圧が高いほど、伝達室54からの燃料の漏れ量の方が、伝達室54への燃料の充填量よりも多くなると考えられる。このため、ピエゾ素子PEの電圧が高いほど閾値αを小さな値とした。
なお、ピエゾ素子PEの電圧、すなわち、ピエゾ素子PEの高電位となる端子側と接地との間の電圧は、この電圧を2つの抵抗体によって分圧することで制御装置20内のマイクロコンピュータ28等によって扱える電圧に変換して検出すればよい。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)、(2)、(4)、(5)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(6)ピエゾ素子PEの電圧が高いほど閾値αを低下させることで、漏れ量が充填量よりも多くなる条件の成立の有無を適切に判断することができる。
(第3の実施形態)
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
ピエゾ素子PEの容量(ピエゾ素子PEに蓄えられる電荷とピエゾ素子PEの電圧とを関係付ける見かけの容量)Cは、温度依存性を有する。詳しくは、温度が高くなるほど容量Cが増加する。このように、ピエゾ素子PEの電気的な特性が温度に応じて変化するため、電気的な状態量に基づきピエゾ素子PEの変位量を制御することは困難である。実際、ピエゾ素子PEの電圧に対する変位量の比によって定義される圧電率dは、温度が高いほど大きくなる。このため、ピエゾ素子PEの電圧によってピエゾ素子PEの変位量を制御する場合には、その制御精度を高く維持することが困難である。
そこで本実施形態では、ピエゾ素子PEを充電することでピエゾ素子PEを伸長制御するに際し、ピエゾ素子PEに供給するエネルギ量を定める。ピエゾ素子PEのエネルギが同一であれば、ピエゾ素子PEの温度の変動にかかわらず、ピエゾ素子PEの変位量を略一定とすることができるからである。これは、簡易的には、以下のようにして説明される。すなわち、ピエゾ素子PEのエネルギEを一定とする場合、温度の上昇につれて上記関係から容量が大きくなると、電圧Vは、「E=1/2CV2」の関係から低下する。このため、温度が上昇するにつれて圧電率dが増加する効果は、温度の上昇に伴う電圧の低下の効果によって相殺される。なお、エネルギを一定とした場合にピエゾ素子PEの変位量が略一定となることについての詳細は、例えば特開2005−130561号公報に記載されている。
そして本実施形態では、エネルギを一定とする制御をすべく、図10に示す態様にて充電スイッチ23及び放電スイッチ25を操作する。以下、充電スイッチ23を例にとって説明する。図示されるように、充電スイッチ23をオン状態とする時間を充電処理の間中一定とし、且つオフ状態とする時間をピエゾ素子PEを介して流れる電流がゼロとなるまでの時間とする。換言すれば、電流の増加操作から減少操作へと切り替えるタイミングを増加操作時間が予め定められた時間となるときとして且つ、電流の減少操作から増加操作へと切り替えるタイミングを電流がゼロとなるときとする。これにより、単位時間当たりにピエゾ素子PEに供給されるエネルギ量を、ピエゾ素子PEの温度にかかわらず略一定とすることができるため、充電時間によって簡易にピエゾ素子PEに供給されるエネルギを制御することができる。なお、上記態様のチョッパ制御により単位時間当たりのピエゾ素子PEに供給されるエネルギ量を一定とすることができることについては、例えば上記特許文献1に記載されている。
上記態様にてピエゾ素子PEの伸長量を高精度に制御することができる。詳しくは、本実施形態では、上記燃圧センサ14によって検出されるコモンレール6内の燃圧に応じたエネルギ量の充電を行なうことで伸長量を所望に制御する。ここで、燃圧に応じてエネルギ量を可変とするのは、ピエゾ素子PEの変位量が、ピエゾ素子PEの変位方向と逆方向に外部から加わる力に応じて変化するためである。一方、ピエゾインジェクタPIを開弁させるためには、換言すれば、先の図2に示したノズルニードル36をボディ30の後方に変位させるためには、高圧燃料通路8を介して供給される燃料がバルブ44をバルブシート部46側へ押す力に打ち勝つ力をピエゾ素子PEによって発生させなければならない。このため、ピエゾ素子PEの変位方向と逆方向に加わる力は、燃料の圧力に応じて変化する。
本実施形態では、制御装置20内に、図11に示すマップを備えて、ピエゾ素子PEに供給するエネルギを燃圧に応じて設定する。図11に示すマップは、燃圧が高いほどピエゾ素子PEに供給するエネルギ量を増加させるよう指示するものである。制御装置20では、上記マップに基づき燃圧に応じてエネルギ量を設定し、これに応じて、充電スイッチ23等をオン・オフ操作する充電期間(放電期間)を可変設定する。
このようにエネルギを管理することで、温度にかかわらずピエゾ素子PEの伸長量を簡易且つ高精度に制御することができる。このことは、上記燃圧に応じて設定されるエネルギ量によって伝達室54内の燃圧を高精度に把握することができることを意味する。すなわち、ピエゾ素子PEに供給するエネルギ量が大きいほど、ピエゾ素子PEの伸長量が大きいために、伸長状態における伝達室54の圧力が高いと考えられる。また、コモンレール6内の燃圧が高いほど、ピエゾ素子PEに供給するエネルギ量が大きく設定されるため、ピエゾ素子PEに供給されるエネルギ量が大きいほど、ピエゾ素子PEの伸長操作(充電処理)がなされているときの伝達室54内の圧力が高いと考えられる。そこで本実施形態では、ピエゾ素子PEに供給されるエネルギ量によって、上記閾値αを可変設定する。
図12に、本実施形態にかかる燃料噴射制御の処理手順を示す。この処理は、制御装置20により、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、図12において、先の図7と同一の処理については、便宜上、同一の符号を付している。
本実施形態では、ステップS18bにおいて、閾値αを、ピエゾ素子PEを伸長させるためにピエゾ素子PEに供給するエネルギ量に応じて可変設定する。詳しくは、ピエゾ素子PEに供給するエネルギ量が大きいほど、閾値αを小さくする。
以上説明した本実施形態によれば、先の第1の実施形態の上記(1)、(2)、(4)、(5)の効果に加えて、更に以下の効果が得られるようになる。
(7)ピエゾ素子PEに供給されるエネルギ量が高いほど閾値αを低下させることで、漏れ量が充填量よりも多くなる条件の成立の有無を適切に判断することができる。しかも、ピエゾ素子PEに供給されるエネルギ量を用いることで、ピエゾ素子PEの温度によるピエゾ素子PEの伸長量の変動による適切な閾値αの変化を好適に抑制することができ、ひいては上記判断をいっそう適切に行うことができる。
(その他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記各実施形態において、燃料噴射がなされない期間Toffを、前回の燃焼サイクルにおける最終段の燃料噴射終了から今回の燃焼サイクルにおける1段目の燃料噴射開始までの期間として設定してもよい。
・上記第2の実施形態において、閾値αをピエゾ素子PEの電圧に応じて可変設定する際、更にピエゾ素子PEの温度によって閾値αを補正してもよい。これにより、ピエゾ素子PEの温度による電圧の変動分を好適に除去することができ、ひいては、ピエゾ素子PEの電圧によって伝達室54内の燃圧をより高精度に把握することができる。なお、ここでは簡易的にディーゼル機関の冷却水の温度をピエゾ素子PEの温度として代用してもよいが、例えばピエゾ素子PEの電荷量と電圧とを検出することでピエゾ素子PEの容量を算出し、これによりピエゾ素子PEの温度を推定してもよい。ちなみに、電荷の変化に対する電圧の変化で定義される見かけの容量が温度に応じて変化することに着目したこの手法の詳細は、例えば特開2002−21620号公報に記載されている。
・ディーゼル機関の出力軸の回転速度が大きいほど、各噴射間の時間が短くなることに鑑みれば、回転速度が大きいほど伝達室54からの燃料の漏れを補償しにくくなると考えられるため、回転速度が予め定められた閾値以上であるときに充電開始時期を早めるようにしてもよい。
・コモンレール6内の燃圧が高いほどバルブ44を開弁させる際に伝達室54内に加わる力が大きくなることに鑑みれば、燃圧が高いほど伝達室54からの燃料の漏れ量が多くなると考えられるため、燃圧が予め定められた圧力以上であるときに、充電開始時期を早めるようにしてもよい。
・上記要求噴射量が多いほど、燃料噴射期間が長くなることに鑑みれば、要求噴射量が多いほど伝達室54からの燃料の漏れ量が充填量よりも多くなる条件が成立しやすいと考えられるため、要求噴射量が予め定められた量よりも多いときに、充電開始タイミングを早めるようにしてもよい。
・多段噴射制御における噴射段数が多いほど、噴射期間が長くなる傾向にあることに鑑みれば、噴射段数が多いほど伝達室54からの燃料の漏れ量が充填量よりも多くなる条件が成立しやすいと考えられるため、噴射段数が予め定められた段数よりも多いときに、充電開始タイミングを早めるようにしてもよい。
・ピエゾインジェクタPIの構造としては、先の図2に例示したものに限らない。この際、ピエゾ素子PEの変位に応じて開弁及び閉弁の2値的な動作をするものに限らず、例えば米国特許第6520423号明細書に記載されているように、ピエゾ素子PEの変位に応じてノズルニードルのリフト量を連続的に調節可能なインジェクタであってもよい。この場合であっても、ピエゾ素子PEの動力を伝達室内の流体を介してノズルニードルを変位させる部材(ピストン)に伝達させる構成等であるなら、ピエゾ素子PEの伸長操作による伝達室からの流体の漏れ量がピエゾ素子PEの収縮操作による伝達室への流体の充填量よりも多くなる条件が成立するときに、ピエゾ素子PEの充電開始時期を早めることは有効である。
・燃料噴射弁としては、ピエゾ素子PEをアクチュエータとして利用するものに限らず、例えば電磁ソレノイドをアクチュエータとして利用するものであってもよい。この場合であっても、アクチュエータの伸長及び収縮により伝達室内に充填される流体を介してピストンを変位させることで開弁及び閉弁がなされるものであるなら、本発明の適用は有効である。
・その他、内燃機関としては、ディーゼル機関に限らず、例えば筒内噴射式ガソリンエンジンであってもよい。
第1の実施形態にかかるエンジンシステムの全体構成を示す図。 同実施形態におけるピエゾインジェクタの断面構造を示す断面図。 同実施形態における制御装置の構成を示す図。 同実施形態におけるピエゾ素子の充電処理及び放電処理の態様を示すタイムチャート。 ピエゾインジェクタの開弁の応答遅れが生じる原因を説明する図。 ピエゾインジェクタの閉弁が早まる原因を説明する図。 上記実施形態にかかる燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャート。 上記処理における充電開始時期を早めるか否かを判断する手法を説明する図。 第2の実施形態にかかる燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャート。 第3の実施形態におけるピエゾ素子の充電処理及び放電処理の態様を示すタイムチャート。 同実施形態におけるピエゾ素子へのエネルギ供給量を定めるためのマップを示す図。 同実施形態にかかる燃料噴射制御の処理手順を示すフローチャート。
符号の説明
20…制御装置(燃料噴射制御装置の一実施形態)、32…噴射開口部、34…ニードル収納部、36…ノズルニードル、48…ニードル側ピストン、54…伝達室、PE…ピエゾ素子。

Claims (8)

  1. アクチュエータの伸長及び収縮により伝達室内に充填される流体を介してピストンを変位させることで開弁及び閉弁がなされる燃料噴射弁について、前記アクチュエータを伸縮操作することで燃料噴射制御を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記アクチュエータの伸長操作による前記伝達室からの流体の漏れ量が前記アクチュエータの収縮操作による前記伝達室への流体の充填量よりも多くなる条件が成立するか否かを判断する判断手段と、
    前記条件が成立すると判断されるとき、前記アクチュエータを伸長させるための操作信号の出力タイミングを早める変更手段とを備え、
    前記判断手段は、前記燃料噴射弁による燃料噴射期間が予め定められた時間以上であるとき、前記条件が成立したと判断することを特徴とすることを特徴とする燃料噴射制御装置。
  2. アクチュエータの伸長及び収縮により伝達室内に充填される流体を介してピストンを変位させることで開弁及び閉弁がなされる燃料噴射弁について、前記アクチュエータを伸縮操作することで燃料噴射制御を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記アクチュエータの伸長操作による前記伝達室からの流体の漏れ量が前記アクチュエータの収縮操作による前記伝達室への流体の充填量よりも多くなる条件が成立するか否かを判断する判断手段と、
    前記条件が成立すると判断されるとき、前記アクチュエータを伸長させるための操作信号の出力タイミングを早める変更手段とを備え、
    前記判断手段は、前記燃料噴射弁による燃料の噴射周期時間が予め定められた時間以下であるとき、前記条件が成立したと判断することを特徴とする燃料噴射制御装置
  3. アクチュエータの伸長及び収縮により伝達室内に充填される流体を介してピストンを変位させることで開弁及び閉弁がなされる燃料噴射弁について、前記アクチュエータを伸縮操作することで燃料噴射制御を行う内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記アクチュエータの伸長操作による前記伝達室からの流体の漏れ量が前記アクチュエータの収縮操作による前記伝達室への流体の充填量よりも多くなる条件が成立するか否かを判断する判断手段と、
    前記条件が成立すると判断されるとき、前記アクチュエータを伸長させるための操作信号の出力タイミングを早める変更手段とを備え、
    前記判断手段は、前記アクチュエータの収縮時間に対する該アクチュエータの伸長時間の比が閾値以上となるとき、前記条件が成立したと判断することを特徴とする燃料噴射制御装置。
  4. 前記判断手段は、前記燃料噴射弁に供給される燃料の圧力が高いほど前記閾値を低下させることを特徴とする請求項3記載の燃料噴射制御装置。
  5. 前記アクチュエータがピエゾ素子であり、
    前記判断手段は、前記ピエゾ素子の電圧が高いほど前記閾値を低下させることを特徴とする請求項3記載の燃料噴射制御装置。
  6. 前記アクチュエータがピエゾ素子であり、
    前記判断手段は、前記ピエゾ素子の供給エネルギ量が大きいほど前記閾値を低下させることを特徴とする請求項3記載の燃料噴射制御装置。
  7. 前記燃料噴射弁には、前記ピストンに前記アクチュエータの伸長方向の弾性力を加える弾性部材が備えられており、
    前記伝達室には、外部から所定圧の流体が流入可能とされてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の燃料噴射制御装置。
  8. 前記燃料噴射弁には、高圧燃料を蓄える蓄圧室からの燃料が供給され、
    前記燃料噴射弁は、前記ピストンよりも噴射開口部側に設けられるノズルニードルを備え、前記ノズルニードルには、前記噴射開口部側及びその逆側に向かう高圧燃料の圧力が印加され、前記噴射開口部側に向かう圧力を加える高圧燃料は、前記ピストンが前記噴射開口部側に変位することで、前記蓄圧室へ燃料を供給する燃料タンク側に流出するよう構成されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の燃料噴射制御装置。
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