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JP4452157B2 - 部材内の強度均一性に優れる600〜1200MPa級自動車用高強度部材およびその製造方法 - Google Patents

部材内の強度均一性に優れる600〜1200MPa級自動車用高強度部材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、最大引張強度(TS)で600MPaから1200MPaの強度を有する自動車用の構造用部材、補強用部材、足廻り用部材に関するものであり、特に、衝撃エネルギー吸収特性および疲労特性が要求される部材に好適である。
近年、自動車部材の軽量化のために、ハイテンと呼ばれる高強度鋼板の使用比率が増大している。しかしながら、鋼板が高強度化するほど冷間プレス成形性は低下し、加工度が高い部分で板破断したり、スプリングバック現象により狙いの寸法形状に成形することが極めて難しくなる。このプレス成形性の低下は、600MPa以上の鋼板を冷間プレス成形する場合に顕在化しており、鋼板強度が高いほど、成形性の低下はより顕著になっていた。
この課題を解決する手段として、鋼板をオーステナイト域に加熱し、軟質かつ高延性の状態で熱間プレス加工を行い、これと同時に成形した金型内で急冷することによりマルテンサイト変態を起こさせて、高強度でかつ複雑な形状を有する部材を作製する方法が開示されている。また、この熱間プレス用鋼板あるいは熱間プレス用亜鉛めっき鋼板に係る技術が、例えば、特許文献1や、特許文献2により開示されている。
しかしながら、従来方法では部材使用量として大部分を占める600〜1200MPaの強度を有する部材の製造は困難であるか、あるいは製造できたとしても、部材内の強度不均一性が極めて高くなり、部材内の強度不均一性と強い相関がある衝撃エネルギー吸収特性や疲労特性などの特性が低下してしまうという問題点があった。
特開2003−147499号公報 特開2003−73774号公報
本発明は、冷間プレスでは製造が困難な複雑形状を有し、さらに、部材内の強度不均一性が小さい、TSで600〜1200MPaの強度を有する自動車用構造部材を、容易かつ安価に提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意、実験と検討を重ねた結果、合金元素を適正量添加した鋼板素材を用いることで、従来の技術で問題となっていた、部材内の強度不均一性が極めて少ない、引張強度で600〜1200MPaの部材を、熱間プレス法により作製できることを見出した。
すなわち、本発明は、まず、部材内の強度均一性に優れる600〜1000MPa級自動車用高強度部材の製造方法であって、
第1の発明は、質量%で、
C:0.05%以下、
Si:1.5%以下、
Mn:1.5〜2.5%
を含有し
Mo:1.0%以下、
Cr:10.0%以下、
Cu:1.0%以下、
Ni:1.0%以下、
B:0.005%以下
の1種又は2種以上を含有し
P:0.2%以下、
S:0.1%以下、
N:0.02%以下
を含有し、前記成分に加えて、下記a群を含み、残部がFeおよび不可避不純物からなり、さらに、A値=[%Mn]+2×[%Mo+%Cr]+0.5×[%Cu+%Ni]+300×[%B]が2.3以上を満たす鋼板をAc3温度以上に加熱し、次いで、Ar3以上の温度で熱間プレス成形を開始することを特徴とするものである。
a群:Al単独で0.001〜0.2質量%、あるいは、AlとNb、Ti、V、Taのうち1種または2種以上とを合計で0.001〜0.2質量%。
第2の発明は、前記発明に加えて、下記b群を含むことを特徴とするものである
群:Ca、Mg、Zr、REMのうち1種または2種以上を合計で0.001〜0.01質量%。
第3の発明は、前記第1または第2の発明において、アルミ系または亜鉛系めっきが施されている鋼板を使用することを特徴とするものである。
第4の発明は、第1から第3の発明のいずれかの製造方法で作製した部材内の強度均一性に優れる600〜1000MPa級自動車用高強度部材であって、部材中の最小硬さ部および最大硬さ部がベイナイト組織であることを特徴とするものである。
また、本発明は、部材内の強度均一性に優れる600〜1200MPa級自動車用高強度部材の製造方法であって、
第5の発明は、質量%で、
C:0.07%以下、
Si:1.5%以下、
Mn:1.5〜2.5%
を含有し
Mo:1.0%以下、
Cr:10.0%以下、
Cu:1.0%以下、
Ni:1.0%以下、
B:0.005%以下
の1種又は2種以上を含有し
P:0.2%以下、
S:0.1%以下、
N:0.02%以下
を含有し、前記成分に加えて、下記a群を含み、残部がFeおよび不可避不純物からなり、さらに、[%Mn]+2×[%Mo+%Cr]+0.5×[%Cu+%Ni]+300×[%B]が2.3以上を満たす鋼板をAc3温度以上に加熱し、次いで、Ar3以上の温度で熱間プレス成形を開始することを特徴とするものである。
a群:Al単独で0.001〜0.2質量%、あるいは、AlとNb、Ti、V、Taのうち1種または2種以上とを合計で0.001〜0.2質量%。
第6の発明は、前記発明に加えて、下記b群を含むことを特徴とするものである
群:Ca、Mg、Zr、REMのうち1種または2種以上を合計で0.001〜0.01質量%。
第7の発明は、前記第5または第6の発明において、アルミ系または亜鉛系めっきが施されている鋼板を使用することを特徴とするものである。
第8の発明は、第5から第7のいずれかの製造方法で作製した部材内の強度均一性に優れる600〜1200MPa級自動車用高強度部材であって、部材中の最小硬さ部および最大硬さ部がベイナイト組織とマルテンサイト組織の混合組織からなるものである。
本発明は、部材中の強度均一性に優れるTSで600MPaから1200MPa級の高強度を有する自動車用の構造用部材、補強用部材、足廻り用部材を、容易かつ安価に提供できる。さらに、本発明は、熱間プレス法を利用するために、冷間プレス法では成形が困難であった複雑形状の部材の製造も可能である。
本発明者らは、熱間プレス成形法により引張強度で600〜1200MPa級の部材を作ると、部材内の強度不均一性が大きくなる原因について調査した。その結果、金型内における鋼板の冷却速度は場所により大きく異なるため、成分が適正でないと、急冷された部分と徐冷された部分ではミクロ組織が大きく異なり、この結果、強度も大きく変化してしまうことを見出した。
例えば、ある成分系では、金型と接触して150℃/s以上の冷却速度が得られた部分は、マルテンサイト組織で1000MPaの強度を有するが、その近くで金型と接触していないために30℃/s程度の冷却速度しか得られていないと考えられる部分は、フェライト相が混じり、強度としては600MPa以下となっていた。
そこで、本発明者らは、金型内における鋼板の冷却速度として最も遅いと考えられた30℃/sの冷却速度において、軟質のフェライト相あるいはパーライト相の形成を抑制し、さらに、高い冷却速度において、硬質のマルテンサイト相が形成されにくい成分にすることが課題解決に重要であるとの認識に立ち、数多くの実験と検討を重ねた。
その結果、図1に示すように、成分を適正範囲にすることによって、冷却速度変化に伴う硬さあるいは引張強度の減少を小さくすることが可能であることを見出し、本発明に至った。
以下に、本発明について詳細に説明する。
まず、成分の限定理由について説明する。なお、%は質量%を意味する。
C:Cは部材の強度調整に用いられる。しかし、0.07%を超えると600〜1200MPaの強度範囲と金型内の冷却速度変化に伴う強度均一性の確保の両立が困難となる。このため、その範囲を0.07%以下に限定した。
なお、金型内の冷却速度変化に伴う強度均一性が確保できるC量の目安として、TS:1000MPa以下の部材作製にはC:0.05%以下、TS:800MPa以下の部材作製にはC:0.04%以下であることが好ましい。
下限は特に限定しないが、製鋼コストの観点から0.0005%以上であることが望ましい。フェライトあるいはパーライト相の形成をできる限り抑制する観点からは、Cは0.04%以下であることが望ましい。
Si:SiはCと同様に、部材の強度調整に用いられる。しかしながら、1.5%を超えると脱スケール性の悪化を招き、また、Ac3温度が上昇するために製造コスト高になる。従って、Si含有量は1.5%以下の範囲に制限した。下限は特に限定しないが、製鋼コストの観点から、0.0005%以上含有することが望ましい。
Mn:Mnは本発明において最も重要な元素の一つであり、部材の強度調整および強度の冷却速度依存性を小さくするために用いられる。Mnは効果に比較して安価であるので、多く使用することが好ましい。
しかしながら、1.0%未満であると、低冷却速度部分においてフェライト変態あるいはパーライト変態を十分に抑制するためにCr、Mo、Ni、Cu等の合金元素を多量に使用する必要があり、極めてコスト高になる。また、5.0%を超えると、部材のスポット溶接性が悪化する。
このため、Mn含有量の適正範囲を1.0〜5.0%の範囲内に限定した。なお、製造コストの観点からは、1.5%以上添加することがより好ましく、また、鋼板のマクロ偏析にともなう加工割れを防止する観点から、その含有量は2.5%以下であることがより望ましい。
Mo:Moは強度の冷却速度依存性を小さくするために、Mnの代替元素として主に用いる。しかしながら、1.0%を超えるとコスト高になる。このため、Mo含有量の適正範囲を1.0%以下、好ましくは0.5%以下の範囲内に限定した。
Cr:Crは強度の冷却速度依存性を小さくするために、Mnの代替として主に用いられる。また、鋼板加熱時の耐酸化性の向上にも有効である。しかしながら、10.0%を超えるとコスト高になるため、Cr含有量の適正範囲を10.0%以下の範囲内に限定した。耐酸化性を求めない場合には、コスト面から2.0%以下にするのが好ましい。
Cu:Cuは強度の調整および冷却速度依存性を小さくするために、Mnの代替として主に用いられる。しかしながら、1.0%を超えると鋼板製造時に熱間加工割れを起こし、鋼板の品質が低下する。このため、Cu含有量の適正範囲を1.0%以下の範囲内に限定した。
Ni:Niは強度の冷却速度依存性を小さくするために、Mnの代替として主に用いられる。しかしながら、1.0%を超えるとコスト高になる。このためNi含有量の適正範囲を1.0%以下の範囲内に限定した。
B:Bは強度の冷却速度依存性を小さくするために、Mnの代替として主に用いられる。しかしながら、0.005%を超えると粗大な硼化物あるいは硼炭化物の析出により熱間プレス成形中の割れを起こす。このため、B含有量の適正範囲を0.005%以下の範囲内に限定した。
下限は特に限定しないが、不可避的不純物として0.00005%以上含有するものとする。Bは微量添加でA値を上昇させ、Ar3を低下させる元素であるので、コスト上0.0003%以上添加することが望ましい。
P:Pに主に部材の強度調整に用いられる。0.2%を超えると2次加工割れが顕著になるので、P含有量の範囲を0.2%以下とした。下限は特に限定しないが、不可避的不純物として0.0003%以上含有するものとする。
S:Sは不純物であり、多量に含有すると鋼板製造時の熱間加工割れあるいは熱間プレス中の破断を起こすので、0.1%以下とした。下限は特に限定しないが、不可避的不純物として0.0003%以上含有するものとする。
N:Nは主にオーステナイト域の結晶粒径制御および強度の調整に用いられる。しかしながら、Nが0.02%を超えると、強度の冷却速度依存性を小さくすることが困難となるため、N含有量の範囲を0.02%以下とした。
[%Mn]+2×[%Mo+%Cr]+0.5×[%Cu+%Ni]+300×[%B]値(A値):本値は本発明において最も重要なパラメータである。本値が1.8未満であると部材中の冷却速度として最も遅いと考えられる30℃/sの冷却速度の部分において、軟質のフェライト相あるいはパーライト相の形成を抑制することができない。従って、その適正範囲を1.8以上と限定した。
なお、この値が大きいほど低い冷却速度でもフェライトやパーライト相等の軟質相の形成を抑制することができる。従って、金型設計の都合上、低冷却速度の部分が回避できない場合には、この値を増大させる必要がある。金型中での最小の冷却速度が10℃/s程度になる部位も想定されるので、2.0以上にすることが好ましく、さらに2.3以上がより好ましい条件である。
本発明では、上記した成分に加えて、さらに、a群とb群のうちの1群または2群を含有しても、本発明の目的を達成することができる。
a群:Nb、Ti、V、Ta、Alのうち1種または2種以上の合計を0.001〜0.2%。
Nb、Ti、V、Ta、Alは脱酸元素、あるいは、炭窒化物形成元素として用いて鋼材の強度を調整するのに用いられるので、1種または2種以上の合計を0.001%以上含有することが好ましい。しかしながら、合計で0.2%を超えるとコスト高になる。従って、その合計量の範囲を0.001〜0.2%とした。
b群:Ca、Mg、Zr、REMのうち1種または2種を合計で0.001〜0.01%。
Ca、Mg、ZrおよびREMは脱酸に用いる元素であり、1種または2種を合計で0.001%以上含有することが好ましい。しかしながら、合計の含有量が0.01%を超えると、成形加工性の悪化の原因となる。そのため、合計量の範囲を0.001〜0.01%とした。なお、本発明において、REMとはLaおよびランタノイド系列の元素を指すものとする。
なお、その他の不可避不純物としてOを0.01%以下含んでいてもよい。
次に、熱間プレス成形方法の限定理由について説明する。
加熱温度がAc3温度未満であると、強度均一性に優れかつ600〜1200MPaの強度を有する部材を製造することが困難となるので、その適正範囲をAc3以上に限定した。加熱温度の上限は特に定めないが、鋼板加熱中のスケール形成を避ける観点からは、1000℃以下とすることが好ましい。
また、熱間プレス成形の開始温度がAr3未満であると、フェライト、パーライト相等の軟質相が部材内で不均一に形成されやすくなり、強度不均一性が大きくなる傾向があるので、熱間プレス成形開始温度の適正範囲をAr3以上に限定した。なお、軟質相の形成をできる限り回避するという観点から、Ar3+50℃以上であることがより望ましい。
なお、Ac3温度およびAr3温度は、化学組成(mass%)より次の式を用いて簡易的に計算することができる。
Ac3=910−203*C1/2+45*Si−30*Mn+700*P−15*Ni− 20*Cu−11*Cr+10*Mo
Ar3=900−325*C+30Si+40Al−90*(Mn+Cu)−50Ni− 50000*B
プレス成形の開始温度の上限は特に定めないが、熱間プレス成形中の板破断を回避する点からは、1100℃以下とすることが好ましい。なお、ここで成形開始とは金型上に鋼板が置かれた瞬間を指す。
本発明は、熱間プレス金型中で急冷された場所も徐冷された場所もベイナイト組織とマルテンサイト組織の混合組織とすることが肝要である。TSで1000MPa以下の場合には、ベイナイト組織分率が80%以上の組織であることが好ましく、部材内の均一性をより高める観点からはベイナイト単相組織であることがより好ましい。
TSで1000MPaを超え1200MPa以下の場合も、部材内の均一性をより高める観点からベイナイト組織分率が50%以上であることが好ましい。ここで、ベイナイトとは、ラス状ベイナイト、グラニュラーベイナイトを指すものとする。
なお、ベイナイト相の判別は、鋼のベイナイト写真集1:〔低炭素鋼の連続冷却(中間段階)変態組織 Atlas for Bainitic Microstructures Vol.1、日本鉄鋼協会基礎研究会ベイナイト調査研究部会/編、1992年〕を参考にして行うものとする。
また、C:0.04%を超える場合には、ラス状ベイナイトとマルテンサイト相の区別がしにくい場合があるが、この場合は、透過電子顕微鏡法により微視組織観察を行い、何らかの炭化物析出が認められた場合はラス状ベイナイトと分類することとする。
熱間プレス成形を行う素材鋼板は、熱延鋼板、冷延まま鋼板、冷延焼鈍板のいずれでもよく、また、鋼板表面に電気めっき、溶融めっき、合金化めっき層が施されている鋼板でも、本発明の効果を奏功することができる。ただし、熱間プレス後のめっき品質を確保するという観点からは、めっきの主成分としてはアルミまたは亜鉛であることが、より望ましい。
本発明に係る成分の鋼板および部材の製造方法は、異なる強度の鋼板を接合した後に熱間プレスを行う場合にも適用可能である。例えば、金型冷却後に、本発明に係る700MPaになる成分を有する鋼板と1500MPaになる成分を有する鋼板を接合して、その後、本発明に示された条件で熱間プレス成形を行うことにより、全く異なる強度を有する一体部品(テーラードブランク部品)を製造することが可能になる。
なお、本発明において強度均一性に優れるとは、金型内で冷却された部分のうち最小の引張強度(または硬さ)を有する部分が最大の引張強度(または硬さ)の80%以上であるものを指す。より、安定的に衝撃吸収エネルギーを吸収するあるいは良好な耐変形特性を得るという観点からは、85%以上であることがより望ましい。
その評価方法としては、鋼板を920℃に加熱した後、急冷された部分に相当するものとして、180℃/sの冷却速度で室温まで冷却したものの最大引張強度をTSmax、金型内で徐冷された部分に相当するものとして、30℃/sの冷却速度で室温まで冷却したものの最大引張強度をTSminとし、TSmin/TSmaxの値を求め、この値を評価するのが定量的であり好適である。
あるいは、成形後の部材のビッカース硬さ(荷重10kgf)を測定し、金型内で冷却された部分の内、最大の硬さをHvmax、最小の硬さをHvminとした時に、Hvmin/Hvmaxの値を求め、この値を評価してもよい。
鋼板の加熱方法としては、加熱炉中に装入する方法、高周波誘導加熱による方法のいずれでも構わない。また、本部材を作製する熱間プレス成形方法としては、深絞り成形、張出成形、伸びフランジ成形、曲げ変形、あるいは、これら変形モードが複合した方法のいずれでも構わない。
次に、本発明を実施例により詳細に説明する。
表1に示す成分を有する板厚1.4mmの鋼板A〜Hを、加熱および熱間プレス金型内の冷却を模擬するために、熱履歴シミュレーターを用いて加熱温度および冷却速度を様々に変化させる実験を行い、各条件での組織、材質を測定した。材質はJIS5号試験片を用いて評価した。
また、実際に鋼板を920℃に加熱し、ハット形状の金型(長さ:300mm、断面一辺の長さ:約50mm)を用いて熱間プレス試験を行い、次いで、部材とほぼ同一の強度を有する鋼板で残辺に蓋をした試験材を作製し、上部から重錘を落とし、試験材の圧潰形状と吸収エネルギーを測定する実験を行った。試験材が蛇腹状に潰れて衝撃エネルギーを十分に吸収したものを○と判定した。
本発明の部材の衝撃吸収エネルギーは、強度の不均一性が大きい同一TSmaxの部材の衝撃吸収エネルギーと比較して20%以上大きかった。
強度均一性は以下の評価により求めた。すなわち、鋼板を920℃に加熱した後、急冷された部分に相当するものとして、180℃/sの冷却速度で室温まで冷却したものの最大引張強度をTSmax、金型内で徐冷された部分に相当するものとして、30℃/sの冷却速度で室温まで冷却したものの最大引張強度をTSminとし、TSmin/TSmaxの値を求めた。結果を、表2に示す。
このTSmin/TSmaxが1に近いほど部材の強度均一性が高いことを示し、この値が0.80以上のものは上述の圧潰試験において蛇腹状の圧潰形態を示し、また、衝撃吸収エネルギーが高いことを示していた。
なお、強度均一性の評価方法としては、成形した部材のビッカース硬さ(荷重10kgf)硬さを測定し、金型内で冷却された部分の内、最大の硬さをHvmax、最小の硬さをHvminとした時に、Hvmin/Hvmaxの値を求め、この値を評価してもよい。
No.6とNo.7は、C成分および[%Mn]+2×[%Mo+%Cr]+0.5×[%Cu+%Ni]+300×[%B]値が本発明の範囲外であるために、徐冷却時にフェライトが形成し、部材中の強度不均一性が大きく、圧潰形態も悪く、十分な衝撃エネルギーの吸収が得られなかった例である。
No.9は、成分は適正範囲内であったにもかかわらず、鋼板の加熱温度がAc3温度以下であったために、600MPaの強度が得られなかった例である。No.10は、成分は適正範囲内であったにもかかわらず、熱間プレス開始温度がAr3温度以下であったために、600MPa以上の強度が得られなかった例である。
Figure 0004452157
Figure 0004452157
前述したように、本発明は、部材中の強度均一性に優れるTSで600MPaから1200MPa級の高強度を有する自動車用の構造用部材、補強用部材、足廻り用部材を容易かつ安価に提供でき、さらに、熱間プレス法を利用するために、冷間プレス法では成形が困難であった複雑形状の部材の製造も可能である。したがって、本発明は、産業上の利用可能性が極めて高いものである。
本発明鋼(鋼D)と比較鋼(鋼H)を、920℃で5分加熱後、0.1〜180℃/sの冷却速度で室温まで冷却した時の鋼板の硬さを示す図である(180℃/sと30℃/s冷却後の硬さを比較すると、比較鋼に比べて本発明鋼では硬さの変化が大きく抑制されている。)。

Claims (8)

  1. 質量%で、
    C:0.05%以下、
    Si:1.5%以下、
    Mn:1.5〜2.5%
    を含有し
    Mo:1.0%以下、
    Cr:10.0%以下、
    Cu:1.0%以下、
    Ni:1.0%以下、
    B:0.005%以下
    の1種又は2種以上を含有し
    P:0.2%以下、
    S:0.1%以下、
    N:0.02%以下
    を含有し、前記成分に加えて、下記a群を含み、残部がFeおよび不可避不純物からなり、さらに、[%Mn]+2×[%Mo+%Cr]+0.5×[%Cu+%Ni]+300×[%B]が2.3以上を満たす鋼板をAc3温度以上に加熱し、次いで、Ar3以上の温度で熱間プレス成形を開始することを特徴とする部材内の強度均一性に優れる600〜1000MPa級自動車用高強度部材の製造方法。
    a群:Al単独で0.001〜0.2質量%、あるいは、AlとNb、Ti、V、Taのうち1種または2種以上とを合計で0.001〜0.2質量%。
  2. 前記成分に加えて、下記b群を含むことを特徴とする請求項1記載の部材内の強度均一性に優れる600〜1000MPa級自動車用高強度部材の製造方法
    群:Ca、Mg、Zr、REMのうち1種または2種以上を合計で0.001〜0.01質量%。
  3. アルミ系または亜鉛系めっきが施されている鋼板を使用することを特徴とする請求項1または2記載の部材内の強度均一性に優れる600〜1000MPa級自動車用高強度部材の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により製造した部材であって、部材中の最小硬さ部および最大硬さ部がベイナイト組織であることを特徴とする部材内の強度均一性に優れる600〜1000MPa級自動車用高強度部材。
  5. 質量%で、
    C:0.07%以下、
    Si:1.5%以下、
    Mn:1.5〜2.5%
    を含有し
    Mo:1.0%以下、
    Cr:10.0%以下、
    Cu:1.0%以下、
    Ni:1.0%以下、
    B:0.005%以下
    の1種又は2種以上を含有し
    P:0.2%以下、
    S:0.1%以下、
    N:0.02%以下
    を含有し、前記成分に加えて、下記a群を含み、残部がFeおよび不可避不純物からなり、さらに、[%Mn]+2×[%Mo+%Cr]+0.5×[%Cu+%Ni]+300×[%B]が2.3以上を満たす鋼板をAc3温度以上に加熱し、次いで、Ar3以上の温度で熱間プレス成形を開始することを特徴とする部材内の強度均一性に優れる600〜1200MPa級自動車用高強度部材の製造方法。
    a群:Al単独で0.001〜0.2質量%、あるいは、AlとNb、Ti、V、Taのうち1種または2種以上とを合計で0.001〜0.2質量%。
  6. 前記成分に加えて、下記b群を含むことを特徴とする請求項5記載の部材内の強度均一性に優れる600〜1200MPa級自動車用高強度部材の製造方法
    群:Ca、Mg、Zr、REMのうち1種または2種以上を合計で0.001〜0.01質量%。
  7. アルミ系または亜鉛系めっきが施されている鋼板を使用することを特徴とする請求項5または6記載の部材内の強度均一性に優れる600〜1200MPa級自動車用高強度部材の製造方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか1項に記載の製造方法により製造した部材であって、部材中の最小硬さ部および最大硬さ部がベイナイト組織とマルテンサイト組織の混合組織からなることを特徴とする部材内の強度均一性に優れる600〜1200MPa級自動車用高強度部材。
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