JP4472042B2 - クランプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はクランプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、工作機械のパレット等の被クランプ体を作業位置に固定する場合、被クランプ体を作業位置でクランプするクランプ装置が用いられている。クランプ装置としては、その駆動源として油圧シリンダを中心として構成されたものや、空圧シリンダを中心として構成されたものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、油圧シリンダを用いたクランプ装置では、作動油の交換や処理の手間があり、しかも油漏れによる作業環境の悪化という問題もある。また、空圧シリンダを用いたクランプ装置では、空気漏れが避けられず、しかも、空圧シリンダにおいては必要なクランプ力を得るために油圧ブースタが用いられることから、上記油圧シリンダを用いた場合と同様の問題を抱えている。さらに、油圧,空圧のいずれのシリンダを用いた場合であっても、エネルギーロスが大きいという問題や、油圧,空圧の各回路が必要で装置全体として大型かつ複雑となってコスト高となるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、クリーンでエネルギーロスの少ないクランプ装置を提供することを主要課題の一つとしている。また、コンパクトで低コストのクランプ装置を提供することを主要課題の一つとしている。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記課題を解決する一つの手段としては、伝達機構を介して駆動源の動力をクランプ出力部に出力し、該クランプ出力部によって被クランプ体を固定するためのクランプ装置であって、前記駆動源をモータとするとともに、前記伝達機構をカム機構としたクランプ装置が挙げられる。この手段によれば、モータの動力がカム機構を介してクランプ出力に伝達され、これにより被クランプ体が所定位置に固定される。そして、駆動源として油圧シリンダやブースタ付きの空圧シリンダを用いていないことから、作動油の交換や処理の手間が不要となり、しかも油漏れによる作業環境の悪化という問題もない。しかも、シリンダを用いた場合のような大きなエネルギーロスもなく、流体回路も不要であって装置全体としてコンパクトになる。従って、クリーンでエネルギーロスが少なく、しかもコンパクトで低コストのクランプ装置を得ることができる。
【0006】
上記モータはダイレクトドライブモータであることが好ましい。ダイレクトドライブモータは低回転・高トルク特性があり、この特性により減速機を介することなくダイレクトドライブモータのロータを直接カム機構に接続することができ、省スペース化や部品点数の低減や組付け工数の低減という観点で優れている。また、減速機が必要な場合は、たとえモータ使用といえども潤滑油が必要となって環境問題上好ましくないが、このような問題も発生しないという点で優れている。
【0007】
上記モータはロータとステータとを備え、クランプ出力部を包囲するようにして、前記ロータ及びステータを配置することが好ましい。このように構成すれば、クランプ出力部を包囲するようにしてモータが配置されることで、クランプ装置の限られたスペースを有効利用することができ、装置全体のコンパクト化を一層促進することができる。
【0008】
上記カム機構はカム溝を有するカム体とそのカム溝に案内されるカムフォロアとを備え、カムフォロアを入力側に、カム体を出力側に設け、カム体を回転不能にかつ一方向への移動のみ可能に支持し、カム体を前記クランプ出力部と一体的に設けることが好ましい。この手段によれば、カム体を入力側に、カムフォロアを出力側に設ける場合に比べ、カム機構と駆動源及びクランプ出力部との連結構造を簡素化することができる。
【0009】
上記カム機構において、前記クランプ出力部によるクランプ位置を含む所定範囲で圧力角を0ではなくかつ0に近い値に設定することが好ましい。この手段によれば、クランプ位置では圧力角がほぼ0に近い値となることから、クランプ位置でのクランプ力をきわめて大きい値とすることができる。しかも、クランプ位置を含む所定範囲では圧力角を0に近づけているものの0とはしていないため、カム機構が摩耗等してもクランプ位置を僅かに調整することで容易に所望のクランプ力を得ることができる。即ち、前記所定範囲がクランプ力の補償区間(調整区間)としての機能を有することとなる。
【0010】
上記カム機構は、前記駆動源の駆動により前記クランプ出力部をクランプ位置とそのクランプ位置から退避した非クランプ位置との間で往復動させるものであり、クランプ位置と非クランプ位置との間の圧力角よりもクランプ位置を含む所定範囲の圧力角を低く設定することが好ましい。この手段によれば、クランプ位置を含む所定範囲では圧力角が非クランプ位置での圧力角よりも低く設定されているため、クランプ位置と非クランプ位置との位置切換は迅速に行われる一方、クランプ位置でのクランプ力をきわめて大きい値とすることができる。しかも、クランプ位置を含む所定範囲では、カム機構が摩耗等してもクランプ位置を僅かに調整することで容易に所望のクランプ力を得ることができる。即ち、前記所定区間がクランプ力の補償区間(調整区間)としての機能を有することとなる。
【0011】
クランプ位置付近でモータのロータ部の移動を阻止するロック機構を設けることが好ましい。このようにロック機構を備えることで、クランプ時のような作業時にはたとえ停電等が発生しても、ロック機構が作動されてロータ部の回転が阻止されるため、不用意なロータ部の回転によるクランプ出力部の変動を防止することができる。
【0012】
また、ダイレクトドライブモータ等の駆動源やカム機構等の伝達機構はクランプ装置の本体部(ハウジング)に内蔵されていることが好ましい。このように本体部に内蔵すれば装置全体としてのコンパクト化を一層促進できるばかりか、取扱が容易になる。
【0013】
また、クランプ位置からのロータの過回転を防止すべく、過回転防止手段を設けることが好ましい。過回転防止手段としては、カム溝内に前記カムフォロアが当接されるストッパを設ける構成が最適である。特に、ストッパが弾性を有する材料によって構成されていることが、衝撃緩和の観点から一層好ましい。また、ストッパがカム溝に埋め込まれていることが他の部品との干渉を防止する意味で一層好ましい。
【0014】
また、前記カム体を回転不能にかつ一方向への移動のみ可能に支持する手段として、クランプ装置の本体に固定されたスプラインシャフトを用いることが好ましい。このようにスプラインシャフトを用いれば、コンパクト化の一層の促進になるとともにカム体を確実に一方向へのみ移動可能に案内することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1にクランプ装置1全体の断面図を示した。同図に示すように、クランプ装置1のハウジング2は、環状に形成された底壁部3と、その底壁部3の外周縁から起立状態に延びるように筒状に形成された外壁部4と、前記底壁部3の内周縁から起立状態に延びるように筒状に形成された内壁部5とが一体に形成されることにより構成されている。前記ハウジング2には、底壁部3の内周側開口を下方から閉塞するように底蓋6が取付けられるとともに、外壁部4の内周側開口を上方から閉塞するように天蓋7が取付けられている。そして、これらハウジング2と底蓋6と天蓋7によってクランプ装置1の本体部が構成されている。なお、クランプ装置1の本体部構造としては、上記のようにハウジング2と底蓋6と天蓋7とで構成する以外にも、有底筒状のハウジングとその上部開口を閉塞する蓋体とで構成する等、他の構造としてもよい。
【0017】
クランプ装置1の本体部内には、駆動源であるモータとしてのダイレクトドライブモータ(以下、「DDモータ」という)11が収容されている。DDモータ11はステータ12とロータ13とを備え、これらステータ12及びロータ13が、本体部内の中心部分における上下方向に延びる所定の空間を残した状態で当該空間を包囲するようにして配置されている。
【0018】
詳しくは、ステータ12は、固定鉄心にコイルを巻回して構成され、内壁部5の外周側に固定されている。また、ロータ13は、前記空間を包囲するように筒状に形成されるとともに内壁部5の内周側に配置された第1ロータ部14と、その第1ロータ部14に一体的に固定されるとともにステータ12と対向する部分を含む第2ロータ部15と、その第2ロータ部15に前記ステータ12と僅かな間隔をおいて対向するように固定されたマグネット16とから構成され、第1ロータ部14の外周側と内壁部5の内周側との間に設けられたクロスローラベアリング17により支持されている。クロスローラベアリング17はロータ13を全方向支持して前記空間の周囲での回転のみを許容する機能を有し、小さいスペースでロータ13を支持することができる点で優れている。
【0019】
従って、図示しない制御装置からの制御信号に基づいてDDモータ11のステータ12側に設けられたコイルに通電を行うことにより、ロータ13が周方向に回転される。このロータ13の回転角は前記制御装置によって制御される。また、ロータ13の回転角は、回転角検出手段としてのレゾルバ18によって検出される。レゾルバ18から出力される検出信号は前記制御装置に入力されて前記DDモータ11の制御に役立てられる。
【0020】
底蓋6の中央には上下方向に延びるスプラインシャフト21の基端部が固定リング等によって固定されている。即ち、前記DDモータ11が包囲している前記空間にスプラインシャフト21が配設されている。前記固定リング等によって、スプラインシャフト21は上下方向への移動や自身の軸線を中心とした回転が阻止されている。スプラインシャフト21の外周側にはカム体22が上下方向への相対移動可能にかつ回転不能に支持されている。即ち、スプラインシャフト21はカム体22を回転を規制しかつ上下方向への一方向移動のみを許容する案内部材としての機能を有するものであり、この案内部材としては前記スプラインシャフト21以外の例えばリニアガイドレール等であってもよい。
【0021】
カム体22の外周部には周方向へ延びるカム溝23が形成されている。一方、前記ロータ13において、第1ロータ部14の内周側には前記カム溝23内に挿入されるカムフォロア24が設けられている。カムフォロア24は自身の軸線を中心として回動可能とされ、カム溝23内を同カム溝23の延びる方向に沿って高精度に案内される。従って、ロータ13のカム体22周囲での回転によりカムフォロア24が中心へ指向された状態のまま一体回転され、これによりカム体22がスプラインシャフト21に沿って上下動される。そして、前記カム溝23が形成されたカム体22と前記カムフォロア24とによってカム機構が構成されている。
【0022】
カム体22の上方には、クランプ出力部としての出力部31がスプラインシャフト21の軸線と同一軸線上に配置された状態で一体に設けられている。出力部31の内周側にはスプラインシャフト21の先端部が挿入され、出力部31の内周側に設けられたメタル軸受32によって出力部31がスプラインシャフト21に沿って上下方向への相対移動可能とされている。上述のとおり出力部31はカム体22と一体であるため、カム体22の上下方向への移動に追従して出力部31も上下動される。出力部31はその先端部がクランプ装置1の本体部から外部へ突出されている。即ち、天蓋7の中央部には上下方向へ貫通する貫通路33が形成され、貫通路33を通って出力部31の先端部が上方へ指向された状態で突出されている。
【0023】
貫通路33の途中には本体部内側から外側へ向けて順に、出力部31の外周に当接されて出力部31を上下方向へ案内するメタル軸受34、出力部31の外周に圧接されて水分や塵埃の侵入を阻止又は抑制するOリング35及びリップシール36が、それぞれ間隔をおいて配設されている。出力部31の突出端側には前記貫通路33への水分や塵埃の接近を極力低減させるための傘部材37が装着されている。以上の構成によって、このクランプ装置1では、防水性能及び防塵性能を有している。なお、図示しないが、出力部31の先端にはクランプ動作を行うためのクランプ部材が装着されている。
【0024】
図2にカム体22の展開図を示すとともに、図3にロータ13の回転角とカム体22の高さ位置、即ち出力部31の高さ位置との関係を示すグラフ図を示した。図2に示したようなカム溝23の溝形状に基づいて、カム体22の高さ位置、即ち出力部31の高さ位置は、ロータ13の回転角、即ちカムフォロア24の位置に応じて一義的に決定付けられる。そこで、ロータ13の回転角と出力部31の高さ位置との関係を図2及び図3を中心として説明する。
【0025】
ロータ13の回転角が0度から50度の間では圧力角が0度であり、出力部31は所定の高さ位置(15mm位置)に保持される。ここで、この間の所定位置に出力部31のリフト位置(非クランプ位置或いは退避位置として位置付けることもできる。)としての第1位置P1が設定されている。
【0026】
ロータ13の回転角が50度から230度の間では圧力角が一定の高さで変化し、出力部31はこの間でロータ13の回転角が大きくなるにつれ同回転角の変化に比例して一定の速度で降下され、所定の高さ位置(1mm位置)に達する。ここで、ロータ13の回転角が50度となる位置が前記リフト位置からの急降下開始位置となり、この位置を第2位置P2とする。また、ロータ13の回転角が230度となる位置が急降下終了位置となり、この位置を第3位置P3とする。
【0027】
ロータ13の回転角が230度から290度の間では圧力角が前記50度から230度までの圧力角よりも低い値となる一定の高さで変化し、出力部31はこの間でロータ13の回転角が大きくなるにつれ同回転角の変化に比例して前記50度から230度までの速度よりも遅い一定の速度で降下され、所定の高さ位置(−1mm位置)に達する。ここで、この間で出力部31の高さ位置が0mmとなる位置を横切るが、この0mm位置をクランプ位置としての第4位置P4とする。
【0028】
ロータ13の回転角が290度から360度の間では圧力角が0度であり、カム体22は所定の高さ位置(−1mm位置)に保持される。
【0029】
以上の関係において、ロータ13が往復回転されると、カムフォロア24は図2における第1位置P1と第4位置P4との間を往復動し、その間で第2位置P2と第3位置とを経由することとなる。
【0030】
また、カム溝23内には、ロータ13の回転角が290度を越える所定角(但し、360度以内)から360度となる位置にかけてストッパ38が挿入された状態で固定されている。ストッパ38は弾性を有するゴム又は合成樹脂によって構成され、カムフォロア24がカム溝23から逸脱することを防止する機能を有する。
【0031】
クランプ装置1にはロータ13の自由回転を阻止するためのロック機構41が内蔵されている。ロック機構41は、係合部材としての係合ピン42を備え、その係合ピン42は上下に離隔して固定された一対の案内ブロック43,44によって上下方向への移動可能に支持されている。一方、ロータ13において、第2ロータ部15の上部には、その外周側へ突出するように配置されたリング状の係合板45が固定されており、その係合板45には周方向に所定間隔をおいて複数(図1では一つのみ図示)の係合孔46が形成されている。係合ピン42の外周側には同係合ピン42を常時上方、即ち係合孔46側へ付勢する付勢部材としてのコイルスプリング47が設けられている。一方、クランプ装置1の本体部内には流体圧シリンダ48が固定されており、そのピストンロッド49が係合ピン42の軸線方向と平行に往復動可能に配置されている。ピストンロッド49の先端側と係合ピン42の軸線方向中間位置とは連結部材50によって一体に連結されている。
【0032】
さて、以上のように構成されたクランプ装置1を用いてクランプ動作を行う場合について説明する。
【0033】
ロータ13の回転角が0度から50度までの所定位置である第1位置P1に配置された状態では、クランプ装置1は図示しない被クランプ体を15mmだけ上方に持ち上げた状態に保持する。このとき、流体圧シリンダ48へは流体圧が供給されていてピストンロッド49が引き込まれた状態に保持されていることから、係合ピン42がコイルスプリング47の付勢力に抗して下方に配置されている。即ち、ロック機構41は非ロック状態となっており、ロータ13は制御装置の制御信号に応じて回転し得る。
【0034】
その後、制御装置の制御信号に応じてロータ13が正方向に回転し、回転角が50度となる第2位置P2に配置されると、カム溝23の圧力角が高いことにより、回転角が230度となる第3位置P3に至るまで、出力部31が急速に降下される。
【0035】
更にロータ13の正方向への回転は継続され、ロータ13の回転角が230度から290度までの所定位置である第4位置P4に配置されると、ロータ13の回転が停止される。この第4位置P4では出力部31の高さ位置は0mmであり、この位置で被クランプ体は約3500kgfの強い力でクランプされる。このクランプ状態を維持しつつ被クランプ体側で各種作業が行われる。
【0036】
このクランプ状態では、流体圧シリンダ48への流体圧の供給が停止されてコイルスプリング47の付勢力により係合ピン42が係合孔46へ向けて突出される。ここで、クランプ位置にあるときに係合孔46と係合ピン42とが対応するような位置関係を設定しておけば、クランプ時に停電等が発生しても被クランプ体のクランプ状態が保持されることとなる。なお、この時点においても流体圧シリンダ48への流体の供給を維持しておき、停電等が発生したときにはその流体の供給が停止されて自動的にロック状態となるようにしておいてもよく、このように構成した場合には流体圧の制御が容易になる。
【0037】
上記クランプ状態を解除する場合、ロータ13を今までとは逆方向へ回転させる。また、ロック機構41がロック状態にある場合には流体圧シリンダ48へ流体圧を供給してロックを解除する。すると、ロータ13の回転角が230度となる第3位置P3までは出力部31はクランプ解除のために低速での上昇動作が行われ、更にそこからロータ13の回転角が50度となる第2位置P2までは出力部31はリフト位置へ移行するために高速での上昇動作が行われ、やがてリフト位置である第1位置P1に配置されてロータ13の逆方向回転が停止される。
【0038】
また、再度クランプ動作を行なう場合には、以上の動作が繰り返されることとなる。なお、ロータ13が誤って必要以上に正方向に回転されるような事態が発生したとしても、カムフォロア24がストッパ38に当接した時点でそれ以上の回転が阻止される。
【0039】
ここで、カム機構の摩耗、例えばカム溝23やカムフォロア24の摩耗等によって、クランプ位置である第4位置P4で必要なクランプ力が得られないようになった場合には、クランプ位置を当初の第4位置P4よりもロータ13の回転角を大きくした位置に変更すればよい。即ち、ロータ13の回転角が230度から290度の区間では、圧力角を0ではないものの0に近い非常に低い値としているため、現在の第4位置P4からロータ13の回転角が大きくなるように正方向へ余分に回転させれば、再び同じクランプ力を得ることが可能となるのである。このように、ロータ13の回転角が230度から290度までの区間はクランプ力の補償区間(調整区間)としての意義を有する。
【0040】
以上説明した実施の形態によれば、駆動源としてDDモータ11を使用しており、油圧シリンダを駆動源として用いていないので、作動油が不要であって油圧シリンダを用いた場合のような油漏れという不具合を解消することができ、作業環境の悪化を防止することができる。また、空圧や油圧の配管を極力低減することができる。
【0041】
同じく駆動源としてDDモータ11を使用しており、空圧や油圧等のシリンダを使用していない。例えば空圧シリンダを用いた場合には電気エネルギーに対するクランプ出力効率が20パーセント位であるのに対し、DDモータ11を使用した場合には電気エネルギーに対するクランプ出力効率が80パーセント超となるので、エネルギーロスが少なく省エネ効果が高い。
【0042】
一般的なモータは最大回転数が2000〜3000rpm/min程度で最大トルクが5kg・cm程度の高回転・低トルク型であり、これを駆動源として用いるには出力側に減速機を介在させる必要があるが、DDモータ11は最大回転数が100rpm/min程度で最大トルクが150kg・cm程度の低回転・高トルク型であり、これを駆動源として用いる限りにおいて出力側に減速機を介在させる必要がない。その結果、減速機を介在させることなく直接DDモータ11の出力側をカム機構に連結することができ、省スペース化や部品点数の低減や組付け工数の低減という観点で優れている。更に、減速機が必要な場合は、たとえモータ使用といえども潤滑油が必要となって環境問題上好ましくないが、このような問題も発生しないという点で優れている。
【0043】
伝達機構としてカム体22及びカムフォロア24からなるカム機構を用いているので、DDモータ11を一定速度で回転させても、出力部31のクランプ位置と非クランプ位置との間の移動を高速で行う一方、クランプ位置近傍での移動を低速で行うことができるとともにクランプ位置での必要なトルクを得ることができる。
【0044】
出力部31を包囲するようにしてDDモータ11が配置されているので、クランプ装置1の限られたスペースを有効利用することができる。
【0045】
駆動源としてのDDモータ11から出力部31へ動力を伝達するための伝達機構としてカム機構を設けたので、カム溝23の形状に応じて、DDモータ11の回転を一定にしたままで高速移動と低速移動とを両立することができる。
【0046】
クランプ位置ではカム溝23の圧力角の低い補償区間(調整区間)を設定しているので、摩耗等によって所定のクランプ力を得られないようになった場合にはロータ13の回転角を調整することで所定のクランプ力を得ることができる。従って、摩耗等にかかわらず容易に必要なクランプ力を得ることができる。
【0047】
ロック機構41を備えていることにより、停電時や作業時(クランプ時)にはロックされてロータ13の回転が阻止されるため、不用意なロータ13の回転による出力部31の上下変動を防止することができる。
【0048】
ストッパ38を備えていることにより、ロータ13が誤って必要以上に回転されても、カムフォロア24がストッパ38に当接した時点でそれ以上の回転が阻止されるため、例えばカムフォロア24がカム溝23から逸脱するといった故障を回避することができる。しかも、ストッパ38は所定の弾性力を有していることからクッション効果が得られるため、カムフォロア24等のカム機構やDDモータ11からなる駆動源への振動等の悪影響を防止することができる。
【0049】
以上説明した実施の形態において、例えば、次のように構成の一部を適宜変更して実施することも可能である。勿論、以下において例示しない他の変更例も当然可能である。
【0050】
即ち、DDモータ11にカム体22を接続して一体に回転させ、出力部31にカムフォロア24を接続して一体に上下動させるようにすること。この構造ではクランプ装置1が上記実施の形態のものに比べて大型化する点以外は上記実施の形態と同等の効果が得られる。
【0051】
また、出力部31の移動方向、即ちクランプ位置とリフト位置との間の移動方向は、上下方向以外に水平方向や斜め方向であってもよいし、上下方向の場合であっても上動時にクランプ動作を行うようにしてもよい。
【0052】
更に、DDモータ11以外のサーボモータを駆動源として用いてもよい。但し、DDモータ11を用いることが減速機不要という観点で好ましい。
【0053】
更に又、ロック機構41において流体圧シリンダ48を省略して、モータやソレノイドなどを用いてロック状態と非ロック状態との切換えを行うようにしてもよい。このようにすることで、クランプ装置1全体として流体圧関連機器を全てなくすことができる。また、ロック機構41の位置を周方向に位置調節可能としてもよい。更に、ロック機構41自体を省略することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態に係るクランプ装置の断面図。
【図2】カム体の展開図。
【図3】ロータの回転角とカム体、即ち出力部の高さ位置との関係を示すグラフ図。
【符号の説明】
1…クランプ装置、2,6,7…クランプ装置の本体部を構成するハウジング,底蓋及び天蓋、11…駆動源を構成するモータとしてのダイレクトドライブモータ、12…ステータ、13…ロータ、22,23,24…カム機構を構成するカム体,カム溝及びカムフォロア、31…クランプ出力部としての出力部、38…ストッパ、41…ロック機構。
Claims (4)
- 伝達機構を介して駆動源の動力をクランプ出力部に出力し、該クランプ出力部によって被クランプ体を固定するためのクランプ装置であって、
前記駆動源をダイレクトドライブモータとするとともに、前記伝達機構をカム機構とし、
前記ダイレクトドライブモータはロータとステータとを備え、クランプ出力部を包囲するようにして、前記ロータ及びステータを配置し、
前記カム機構はカム溝を有するカム体とそのカム溝に案内されるカムフォロアとを備え、
前記カムフォロアを、前記ダイレクトドライブモータのロータに対し内周方向に向けて突出するよう設けるとともに、前記カム体のカム溝に嵌め込まれるよう構成し、
前記カム体を、前記クランプ出力部と一体的に設けるとともに、回転不能にかつ前記クランプ出力部の軸線方向への移動のみ可能となるよう構成し、
前記駆動源の駆動に基づき、前記ロータが所定方向へ回動し、前記カムフォロアからの応力が前記カム体を介して前記クランプ出力部に伝達されることで、前記クランプ出力部をクランプ位置とそのクランプ位置から退避した非クランプ位置との間で往復動可能としたことを特徴とするクランプ装置。 - 前記カム機構において、前記クランプ出力部によるクランプ位置を含む所定範囲で圧力角を0ではなくかつ0に近い値に設定した請求項1に記載のクランプ装置。
- クランプ位置と非クランプ位置との間の圧力角よりもクランプ位置を含む所定範囲の圧力角を低く設定した請求項1又は2に記載のクランプ装置。
- クランプ位置付近でモータのロータ部の移動を阻止するロック機構を設けた請求項1乃至3のいずれかに記載のクランプ装置。
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