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JP4470477B2 - 耐油紙用重合体ラテックス及び耐油紙 - Google Patents

耐油紙用重合体ラテックス及び耐油紙 Download PDF

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Description

本発明は、耐油紙用重合体ラテックス、その製造方法、耐油紙用塗工組成物及び耐油紙に関し、さらに詳しくは、食品包装用として好適に使用できる、臭気が極めて少なく、耐油性、耐ブロッキング性および離解性に優れる耐油紙を与える耐油紙用重合体ラテックス、その製造方法、該耐油紙用重合体ラテックスを主成分として含む耐油紙用塗工組成物及びそれを用いた耐油紙に関する。
耐油紙は、油脂の浸透を抑制ないし防止する機能を有する紙であり、チョコレート、スナック菓子、フライドチキンなど油脂分を含む食品に接するシートや包装体として汎用されている。
紙に耐油性を付与する方法としては、耐油性の合成樹脂フィルムを紙表面にラミネートする方法がある。しかしながら、このような耐油紙は、耐油紙使用後にリサイクルしようとする場合に、離解性がなく、再生原料として回収が困難であるという欠点を有する。
そこで、古紙として回収し、離解して再利用可能な耐油紙が求められている。
例えば、ガラス転移温度が10〜28℃であるアクリル系エマルジョンを塗布した耐油紙が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この耐油紙は、耐油性が未だ不充分である上、原紙に塗布・乾燥した直後など比較的高温の条件下での耐ブロッキング性についても満足いくものではなかった。
また、ガラス転移温度が−20〜25℃のコア部とガラス転移温度が90〜140℃のシェル部とからなるコアシェル型アクリル系エマルジョンを塗布した耐油紙が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、この耐油紙は、比較的耐ブロッキング性に優れるものの、離解性及び耐油性が不十分であった。
さらに、顔料100重量部に対して、アクリル系エマルジョンとスチレン−ブタジエン系エマルジョンとの混合物50〜200重量部を配合してなる塗料を原紙に塗布した耐油紙が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この耐油紙は、耐油性に優れ、比較的離解し易いものの、耐ブロッキング性は不十分であった。
一方、耐油紙を食品包装に用いた場合、耐油紙の臭気が内容物に移り、内容物の商品価値を著しく低下させる場合がある。そこで、食品包装に好適な、極めて低臭気の耐油紙が求められている。
しかしながら、前記した従来の耐油紙では、臭気の点で問題が発生する場合があった。
特開平9−111693号公報 特開2001−303475号公報 特開2002−13095号公報
本発明の目的は、上記事情に鑑み、臭気が極めて少なく、耐油性および耐ブロッキング性に優れ、離解しやすい耐油紙を与える耐油紙用重合体ラテックス、該耐油紙用重合体ラテックスを主成分として含む耐油紙用塗工組成物及びそれを用いた耐油紙を提供することにある。
本発明者らは、この目的を達成すべく鋭意研究を行った結果、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の存在下に単量体を重合して得られた特定のガラス転移温度の重合体を含み、かつ臭気強度がある値以下である重合体ラテックスにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、水性媒体中、ビニルアルコール系重合体の存在下、界面活性剤を使用せずに、共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体から選ばれる1種以上と、単量体全量中0.5〜10重量%のエチレン性不飽和カルボン酸単量体とからなる単量体混合物を重合して得られる、ビニルアルコール系重合体が前記単量体混合物に由来する重合体にその全量に対して1〜15重量%結合した、ガラス転移温度が−10〜45℃の重合体を含む耐油紙用重合体ラテックスであり、固形分濃度が30重量%の該重合体ラテックスについて、JIS K 0101に従い測定した臭気強度が100,000以下である耐油紙用重合体ラテックスが提供される。
また、本発明によれば、前記重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、50〜150重量部の水蒸気を該重合体ラテックスに吹き込み、水蒸気蒸留する耐油紙用重合体ラテックスの製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、前記耐油紙用重合体ラテックスを主成分として含む耐油紙用塗工組成物が提供される。
さらにまた、本発明によれば、原紙上に、前記の耐油紙用塗工組成物を塗工してなる耐油紙が提供される。
本発明によれば、食品包装に好適に使用できる、臭気が極めて少なく、耐油性、耐ブロッキング性および離解性に優れる耐油紙を与える耐油紙用重合体ラテックス、その製造方法、該耐油紙用重合体ラテックスを主成分として含む耐油紙用組成物及びそれを用いた耐油紙が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の耐油紙用重合体ラテックスは、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の存在下、単量体を重合して得られるガラス転移温度が−20〜50℃の重合体を含む耐油紙用重合体ラテックスであり、固形分濃度が30重量%の該重合体ラテックスについて、JIS K 0101に従い測定した臭気強度が200,000以下であることを特徴とする。
本発明の耐油紙用重合体ラテックスは、水性媒体中、アルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物の存在下、単量体を重合して得られるガラス転移温度が−20〜50℃の重合体を含むものである。
単量体としては、ラジカル重合可能なものであれば特に制限されないが、例えば、共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体などが挙げられる。
共役ジエン単量体として、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−クロル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。なかでも、1,3−ブタジエンが好ましく使用できる。
芳香族ビニル単量体として、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、トリクロルスチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンなどが挙げられる。なかでも、スチレンが好ましく使用できる。
エチレン性不飽和ニトリル単量体として、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−クロロプロペンニトリル、2−ブテンニトリルなどが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリロニトリルが好ましく使用できる。
エチレン性不飽和カルボン酸単量体として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体及びその無水物;フマル酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチルなどのエチレン性不飽和多価カルボン酸単量体の部分エステル化物;などが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体として、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体として、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどが挙げられる。
これら単量体以外にも、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル単量体;エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのモノオレフィン単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドンなどを使用することができる。
上記の単量体は、1種又は2種以上を選択して使用することができる。
上記の単量体のうち、共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体、エチレン性不飽和カルボン酸単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体が好ましく使用できる。
得られた重合体ラテックスの機械的安定性および配合安定性に優れる点で、エチレン性不飽和カルボン酸単量体を必須で使用することが好ましく、その使用量は、重合で使用する単量体全量に対して0.5〜10重量%の範囲であることがより好ましい。
本発明で用いる水性媒体としては、通常、水が使用でき、メタノール、エタノールなどのアルコール;アセトン、テトラヒドロフランなどの水溶性有機溶媒を含有する水溶液を使用することもできる。
水性媒体の使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは90〜900重量部、より好ましくは100〜500重量部である。
本発明で用いるアルコール性水酸基を含有する水溶性高分子化合物(以下、「アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物」と略する場合がある。)としては、例えば、ポリビニルアルコール及びその各種変性物などのビニルアルコール系重合体;アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシルメチルセルロースなどのセルロース誘導体;アルキル澱粉、カルボキシルメチル澱粉、酸化澱粉などの澱粉誘導体;アラビアゴム、トラガントゴム、ポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。なかでも、工業的に品質が安定したものを入手しやすい点から、ビニルアルコール系重合体が好ましく使用できる。
前記ビニルアルコール系重合体は、実質的に水溶性であって安定なラテックスが得られるものであれば、その他の条件には制限はなく、カルボン酸ビニルエステル単量体を主体とするエチレン性不飽和単量体を従来公知の方法で重合して得たカルボン酸ビニルエステル重合体(即ち、カルボン酸ビニルエステル単量体の単独重合体、2種以上のカルボン酸ビニルエステル単量体の共重合体、並びにカルボン酸ビニルエステル単量体およびこれと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量体の共重合体)を常法によりけん化して得られる。また、分子の主鎖、側鎖又は末端にメルカプト基などの変性基を導入したものを使用することもできる。
前記カルボン酸ビニルエステル単量体としては、ラジカル重合可能なものであればいずれも使用でき、その具体例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸イソプロペニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどを挙げることができる。なかでも工業的に製造され安価な酢酸ビニルが一般的である。
また、カルボン酸ビニルエステル単量体と共重合可能なエチレン性不飽和単量体を1種以上共存させ、共重合することも可能である。これら共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのモノオレフィン単量体;アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸モノエチル、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、無水イタコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピルなどのエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;メチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどのビニルエーテル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル単量体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル単量体;酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;及び3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、3−メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム基含有単量体;ビニルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
前記カルボン酸ビニルエステル重合体のけん化度は、変性基の有無及びその種類に依存して変化するが、得られるビニルアルコール系重合体の水溶性などの観点から、40〜99.99モル%であることが好ましく、50〜99.9モル%がより好ましく、60〜99.5モル%が更に好ましい。けん化度が40モル%未満の場合には重合体粒子の分散安定性が低下する。前記カルボン酸ビニルエステル重合体の粘度平均重合度は、通常、50〜8,000、好ましくは100〜6,000、より好ましくは100〜5,000である。
アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の使用量は、重合に使用する単量体100重量部当たり、好ましくは0.5〜100重量部であり、より好ましくは0.5〜50重量部、特に好ましくは1〜20重量部である。水溶性高分子化合物をこの範囲で使用して得られた重合体ラテックスを用いると、耐油性および耐ブロッキング性に優れ、より離解しやすい製品を得ることができる。
この使用量が少なすぎると、重合時の安定性が低下して凝集物が多量に発生したり、得られた重合体ラテックスの機械的安定性及び化学的安定性が低下したりする傾向があり、逆に多すぎると、重合系の粘度上昇による反応熱除去が困難になったり、得られた重合体ラテックスの粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難となったりする傾向がある。
重合体ラテックスの製造においては、乳化重合において通常使用される、ノニオン性、アニオン性、カチオン性又は両性界面活性剤などの各種の界面活性剤を、本発明の効果を実質的に損なわない範囲で併用してもよいが、使用しないことが好ましい。前記界面活性剤を併用する場合、その使用量は、重合に使用する単量体100重量部当たり、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下である。
単量体の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合反応と並行して、単量体を連続的または断続的に反応容器に添加する方法、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合安定性に優れる点で、重合反応と並行して、単量体を連続的に反応容器に添加する方法が好ましく採用できる。
単量体を連続的に反応容器に添加する場合の単量体の添加速度は、特に制限はないが、重合系内の重合転化率(この重合転化率は、その時点で、既に反応容器に添加された単量体全量に対する重合転化率をいう。)が10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上を保つように制御するのが好ましい。この添加速度が速すぎると、重合安定性が低下して、粗大凝集物が発生しやすい傾向があり、逆に遅すぎると、重合系の粘度が上昇して重合反応熱の除去が困難になる傾向がある。
アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合反応と並行して、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を連続的または断続的に反応容器に添加する方法、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合安定性に優れる点で、重合反応と並行して、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物を連続的に反応容器に添加する方法が好ましく採用できる。
単量体およびアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の添加方法としては、両者を別々に反応容器に添加しても、両者を混合して反応容器に添加してもよい。なかでも、重合安定性に優れる点で、両者を混合して反応容器に添加する方法が好ましく、単量体、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物および水性媒体を混合して得られる単量体乳化物を反応容器に添加する方法がより好ましく採用できる。
重合体ラテックスの製造においては、単量体の重合をアルコールの存在下で行なうことが好ましい。アルコールの存在下に重合を行なうことにより、粗大凝集物の発生を抑制しながら、安定的に重合反応を行なうことができる。
ここで使用できるアルコールは、格別限定されることはなく、1価及び多価のいずれでもよいが、水溶性のものが好ましい。このようなアルコールの具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどを挙げることができる。
アルコールの使用量は、重合に使用する単量体100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは2〜20重量部である。
アルコールの添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。なかでも、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法が好ましく採用できる。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤であれば特に限定されないが、過酸化物ラジカルを発生するものを使用することが好ましい。
過酸化物ラジカルを発生する重合開始剤の具体例としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などの水溶性過酸化物;t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどの油溶性過酸化物;過酸化物と重亜硫酸水素ナトリウムなどの各種還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤などを挙げることができる。なかでも水溶性過酸化物が好適であり、過硫酸塩が特に好適である。
重合開始剤の使用量は、単量体100重量部に対して、通常、0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜4重量部である。
重合開始剤の添加方法には特に制限はなく、例えば、重合開始前の反応容器に全量を投入する方法や、重合開始前の反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部をある特定の時期に追加添加する方法、重合開始前に反応容器に一部を投入して重合を開始した後、残部を連続的又は断続的に重合系に添加する方法などを採り得る。
重合に際しては、必要に応じて、連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、連鎖移動が起こるものであれば特に制限はなく、例えば、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ステアリルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−エチルヘキシルチオグリコレートなどのメルカプト基を有する化合物;ジメチルキサントゲンジサルファイド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイドなどのキサントゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、1,1,3−トリメチル−3−フェニルインダンなどのα−メチルスチレンダイマー類;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラム系化合物;2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノールなどのフェノール系化合物;アリルアルコール、アクロレイン、メタクロレインなどのアリル化合物;ジクロルメタン、ジブロモメタン、四塩化炭素、四臭化炭素などのハロゲン化炭化水素化合物;α−ベンジルオキシスチレン、α−ベンジルオキシアクリロニトリル、α−ベンジルオキシアクリルアミド、ターピノレン、トリフェニルエタン、ペンタフェニルエタンなどを挙げることができる。これらの連鎖移動剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖移動剤を使用する場合、その使用量は、単量体100重量部に対して、通常、5重量部以下である。連鎖移動剤の添加方法は、特に限定されず、一括添加しても、断続的に又は連続的に重合系に添加してもよい。
重合においては、上記したもの以外に、乳化重合において通常使用される、粒子径調整剤、キレート剤、脱酸素剤、分散剤、pH調整剤、無機塩などの重合副資材を適宜用いることができる。
重合温度は、特に制限はないが、通常、0〜100℃、好ましくは50〜95℃である。
以上のようにして重合反応を行い、所定の重合転化率に達した時点で、重合停止剤を添加したり、重合系を冷却したりして、重合反応を停止する。重合反応を停止する際の重合転化率は、好ましくは92重量%以上、より好ましくは95重量%以上である。重合反応を停止した後、所望により、未反応単量体を除去し、pHや固形分濃度を調整して重合体ラテックスが得られる。
重合体のガラス転移温度は、−20〜50℃、好ましくは−10〜45℃である。ガラス転移温度が低いと耐ブロッキング性および離解性に劣り、逆に高いと重合体ラテックスが成膜し難くなるために満足いく耐油紙が得られなくなる。
なお、このガラス転移温度は、常法に従い、前記の単量体の中から適宜その種類と使用量を選択することにより調節できる。
重合体ラテックスを構成する重合体は、重合に使用した単量体に由来する重合体と、重合に使用したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の一部とが結合したものであることが好ましい。
重合に使用した単量体に由来する重合体に結合したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の量(以下、「グラフト率」という場合がある。)は、重合に使用した単量体に由来する重合体全量に対して、好ましくは0.5〜50重量%、より好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜15重量%である。
このグラフト率が少なすぎると耐油性の確保が困難になり、逆に多すぎると、ラテックス粘度が上昇して取り扱い難くなる傾向がある。
重合体ラテックスの体積平均粒子径は、好ましくは80〜800nm、より好ましくは100〜600nmである。粒子径が上記範囲にあると、耐水性および耐油性のバランスにより優れる耐水耐油紙が得られる。この粒子径は、アルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の種類や使用量および重合開始剤の使用量を適宜選択するなどして調節できる。
重合体ラテックスには、所望により、従来公知のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、抗菌剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、流動性改良剤、ブロッキング防止剤などの添加剤を適宜添加することができる。
本発明の耐油紙用重合体ラテックスは、固形分濃度が30重量%のものについて、JIS K 0101に従い測定した臭気強度が200、000以下のものである。この臭気強度は、好ましくは150、000以下、より好ましくは100,000以下である。臭気強度が大きい重合体ラテックスを用いて耐油紙を製造すると、耐油紙の臭気が強く、これを食品包装に使用するのは不適である。
本発明の耐油紙用重合体ラテックスの製造方法は、前記の重合体ラテックスを得た後、該重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、30〜200重量部の水蒸気を該重合体ラテックスに吹き込み、水蒸気蒸留することを特徴とする。
水蒸気の総吹込み量は、重合体ラテックス固形分100重量部に対して、30〜200重量部、好ましくは40〜180重量部、より好ましくは50〜150重量部である。この量が少ないと臭気強度が大きくなり、逆に多いと粗大な凝集物が発生したり、加熱時間が長くなって、重合体ラテックスが変質して耐油性が低下したりする。
水蒸気温度は、通常、100℃以上、好ましくは100〜140℃、より好ましくは101〜120℃である。
水蒸気の吹き込み速度は、重合体ラテックス固形分100重量部に対して、1時間あたり1〜50重量部が好ましく、5〜20重量部がより好ましい。
水蒸気蒸留する際の系内の圧力は、減圧状態から加圧状態まで、いずれの状態でも構わないが、−80kPa〜0kPa(ゲージ圧)の範囲とすることが好ましく、−60kPa〜−10kPa(ゲージ圧)の範囲とすることがより好ましい。
また、系内のラテックス温度が80〜100℃、より好ましくは85〜100℃を維持するように水蒸気蒸留することが好ましい。
尚、水蒸気蒸留する前に、例えば、加熱下又は非加熱下で、常圧又は減圧の状態で、1,3−ブタジエンなどの比較的低沸点の未反応単量体を除去してもよい。
本発明の耐油紙用塗工組成物は、前記の耐油紙用重合体ラテックスを主成分として含むものである。
耐油紙用塗工組成物中の耐油紙用重合体ラテックスの含有量(固形分換算)は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。勿論、前記の耐油紙用重合体ラテックスのみを耐油紙用塗工組成物として用いることができる。
本発明の耐油紙用塗工組成物には、例えば、顔料、ワックスエマルジョン、水溶性高分子などを配合することができる。
顔料としては、例えば、クレー、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、硫酸バリウム、雲母、酸化チタン、サチンホワイト等の無機顔料;プラスチックピグメント等の有機顔料が挙げられる。顔料の配合量は、耐油紙用重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下、特に好ましくは10重量部以下である。
ワックスエマルジョンとしては、例えば、パラフィン系ワックス、ポリエチレン系ワックス、マイクロクリスタリン系ワックスからなるエマルジョンが挙げられる。ワックスエマルジョンの配合量は、耐油紙用重合体ラテックス固形分100重量部に対して、固形分で、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
本発明の耐油紙用塗工組成物は、本発明の効果を実質的に損なわない限り、前記の耐油紙用重合体ラテックス以外の重合体ラテックスを配合したものであってもよい。
本発明の耐油紙用塗工組成物には、所望により、例えば、分散剤、可塑剤、消泡剤、pH調整剤、老化防止剤、防腐剤、抗菌剤、流動性改良剤、ブロッキング防止剤などの添加剤を適宜添加することができる。
本発明の耐油紙は、前記耐油紙用塗工組成物を原紙に塗工してなる。
原紙としては、板紙、洋紙いずれでもよく、坪量が10〜1500g/m2のものが使用できる。また、原紙としては、予めサイズ剤によって耐水性を付与したものや、顔料を塗工した塗工紙であっても、印刷を施したものであってもよい。
塗工方法は、特に限定されないが、例えば、ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、カーテンコーター、ショートドゥエルコーター等の塗工装置を用いることができる。塗工後、乾燥することにより、耐油紙が得られる。
乾燥温度は通常50℃以上である。
塗工量は、耐油紙用塗工組成物の固形分換算で、片面あたり、好ましくは1〜30g/m2、より好ましくは3〜15g/m2である。
塗工後、さらにスーパーカレンダー、ソフトニップカレンダーなどの仕上げ装置を通して、平滑化処理を行なってもよい。
本発明の耐油紙は、フライドポテト、フライドチキン、てんぷら、コロッケ、パン、スナック菓子、洋菓子等の油脂分を含む食品用シート、皿、カップ、包装紙及び包装箱として好適に使用できる。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例において、「%」及び「部」はとくに断らない限りすべて重量基準である。
評価は以下のように行なった。
重合体ラテックスの評価方法
(重合体ラテックスのガラス転移温度)
得られた重合体ラテックスをガラスモールドに流延し、厚さ0.3mmの乾燥フィルムを作成した。このフィルムについて、示差走査熱量計を用いて、昇温速度10℃/分で、−100〜150℃の測定温度範囲で測定した。
(重合体ラテックスの体積平均粒子径)
光散乱粒子径測定器(コールターLS230:コールター社製)を用いて測定した。
(重合体ラテックスにおけるグラフト率)
得られた重合体ラテックスの固形分濃度を10%に調整して、その60gを試料とする。試料を、5℃で、13,000rpm、60分間の条件で遠心分離し、上澄み液を40g回収する。沈降層(20g)に蒸留水40gを添加して均一にした後、同一条件で再度遠心分離して、上澄み液40gを回収し、沈降層について再度同一操作を繰り返す。3回の遠心分離で得られた上澄み液合計120gの固形分を測定し、上澄み液中の固形分量を計算する。これが、重合で生成した重合体に結合しなかったポリビニルアルコールの量(A)である。試料中における仕込みから計算される全ポリビニルアルコールの重量(B)より(A)を減じて、重合で生成した重合体に結合したポリビニルアルコールの量(C)とする。これらの値から、下記式によりグラフト率(重合に使用した単量体に由来する重合体100部に対して、該重合体に結合したアルコール性水酸基含有水溶性高分子化合物の量(%))を計算する。
グラフト率=〔C/(6−B)〕×100(%)
(臭気強度)
固形分濃度を30%に調整した重合体ラテックスを試料として、JIS K
0101に従い、臭気強度(倍)を測定した。この値が小さいほど、重合体ラテックス中の臭気成分の量が少ない。
耐油紙の評価方法
(耐油性)
TAPPI(Technical Association of Pulp and Paper Industry) UM−557の規定に従い、ひまし油、トルエンおよびn−ヘプタンから成り、それぞれの混合比が異なる試験液を耐油紙の塗工面に1滴滴下し、15秒後にティシューペーパーで滴下した試験液をふき取る。塗工面の試験液の浸透による汚れ、すなわち油分がしみこんで汚れた部分が生じなくてもはっきりとした黒い点が認められたら不合格とし、合格した最大の液番号を、耐油度として示す。この値が大きいほど、耐油性に優れる。
第1表に試験液の混合比と耐油度を示す。
Figure 0004470477
(耐ブロッキング性)
耐油紙の塗工面と市販の上質紙を対面させ、それを線圧100kg/cmの条件で、上質紙が加熱ロールに接するように、150℃の加熱ロールと弾性ロールとの間を一度通過させた。処理後の試験片の温度が室温まで戻った後、耐水耐油紙と上質紙を手で剥がし、以下の基準で評価した。一つのサンプルについて、10回試験を行い、単純平均化した点数で示す。
5点:きれいに剥がれる。
4点:10%未満の部分に、上質紙が融着している。
3点:10〜30%の部分に、上質紙が融着している。
2点:30%を超え、50%以下の部分に、上質紙が融着している。
1点:塗工液の50%を超える部分に、上質紙が融着している。
(離解性)
耐油紙を裁断して、3cm×3cmの大きさの試験片を製作する。この試験片を合計10gとなる枚数を(ただし、これらの試験片の重量が10gに満たない場合は、さらに耐油紙を裁断した小片を1枚追加し、合計量を10gとする。)、30℃の水道水500gに投入する。これをミキサーに入れて、10分間攪拌し、離解処理を行なった。得られたスラリーを取り出し20cm×25cmの大きさに手抄きし、120℃のオーブンで20分間乾燥した。得られたシート中の未離解物(塗膜片、紙片など)を目で観察して評価した。
未離解物の最大のものが、2mm四方未満の場合○、2mm四方〜5mm四方未満の場合△、5mm四方を越える場合は×で示し、夫々以下のように判断した。
○:離解性に優れる。
△:離解性がやや劣る。
×:離解性が劣る。
(臭気:カルモアΣ上昇値)
20cm四方に切断した塗工紙を、内容積100mlのガラス容器に入れ、蓋
で密封した後、40℃の恒温槽に4時間放置した。その後、取り出したガラス容器の蓋を外し、臭い成分測定装置(KALMOR−Σ:株式会社カルモア製)を用いて、ガラス容器内部のカルモアΣ値の最大値を測定した。
このカルモアΣ値の最大値から、別途測定した測定室内のカルモアΣ値を減じて、カルモアΣ上昇値を求めた。この数値が小さいほど臭気成分が少なく、概ね200以下であれば、不快な臭気として感知されない。
(実施例1)
(重合体ラテックスの製造)
耐圧容器に、脱イオン水130部、スチレン56部、メタクリル酸4部、1,3−ブタジエン40部及びポリビニルアルコール(粘度平均重合度500、ケン化度88モル%;PVA−205、クラレ社製)15部を仕込み、混合・撹拌して単量体乳化物を得た。
耐圧反応器に、脱イオン水47部、エタノール4部を仕込み、80℃に昇温した。80℃を維持しながら、過硫酸カリウム2.0部を脱イオン水35部に溶解した水溶液を添加した後、前記の単量体乳化物を、4時間30分間に亘り、反応器に連続的に添加した。単量体混合物の添加を完了した後、更に3時間反応を継続し、次いで、重合系を冷却して重合反応を停止した。この時の重合転化率は96%であった。
得られた重合体ラテックスに、該重合体ラテックスの固形分100部に対して、100部に相当する115℃の水蒸気を、一定の吹き込み速度で10時間に亘り吹き込むと共に、−40kPaの減圧度で水蒸気蒸留を行なった。その後、固形分濃度とpHを調整して、固形分濃度が30%、pHが7の重合体ラテックスAを得た。重合体ラテックスAの物性を測定し、その結果を第2表に示す。
(耐油紙の製造)
秤量310g/m2のコート白ボール原紙の片面に、重合体ラテックスAを、乾燥固形分量で6g/m2になるように塗工し、100℃の熱風乾燥機で30秒間乾燥した。その後、温度23℃、相対湿度65%の恒温恒湿室に、1昼夜放置して耐油紙を得た。この耐油紙の耐油性、耐ブロッキング性、離解性および臭気の評価を行いその結果を第2表に示す。
(実施例2〜4)
第2表に示す単量体組成、ポリビニルアルコール量、吹き込み水蒸気量および水蒸気吹き込み速度に変更する以外は、実施例1と同様にして、重合体ラテックスB〜Dを得た。これらの重合体ラテックスの物性を第2表に示す。
重合体ラテックスAに代えて、重合体ラテックスB〜Dを用いる以外は、実施例1と同様にして、耐油紙を得た。耐油紙の物性を測定し、それらの結果を第2表に示す。
(比較例1及び2)
第2表に示す単量体組成、吹き込み水蒸気量および水蒸気吹き込み速度に変更する以外は、実施例1と同様にして、重合体ラテックスEおよびFを得た。これらの重合体ラテックスの物性を第2表に示す。
重合体ラテックスAに代えて、重合体ラテックスEおよびFを用いる以外は、実施例1と同様にして、耐油紙を得た。耐油紙の物性を測定し、それらの結果を第2表に示す。
(比較例3)
耐圧容器に、脱イオン水50部、ラウリル硫酸ナトリウム0.2部、メタクリル酸メチル26部、アクリル酸ブチル50部、アクリロニトリル20部及びメタクリル酸4部を添加し、混合・撹拌して単量体乳化物を得た。
耐圧反応器に、脱イオン水60部、ラウリル硫酸ナトリウム0.6部を添加し、80℃に昇温した。80℃を維持しながら、過硫酸カリウム0.5部を脱イオン水10部に溶解した水溶液を添加した後、前記の単量体乳化物を、4時間に亘り、反応器に連続的に添加した。単量体乳化物の添加を完了した後、さらに2時間反応を継続し、次いで、重合系を冷却して重合反応を停止した。この時の重合転化率は98%であった。
得られた重合体ラテックスに、該重合体ラテックスの固形分100部に対して、132部に相当する115℃の水蒸気を、一定の吹き込み速度で11時間に亘り吹き込むと共に、−40kPaの減圧度で水蒸気蒸留を行なった。その後、固形分濃度とpHを調整して、固形分濃度が30%、pHが7の重合体ラテックスGを得た。重合体ラテックスGの物性を測定し、その結果を第2表に示す。
Figure 0004470477
第2表から以下のようなことがわかる。
ガラス転移温度が本発明で規定する下限より低い重合体ラテックスEを用いると、得られた耐油紙の耐ブロッキング性および離解性に劣る(比較例1)。
少量の水蒸気を吹き込んで水蒸気蒸留して得られた、臭気強度が大きい重合体ラテックスFを用いて得られる耐油紙は、臭気成分が多く、食品包装用には適していない(比較例2)。
乳化重合において通常使用されるアニオン性界面活性剤の存在下に単量体を重合して得られた重合体ラテックスGを用いると、得られた耐油紙の耐油性に劣る(比較例3)。
これらの比較例に比べ、本発明の耐油紙用重合体ラテックスを用いると、臭気が極めて少なく、耐油性、耐ブロッキング性および離解性に優れる耐油紙が得られている(実施例1〜4)。これらの耐油紙は、食品包装用にも好適に使用できる。

Claims (4)

  1. 水性媒体中、ビニルアルコール系重合体の存在下、界面活性剤を使用せずに、共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体から選ばれる1種以上と、単量体全量中0.5〜10重量%のエチレン性不飽和カルボン酸単量体とからなる単量体混合物を重合して得られる、ビニルアルコール系重合体が前記単量体混合物に由来する重合体にその全量に対して1〜15重量%結合した、ガラス転移温度が−10〜45℃の重合体を含む耐油紙用重合体ラテックスであり、固形分濃度が30重量%の該重合体ラテックスについて、JIS K 0101に従い測定した臭気強度が100,000以下であることを特徴とする耐油紙用重合体ラテックス。
  2. 水性媒体中、ビニルアルコール系重合体の存在下、界面活性剤を使用せずに、共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、エチレン性不飽和ニトリル単量体およびエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体から選ばれる1種以上と、単量体全量中0.5〜10重量%のエチレン性不飽和カルボン酸単量体とからなる単量体混合物を重合して、ビニルアルコール系重合体が前記単量体混合物に由来する重合体にその全量に対して1〜15重量%結合した、ガラス転移温度が−10〜45℃の重合体を含む重合体ラテックスを得た後、該重合体ラテックスの固形分100重量部に対して、50〜150重量部の水蒸気を該重合体ラテックスに吹き込み、水蒸気蒸留することを特徴とする耐油紙用重合体ラテックスの製造方法。
  3. 請求項1に記載の耐油紙用重合体ラテックスを主成分として含む耐油紙用塗工組成物。
  4. 原紙上に、請求項3に記載の耐油紙用塗工組成物を塗工してなる耐油紙。
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