JP4479164B2 - 車両の動力源と伝動機構との協調制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、無段変速機や摩擦係合装置などの伝動機構が、内燃機関などの動力源の出力側に連結されるとともに、その動力源とは別に駆動トルクを変更できる機構を備えた車両を対象とする制御装置に関し、特にその伝動機構の挙動に関連して動力源や駆動トルクの調整機構を協調して制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車などの車両における駆動トルクはエンジンなどの動力源で発生させるとともに、クラッチや変速機などの伝動機構を介して車輪に伝達される。その伝動機構の伝達トルク容量を大きくすれば、動力源から入力されるトルクを駆動輪などの出力側に伝達できるが、必要以上に伝達トルク容量を大きくするとそのために消費する動力も増大するので、車両の全体としての燃費が悪化する。そのために、従来一般には、伝動機構の伝達トルク容量を設定する油圧を動力源の出力に対応させて予め定めておき、もしくは動力源の出力を油圧の調圧レベルに反映させるように制御装置を構成している。
【0003】
特に車両用の無段変速機においては、ベルトやパワーローラなどを挟み付ける挟圧力を高くすると、伝達トルク容量が増大する反面、無段変速機での動力の伝達効率が低下し、また一方、滑りに起因する摩耗などの損傷を確実に防止する必要があるので、その挟圧力の制御に高い精度が要求される。しかしながら、車両の走行状態あるいは駆動状態は必ずしも常時一定とはならないので、無段変速機などの伝動機構に一時的に大きいトルクが作用したり、その結果、滑りが生じたりすることがある。また、滑りの生じる限界圧力を求めるために、意図的に微少滑りを生じさせる場合もある。
【0004】
従来、伝動機構の一例としてのベルト式無段変速機に滑りが発生した場合、理論変速変化率と実変速変化率とを比較し、その比較結果に基づいて滑りを検出し、その滑りを抑制するために、スロットル開度を閉じ、あるいは点火時期を遅角し、もしくは燃料供給量を低減することによりエンジンの出力を低下させる装置が、特許文献1に記載されている。また、無段変速機での滑りが検出された場合に、その無段変速機の入力側に連結されている電気モータの出力を低減する装置が、特許文献2に記載されている。さらに、摩擦接触によって動力を伝達する機構を対象として、圧着力を低下させることに伴って摩擦効率が上昇した場合に、その摩擦効率の上昇によって滑りを判定する方法が、特許文献3に記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−11022号公報(請求項5〜7)
【特許文献2】
特開2001−197615号公報(請求項1)
【特許文献3】
特開2001−12593号公報(請求項1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1や特許文献2に記載されているように、無段変速機での滑りが検出された場合に、その入力側のエンジンや電気モータの出力を低下させれば、無段変速機に作用するトルクが低下するから、その滑りを抑制もしくは収束させることができる。しかしながら、そのようなエンジンもしくは電気モータの出力を走行中に低下させると、駆動輪での駆動トルクも低下するので、駆動トルクの変化に伴うショックが生じ、あるいは違和感を与える可能性がある。
【0007】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、伝動機構の挙動に関連する動力源の出力の変化に起因するショックや違和感を防止することのできる装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、走行のための駆動力を発生する動力源の出力側に伝動機構が連結されるとともに、その伝動機構を介さずに、駆動輪に正トルクまたは負トルクを付与して車両全体で生じる駆動トルクを増減させる駆動トルク調整機構を備えた車両の動力源と伝動機構との協調制御装置において、前記伝動機構での滑りを検出する滑り検出手段と、前記伝動機構での滑りが検出された場合に前記動力源から前記伝動機構に入力されるトルクを低下させるトルク低下手段と、前記動力源から前記伝動機構に入力されるトルクを低下させることに伴う前記車両全体の駆動トルクの低下を補うように、前記駆動トルク調整機構を制御する駆動トルク制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
したがって請求項1の発明では、伝動機構での滑りが検出された場合に、動力源から伝動機構に入力されるトルクが低下されるとともに、車両全体の駆動トルクの低下を補うように、駆動トルク調整機構を制御する。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記動力源にエンジンおよびモータ・ジェネレータが含まれており、前記トルク低下手段は、前記モータ・ジェネレータのトルクが前記伝動機構に入力されているときにそのモータ・ジェネレータのトルクを低下させるか、または前記エンジンのトルクを前記伝動機構に入力し、かつ、前記モータ・ジェネレータで回生をおこなっているときにその回生量を増大させることにより、前記伝動機構に入力されるトルクを低下させる手段を含むことを特徴とする協調制御装置である。
【0011】
したがって請求項2の発明では、請求項1の発明と同様の作用が生じる他に、モータ・ジェネレータのトルクが伝動機構に入力されているときにそのモータ・ジェネレータのトルクを低下させるか、またはエンジンのトルクを伝動機構に入力し、かつ、モータ・ジェネレータで回生をおこなっているときにその回生量を増大させることにより、伝動機構に入力されるトルクを低下させる。
【0012】
さらに、請求項3の発明は、走行のための駆動力を発生する動力源の出力側に伝動機構が連結されるとともに、その伝動機構を介さずに、駆動輪に正トルクまたは負トルクを付与して車両全体で生じる駆動トルクを増減させる駆動トルク調整機構を備えた車両の動力源と伝動機構との協調制御装置において、前記伝動機構に滑りを生じさせるように、前記動力源から前記伝動機構に入力されるトルクを増大させるトルク増大手段と、前記トルク増大手段により前記伝動機構に入力されるトルクが増大されて前記伝動機構で滑りが生じたときのトルクに基づいて、前記伝動機構の滑り限界を求める滑り限界検知手段と、前記伝動機構に入力されるトルクの増大に伴う前記車両全体の駆動トルクの増大を抑制するように、前記駆動トルク調整機構のトルクを制御する駆動トルク制御手段とを備えていることを特徴とする協調制御装置である。
【0013】
したがって請求項3の発明では、伝動機構に滑りを生じさせるように、動力源から伝動機構に入力されるトルクを増大させるともに、伝動機構で滑りが生じたときのトルクに基づいて、伝動機構の滑り限界を求める。また、伝動機構に入力されるトルクの増大に伴う車両全体の駆動トルクの増大を抑制するように、駆動トルク調整機構を制御する。
【0014】
【発明の実施の形態】
つぎにこの発明を具体例に基づいて説明する。先ず、この発明で対象とする動力源および伝動機構を含む駆動系統の一例を説明すると、図5は、ベルト式無段変速機1を伝動機構として含む駆動機構を模式的に示しており、その無段変速機1は、前後進切換機構2およびロックアップクラッチ3付きの流体伝動機構4を介して動力源5に連結されている。
【0015】
その動力源5は、内燃機関、あるいは内燃機関と電動機、もしくは電動機などによって構成されている。なお、以下の説明では、動力源5をエンジン5と記す。また、流体伝動機構4は、例えば従来のトルクコンバータと同様の構成であって、エンジン5によって回転させられるポンプインペラとこれに対向させて配置したタービンランナーと、これらの間に配置したステータとを有し、ポンプインペラで発生させたフルードの螺旋流をタービンランナーに供給することよりタービンランナーを回転させ、トルクを伝達するように構成されている。
【0016】
このような流体を介したトルクの伝達では、ポンプインペラとタービンランナーとの間に不可避的な滑りが生じ、これが動力伝達効率の低下要因となるので、ポンプインペラなどの入力側の部材とタービンランナーなどの出力側の部材とを直接連結するロックアップクラッチ3が設けられている。このロックアップクラッチ3は、油圧によって制御するように構成され、完全係合状態および完全解放状態、ならびにこれらの中間の状態であるスリップ状態に制御され、さらにそのスリップ回転数を適宜に制御できるようになっている。
【0017】
前後進切換機構2は、エンジン5の回転方向が一方向に限られていることに伴って採用されている機構であって、入力されたトルクをそのまま出力し、また反転して出力するように構成されている。図5に示す例では、前後進切換機構2としてダブルピニオン型の遊星歯車機構が採用されている。すなわち、サンギヤ6と同心円上にリングギヤ7が配置され、これらのサンギヤ6とリングギヤ7との間に、サンギヤ6に噛合したピニオンギヤ8とそのピニオンギヤ8およびリングギヤ7に噛合した他のピニオンギヤ9とが配置され、これらのピニオンギヤ8,9がキャリヤ10によって自転かつ公転自在に保持されている。そして、二つの回転要素(具体的にはサンギヤ6とキャリヤ10と)を一体的に連結する前進用クラッチ11が設けられ、またリングギヤ7を選択的に固定することにより、出力されるトルクの方向を反転する後進用ブレーキ12が設けられている。
【0018】
無段変速機1は、従来知られているベルト式無段変速機と同じ構成であって、互いに平行に配置された駆動プーリ13と従動プーリ14とのそれぞれが、固定シーブと、油圧式のアクチュエータ15,16によって軸線方向に前後動させられる可動シーブとによって構成されている。したがって各プーリ13,14の溝幅が、可動シーブを軸線方向に移動させることにより変化し、それに伴って各プーリ13,14に巻掛けたベルト17の巻掛け半径(プーリ13,14の有効径)が連続的に変化し、変速比が無段階に変化するようになっている。そして、上記の駆動プーリ13が前後進切換機構2における出力要素であるキャリヤ10に連結されている。
【0019】
なお、従動プーリ14における油圧アクチュエータ16には、無段変速機1に入力されるトルクに応じた油圧(ライン圧もしくはその補正圧)が、図示しない油圧ポンプおよび油圧制御装置を介して供給されている。したがって、従動プーリ14における各シーブがベルト17を挟み付けることにより、ベルト17に張力が付与され、各プーリ13,14とベルト17との挟圧力(接触圧力)が確保されるようになっている。これに対して駆動プーリ13における油圧アクチュエータ15には、設定するべき変速比に応じた圧油が供給され、目標とする変速比に応じた溝幅(有効径)に設定するようになっている。
【0020】
上記の従動プーリ14が、ギヤ対18を介してディファレンシャル19に連結され、このディファレンシャル19から駆動輪20にトルクを出力するようになっている。したがって上記の駆動機構では、エンジン5と駆動輪20との間に、ロックアップクラッチ3と無段変速機1とが直列に配列されている。
【0021】
さらに、図5に示す駆動系統には、前記無段変速機1を介さずに駆動トルクを調整することのできる機構が設けられている。その一例としてモータ・ジェネレータ21が前記従動プーリ14と一体に回転する出力軸に連結されている。このモータ・ジェネレータ21は、図示しないインバータを介してバッテリーに接続されており、トルクを出力する力行とエネルギーを電力として回収する回生とに制御されるようになっている。このモータ・ジェネレータ21によれば、駆動トルクを正および負の両方向に調整することができる。また、他の調整機構として車輪20に対する制動力を電気的に制御できるブレーキ22が設けられている。このブレーキ22の制御をおこなうシステムとして、アンチロックブレーキシステム(ABS)や車両安定化システム(VSC:商標)などを転用することができる。
【0022】
そして、上記の無段変速機1およびエンジン5を搭載した車両の動作状態(走行状態)を検出するために各種のセンサーが設けられている。すなわち、無段変速機1に対する入力回転数(前記タービンランナーの回転数)を検出して信号を出力するタービン回転数センサー23、駆動プーリ13の回転数を検出して信号を出力する入力回転数センサー24、従動プーリ14の回転数を検出して信号を出力する出力回転数センサー25、ベルト挟圧力を設定するための従動プーリ14側の油圧アクチュエータ16の圧力を検出する油圧センサー26が設けられている。また、特には図示しないが、アクセルペダルの踏み込み量を検出して信号を出力するアクセル開度センサー、スロットルバルブの開度を検出して信号を出力するスロットル開度センサー、ブレーキペダルが踏み込まれた場合に信号を出力するブレーキセンサーなどが設けられている。
【0023】
上記の前進用クラッチ11および後進用ブレーキ12の係合・解放の制御、および前記ベルト17の挟圧力の制御、ならびに変速比の制御、さらにはロックアップクラッチ3の制御をおこなうために、変速機用電子制御装置(CVT−ECU)27が設けられている。この電子制御装置27は、一例としてマイクロコンピュータを主体として構成され、入力されたデータおよび予め記憶しているデータに基づいて所定のプログラムに従って演算をおこない、前進や後進あるいはニュートラルなどの各種の状態、および要求される挟圧力の設定、ならびに変速比の設定、ロックアップクラッチ3の係合・解放ならびにスリップ回転数などの制御を実行するように構成されている。
【0024】
ここで、変速機用電子制御装置27に入力されているデータ(信号)の例を示すと、無段変速機1の入力回転数(入力回転速度)Ninの信号、無段変速機1の出力回転数(出力回転速度)No の信号が、それぞれに対応するセンサから入力されている。また、エンジン5を制御するエンジン用電子制御装置(E/G−ECU)28からは、エンジン回転数Ne の信号、エンジン(E/G)負荷の信号、スロットル開度信号、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度信号などが入力されている。
【0025】
無段変速機1によれば、入力回転数であるエンジン回転数を無段階に(言い換えれば、連続的に)制御できるので、これを搭載した車両の燃費を向上できる。例えば、アクセル開度などによって表される要求駆動量と車速とに基づいて目標駆動力が求められ、その目標駆動力を得るために必要な目標出力が目標駆動力と車速とに基づいて求められ、その目標出力を最適燃費で得るためのエンジン回転数が予め用意したマップに基づいて求められ、そして、そのエンジン回転数となるように変速比が制御される。
【0026】
そのような燃費向上の利点を損なわないために、無段変速機1における動力の伝達効率が良好な状態に制御される。具体的には、無段変速機1のトルク容量すなわちベルト挟圧力が、エンジントルクに基づいて決まる目標トルクを伝達でき、かつベルト17の滑りが生じない範囲で可及的に低いベルト挟圧力に制御される。例えば、加減速が比較的頻繁におこなわれたり、路面の凹凸もしくは起伏がある場合などのいわゆる非定常的な走行状態では、無段変速機1を制御する油圧系統における全体の元圧となるライン圧もしくはその補正圧によってベルト挟圧力が設定される。これに対して平坦路をある程度以上の車速で定速走行しているなどの定常状態もしくはこれに準ずる準定常状態では、滑りを生じずに入力トルクを伝達できる最低の圧力(これを滑り限界圧力と称す)に所定の安全率もしくは滑りに対する余裕伝達トルクを設定する圧力を加えたベルト挟圧力に設定される。
【0027】
定常走行状態もしくは準定常走行状態であることによりベルト挟圧力を上記のように低下させている場合には、滑り限界圧力に付加してある圧力すなわち滑りに対する余裕が少ないので、エンジン5側からの入力トルクが増大すると、滑りが生じやすい。入力トルクの増大による無段変速機1の滑りは、入力トルクを低下させることにより収束させることができるが、無段変速機1に対する入力トルクの低下に伴う車両全体としての駆動トルクの低下を抑制もしくは防止するために、この発明に係る協調制御装置は、以下に述べる制御を実行するように構成されている。
【0028】
図1はその制御例を示しており、先ず、フラグFについて判断される(ステップS1)。このフラグFは、無段変速機1の滑りが検出されたことに伴ってベルト17の挟圧力を増大させている過程にある場合に“1”にセットされ、それ以外の場合には“0”にセットされるフラグである。したがって図1に示すルーチンの開始当初は、このフラグFは“0”にセットされており、したがって無段変速機1の滑りの有無が判定される(ステップS2)。無段変速機1におけるベルト17の滑りの判定は、変速比やその変化の状態、あるいはこれらの検出信号のフィルタ処理値、無段変速機1の入出力回転数の相関係数などに基づいて判定することができる。
【0029】
無段変速機1での滑りの発生が判定されないことによりステップS2で否定的に判断された場合には、特に制御をおこなうことなくこのルーチンを終了する。これに対して無段変速機1で滑りが生じたことによりステップS2で肯定的に判断された場合には、無段変速機1に対する入力トルクの低減指令が出力される(ステップS3)。
【0030】
無段変速機1が連結されている動力源は、前述したようにエンジン5のみで構成される以外に、ハイブリッド車におけるようにエンジンとモータ・ジェネレータとによって構成することもでき、さらにモータもしくはモータ・ジェネレータのみによって構成することもできる。したがって動力源としてエンジン5が含まれている場合には、その点火時期を遅角する指令信号が、入力トルクの低減指令として出力される。また、モータもしくはモータ・ジェネレータが動力源に含まれる場合には、そのモータもしくはモータ・ジェネレータの出力を低下させ、あるいは回生量を増大させる指令信号が、入力トルクの低減指令として出力される。
【0031】
ステップS3での入力トルクの低減指令と併せて、前述したモータ・ジェネレータ21の力行指令が出力される(ステップS4)。これは、要は、モータ・ジェネレータ21の出力トルクを増大方向に制御する指令であり、したがってモータ・ジェネレータ21が回生をおこなっていた場合には、その回生量を低下させ、モータ・ジェネレータ21が既に力行していた場合のその出力トルクを増大させる制御である。このモータ・ジェネレータ21は、図5に示すように、無段変速機1の出力側に連結されていて、無段変速機1を介さずに駆動トルクを増大させるように構成されているので、その出力トルクを増大させるように制御しても、無段変速機1の滑りが助長されることはない。なお、モータ・ジェネレータ21の力行量は無段変速機1の入力トルクの低下に伴う駆動トルクの低下を補う量に設定される。
【0032】
さらに、これらステップS3およびステップS4の制御と併せて、ベルト17の挟圧力を増大させる指令信号が出力される(ステップS5)。これは、図5に示す従動プーリ14側の油圧アクチュエータ16に供給する油圧を増大させる制御である。
【0033】
ステップS5で挟圧力の増加指令をおこなった後、所定時間が経過したか否かが判断される(ステップS6)。この所定時間は、油圧の応答時間を見込んだ時間であって、挟圧力が指令値にまで確実に増大するのを待つための時間である。したがってこのステップS6で否定的に判断された場合には、その時間が経過するのを待つために、フラグFを“1”にセットし(ステップS7)、一旦このルーチンを抜ける。したがって所定時間が経過していない場合には、前述したステップS1で“F=1”の判定が成立するので、ステップS2ないしステップS5を飛ばして直ちにステップS6に進み、所定時間の経過が判断される。
【0034】
ステップS6で肯定的に判断されると、挟圧力が指令値にまで増大するのに充分な時間が経過し、無段変速機1の滑りが確実に収束していることになるので、入力トルクの漸増指令が出力される(ステップS8)。この制御は、前述したステップS3での入力トルクの低下制御とは反対の制御であって、低下させた入力トルクを元のトルクに向けて増大させる制御である。
【0035】
したがって点火時期の遅角によって入力トルクを低下させた場合には、その遅角量を減少させ、もしくは進角し、また動力源を構成しているモータ・ジェネレータの回生量の増大によって入力トルクを低下させた場合には、その回生量を減少させる。その場合、駆動トルクもしくは出力軸トルクの変動を抑制するために、その増加勾配をある程度緩やかなものとする。
【0036】
また、ステップS8における入力トルクの漸増制御と併せてモータ・ジェネレータ21による力行量の漸減制御が実行される(ステップS9)。これは、入力トルクの漸増制御に対応する制御であり、したがって入力トルクの増大に伴う駆動トルクの変動を抑制するように力行量が漸減される。
【0037】
ついで無段変速機1に対する入力トルクが、低下制御前のトルクに復帰したか否かが判断される(ステップS10)。このステップS10で否定的に判断された場合には、入力トルクの復帰を待つために一旦このルーチンを抜ける。これに対してステップS10で肯定的に判断された場合には、挟圧力マップを変更し(ステップS11)、さらにフラグFをゼロリセット(ステップS12)してこのルーチンを終了する。
【0038】
前述した定常走行状態もしくは準定常走行状態での挟圧力は、入力トルク毎に予め設定し、もしくはその設定値を学習によって補正してマップとして保持しておき、入力トルクに応じて呼び出して設定することが好ましい。そのマップに基づく挟圧力制御をおこなった結果、上記のステップS2で滑りの判定が成立したのであれば、マップ値が相対的に低いことになる。したがってステップS2での滑りの判定に基づいて挟圧力のマップ値を増大側に変更する。これがステップS11での制御である。なお、その増大量は、予め定めた一定値であってもよく、あるいは入力トルク毎に異なる値であってもよい。
【0039】
上記の制御をおこなった場合の点火時期やモータ・ジェネレータ(MG)21の制御状態、出力軸トルク、ベルト挟圧力ならびに滑り判定の変化を図2にタイムチャートで示してある。定常状態もしくは準定常状態で走行しており、したがってベルト挟圧力が低下させられている状態で、入力トルクの増大などにより無段変速機1の滑りが生じると、滑り判定が成立する(t1 時点)。これと同時に、入力トルクを低下させるために点火時期が遅角させられ、またそれに伴う出力軸トルクの低下を抑制するためにモータ・ジェネレータ21の力行制御が実行される。したがって出力軸トルクはほぼ一定に維持され、変化しない。
【0040】
また、滑り判定と同時に挟圧力の増大指令が出力されるので、ベルト挟圧力が次第に増大する。その結果、無段変速機1の滑りが収束する(t2 時点)。なお、図1に示す制御では、トルクの復帰が完了するまでは、フラグFが“1”にセットされていてステップS1からステップS6に進むので、制御が継続される。そして、滑りの判定成立から所定時間が経過したt3 時点で入力トルクを復帰させるために点火時期の遅角量が次第に減少させられ、同時にモータ・ジェネレータ21の力行量が減少させられる。
【0041】
これら遅角制御の復帰およびモータ・ジェネレータ21の力行制御の復帰が完了したt4 時点に、図1に示すステップS10で肯定的に判断され、その結果、ベルト挟圧力のマップ値が滑り判定の成立以前より高い値に変更され、その挟圧力が設定される。
【0042】
したがって図1および図2に示す制御を実行するように構成されたこの発明の協調制御装置によれば、無段変速機1の滑りが検出された場合に、無段変速機1の入力トルクを低下させる制御と、ベルト挟圧力を増大させる制御とを実行するので、無段変速機1の滑りを迅速に収束させることができる。また、入力トルクの低下制御と併せてモータ・ジェネレータ21の力行制御をおこなうので、駆動トルクの低下やそれに伴うショックあるいは失速感などを防止することができる。
【0043】
ところで定常走行状態もしくは準定常走行状態で無段変速機1のベルト挟圧力を低下させるためには、入力トルクに対応した滑り限界圧力を求め、その滑り限界圧力に所定の安全率を見込んだ圧力を加え、もしくは滑りに対する所定の余裕量に相当する圧力を加えて挟圧力を設定することになる。その滑り限界圧力は、無段変速機1のベルト17に微少滑りを生じさせ、その時点の圧力に基づいて求める。その微少滑りは、挟圧力を低下させて生じさせることに替えて入力トルクを増大させて生じさせることもできる。その制御例を以下に説明する。
【0044】
図3は、この発明に係る協調制御装置で実行される制御の一例を示しており、先ず、無段変速機1のベルト17に微少滑りを生じさせるための制御の前提条件が成立しているか否かが判断される(ステップS21)。この制御では、無段変速機1の入力側のトルクや出力側のトルクが安定していることが必要であるから、その前提条件として、平坦路での車両の走行状態が定常走行状態もしくは準定常走行状態であることを採用することができる。
【0045】
制御前提条件が成立していることによりステップS21で肯定的に判断された場合には、その時点の入力トルクと変速比γとで決まる運転領域(入力トルク*γ領域)についての挟圧力が既に補正されているか否かが判断される(ステップS22)。このステップS22で否定的に判断されると、その時点の運転状態が属する運転領域についての挟圧力の補正値(もしくは学習値)が得られていないことになるので、ベルト17に微少滑りを生じさせる制御を伴う挟圧力マップの変更制御が実行される。具体的には、先ず、フラグF1 について判断される(ステップS23)。
【0046】
このフラグF1 は、動力源5の出力を低下させた後、復帰させるまでの間、“1”にセットされるフラグである。したがって当初は、“F=0”の判断が成立する。その場合、無段変速機1でベルト17の微少滑りを生じさせることを目的として、入力トルクの漸増指令が出力される(ステップS24)。この入力トルクの漸増制御は、例えばエンジン5に設けられている電子スロットルバルブ(図示せず)を電気的に制御してその開度を増大することにより実行できる。また、無段変速機1の入力側にモータもしくはモータ・ジェネレータを備えている車両では、そのモータもしくはモータ・ジェネレータの出力トルクを増大させ、あるいは回生量を低下させることにより、無段変速機1の入力トルクを漸増させることができる。
【0047】
ステップS24での入力トルクの漸増制御と併せて、前記モータ・ジェネレータ21による回生量の漸増指令が出力される(ステップS25)。この回生量の漸増制御は、無段変速機1に対する入力トルクが増大することに伴う出力軸トルクもしくは駆動トルクの変動を抑制するための制御であり、無段変速機1の出力側に現れるトルクの一部をモータ・ジェネレータ21によって吸収し、駆動トルクの変化を防止する。したがってその回生量は、入力トルクの増大量に対応したものとなる。
【0048】
このように入力トルクを増大させ、かつ無段変速機1の出力側では回生量を増大させるので、無段変速機1に加わるトルクが増大し、ベルト17の滑りが生じやすくなる。したがってステップS25に続くステップS26では、滑りの判定がおこなわれる。
【0049】
この滑りの判定は、前述した図1におけるステップS2での滑り判定と同様にとしておこなうことができる。無段変速機1に作用するトルクが増大することによりベルト17に微少滑りが生じると、ステップS26で肯定的に判断される。その場合には、入力トルクを低下させる指令信号が出力される(ステップS27)。これは、上記のステップS24での制御と反対の制御であり、したがってステップS24で開度を増大させた電子スロットルバルブを、その開度を減じるように制御することになる。
【0050】
入力トルクの低下制御は、ベルト17の滑りを収束させるために実行するが、上記のようにスロットル開度を減じてもエンジン5の出力トルクが直ちには低下しない。すなわちスロットル開度を閉じることによる入力トルクの低下制御は、応答遅れが相対的に大きい。そこで、図3に示す制御では、入力トルクの低下応答性を良好にするために、点火時期を遅角制御する(ステップS28)。
【0051】
これと同時に、上記のステップS25で増大指令したモータ・ジェネレータ21による回生量を元の状態まで低下させる回生終了指令が出力される(ステップS29)。すなわち、入力トルクの増大分をモータ・ジェネレータ21で吸収していたので、入力トルクの増大分が解消されることに伴ってモータ・ジェネレータ21による出力軸トルクの吸収を解消し、これにより入力トルクの変化に起因する出力軸トルクもしくは駆動トルクの変動が抑制される。
【0052】
ステップS27で電子スロットルバルブの開度を減じる指令を出力していることにより、スロットル開度が次第に減少してエンジントルクが低下するから、それに合わせて点火時期の遅角量を漸減させる(ステップS30)。そして、点火時期の遅角量がゼロに戻ったか否かが判断される(ステップS31)。
【0053】
このステップS31で肯定的に判断された場合には、入力トルクを増大させて無段変速機1に微少滑りを生じさせ、その際の入力トルクと挟圧力とを求める制御が終了するので、その過程で得られたデータ、すなわち滑り判定が成立するまでに増大させた入力トルクの変化幅とその時点に設定されていたベルト挟圧力とから適正挟圧力もしくは挟圧力の補正量が得られ、その結果に基づいて挟圧力およびそのマップ値が補正される(ステップS32)。そして、フラグF1 がゼロリセット(ステップS33)され、このルーチンを終了する。
【0054】
なお、制御前提条件が成立していないことによりステップS21で否定的に判断された場合や、その時点の運転領域に対応する挟圧力の補正が終了していることによりステップS22で肯定的に判断された場合、および滑りが検出されないことによりステップS26で否定的に判断された場合には、その時点(現状)の挟圧力に保持され、またそれぞれの運転状況に応じて点火時期の進角制御や回生制御に対応する処理が実行される(ステップS34)。
【0055】
さらに、遅角量がゼロに復帰していないことによりステップS31で否定的に判断された場合には、フラグF1 が“1”にセットされ(ステップS35)、遅角量がゼロに戻るのを待つために、現状の挟圧力が保持され、かつ遅角ならびに回生制御に対応する処理が実行される(ステップS34)。したがってこの場合は、前述したステップS23で“F=1”の判断が成立するので、直ちにステップS30に進み、遅角量の漸減制御が継続される。
【0056】
上記の図3に示す制御を実行した場合のタイムチャートを図4に示してある。挟圧力の補正が未だおこなわれていない状態で制御前提条件が成立する(t11時点)と、入力トルクの増大指令とモータ・ジェネレータ21による回生指令とが出力される。その結果、ベルト17の負荷が次第に増大する。ベルト17の負荷がある程度増大すると、無段変速機1での挟圧力が相対的に低くなるので、微少滑りが発生し、滑りの判定が成立する(t12時点)。その過程では、入力トルクの増大に対応してモータ・ジェネレータ21による回生をおこなうので、出力軸トルクもしくは駆動トルクがほぼ一定に維持され、変化することがない。
【0057】
滑りの判定と同時に入力トルクを低下させるために、一旦増大させたスロットル開度を元に戻す指令が出力され、かつその応答遅れを是正するために点火時期の遅角制御が実行され、さらにモータ・ジェネレータ21による回生制御が終了される。その結果、ベルト17の負荷が急速に低下し、滑りが収束する。
【0058】
そして、電子スロットルバルブの閉じ指令によってスロットル開度が次第に減少するので、それに合わせて遅角量が次第に減少させられる。そして、遅角量がゼロに復帰したt13時点で制御が終了し、挟圧力のマップ値が変更(補正)される。
【0059】
したがって図3および図4に示す制御を実行するように構成した場合には、無段変速機1に作用するトルクを積極的に増大させて無段変速機1に微少滑りを生じさせ、その際のトルクや挟圧力に基づいて滑り限界圧力が求められ、その滑り限界圧力から最適挟圧力が得られる。その過程で無段変速機1の入力トルクを増大させるが、それに対応してモータ・ジェネレータ21の回生量を増大させるので、出力軸トルクもしくは駆動トルクの変化を抑制してほぼ一定に維持することができ、その結果、ショックや意図しない加速力などによる違和感を回避することができる。
【0060】
なお、図1に示すステップS2で判定する滑りは、走行中において無段変速機1に作用するトルクの変化に起因する滑りであってよいが、これ以外に、挟圧力を低下させて生じさせた滑りであってもよい。また、この発明で対象とする伝動機構は上述したベルト式無段変速機以外に、トラクション式(トロイダル型)無段変速機であってもよく、あるいはロックアップクラッチなどの摩擦係合式のクラッチやブレーキであってもよい。これら摩擦式のクラッチやブレーキを対象とする場合、その滑りの許容範囲が無段変速機に比較して大きい。したがって図3に示す制御で、一旦増大させた入力トルクを低下させる場合、特に急速に低下させる必要がない場合が多く、その場合には、遅角制御をおこなわずに、モータ・ジェネレータ21での回生量を、エンジン5の出力低下に合わせて減少させることとしてもよい。その変化を図4に破線で示してある。
【0061】
さらに、この発明では、無段変速機などの伝動機構に対する入力トルクの変化による出力軸トルクもしくは駆動トルクの変化を抑制する手段として、出力軸トルクもしくは駆動トルクを増大側に補助するためにはモータ・ジェネレータなどの動力装置を用いることになるが、出力軸トルクもしくは駆動トルクの増大を制限し、もしくは減少側に補助する場合には、モータ・ジェネレータによる回生以外にブレーキ22を用いることとしてもよい。そして、これらのモータ・ジェネレータやブレーキは、要は、車両の全体としての駆動トルクの変化を抑制するように機能するものであればよいので、必ずしも無段変速機などの伝動機構の出力側に連結されている必要はなく、動力源からトルクが伝達される駆動軸もしくは車輪とは異なる駆動軸もしくは車輪など、伝動機構を介さずに正トルクもしくは負トルクを付与できる構成であればよい。
【0062】
ここで、上述した変形例を含む上記の具体例とこの発明との関係を簡単に説明すると、前述したモータ・ジェネレータ21やブレーキ22がこの発明の駆動トルク調整機構に相当し、エンジン5およびモータ・ジェネレータが、この発明の動力源に相当する。また、図1は請求項1および2に対応しており、図1のステップS2の機能的手段が、この発明の滑り検出手段に相当し、ステップS3の機能的手段が、この発明のトルク低下手段に相当し、ステップS4の機能的手段が、この発明の駆動トルク制御手段に相当する。さらに、図3は請求項3に対応しており、図3のステップS24の機能的手段が、この発明のトルク増大手段に相当し、ステップS25の機能的手段が、この発明の駆動トルク制御手段に相当し、ステップS32の機能的手段が、この発明の滑り限界検知手段に相当する。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、伝動機構に滑りが発生した場合は、その伝動機構にトルクを入力している動力源のトルクを低下させるので、伝動機構の滑りを迅速に収束させることができる。また、駆動トルク調整機構によって駆動トルクの低下を抑制もしくは防止でき、そのため、動力源のトルクの変化に起因するショックや失速感などの違和感を防止することができる。
【0064】
また、請求項2の発明によれば、モータ・ジェネレータのトルクが伝動機構に入力されているときにそのモータ・ジェネレータのトルクを低下させるか、またはエンジンのトルクを伝動機構に入力し、かつ、モータ・ジェネレータで回生をおこなっているときにその回生量を増大させることにより、伝動機構に入力されるトルクを低下させることにより、請求項1の発明と同様の効果を得ることができる。
【0065】
さらに、請求項3の発明によれば、伝動機構に滑りを生じさせるように、動力源から伝動機構に入力されるトルクを増大させて、伝動機構で滑りが生じたときのトルクに基づいて、伝動機構の滑り限界を求める。また、伝動機構に入力されるトルクの増大に伴う車両全体の駆動トルクの増大を抑制するように、駆動トルク調整機構のトルクを制御する。したがって、意図しない動力源のトルクの変化に起因するショックや失速感などの違和感を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の制御装置による制御の一例を説明するためのフローチャートである。
【図2】 図1の制御を実行した場合のタイムチャートの一例を示す図である。
【図3】 この発明の制御装置による他の制御例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図4】 図3に示す制御を実行した場合のタイムチャートの一例を示す図である。
【図5】 この発明で対象とする伝動機構を含む伝動系統の一例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…無段変速機、 5…エンジン(動力源)、 13…駆動プーリ、 14…従動プーリ、 17…ベルト、 20…駆動輪、 21…モータ・ジェネレータ、 22…ブレーキ、 27…変速機用電子制御装置(CVT−ECU)、 28…エンジン用電子制御装置(E/G−ECU)。
Claims (3)
- 走行のための駆動力を発生する動力源の出力側に伝動機構が連結されるとともに、その伝動機構を介さずに、駆動輪に正トルクまたは負トルクを付与して車両全体で生じる駆動トルクを増減させる駆動トルク調整機構を備えた車両の動力源と伝動機構との協調制御装置において、
前記伝動機構での滑りを検出する滑り検出手段と、
前記伝動機構での滑りが検出された場合に前記動力源から前記伝動機構に入力されるトルクを低下させるトルク低下手段と、
前記動力源から前記伝動機構に入力されるトルクを低下させることに伴う前記車両全体の駆動トルクの低下を補うように、前記駆動トルク調整機構を制御する駆動トルク制御手段と
を備えていることを特徴とする車両の動力源と伝動機構との協調制御装置。 - 前記動力源にエンジンおよびモータ・ジェネレータが含まれており、
前記トルク低下手段は、前記モータ・ジェネレータのトルクが前記伝動機構に入力されているときにそのモータ・ジェネレータのトルクを低下させるか、または前記エンジンのトルクを前記伝動機構に入力し、かつ、前記モータ・ジェネレータで回生をおこなっているときにその回生量を増大させることにより、前記伝動機構に入力されるトルクを低下させる手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の動力源と伝動機構との協調制御装置。 - 走行のための駆動力を発生する動力源の出力側に伝動機構が連結されるとともに、その伝動機構を介さずに、駆動輪に正トルクまたは負トルクを付与して車両全体で生じる駆動トルクを増減させる駆動トルク調整機構を備えた車両の動力源と伝動機構との協調制御装置において、
前記伝動機構に滑りを生じさせるように、前記動力源から前記伝動機構に入力されるトルクを増大させるトルク増大手段と、
前記トルク増大手段により前記伝動機構に入力されるトルクが増大されて前記伝動機構で滑りが生じたときのトルクに基づいて、前記伝動機構の滑り限界を求める滑り限界検知手段と、
前記伝動機構に入力されるトルクの増大に伴う前記車両全体の駆動トルクの増大を抑制するように、前記駆動トルク調整機構を制御する駆動トルク制御手段と
を備えていることを特徴とする車両の動力源と伝動機構との協調制御装置。
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