JP4459784B2 - 履物 - Google Patents

Description

本発明は足を乗せるソールと足の甲を覆うアッパー等の覆い部とを有する履物に係り、特に砂浜等で使用するのに好適なソールの構造を有するサンダルや通気性の高い靴に関するものである。

ビーチサンダルは砂浜等で使用されることに伴ってソール底面に水分を含んだ砂が塊になって付着したり、乾いた砂が舞い上がり、ソール上面に堆積する場合があった。またビーチサンダルを履いたまま水辺やプールサイドの浅瀬に入った場合に、思いの外、水の抵抗を受け、歩き難かったり、足を取られて滑ったりするおそれがある。さらに水に濡れた足のままビーチサンダルを履いた場合には、足の裏がビーチサンダルのソール上面に密着してしまい、蒸れ易くなるという問題も生じていた。

また特許文献１には、下駄台の表面から裏面に貫通する無数の通気孔を設けた指圧効果を有する下駄が開示されている。しかしこれらのサンダルや下駄は指圧効果等を主な目的にしているため、ビーチサンダルに適用した事例とはなっていない。仮に小さな凹凸や孔が形成されているサンダルを砂浜等で使用した場合には、上述の砂の付着の問題が依然生ずるし、口径の小さな孔を設けたとしても、水の抵抗の問題や蒸れの問題は改善されない。

また下記の特許文献１に示すような口径の小さな多数の孔をサンダルに適用した場合には図１２に示すようにサンダル１０１のソール１０３に、ソール１０３の上面から底面にかけて孔１０５が直線的に貫通することとなる。従って誤って図示のような突起物１０７を踏んでしまい、その突起物１０７が孔１０５に嵌ってしまったような場合には、ソール１０３が突起物１０７の進入を妨げるに十分な剛性を有していたとしても突起物１０７がソール１０３を貫通しソール１０３の上面に達してしまう。

上記した蒸れの問題はアッパーが甲全体を覆っている靴おいて特に顕著である。例えば医師や看護師は病院内においても靴を履くことが多いが、勤務が長時間に渡って連続することからどうしても靴内が蒸れてしまい、かなりの不快感を生じることになる。

実開平７−３９５０１号公報

本発明は、このような背景技術及び背景技術が抱えていた問題点を踏まえてなされたものであって、砂等の付着が少なく、水中で使用した場合の水の抵抗が少ない、また、足の裏の蒸れが生じ難く、指圧効果もあり、加えて突起物の貫通が防止でき、意匠的効果の高いサンダル等の履物を提供することを課題とするものである。

請求項１に記載の発明は、足を乗せるソールに足の甲の少なくとも一部を覆う覆い部とを有する履物において、ソールは外形を形作る外枠と、外枠内に適宜の間隔を開けて設けられ、棒状ないし板状の棧要素を適宜組み合わせることによって形成される内棧とを備え、外枠と内棧とによって区切られた開口部は、底面開口と上面開口とが水平方向にずれるように斜めに形成されていることを特徴とする履物である。

請求項２に記載の発明は、請求項１に記載した履物において、履物はサンダルであることを特徴とする履物である。

請求項３に記載の発明は、請求項１または２に記載した履物において、履物は屋内用の靴であることを特徴とする履物である。

請求項４に記載の発明は、請求項２に記載の履物において、覆い部に通気穴が形成されていることを特徴とする履物である。

本発明の履物であるサンダルを、ビーチサンダルとして砂浜で使用したとしても棧要素間に形成される開口面積の大きな間隔と、棧要素の有する易分離形状によって、ソールへの砂の付着は大幅に少なくなる。またソール上面への砂の堆積も生じないし、サンダルを履いて水に入ったとしても水の抵抗が小さいから、歩き易く、転倒等のおそれも少ない。また水に濡れた足のままサンダルを履いたとしても足の裏が蒸れることもない。
また棧要素を構成する材料中にビーズ等の含有物を含有した場合にはサンダルに意匠的効果を付与することが可能となる。またソールに傾斜穴部や斜めに形成した開口部を設けた場合には突起物を踏んだとしても突起物がソール上面に達することもない。また口径の大きな開口部等の存在により、原料コストの削減やサンダルの軽量化も図れる。
本発明の履物である靴も、足の裏が蒸れるのを防止でき、さらにソールに傾斜穴部や斜めに形成した開口部を設けた場合には突起物を踏んだとしても突起物がソール上面に達することもない。また口径の大きな開口部等の存在により、原料コストの削減や軽量化を図ることができる。

以下、図示の実施の形態１〜３を説明する。
図１は実施の形態１に係るサンダルを示す斜視図、図２は実施の形態１に係るサンダルの平面図である。また図３は実施の形態１に係るサンダルの側断面図である。また図４は実施の形態２に係るサンダルを示す斜視図、図５は実施の形態２に係るサンダルを示す側断面図（ａ）及び部分拡大断面図（ｂ）である。また図６は実施の形態３に係るサンダルを示す斜視図、図７は実施の形態３に係るサンダルを示す側断面図（ａ）及び部分拡大断面図（ｂ）である。図８は実施の形態１、３に係るサンダルにおいて棧要素の形状及び配列を変えた他の態様を示す平面図である。また図９は実施の形態１、３に係るサンダルにおいて外枠や棧要素に施す易分離形状の他の態様を示す断面図である。図１０は実施の形態４に係る靴の斜視図、図１１は実施の形態４に係る靴を示す側断面図（ａ）及び部分拡大断面図（ｂ）である。

実施の形態１に係る履物としてのサンダル１は、足を乗せるソール３に、足の甲を覆う覆い部としてのアッパー５ないし鼻緒７を取り付けることによって構成されている。またソール３としては適度な弾性力と剛性を有する材料、例えば硬質ウレタンや合成ゴム等の材料が適用できるが、更に硬質な木製や他の硬質プラスチック材料を使用することも可能である。本実施の形態では、透明ないし半透明の合成樹脂をソール３の材料として使用しており、更に合成樹脂材料中に意匠的効果を有する含有物の一例として種々の色のビーズ１７を散りばめたものを使用している。
尚、上述した点については後述する実施の形態２、３においても同様である。

ソール３は外形を形作る外枠９と、外枠９内に適宜の間隔１１を開けて設けられ、棒状ないし板状の棧要素１３を適宜組み合わせることによって形成される内棧１５とを備えている。外枠９と棧要素１３は中実体に限らず、中空体であっても構わない。
外枠９は足の形に合わせて湾曲形成されており、ソール３の輪郭を構成している。外枠９内にはソール３の長手方向（図２中、左右方向）に沿うように５本の棧要素１３が等間隔に配設されている。

そして隣接する棧要素１３間の間隔１１の寸法Ｃは比較的広めになっていて棧要素１３の幅寸法Ｂの１／３〜３倍の範囲に設定されている。これによりソール３の裏面側からの砂Ａの付着を防止し、ソール３の上面側から進入した砂Ａの排出を容易にしている。
また外枠９及び棧要素１３の周面形状は、付着した砂Ａ等の分離、離脱を容易にする易分離形状に形成されている。本実施の形態では外枠９及び棧要素１３は易分離形状の一例として長円形状に形成されている。

このようにして構成されているソール３には、図１において仮想線に示すようなアッパー５や図１において実線に示す鼻緒７が取り付けられ、サンダル１が完成する。アッパー５は、足の甲を完全に被覆するものの他、足先の指部分等、その一部を被覆しない構成のものが採用できる。
また鼻緒７とアッパー５とを組み合わせたものや、アッパー５を複数本の帯紐状のアッパー要素で編んだメッシュ状のものとすることも可能である。

実施の形態２に係る履物としてのサンダル２１は、ソール３の構成が実施の形態１と相違している。即ち、ソール３は図４、５に示すように通常のサンダルと同じように略平板状に形成されているが、ソール３には図示のように底面開口２３と上面開口２５とが水平方向にずれるように斜めに形成された傾斜穴部２７が複数個設けられている。
また傾斜穴部２７の口径Ｄは比較的大きめに形成されており、３ｍｍ以上、好ましくは５ｍｍ以上に設定されている。

このような傾斜穴部２７を設けることで、図５中、拡大図（ｂ）で示すように突起物２９が底面開口２３から傾斜穴部２７内に進入したとしても、傾斜穴部２７の傾斜した内壁面によってその進入は阻止されるから上面開口２５を通ってソール３の上面に突き抜けるのを防止できる。
また傾斜穴部２７の口径Ｄを比較的大きめに設定することで砂Ａの付着の防止、通気性の確保、水中での水の抵抗の低減も同時に図られている。

実施の形態３に係る履物としてのサンダル３１は、実施の形態１に係るサンダル１の構成と、実施の形態２に係るサンダル２１の構成を組み合わせたような構成を有しており、ソール３の構成が実施の形態１、２と相違している。即ち、ソール３は、図６、７に示すように基本的には実施の形態１と同様、外形を形作る外枠９と、外枠９内に適宜の間隔１１を開けて設けられ、棒状ないし板状の棧要素１３を適宜組み合わせることによって形成される内棧１５とを備えている。
しかし外枠９と内棧１５とによって区切られた開口部３３の構成が実施の形態１と相違しており、この開口部３３に実施の形態２において採用した傾斜穴部２７の構成を採り入れたものである。

即ち外枠９に対して、その内部に棧要素１３を長手方向の軸中心に対して多少傾けた状態で外枠９に取り付けるようにしている。
これにより開口部３３は底面開口２３と上面開口２５とが水平方向にずれるように斜めに形成されるようになっている。
このように構成した場合にも、図７中、拡大図（ｂ）で示すように突起物２９のソール３上面への貫通は実施の形態２と同様に防止される。

実施の形態４に係る履物としての靴４１について説明する。
靴４１は例えば医師や看護師が病院内で履く屋内用のものであって、ソール４２とこのソール４２に取り付けられた覆い部としてのアッパー４３とを有している。
ソール４２には複数の傾斜穴部４５が形成されており、傾斜穴部４５は底面開口４７と上面開口４９とが水平方向にずれるように斜めに形成されている。
また、アッパー４３には多数の通気穴５１が形成されている。

この靴４１は傾斜穴部４５と通気穴５１が形成されているので、内部を空気がスムーズに流通する。従って、足の蒸れを防止することができる。
なお、傾斜穴部４５は底面開口４７と上面開口４９とが水平方向へずれるように斜めに形成されているので、突起物のソール４２上面への貫通は実施の形態２、３と同様に防止される。

以上、本発明を実施するための最良の形態、その具体的実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの形態や実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても本発明に含まれる。
例えば、実施の形態１、３に示すように棧要素１３の形状、配列は図１、２、６に示すように直線状で、すの子状に配列するものに限らず、図８（ａ）、（ｂ）に示すように曲線状の棧要素１３を使用して種々の図柄を模した配列とすることも可能である。因みにこのように構成した場合には、平面的なデザインになり易いサンダルに立体的な模様等を施すことが可能となり、意匠的効果が向上する。

また実施の形態１、３において、外枠９や棧要素１３に施す易分離形状は、前述のように長円形状とする他、図９（ａ）に示すような楕円形、図９（ｂ）に示すようにコーナー部にアールを付けた長方形状のもの、図９（ｃ）に示すような植物の葉を模したような形状、あるいは図９（ｄ）に示すような菱形状等種々の形状を採用することが可能である。
さらにソール３の材料中に散りばめた含有物はビーズ１７の他、貝殻の破片や小石や砂、魚の鱗、色紙（軟質ビニール製のものを含む）の小片、金箔やアルミ箔の小片、あるいは反射テープの小片、造花等、さらに着色したオイル等の液体、その他種々の材料が適用可能である。
実施の形態４に係る靴４１の傾斜穴部４５は底面開口４７と上面開口４９とが水平方向へずれる丸穴状のものとしたが、靴について、ソールを実施の形態１または３のサンダルのソールと同様に外形を形作る外枠と、外枠内に適宜の間隔を開けて設けられ、棒状ないし板状の棧要素を適宜組み合わせて形成してもよい。
また、サンダル或いは靴のソールを、その外形を形作る外枠と、外枠内に適宜の間隔を開けて設けられ、棒状ないし板状の棧要素を適宜組み合わせて形成した場合、ソールの強度を向上させるために、外枠どうしを連結するリブ、外枠と棧要素を連結するリブ及び棧要素どうしを連結するリブの少なくとも１つを設けてもよい。
なお靴は屋内用のものに限らず、屋外において履くものに本発明を適用してもよいのは勿論である。

実施の形態１に係るサンダルを示す斜視図である。 実施の形態１に係るサンダルの平面図である。 実施の形態１に係るサンダルの側断面図である。 実施の形態２に係るサンダルを示す斜視図である。 実施の形態２に係るサンダルを示す側断面図（ａ）及び部分拡大断面図（ｂ）である。 実施の形態３に係るサンダルを示す斜視図である。 実施の形態３に係るサンダルを示す側断面図（ａ）及び部分拡大断面図（ｂ）である。 実施の形態１、３に係るサンダルにおいて棧要素の形状及び配列を変えた他の態様を示す平面図である。 実施の形態１、３に係るサンダルにおいて外枠や棧要素に施す易分離形状の他の態様を示す断面図である。 実施の形態４に係る靴を示す斜視図である。 実施の形態４に係る靴を示す側断面図（ａ）及び部分拡大断面図（ｂ）である。 サンダルに孔を穿けた場合の問題点を示す側断面図である。

符号の説明

１ サンダル（実施の形態１） ３ ソール
５ アッパー ７ 鼻緒
９ 外枠 １１ 間隔
１３ 棧要素 １５ 内棧
１７ ビーズ
２１ サンダル（実施の形態２） ２３ 底面開口
２５ 上面開口 ２７ 傾斜穴部
２９ 突起物
３１ サンダル（実施の形態３） ３３ 開口部
Ａ 砂 Ｂ （棧要素の）幅寸法
Ｃ （間隔の寸法） Ｄ （傾斜穴部）口径
４１ 靴 ４３ アッパー
４５ 傾斜穴部 ４７ 底面開口
４９ 上面開口

Claims (4)

1. 足を乗せるソールと、前記ソールに取り付けられて足の甲の少なくとも一部を覆う覆い部とを有する履物において、ソールは外形を形作る外枠と、外枠内に適宜の間隔を開けて設けられ、棒状ないし板状の棧要素を適宜組み合わせることによって形成される内棧とを備え、外枠と内棧とによって区切られた開口部は、底面開口と上面開口とが水平方向にずれるように斜めに形成されていることを特徴とする履物。
2. 請求項１に記載した履物において、履物はサンダルであることを特徴とする履物。
3. 請求項１または２に記載した履物において、履物は屋内用の靴であることを特徴とする履物。
4. 請求項２に記載の履物において、覆い部に通気穴が形成されていることを特徴とする履物。

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